(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135087
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G06T1/00 500A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034675
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】古川 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】迫水 和仁
【テーマコード(参考)】
5B057
【Fターム(参考)】
5B057AA20
5B057BA02
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC03
5B057CE04
5B057DA08
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC04
5B057DC30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮影対象物に個人情報などの機微な情報を含む場合等でも必要以上に情報削減を行わず画像処理できる画像処理装置、画像処理プログラム及び画像処理方法を提供する。
【解決手段】原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置1であって、原画像が入力される画像入力部11と、センサ値が入力されるセンサ入力部12と、原画像の変化量を示す単位変換量と、センサ値と比較する基準センサ値とを記憶する記憶部13と、センサ値と、単位変換量と、基準センサ値とに基づき、原画像に対する変換量を算出する変換量算出部14と、変換量に基づき、原画像に対して変換処理を行い、変換画像を算出する画像変換部15と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置であって、
前記原画像が入力される画像入力部と、
センサ値が入力されるセンサ入力部と、
前記原画像の変化量を示す単位変換量と、前記センサ値と比較する基準センサ値とを記憶する記憶部と、
前記センサ値と、前記単位変換量と、前記基準センサ値とに基づき、前記原画像に対する変換量を算出する変換量算出部と、
前記変換量に基づき、前記原画像に対して変換処理を行い、前記変換画像を算出する画像変換部と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記センサ値は、前記原画像を取得する撮影装置と、該撮影装置の撮影対象物との距離の値であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記単位変換量は、前記センサ値が単位量だけ変化したときの前記原画像の画素変化を示す値であり、
前記基準センサ値は、前記撮影装置と前記撮影対象物との距離の値であり、前記撮影装置と前記撮影対象物が離れていると判断可能な閾値である
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変換量は、前記単位変換量と、前記基準センサ値から前記センサ値を差し引いた値である差分センサ値を2乗した値と、を乗じた値であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像変換部は、画像解像度の変更、画像圧縮率の変更、及びガウスぼかし処理の内、少なくとも一つの前記変換処理を実行することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記原画像に対して所定の画像解析を行い、画像情報量を算出する画像解析部をさらに有し、
前記記憶部は、前記変換量の上限値である基準変換量と、前記変換量の上限を前記基準変換量に設定する閾値である基準画像情報量とをさらに有し、
前記画像変換部は、前記画像情報量と、前記基準画像情報量と、前記基準変換量とに基づき、前記変換量に上限値を設けるか否かを決定し、上限値を設け、かつ前記変換量が上限値を超えている場合には、前記変換量を上限値として、前記原画像から前記変換画像を算出することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像解析部は、前記原画像の局所領域に対して前記画像解析を行い、
前記画像変換部は、局所領域ごとに前記変換量の上限値処理を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置に搭載されるコンピュータを、
前記原画像が入力される画像入力部と、
センサ値が入力されるセンサ入力部と、
前記原画像の変化量を示す単位変換量と、前記センサ値と比較する基準センサ値とを記憶する記憶部と、
前記センサ値と、前記単位変換量と、前記基準センサ値とに基づき、前記原画像に対する変換量を算出する変換量算出部と、
前記変換量に基づき、前記原画像に対して変換処理を行い、前記変換画像を算出する画像変換部と
して機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置に使用する画像処理方法であって、
画像入力部は、前記原画像の入力を受け付け、
センサ入力部は、センサ値の入力を受け付け、
記憶部は、前記原画像の変化量を示す単位変換量と、前記センサ値と比較する基準センサ値とを記憶し、
変換量算出部は、前記センサ値と、前記単位変換量と、前記基準センサ値とに基づき、前記原画像に対する変換量を算出し、
画像変換部は、前記変換量に基づき、前記原画像に対して変換処理を行い、前記変換画像を算出する
ことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法に関し、例えば、撮影対象物に個人情報などの機微な情報を含む場合に、画像中の当該情報を認識不可能な状態とする処理を行う画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理に関する技術として、例えば、特許文献1に記載の画像処理システムが挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の画像処理システムは、機能モジュールとして管理部、フィルタ生成部、選択部、及び適用部を備える。管理部は原画像から変換画像を生成する処理を統括的に管理する機能要素である。フィルタ生成部は属性フィルタを生成する機能モジュールである。選択部は原画像に適用する属性フィルタを選択する機能モジュールである。適用部は選択された属性フィルタを原画像に適用することで変換画像を得る機能モジュールである。
【0004】
また、フィルタとは画像を加工する機能のことをいい、属性フィルタとは被写体の属性に対応するフィルタのことをいう。属性フィルタは、被写体に対応する個人情報は認識できないが該被写体の属性は認識できるように画像をぼかすものである。属性フィルタの実現方法は限定されず、例えば、プログラムコード、設定ファイル、またはこれらの組合せによって属性フィルタが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術(画像処理システム)においては、特に領域を指定せず画像全体に対して処理を行う場合、個人情報ではない領域に対しても保護処理を行う可能性があり、情報量を必要以上に小さくしてしまう可能性がある。
【0007】
また、個人情報として保護する領域を指定する際、手動、又は自動抽出を行うこととしている。手動で指定する場合は、人手が必要であるという問題がある。一方、自動抽出を行う場合は、抽出に計算を行う必要があり、さらに抽出誤りによる指定漏れが発生する可能性を否定できないという問題がある。
【0008】
そのため、撮影対象物に個人情報などの機微な情報を含む場合等でも必要以上に情報削減を行わず、効率的に画像処理できる画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置であって、(1)前記原画像が入力される画像入力部と、(2)センサ値が入力されるセンサ入力部と、(3)前記原画像の変化量を示す単位変換量と、前記センサ値と比較する基準センサ値とを記憶する記憶部と、(4)前記センサ値と、前記単位変換量と、前記基準センサ値とに基づき、前記原画像に対する変換量を算出する変換量算出部と、(5)前記変換量に基づき、前記原画像に対して変換処理を行い、前記変換画像を算出する画像変換部とを有することを特徴とする。
【0010】
第2の本発明の画像処理プログラムは、原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置に搭載されるコンピュータを、(1)前記原画像が入力される画像入力部と、(2)センサ値が入力されるセンサ入力部と、(3)前記原画像の変化量を示す単位変換量と、前記センサ値と比較する基準センサ値とを記憶する記憶部と、(4)前記センサ値と、前記単位変換量と、前記基準センサ値とに基づき、前記原画像に対する変換量を算出する変換量算出部と、(5)前記変換量に基づき、前記原画像に対して変換処理を行い、前記変換画像を算出する画像変換部として機能させることを特徴とする。
【0011】
第3の本発明は、原画像に含まれる撮影対象物表面の情報を認識不可能な状態に修正を行った変換画像を出力する画像処理装置に使用する画像処理方法であって、(1)画像入力部は、前記原画像の入力を受け付け、(2)センサ入力部は、センサ値の入力を受け付け、(3)記憶部は、前記原画像の変化量を示す単位変換量と、前記センサ値と比較する基準センサ値とを記憶し、(4)変換量算出部は、前記センサ値と、前記単位変換量と、前記基準センサ値とに基づき、前記原画像に対する変換量を算出し、(5)画像変換部は、前記変換量に基づき、前記原画像に対して変換処理を行い、前記変換画像を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、撮影対象物に個人情報などの機微な情報を含む場合等でも必要以上に情報削減を行わず、効率的に画像処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る画像処理装置の全体動作について示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施形態に係る画像処理装置の全体動作について示すフローチャートである。
【
図6】第3の実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】第1の実施形態に係る各センサ値の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0015】
(A-1)第1の実施形態の構成
(A-1-1)全体構成
図2は、第1の実施形態に係る画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図2において、画像処理システム100は、画像処理装置1、撮影装置2、センサ3、通信装置4、通信装置5、及び管理装置6を有する。
【0017】
画像処理装置1は、撮影対象物7を撮影装置2で撮影した画像(原画像)に対して、センサ3が出力するセンサ値によって、加工を行った変換画像を出力する処理装置である。
【0018】
上記撮影対象物7は、特に限定されるものでは無く、例えば、人間や動物、乗り物等の種々様々な物体を対象とする。なお、
図2では、画像処理装置1は、撮影装置2から直接撮影画像を取得しているが、通信装置又はUSBメモリ等の可搬記憶媒体を介して取得してもよい。
【0019】
撮影装置2は、例えば、カメラであり、画像処理装置1に原画像を与えるものである。撮影装置2は、撮影対象物7を撮影できる位置と画角に固定されている必要がある。
【0020】
センサ3は、実世界から物理量を測定し該物理量をセンサ値に変換する機器であり、種々様々なセンサを適用することができる。なお、本実施形態が測定する物理量は、撮影装置2と撮影対象物7との間の距離に関する物理量が必要である。
【0021】
通信装置4、5は、変換画像を含む信号を授受する通信装置である。通信装置4は、画像処理装置1から取得した変換画像を含む信号を送信するものであり、通信装置5は、通信装置4から送信された通信信号を受信し、当該信号に含まれる変換画像を管理装置6に与えるものである。通信装置4、5は、有線、無線を問わず、種々様々な通信プロトコル等に従って変換画像を管理装置6に伝送する。なお、変換画像を管理装置6に通信装置4、5を介して伝送する代わりに、CD、DVD、USBメモリといった一般的な可搬記憶媒体などを介して管理装置6に伝送してもよい。
【0022】
管理装置6は、通信装置5から与えられた変換画像を逐次記録し、種々様々な用途で利用するものである。変形例として、管理装置6が、画像処理装置1の機能を備えていてもよい。この場合、撮影装置2で撮影した原画像が通信装置4、5により管理装置6に送信されることになる。
【0023】
(A-1-2)画像処理装置1の詳細構成
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0024】
画像処理装置1は、画像入力部11、センサ入力部12、記憶部13、変換量算出部14、画像変換部15、及び出力部16を有する。
【0025】
画像処理装置1は、プロセッサやメモリ等を有するコンピュータにプログラム(実施形態に係る画像処理プログラム)をインストールして実現するようにしてもよいが、この場合でも、画像処理装置1は機能的には
図1を用いて示すことができる。なお、画像処理装置1については一部又は全部をハードウェア的に実現するようにしてもよい。
【0026】
画像入力部11は、撮影装置2から撮影対象物7を含む撮影画像(原画像)を入力するものである。
【0027】
センサ入力部12は、センサ3から撮影対象物7(撮影対象物7の周辺環境)のセンシング結果(センサ値)を入力するものである。
【0028】
記憶部13は、単位変換量T及び基準センサ値などを記憶するものである。単位変換量Tは、センサ値が単位量だけ変化したときの、原画像の画素変化量を示す値である。基準センサ値Sは、撮影装置2と撮影対象物7との距離の値であり、撮影装置2と撮影対象物7とが充分に離れていると判断する閾値である。
【0029】
変換量算出部14は、センサ値、単位変換量T、及び基準センサ値Sに基づき、原画像に対してどれだけの変換を行うかを示す変換量を算出する。変換量算出部14の詳細は動作の項で述べる。
【0030】
画像変換部15は、変換量算出部14で算出した変換量に基づき、変換画像を算出する。画像変換部15の詳細は動作の項で述べる。
【0031】
出力部16は、画像変換部15で生成された変換画像を外部に出力するものである。
【0032】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、実施形態に係る画像処理装置1による画像処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0033】
(A-2-1)画像処理装置1の全体的な動作
図3は、第1の実施形態に係る画像処理装置の全体動作について示すフローチャートである。
【0034】
画像入力部11は、撮影装置2で撮影された原画像の入力を受け付ける(S101)。ここでの、原画像には少なくとも撮影対象物7が含まれているものとする。画像入力部11は、当該原画像を画像変換部15に与える。
【0035】
センサ入力部12は、センサ3で取得されたセンサ値の入力を受け付ける(S102)。センサ入力部12は、当該センサ値を変換量算出部14に与える。なお、上記ステップS101と、当該ステップS102とは、それぞれが実行される順番は問わず、例えば、ステップS102の後にステップS101が実行されてもよい。
【0036】
変換量算出部14は、画像入力部11を介して取得したセンサ値と、記憶部13から取得した単位変換量T及び基準センサ値Sから、原画像に対する変換量を算出する(S103)。変換量算出部14は、算出した変換量を画像変換部15に与える。当該ステップS103の処理の詳細は後述する。
【0037】
画像変換部15は、原画像に対して、変換量算出部14から取得した変換量に基づき、原画像に対する変換画像を算出する(S104)。画像変換部15は、算出した変換画像を出力部16に与える。当該ステップS104の処理の詳細は後述する。
【0038】
出力部16は、画像変換部15で算出された変換画像を画像処理装置1の外部へ出力する(S105)。
【0039】
(A-2-2)ステップS103の動作の詳細
ステップS103において、変換量算出部14は、画像入力部11を介して取得したセンサ値、記憶部13から取得した単位変換量T及び基準センサ値Sに基づき、原画像に対する変換量を算出する。
【0040】
上記センサ値は距離であることが必要であることは前述したが、この理由について、説明する。例えば、ある撮影対象物7を撮影装置2で撮影し原画像を得ることを考える。撮影装置2の撮影解像度は固定の値とする。
【0041】
撮影対象物7と撮影装置2との距離を変えて複数枚撮影したとき、近距離で撮影した原画像には撮影対象物7が大きく撮影される。一方、遠距離で撮影した原画像には撮影対象物7が小さく撮影される。
【0042】
原画像に撮影対象物7が大きく撮影されているということは、原画像中に含まれる撮影対象物表面の情報が多いということである。対して原画像に撮影対象物7が小さく撮影されているということは、原画像中に含まれる撮影対象物表面の情報が少ないということである。
【0043】
本実施形態に係る発明の目的(以下、「本目的」と呼ぶ)は、画像中に含まれる個人情報などを認識不可能な状態にすることであるが、撮影対象物表面に文字などが書かれており、撮影対象物7が原画像中に大きく撮影されている場合には、本目的から考えると、変換量を大きくし、原画像中の撮影対象物表面の情報を十分に削減した変換画像を出力する必要がある。一方、撮影対象物表面に文字などが書かれている場合でも、撮影対象物7が原画像中に小さく撮影されている場合には、変換量は比較的小さくてよく、原画像中の情報を大きく削減することなく本目的は達成される。
【0044】
即ち、撮影対象物7と撮影装置2との距離により適切な変換量を算出することで、過度に情報を削減することを防ぎつつ、個人情報などを認識不可能な状態にすることが可能である。以上が、センサ値として距離を用いる理由である。
【0045】
続けて、変換量算出部14が変換量を算出する手順を説明する。
【0046】
まず、変換量算出部14は、画像入力部11を介して取得したセンサ値から記憶部13から取得した基準センサ値Sを差し引いた値(以下、「差分センサ値」と呼ぶ)を算出する。センサ値よりも基準センサ値Sの方が小さい、即ち撮影装置2と撮影対象物7が充分に離れていることから、原画像に個人情報などが認識可能な状態で撮影されておらず、情報量を削減する必要がない場合には、変換量は「0」としてよい。またこの場合、変換画像は、原画像と一致するものを出力してもよい。
【0047】
図7は、第1の実施形態に係る各センサ値の関係を示す説明図である。
図7では、撮影対象物7からセンサ3(撮影装置2)までの距離と、基準センサ値Sと、差分センサ値とが示されている。
図7の例では、センサ値よりも基準センサ値Sの方が大きく、即ち撮影装置2と撮影対象物7が充分に離れていないことが示されている。
【0048】
次に、変換量算出部14は、差分センサ値と、記憶部13から取得した基準センサ値Sとから変換量を算出する。変換量の算出方法は特に限定されるものでは無く、種々様々な算出方法(計算式)を用いてよい。一般的に撮影画像中における撮影対象物7の面積は、撮影対象物7と撮影装置2との距離の2乗に反比例する。また面積が大きいほど変換量は大きくする必要がある。以上のことから、変換量算出部14は、例えば、以下の(1)式のような計算式を用いてもよい。
C=A×B2 …(1)
【0049】
上記(1)式において、Aは、単位変換量Tであり、Bは、差分センサ値であり、Cは、求める変換量である。
【0050】
(A-2-3)ステップS104の動作の詳細
ステップS104において、画像変換部15は、変換量算出部14で算出した変換量に基づき、変換画像を算出する。変換画像は、変換量を変化の度合いとして、原画像に対して変換手段を適用することで得る。変換量が大きいほど原画像と変換画像との情報量の差は大きくなるものとする。
【0051】
上記変換手段は、特に限定されるものでは無く種々様々な変換手段を適用できる。例えば、画像解像度の変更、圧縮率の変更、ガウスぼかしなどの画像修正を行ってよい。
【0052】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0053】
画像処理装置1は、センサ値を用いて変換量を決定することから、特徴点検出などといった直接的な画像解析を行わないため、処理量を低く抑えることができ、処理系に必要な計算資源が少なく抑えられる。
【0054】
また、変換量はセンサ値から一意に決定されるため、必要以上の情報削減や、情報の削減不足、といった誤りが発生することはない。
【0055】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0056】
(B-1)第2の実施形態の構成
画像処理システム100A(
図2)では、画像処理装置1が、画像処理装置1Aに置き換わっている点で第1の実施形態と異なっている。以下では、第2の実施形態について第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0057】
図4は、第2の実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0058】
画像処理装置1Aは、画像入力部11A、センサ入力部12、記憶部13A、変換量算出部14、画像変換部15A、出力部16、及び画像解析部17を有する。
図4の画像処理装置1Aでは、
図1の画像処理装置1の構成に加えて画像解析部17が追加されている。また、画像入力部11A、記憶部13A、及び画像変換部15Aの機能が第1の実施形態に係る画像入力部11、記憶部13、及び画像変換部15と異なる。
【0059】
画像処理装置1Aは、プロセッサやメモリ等を有するコンピュータにプログラム(実施形態に係る画像処理プログラム)をインストールして実現するようにしてもよいが、この場合でも、画像処理装置1Aは機能的には
図4を用いて示すことができる。なお、画像処理装置1Aについては一部又は全部をハードウェア的に実現するようにしてもよい。
【0060】
画像入力部11Aは、入力された原画像を画像解析部17に与えるものである。
【0061】
画像解析部17は、原画像に対して画像解析を行い、画像に含まれる情報量を算出し、算出した画像情報量を画像変換部15Aに与えるものである。画像解析部17の詳細は動作の項で述べる。
【0062】
画像変換部15Aは、前述の変換量に加えて、さらに画像情報量及び後述する基準画像情報量I及び基準変換量Mに基づき、変換画像を算出するものである。画像変換部15Aの詳細は動作の項で述べる。
【0063】
記憶部13は、前述の単位変換量T及び基準センサ値に加えて、基準画像情報量I及び基準変換量Mを有する。
【0064】
基準変換量Mは、変換量の上限の値である。基準画像情報量Iは、変換量を基準変換量Mに設定する閾値であり、画像情報量と同じ次元の値である。基準変換量Mと基準画像情報量Iは、それぞれ単一の固定値でも良いし、それぞれ組となっている複数の値でもよい。基準画像情報量I及び基準変換量Mの具体的な使用方法は動作の項で述べる。
【0065】
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、実施形態に係る画像処理装置1Aによる画像処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
【0066】
(B-2-1)画像処理装置1Aの全体動作
図5は、第2の実施形態に係る画像処理装置の全体動作について示すフローチャートである。
図5と前述の
図3の内、同一符号の処理は同様の処理であるので、以下では、第2の実施形態の画像処理装置1Aの特有の処理のみについて述べる。
【0067】
画像解析部17は、原画像に対して画像解析を行い、画像に含まれる情報量を算出し、原画像と併せて算出した画像情報量を画像変換部15Aに出力する(S201)。原画像に対して行う画像解析の技術は、既存の種々様々な技術を適用できる。当該ステップS201の処理の詳細は後述する。
【0068】
画像変換部15Aは、変換量算出部14から取得した変換量、画像解析部17から取得した画像情報量、記憶部13Aから取得した基準画像情報量I及び基準変換量Mに基づき、原画像に対する変換画像を算出する(S202)。当該ステップS202の処理の詳細は後述する。
【0069】
なお、
図5の処理のうち、前述のステップS103とステップS201とは、それぞれが実行される順番は問わない。例えば前述のステップS103の後にステップS201が実行されてもよい。
【0070】
(B-2-2)ステップS201の動作の詳細
まず、ステップS201において、画像解析部17が画像解析を行う意図について説明する。
【0071】
第1の実施形態において、撮影対象物7と撮影装置2との距離が小さい場合には、変換量を大きくすると説明した。ここで撮影対象物の表面に個人情報などが記載されていない場合を考える。本目的を考えると、個人情報が含まれていない原画像に対しては変換を行う必要は小さい。したがって、個人情報が含まれていないと判断できる、即ち画像情報量が充分に小さいと判断できる場合には、変換量を小さく抑え、画像変換部15における過剰な情報削減を抑えることができる。
【0072】
ステップS201において、画像解析部17は、原画像の画像情報量を算出する。画像情報量は、画像に含まれる情報の量を示したものであり、任意の方法を用いて算出してよい。例えば、原画像に対して周波数解析を行い、その結果を画像情報量としてもよい。周波数解析を採用してもよい理由としては、個人情報は文字や顔写真などが主なものであるが、画像に含まれる場合は、その領域は比較的画素値の変化が大きいと考えられ、高い周波数の振幅が大きくなるためである。
【0073】
(B-2-3)ステップS202の動作の詳細
ステップS202において、画像変換部15Aは、変換量算出部14から取得した変換量、画像解析部17から取得した画像情報量、記憶部13Aから取得した基準画像情報量I及び基準変換量Mに基づき、原画像に対する変換画像を算出する。
【0074】
第1の実施形態の画像変換部15では、変換量のみに応じて原画像の変化度合いを決定し変換画像を算出していた。一方、第2の実施形態の画像変換部15Aにおいては、さらに、画像情報量、基準画像情報量I、及び基準変換量Mを用いて変換量に上限を設けるか否かを決定し、上限を設ける場合はその上限値に変換量を設定し、変換画像を算出する。
【0075】
まず、画像変換部15Aは、画像情報量と基準画像情報量Iとから、変換量をそのまま用いるか、基準変換量Mを上限とした値とするかを決定する。画像変換部15Aは、変換量をそのまま用いる場合には変換量算出部14で算出された変換量に応じて変換画像を算出する。一方、基準変換量Mを上限とした値とする場合には、変換量と基準変換量Mとを比較し、小さい方の値に応じて変換画像を算出する。
【0076】
(B-3)第2の実施形態の効果
以上のように第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、撮影対象物7と撮影装置2とが近距離に位置しているが撮影対象物表面の情報が比較的少ない場合に、変換量に上限を設けることで、必要以上に情報量を削減する可能性を抑えることができる。
【0077】
(C)第3の実施形態
以下、本発明による画像処理装置、画像処理プログラム、及び画像処理方法の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0078】
(C-1)第3の実施形態の構成及び動作
画像処理システム100B(
図2)では、画像処理装置1(1A)が、画像処理装置1Bに置き換わっている点で第1、第2の実施形態と異なっている。以下では、第3の実施形態について第1、第2の実施形態との差異を中心に説明する。
【0079】
図6は、第3の実施形態に係る画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【0080】
画像処理装置1Bは、画像入力部11A、センサ入力部12、記憶部13A、変換量算出部14、画像変換部15B、出力部16、及び画像解析部17Bを有する。
図6の画像処理装置1Bでは、画像解析部17B及び画像変換部15Bの機能が前述の画像解析部17及び画像変換部15Aと異なる。
【0081】
また、画像処理装置1Bの全体的な動作は、基本的に前述の
図5のフローチャートと同様である。ただし、前述のステップS201及びステップS202の処理を後述する画像解析部17B及び画像変換部15Bが行う。
【0082】
画像解析部17Bは、第2の実施形態の画像解析部17と画像情報量の算出部分が異なる。即ち、第2の実施形態の画像解析部17では、画像全体から単一の画像情報量を算出していた。一方、第3の実施形態の画像解析部17Bは、原画像の局所領域ごとに画像情報量も算出する。そのため、第3の実施形態の画像情報量には、さらに局所領域情報を含む。
【0083】
画像変換部15Bは、第2の実施形態において画像全体において行っていた変換量の上限値設定処理を、局所領域ごとに行う。
【0084】
(C-2)第3の実施形態の効果
以上のように第3の実施形態によれば、第2の実施形態の効果に加え、変換量の上限値を局所領域ごとに決定することができ、情報量が多い領域と少ない領域とで、変換量を異なる値に設定できることから、原画像から柔軟な情報量の削減を行うことができる。
【符号の説明】
【0085】
1、1A、1B…画像処理装置、2…撮影装置、3…センサ、4…通信装置、5…通信装置、6…管理装置、7…撮影対象物、11、11A…画像入力部、12…センサ入力部、13、13A…記憶部、14…変化量算出部、15、15A、15B…画像変換部、16…出力部、17…画像解析部、17B…画像解析部、100、100A、100B…画像処理システム、I…基準画像情報量、M…基準変換量、S…基準センサ値、T…単位変換量。