(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135091
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】コンタクトセンター支援装置及びコンタクトセンター支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20120101AFI20220908BHJP
H04M 3/51 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
H04M3/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034682
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 章
【テーマコード(参考)】
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5K201BA14
5K201DC03
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED01
5K201ED07
5K201EF10
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】顧客からの問い合わせを入力とし、保全員を出動するか否かを判断するための情報を出力するコンタクトセンター支援装置を提供する。
【解決手段】新規のアラーム情報を取得する取得部と、過去のアラーム情報と、出動要否情報との夫々をn(n≧2)個含む保全記録のうち、前記新規のアラーム情報との類似度が所定値以上の前記過去のアラーム情報を含む記録を検索する検索部と、前記記録に含まれる前記出動要否情報を出力する出力部とを備えたコンタクトセンター支援装置。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規のアラーム情報を取得する取得部と、
過去のアラーム情報と、出動要否情報との夫々をn(n≧2)個含む保全記録のうち、前記新規のアラーム情報との類似度が所定値以上の前記過去のアラーム情報を含む記録を検索する検索部と、
前記記録に含まれる前記出動要否情報を出力する出力部と
を備えたコンタクトセンター支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記記録に含まれる前記出動要否情報を、前記出動要否情報の内容に応じた色を付して画面に表示する表示処理部を更に備える、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記保全記録は、n個の対処情報を更に含み、
前記出力部は、前記記録に含まれる前記対処情報を更に出力する、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記過去のアラーム情報は、所定設備における複数の類似する異常な状態を示す情報である、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記対処情報は、前記所定設備に対して実行された複数の類似する対処内容の属性を示す情報である、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記表示処理部は、前記出動要否情報に対応する前記対処情報に属する前記対処内容の数に応じた順序で、前記出動要否情報を前記画面に表示させる、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記出動要否情報は、保全員が出動した回数と、前記保全員が出動しなかった回数と、に基づく情報である、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか1項に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記表示処理部は、前記類似度を前記画面に更に表示させる、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のコンタクトセンター支援装置であって、
前記類似度は、形態素解析された前記新規のアラーム情報と、前記過去のアラーム情報とに基づく類似度である、
コンタクトセンター支援装置。
【請求項10】
新規のアラーム情報を取得するステップと、
過去のアラーム情報と、出動要否情報との夫々をn(n≧2)個含む保全記録のうち、前記新規のアラーム情報との類似度が所定値以上の前記過去のアラーム情報を含む記録を検索するステップと、
前記記録に含まれる前記出動要否情報を出力するステップと
を含むコンタクトセンター支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトセンター支援装置及びコンタクトセンター支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトセンターで業務を行うオペレーターの対応を支援するための装置等が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術は、顧客からの想定される問い合わせや、それに応じた対処内容を予め設定しておく必要がある。そのため、このような技術では、特に経験の乏しいオペレーターは、顧客からの問い合わせが、予め設定された想定される問い合わせのいずれに相当するのかを判断することが困難な場合がある。そのような場合、オペレーターは、保全員の出動要否について適切な判断をすることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、顧客からの問い合わせを入力とし、保全員を出動させるか否かを判断するための情報を出力するコンタクトセンター支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための一の発明は、新規のアラーム情報を取得する取得部と、過去のアラーム情報と、出動要否情報との夫々をn(n≧2)個含む保全記録のうち、前記新規のアラーム情報との類似度が所定値以上の前記過去のアラーム情報を含む記録を検索する検索部と、前記記録に含まれる前記出動要否情報を出力する出力部とを備えたコンタクトセンター支援装置である。本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、顧客からの問い合わせを入力とし、保全員を出動するか否かを判断するための情報を出力するコンタクトセンター支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】コンタクトセンター支援システム1の構成を示す図である。
【
図2】コンタクトセンター支援装置10のハードウェアの一例を示す図である。
【
図3】コンタクトセンター支援装置10の機能ブロックを示す図である。
【
図7】保全記録40を生成するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図9】過去のアラーム情報を検索する処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図11】過去のアラーム情報を検索する処理の流れを説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
==実施形態==
<コンタクトセンター支援システム>
図1は、本実施形態のコンタクトセンター支援システム1の概略構成を示す図である。コンタクトセンター支援システム1は、所定の施設2に設置された所定の設備20について、顧客からコンタクトセンターに問い合わせがあった場合に、オペレーターの対応を補助するためのシステムである。
【0010】
ここで、「設備20」とは、その機能については特に限定されず、その製造業者、設置業者等からの顧客サポートの対象となる設備である。本実施形態では、施設2の例として、商業施設を用い、商業施設に設置された所定の設備20の一例として、ショーケースを用いて説明するが、他の例として、自動販売機、インバータ装置、電源装置等でもよい。
【0011】
また、「顧客」とは、施設2において、設備20を使用し、設備20に異常が発生した場合にコンタクトセンターに問い合わせを行う者である。顧客は、電話機21又はインターネットを介した手段で、コンタクトセンターに問い合わせを行うことができる。
【0012】
電話機21を介した手段においては、顧客は、例えば、PSTN等の公衆電話交換網及びPBX等の構内交換機を経由して、問い合わせを行う。このとき、顧客は、オペレーターに対して、口頭で問い合わせを行う。
【0013】
インターネットを介した手段においては、顧客は、例えば、設備20に接続されたネットワークを経由して、問い合わせを行う。このとき、例えば、異常の内容に応じた問い合わせ用の定型文が予め設備20に用意されており、顧客は、異常が発生したときの状況に応じた定型文をコンタクトセンターに送信することによって問い合わせを行う。または、顧客が作成した問い合わせのための文章を、電子メールでコンタクトセンターに送信することによって問い合わせを行ってもよい。
【0014】
コンタクトセンター支援システム1は、コンタクトセンター支援装置10と、電話機12と、担当者端末13とを備える。コンタクトセンター支援装置10と、担当者端末13とは、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWは、例えばインターネット等の公衆回線、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)等の専用回線等である。なお、電話機12と、担当者端末13との夫々の数は特に制限されない。
【0015】
[コンタクトセンター支援装置のハードウェア構成]
図2は、コンタクトセンター支援装置10のハードウェアの一例を示す図である。例示するコンタクトセンター支援装置10は、プロセッサ100、主記憶装置101、補助記憶装置102、入力装置103、出力装置104、及び通信装置105を備える。なお、例示するコンタクトセンター支援装置10は、その全部または一部が、例えば、クラウドシステムによって提供される仮想サーバのように、仮想化技術やプロセス空間分離技術等を用いて提供される仮想的な情報処理資源を用いて実現されるものであってもよい。また、コンタクトセンター支援装置10によって提供される機能の全部または一部は、例えば、クラウドシステムがAPI(Application Programming Interface)等を介して提供するサービスによって実現してもよい。また、コンタクトセンター支援システム1は、通信可能に接続された複数のコンタクトセンター支援装置10を用いて構成してもよい。
【0016】
同図において、プロセッサ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、AI(Artificial Intelligence)チップ等を用いて構成されている。
【0017】
主記憶装置101は、プログラムやデータを記憶する装置であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0018】
補助記憶装置102は、例えば、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、ストレージシステム、ICカード、SDカードや光学式記録媒体等の記録媒体の読取/書込装置、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置102には、記録媒体の読取装置や通信装置105を介してプログラムやデータを読み込むことができる。補助記憶装置102に格納(記憶)されているプログラムやデータは主記憶装置101に随時読み込まれる。
【0019】
補助記憶装置102には、コンタクトセンター支援システムの運用において用いられる一次保全記録30と、集約データ31と、保全記録40とが記憶されている。これらの詳細は後述する。
【0020】
入力装置103は、外部からの入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、ペン入力方式のタブレット、音声入力装置等である。
【0021】
出力装置104は、処理経過や処理結果等の各種情報を出力するインタフェースである。出力装置104は、例えば、上記の各種情報を可視化する表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、上記の各種情報を音声化する装置(音声出力装置(スピーカ等))、上記の各種情報を文字化する装置(印字装置等)である。
【0022】
入力装置103及び出力装置104は、ユーザとの間で情報の受け付けや情報の提示を行うユーザインタフェースを構成する。
【0023】
通信装置105は、他の装置との間の通信を実現する装置である。通信装置105は、インターネット等の通信ネットワークを介して他の装置との間の通信を実現する、有線方式または無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USBモジュール等である。コンタクトセンター支援装置10は、通信装置105を介して担当者端末13との間で情報の入力や出力を行う構成となっている。
【0024】
コンタクトセンター支援装置10には、例えば、オペレーティングシステム、ファイルシステム、DBMS(DataBase Management System)(リレーショナルデータベース、NoSQL等)、KVS(Key-Value Store)等が導入されていてもよい。
【0025】
コンタクトセンター支援システム1が備える各機能は、コンタクトセンター支援装置10のプロセッサ100が、主記憶装置101に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、もしくは、コンタクトセンター支援システム1を構成するハードウェア(FPGA、ASIC、AIチップ等)によって実現される。コンタクトセンター支援システム1は、前述した各種の情報(データ)を、例えば、データベースのテーブルやファイルシステムが管理するファイルとして記憶する。
【0026】
[コンタクトセンター支援装置の機能ブロック]
図3は、本実施形態のコンタクトセンター支援装置10の機能ブロックを示す図である。本実施形態のコンタクトセンター支援装置10には、プロセッサ100が所定のプログラムを実行することにより、第1取得部110と、集約部111と、生成部112と、第2取得部113と、検索部114と、出力部115と、表示処理部116とが実現される。
【0027】
第1取得部110は、オペレーターが顧客からの問い合わせに対する対応を終了する度に、オペレーターが入力した顧客に対する対応の記録を取得する。第1取得部110が取得することによって蓄積された複数の記録は、一次保全記録30として補助記憶装置に記憶される。
【0028】
図4は、一次保全記録30の例である。一次保全記録30は、複数(m個)の記録30aを含んでいる。複数の記録30aの夫々は、第1取得部110が、前述のオペレーターから取得した記録であり、過去の一次アラーム情報と、一次対処情報と、一次出動要否情報とを含む。
【0029】
過去の一次アラーム情報は、過去の顧客からの問い合わせにおける、問い合わせの内容である。
図4では、例えばNo.1の記録30aの過去の一次アラーム情報は、「ケースの排熱が店内に吹きこむ」といったテキスト情報である。
【0030】
一次対処情報は、過去の顧客からの問い合わせにおいて、オペレーターが顧客に回答した、設備20に対する対処の内容である。
図3では、例えばNo.1の記録30aの過去の一次対処情報は、「部品交換した」といったテキスト情報ある。
【0031】
集約部111は、一次保全記録30の、過去のアラーム一次情報と、一次対処情報とについて集約を行う。ここで、「集約」とは、一以上の類似する表現を、一つの表現にまとめて変更することを意味する。
【0032】
図5は、一次保全記録30を集約して生成された集約データ31の例である。集約データ31は、一次保全記録30の記録30aと同数(m個)の記録31aを含む。m個の記録31aの夫々は、過去のアラーム情報と、対処情報と、一次出動要否情報とを含む。
【0033】
集約データ31のNo.i(1≦i≦m)の記録31aは、集約により、一次保全記録30のNo.iの記録の表現を変更した記録である。具体的には、過去のアラーム情報は、集約により、アラーム一次情報の表現を変更した情報である。対処情報は、集約により、一次対処情報の表現を変更した情報である。
【0034】
例えば、一次保全記録30のNo.1~No.4の記録30aの過去の一次アラーム情報は全て、「ケースの排熱が店内に吹きこむ」といった表現に変更され、集約データのNo.1~No.4の記録31aの過去のアラーム情報となっている。また、一次保全記録30のNo.1~No.2の記録30aの一次対処情報は全て、「部品交換した」といった表現に変更され、集約データのNo.1~No.2の記録31aの過去のアラーム情報となっている。
【0035】
文章を集約する手段としては、例えば、文章が、予め登録されたキーワードを含む場合に集約するルールベースの手段を用いることができる。また、文章を集約する他の手段として、文章を集約した正解例を学習させた学習済みモデルを用いた機械学習の手段を用いることができる。また、集約する他の手段として、文章を形態素解析によってベクトルデータ化し、クラスタリングによって複数の文章を一つにまとめるクラスタリングの手段を用いることができる。
【0036】
図4の一次保全記録に戻り、一次出動要否情報は、過去の顧客からの問い合わせにおいて、保全員が所定の設備20へ出動を要したか不要であったかである。
図4では、出動を要した場合は「出動要」、出動を要しなかった場合は「出動不要」と表示されている。一次出動要否情報は、一次保全記録30と、
図5の集約データ31とにおいて共通である。
【0037】
生成部112は、集約データ31に基づき、保全記録40を生成する。
図6は、
図5の集約データに基づいて生成された保全記録40の例である。保全記録40は、複数(n個:n≦m)の記録40aを含んでいる。n個の記録40aの夫々は、過去のアラーム情報と、対処情報と、出動要否情報とを含む。以下では、生成部112が保全記録40を生成する手順について説明する。
【0038】
生成部112は、集約データ31の複数の記録31aのうち、過去のアラーム情報と、対処情報とが共に同じ表現である一以上の記録31aに基づいて、保全記録40の一の記録40aを生成する。保全記録40の一の記録40aの過去のアラーム情報と、対処情報とは夫々、元となった集約データ31の記録31aの、過去のアラーム情報と、対処情報と同じ表現である。
【0039】
例えば、保全記録40のNo.1の記録40aは、集約データ31のNo.1とNo.2の記録31aに基づいている。集約データ31のNo.1とNo.2の記録31aは、過去のアラーム情報が共に「ケースの排熱が店内に吹きこむ」であり、対処情報が共に「部品交換した」である。
【0040】
保全記録40の一の記録40aの出動要否情報は、元となった集約データ31の記録31aの、一次出動要否情報に基づいている。
図6の例における出動要否情報は、出動確率を意味する。ここでの「出動確率」とは、保全記録40の一の記録40aの元となった集約データ31の記録31aの数に対する、元となった集約データ31の記録31aのうち、一次出動要否情報が「出動要」である記録31aの数の割合を百分率で表現したものである。
【0041】
例えば、保全記録40のNo.1の記録40aの元となった集約データ31の記録31aの数は2である(No.1とNo.2の記録31a)。一方、保全記録40のNo.1の記録40aの元となった集約データ31の記録31aのうち、一次出動要否情報が「出動要」である記録31aの数は2である。そのため、保全記録40のNo.1の記録40aの出動要否情報(出動確率)は、100.0%となっている。
【0042】
図3の第2取得部113は、新規のアラーム情報を取得する。「新規のアラーム情報」とは、顧客がコンタクトセンターに問い合わせをしたときの、問い合わせの内容である。詳細は後述するが、第2取得部113は、オペレーターからの担当者端末13を介した入力により、新規のアラーム情報を取得する。
【0043】
検索部114は、過去のアラーム情報と、出動要否情報との夫々をn個含む保全記録40の記録40aのうち、新規のアラーム情報との類似度が所定値以上の過去のアラーム情報を含む記録40aを検索する。
【0044】
出力部115は、検索部114によって検索された記録40aのうち、少なくとも、記録40aに含まれる出動要否情報を出力する。なお、出力部115は、記録40aに含まれる過去のアラーム情報と、対処情報を更に出力してもよい。
【0045】
表示処理部116は、出力部115による出力の内容を説明する出力画面を生成し、担当者端末13の表示画面に表示する。詳細は後述するが、表示処理部116は、出力の内容を色分けして表示したり、出力の内容が複数ある場合には所定の順序で並べて表示したりする。
【0046】
[保全記録を生成する処理]
ところで、
図4の一次保全記録30に含まれる記録30aは、オペレーターが、顧客からの問い合わせに対する対応を終了する度に蓄積される。
【0047】
保全記録40は、一次保全記録30に基づいているため、コンタクトセンター支援装置10は、一次保全記録30に新たな記録30aが追加される度に新たな保全記録40を生成する(保全記録40を更新する)。以下では、新たな保全記録40を生成するまでの処理を説明する。
【0048】
図7は、コンタクトセンター支援装置10が保全記録40を生成するまでの処理の流れを説明するフローチャートである。
【0049】
新たな保全記録40を生成するまでの処理は、ステップS100~ステップS101と、ステップS200~ステップS202とを含んでいる。ステップS100~ステップS101は、オペレーターが実行する処理であり、ステップS200~ステップS202は、コンタクトセンター支援装置10が実行する処理である。
【0050】
先ず、ステップS100において、オペレーターは、顧客からの問い合わせに対する対応を終了する。ここで、「対応」とは、顧客からの問い合わせに対して、オペレーターが、対処内容と、保全員の出動要否とを判断した上で、顧客に対処内容を報告し、保全員の出動を要すると判断した場合には保全員を所定の施設2に出動させることを意味する。
【0051】
次いで、ステップS101において、オペレーターは、担当者端末13に表示された入力画面を介して、ステップS101における対応の記録を入力する。
図8は、本実施形態の入力画面50を説明する図である。オペレーターは、入力画面50を介して、ステップS100における対応の記録を入力する。入力画面50には、入力エリア50aと、入力エリア50bと、2つの選択エリア50cとが示されている。
【0052】
入力エリア50aは、ステップS100における対応の際の問い合わせの内容を入力するためのエリアである。オペレーターは、入力エリア50aに問い合わせの内容を入力する。
図8では、「ケースの排熱が店内に吹き込む」と入力された例を示している。
【0053】
なお、このとき、顧客がインターネットを介した手段によって問い合わせをし、設備20に予め用意された定型文を担当者端末13が受信した場合は、オペレーターはその定型文を入力すればよい。または、コンタクトセンター支援装置10は、受信した定型文を自動入力することとしてもよい。
【0054】
入力エリア50bは、ステップS100で終了した対処の内容を入力するためのエリアである。オペレーターは、入力エリア50bに対処の内容を入力する。
図8では、「部品交換した」と入力された例を示している。
【0055】
2つの選択エリア50cは、ステップS100で終了した対応において保全員の出動を要したか否かを選択するためのエリアである。この対応においては、保全員の出動を要しており、「出動要」を選択するための選択エリア50cが選択された例を示している。オペレーターは、以上の入力を完了すると、設定ボタン50dを選択する。
【0056】
次いで、ステップS200において、第1取得部110は、ステップS101で入力された記録を取得し、補助記憶装置102に既に記録されている一次保全記録30(「既存の一次保全記録」と呼ぶ)に追加する。ここで、新たに追加される記録40aの、過去の一次アラーム情報と、一次対処情報とは夫々、ステップS101において入力エリア50aと、入力エリア50bとに入力されたテキストデータである。また、一次出動要否情報は、選択エリア50cで選択された出動の要否である。
【0057】
図4に示した一次保全記録30は、ステップS200において第1取得部110が取得した新たな記録30aが追加された一次保全記録30の例である。この例において、新たに追加された記録30aが、No.1の記録として追加されている。No.2以降の記録は、既存の一次保全記録の記録30aに対応しており、No.1の記録が追加されたことによって番号が一つ繰り下げられている。
【0058】
次いで、ステップS201において、集約部111は、ステップS200において新たに追加された記録30aを含む一次保全記録30に基づいて、集約データ31を生成する。
【0059】
図5に示した集約データ31は、ステップS201において、
図4の一次保全記録30に基づいて生成した集約データの例である。
【0060】
次いで、ステップS202において、生成部112は、保全記録40を生成する。
図4に示した保全記録40は、ステップS202において生成された保全記録40の一例である。以上の処理により、保全記録40を生成する処理が完了する。
【0061】
[コンタクトセンター支援システムを運用する処理]
図9は、コンタクトセンター支援装置10を運用する処理の流れを説明するフローチャートである。コンタクトセンター支援装置10を運用する処理は、ステップS110~ステップS113と、ステップS210~ステップS213を含んでいる。
【0062】
ステップS110~ステップS113は、オペレーターが実行する処理であり、ステップS210~ステップS213は、コンタクトセンター支援装置10が実行する処理である。
【0063】
先ず、ステップS110において、オペレーターは、顧客からの問い合わせの内容を確認する。この例では、オペレーターは、電話機12による手段によって、顧客からの問い合わせを受けたとする。
【0064】
次いで、ステップS111において、オペレーターは、担当者端末13に表示された入力画面を介して、問い合わせの内容を入力する。
図10は、本実施形態の入力画面51を説明する図である。入力画面には、入力エリア51aが示されている。
【0065】
入力エリア51aは、ステップS110においてオペレーターが確認した問い合わせの内容を入力するためのエリアである。オペレーターは、入力エリア51aに問い合わせの内容を入力する。
図10では、「ショーケースの排熱が店に出ている」と入力された例を示している。オペレーターは、入力を完了したら選択ボタンを選択する。
【0066】
次いで、ステップS210において、第2取得部113は、ステップS111においてオペレーターが入力した文章を、新規のアラーム情報として取得する。
【0067】
次いで、ステップS211において、検索部114は、新規のアラーム情報との類似度が所定値以上の過去のアラーム情報を含む記録40aを、保全記録40から検索する。ここで、ステップS211において、コンタクトセンター支援装置10が記録40aを検索する処理について詳細に説明する。
【0068】
図11は、ステップS211の、過去のアラーム情報を検索する処理の流れを説明するフローチャートである。過去のアラーム情報を検索する処理は、ステップS230~ステップS235を含んでいる。
【0069】
先ず、ステップS230において、検索部114は、ステップS210で取得した新規のアラーム情報について、形態素解析を行う。
【0070】
次いで、ステップS231において、検索部114は、ステップS230の形態素解析に基づいて、新規のアラーム情報をベクトルデータに変換する。
【0071】
次いで、ステップS232~ステップS235において、検索部114は、新規のアラーム情報と、保全記録40に含まれる複数の過去のアラーム情報の夫々との類似度を算出する。
【0072】
類似度の算出方法は特に限定されないが、本実施形態で用いる類似度は、形態素解析された新規のアラーム情報と、過去のアラーム情報とに基づく類似度である。具体的には、本実施形態で用いる類似度は、形態素解析による新規のアラーム情報と、過去のアラーム情報との夫々のベクトルデータの余弦類似度である。余弦類似度は0以上1以下の数値で示され、余弦類似度が1に近くなるほど、類似度が高いと評価される。
【0073】
なお、この時点において、コンタクトセンター支援装置10は、保全記録40に含まれる複数の記録40aの夫々の過去のアラーム情報について、既に形態素解析を実行しており、形態素解析ベクトルデータを既に記憶していてもよい。
【0074】
次いで、ステップS232において、検索部114は、新規のアラーム情報と、一の記録40aについての過去のアラーム情報との類似度を算出する。
【0075】
次いで、ステップS233において、検索部114は、ステップS232で算出された類似度が所定値以上であれば(ステップS233:Y)、ステップS234に進み、ステップS232で解析された記録40aを抽出する。その後、コンタクトセンター支援装置10は、他の記録40aについて解析を続ける。
【0076】
一方、ステップS232において、検索部114は、類似度が所定値以上でなければ(ステップS233:N)、他の記録40aについて解析を続ける。
【0077】
検索部114は、以上のステップS232~ステップS235の処理を、全ての記録40aに対して繰り返す。この例では、保全記録40から、No.1~6の記録40aが抽出されたとして説明する。
【0078】
図9のフローチャートに戻り、ステップS212において、出力部115は、ステップS212で保全記録40から検索された記録40aの夫々の、出動要否情報を出力する。
【0079】
次いで、ステップS213において、表示処理部116は、ステップS212で出力された記録40aの夫々の、出動要否情報等を説明する出力画面を生成し、担当者端末13の画面に表示する。
【0080】
図12は、表示処理部116によって生成された本実施形態の出力画面52を説明する図である。出力画面52には、入力画面51に対して更に、アラーム情報52aと、対処情報52bと、出動確率52cとが示されている。出力画面52は、保全記録40から抽出されたNo.1~6の記録40aに基づいて生成されている。アラーム情報52a、対処情報52b及び出動確率52cは夫々、保全記録40の過去のアラーム情報、対処情報及び出動要否情報に対応している。
【0081】
出力画面52において、アラーム情報52aと、対処情報52bとは、階層化され、アラーム情報52aが上位の階層に示されている。
【0082】
出力画面52において、アラーム情報52aと共に、ステップS232で算出された類似度が示されている。このように、表示処理部116は、ステップS232で算出された類似度を画面に更に表示させてもよい。
【0083】
出力画面52には、更に、出動確率52cの数値に応じた色表示52dが付されている。表示処理部116は、このように、検索された記録40aに含まれる出動要否情報を、出動要否情報の内容に応じた色を付して画面に表示してもよい。
【0084】
次いで、ステップS112において、オペレーターは、出力画面52を参照して、保全員の出動要否等を判断する。以下では、オペレーターの判断の2つの例(判断例1及び判断例2)について説明する。
【0085】
・判断例1
オペレーターが入力エリア51aに入力した新規のアラーム情報「ショーケースの排熱が店に出ている」は、表示されたアラーム情報52aのうち、「ケースの排熱が店内に吹き込む」との類似度が0.85で最も高い。これによって、オペレーターは、「ケースの排熱が店内に吹き込む」に対応する内容の異常が、設備20で発生している可能性が高いと判断することができる。
【0086】
更に、オペレーターは、「ケースの排熱が店内に吹き込む」の下層に示された対処情報52bである「部品交換した」又は「配管工事」に対応する対処方法が顧客への提案の候補であると判断できる。
【0087】
更に、「部品交換した」に対応する対処方法を実行するための出動確率は、100%であることから、この対処方法を実行するにはほぼ確実に保全員の出動を要すると判断できる。また、「配管工事」に対応する対処方法を実行するための出動確率も、100%であることから、この対処方法を実行するにはほぼ確実に保全員の出動を要すると判断できる。
【0088】
つまり、オペレーターは、いずれの対処方法にしても、ほぼ確実に保全員の出動を要すると判断できる。以上が判断例1である。
【0089】
・判断例2
オペレーターが入力エリアに入力した新規のアラーム情報「ショーケースの排熱が店に出ている」は、表示されたアラーム情報52aのうち、「ケースの下から漏水」との類似度は0.55である。上述の判断例1に比べれば低いものの、「ケースの下から漏水」に対応する内容の異常が、施設2で発生している可能性もあると判断できる。
【0090】
更に、オペレーターは、「ケースの下から漏水」の下層に示された対処情報52bである「ケース不具合のため修理依頼」又は「ケーブル抜けのため差し直し」に対応する対処方法が顧客への提案の候補であると判断できる。
【0091】
更に、「ケース不具合のため修理依頼」に対応する対処方法を実行するための出動確率は、100%であることから、この対処を実行するにはほぼ確実に保全員の出動を要すると判断することができる。一方、「ケーブル抜けのため差し直し」に対応する対処方法を実行するための出動確率は、50%であることから、この対処を実行するには、必ずしも保全員の出動を要しないと判断できる。
【0092】
例えば、ステップS112においてオペレーターが判断している時間帯に、保全員の手配が困難である場合がある。このような場合、オペレーターは、上記の判断に基づいて、先ずは顧客自身による「ケーブル抜けのため差し直し」に対応する対処方法が提案の候補になると判断できる。以上が判断例2である。
【0093】
次いで、ステップS113において、ステップS112の判断に基づいて、顧客からの問い合わせに対する回答をすることができる。以上が、コンタクトセンター支援システム1を運用する処理である。
【0094】
==変形例1==
上記実施形態では、表示処理部116は、検索された記録40aに含まれる出動要否情報を、出動要否情報の内容に応じた色を付して画面に表示することとした。コンタクトセンター支援装置10は、この出動要否情報の内容に応じた色の設定を変更可能としてもよい。
【0095】
図13は、色の設定のための入力画面53を説明する図である。コンタクトセンター支援装置10は、例えば、上述の保全記録40を生成する処理の任意の段階で、色の設定のための入力画面53を表示してもよい。この例では、出動確率に応じて、赤、黄及び青の3色のいずれかを、出動確率に付して表示することができる。
【0096】
入力画面53には3個の入力エリア53aと、3個の入力エリア53bとが表示されている。入力エリア53aは、夫々の色を付す出動確率の下限を設定するための入力エリアであり、入力エリア53bは、夫々の色を付す出動確率の上限を設定するための入力エリアである。この例では、出動確率が、90.0%~100.0%の範囲は赤、10.0%~90.0%の範囲は黄、0.0%~10.0%の範囲は黄で表示されるよう、夫々の入力エリア53a及び53bに出動確率の範囲が入力されている。
【0097】
なお、入力画面53は、この例に限らず、赤、黄及び青以外の組み合わせの色を用いて設定することができるとしてもよい。または、入力画面53は、3色よりも多い種類の色を用いて設定することができるとしてもよい。
【0098】
==変形例2==
上記実施形態において、
図12の出力画面52では、出動確率が高い記録40aほど、上に表示されているが、この例に限られるものではない。
【0099】
出力画面52に表示された出動確率52cの夫々は、保全記録40に含まれる一の記録40aに基づいている。保全記録40に含まれる一の記録40aは、一次保全記録30に含まれる一以上の記録30aに基づいている。つまり、出力画面52に表示された出動確率52cの夫々は、一次保全記録30に含まれる一以上の記録30aに基づいている。
【0100】
従って、出動確率が例えば50.0%である場合、100個の記録30aに基づいて出動確率が50.0%である場合と、4個の記録30aに基づいて出動確率が50.0%である場合とを比べると、前者の方が後者よりも信頼性が高い。つまり、出動確率は、多数の記録30aに基づくものであるほど信頼性は高い。
【0101】
このことから、多数の記録30aに基づく出動確率52cほど、上に表示させてもよい。つまり、表示処理部116は、出動要否情報に対応する対処情報に属する対処内容の数に応じた順序で、出動要否情報を画面に表示させてもよい。
【0102】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0103】
===まとめ===
以上、本実施形態のコンタクトセンター支援システム1について説明した。かかる実施形態によれば、コンタクトセンターのオペレーターが、施設2に設置された設備20を管理する顧客からの問い合わせを受けた場合に、オペレーターが新規のアラーム情報を入力すると、コンタクトセンター支援装置10は保全員の出動要否情報を出力する。これによって、例えば設備20に関して知識が乏しいオペレーターや、コンタクトセンターの業務経験が乏しいオペレーターであっても、容易に保全員の出動要否を判断することができる。
【0104】
また、かかる実施形態によれば、記録40aに含まれる出動要否情報を、出動要否情報の内容に応じた色を付して画面に表示する表示処理部116を更に備える。これによって、オペレーターは、保全員の出動要否を迅速に判断することができる。
【0105】
また、かかる実施形態によれば、保全記録40は、n個の対処情報を更に含み、出力部115は、記録に含まれる対処情報を更に出力する。これによって、オペレーターは、顧客に提案すべき対処内容を判断することができる。
【0106】
また、かかる実施形態によれば、過去のアラーム情報は、所定の設備20における複数の類似する異常な状態を示す情報である。これによって、出力結果に反映される過去のアラーム情報の数が増えるため、出力結果の信頼性が高くなる。
【0107】
また、かかる実施形態によれば、対処情報は、所定の設備20に対して実行された複数の類似する対処内容の属性を示す情報である。これによって、対処情報毎の出動要否情報が算出されるため、出動要否情報の信頼性が向上する。
【0108】
また、かかる実施形態によれば、表示処理部116は、出動要否情報に対応する対処情報に属する対処内容の数に応じた順序で、出動要否情報を画面に表示させる。これによって、出動要否情報が、信頼性に応じた順番で表示されるので、オペレーターは、信頼性の高い判断を行いやすくなる。
【0109】
また、かかる実施形態によれば、出動要否情報は、保全員が出動した回数と、保全員が出動しなかった回数と、に基づく情報である。これによって、出動要否情報は、保全員が出動した頻度に基づくため、出動要否情報が直感的でわかりやすくなる。
【0110】
また、かかる実施形態によれば、表示処理部116は、類似度を画面に更に表示させる。これによって、新規のアラーム情報と類似度の高い過去のアラーム情報を容易に理解することができ、オペレーターの判断の信頼性が向上する。
【0111】
また、かかる実施形態によれば、類似度は、形態素解析された新規のアラーム情報と、過去のアラーム情報とに基づく類似度である。これによって、類似度の精度が高くなり、出力結果の信頼性が高くなる。
【符号の説明】
【0112】
1:コンタクトセンター支援システム
10:コンタクトセンター支援装置
100:プロセッサ
101:主記憶装置
102:補助記憶装置
103:入力装置
104:出力装置
105:通信装置
110:第1取得部
111:集約部
112:生成部
113:第2取得部
114:検索部
115:出力部
116:表示処理部
12:電話機
13:担当者端末
2:施設
20:設備
21:電話機
30:一次保全記録
30a:記録
30:一次保全記録
31a:記録
40:保全記録
40a:記録