(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135093
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】無線通信装置、無線通信プログラム、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/10 20180101AFI20220908BHJP
H04W 40/20 20090101ALI20220908BHJP
H04W 40/12 20090101ALI20220908BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20220908BHJP
【FI】
H04W76/10 110
H04W40/20
H04W40/12
H04W84/18
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034687
(22)【出願日】2021-03-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成28年度国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/未来を創る新たなネットワーク基盤技術に関する研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願)
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】濱上 卓磨
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA28
5K067EE02
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】 ノードの位置情報、通信路環境、及びネットワークトポロジを複合的に考慮してフラッディング制御を行うことができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置において、位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、自身と親ノード間のリンク品質に基づく前記優先度を取得するリンク品質判定手段と、ネットワークトポロジに基づく前記優先度を取得するトポロジ判定手段と、前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を総合的に判断して、自ノードのブロードキャストの最終的な優先度を決定するフラッディング制御手段とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置において、
位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、
自身と親ノード間のリンク品質に基づく前記優先度を取得するリンク品質判定手段と、
ネットワークトポロジに基づく前記優先度を取得するトポロジ判定手段と、
前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を総合的に判断して、自ノードのブロードキャストの最終的な優先度を決定するフラッディング制御手段と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
優先度に応じて最大バックオフ時間を与えるバックオフ時間テーブルをさらに有し、
前記フラッディング制御手段は、前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度の合計値を前記バックオフ時間テーブルに与え、前記合計値に対する前記最大バックオフ時間を取得し、取得した前記最大バックオフ時間を基に、前記制御パケットの送信時刻を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記位置判定手段が取得する前記優先度は、他のノードから取得した前記制御パケットに含まれる前記位置情報により計算された指標に基づくものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記リンク品質判定手段は、前記制御パケット受信時の受信信号強度に基づいて、前記優先度を取得することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記トポロジ判定手段は、前記ネットワークトポロジの自身に属する下位のノード数に基づいて、前記優先度を取得することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置に搭載されるコンピュータを、
位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、
自身と親ノード間のリンク品質に基づく前記優先度を取得するリンク品質判定手段と、
ネットワークトポロジに基づく前記優先度を取得するトポロジ判定手段と、
前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を総合的に判断して、自ノードのブロードキャストの最終的な優先度を決定するフラッディング制御手段と
して機能させることを特徴とする無線通信プログラム。
【請求項7】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする基地局において、
ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、
前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段と
を有することを特徴とする基地局。
【請求項8】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする基地局に搭載されるコンピュータを、
ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、
前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段と
して機能させることを特徴とする基地通信プログラム。
【請求項9】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線通信装置及び基地局を有する無線通信システムにおいて、
前記無線通信装置として請求項1~5のいずれかに記載の無線通信装置を適用し、前記基地局として請求項6に記載の基地局を適用したことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信プログラム、基地局、基地通信プログラム、及び無線通信システムに関し、例えば、無線マルチホップセンサネットワークに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムとして、基地局と移動局(以下、「ノード」と呼ぶ)で構成され、ノードが定期的に基地局にデータを送信するセンサネットワークシステムが知られている。
【0003】
センサネットワークシステムに特定小電力無線方式などに代表される低速な無線通信方式を適用する場合、使用する周波数帯の特性や送信出力の制限により通信距離が十分に確保できない場合がある。そのため、一つの基地局で管理されるエリア内のすべてのノードが、基地局と直接通信できるとは限らない。
【0004】
そこで、このような無線通信システムでは、ノードは自身と直接通信可能なエリア内にいるノード(以下、「隣接ノード」も呼ぶ)にデータを伝送し、さらに、そのデータを受信したノードが隣接ノードにデータを伝送するというマルチホップ通信でデータ伝送が行われる。以下、マルチホップ無線通信が採用されたネットワークシステムを「マルチホップ無線通信システム」と呼ぶものとする。
【0005】
マルチホップ無線通信システムを採用しているセンサネットワークでは、ネットワークに参加するノード間または基地局とノード間の制御パケットの通信を介して、データ送信経路の構築(ルーティング)が行われる。この制御パケットの通信方式の一つにフラッディング方式が存在する。
【0006】
フラッディング方式は、各ノードが受信した制御パケットの再ブロードキャストを繰り返すことでネットワーク全体に制御パケットを行き渡らせる方法である。ただし、フラッディング方式では、全ノードが制御パケットの再ブロードキャストを行うため、パケットの衝突や輻輳が起こりやすい問題がある。
【0007】
そこで、高効率に制御パケットをネットワークに行き渡らせるフラッディング方式が求められている。例えば、特許文献1に記載の技術では、各ノードの位置情報と、位置情報から得られる距離情報とを用いて、冗長なパケット送信を削減する方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の方式(技術)は、位置情報のみを用いており、実際の通信路品質を考慮していない。
【0010】
例えば、ネットワークトポロジを鑑みてブロードキャストに適する場所に位置するノードであっても、通信路品質が悪いノードがブロードキャストした場合、その制御パケットが隣接ノードまで到達しない可能性がある。このような環境下においては、特許文献1に記載の技術は有用ではない。
【0011】
以下では、マルチホップ通信において、データパケットの送信先ノードを「親ノード」、送信元ノードを「子ノード」と呼び、さらに、その子ノードを「孫ノード」、子ノード以下を総称して「下位ノード」と呼ぶものとする。
【0012】
ここで、子ノードを保持するノードが、制御パケットを送信しない場合、その子ノード、及びその子ノードに接続する下位ノードは親ノードを失うことになるのでデータパケットの送信に失敗することになる。
【0013】
さらに、制御パケットを送信する期間が限られている場合、すべてのノードが制御パケットを送信できるとは限らない。
【0014】
このような場合に、重要度が低いノード又は通信に失敗しやすいノードが制御パケットを送信することは、制御パケットがネットワークに行き渡らない原因となり、結果、制御パケットを受信できない孤立ノードを発生させる。
【0015】
一方、通信路環境やネットワークトポロジのみを考慮したフラッディングでは、位置的に優れるノード、即ち自身が制御パケットをブロードキャストすることで多くのノードに制御パケットを行き渡らせることができるノードが制御パケットを送信しなくなる可能性がある。
【0016】
このような場合も制御パケットがネットワークに行き渡らない原因となり、結果、孤立ノードを発生させる。
【0017】
これらにより、位置情報、通信路環境、ネットワークトポロジのいずれかのみを考量してフラッディングを行った場合、ネットワークの品質を低下させることが分かる。
【0018】
以上のような問題に鑑みて、ノードの位置情報、通信路環境、及びネットワークトポロジを複合的に考慮してフラッディング制御を行うことができる無線通信装置、無線通信プログラム、基地局、基地通信プログラム、及び無線通信システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の本発明は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置において、(1)位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、(2)自身と親ノード間のリンク品質に基づく前記優先度を取得するリンク品質判定手段と、(3)ネットワークトポロジに基づく前記優先度を取得するトポロジ判定手段と、(4)前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を総合的に判断して、自ノードのブロードキャストの最終的な優先度を決定するフラッディング制御手段とを有することを特徴とする。
【0020】
第2の本発明の無線通信プログラムは、(1)制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置に搭載されるコンピュータを、(2)位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、(3)自身と親ノード間のリンク品質に基づく前記優先度を取得するリンク品質判定手段と、(4)ネットワークトポロジに基づく前記優先度を取得するトポロジ判定手段と、(5)前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を総合的に判断して、自ノードのブロードキャストの最終的な優先度を決定するフラッディング制御手段として機能させることを特徴とする。
【0021】
第3の本発明は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする基地局において、(1)ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、(2)前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段とを有することを特徴とする。
【0022】
第4の本発明の基地通信プログラムは、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする基地局に搭載されるコンピュータを、(1)ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、(2)前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
第5の本発明は、マルチホップネットワークを構成する複数の無線通信装置及び基地局を有する無線通信システムにおいて、前記無線通信装置として第1の本発明の無線通信装置を適用し、前記基地局として第3の本発明の基地局を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ノードの位置情報、通信路環境、及びネットワークトポロジを複合的に考慮してフラッディング制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る基地局の機能的構成について示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る基地局の機能的構成について示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係るスーパーフレーム構成の一例を示す説明図である。
【
図4】実施形態に下り通信期間の一例を示す説明図である。
【
図5】実施形態に係る無線通信システム(ネットワークトポロジ)の一例を示す全体構成図である。
【
図6】実施形態に係る優先度ポイントテーブルの一例を示す説明図である。
【
図7】実施形態に係るリンク品質判定テーブルの一例を示す説明図である。
【
図8】実施形態に係るトポロジ判定テーブルの一例を示す説明図である。
【
図9】実施形態に係るバックオフ時間テーブルの一例を示す説明図である。
【
図10】実施形態に係る基地局の特徴動作(フラッディング制御)を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態に係る無線通信装置の特徴動作(フラッディング制御)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による無線通信装置、無線通信プログラム、基地局、基地通信プログラム、及び無線通信システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0027】
(A-1)実施形態の構成
この実施形態では、後述する基地局10と複数の無線通信装置20とにより無線通信システム(例えば、後述する
図5の無線通信システム1)が形成される。以下、無線通信システム(マルチホップ無線ネットワーク)を構成する各装置について述べる。
【0028】
(A-1-1)基地局10の詳細な構成
図1は、実施形態に係る基地局の機能的構成について示すブロック図である。
【0029】
図1に示すように、基地局10は、アンテナ101、無線信号送受信部102、データ処理部103、フラッディング制御部104、位置情報記録105。優先度ポイントテーブル106、及びパケット生成部107を有している。また、基地局10は、外部システム30に接続されている。
【0030】
基地局10は、ハードウェア的な無線通信インタフェース(例えば、アンテナ101等)を除く他は、コンピュータにプログラムをインストールすることにより実現するようにしても良く、その場合でも機能的構成は、
図1のように示すことができる。
【0031】
アンテナ101は、各ノード(無線通信装置20)と基地局10間の無線信号の送受信を行う。
【0032】
無線信号送受信部102は、アンテナ101を用いて無線信号を送受信する処理を行う。具体的には、無線信号送受信部102はアンテナ101で受信した信号の復調とその信号に含まれるパケットの受信を行う。無線信号送受信部102は、受信したパケットに含まれるデータをデータ処理部103に与える。また、無線信号送受信部102は、パケット生成部107から送られてきたパケットを変調して無線信号に変換し、アンテナ101を用いて当該無線信号の送信を開始する。
【0033】
また、無線信号送受信部102は、RSSI測定部Mを備える。RSSI測定部Mは、パケット受信時の受信電界強度(RSSI)を測定するものである。なお、測定したRSSIは、受信したパケットに含まれるデータと共に、データ処理部103に与えられる。
【0034】
データ処理部103は、無線信号送受信部102で受信したパケット(受信した無線信号を復調して得られたパケット)を処理する。データ処理部103は、無線信号送受信部102で得られたパケットの種類を判別する処理を行う。データ処理部103は、受信したパケットが制御パケットである場合には、制御パケットに含まれるフラッディング制御に必要な情報はフラッディング制御部104に、一方、制御パケットに含まれる位置情報は位置情報記録105に与える。
【0035】
そして、データ処理部103は、受信したパケットのデータが、外部システム30に供給するデータ(例えば、各ノードからのセンシングデータ)である場合には、当該データを外部システム30に与える。外部システム30とは、フラッディング制御に関係のない機能の集合であり、例えば、例えばPCやその他の無線通信機能を担うものである。
【0036】
位置情報記録105は、データ処理部103から送られてきた各ノードの位置情報を記録しておき、必要に応じて位置情報をフラッディング制御部104に与える。
【0037】
フラッディング制御部104は、位置情報記録105から送られてきた各ノードの位置情報を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定する。
【0038】
また、フラッディング制御部104は、決定した優先度を優先度ポイントテーブル106に与え、優先度ポイントテーブル106から優先度に応じた結果の数値を受け取る。そして、フラッディング制御部104は、受け取った数値をパケット生成部に与える。
【0039】
パケット生成部107は、フラッディング制御部104から送られてきた情報と外部システム30から送られてきた情報のパケット化を行い、無線信号送受信部102に生成したパケットを与える。
【0040】
(A-1-2)無線通信装置20の詳細な構成
図2は、実施形態に係る基地局の機能的構成について示すブロック図である。
【0041】
図2において、無線通信装置20は、アンテナ101、無線信号送受信部102、データ処理部103、フラッディング制御部204、リンク品質判定部205、トポロジ判定部206、バックオフ時間テーブル207、及びパケット生成部108を有する。また、無線通信装置20は、外部システム30に接続されている。なお、
図2中のアンテナ101、無線信号送受信部102、データ処理部103、及びパケット生成部108は、上述の
図1の各構成部の機能と同様のため説明を省略する。
【0042】
無線通信装置20は、ハードウェア的な無線通信インタフェース(例えば、アンテナ101等)を除く他は、コンピュータにプログラムをインストールすることにより実現するようにしても良く、その場合でも機能的構成は、
図3のように示すことができる。
【0043】
リンク品質判定部205は、ノードとその親ノードとのリンク品質を基にブロードキャストの優先度を決定し、その結果をフラッディング制御部204に与える。
【0044】
トポロジ判定部206は、ノードとその下位ノードとの接続情報を基にブロードキャストの優先度を決定し、その結果をフラッディング制御部204に与える。
【0045】
フラッディング制御部204は、受信した制御パケットに含まれる位置情報に関する優先度の情報、リンク品質及びトポロジに関する優先度の情報を総合的に考慮することで、自ノードのフラッディングの優先度を決定し、決定した優先度をバックオフ時間テーブル207に与える。
【0046】
フラッディング制御部204は、バックオフ時間テーブル207から得られたバックオフ時間を最大としてランダムなバックオフ時間だけ待機した後、パケット生成部208に制御パケット送信依頼を送る。
【0047】
バックオフ時間テーブル207は、優先度に対応するバックオフ時間のテーブルを保持しており、フラッディング制御部204から優先度を通知されると対応するバックオフ時間を返信するものである。ここで、バックオフ時間とはフラッディング制御部204からパケット生成部208への情報伝達の際の待ち時間を意味する。
【0048】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するこの実施形態の無線通信システム1の動作を説明する。
【0049】
(A-2-1)マルチホップ無線ネットワークの概要
まず、本実施形態の無線通信システム1(マルチホップ無線ネットワーク)の前提について述べる。
【0050】
無線通信システム1では、基地局10の管理するエリアのサイズ、データの送信周期による制約などの条件により、マルチホップの最大回数が予め定められているものとする。
【0051】
説明を簡易とするため、無線通信システム1では、ネットワークに参加するノードそれぞれが親ノードを決定するための通信期間と、親ノード宛にデータパケットを送信しマルチホップ通信で基地局10までデータを伝送するための通信期間からなるものとする。以下では、前者の通信期間を「下り通信期間」と呼び、後者の通信期間を「上り通信期間」と呼ぶものとする。
【0052】
また、無線通信システム1では、各ノードは、
図3に示すスーパーフレーム構成を採用しているものとする。
図3において、スーパーフレーム50は、下り通信期間と上り通信期間からなるものとする。
【0053】
下り通信期間では、基地局10が起点(トリガ)となって、フラッディングを行い、全ノードへの制御パケットの通知を試みる。以下、このフラッディングについて述べる。
【0054】
説明を簡易とするため、下り通信期間は、
図4に示す通りスロット化されているものとする。
図4において、スロットS1は基地局10が制御パケットを送信する時間、スロットS2は1ホップノードが制御パケットを送信する時間、スロットS3は、2ホップノードが制御パケットを送信する時間を示している。各スロットの期間は、限られており、そのスロットに所属するすべてのノードが制御パケットを送信できるとは限らない。
図4において、最大ホップ数はKホップとしている。
【0055】
また、下り通信期間おける多重アクセス方式はCSMA(Career Sense Multiple Access)を採用するものとする。一方、上り通信期間の通信方式は問わない。例えば、多重アクセス方式としてTDMA(Time Division Multiple Access)を採用しても良い。
【0056】
上り通信期間において、各ノードは、自身の位置情報をデータパケットに載せることとし、基地局10は、そのデータパケットを受信することで各ノードの位置を知る。なお、位置情報は、種々様々なものを適用できるが、例えばGPS(Global Positioning System)を用いても良い。
【0057】
(A-2-2)特徴動作(フラッディング方式)の詳細
図5は、実施形態に係る無線通信システム(ネットワークトポロジ)の一例を示す全体構成図である。以下、
図5のネットワーク構成を例に挙げて、本実施形態の特徴動作(フラッディング方式)を説明する。
【0058】
図5の無線通信システム1では、基地局10(
図5中の「BS」は基地局を示している)と、8台の無線通信装置20(20-A~20-B)とが配置されているものとする。
【0059】
また、
図5の無線通信システム1において、最大ホップ数は3ホップである。各ノード間を結ぶ直線は前のスーパーフレームにおいて直線の両端のノードが親ノードと子ノードとして接続状態の関係にあることを表し、破線は通信可能範囲内ではあるが、前のスーパーフレームにおいては通信できなかった(孤立ノード)であったことを表すものである。
【0060】
また、線横の数値は、各ノードのRSSI測定部Mで測定した受信信号強度である。
【0061】
スーパーフレーム50を開始すると下り通信期間のスロットS1の時間に基地局10は、制御パケットをブロードキャストする。まず、この際の基地局10のフラッディング制御を説明する。
【0062】
(A-2-2-1)基地局10のフラッディング制御
図10は、実施形態に係る基地局の特徴動作(フラッディング制御)を示すフローチャートである。
【0063】
<S101>
基地局10のフラッディング制御部104は、位置情報記録105からネットワークに参加するすべてのノードの位置情報を受け取る。この位置情報は、前のスーパーフレーム50の上り通信期間において得られた各ノードの位置情報である。
【0064】
<S102>
基地局10のフラッディング制御部104は、上記位置情報を基に各ノードのブロードキャストの優先度を決定する。基地局10は、より広範囲にマルチホップで制御パケットを到達させるため、基地局からより遠い位置にあるノードから順に優先度を付ける。
【0065】
例えば、
図6では、1ホップノードの集合(無線通信装置20-E、無線通信装置20-G、無線通信装置20-H)において、優先度は高いものから順に、無線通信装置20-E、無線通信装置20-G、無線通信装置20-Hとなる。また、2ホップノードの集合(無線通信装置20-B、無線通信装置20-D、無線通信装置20-F)において、優先度は高いものから順に、無線通信装置20-B、無線通信装置20-D、無線通信装置20-Fとなる。
【0066】
<S103>
フラッディング制御部104は、上記手順により得られた優先度を優先度ポイントテーブル106に与える。
【0067】
図6は、実施形態に係る優先度ポイントテーブルの一例を示す説明図である。
【0068】
優先度ポイントテーブル106は、優先度(距離)に対応する数値(優先度メトリック)のテーブルを保持しており、フラッディング制御部104から得た優先度に対して、対応する優先度メトリックを返す。以下、優先度メトリックを単純にメトリックと呼ぶ。
【0069】
ここでは1ホップノードの集合(無線通信装置20-E、無線通信装置20-G、無線通信装置20-H)のメトリックはそれぞれ(3、2、1)となる。また、2ホップノードの集合(無線通信装置20-B、無線通信装置20-D、無線通信装置20-F)のメトリックはそれぞれ(3、2、1)となる。
【0070】
<S104>
フラッディング制御部104は、上記手順により得られた位置情報に関するメトリックをパケット生成部107に与え、無線信号送受信部102を介して制御パケットの送信を行う。
【0071】
(A-2-2-2)無線通信装置20のフラッディング動作
次に、無線通信装置20のフラッディング動作を、1ホップノードである無線通信装置20-Eを例に挙げて説明する。
図11は、実施形態に係る無線通信装置の特徴動作(フラッディング制御)を示すフローチャートである。
【0072】
<S201>
無線通信装置20-Eのフラッディング制御部204は、基地局10から受信した制御パケットに記載されている情報から自身の位置情報に関するメトリックが3であることを認識する。
【0073】
<S202>
次に、フラッディング制御部204は、基地局10から受信した制御パケット受信時のRSSIの値(-90dBm)をリンク品質判定部205に与える。
【0074】
図7は、実施形態に係るリンク品質判定テーブルの一例を示す説明図である。
【0075】
図7のリンク品質判定テーブルTでは、RSSIに対するメトリックが対比付けられている。この対比ではRSSIが高いほど上り通信時において通信に成功する確率が高くリンク品質が良いと考える。
【0076】
無線通信装置20-Eのリンク品質判定部205では、リンク品質判定テーブルTに従い、リンク品質(-90dBm)に対するメトリックとして1をフラッディング制御部204に返信する。
【0077】
<S203>
さらに、フラッディング制御部204は、前のスーパーフレーム50における自身の下位ノードの個数(
図5より2)をトポロジ判定部206に与える。
【0078】
図8は、実施形態に係るトポロジ判定テーブルの一例を示す説明図である。
図8のトポロジ判定テーブルIでは、接続する下位ノード数に対するメトリックが対比付けられている。この対比では下位ノードを多く保持しているほど、そのノードの存在価値が高い(そのノードがいなくなると孤立化するノードが増える可能性がある)と考える。
【0079】
無線通信装置20-Eのトポロジ判定部206では、トポロジ判定テーブルIに従い、トポロジ(下位ノード数2)に対するメトリックとして3をフラッディング制御部204に返信する。
【0080】
<S204>
以上により、無線通信装置20-Eのトポロジ判定部206は、位置情報のメトリックと、リンク品質のメトリックと、トポロジのメトリックとを知り、その合計値として「7」を得る。そして、フラッディング制御部204は、得られたメトリック合計値をバックオフ時間テーブル207に与える。
【0081】
図9は、実施形態に係るバックオフ時間テーブルの一例を示す説明図である。
図9のバックオフ時間テーブル207では、メトリック値に対するパケット送信のバックオフ時間の最大値が記載されている。
【0082】
無線通信装置20-Eのバックオフ時間テーブル207は、メトリックに対するバックオフ時間の最大値として20msecをフラッディング制御部204に返信する。即ち、フラッディング制御部204は、最大バックオフ時間(20msec)を取得する。
【0083】
<S205>
フラッディング制御部204は、取得した最大バックオフ時間以内の時間でランダムにバックオフ時間を生成し、その時間分だけ待機した後にパケット生成部208に制御パケットのブロードキャストを指示する。
【0084】
さらに、例えばキャリアセンスビジー等のために、制御パケットのブロードキャストに失敗した場合には、無線通信装置20-Eは、
図4のスロットS2の期間が許す限り制御パケットの再送を試みる。この際、フラッディング制御部204は、再送の必要性を確認すると、先の方法で得られた最大バックオフ時間以内の時間で改めてランダムにバックオフ時間を生成し、同様にその時間分だけ待機した後に制御パケットの再ブロードキャストを試みる。
【0085】
無線通信システム1に参加するすべてのノードがこの手続きを行うことで、すべてのノードが自身のバックオフ時間を知り、それに伴って制御パケットのブロードキャストを行う。
図6のネットワークに参加するすべてのノードの最大バックオフ時間はそれぞれ、1ホップ集合(無線通信装置20-E=20msec、無線通信装置20-G=25msec、無線通信装置20-H=35msec)、2ホップ集合(無線通信装置20-B=35msec、無線通信装置20-D=40msec、無線通信装置20-F=40msec)となる。
【0086】
(A-3)実施形態の効果
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0087】
位置や通信路やネットワークトポロジ的に優れたノードであっても必ずしも通信に成功するわけではなく、また、それらの要素が優れていないノードしか隣接ノードに持たないノードも存在する可能性がある。そのため、それらの品質が悪いノードにはブロードキャストする機会を与えず、品質の良いノードにブロードキャストする機会を与えるという単純な方式ではデータ収集率の劣化を招く。
【0088】
本実施形態の無線通信システム1では、全ノード(無線通信装置20)が制御パケットを送信する機会を備えるが、送信の優先順位を与え品質の良いノードほど再送の機会を多く得られるようにしている。そのため、限られた時間内において品質の良いノードがブロードキャストする機会を増やすことができ、結果、下位ノードはより優れた通信品質を持つノードを親ノードとして選択できる可能性が高くなり、データ収集率を向上できる。
【0089】
また、品質の良いノードがブロードキャストする機会が増えた結果、例えば、
図5の無線通信装置20-Aや無線通信装置20-Cのような末端ノードが制御パケットを受信する確率が高くなり、孤立ノードの発生率を低減できる。
【0090】
(B)他の実施形態
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0091】
(B-1)上記実施形態では、下り通信期間と上り通信期間からなるスーパーフレーム構成を採用し、下り通信期間はホップ数ごとにスロット化したが、本発明を適用するネットワークはこのような無線マルチホップネットワークに限定するものではなく、例えば、基地局がトリガとなり制御パケットのフラッディングを行うネットワーク構成であれば良い。
【0092】
(B-2)上記実施形態では、メトリックとして単純な数値を用いたが、必ずしもその形式でならないわけではなく、メトリックとしてバックオフ時間をそのまま与える形式にしても良いし、その値の設定方法は限定されるものではない。
【0093】
(B-3)上記実施形態では、リンク品質判定にRSSIを用いたが、必ずしもその形式でならないわけではなく、過去の通信のパケットエラー率を用いるなど、リンク品質のパラメータは限定されるものではない。
【0094】
(B-4)上記実施形態では、基地局10のフラッディング制御部104は、位置情報から計算される距離情報を用いて各ノードの優先度を決定したが、必ずしもその形式でならないわけではなく、例えばネットワークのエリアを格子状に分割しその各領域にノードが分配されるよう優先度を決定するなど、その優先度の決定方法ならびに優先度に対するメトリックの与え方は限定されるものではない。
【符号の説明】
【0095】
1…無線通信システム、2…下位ノード数、10…基地局、20(20-A~20-H)…無線通信装置、30…外部システム、50…スーパーフレーム、101…アンテナ、102…無線信号送受信部、103…データ処理部、104、204…フラッディング制御部、105…位置情報記録、106…優先度ポイントテーブル、107、108…パケット生成部、205…リンク品質判定部、206…トポロジ判定部、207…バックオフ時間テーブル、208…パケット生成部、I…トポロジ判定テーブル、M…RSSI測定部、T…リンク品質判定テーブル。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置において、
ネットワークに参加するノードの位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、
自身と親ノード間のリンク品質に基づく優先度を取得するリンク品質判定手段と、
ネットワークトポロジに基づく優先度を取得するトポロジ判定手段と、
前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を合計し、各優先度の合計値に基づいて最大バックオフ時間を取得し、該最大バックオフ時間に基づいて、前記制御パケットをブロードキャストするタイミングを制御するフラッディング制御手段と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
優先度に応じて前記最大バックオフ時間を与えるバックオフ時間テーブルをさらに有し、
前記フラッディング制御手段は、前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度の合計値を前記バックオフ時間テーブルに与え、前記合計値に対する前記最大バックオフ時間を取得し、取得した前記最大バックオフ時間を基に、前記制御パケットの送信時刻を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記位置判定手段が取得する前記優先度は、他のノードから取得した前記制御パケットに含まれる前記位置情報により計算された指標に基づくものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記リンク品質判定手段は、前記制御パケット受信時の受信信号強度に基づいて、前記優先度を取得することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記トポロジ判定手段は、前記ネットワークトポロジの自身に属する下位のノード数に基づいて、前記優先度を取得することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置に搭載されるコンピュータを、
ネットワークに参加するノードの位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、
自身と親ノード間のリンク品質に基づく優先度を取得するリンク品質判定手段と、
ネットワークトポロジに基づく優先度を取得するトポロジ判定手段と、
前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を合計し、各優先度の合計値に基づいて最大バックオフ時間を取得し、該最大バックオフ時間に基づいて、前記制御パケットをブロードキャストするタイミングを制御するフラッディング制御手段と
して機能させることを特徴とする無線通信プログラム。
【請求項7】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線通信装置及び基地局を有する無線通信システムにおいて、
前記無線通信装置として請求項1~5のいずれかに記載の無線通信装置を適用し、
前記基地局は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストし、
ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、
前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段と
を有することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、無線通信装置、無線通信プログラム、及び無線通信システムに関し、例えば、無線マルチホップセンサネットワークに適用し得る。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
以上のような問題に鑑みて、ノードの位置情報、通信路環境、及びネットワークトポロジを複合的に考慮してフラッディング制御を行うことができる無線通信装置、無線通信プログラム、及び無線通信システムが望まれている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
第1の本発明は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置において、(1)ネットワークに参加するノードの位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、(2)自身と親ノード間のリンク品質に基づく優先度を取得するリンク品質判定手段と、(3)ネットワークトポロジに基づく優先度を取得するトポロジ判定手段と、(4)前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を合計し、各優先度の合計値に基づいて最大バックオフ時間を取得し、該最大バックオフ時間に基づいて、前記制御パケットをブロードキャストするタイミングを制御するフラッディング制御手段とを有することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
第2の本発明の無線通信プログラムは、(1)制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置に搭載されるコンピュータを、(2)ネットワークに参加するノードの位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、(3)自身と親ノード間のリンク品質に基づく優先度を取得するリンク品質判定手段と、(4)ネットワークトポロジに基づく優先度を取得するトポロジ判定手段と、(5)前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を合計し、各優先度の合計値に基づいて最大バックオフ時間を取得し、該最大バックオフ時間に基づいて、前記制御パケットをブロードキャストするタイミングを制御するフラッディング制御手段として機能させることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
第5の本発明は、マルチホップネットワークを構成する複数の無線通信装置及び基地局を有する無線通信システムにおいて、(1)前記無線通信装置として第1の本発明の無線通信装置を適用し、(2)前記基地局は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストし、(2-1)ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、(2-2)前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段とを有することを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
(A)主たる実施形態
以下、本発明による無線通信装置、無線通信プログラム、及び無線通信システムの一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置において、
ネットワークに参加するノードの位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、
自身と親ノード間のリンク品質に基づく優先度を取得するリンク品質判定手段と、
ネットワークトポロジに基づく優先度を取得するトポロジ判定手段と、
前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を合計し、各優先度の合計値に基づいて最大バックオフ時間を取得し、該最大バックオフ時間に基づいて、前記制御パケットをブロードキャストするタイミングを制御するフラッディング制御手段と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
優先度に応じて前記最大バックオフ時間を与えるバックオフ時間テーブルをさらに有し、
前記フラッディング制御手段は、前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度の合計値を前記バックオフ時間テーブルに与え、前記合計値に対する前記最大バックオフ時間を取得し、取得した前記最大バックオフ時間を基に、前記制御パケットの送信時刻を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記位置判定手段が取得する前記優先度は、他のノードから取得した前記制御パケットに含まれる前記位置情報により計算された指標に基づくものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記リンク品質判定手段は、前記制御パケット受信時の受信信号強度に基づいて、前記優先度を取得することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記トポロジ判定手段は、前記ネットワークトポロジの自身に属する下位のノード数に基づいて、前記優先度を取得することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の無線通信装置。
【請求項6】
制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストする無線通信装置に搭載されるコンピュータを、
ネットワークに参加するノードの位置情報に基づくブロードキャストの優先度を取得する位置判定手段と、
自身と親ノード間のリンク品質に基づく優先度を取得するリンク品質判定手段と、
ネットワークトポロジに基づく優先度を取得するトポロジ判定手段と、
前記位置判定手段、前記リンク品質判定手段、及び前記トポロジ判定手段で取得した各優先度を合計し、各優先度の合計値に基づいて最大バックオフ時間を取得し、該最大バックオフ時間に基づいて、前記制御パケットをブロードキャストするタイミングを制御するフラッディング制御手段と
して機能させることを特徴とする無線通信プログラム。
【請求項7】
マルチホップネットワークを構成する複数の無線通信装置及び基地局を有する無線通信システムにおいて、
前記無線通信装置として請求項1~5のいずれかに記載の無線通信装置を適用し、
前記基地局は、制御パケットをフラッディング方式によりブロードキャストし、
ネットワークに参加するノードの位置情報を記録する位置情報記録手段と、
前記位置情報を基に計算された指標を基に、各ノードのブロードキャストの優先度を決定し、決定した優先度を含む前記制御パケットをブロードキャストするフラッディング制御手段と
を有することを特徴とする無線通信システム。