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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135149
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】人工芝の排水構造
(51)【国際特許分類】
   E01C 13/08 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E01C13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034768
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512283081
【氏名又は名称】株式会社ピリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】平野 尭将
(72)【発明者】
【氏名】隅倉 光博
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA03
2D051AB04
2D051AC06
2D051AC11
2D051AF11
2D051DA14
2D051HA00
2D051HA08
(57)【要約】
【課題】清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも雨水を運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片を容易にかつ確実に回収できる。
【解決手段】底部に透水機能を有する側溝2と、側溝2内を底面から所定高さまでを仕切るように配置され、上流側に開口が形成されるとともに下流側の開口を塞ぐ端板34を有して側溝2に沿って延在する筒状のメッシュ本体31を設け、全周面にわたってメッシュにより形成されたメッシュ体3と、メッシュ本体31の内側おいて、少なくとも下流側に配置され、人工芝から発生する細く長い形状の小片Fを付着させることによる回収機能と透水性を有するスチールウール4と、を備え、メッシュ体3は、少なくともメッシュ本体31の開口縁上端からメッシュ本体31内の下流側に向けて延びる折返部32を備えた構成の人工芝の排水構造を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工芝の周囲に設けられた人工芝の排水構造であって、
底部に透水機能を有する側溝と、
前記側溝内を底面から所定高さまでを仕切るように配置され、上流側に開口が形成されるとともに下流側の開口を塞ぐ端板を有して前記側溝に沿って延在する筒状のメッシュ本体を設け、全周面にわたってメッシュにより形成されたメッシュ体と、
前記メッシュ本体の内側おいて、少なくとも下流側に配置され、前記人工芝から発生する細く長い形状のの小片を付着させることによる回収機能と透水性を有する小片回収部材と、を備えていることを特徴とする人工芝の排水構造。
【請求項2】
前記メッシュ体は、少なくとも前記メッシュ本体の開口縁上端から前記メッシュ本体内の下流側に向けて延びる折返部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の人工芝の排水構造。
【請求項3】
前記メッシュ本体は、下流側に向けて断面が縮小されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の人工芝の排水構造。
【請求項4】
前記小片回収部材は、前記メッシュ本体の下流側の内周面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工芝の排水構造。
【請求項5】
前記メッシュ体は、ステンレス製であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の人工芝の排水構造。
【請求項6】
前記側溝は、前記人工芝寄りの第1側溝と、該第1側溝を挟んで前記人工芝と反対側に第2側溝と、が二重に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の人工芝の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工芝の排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば野球場、サッカー場、ラグビー場等の一般的な屋外設置の人工芝運動場に対して降り注ぐ雨水等を排水するため、運動場の四周等に側溝を設置し、この側溝に降雨水を集水している。そして、集水した雨水は、側溝に達して1か所以上の桝によりさらに集水され、暗渠管路によって運動場外に排出される。降雨状況によっては排出された雨水は、雨水配管を経由して河川等に放流される。
【0003】
ところで、人工芝運動場では、人工芝上で様々な運動行為等が行われている。このような行為には、単なる歩行だけでなく、スライディング等の大きなエネルギーが加わる場合もある。人工芝は大きなエネルギーに対して耐えられるように合成樹脂製の芝葉を植設して製造されているが、設計基準を上回る大きなエネルギーが加わったり、紫外線ばく露などの経年変化によって、樹脂体の強度の低下が発生し、細かく裁断されてしまう。
また、近年の人工芝では、運動場を利用する人の膝などへの負担を軽減するため、エネルギーを吸収するために細かな樹脂チップが人工芝の根元に充填された構成とする場合も多い。
【0004】
上述したような人工芝の破断砕片やチップ等の細片が降雨水の流れとともに側溝に流れ込むが、これらの側溝には大きな異物の落下を防止する目的であるグレーチング(目皿)が設置されている対策のみであって、上述したような細片を捕獲できるような機能にはなっていない。そのため、発生した樹脂由来の砕片はその他の排水とともに河川から海洋へ流出していくこととなる。この砕片はマイクロプラスチックと称され、近年海洋や河川等に生息する生物への環境影響のある物質として注視されている。
このような問題に対応する装置として、例えば特許文献1に示すような排水側溝内に有孔コルゲート管を内装し、このコルゲート管によって芝の小片を回収する構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-137354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の人工芝等の運動場に設けられる排水構造では、コルゲート管の濾過メッシュだけでは、直ぐに目詰まりが生じてしまううえ、目詰まりした際の雨水が運動場上に溢れ出てしまう問題があった。
また、コルゲート管の下部の隙間の清掃が困難であることから、その点で改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも雨水を運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片を容易にかつ確実に回収できる人工芝の排水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る人工芝の排水構造は、人工芝の周囲に設けられた人工芝の排水構造であって、底部に透水機能を有する側溝と、前記側溝内を底面から所定高さまでを仕切るように配置され、上流側に開口が形成されるとともに下流側の開口を塞ぐ端板を有して前記側溝に沿って延在する筒状のメッシュ本体を設け、全周面にわたってメッシュにより形成されたメッシュ体と、前記メッシュ本体の内側おいて、少なくとも下流側に配置され、前記人工芝から発生する細く長い形状のの小片を付着させることによる回収機能と透水性を有する小片回収部材と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
本発明では、人工芝から発生する樹脂小片やチップ等の小片が雨水とともに側溝内に流入した際、その小片混入雨水がメッシュ体におけるメッシュ本体の上流側の開口から折返部に沿ってメッシュ本体内に流入し、雨水は小片回収部材とメッシュにより形成されるメッシュ本体とを通過してさらに側溝内の下流側に排水される。このとき、メッシュ本体内に流入した小片はメッシュ本体の内側の下流側に配置される小片回収部材に付着するため、容易に回収することができる。
そのため、小片回収部材で小片を回収する濾過効果をもたせることができ、小片回収部材に付着した小片はメッシュ本体まで到達することがないので、メッシュ本体のメッシュの目詰まりを防止できる。したがって、雨水のみを確実に側溝から排水することができ、メッシュの目詰まりに伴う雨水や小片が側溝から人工芝へ溢れ出してしまうことを防ぐことができる。しかも側溝に流入した小片が雨水とともに底部から主排水溝へ排出されることを抑制でき、小片が人工芝の敷地外に流出することを防止できる。
【0010】
さらに、本発明では、メッシュ体における側溝内を仕切る領域が側溝内の底面から所定高さまでとなっており、すなわち側溝内の全断面をメッシュ体で仕切る構成ではないことから、降雨初期から降雨後期までの全ての雨水を小片回収部材で濾過処理する場合に比べて、小片を多く含んだ降雨初期の雨水を効率よく確実に回収して処理することができる。
また、本発明では、小片回収部材を備えたメッシュ体を側溝内に配置するだけで設置することが可能である。そのため、既存の側溝に対しても小片回収部材を備えたメッシュ体を後付けすることができる。
【0011】
また、本発明では、側溝内に流れ込んだ小片を回収する際には、メッシュ体を小片回収部材ととともに側溝から取り出し、小片が付着した小片回収部材を交換、あるいは清掃することにより小片を取り除く作業となる。そのため、従来のように透水性排水管の濾過メッシュの目詰まりが減り、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができる。
【0012】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記メッシュ体は、少なくとも前記メッシュ本体の開口縁上端から前記メッシュ本体内の下流側に向けて延びる折返部を備えていることが好ましい。
【0013】
この場合、メッシュ本体に折返部が設けられているので、降雨量が増えて側溝内の水位が上昇した場合であっても小片が留まっているスチールウール小片回収部材がメッシュ本体の上流側の開口から流出することを防ぐことができる。そのため、小片回収部材の流出に伴い、メッシュ本体のメッシュの目詰まりを抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記メッシュ本体は、下流側に向けて断面が縮小されていることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、メッシュ本体内の断面が下流側で縮小した形状となっているので、縮小した小断面に配置される小片回収部材によって効率よく小片を回収することができ、回収による処理能力を向上させることができる。
【0016】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記小片回収部材は、前記メッシュ本体の下流側の内周面に沿って配置されていることを特徴としてもよい。
【0017】
この場合には、メッシュ本体内に配置される小片回収部材がメッシュ本体内で浮遊して移動することを抑えられるので、排水とともにメッシュ本体の上流側の開口からメッシュ体の外に流出することを防止できる。
【0018】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記メッシュ体は、ステンレス製であることを特徴としてもよい。
【0019】
この場合には、ステンレス製のメッシュ体に錆びが発生しにくいことから、メッシュの目詰まりを抑えることができる。
【0020】
また、本発明に係る人工芝の排水構造は、前記側溝は、前記人工芝寄りの第1側溝と、該第1側溝を挟んで前記人工芝と反対側に第2側溝と、が二重に設けられていることを特徴としてもよい。
【0021】
この場合には、台風時のように連続降雨量が極めて多い場合において、側溝が二重に設けられているので、人工芝の排水が不十分となって洪水や周辺への浸水等を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の人工芝の排水構造によれば、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも雨水を運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片を容易にかつ確実に回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態による人工芝の排水構造を上方から見た平面図である。
図2図1に示すA-A線断面図であって、排水構造の側断面図である。
図3図1に示すB-B線断面図であって、排水構造を上流側からみた断面図である。
図4】排水構造における排水状態を示す側断面図であって、(a)は降雨初期の図、(b)は降雨後期の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態による人工芝の排水構造について、図面に基づいて説明する。
【0025】
本実施形態による人工芝の排水構造1は、図1及び図2に示すように、人工芝の周囲に設けられている。
【0026】
図中の符号Sは、人工芝を示している。人工芝グランドは、芝上に砂やゴムチップ等を混合した粒状物が充填された人工芝Sを敷設した構造である。ここで、人工芝から発生する樹脂小片やチップ等の細く長い形状のものを以下、小片Fという。
【0027】
排水構造1は、底壁21(底部)に透水機能を有する側溝2と、側溝2内を底面21aから所定高さまでを仕切るように配置され、排水Wの上流側(図1及び図2の紙面左側)に開口が形成されるとともに下流側(図1及び図2の紙面右側)の開口を塞ぐ端板34を有する筒状に設けられ、全周面にわたってメッシュにより形成されたメッシュ体3と、メッシュ体3の内側に配置されたスチールウール4(小片回収部材)と、を備えている。
排水Wは、図1及び図2における紙面左側から右側への方向(図2の矢印)に流れるものとする。
【0028】
側溝2は、下流端部において不図示の主排水溝に接続されている。なお、主排水溝は、暗渠であってもかまわない。側溝2は、人工芝グラウンドの周囲の一部又は全周にわたって地面に埋設された状態で配置されている。図3に示すように、側溝2は、底壁21と、底壁21の幅方向両端部から立ち上がる一対の側壁22、22と、から断面U字型に形成されている。側溝2の上部開口2aは、コンクリート製、あるいは溶融亜鉛メッキされた金属製の蓋体23で覆われている。側壁22は、側溝2の上端22aとグランドの人工芝Sの表面とが面一になるように設けられている。また、側溝2は、排水方向に沿って若干の下り勾配を形成して設けられている。
側溝2の底壁21は、透水性を有し、雨水が底壁21の下面21b側の地盤に排水されるようになっている。
【0029】
図1図3に示すように、メッシュ体3は、側溝2に沿って延在する筒状のメッシュ本体31と、メッシュ本体31の開口縁上端31aからメッシュ本体31内の下流側に向けて延びる折返部32と、を備えている。メッシュ体3は、ステンレス製のメッシュ材により形成されている。
メッシュ体3は、側溝2に対して所定の固定手段により固定されていてもよいし、単に側溝2内に載置、あるいは嵌め込まれた状態で設けられていてもよい。
【0030】
メッシュ本体31は、下流側に向けて断面が縮小された筒体33と、筒体33の下流側の開口を塞ぐ端板34と、を備えている。筒体33は、上面331、下面332、両側面333、333からなる。筒体33は、長さ方向の中間部から上流側が側溝2の側壁22、22同士の離間に一致する幅寸法をなす全幅部33Aと、前記中間部から下流側において幅寸法が縮小した縮小部33Bと、からなる。筒体33の下面332は、側溝2の底壁21の底面21a上に載置されている。筒体33の上面331の高さは、例えば図4(a)に示すように降雨初期に側溝2内に流入する雨水の水位によって設定される。
【0031】
折返部32は、図2に示すように、開口縁上端31aから上流側に向かうに従って、漸次、筒体33の下面332に近接するように湾曲している。折返部32の先端32aは、筒体33の長さ方向の中間部に位置するとともに、下面332から上方に所定の間隔をあけた位置となっている。折返部32も、筒体33と同じステンレス製のメッシュ材により形成されている。
【0032】
このように構成される排水構造1では、側溝2内に流れ込んだ雨水(排水W)が図4(b)に示すように満水時の上部を流れるものを除いてメッシュ体3を通過し、メッシュ体3の下流側に向けて流れるようになっている。
【0033】
スチールウール4は、図2に示すように、所定の大きさに形成された多数のスチールウール4がメッシュ本体31の内周面に沿って配置されている。具体的にこれら多数のスチールウール4は、筒体33の上面331と、下面332及び側面333の上流部分と、端板34と、のそれぞれの内面を覆うように敷設されている。
【0034】
スチールウール4は、ステンレス製のワイヤーメッシュにより形成される部材である。
本実施形態では、スチールウール4を小片回収部材の一例としているが、これに限定されることはなく、例えばポリ塩化ビニリデン系繊維の不織布等、あるいは微小孔が形成された部材も採用することができる。要は、小片回収部材として、人工芝の小片Fを付着させることによる回収機能と透水性を有する部材であればよい。さらに小片回収部材としては、土壌などの粉体は通過可能で、人工芝の小片Fのような細く長い形状のものは通過させずに絡め取るように表面部に付着させる機能を有する部材が好ましい。
さらに小片回収部材の具体的な一例として、OM-150 サラロック(登録商標、大東産業株式会社製)、ワイヤーメッシュデミスター(登録商標、株式会社奥谷金網製作所社製)等を採用することができる。
【0035】
次に、上述した人工芝の排水構造1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図4(a)、(b)に示すように、人工芝Sから発生する樹脂小片やチップ等の小片Fが排水Wとともに側溝2内に流入した際、その小片混入雨水がメッシュ体3におけるメッシュ本体31の上流側の開口から折返部32に沿ってメッシュ本体31内に流入し、排水Wはスチールウール4とメッシュにより形成されるメッシュ本体31とを通過してさらに側溝2内の下流側に排水される。このとき、メッシュ本体31内に流入した小片Fはメッシュ本体31の内側の下流側に配置されるスチールウール4に付着するため、容易に回収することができる。
【0036】
そのため、スチールウール4で小片Fを回収する濾過効果をもたせることができ、スチールウール4に付着した小片Fはメッシュ本体31まで到達することがないので、メッシュ本体31のメッシュの目詰まりを防止できる。したがって、排水Wのみを確実に側溝2から排水することができ、メッシュの目詰まりに伴う排水Wや小片Fが側溝から人工芝Sへ溢れ出してしまうことを防ぐことができる。しかも、側溝2に流入した小片Fが雨水とともに底部から主排水溝へ排出されることを抑制でき、小片Fが人工芝Sの敷地外に流出することを防止できる。
【0037】
さらに、本実施形態では、メッシュ体3における側溝2内を仕切る領域が側溝2内の底面から所定高さまでとなっており、すなわち側溝2内の全断面をメッシュ体3で仕切る構成ではないことから、図4(b)に示すように降雨初期から降雨後期までの全ての排水Wをスチールウール4で濾過処理する場合に比べて、図4(a)に示すような小片Fを多く含んだ降雨初期の排水Wを効率よく確実に回収して処理することができる。
【0038】
また、本実施形態では、スチールウール4を備えたメッシュ体3を側溝2内に配置するだけで設置することが可能である。
そのため、既存の側溝に対してもスチールウール4を備えたメッシュ体3を後付けすることができる。
【0039】
また、本実施形態では、側溝2内に流れ込んだ小片Fを回収する際には、メッシュ体3をスチールウール4ととともに側溝2から取り出し、小片Fが付着したスチールウール4を交換、あるいは清掃することにより小片Fを取り除く作業となる。
そのため、従来のように透水性排水管の濾過メッシュの目詰まりが減り、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができる。
【0040】
また、本実施形態では、メッシュ本体31に折返部32が設けられているので、図4(b)に示すように、降雨量が増えて側溝2内の水位が上昇した場合であっても小片Fが留まっているスチールウール4がメッシュ本体31の上流側の開口部33aから流出することを防ぐことができる。
そのため、スチールウール4の流出に伴い、メッシュ本体31のメッシュの目詰まりを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、メッシュ本体31内の断面が下流側で縮小した形状となっているので、縮小した小断面に配置されるスチールウール4によって効率よく小片Fを回収することができ、回収による処理能力を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、メッシュ本体31内に配置される複数のスチールウール4がメッシュ本体31内で浮遊して移動することを抑えられるので、排水Wとともにメッシュ本体31の上流側の開口部33aからメッシュ体3の外に流出することを防止できる。
【0043】
また、本実施形態では、ステンレス製のメッシュ体3に錆びが発生しにくいことから、メッシュの目詰まりを抑えることができる。
【0044】
上述のように本実施形態による人工芝の排水構造1では、清掃等のメンテナンスにかかる作業を軽減することができ、しかも排水Wを運動場に流出させることなく、運動場から流れ込む小片Fを容易にかつ確実に回収できる。
【0045】
以上、本発明による人工芝の排水構造の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0046】
例えば、本実施形態の排水構造1の側溝2、メッシュ体3の形状、延長、寸法等の構成は、適用する排水能力を考慮して適宜設定することができる。
【0047】
例えば、本実施形態では、メッシュ体3に折返部32を備えた構成としているが、このような折返部32を省略することができる。
【0048】
また、本実施形態では、メッシュ本体31が下流側に向けて断面が縮小された形状となっているが、このような縮小形状であることに限定されることはなく、例えば縮小部33Bを設けずに全幅部33Aのみで断面が長さ方向の全体にわたって同一である形状のメッシュ本体であってもかまわない。
【0049】
さらに、本実施形態では、スチールウール4(小片回収部材)がメッシュ本体31の下流側の内周面に沿って配置されているが、これに限定されることはない。例えばメッシュ本体31の全体の内周面に沿って配置されているてもよいし、あるいはメッシュ本体31の内周面に沿って設けずに、単にメッシュ本体31内に収容するように設けることも可能である。
【0050】
また、メッシュ体3ステンレス製であることに制限されることはなく、他の部材を採用することも可能である。
【0051】
また、排水構造1としては、側溝2において、人工芝寄りの第1側溝と、第1側溝を挟んで人工芝と反対側に第2側溝と、が二重に設けられるように構成することも可能である。
この場合には、台風時のように連続降雨量が極めて多い場合において、側溝(第1側溝、第2側溝)が二重に設けられているので、人工芝Sの排水が不十分となって洪水や周辺への浸水等を防止することができる。
【0052】
また、排水構造1の構成である側溝2の適用対象として、本実施形態では一般的なU字溝を対象としているが、このようなU字溝に限定されることはなく、例えば雨水枡を対象としてもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 排水構造
2 側溝
3 メッシュ体
4 スチールウール(小片回収部材)
21 底壁
21a 底面
31 メッシュ本体
31a 開口縁上端
32 折返部
33 筒体
34 端板
F 小片
S 人工芝
W 排水
図1
図2
図3
図4