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特開2022-135158荷揚げ装置および荷揚げ装置のための制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135158
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】荷揚げ装置および荷揚げ装置のための制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20220908BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B65G67/60 D
B66C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034782
(22)【出願日】2021-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂野 肇
(72)【発明者】
【氏名】久保 諒太郎
(72)【発明者】
【氏名】阿久根 圭
(72)【発明者】
【氏名】水崎 紀彦
【テーマコード(参考)】
3F077
3F204
【Fターム(参考)】
3F077AA04
3F077BA02
3F077BB04
3F077BB08
3F077DA02
3F077DB01
3F077DB04
3F077EA02
3F077EA11
3F077EA12
3F077EA19
3F077EA21
3F077EA29
3F077FA02
3F077FA05
3F204AA04
3F204CA05
3F204DA04
(57)【要約】
【課題】船舶上の物体との接触を防止すること。
【解決手段】荷揚げ装置100は、船倉5内に挿入される掻取部43と、掻取部43から上方に中心軸線A1に沿って延在するエレベータ42と、を有する搬送部40と、中心軸線A1の方向に見たときに、搬送部40から突出する運転室50と、搬送部40に設けられるハッチセンサM5であって、当該ハッチセンサM5よりも下方の計測領域にある物体までの距離を計測するハッチセンサM5と、運転室50の底部に設けられる障害物センサM6であって、中心軸線A1の方向に見たときに、運転室50から放射状に拡がる計測領域にある物体までの距離を計測する障害物センサM6と、ハッチセンサM5からのデータに基づいて船倉5のハッチ7を検出し、障害物センサM6によって計測される物体までの距離をハッチ7までの距離と関連付けて蓄積する制御装置200と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船倉内に挿入される掻取部と、前記掻取部から上方に延在するエレベータと、を有する、搬送部と、
前記エレベータの中心軸線の方向に見たときに、前記搬送部から突出する運転室と、
前記搬送部に設けられるハッチセンサであって、当該ハッチセンサよりも下方の計測領域にある物体までの距離を計測する、ハッチセンサと、
前記運転室の底部に設けられる障害物センサであって、前記中心軸線の方向に見たときに、前記運転室から放射状に拡がる計測領域にある物体までの距離を計測する、障害物センサと、
前記ハッチセンサからのデータに基づいて前記船倉のハッチを検出し、前記障害物センサによって計測される物体までの距離を前記ハッチまでの距離と関連付けて蓄積する、制御装置と、
を備える、荷揚げ装置。
【請求項2】
前記障害物センサは、前記運転室よりも下方にも計測領域を有する、請求項1に記載の荷揚げ装置。
【請求項3】
前記障害物センサは、2つの距離センサを少なくとも有し、
前記2つの距離センサは、前記中心軸線に垂直な平面内において、互いに離間して前記運転室の底部に取り付けられ、
前記2つの距離センサの各々が、前記中心軸線に沿って所定の角度範囲を有し、かつ、前記中心軸線の方向に見たときに、当該距離センサから放射状に拡がる計測領域を有する、請求項2に記載の荷揚げ装置。
【請求項4】
前記搬送部は、水平な第1の方向と、前記第1の方向に垂直な水平な第2の方向と、に移動され、
前記2つの距離センサは、前記第1の方向および前記第2の方向の双方において、互いに離間する、請求項3に記載の荷揚げ装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記運転室の現在の位置と記憶装置に蓄積される物体との間の距離が、所定の閾値以下であるか否かを判定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の荷揚げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、荷揚げ装置および荷揚げ装置のための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶の船倉から積荷を搬送するための装置として、荷揚げ装置が知られている。荷揚げ装置では、センサまたはカメラ等を使用して、荷揚げ装置と船舶との間の位置関係が確認され得る(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6530202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
荷揚げ装置では、船倉から積荷を搬送するための搬送部の上方に、運転室が設けられる場合がある。この場合、運転室は、搬送部から水平(または、概ね水平)に突出するように設けられることがある。荷揚げ装置では、船に対して搬送部を移動させる場合、搬送部と船舶上の物体との間の接触を防止するために、船舶上の監視員が、運転室内のオペレータに対して、船舶上の物体の位置を無線通信装置で知らせる場合がある。しかしながら、例えば、監視員が、死角にある物体を見逃す可能性がある。また、船舶上に配置可能な監視員がいない場合には、オペレータは、監視員からのサポート無しに搬送部を移動させる必要がある。これらの場合、運転室が搬送部から突出していると、運転室と船舶上の物体との間の接触のリスクが増大する。
【0005】
本開示は、上記のような課題を考慮して、船舶上の物体との接触を防止することができる、荷揚げ装置および荷揚げ装置のための制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る荷揚げ装置は、船倉内に挿入される掻取部と、掻取部から上方に延在するエレベータと、を有する搬送部と、エレベータの中心軸線の方向に見たときに、搬送部から突出する運転室と、搬送部に設けられるハッチセンサであって、当該ハッチセンサよりも下方の計測領域にある物体までの距離を計測するハッチセンサと、運転室の底部に設けられる障害物センサであって、中心軸線の方向に見たときに、運転室から放射状に拡がる計測領域にある物体までの距離を計測する障害物センサと、ハッチセンサからのデータに基づいて船倉のハッチを検出し、障害物センサによって計測される物体までの距離をハッチまでの距離と関連付けて蓄積する制御装置と、を備える。
【0007】
障害物センサは、運転室よりも下方にも計測領域を有してもよい。
【0008】
障害物センサは、2つの距離センサを少なくとも有してもよく、2つの距離センサは、中心軸線に垂直な平面内において、互いに離間して運転室の底部に取り付けられてもよく、2つの距離センサの各々が、中心軸線に沿って所定の角度範囲を有し、かつ、中心軸線の方向に見たときに、当該距離センサから放射状に拡がる計測領域を有してもよい。
【0009】
搬送部は、水平な第1の方向と、第1の方向に垂直な水平な第2の方向と、に移動されてもよく、2つの距離センサは、第1の方向および第2の方向の双方において、互いに離間してもよい。
【0010】
制御装置は、運転室の現在の位置と記憶装置に蓄積される物体との間の距離が、所定の閾値以下であるか否かを判定してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、船舶上の物体との接触を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は実施形態に係るアンローダの概略的な平面図である。
図2図2図1のアンローダの概略的な斜視図である。
図3図3図1のアンローダの概略的な側面図である。
図4図4図3中のIV-IV矢視断面図である。
図5図5は距離センサの例を示す概略的な斜視図である。
図6図6(A),図6(B),図6(C)はハッチセンサの計測領域を示す概略的な平面図である。
図7図7は障害物センサの計測領域を示す概略的な側面図である。
図8図8は実施形態に係る制御装置を示す概略的なブロック図である。
図9図9図8の制御装置で使用される座標系を示す概略的な平面図である。
図10図10図8の制御装置で使用される座標系を示す概略的な側面図である。
図11図11図8の制御装置で使用される作業領域を示す概略的な図である。
図12図12図8の制御装置の動作の例を示すフローチャートである。
図13図13は運転室と物体との間の距離の算出の例を示す概略的な側面図である。
図14図14図13の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示される具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能および構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係るアンローダ100の概略的な平面図である。アンローダ100は、岸壁2に停泊される船舶4の船倉5内の積荷6を搬送する。積荷6は、例えば、ばら荷(例えば、石炭)である。船舶4は、複数の船倉5を有する。
【0015】
図2は、図1のアンローダ100の概略的な斜視図である。なお、図2では、岸壁2および船舶4の一部は、断面で示される。船倉5の上部には、ハッチ7が設けられる。ハッチ7の上方には、ハッチ7を開閉するハッチカバー8が設けられる。
【0016】
アンローダ100は、走行体10、回転体20、ブーム30、搬送部40、運転室50、および、ブームコンベア60を備える。
【0017】
走行体10は、岸壁2に沿って敷設された一対のレール3に沿って移動する。走行体10には、位置センサM1が設けられる。位置センサM1は、例えば、ロータリーエンコーダである。位置センサM1は、走行体10の車輪の回転数に基づいて、所定の原点位置に対する走行体10の位置を計測する。
【0018】
本開示において、走行体10の移動方向は、「走行方向」(第1の方向)と称され得る。水平方向のうち、走行方向に垂直な方向が、「横行方向」(第2の方向)と称され得る。
【0019】
回転体20は、走行体10の上部に設けられる。回転体20は、走行体10に対して、垂直軸を中心に回転可能である。回転体20には、回転角度センサM2が設けられる。回転角度センサM2は、例えばロータリーエンコーダである。回転角度センサM2は、走行体10に対する回転体20の回転角度を計測する。
【0020】
ブーム30は、回転体20の上部に設けられる。ブーム30は、回転体20に対して、水平軸を中心に揺動可能である。ブーム30は、回転体20から延在する。回転体20には、揺動角度センサM3が設けられる。揺動角度センサM3は、例えばロータリーエンコーダである。揺動角度センサM3は、回転体20に対するブーム30の揺動角度を計測する。
【0021】
本開示において、ブーム30およびブーム30に支持される構成要素の方向に関して、ブーム30が回転体20から離れる方向が「前」と称され得、その反対の方向(ブーム30が回転体20に近づく方向)が「後」と称され得る。「前」「後」に垂直な水平方向が、「左」「右」と称され得る。
【0022】
搬送部40は、ブーム30の前端に設けられる。搬送部40は、トップフレーム41と、エレベータ42と、掻取部43と、を有する。
【0023】
トップフレーム41は、ブーム30の前端に取り付けられる。トップフレーム41は、例えばヒンジ等のピボット機構31を介して、水平軸を中心に揺動可能にブーム30に取り付けられる。ピボット機構31によって、後述するエレベータ42の中心軸線A1は、垂直(または、略垂直)に維持される。トップフレーム41には、エレベータ42を回転させるための不図示のアクチュエータが設けられる。
【0024】
エレベータ42は、トップフレーム41に支持される。エレベータ42は、略円柱形状を有する。エレベータ42は、トップフレーム41から垂直(または、略垂直)に、下方に中心軸線A1に沿って延在する。別の観点では、エレベータ42は、掻取部43から垂直(または、略垂直)に、上方に中心軸線A1に沿って延在する。エレベータ42は、トップフレーム41に対して、中心軸線A1周りに回転可能である。トップフレーム41には、回転角度センサM4が設けられる。回転角度センサM4は、例えばロータリーエンコーダである。回転角度センサM4は、トップフレーム41に対するエレベータ42の回転角度を計測する。
【0025】
掻取部43は、エレベータ42の下端に設けられる。掻取部43は、エレベータ42の回転に伴って、エレベータ42と一体的に回転する。掻取部43は、複数のバケツ43aおよびチェーン43bを含む。複数のバケツ43aは、チェーン43bに連続的に配置される。チェーン43bは、エレベータ42の内部および掻取部43に架け渡される。
【0026】
掻取部43には、不図示のリンク機構が設けられる。リンク機構によって、掻取部43の底部の長さが可変である。これによって、掻取部43は、船倉5内の積荷6と接するバケツ43aの数を変えることができる。掻取部43は、チェーン43bを回動させることにより、底部のバケツ43aによって船倉5内の積荷6を掻き取る。積荷6を含むバケツ43aは、チェーン43bの回動に伴ってエレベータ42の上部に移動する。
【0027】
運転室50は、搬送部40の上部に設けられる。例えば、運転室50は、トップフレーム41に設けられる。他の実施形態では、運転室50は、トップフレーム41以外の別の場所に設けられてもよい。運転室50は、中心軸線A1の方向に見たときに、トップフレーム41から突出する。別の観点では、運転室50は、トップフレーム41から水平に(または、概ね水平に)(本実施形態では、前)に突出する。他の実施形態では、運転室50は、トップフレーム41から左または右に突出していてもよい。さらに他の実施形態では、運転室50は、ブーム30およびブームコンベア60と干渉しない限りにおいて、トップフレーム41から後に突出していてもよい(例えば、ブームコンベア60の下方)。本実施形態では、運転室50は、概ね直方体形状または立方体形状を有する。しかしながら、運転室50の形状はこれに限定されず、他の形状を有してもよい。運転室50には、アンローダ100の動作を制御するための制御装置200が設けられてもよい(図3参照)。他の実施形態では、制御装置200は、アンローダ100の別の場所に設けられてもよい。
【0028】
図2を参照して、ブームコンベア60は、ブーム30の下方に設けられる。ブームコンベア60は、バケツ43aによってエレベータ42の上部に移動された積荷6を外部に搬送させる。
【0029】
以上のようなアンローダ100では、走行体10がレール3に沿って移動し、これによって、アンローダ100と船舶4との間の走行方向の位置が調整される。また、アンローダ100では、回転体20が、ブーム30、トップフレーム41、エレベータ42および掻取部43を回転させ、これによって、アンローダ100と船舶4との間の走行方向および横行方向の位置が調整される。また、アンローダ100では、ブーム30が、トップフレーム41、エレベータ42および掻取部43を鉛直方向に沿って移動させ、これによって、アンローダ100と船舶4との間の横行方向および鉛直方向の位置が調整される。また、アンローダ100では、トップフレーム41が、エレベータ42および掻取部43を回転させる。以上の動作によって、アンローダ100は、掻取部43を所望の位置および角度に移動させることができる。
【0030】
続いて、アンローダ100と船舶4との間の位置関係を検出するために使用されるセンサについて説明する。
【0031】
アンローダ100は、ハッチセンサM5を備える。ハッチセンサM5は、例えば、掻取部43を船倉5に挿入する際に、ハッチ7を検出するために使用される。ハッチセンサM5は、搬送部40に設けられる。例えば、ハッチセンサM5は、トップフレーム41に設けられる。ハッチセンサM5は、複数(本実施形態では3つ)の距離センサM51,M52,M53を含む。ハッチセンサM5の距離センサの数は、これに限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。距離センサM51,M52,M53は、中心軸線A1周りの円周方向において、互いに離間して(例えば、120度の間隔で)トップフレーム41に取り付けられる。距離センサM51,M52,M53は、中心軸線A1の方向(高さ方向)において、同じ高さに配置される。ハッチセンサM5は、ハッチセンサM5よりも下方の計測領域内に位置する物体までの距離を計測する(ハッチセンサM5の計測領域について、詳しくは後述)。
【0032】
図3は、図1のアンローダ100の概略的な側面図である。アンローダ100は、障害物センサM6を備える。障害物センサM6は、例えば、掻取部43を船倉5に挿入する際に、運転室50に接近する障害物を検出するために使用される。障害物は、例えば、甲板上の手すり、ドラム、倉庫およびその他の装備等を含み得る(不図示)。障害物センサM6は、運転室50に設けられる。例えば、障害物センサM6は、運転室50の底部に設けられる。障害物センサM6は、少なくとも2つ(本実施形態では2つ)の距離センサM61,M62を含む。障害物センサM6の距離センサの数は、これに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0033】
距離センサM61,M62は、中心軸線A1に垂直な面内において、互いに離間して運転室50の底部に取り付けられる。具体的には、図3に示されるように、距離センサM61,M62は、アンローダ100の横行方向(図3において左右方向)に離間する。例えば、一方の距離センサM61は、運転室50の前端に取り付けられる。他方の距離センサM62は、運転室50の前端から後方に離間した位置に取り付けられる。このような配置によって、障害物センサM6は、走行方向(図3において紙面に垂直な方向)から運転室50に接近する薄い物体を見逃すことを防止することができる。
【0034】
図4は、図3中のIV-IV矢視断面図であり、運転室50の底面を示す。なお、図4では、より良い理解のために、いくつかの構成要素(例えば、ハッチセンサM5等)は示されない。距離センサM61,M62は、アンローダ100の走行方向(図4において左右方向)に離間する。例えば、一方の距離センサM61は、走行方向において、運転室50の一方の端部(左端)に取り付けられる。他方の距離センサM62は、走行方向において、運転室50の他方の端部(右端)に取り付けられる。このような配置によって、障害物センサM6は、横行方向(図4において上下方向)から運転室50に接近する薄い物体を見逃すことを防止することができる。
【0035】
障害物センサM6は、運転室50から中心軸線A1に垂直な方向に放射状に拡がる計測領域内に位置する物体までの距離を計測する。また、障害物センサM6は、運転室50の下方の計測領域内に位置する物体までの距離を計測する(障害物センサM6の計測領域について、詳しくは後述)。
【0036】
なお、アンローダ100は、例えば、船倉5の内部において、船倉5の壁面および積荷6までの距離を計測するための不図示の距離センサを、例えば掻取部43等の場所に更に備えてもよい。
【0037】
図5は、距離センサM51,M52,M53,M61,M62の例を示す概略的な斜視図である。上記の距離センサM51,M52,M53,M61,M62として、図5に示されるようなレーザセンサMが使用されてもよい。
【0038】
レーザセンサMは、円柱形状の本体部Maを有する。レーザセンサMは、本体部Maの側面に、中心軸線A2に沿って複数のレーザ照射部を有する(不図示)。複数のレーザ照射部の各々は、中心軸線A2周りに360度回転可能である。したがって、レーザセンサMは、中心軸線A2周りの360度の範囲R1にレーザを照射可能である。
【0039】
また、複数のレーザ照射部は、中心軸線A2の方向において、互いに隣接する2つのレーザ照射部の間の照射角度の差が、1~2.5度(本実施形態では、1.875度)となるように配置される。したがって、レーザセンサMは全体として、中心軸線A2に垂直な方向から±所定の角度(例えば、±15度)の範囲R2にレーザを照射可能である。
【0040】
以上の説明から、レーザセンサMは、中心軸線A2周りに範囲R2を360度回転させることによって形成される、計測領域を有する。測定距離(中心軸線A2からの距離)は、例えば100m程度である。レーザセンサMは、反射レーザを受信する受信部を有する。レーザセンサMは、レーザが照射されてから、物体に反射されたレーザが受信されるまでの時間に基づいて、物体までの距離を計測する。このようなレーザセンサMとして、例えば、Velodyne社製のVLP-16、VLP-32またはQuanergy社製のM8が使用可能である。
【0041】
続いて、ハッチセンサM5の計測領域について説明する。
【0042】
図6(A),図6(B),図6(C)はハッチセンサM5の計測領域を示す概略的な平面図であり、中心軸線A1の方向に見た場合のハッチセンサM5の計測領域の範囲を示す。各図において、計測領域は、2本の破線の間の領域である。ハッチセンサM5のうち、図6(A)は距離センサM51の計測領域を示し、図6(B)は距離センサM52の計測領域を示し、図6(C)は距離センサM53の計測領域を示す。距離センサM51,M52,M53の各々は、上記の中心軸線A2が、エレベータ42の中心軸線A1に垂直になるように、トップフレーム41の側面に取り付けられる。したがって、距離センサM51,M52,M53の各々は、平面視において(中心軸線A1の方向に見て)、中心軸線A1を中心とする円の接線に対して、±所定の角度(例えば、±15度)の計測領域を有する。
【0043】
例えば、図6(A)では、距離センサM51によって、ハッチ7の上端縁に含まれる4つの線分(太線によって示される)が検出される。図6(B)では、距離センサM52によって、ハッチ7の上端縁に含まれる2つの線分が検出される。図6(C)では、距離センサM53によって、ハッチ7の上端縁に含まれる4つの線分が検出される。船舶4の船倉5のハッチ7は、一般的に、平面視において正方形または長方形を有する。したがって、制御装置200は、距離センサM51,M52,M53によって検出される線分を延長することによって、ハッチ7を検出することが可能である。
【0044】
図3を参照して、側面視において(中心軸線A1に垂直な方向に見て)、距離センサM51の計測領域は、2本の破線の間の領域である。図3では、より良い理解のために、1つの距離センサM51のみの計測領域が示される。しかしながら、距離センサM52,M53も、同様な計測領域を有する。距離センサM51,M52,M53の各々の上半分は、不図示のカバーで覆われる。したがって、図3に示されるように、距離センサM51は、側面視において、各距離センサよりも下方に、中心軸線A1に垂直な軸線周りに、所定の角度の計測領域を有する。したがって、ハッチセンサM5は全体として、ハッチセンサM5よりも下方に計測領域を有する。
【0045】
続いて、障害物センサM6の計測領域について説明する。
【0046】
図4を参照して、距離センサM61,M62の各々の計測領域の角度範囲が、円の矢印によって示される(すなわち、距離センサM61,M62の計測領域は、底面視において360度)。距離センサM61,M62の各々は、その中心軸線A2(図4において不図示)が、エレベータ42の中心軸線A1に平行になるように、運転室50の底部に取り付けられる(図7も参照)。したがって、図4を参照して、距離センサM61,M62の各々は、平面視において(中心軸線A1の方向に見て)、各距離センサから放射状に拡がる計測領域を有する。なお、図4では、計測領域の範囲が角度で示されるが、距離センサM61,M62は、例えば100m程度の測定距離を有することから、距離センサM61,M62は、図4において矢印が示す円の直径よりも大きな計測領域を有する。したがって、障害物センサM6は全体として、中心軸線A1の方向に見て、運転室50から放射状に拡がる計測領域を有する。このような構成によって、障害物センサM6は、横(前、左、右)から運転室50に接近する障害物を検出することができる。なお、当業者であれば容易に理解可能であるように、障害物センサM6は、計測領域が運転室50およびトップフレーム41と重なる部分では、障害物を検出することができない、何故ならば、そこには既に運転室50およびトップフレーム41が存在するからである。したがって、これらの部分は、障害物センサM6の計測領域とは見なされない。
【0047】
図7は、障害物センサM6の計測領域を示す概略的な側面図である。距離センサM61の計測領域は、2本の破線の間の領域である。距離センサM62の計測領域は、2本の一点鎖線の間の領域である。距離センサM61,M62の各々は、側面視において(中心軸線A1に垂直な方向に見て)、中心軸線A1に垂直な方向に対して、±所定の角度(例えば、±15度)の計測領域を有する。図7に示されるように、距離センサM61の直下の領域は、距離センサM61によっては検出することはできない。しかしながら、この領域は、他方の距離センサM62によって検出することができる。同様に、距離センサM62の直下の領域は、距離センサM62によっては検出することはできない。しかしながら、この領域は、他方の距離センサM61によって検出することができる。したがって、障害物センサM6は全体として、運転室50の下方にも計測領域を有する。この計測領域は、中心軸線A1の方向に見て、運転室50の底部の全体をカバーする。このような構成によって、障害物センサM6は、下方から運転室50に接近する障害物を検出することができる。
【0048】
なお、図7に示されるように、下部を除く運転室50の水平方向に隣接する領域(例えば、前、左、右)には、障害物センサM6の死角DAが存在する。しかしながら、一般的に、掻取部43が船倉5に挿入される場合、搬送部40および運転室50は、下向きに移動する。したがって、図7に示されるような死角は、運転室50が下向きに移動する際に、少なくとも1回は障害物センサM6の計測領域に含まれ得る。また、運転室50の上方にも、障害物センサM6の死角が存在する。しかしながら、そのような死角も、運転室50が下向きに移動する際に、少なくとも1回は障害物センサM6の計測領域に含まれ得る。
【0049】
続いて、制御装置200について説明する。
【0050】
図8は実施形態に係る制御装置200を示す概略的なブロック図である。
【0051】
制御装置200は、上記の位置センサM1、回転角度センサM2、揺動角度センサM3、回転角度センサM4および距離センサM51,M52,M53,M61,M62と有線または無線で通信可能に接続される。これらのセンサは、測定されたデータを制御装置200に送信する。制御装置200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ201、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置202、および、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイまたはタッチパネル等の表示装置203等の構成要素を有する。制御装置200は、他の構成要素(例えば、ボタン、タッチパネルおよびキーボード等の入力装置)を更に有してもよい。例えば、以下に示される制御装置200の動作は、記憶装置202に記憶されるプログラムにしたがって、プロセッサ201によって実行されてもよい。
【0052】
記憶装置202は、アンローダ100の3次元モデルのデータを記憶する。例えば、記憶装置202は、少なくとも、トップフレーム41、エレベータ42、掻取部43および運転室50の3次元モデルのデータ(例えば、ボクセルデータ)を記憶する。これらの3次元モデルのデータは、後述するトップフレーム座標系310によって表される。
【0053】
また、記憶装置202は、各船舶4の3次元モデルのデータを記憶する。例えば、記憶装置202は、少なくとも、ハッチ7の3次元モデルのデータ(例えば、ボクセルデータ)を記憶する。ハッチ7の3次元モデルのデータは、後述するハッチコーミング座標系320によって表される。ハッチ7の3次元モデルのデータは、例えば、掻取部43を初めて船倉5内に挿入する際に、距離センサM51,M52,M53によって計測されるデータを用いて作成されてもよい。また、ハッチ7の3次元モデルのデータは、他の計測器によって計測されるデータを用いて作成されてもよい。また、ハッチ7の3次元モデルのデータは、ハッチ7の図面に基づいて作成されてもよい。なお、3次元モデルのデータは、ポリゴンデータ、輪郭(直線)、点群またはこれらの組み合わせ等、3次元形状を示すことができる他のデータであってもよい。記憶装置202は、複数のハッチ7の各々の3次元モデルのデータを、各船舶4について記憶してもよい。
【0054】
図9および図10は、それぞれ、図8の制御装置200で使用される座標系300,310,320を示す概略的な平面図および側面図である。制御装置200は、地上座標系300、トップフレーム座標系310およびハッチコーミング座標系320を有する。
【0055】
図9および図10を参照して、地上座標系300は、アンローダ100の予め設定される初期位置に対応する原点を有する。地上座標系300は、レール3の延在方向に相当するYa軸方向を有する。水平方向のうち、Ya軸方向に垂直な方向がXa軸方向である。鉛直方向は、Za軸方向である。
【0056】
トップフレーム座標系310は、エレベータ42の中心軸線A1上に位置し、かつ、トップフレーム41の下端に位置する原点を有する。トップフレーム座標系310は、ブーム30の延在方向に沿ってXb軸方向を有する。トップフレーム座標系310は、Xb軸方向および中心軸線A1に垂直なYb軸方向を有する。トップフレーム座標系310は、中心軸線A1に平行なZb軸方向を有する。
【0057】
ハッチコーミング座標系320は、船舶4のハッチ7の船尾側の上端縁の中央に位置する原点を有する。ハッチコーミング座標系320は、船舶4の長手方向に平行なXc軸方向を有する。ハッチコーミング座標系320は、船舶4の幅方向に平行なYc軸方向を有する。ハッチコーミング座標系320は、ハッチ7の上端面に垂直なZc軸方向を有する。
【0058】
図11は、図8の制御装置200で使用される作業領域400を示す概略的な図である。図11では、ハッチ7が一点鎖線で示される。制御装置200は、上記のハッチコーミング座標系320に複数のボクセル402を配置することによって、作業領域400を生成する。作業領域400は、Xc軸方向、Yc軸方向およびZc軸方向に沿って配置される複数のボクセル402を含む。例えば、ボクセル402は、Xc軸方向およびYc軸方向には、ハッチ7をカバーするように配置され、Zc軸方向には、正方向にのみ配置される。ボクセル402の配置は、これに限定されない。例えば、ボクセル402は、1辺が0.2~1mの長さを有する直方体である。
【0059】
例えば、作業領域400は、Xc軸方向およびYc軸方向には、ハッチ7よりも大きい。また、例えば、作業領域400は、Zc軸方向には、トップフレーム41、エレベータ42および掻取部43を含む、搬送部40全体よりも高い。他の実施形態では、作業領域400は、Zc軸方向を中心とする円筒形状であってもよい。その場合、ボクセル402のXY平面における断面は、扇型であってもよい。制御装置200は、各ボクセル402に、障害物センサM6の距離センサM61,M62によって計測される点を蓄積する(詳しくは後述)。
【0060】
続いて、制御装置200の動作について説明する。
【0061】
図12は、図8の制御装置200の動作の例を示すフローチャートである。図12に示される動作は、例えば、アンローダ100が積荷6を搬送する際に、掻取部43を船倉5に挿入されるときに開始される。
【0062】
制御装置200は、ハッチコーミング座標系320において、作業領域400を生成する(ステップS100)。上記のように、作業領域400は、複数のボクセル402を含む。
【0063】
続いて、制御装置200は、記憶装置202からハッチ7の3次元モデルを読み込む(ステップS102)。制御装置200は、ハッチ7の3次元モデルを作業領域400に追加する。
【0064】
続いて、制御装置200は、距離センサM51,M52,M53,M61,M62で計測されるデータを取得する(ステップS104)。
【0065】
続いて、制御装置200は、トップフレーム座標系310をハッチコーミング座標系320に変換するための座標変換パラメータを算出する(ステップS106)。
【0066】
具体的には、距離センサM51,M52,M53,M61,M62は、トップフレーム41および運転室50に取り付けられるため、これらのセンサの位置およびこれらのセンサによって計測される点の位置は、トップフレーム座標系310においては既知である。しかしながら、トップフレーム座標系310およびハッチコーミング座標系320の間の位置関係は、アンローダ100および船舶4の移動に伴って変化する(例えば、船舶4の揺れ、潮の満ち引き、または、積荷6の積載量の変化による船舶4の鉛直方向の移動等)。したがって、上記のセンサの位置および上記のセンサによって計測される点の位置は、直接的にはハッチコーミング座標系320に適用できない。したがって、制御装置200は、トップフレーム座標系310をハッチコーミング座標系320に変換するための座標変換パラメータを算出する。
【0067】
具体的には、制御装置200は、ハッチセンサM5(距離センサM51,M52,M53)によって測定されるデータに基づいて、トップフレーム座標系310におけるハッチ7の上端縁を検出する。続いて、制御装置200は、ステップS102で読み込んだハッチ7の3次元モデル(ハッチコーミング座標系320)と、ハッチセンサM5によって検出されるハッチ7の上端縁(トップフレーム座標系310)とを比較することによって、トップフレーム座標系310をハッチコーミング座標系320に変換するための座標変換パラメータを算出する。
【0068】
続いて、制御装置200は、障害物センサM6(距離センサM61,M62)によって計測されるデータ(計測点)を、ステップS100で生成される作業領域400のボクセル402に蓄積する(ステップS108)。具体的には、距離センサM61,M62によって計測される点の位置(トップフレーム座標系310)が、ステップS106で算出される座標変換パラメータを用いてハッチコーミング座標系320に変換され、対応するボクセル402に蓄積される。上記のように、ハッチコーミング座標系320は、ハッチ7の船尾側の上端縁の中央に位置する原点を有する。したがって、距離センサM61,M62によって計測される物体までの距離は、ハッチコーミング座標系320に変換することによって、ハッチ7までの距離と関連付けて蓄積される。計測点が蓄積されたボクセル402を含む作業領域400が、記憶装置202に記憶される。これによって、運転室50の周りの物体が、記憶装置202に記憶される。
【0069】
例えば、ステップS108において、前回のステップS108では計測点が蓄積されたが、今回のステップ108では障害物センサM6によって点が計測されないボクセル402がある場合、この計測点は、移動体(例えば、監視員)であり得る。したがって、このようなボクセル402がある場合、制御装置200は、このボクセル402から計測点を消去してもよい。したがって、制御装置200は、例えば、所定の期間よりも長くボクセル402に蓄積される計測点のみ、物体(障害物)として記憶してもよい。
【0070】
続いて、制御装置200は、運転室50と、記憶装置202に記憶される物体と、の間の距離が、所定の第1閾値(例えば1m)以下であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0071】
図13は、運転室50と物体70,71との間の距離D1,D2の算出の例を示す概略的な側面図である。図13では、計測点が黒丸で示される。例えば、制御装置200は、記憶装置202に記憶される計測点(物体)を、運転室50の底部が含まれる平面ISに投影する。平面ISに投影された物体70,71のうち、運転室50の内側に位置する物体70は、運転室50の直下または直上に存在すると考えられる。この場合、制御装置200は、Zc軸方向において、記憶装置202に記憶される物体70の各計測点と、ハッチセンサM5のデータに基づいて得られる上記の座標変換パラメータを使用してハッチコーミング座標系320に位置付けされる現在の運転室50の底部(または、上部)と、の間の距離を算出する。算出される距離のうち、最も短い距離が、物体70と運転室50との間の距離D1として決定される。制御装置200は、距離D1が、第1閾値T1以下であるか否かを判定する。なお、物体70が運転室50の直下に位置する場合には、物体70は、障害物センサM6によって計測されるデータを直接的に使用してもよい。この場合、データの蓄積に伴うタイムラグが無いため、速やかに処理を実行することができる。
【0072】
図14は、図13の概略的な平面図である。平面ISに投影された物体70,71のうち、運転室50の外側に位置する物体71については、制御装置200は、Xc軸方向またはYc軸方向において、物体71と運転室50の壁面との間の距離D2を算出する。図14に示されるように、Yc軸方向において運転室50の壁面と対向する物体71については、Yc軸方向において、記憶装置202に記憶される物体71の各計測点と、上記の座標変換パラメータを使用してハッチコーミング座標系320に位置付けされる現在の運転室50の壁面と、の間の距離を算出する。図示はしないが、Xc軸方向において運転室50の壁面と対向する物体については、Xc軸方向において、記憶装置202に記憶される物体の各計測点と、上記の座標変換パラメータを使用してハッチコーミング座標系320に位置付けされる現在の運転室50の壁面と、の間の距離を算出する。算出される距離のうち、最も短い距離が、物体71と運転室50との間の距離D2として決定される。制御装置200は、距離D2が、第1閾値T1以下であるか否かを判定する。
【0073】
以上のような計算によれば、運転室50の底部に設けられる少なくとも2つの距離センサM61,M62を使用することによって、運転室50に接近する障害物を検出することができる。この場合、例えば、運転室50の高さ方向に多数の距離センサを設ける構成に比べて、距離センサの数を低減することができる。したがって、距離センサのコストおよび距離センサのメンテナンスコストを節約することができる。
【0074】
図12を参照して、ステップS110において、運転室50と物体との間の距離が第1閾値以下であると判定される場合(YES)、制御装置200は、オペレータに対して、運転室50が障害物に接近している旨の警告を示す(ステップS112)。例えば、警告は、表示装置203に示されてもよい。代替的にまたは追加的に、例えば、警告は、音で示されてもよい。代替的にまたは追加的に、制御装置200は、搬送部40の移動の速度を制限してもよい。このような構成によって、運転室50が障害物に衝突するリスクを低減することができる。
【0075】
続いて、制御装置200は、運転室50と、記憶装置202に記憶される物体と、の間の距離が、所定の第2閾値(例えば0.5m)以下であるか否かを判定する(ステップS114)。ステップS114は、例えば、上記のステップS110と同様に実施されてもよい。
【0076】
ステップS114において、運転室50と物体との間の距離が第2閾値以下であると判定される場合(YES)、制御装置200は、搬送部40の移動を停止し(ステップS116)、動作を終了する。このような構成によって、運転室50が障害物に衝突することを防止することができる。
【0077】
ステップS110において、運転室50と物体との間の距離が第1閾値以下ではないと判定される場合(NO)、および、ステップS114において、運転室50と物体との間の距離が第2閾値以下ではないと判定される場合(NO)、制御装置200は、データの蓄積作業の終了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS118)。例えば、全ての積荷6の搬送が終了し、掻取部43が船倉5から完全に取り除かれると、データの蓄積作業の終了の指示がオペレータによって入力されてもよい。
【0078】
ステップS118において、データの蓄積作業の終了の指示が入力されたと判定される場合(YES)、動作は終了する。ステップS118において、データの蓄積作業の終了の指示が入力されていないと判定される場合(NO)、制御装置200は、ステップS104~ステップS116を所定のインターバル(例えば、10~数十ミリ秒、100~数百ミリ秒、1~数秒、または、10~数十秒)で繰り返す。
【0079】
以上のようなアンローダ100は、船倉5内に挿入される掻取部43と、掻取部43から上方に延在するエレベータ42と、を有する搬送部40と、エレベータ42の中心軸線A1の方向に見たときに、搬送部40から突出する運転室50と、搬送部40に設けられるハッチセンサM5であって、当該ハッチセンサM5よりも下方の計測領域にある物体までの距離を計測するハッチセンサM5と、運転室50の底部に設けられる障害物センサM6であって、中心軸線A1の方向に見たときに、運転室50から放射状に拡がる計測領域にある物体までの距離を計測する障害物センサM6と、ハッチセンサM5からのデータに基づいて船倉5のハッチ7を検出し、障害物センサM6によって計測される物体までの距離をハッチ7までの距離と関連付けて蓄積する制御装置200と、を備える。このような構成によれば、障害物センサM6は、運転室50の底部の高さにおいて、運転室50に横から接近する物体を直接的に検出することができる。また、搬送部40が下方に移動し障害物センサM6が物体を通過した後に、制御装置200は、記憶装置202に蓄積される物体と、ハッチセンサM5のデータに基づいて位置付けされる現在の運転室50の位置と、に基づいて、運転室50に横から接近する物体を認識することができる。さらに、搬送部40が上方に戻る場合に、制御装置200は、記憶装置202に蓄積される物体と、ハッチセンサM5のデータに基づいて位置付けされる現在の運転室50の位置と、に基づいて、運転室50に横からまたは上方から接近する物体を認識することができる。したがって、船舶4上の物体との接触を防止することができる。
【0080】
また、アンローダ100では、障害物センサM6は、運転室50よりも下方にも計測領域を有する。したがって、障害物センサM6は、運転室50に下方から接近する物体を直接的に検出することができる。
【0081】
また、アンローダ100では、障害物センサM6は、2つの距離センサM61,M62を少なくとも有し、2つの距離センサM61,M62は、中心軸線A1に垂直な平面内において、互いに離間して運転室50の底部に取り付けられ、2つの距離センサM61,M62の各々が、中心軸線A1に沿って所定の角度範囲を有し、かつ、中心軸線A1の方向に見たときに、当該距離センサM61,M62から放射状に拡がる計測領域を有する。このような構成によれば、2つの距離センサM61,M62によって、運転室50から放射状に拡がる計測領域および運転室50の下方の計測領域を得ることができる。したがって、距離センサの数を減らすことができる。よって、距離センサのコストおよび距離センサのメンテナンスコストを節約することができる。
【0082】
また、アンローダ100では、搬送部40は、水平な走行方向と、走行方向に垂直な水平な横行方向と、に移動され、2つの距離センサM61,M62は、走行方向および横行方向の双方において、互いに離間する。このような構成によれば、搬送部40が薄い物体に向かって走行方向または横行方向に沿って移動する場合に、2つの距離センサM61,M62のいずれかが、薄い物体を検出することができる。したがって、走行方向または横行方向に沿って運転室50に接近する薄い物体を見逃すことを防止することができる。
【0083】
また、アンローダ100では、制御装置200は、運転室50の現在の位置と記憶装置202に蓄積される物体との間の距離が、所定の第1閾値および第2閾値以下であるか否かを判定する。このような構成によれば、少ないセンサを使用して、運転室50への物体の接近を自動的に検出することができる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範囲において、様々な変更または修正に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると理解される。また、上記実施形態の方法の工程は、上記の順番で実施されなくてもよく、技術的に矛盾が生じない限りにおいて、異なる順番で実施されてもよい。
【0085】
例えば、上記の実施形態では、制御装置200は、第1閾値および第2閾値の双方を使用して、運転室50に接近する物体を検出する。しかしながら、他の実施形態では、第1閾値または第2閾値のいずれか一方のみが使用されてもよい。この場合、ステップS110,S112またはステップS114,116のいずれかは、実施されなくてもよい。例えば、第1閾値は、通常の運用で運転室50が物体に接近してもよい任意の基準であり、また、第2閾値は、波による揺れ幅による任意の基準である。
【符号の説明】
【0086】
5 船倉
7 ハッチ
40 搬送部
42 エレベータ
43 掻取部
50 運転室
70 物体
71 物体
100 アンローダ(荷揚げ装置)
200 制御装置
202 記憶装置
A1 エレベータの中心軸線
M5 ハッチセンサ
M6 障害物センサ
M61 距離センサ
M62 距離センサ
T1 第1閾値(所定の閾値)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14