(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135184
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】粒状農薬組成物用分散剤及びそれを含む粒状農薬組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 23/52 20220101AFI20220908BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20220908BHJP
A01N 47/38 20060101ALI20220908BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20220908BHJP
A01N 47/36 20060101ALI20220908BHJP
A01N 47/30 20060101ALI20220908BHJP
A01N 57/16 20060101ALI20220908BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20220908BHJP
A01N 37/22 20060101ALI20220908BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20220908BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B01F17/52
A01N25/30
A01N47/38 A
A01P13/00
A01N47/36 101E
A01N47/30 C
A01N57/16 103C
A01P7/04
A01N37/22
A01N43/90 104
A01P3/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034821
(22)【出願日】2021-03-04
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-08-04
(71)【出願人】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 信臣
【テーマコード(参考)】
4D077
4H011
【Fターム(参考)】
4D077AB17
4D077AC05
4D077BA01
4D077BA02
4D077BA07
4D077DD12X
4D077DD17X
4D077DE02X
4D077DE07X
4D077DE09X
4D077DE10X
4D077DE12X
4H011AA01
4H011AB01
4H011AC01
4H011BA05
4H011BB06
4H011BB10
4H011BB14
4H011BB17
4H011BC19
4H011DH02
(57)【要約】
【課題】十分な硬度を有する粒状農薬組成物の造粒性に優れ、水中に投入されて、崩壊性(水中崩壊性)及び拡散性(水中拡散性)に優れる粒状農薬組成物を与える粒状農薬組成物用分散剤を提供する。
【解決手段】本発明の粒状農薬組成物用分散剤は、一般式(1)で表される化合物から形成された構造単位を、構造単位の全量に対して、50質量%以上含み、GPCによる質量平均分子量が50万以下であるビニル共重合体を含有することを特徴とする。
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基であり、R
4は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R
5は、炭素原子数2~4のアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、nは1~300の整数である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物から形成された構造単位(s1)を、構造単位の全量に対して、50質量%以上含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる質量平均分子量が50万以下であるビニル共重合体を含有することを特徴とする粒状農薬組成物用分散剤。
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基であり、R
4は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R
5は、炭素原子数2~4のアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、nは1~300の整数である。)
【請求項2】
前記ビニル共重合体が、更に、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選ばれた少なくとも1つの化合物から形成された構造単位(s2)を含む請求項1に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
【化2】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基又は-(CH
2)
xCOOM
2であり、xは0~2の整数であり、M
1及びM
2は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、アルカリ金属原子又は有機アンモニウム基である。)
【化3】
(式中、R
9及びR
10は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基である。)
【請求項3】
前記ビニル共重合体を構成する前記構造単位(s1)及び前記構造単位(s2)の構成割合の合計を100質量%とした場合に、前記構造単位(s1)の構成割合が50~99質量%であり、前記構造単位(s2)の構成割合が1~50質量%である請求項2に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
【請求項4】
前記一般式(1)において、R5は、エチレン基及びプロピレン基から選ばれた少なくとも1つであり、nは5~150の整数である請求項1から3のいずれか一項に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
【請求項5】
前記ビニル共重合体を構成する前記構造単位(s1)及び前記構造単位(s2)の構成割合の合計を100質量%とした場合に、前記構造単位(s1)の構成割合が60~95質量%であり、前記構造単位(s2)の構成割合が5~40質量%である請求項2から4のいずれか一項に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
【請求項6】
前記ビニル共重合体の質量平均分子量が10000~300000である請求項1から5のいずれか一項に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の粒状農薬組成物用分散剤と、農薬活性成分と、増量剤とを含有することを特徴とする粒状農薬組成物。
【請求項8】
前記粒状農薬組成物用分散剤、前記農薬活性成分及び前記増量剤の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記粒状農薬組成物用分散剤の含有割合が0.1~10質量部であり、前記農薬活性成分の含有割合が0.01~40質量部であり、前記増量剤の含有割合が1~99質量部である請求項7に記載の粒状農薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に投入される粒状農薬組成物に関し、水中崩壊性及び水中拡散性に優れる粒状農薬組成物を与える粒状農薬組成物用分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業で用いられる農薬は、農薬活性成分のみからなるもの、又は、農薬活性成分と、他の成分とを含有する混合物からなるものである。そして、農業従事者による計量又は散布の容易性や、農薬活性成分が粉末である場合にこれを散布時等に直接、吸引することが抑制される等の観点から、粒状等に造粒された農薬が広く使用されている。このような造粒物は、例えば、農薬活性成分と、固体担体、結合剤、界面活性剤等とを均一混合させた後、得られた混合物を成形して製造される。
【0003】
例えば、湛水状態の水田に散布する粒状農薬は、水中に投入された後、農薬活性成分が速やかに拡散され、防除効果が発揮されることが求められている。そして、このような粒状農薬の検討が広く行われている。
【0004】
特許文献1には、農薬活性成分、縮合リン酸塩、ポリカルボン酸塩、ベントナイト及び炭酸カルシウムを含有する粒状農薬組成物であって、硬度が0.01~2%である粒状農薬組成物が開示されている。
特許文献2には、水難溶性で固体の除草剤成分とポリアクリル酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩である陰イオン系界面活性剤及び固体担体を含む水田用除草粒剤が開示されている。
【0005】
特許文献3には、分子内活性水素基を1~6個有し且つ炭素数が1~6個である活性水素化合物にアルキレンオキサイドが付加されたポリグリコールエーテルであって、該アルキレンオキサイドとしてエチレンオキサイド/プロピレンオキサイドが90~15/10~85(重量%)の比率で付加された、分子量が500~20000のポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコールエーテルの50~20重量%と、無水マレイン酸とこれと共重合可能な炭素数2~8のα,β-不飽和脂肪族炭化水素との等モル共重合物がケン化されたポリカルボン酸塩であって、重合度が15~150のポリカルボン酸塩の50~80重量%からなる農薬粒剤用崩壊拡展助剤並びにそれを含む農薬粒剤が開示されている。
【0006】
特許文献4には、農薬活性成分、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル系界面活性剤またはポリオキシプロピレンアリールフェニルエーテル系界面活性剤、スルホネート系界面活性剤およびカルボキシメチルセルロース塩を含有する固形農薬組成物が開示されている。
また、特許文献5には、ベントナイト及びシリケートの混合物、スルホサクシネート界面活性剤及びポリカルボン酸の混合物、並びに、殺有害生物剤を含む殺有害生物剤粒剤であって、ベントナイトのシリケートに対する重量比が10:1~1:10である、殺有害生物剤粒剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-99569号公報
【特許文献2】特開1998-109903号公報
【特許文献3】特開1990-88502号公報
【特許文献4】特開2013-103891号公報
【特許文献5】特開2018-534308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術によれば、造粒性が十分ではない、造粒物である粒状農薬の硬度が十分ではない、及び、粒状農薬が水中に投入された場合に崩壊性(水中崩壊性)及び拡展性(水中拡散性)が十分でない、のいずれかの不具合があった。
本発明の課題は、十分な硬度を有する粒状農薬組成物の造粒性に優れ、水中に投入されて、崩壊性及び拡散性に優れる粒状農薬組成物を与える粒状農薬組成物用分散剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく、鋭意研究した結果、特定の不飽和単量体に由来する構造単位を含み、質量平均分子量が50万以下であるビニル共重合体を含有する粒状農薬組成物用分散剤が粒状農薬組成物の製造に好適であることを見い出した。
本発明は、以下に示される。
【0010】
本発明の粒状農薬組成物用分散剤は、下記一般式(1)で表される化合物から形成された構造単位(s1)を、構造単位の全量に対して、50質量%以上含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる質量平均分子量が50万以下であるビニル共重合体を含有することを特徴とする。
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基であり、R
4は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R
5は、炭素原子数2~4のアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、nは1~300の整数である。)
【0011】
本発明において、上記ビニル共重合体は、更に、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選ばれた少なくとも1つの化合物から形成された構造単位(s2)を含むことが好ましい。
【化2】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基又は-(CH
2)
xCOOM
2であり、xは0~2の整数であり、M
1及びM
2は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、アルカリ金属原子又は有機アンモニウム基である。)
【化3】
(式中、R
9及びR
10は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基である。)
【0012】
本発明の粒状農薬組成物は、上記本発明の粒状農薬組成物用分散剤と、農薬活性成分と、増量剤とを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粒状農薬組成物用分散剤は、上記特定のビニル共重合体を含有するため、十分な硬度を有する粒状農薬組成物の造粒性に優れ、水中に投入された際に、水中崩壊性及び水中拡散性に優れる粒状農薬組成物の製造に用いる助剤として好適である。
また、本発明の粒状農薬組成物は、十分な硬度を有する粒状農薬組成物の造粒性に優れ、水中に投入された際に、水中崩壊性及び水中拡散性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の粒状農薬組成物用分散剤は、下記一般式(1)で表される化合物から形成された構造単位(s1)を、共重合体を構成する構造単位の全量に対して、50質量%以上含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる質量平均分子量が50万以下であるビニル共重合体(以下、「ビニル共重合体(P)」という)を含有する。
【化4】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基であり、R
4は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、R
5は、炭素原子数2~4のアルキレン基であり、pは0~5の整数であり、qは0又は1であり、nは1~300の整数である。)
【0015】
上記一般式(1)において、R1、R2及びR3は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基である。本発明において、R1、R2及びR3は、それぞれ、水素原子、メチル基及び水素原子の組合せ、又は、水素原子、水素原子及び水素原子の組合せであることが好ましい。
【0016】
上記一般式(1)において、R4は、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。炭化水素基の場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基又はオレイル基とすることができる。上記炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。本発明において、R4は、水素原子又は炭素原子数1~4の炭化水素基であることが好ましい。
【0017】
上記一般式(1)において、R5は、炭素原子数2~4のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基又はブチレン基とすることができる。これらのうち、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。
【0018】
上記一般式(1)において、pは0~5の整数であり、好ましくは0~2の整数である。qは0又は1である。また、nは1~300の整数であり、好ましくは5~150の整数である。尚、nが2以上の場合は、上記一般式(1)における-R5O-のR5は、互いに同一であっても異なってもよいので、R5が互いに異なる、2種又は3種の-R5O-、例えば、-CH2CH2O-及び-CH(CH3)CH2O-が、規則的あるいは不規則的に連なって結合し、全体として、-(R5O)n-の構造を有する。
【0019】
上記ビニル共重合体(P)に含まれる構造単位(s1)は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0020】
上記ビニル共重合体(P)において、共重合体を構成する構造単位の合計量を100質量%とすると、構造単位(s1)の含有割合は、水中に投入された場合、水中崩壊性及び水中拡散性に優れる粒状農薬組成物が得られることから、50質量%以上であり、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。構造単位(s1)の含有割合の上限は、通常、100質量%であり、好ましくは99質量%である。
【0021】
上記ビニル共重合体(P)は、他の構造単位を含むことができる。他の構造単位は、重合性不飽和結合の数が、少なくとも1つ、特に好ましくは1つである化合物(単量体)に由来するものであれば、特に限定されない。
本発明において、他の構造単位は、好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物及び下記一般式(3)で表される化合物から選ばれた少なくとも1つの化合物から形成された構造単位(s2)である。
【化5】
(式中、R
6、R
7及びR
8は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基又は-(CH
2)
xCOOM
2であり、xは0~2の整数であり、M
1及びM
2は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、アルカリ金属原子又は有機アンモニウム基である。)
【化6】
(式中、R
9及びR
10は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子又はメチル基である。)
【0022】
上記一般式(2)において、R6、R7及びR8は、互いに、同一でも異なってもよく、水素原子、メチル基又は-(CH2)xCOOM2(xは0~2の整数であり、M2は水素原子、アルカリ金属原子又は有機アンモニウム基である)である。-(CH2)xCOOM2は、xの数によって、-COOM2、-CH2COOM2、又は、-CH2CH2COOM2とすることができる。M2がアルカリ金属原子である場合、Li、Na、K等とすることができる。これらのうち、Naが好ましい。
本発明において、R6、R7及びR8は、それぞれ、水素原子、メチル基及び水素原子の組合せ、水素原子、水素原子及び水素原子の組合せ、水素原子、カルボキシメチル基及び水素原子の組合せ、又は、カルボキシ基、水素原子及び水素原子の組合せであることが好ましい。これらの官能基等とした好ましい化合物は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸及びフマル酸である。
【0023】
上記一般式(3)において、R9及びR10は、水素原子又はメチル基であるため、この一般式(3)で表される化合物は、無水マレイン酸、無水シトラコン酸及びジメチルマレイン酸無水物である。これらのうち、無水マレイン酸が好ましい。
【0024】
上記構造単位(s2)は、上記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位、及び、上記一般式(3)で表される化合物に由来する構造単位のいずれか一方であってよいし、上記一般式(2)で表される化合物に由来する構造単位の1種又はそれ以上と、上記一般式(3)で表される化合物に由来する構造単位の1種又はそれ以上とからなるものであってもよい。
【0025】
上記ビニル共重合体(P)が、構造単位(s2)を含む場合、その含有割合の上限は、好ましくは50質量%、より好ましくは45質量%、更に好ましくは40質量%である。
【0026】
上記ビニル共重合体(P)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる質量平均分子量は、造粒性、粒硬度、水中崩壊性及び水中拡展性の観点から、50万以下であり、好ましくは40万以下、より好ましくは30万以下である。尚、下限値は、通常、2,000、好ましくは10,000である。尚、上記ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの測定条件は、〔実施例〕に記載される。
【0027】
本発明に係るビニル共重合体(P)は、上記構成を有することから、通常、水溶性を有する。
本発明の粒状農薬組成物用分散剤に含有されるビニル共重合体(P)は、1種のみ又は2種以上とすることができる。
【0028】
本発明の粒状農薬組成物用分散剤は、上記ビニル共重合体(P)のみからなるものであってよいし、上記ビニル共重合体(P)と、他の成分とからなるものであってもよい。他の成分としては、他の重合体、界面活性剤、防腐剤、安定剤、pH調整剤、液状媒体等が挙げられる。
【0029】
他の重合体としては、上記一般式(1)で表される化合物から形成された構造単位(s1)を、共重合体を構成する構造単位の全量に対して、50質量%未満で含むビニル共重合体、上記一般式(1)で表される化合物から形成された構造単位(s1)を、共重合体を構成する構造単位の全量に対して、50質量%以上含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる質量平均分子量が50万を超えるビニル共重合体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、アミノスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ジイソブチレン・マレイン酸共重合体、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム等の多糖類、カゼイン及びその誘導体、ゼラチン及びその誘導体等が挙げられる。
【0030】
本発明の粒状農薬組成物用分散剤が他の重合体を含有する場合、他の重合体の含有割合の上限は、上記ビニル共重合体(P)の含有割合を100質量部としたときに、好ましくは100質量部、より好ましくは50質量部である。
【0031】
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれでもよく、これらの2種以上であってもよいが、アニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、飽和又は不飽和の脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンモノ又はジアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ又はジアルケニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノ又はジフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテルリン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。
【0032】
本発明の粒状農薬組成物用分散剤が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有割合の上限は、上記ビニル共重合体(P)の含有割合を100質量部としたときに、好ましくは200質量部、より好ましくは100質量部である。
【0033】
液状媒体としては、水、有機溶剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の粒状農薬組成物は、ビニル共重合体(P)、農薬活性成分及び増量剤を含有する物品であり、その製造の際には、ビニル共重合体(P)と、農薬活性成分と、増量剤と、液状媒体とを含有する混合物を用いることがある。このとき、混合物中の液状媒体は、予め、ビニル共重合体(P)とともに併含された粒状農薬組成物用分散剤に由来するものであってよいし、液状媒体を含有しない粒状農薬組成物用分散剤と、併用されたものであってもよい。
【0035】
上記農薬活性成分としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、抗ウイルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、誘引剤、忌避剤等が挙げられる。これらの農薬活性成分は、水溶性及び水不溶性のいずれでもよい。本発明の粒状農薬組成物に含まれる農薬活性成分は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
【0036】
上記除草剤としては、アイオキシニル、アジムスルフロン、アシュラム、アトラジン、アニロホス、アラクロール、イソウロン、イソキサベン、イマザキン、イマザピル、イマゾスルフロン、インダノファン、エスプロカルブ、エトキシスルホン、エトベンザニド、オキサジアゾン、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、オルソベンカーブ、オリザリン、カフェンストロール、カルフェントラゾンエチル、カルブチレート、キザロホップメチル、クミルロン、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩、グリホサートトリメシウム塩、グルホシネート、クレトジム、クロメプロップ、クロルフタリム、シアナジン、シクロスルファムロン、ジクワット、ジチオピル、シデュロン、シノスルフロン、シハロホップブチル、ジフルフェニカン、ジメタメトリン、ジナテナミド、シメトリン、シンメトリン、セトキシジム、ダイムロン、ダゾメット、チフェンスルフロンメチル、デスメディファム、テトラピオン、テニルクロール、テプラロキシジム、トリアジフラム、トリクロピル、トリフルラリン、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ニコスルフロン、パラコート、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ビスピリバックナトリウム塩、ビフェノックス、ピラゾキシフェン、ピラゾスルフロンメチル、ピラゾエート、ピラフルフェンチオン、ピリフタリド、ピリブチカルブ、ピリミノバックメチル、フェノチオール、フェントラザミド、フェンメディファム、ブタクロール、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップ、フルチアセットメチル、フルミオキサジン、プレチラクロール、プロジアミン、プロピサミド、ブロマシル、プロメトリン、ブロモブチド、フロラスラム、ベスロジン、ベンスルフロンメチル、ベンゾフェナップ、ベンゾビシクロン、ベンタゾンナトリウム塩、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ペントキサゾン、ベンフレセート、メタミトロン、メトスルフロンメチル、メトラクロール、メトリブジン、メフェナセット、モリネート、リニュロン、リムスルフロン、レナシル、ACN,シマジン、ジクロベニル、クロルチアミド、ジウロン、プロパニル、MCP、MCPイソプロピルアミン塩、MCPB、MCPP、MDBA、MDBAイソプロピルアミン塩、PAC、SAP、2,4-PA等が挙げられる。
【0037】
上記殺虫剤としては、アクリナトリン、アセキノシル、アセタミプリド、アセフェート、アミトラズ、アラニカルブ、アレスリン、イソキサチオン、イミダクロプリド、インドキサカルブMP、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチプロール、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エマメクチン安息香酸塩、塩酸レバミゾール、オキサミル、カズサホス、カルタップ塩酸塩、カルボスルファン、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロマフェノジド、クロルピリホス、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、シクロプロトリン、ジノテフラン、シフルトリン、ジメトエート、スピノサド、ダイアジノン、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラムシュウ酸塩、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、トラロメトリン、トルフェンピラド、ノバルロン、ハルフェンプロックス、ビフェナゼート、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、ピレトリン、フィプロニル、フェニソブロモエート、フェノチオカルブ、フルアクリピリム、フルシトリネート、フルバリネート、フルフェノクスロン、プロパホス、プロフェノホス、ヘキシチアゾクス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンフラカルブ、ボーベリア・バシアーナ、ボーベリア・ブロンニアティ、ホサロン、マラソン、メスルフェンホス、メソミル、メトキシフェノジド、ルフェヌロン、BPMC、BT(バチルス・チューリンゲンシス菌)、メチダチオン、フェニトロチオン、イソプロカルブ、フェンチオン、NAC等が挙げられる。
【0038】
上記殺菌剤としては、アシベンゾランSメチル、アゾキシストロビン、アンバム、硫黄、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、オキサジキシル、オキシテトラサイクリン、オキスポコナゾールフマル酸塩、オキソリニック酸、カスガマイシン、カルプロパミド、キノメチオナート、キャプタン、クレソキシムメチル、クロロネブ、シアゾファミド、ジエトフェンカルブ、ジクロシメット、ジクロメジン、ジチアノン、ジネブ、ジフェノコナゾール、シフルフェナミド、ジフルメトリム、シプロコナゾール、シプロジニル、シメコナゾール、ジメトモルフ、シモキサニル、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナスCAB-02、ジラム、水和硫黄、ストレプトマイシン、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、チアジアジン、チアジニル、チアベンダゾール、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テクロフタラム、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリアジン、トリコデルマ・アトロビリデ、トリシクラゾール、トリフルミゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トルクルホスメチル、バチルスズブチリス、バリダマイシン、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ファモキサドン、フェナリモル、フェノキサニル、フェリムゾン、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フサライド、フラメトピル、フルアジナム、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロベナゾール、ヘキサコナゾール、ベノミル、ペフラゾエート、ペンシクロン、ボスカリド、ホセチル、ポリカーバメート、マンゼブ、マンネブ、ミクロブタニル、ミルディオマイシン、メタスルホカルブ、メトミノストロビン、メパニピリム、有機銅、硫酸亜鉛、硫酸銅、エジフェンホス、イプロベンホス、クロロタロニル等が挙げられる。
【0039】
上記増量剤としては、クレー、珪石、タルク、白土、珪藻土、シリカ、ベントナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、トリポリリン酸、コーンスターチ、乳糖、塩化カリウム、尿素等を含む粉末が挙げられる。
【0040】
本発明の粒状農薬組成物において、粒状農薬組成物用分散剤、農薬活性成分及び増量剤の含有割合は、十分な硬度を有するとともに、水中に投入されて、崩壊性及び拡散性に優れることから、これらの合計を100質量部とした場合に、それぞれ、0.1~10質量部、0.01~40質量部及び1~99質量部であり、好ましくは、0.5~8質量部、0.2~35質量部及び10~98質量部である。
【0041】
本発明の粒状農薬組成物は、必要に応じて、上記において、本発明の粒状農薬組成物用分散剤が含有可能な他の重合体、界面活性剤及び液状媒体や、安定剤、崩壊促進剤、溶出制御剤、溶出促進剤等を含有することができる。液状媒体を含有する場合、液状媒体の含有割合の上限は、粒状農薬組成物用分散剤(液状媒体を除く純分)、農薬活性成分及び増量剤の含有割合の合計を100質量部とした場合に、通常、30質量部である。
本発明の粒状農薬組成物は、通常、造粒物(成形物)であり、その形状及びサイズは、特に限定されない。
【0042】
本発明の粒状農薬組成物は、粒状農薬組成物用分散剤、農薬活性成分及び増量剤を含有する原料組成物を、スクリュー型成形機、ロール型成形機、ブレード型成形機等を用いた押出成形;プレス成形等に供することにより、製造することができる。原料組成物は、液状媒体を含有することができ、この場合、液状媒体の含有割合の上限は、粒状農薬組成物用分散剤(液状媒体を除く純分)、農薬活性成分及び増量剤の含有割合の合計を100質量部とした場合に、通常、30質量部である。このような原料組成物を用いることは、本発明の粒状農薬組成物用分散剤ではない他の分散剤を含む原料組成物を押出成形した場合に比べて、成形機への負荷が小さく、好適である。
【実施例0043】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0044】
1.ビニル共重合体の合成
表1に示す単量体(構造単位(s1)形成用化合物)、表2に示す単量体(構造単位(s2)形成用化合物)等を用いて、ビニル共重合体を合成し、粒状農薬組成物用分散剤とした。そして、東ソー社製「HLC-8420GPC」(型式名)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ビニル共重合体の質量平均分子量を測定した(表3参照)。
〔GPC測定条件〕
カラム:昭和電工社製「Shodex GPC-101」(型式名)
溶媒:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流速:0.7mL/分
検出器:示差屈折計
検出温度:40℃
標準物質:アジレント・テクノロジー社製「PEG/PEO」
【0045】
【0046】
【0047】
合成例1
イオン交換水115.4gを、撹拌機を備えた反応容器に加え、窒素パージを行い、撹拌しながら湯水浴で65℃に保ち、10%過硫酸ナトリウム水溶液41.8gを3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水206.3gにα-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(22モル)オキシエチレン(L-1)256.3g、メタクリル酸(M-1)35.0g及び3-メルカプトプロピオン酸2.9gを溶解させた水溶液を2時間かけて滴下し、重合反応を進めた。滴下終了後、反応容器内を65℃で更に1時間保持した。反応終了後、冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、イオン交換水にて濃度を調整し、ビニル共重合体(P-1)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0048】
合成例4、8、13及び27
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例1と同様の操作を行って、各ビニル共重合体の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0049】
合成例2
イオン交換水206.9g、α-メタクリロイル-ω-メトキシーポリ(9モル)オキシエチレン(L-2)168.4g、メタクリル酸(M-1)23.0g及び3-メルカプトプロピオン酸1.7gを、撹拌機を備えた反応容器に加え、窒素パージを行い、撹拌しながら湯水浴で65℃まで昇温した。その後、10%過硫酸ナトリウム水溶液28.1g加え、重合反応を開始した。反応系の温度を65℃に保持して2時間反応させた後、20%過硫酸ナトリウム水溶液9.4gを加え、65℃を保持しながら更に2時間反応させた。反応終了後、冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、イオン交換水にて濃度を調整し、ビニル共重合体(P-2)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0050】
合成例5、9~12、21、23、25及び26
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例2と同様の操作を行って、各ビニル共重合体の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0051】
合成例3
α-アリル-ω-メトキシ-ポリ(10モル)オキシエチレン(L-3)164.0g及び無水マレイン酸(M-5)36.0gを、撹拌機を備えた反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し、湯水浴で80℃に昇温した。2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.0gを添加し、重合反応を開始した。反応系の温度を80℃に保持して1時間反応させた後、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル2.0gを加え、80℃を保持しながら更に3時間反応させた。次いで、イオン交換水100.0gを加え、冷却した後、30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを6に調整し、イオン交換水にて濃度を調整し、ビニル共重合体(P-3)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0052】
合成例14
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例3と同様の操作を行って、ビニル共重合体(P-14)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0053】
合成例6
イオン交換水88.7gとα-アリル-ω-ヒドロキシ-ポリ(40モル)オキシエチレン(L-6)173.8gを、撹拌機を備えた反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し撹拌しながら、徐々に加温した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過酸化水素3.5%水溶液9.9gを3時間かけて滴下し、それと同時にイオン交換水94.8gにアクリル酸(M-2)19.8g及びメタクリル酸(M-1)4.0gを溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時にイオン交換水5.5gにL-アスコルビン酸0.8g及び3-メルカプトプロピオン酸0.6gを溶解させた水溶液を4時間かけて反応させた。すべての水溶液を滴下終了後、70℃で30分間保持した。得られた反応液を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、更に、イオン交換水を加え、ビニル共重合体(P-6)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0054】
合成例28、31及び32並びに比較合成例1
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例6と同様の操作を行って、各ビニル共重合体の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0055】
合成例7
イオン交換水111.2g、α-ビニル-ω-ヒドロキシ-ポリ(30モル)オキシエチレン(L-7)178.3g及び30%水酸化ナトリウム水溶液26.3gを、撹拌機を備えた反応容器に仕込み、撹拌しながら温水浴で30℃とした。連続して、FeSO4・7H2O400mg及び35%過酸化水素水4.8gを加え、すぐにイオン交換水63.0gにアクリル酸(M-2)59.4g、3-メルカプトプロピオン酸2.4g及びL-アスコルビン酸1.2gを溶解した水溶液を30分かけて滴下した。その後、温度を50℃で1時間保持した。得られた反応液を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、更にイオン交換水を加え、ビニル共重合体(P-7)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0056】
合成例15及び20並びに比較合成例3
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例7と同様の操作を行って、各ビニル共重合体の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0057】
合成例16
イオン交換水106.0g、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(25モル)オキシエチレン(L-14)92.3g、メタクリル酸(M-1)7.7g、3-メルカプトプロピオン酸2.2g、30%水酸化ナトリウム水溶液15.7g及びメタリルスルホン酸ナトリウム2.3gを反応容器に加え、窒素パージを行い、撹拌しながら湯水浴で65℃まで昇温した。10%過硫酸ナトリウム水溶液20.6g加え、重合反応を開始した。反応系の温度を65℃で2時間保持した後、20%過硫酸ナトリウム水溶液7.7gを加え、更に、65℃で2時間反応させた。反応終了後、冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整し、イオン交換水にて濃度を調整し、ビニル共重合体(P-16)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0058】
合成例17
表3に記載の単量体の所定量を用い、メタリルスルホン酸ナトリウム2.3gをアクリル酸メチル5.7gへ変更した以外は、合成例16と同様の操作を行って、ビニル共重合体(P-17)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0059】
合成例18
イオン交換水139.8g及びα-(3-メチル-3-ブテニル)-ω-ヒドロキシ-ポリ(113モル)オキシエチレン(L-16)176.4gを、撹拌機を備えた反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し撹拌しながら、徐々に加温した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過酸化水素3.5%水溶液8.8gを3時間かけて滴下し、それと同時にイオン交換水39.2gにアクリル酸(M-2)19.6gを溶解させた水溶液を3時間かけて滴下し、それと同時にイオン交換水11.0gにL-アスコルビン酸0.8g及び3-メルカプトプロピオン酸2.0gを溶解させた水溶液を4時間かけて滴下し、重合反応させた。すべての水溶液を滴下終了後、70℃で30分間保持した。得られた反応液を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、更にイオン交換水を加え、ビニル共重合体(P-18)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0060】
合成例19及び30
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例18と同様の操作を行って、各ビニル共重合体の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0061】
合成例22
イオン交換水79.4g及びフマル酸(M-4)9.9gを、撹拌機を備えた反応容器に仕込み、雰囲気を窒素置換し撹拌しながら、徐々に加温した。反応系の温度を温水浴にて70℃に保ち、過硫酸ナトリウム10%水溶液39.7gを3時間かけて滴下し、それと同時に、イオン交換水124.1gにα-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(3モル)オキシエチレン(L-20)188.6g及び3-メルカプトプロピオン酸0.5gを溶解させた水溶液を2時間かけて滴下し反応させた。すべての水溶液を滴下終了後、70℃で30分保持した。得られた共重合物を冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、更にイオン交換水を加え、ビニル共重合体(P-22)の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0062】
合成例24及び29
表3に記載の単量体の所定量を用い、連鎖移動剤の使用量を、適宜、調整して、合成例22と同様の操作を行って、各ビニル共重合体の40%水溶液を得た(表3参照)。
【0063】
比較合成例2
イオン交換水553.5gと、α-メタクリロイル-ω-メトキシ-ポリ(22モル)オキシエチレン88.9gと、メタクリル酸11.0gと、3-メルカプトプロピオン酸0.1gとを、撹拌機を備えた反応容器に加え、窒素パージを行い、撹拌しながら湯水浴で65℃まで昇温した。過酸化水素3.5%水溶液11.0g加え、重合反応を開始した。反応系の温度を65℃で3時間保持した後、過酸化水素3.5%水溶液2.2gを加え、更に65℃で3時間反応させた。反応終了後、冷却し、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、イオン交換水にて濃度を調整し、ビニル共重合体(PP-2)の10%水溶液を得た(表3参照)。
【0064】
【0065】
2.粒状農薬組成物の製造及び評価
合成例1~32及び比較合成例1~3で得られたビニル共重合体又は下記の水溶性高分子(Q-1)~(Q-4)を粒状農薬組成物用分散剤として用い、更に、増量剤、農薬活性成分、及び、その他成分を用いて、粒状農薬組成物を製造し、各種評価(造粒性、水中崩壊性、水中拡散性及び粒硬度)を行った。
【0066】
・水溶性高分子
(Q-1):ポリアクリル酸Na(Mw=10000)
(Q-2):マレイン酸イソブチレン共重合物Na(Mw=5000)
(Q-3):ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na
(Q-4):トリスチリルフェニルエーテルサルフェートNH4
【0067】
・増量剤
(T-1):クレー
(T-2):炭酸カルシウム
(T-3):ベントナイト
(T-4):珪藻土
(T-5):エボニックジャパン社製「シペルナート22S」(商品名)
(T-6):トリポリリン酸
(T-7):コーンスターチ
【0068】
・農薬活性成分
(Z-1)カフェンストロール
(Z-2)ベンスルフロンメチル
(Z-3)ダイムロン
(Z-4)プレチラクロール
(Z-5)ダイアジノン
(Z-6)トリシクラゾール
【0069】
・その他成分
(S-1)アルキル(C10-14)ベンゼンスルホン酸Na
(S-2)アルキル(C10-14)サルフェートNa
(S-3)ジオクチルスルホサクシネートNa
(S-4)POE(3)オクチルエーテルホスフェートK
(S-5)ジブチルナフタレンスルホン酸Na
(S-6)α-オレフィンスルホン酸Na
【0070】
実施例1~36及び比較例1~9
表4~表7に記載の配合割合で、各成分を混合し、農薬組成物を得た。次いで、各農薬組成物(固形分)の100質量部に対して、水の含有割合が14質量部となるように水を添加し、撹拌混練することにより、均一な混合物を得た。そして、この混合物を、1.2mm径のスクリーンを装着した不二パウダル社製スクリュー型押出成形機「DG-L1」(型式名)を用いた押出成形に供した後、ヤマト科学社製乾燥機「パルビスミニスプレーGB210A」を用いて、60℃にて30分間乾燥し、長さ約3mmに整粒して、円柱状(直径1.2mm及び長さ3mm)の粒体を作製した。尚、押出成形条件は、モーターのインバーター周波数20Hz、シャフトの回転数32rpmである。
【0071】
本例における評価方法を以下に示す。
・造粒性
上記の押出成形条件とした際の、押出成形機に加わる押出最大負荷(混合物投入直後から350秒経過後の間における最高トルク電圧(V))及び押出最小負荷に基づいて、以下の基準で、押出抵抗(造粒性)を評価した。
◎:3.9V以下
○:4.0V以上4.9V以下
×:5.0V以上
【0072】
・水中崩壊性
平成14年1月10日付け13生産第3987号農林水産省生産局長通知の別添1「農薬の物理的化学的性状及び経時的安定性に関する検査の実施に係る指針」に記載された水中崩壊性検査方法に準拠し行った。具体的には、直径9cmのガラス製シャーレに水(10硬度水)50mlを入れて静置し、粒体5粒を、間隔がほぼ均一になるように投入した。投入直後から粒体が原形をとどめなくなるまでの時間を測定し、以下の基準で、水中崩壊性を評価した。
【0073】
(判定基準)
◎:粒体は、60秒未満に完全崩壊した。
○:粒体は、60秒以上2分未満に完全崩壊した。
×:粒体は、崩壊に2分以上かかったか、あるいは、ほとんど崩壊しなかった。
【0074】
・水中拡散性
直径9cmのガラス製シャーレに水(10硬度水)50mlを入れて静置し、粒体1粒をシャーレの中央に静かに投入し、水中にて崩壊させ、農薬組成物を拡散させた。拡散する様子を、投入してから5秒後及び20分後に写真撮影をして、それぞれの農薬粒剤の拡がり面積B(5秒後)及びA(20分後)を測定した。そして、AをBで除して、A/B値を算出し、以下の基準で水中拡展性を評価した。
【0075】
(判定基準)
◎:A/B≧13
○:8≦A/B<13
×:A/B<8
【0076】
・粒硬度
粒体を32メッシュの標準篩を用いて分級し、網上に残った粒体を、粒硬度測定用の試料とした。これらの試料100gを精秤し、直径約30mm、質量約35gの磁製ボール3個の入ったボールミル磁製ポットに入れ、回転速度75rpmで10分間回転させた。次いで、ポットから内容物を取り出し、32メッシュの標準篩を用いて再び分級し、通過した微粉の質量(「W(g)」とする)を精秤した。そして、次式により算出した粒硬度(「S(%)」とする)により、下記の基準で評価した。
粒硬度(S(%))=(W(g)/100(g))×100
【0077】
(判定基準)
◎:S≦5
○:10≧S>5
×:S>10
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
実施例1~36によれば、得られた粒体は、十分な硬度を有するとともに、水中に投入された際に、優れた水中崩壊性及び水中拡散性を有することが分かる。また、実施例20、21、22及び34は、本発明の粒状農薬組成物用分散剤に係るビニル共重合体と、従来、公知の水溶性重合体とを併用した例であるが、従来、公知の水溶性重合体を少量含有する場合であっても、本発明の効果を得ることができた。
本発明の粒状農薬組成物用分散剤は、農薬活性成分等と混合して、十分な硬度を有する造粒物(粒状農薬組成物)の形成に好適である。従って、得られた本発明の粒状農薬組成物は、例えば、湛水状態の水田への散布が容易なものとなり、水中に投入された際に、優れた水中崩壊性及び水中拡散性を発揮し、農薬活性成分による迅速な効果を得ることができる。
前記ビニル共重合体を構成する前記構造単位(s1)及び前記構造単位(s2)の構成割合の合計を100質量%とした場合に、前記構造単位(s1)の構成割合が50~99質量%であり、前記構造単位(s2)の構成割合が1~50質量%である請求項1に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
前記ビニル共重合体を構成する前記構造単位(s1)及び前記構造単位(s2)の構成割合の合計を100質量%とした場合に、前記構造単位(s1)の構成割合が60~95質量%であり、前記構造単位(s2)の構成割合が5~40質量%である請求項1から3のいずれか一項に記載の粒状農薬組成物用分散剤。
前記粒状農薬組成物用分散剤、前記農薬活性成分及び前記増量剤の含有割合の合計を100質量部とした場合に、前記粒状農薬組成物用分散剤の含有割合が0.1~10質量部であり、前記農薬活性成分の含有割合が0.01~40質量部であり、前記増量剤の含有割合が1~99質量部である請求項6に記載の粒状農薬組成物。
上記ビニル共重合体(P)は、他の構造単位を含むことができる。他の構造単位は、重合性不飽和結合の数が、少なくとも1つ、特に好ましくは1つである化合物(単量体)に由来するものであれば、特に限定されない。