(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135210
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】半導体発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20220908BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20220908BHJP
H01L 33/14 20100101ALI20220908BHJP
H01L 33/38 20100101ALI20220908BHJP
H01L 33/42 20100101ALI20220908BHJP
H01L 33/04 20100101ALI20220908BHJP
H01S 5/32 20060101ALI20220908BHJP
H01S 5/34 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/24
H01L33/14
H01L33/38
H01L33/42
H01L33/04
H01S5/32
H01S5/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034859
(22)【出願日】2021-03-04
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、文部科学省、「省エネルギー社会の実現に資する次世代半導体研究開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(71)【出願人】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】奥野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】水谷 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大矢 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】飯田 一喜
(72)【発明者】
【氏名】上山 智
(72)【発明者】
【氏名】竹内 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 素顕
(72)【発明者】
【氏名】赤▲崎▼ 勇
【テーマコード(参考)】
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
5F173AA23
5F173AA53
5F173AC54
5F173AF12
5F173AF92
5F173AH22
5F173AP05
5F173AP13
5F173AR23
5F241AA03
5F241CA05
5F241CA08
5F241CA10
5F241CA23
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA88
5F241CB02
5F241CB22
(57)【要約】
【課題】 3次元的な微細構造の活性層を有する半導体発光素子の発光層を選択的に発光させることを図った半導体発光素子を提供することである。
【解決手段】 半導体発光素子100は、n型半導体層112と、n型半導体層112の上の複数の柱状半導体130と、複数の柱状半導体130の間の隙間を埋める埋込層140と、電流を抑制する電流抑制領域X1と、を有する。複数の柱状半導体130は、六角柱形状の六角柱部131と、六角柱部131を覆う活性層132と、を有する。六角柱部131は、六角形の第1面131aと第1面131aの反対側の第2面131bとを有する。複数の柱状半導体130の第1面131aは、n型半導体層112と対面している。複数の柱状半導体130の第2面131bは、電流抑制領域X1と対面している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地層と、
前記下地層の上の複数の柱状半導体と、
前記複数の柱状半導体の間の隙間を埋める埋込層と、
電流を抑制する電流抑制領域と、
を有し、
前記複数の柱状半導体は、
六角柱形状の六角柱部と、
前記六角柱部を覆う活性層と、を有し、
前記六角柱部は、
六角形の第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有し、
前記複数の柱状半導体の前記第1面は、
前記下地層と対面しており、
前記複数の柱状半導体の前記第2面は、
前記電流抑制領域と対面していること
を含む半導体発光素子。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体発光素子において、
前記電流抑制領域は、
前記複数の柱状半導体の電気抵抗率よりも高い半導体であること
を含む半導体発光素子。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体発光素子において、
前記電流抑制領域は、
空隙であること
を含む半導体発光素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
前記複数の柱状半導体は、
平面格子状に配置されており、
前記平面格子の単位格子の面心に位置する領域に空隙またはピットが形成されていること
を含む半導体発光素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
前記埋込層は、
前記複数の柱状半導体を覆う第1層と、
前記第1層を覆う第2層と、を有し、
前記第2層の不純物濃度は、
前記第1層の不純物濃度よりも高いこと
を含む半導体発光素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
トンネル接合部を有し、
前記トンネル接合部は、
p型層とn型層とを有するとともに、
前記活性層と前記埋込層との間の位置に配置されていること
を含む半導体発光素子。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の半導体発光素子において、
アノード電極と、
導電性酸化物層と、
を有し、
前記導電性酸化物層は、
前記埋込層と前記アノード電極との間に配置されていること
を含む半導体発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体発光素子は、活性層において正孔と電子とが再結合することにより発光する。従来、活性層として平坦なシート状の井戸層が用いられてきた。近年、柱状などの3次元的構造を有する活性層について研究されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、n型ナノワイヤ層1031と、活性層1032と、p型半導体層1033と、p+層1034と、n+層1035と、を有する半導体発光素子が開示されている(特許文献1の段落[0038])。また、埋込半導体層104が、柱状半導体層103同士の隙間を埋める旨が開示されている(特許文献1の段落[0037])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなナノワイヤ構造の半導体においては、活性層1032は六角筒形状を備えている(特許文献1の
図1、
図2)。n型ナノワイヤ層1031の側面に位置する活性層1032はm面に平行な部分を有する。n型ナノワイヤ層1031における基板の反対側に位置する活性層1032はc面またはr面に平行な部分を有する。
【0006】
m面は非極性面である。m面に平行に形成される活性層においては、分極が生じない。このため、このような活性層では量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)が生じない。これにより、内部量子効率の向上が期待される。特許文献1の技術においては、m面に加えてc面またはr面に平行な活性層も形成される。m面、c面、r面に形成される発光層の発光波長、品質は互いに異なっている。素子に電流を流した場合には、m面、c面、r面の発光層が発光する。このため、m面への注入電流が低下する。また、素子全体の発光波長のばらつき、発光効率の低下といった問題が生じる。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、3次元的な微細構造の活性層を有する半導体発光素子の発光層を選択的に発光させることを図った半導体発光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における半導体発光素子は、下地層と、下地層の上の複数の柱状半導体と、複数の柱状半導体の間の隙間を埋める埋込層と、電流を抑制する電流抑制領域と、を有する。複数の柱状半導体は、六角柱形状の六角柱部と、六角柱部を覆う活性層と、を有する。六角柱部は、六角形の第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。複数の柱状半導体の第1面は、下地層と対面している。複数の柱状半導体の第2面は、電流抑制領域と対面している。
【0009】
この半導体発光素子においては、電流抑制領域に電流がほとんど流れない。このため、電流抑制領域の周辺に存在し得るc面、r面での発光が抑制される。m面をもつ活性層が高効率で発光する。したがって、この半導体発光素子においては、波長のばらつき、半値幅の増大、発光効率の低下が生じにくい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、3次元的な微細構造の活性層を有する半導体発光素子の発光層を選択的に発光させることを図った半導体発光素子が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態の半導体発光素子100の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態の半導体発光素子100の断面を示す概念図である。
【
図3】第1の実施形態の半導体発光素子100の柱状半導体130の内部構造を示す図である。
【
図4】
図3のIV-IV断面を示す第1の断面図である。
【
図5】
図3のV-V断面を示す第2の断面図である。
【
図6】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その1)である。
【
図7】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その2)である。
【
図8】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その3)である。
【
図9】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その4)である。
【
図10】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その5)である。
【
図11】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その6)である。
【
図12】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その7)である。
【
図13】第1の実施形態の半導体発光素子100の製造方法を説明するための図(その8)である。
【
図14】第1の実施形態の半導体発光素子100の効果を概念的に説明する図である。
【
図15】第2の実施形態の半導体発光素子200の柱状半導体230の内部構造を示す図である。
【
図16】第3の実施形態の半導体発光素子300の平面構造を示す概念図である。
【
図17】
図16のXVII-XVII断面と平均の屈折率分布との間の関係を示す概念図である。
【
図18】
図16のXVIII-XVIII断面と平均の屈折率分布との間の関係を示す概念図である。
【
図19】柱状半導体130が3列に配置されている場合を示す模式図である。
【
図20】第4の実施形態の半導体発光素子400の概略構成図である。
【
図21】第5の実施形態の半導体発光素子500の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、半導体発光素子を例に挙げて図を参照しつつ説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。本明細書において、半導体発光素子は、LEDとレーザーダイオード(LD)とを含む。また、後述する半導体発光素子の各層の積層構造および電極構造は、例示である。実施形態とは異なる積層構造であってもよい場合がある。そして、それぞれの図における各層の厚みの比は、概念的に示したものであり、実際の厚みの比を示しているわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
1.半導体発光素子
図1は、第1の実施形態の半導体発光素子100の概略構成を示す斜視図である。半導体発光素子100は、3次元形状の活性層を有する。
図1に示すように、半導体発光素子100は、基板110と、マスク120と、柱状半導体130と、埋込層140と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。
【0014】
基板110は、マスク120と、柱状半導体130と、埋込層140と、を支持するためのものである。
【0015】
マスク120は、表面から半導体が成長しない材料である。後述するように、マスク120には、貫通孔があいている。マスク120は、透明絶縁膜であるとよい。この場合には、マスク120は、光をほとんど吸収しない。電流は、マスク120を介さず、柱状半導体130に好適に流れる。マスク120の材質として例えば、SiO2 、SiNx、Al2 O3 が挙げられる。
【0016】
柱状半導体130は、柱状のIII 族窒化物半導体である。柱状半導体130は、マスク120の開口部に露出する半導体の表面から選択成長させた半導体である。柱状半導体130は、六角柱形状をしている。柱状半導体130における中心軸方向に垂直な断面は、正六角形または扁平形状の六角形である。
【0017】
埋込層140は、柱状半導体130と柱状半導体130との間の隙間を埋め込むための層である。埋込層140は、柱状半導体130を覆っている。埋込層140の材料は、例えば、n型GaNである。
【0018】
カソード電極N1は、基板110の上に形成されている。
【0019】
アノード電極P1は、埋込層140の上に形成されている。アノード電極P1は、埋込層140以外のその他の半導体に形成されていてもよい。
【0020】
2.柱状半導体
2-1.柱状半導体の配列
図2は、第1の実施形態の半導体発光素子100の断面を示す概念図である。柱状半導体130は、正方格子状に配置されている。
図2に示すように、複数の柱状半導体130は、第1のピッチ間隔J1で周期的に配置されている。
【0021】
柱状半導体130の高さは、例えば、0.25μm以上5μm以下である。柱状半導体130の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。ここで、径とは、中心軸方向に垂直な断面における六角形の向かい合う頂点間の距離である。六角形に長辺がある場合には、長辺方向の距離である。柱状半導体130の第1のピッチ間隔J1は、例えば、0.27μm以上5μm以下である。これらの数値は例示であり、上記以外の数値であってもよい。
【0022】
2-2.柱状半導体の内部構造
図3は、第1の実施形態の半導体発光素子100の柱状半導体130の内部構造を示す図である。
【0023】
基板110は、導電性基材111と、n型半導体層112と、を有する。導電性基材111は、n型半導体層112と、それより上層の半導体層等と、を支持する。導電性基材111は、例えば、GaN基板である。
【0024】
n型半導体層112は、柱状半導体130を成長させるための下地層である。n型半導体層112の一部は、マスク120の開口部120aに露出している。n型半導体層112は、例えば、n型GaN層またはn型AlGaN層である。これらは例示であり、上記以外の構造であってもよい。
【0025】
柱状半導体130は、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、トンネル接合部134と、電流抑制領域X1と、を有する。
【0026】
柱状n型半導体131の側面は、m面である。または、m面に近い面である。m面は非極性面である。そのため、活性層132において、ピエゾ分極による発光効率の低下がほとんどない。
【0027】
柱状n型半導体131は、六角柱形状の六角柱部である。六角柱の側面はm面である。六角柱の上端面はc面である。この六角柱の軸方向に垂直な断面は、正六角形または扁平形状の六角形である。柱状n型半導体131は、第1面131aと第2面131bとを有する。第1面131aはマスク120の開口部120aの露出面の形状である。第2面131bは六角形である。第2面131bは、第1面131aの反対側の面である。第1面131aは、n型半導体層112と対面しているとともに接触している。第2面131bは、電流抑制領域X1と対面しているとともに接触している。柱状n型半導体131は、マスク120の開口部120aに露出しているn型半導体層112を起点に柱状に選択成長させた半導体層である。柱状n型半導体131は、実際には、横方向にも成長する。そのため、柱状n型半導体131の太さは、マスク120の開口部120aの開口幅よりもやや大きい。柱状n型半導体131は、例えば、n型GaN層である。
【0028】
活性層132は、柱状n型半導体131および電流抑制領域X1を覆っている。活性層132は、六角柱形状の柱状n型半導体131および電流抑制領域X1の外周に沿って形成されている。そのため、活性層132は、六角筒形状を備える。活性層132は、例えば、1個以上5個以下の井戸層と、井戸層を挟む障壁層と、を有する。基板110の板面はc面である。活性層132の井戸層はm面に沿って形成されている。このため、活性層132の井戸層は、基板110の板面にほぼ垂直に配置されている。ただし、活性層132の頂部は、電流抑制領域X1の頂部を覆っている。活性層132の頂部は、c面とr面との少なくとも一方を有する。活性層132の頂部は、基板110の板面にほぼ平行であってもよい。例えば、井戸層はInGaN層であり、障壁層はAlGaInN層である。
【0029】
筒状p型半導体133は、六角筒形状を備える活性層132の外周に沿って形成されている。そのため、筒状p型半導体133は、六角筒形状を備える。筒状p型半導体133は、活性層132と直接に接触するが、柱状n型半導体131と直接には接触していない。また、筒状p型半導体133は、トンネル接合部134と接触している。筒状p型半導体133は、例えば、p型GaN層である。
【0030】
トンネル接合部134は、筒状p型半導体133の外周に沿って形成されている。トンネル接合部134は、活性層132と埋込層140との間の位置に配置されている。トンネル接合部134は、六角筒形状を備える。トンネル接合部134は、p+層134aとn+層134bとを有する。p+層134aは内側の層であり、n+層134bは外側の層である。p+層134aは筒状p型半導体133に接触している。n+層134bは埋込層140に接触している。
【0031】
電流抑制領域X1は、電流を抑制する。電流抑制領域X1は、柱状n型半導体131の先端に位置している。電流抑制領域X1は、基板110からみて柱状n型半導体131より遠い位置にある。電流抑制領域X1は、柱状n型半導体131および活性層132に接触した状態で柱状n型半導体131および活性層132に囲まれている。電流抑制領域X1は、柱状半導体130の電気抵抗率よりも高い半導体である。電流抑制領域X1の電気抵抗率は、柱状n型半導体131および活性層132の電気抵抗率よりも十分に高い。電流抑制領域X1の材質は、例えば、ud-GaNである。ud-GaNはドープされていないGaNである。
【0032】
2-3.第1の断面形状
図4は、
図3のIV-IV断面を示す第1の断面図である。
図4は、柱状半導体130における基板110の板面に平行な断面を示している。
図4に示すように、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である。そして、六角柱形状の柱状半導体130の内側から、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、が配置されている。
【0033】
2-4.第2の断面形状
図5は、
図3のV-V断面を示す第2の断面図である。
図5は、柱状半導体130における基板110の板面に平行な断面を示している。
図5に示すように、柱状半導体130における軸方向に垂直な断面の形状は、正六角形である。そして、六角柱形状の柱状半導体130の内側から、電流抑制領域X1と、活性層132と、筒状p型半導体133と、が配置されている。
【0034】
3.半導体発光素子の製造方法
3-1.基板準備工程
図6に示すように、基板110を準備する。基板110は、導電性基材111の上に、n型半導体層112の順で積層したものである。
【0035】
3-2.マスク形成工程
図7および
図8に示すように、基板110のn型半導体層112の上にマスク120を形成する。マスク120にn型半導体層112を露出させる複数の開口部120aを形成する。そのために、エッチング等の技術を用いればよい。
【0036】
図8は、マスク120の開口部120aの配列を示す図である。
図8は、基板110の板面に垂直な方向から基板110を視た図である。
図8には、参考のために、柱状半導体130の形状が破線で描かれている。
図8に示すように、マスク120の開口部120aが円形で正方格子状に配列されている。マスク120の開口部の開口部120aは基板110およびn型半導体層112に対して平面格子状に配置されている。格子配列は結晶構造制限定理に示されている配列が好ましい。平面格子は、例えば、斜方格子、六角格子、正方格子、矩形格子、平行体格子である。III 族窒化物半導体はウルツ鉱構造である。このため、六角格子、正方格子、矩形格子が好ましい。
【0037】
なお、マスク120の開口部120aの形状を変えることで、柱状半導体130の形状を制御することができる。開口部120aの形状が円形の場合には、正六角形に近い断面形状を有する柱状半導体130を形成することができる。開口部120aの形状がオーバル形状の場合には、扁平形状に近い断面形状を有する柱状半導体130を形成することができる。
【0038】
3-3.柱状半導体形成工程
図9に示すように、マスク120の開口部120aの下に露出しているn型半導体層112を起点にして、六角柱形状の柱状n型半導体131を選択的に成長させる。そのために、公知の選択成長の技術を用いればよい。このように半導体層を選択成長させる場合に、m面がファセットとして表出しやすい。
【0039】
例えば、MOCVD法により半導体をエピタキシャル成長させる。基板温度は、例えば、1100℃以上1200℃以下である。炉内の圧力は、例えば、1kPa以上100kPa以下である。
【0040】
前述したように、マスク120の開口部120aが円形形状であるため、断面が正六角形に近い六角柱形状の柱状n型半導体131が成長する。
【0041】
ここで、n型ドーパントガスの供給を停止する。
【0042】
図10に示すように、柱状n型半導体131の上に電流抑制領域X1が成長し始める。電流抑制領域X1は例えば、ud-GaNである。柱状n型半導体131の側面にもわずかにud-GaNが成長する可能性がある。しかし、側面方向の成長速度は十分に遅いため、問題はほとんど生じない。
【0043】
図11に示すように、柱状n型半導体131の周囲に活性層132を形成する。活性層132は、断面が正六角形に近い形状の柱状n型半導体131の側面に形成される。また、活性層132が柱状n型半導体131の頂部にも形成される。
【0044】
図12に示すように、活性層132の上に活性層132の外周を覆う筒状p型半導体133を形成する。筒状p型半導体133は六角筒形状を備える。筒状p型半導体133は、活性層132の側面に形成される。筒状p型半導体133が柱状n型半導体131または活性層132の頂部にも形成される場合がある。このようにして、柱状半導体130が形成される。
【0045】
図13に示すように、筒状p型半導体133の上に筒状p型半導体133の外周を覆うトンネル接合部134を形成する。トンネル接合部134は六角筒形状を備える。
【0046】
3-4.埋込層形成工程
柱状半導体130と柱状半導体130との隙間を埋込層140で埋める。
【0047】
3-5.電極形成工程
次に、基板110のn型半導体層112の上にカソード電極N1を形成する。また、埋込層140の上にアノード電極P1を形成する。
【0048】
3-6.その他の工程
熱処理工程、半導体層の表面にパッシベーション膜等を成膜する工程、またはその他の工程を実施してもよい。
【0049】
4.第1の実施形態の効果
図14は、第1の実施形態の半導体発光素子100の効果を概念的に説明する図である。
図14において、電流は矢印J1に沿って流れる。半導体発光素子100には、電気抵抗率の高い電流抑制領域X1がある。このため、電流は電流抑制領域X1を避けて流れる。その結果、柱状n型半導体131と隣接している領域の活性層132が発光する。電流抑制領域X1と隣接している領域の活性層132はほとんど発光しない。そして、光は矢印K1の向きに進行する。
【0050】
このように、半導体発光素子100においては、電流抑制領域X1を取り囲む活性層132での発光が抑制される。つまり、電流抑制領域X1の周辺に存在し得るc面、r面での発光が抑制される。m面をもつ活性層132が高効率で発光する。これにより、波長のばらつき、半値幅の増大、発光効率の低下が生じにくい。
【0051】
5.変形例
5-1.導電性酸化物層
埋込層140とアノード電極P1との間に導電性酸化物層を配置してもよい。導電性酸化物層は、例えば、ITO、IZO等の透明導電性酸化物からなる層であるとよい。
【0052】
5-2.柱状半導体の配列および凸形状部の配列
複数の柱状半導体130の配列がハニカム状であってもよい。ただし、半導体発光素子100をレーザー素子として用いる場合には、複数の柱状半導体130の配列は正方格子であるとよい。コヒーレント光を発生しやすいからである。
【0053】
5-3.マスクパターン
マスクの開口部の形状は円形以外であってもよい。例えば、六角形である。この場合であっても、柱状n型半導体131は六角柱形状に成長する。
【0054】
5-4.電流抑制領域の組成
電流抑制領域X1の組成はud-GaN以外のIII 族窒化物半導体であってもよい。例えば、ud-AlGaNである。または、Mg、C、O、BをドープしたIII 族窒化物半導体であってもよい。Mgをドープする場合には、活性化しなくてもよい。または、p型不純物であるMgとn型不純物であるSiとの両方をドープした高抵抗層であってもよい。もちろん、その他の高抵抗半導体であってもよい。
【0055】
5-5.柱状半導体の組成
本実施形態では、柱状n型半導体131はn型GaN層であり、井戸層はInGaN層であり、障壁層はAlGaN層であり、筒状p型半導体133はp型GaN層である。これらは例示であり、その他のIII 族窒化物半導体であってもよい。また、その他の半導体であってもよい。
【0056】
5-6.埋込層の組成
本実施形態では、埋込層140の材料は、p-GaN層である。しかし、埋込層140としてp-GaN層の代わりにp-AlGaN層を用いることができる。AlGaN層の屈折率は、p型GaN層の屈折率よりも小さい。そのため、LD構造を形成する場合には、光閉じ込め効率が向上する。または、埋込層140は、その他のp-AlInGaN層であってもよい。
【0057】
5-7.領域
図3に示すように、半導体発光素子100がレーザーダイオードである場合には、半導体発光素子100は導波領域R1と伝導領域R2とを有する。導波領域R1は、レーザー発振および活性層132へのキャリアの注入に用いられる領域である。伝導領域R2は、電流を流すとともに光を閉じ込める領域である。
【0058】
5-8.凹凸加工基板
基板110の導電性基材111は、凹凸加工を施されていてもよい。つまり、導電性基材111は、半導体層側の面に凹凸を周期的に配置された凹凸形状部を有する。凹凸形状として、例えば、円錐形状、半球形状が挙げられる。これらの凸形状が、例えば、正方格子状またはハニカム状に配置されているとよい。
【0059】
5-9.反射層
半導体発光素子100は、基板110におけるマスク層120の反対側の裏面に、反射層を有していてもよい。
【0060】
5-10.電子障壁層
活性層132の外側に電子障壁層を形成してもよい。電子障壁層の材質は、例えば、AlGaInNである。
【0061】
5-11.トンネル接合部
トンネル接合部134は必ずしも設けなくともよい。その場合には、柱状半導体130同士の隙間をp型半導体層により埋める。
【0062】
5-12.カソード電極
カソード電極は、基板110のn型半導体層112の上に形成されていてもよい。その場合には、導電性基材111の代わりにその他の基材を用いてよい。基材は、例えば、サファイア基板である。
【0063】
5-13.矩形格子
柱状半導体130は、正方格子の代わりに矩形格子の格子点の位置に配置されていてもよい。
【0064】
5-14.傾斜面
図3等においては、c面、m面が描かれており、m面に対して傾斜する傾斜面は描かれていない。しかし、実際には、r面等の傾斜面が存在し得る。
【0065】
5-15.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてもよい。
【0066】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の電流抑制領域が第1の実施形態の電流抑制領域と異なっている。異なる点を中心に説明する。
【0067】
1.半導体発光素子
図15は、第2の実施形態の半導体発光素子200の柱状半導体230の内部構造を示す図である。
図15に示すように、半導体発光素子200は、基板110と、マスク120と、柱状半導体230と、埋込層140と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。
【0068】
柱状半導体230は、柱状n型半導体131と、活性層132と、筒状p型半導体133と、トンネル接合部134と、電流抑制領域X2と、懸架部Y2と、を有する。ここで、柱状n型半導体131は、Al組成の高いn型AlGaNであるとよい。
【0069】
電流抑制領域X2は、空隙である。電流抑制領域X2は、大気が充填されている。
【0070】
懸架部Y2は、電流抑制領域X2を形成するための半導体層である。
【0071】
2.半導体発光素子の製造方法
第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0072】
特開2018-110172号公報に記載の方法により電流抑制領域X2を形成する(特開2018-110172号公報の段落[0057]-[0066])。
【0073】
まず、柱状n型半導体131を形成する。柱状n型半導体131の上に分解層としてInGaN層を形成する。次に、懸架部Y2としてAlGaN層を形成する。次に、分解層であるInGaN層をエッチングにより分解する。
【0074】
3.第2の実施形態の効果
第2の実施形態の半導体発光素子200の電流抑制領域X2の電気抵抗率は、第1の実施形態の電流抑制領域X1の電気抵抗率よりも高い。したがって、第2の実施形態の半導体発光素子200においては、m面以外での発光がさらに抑制される。
【0075】
4.変形例
4-1.分解層
分解層はGaN層であってもよい。
【0076】
4-2.その他
第1の実施形態の変形例を用いることができる。
【0077】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0078】
1.半導体発光素子
図16は、第3の実施形態の半導体発光素子300の平面構造を示す概念図である。半導体発光素子300は、基板110と、マスク120と、柱状半導体130と、埋込層340と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。また、
図16に示すように、半導体発光素子300は、柱状半導体130と柱状半導体130との間に空隙Z1を有する。
【0079】
柱状半導体130は、平面格子状に配置されている。
図16では、柱状半導体130は、矩形格子状に配置されている。平面格子の単位格子の面心に位置する領域に空隙Z1が形成されている。
【0080】
2.屈折率
図17は、
図16のXVII-XVII断面と平均の屈折率分布との間の関係を示す概念図である。
図17に示すように、柱状半導体130に含まれている活性層132のInGaNの屈折率は高い。このため、柱状半導体130の平均の屈折率は、埋込層340のGaNよりも屈折率よりも大きい。
【0081】
図18は、
図16のXVIII-XVIII断面と平均の屈折率分布との間の関係を示す概念図である。
図18では、柱状半導体130を破線で描いている。
図18に示すように、空隙Z1の屈折率は、埋込層340の屈折率よりも小さい。
【0082】
仮に、空隙Z1が存在しなかったとすると、
図18において、屈折率は空間的に変化せず一定である。
【0083】
このように、第3の実施形態においては、柱状半導体130の列が存在する領域において、柱状半導体130の領域で屈折率が高い傾向にある。
【0084】
3.半導体発光素子の製造方法
空隙Z1を形成するためには、埋込層340を形成する際に埋込層340の形成を途中で中断すればよい。埋込層340は柱状半導体130のm面から成長する。このため、正方格子状に配置されている柱状半導体130の中間地点に空隙Z1が形成される。空隙Z1は、六角筒の内側を占める形状である。
【0085】
4.第3の実施形態の効果
このような構造のレーザー素子においては、注入した電流が閾値電流を超えた場合、m面の活性層から誘導放出が生じる。そして、XVII-XVII断面またはXVIII-XVIII断面に垂直な方向でレーザー発振することとなる。この場合、XVII-XVII断面とXVIII-XVIII断面とで導波路における屈折率分布の傾向が近くなる。このため、レーザー光が導波するときの散乱損失が少なくなる。これにより、スロープ効率が改善する。
【0086】
図19は、柱状半導体130が3列に配置されている場合を示す模式図である。
図19(b)は、
図19(a)のXIX-XIX断面の光の強度を示す。ここで、線L1は、第3の実施形態の半導体発光素子300における光の強度である。線L2は、空隙Z1が存在しない場合の半導体発光素子における光の強度である。柱状半導体130があるXVII-XVII断面と柱状半導体130がないXVIII-XVIII断面とで屈折率分布の傾向を近づけることにより、散乱損失が低減する。このため、定在波が安定して形成されやすい。これにより、より強度の高いスーパーシングルモードが実現される。
【0087】
図19に示すように、柱状半導体130が存在する箇所で光の強度は極大値をとる。つまり、柱状半導体130が存在する箇所で光の強度が大きい。また、柱状半導体130の間の領域で光の強度の極小値をとる。そして、3列のうち中央の列の周辺において光の強度が最も大きい。
【0088】
図19に示すように、線L1の光の極大値は線L2の光の極大値よりも大きい。また、線L1の光の極小値は線L2の光の極小値よりも小さい。
【0089】
半導体発光素子300においては、柱状半導体130の列に強い光を透過させることができる。このため、例えば、
図1の矢印A1の向きに光を往復させてレーザーを発振させる場合には、強度の強いレーザーを発振させることができる。
【0090】
このように、柱状半導体130が存在しない領域の屈折率を調整することにより、柱状半導体130の箇所における光の強度を強めることができる。
【0091】
5.変形例
5-1.ピット
空隙Z1の代わりに、ピットを形成してもよい。ピットの形状はIII 族窒化物半導体の{0001}面に対して斜めである{10-1x}面や{11-2y}面で構成されるV型の形状であってもよい。{10-10}面や{11-20}面など{0001}面に対して垂直な面で構成されたピットであってもよい。もちろん、斜めな面と垂直な面とを組み合わせた形状であってもよい。これらのピットはすべて同様の形状であることが好ましい。この場合には、その領域の平均の屈折率も同様になるからである。これにより、より安定な定在波を存在させることができる。
【0092】
5-2.その他
第1の実施形態の変形例を用いることができる。例えば、埋込層340よりも屈折率が低い層で空隙Z1もしくはピットを埋め込んでも同様の効果が得られる。例えば、埋込層340がGaNである場合には、GaNよりも屈折率の小さいAlGaN層またはITO等の透明電極で空隙Z1もしくはピットを埋め込んでもよい。この場合には、埋め込んだ後の表面が平坦であるほど好ましい。その後の電極形成や素子化プロセスが容易になるからである。
【0093】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0094】
1.半導体発光素子
図20は、第4の実施形態の半導体発光素子400の概略構成図である。
図20に示すように、半導体発光素子400は、基板110と、マスク120と、柱状半導体130と、埋込層440と、カソード電極N1と、アノード電極P1と、を有する。
【0095】
埋込層440は、第1層441と、第2層442と、第3層443と、を有する。第1層441、第2層442、第3層443は、n型半導体層である。例えば、n型GaNである。
【0096】
第1層441は柱状半導体130を覆っている。第2層442は第1層441を覆っている。第3層443は第2層442を覆っている。第2層442は、第1層441と第2層442とに挟まれている。第3層443はアノード電極P1に接触している。
【0097】
第2層442のSi濃度は第1層441のSi濃度よりも高い。第3層443のSi濃度は第2層442のSi濃度よりも高い。第1層441のSi濃度は、例えば、1×1017cm-3以上2×1018cm-3以下である。第2層442のSi濃度は、例えば、2×1018cm-3以上5×1018cm-3以下である。第3層443のSi濃度は、例えば、5×1018cm-3以上5×1019cm-3以下である。
【0098】
2.半導体発光素子の製造方法
埋込層440を成長させる際には、Siを含有するドーパントガスの量を増加させればよい。ドーパントガスは徐々に増加させてもよいし、階段状に増加させてもよい。
【0099】
3.第4の実施形態の効果
埋込層440中の柱状半導体130の周囲においては、不純物濃度が低い。このため、柱状半導体130の周囲において光の吸収が生じにくい。このため、LEDにおいては光取り出し効率の減少が抑制される。レーザーダイオード(LD)においては、閾値電流の増加、利得の減少が抑制される。ここで、柱状半導体130の周囲とは、例えば、第1層441である。
【0100】
埋込層440中の柱状半導体130から離れた領域においては、不純物濃度が高い。この領域においては、電気抵抗率が低い。このため、電流が流れやすい。ここで、埋込層440中の柱状半導体130から離れた領域とは、例えば、第3層443である。埋込層440中の柱状半導体130から離れた領域では光が吸収されることもある。しかし、この光は、例えば、レーザー発振にはほとんど寄与しない領域を透過する。このため、LDにおいてこの光の吸収は、閾値電流および利得にほとんど影響しない。
【0101】
すなわち、半導体発光素子400においては、閾値電流の増加、利得の減少が抑制されており、電流が流れやすい。
【0102】
4.変形例
4-1.トンネル接合部がない場合
トンネル接合部がない場合には、柱状半導体130を埋め込む埋込層はp型層である。この場合であっても、柱状半導体130の周囲のMg濃度を低くし、柱状半導体130から離れるにつれてMg濃度を高くすればよい。第1層のMg濃度は、例えば、1×1018cm-3以上5×1019cm-3以下である。第2層のMg濃度は、例えば、5×1019cm-3以上1×1020cm-3以下である。第3層のMg濃度は、例えば、1×1020cm-3以上5×1020cm-3以下である。
【0103】
また、p型層で埋め込む場合には、上記に加えて、アノード電極P1と接触するp型コンタクト層を有するとよい。p型コンタクト層のMg濃度は、例えば、5×1020cm-3以上5×1021cm-3以下である。
【0104】
4-2.その他
第1の実施形態の変形例を用いることができる。
【0105】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について説明する。第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0106】
1.半導体発光素子
図21は、第5の実施形態の半導体発光素子500の概略構成図である。
図21に示すように、半導体発光素子500は、基板510と、マスク120と、柱状半導体530と、埋込層540と、カソード電極N2と、アノード電極P2と、を有する。
【0107】
基板510は、n型半導体層511と、トンネル接合部512と、p型半導体層513と、を有する。n型半導体層511は、例えば、n型GaN層である。p型半導体層513は、例えば、p型GaN層である。
【0108】
トンネル接合部512は、p+層512aとn+層512bとを有する。p+層512aは、n+層512bとp型半導体層513との間の位置に配置されている。n+層512bは、n型半導体層511とp+層512aとの間の位置に配置されている。p+層512aは、例えば、p型GaN層である。n+層512bは、例えば、n型GaN層である。p+層512aのMg濃度は、p型半導体層513のMg濃度よりも高い。n+層512bのSi濃度は、n型半導体層511のSi濃度よりも高い。
【0109】
柱状半導体530は、柱状p型半導体531と、活性層532と、を有する。柱状p型半導体531は、例えば、p型GaN層である。
【0110】
埋込層540は、柱状半導体530同士の隙間を埋めている。埋込層540は、n型半導体層である。埋込層540は、例えば、n型GaN層である。
【0111】
カソード電極N2は、埋込層540の上に形成されている。アノード電極P2は、基板510の上に形成されている。
【0112】
2.第5の実施形態の効果
この場合であっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0113】
3.変形例
第1の実施形態の変形例と組み合わせてもよい場合がある。
【0114】
(実施形態の組み合わせ)
第1の実施形態から第5の実施形態までを組み合わせてよい場合がある。
【0115】
(付記)
第1の態様における半導体発光素子は、下地層と、下地層の上の複数の柱状半導体と、複数の柱状半導体の間の隙間を埋める埋込層と、電流を抑制する電流抑制領域と、を有する。複数の柱状半導体は、六角柱形状の六角柱部と、六角柱部を覆う活性層と、を有する。六角柱部は、六角形の第1面と第1面の反対側の第2面とを有する。複数の柱状半導体の第1面は、下地層と対面している。複数の柱状半導体の第2面は、電流抑制領域と対面している。
【0116】
第2の態様における半導体発光素子においては、電流抑制領域は、複数の柱状半導体の電気抵抗率よりも高い半導体である。
【0117】
第3の態様における半導体発光素子においては、電流抑制領域は、空隙である。
【0118】
第4の態様における半導体発光素子においては、複数の柱状半導体は、平面格子状に配置されている。平面格子の単位格子の面心に位置する領域に空隙またはピットが形成されている。
【0119】
第5の態様における半導体発光素子においては、埋込層は、複数の柱状半導体を覆う第1層と、第1層を覆う第2層と、を有する。第2層の不純物濃度は、第1層の不純物濃度よりも高い。
【0120】
第6の態様における半導体発光素子は、トンネル接合部を有する。トンネル接合部は、p型層とn型層とを有するとともに、活性層と埋込層との間の位置に配置されている。
【0121】
第7の態様における半導体発光素子は、アノード電極と、導電性酸化物層と、を有する。導電性酸化物層は、埋込層とアノード電極との間に配置されている。
【符号の説明】
【0122】
100…半導体発光素子
110…基板
111…導電性基材
112…n型半導体層
120…マスク
130…柱状半導体
131…柱状n型半導体
132…活性層
133…筒状p型半導体
134…トンネル接合部
140…埋込層
N1…カソード電極
P1…アノード電極