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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135233
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/13 20200101AFI20220908BHJP
   H05B 47/11 20200101ALI20220908BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20220908BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220908BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20220908BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20220908BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220908BHJP
【FI】
H05B47/13
H05B47/11
H05B47/18
F21V23/00 115
F21V33/00 200
E06B7/28 C
F21Y115:10 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034903
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】591124640
【氏名又は名称】FKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(72)【発明者】
【氏名】川田 一力
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和貴
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014PB00
3K273AA08
3K273BA35
3K273CA02
3K273CA14
3K273EA02
3K273EA21
3K273EA31
3K273EA36
3K273FA06
3K273FA14
3K273FA28
3K273FA33
3K273FA40
3K273GA02
3K273GA12
3K273GA14
3K273GA19
3K273GA27
3K273HA15
3K273PA09
3K273QA36
3K273SA02
3K273SA04
3K273SA31
3K273SA39
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA07
3K273TA15
3K273TA31
3K273TA41
3K273TA49
3K273TA52
3K273UA22
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】犯行抑制心理を利用することにより高い防犯効果を得ることができる照明システムを提供する。
【解決手段】照明システムは、建物Hにおける窓Wよりも外側に設置される照明装置1Aと、建物Hにおける窓Wよりも内側に設置される照明装置1Bと、建物Hの外側における窓に隣接した予め設定された領域における人の存否を検知する人感センサと、人感センサにより人が検知されているとき、照明装置1Aの照度が照明装置1Bの照度よりも高くなるように、照明装置1Aを点灯させる点灯制御装置2と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物における窓よりも外側に設置される第1照明装置と、
前記建物における前記窓よりも内側に設置される第2照明装置と、
前記建物の外側における前記窓に隣接した予め設定された領域における人の存否を検知する人感センサと、
前記人感センサにより人が検知されているとき、前記第1照明装置の照度が前記第2照明装置の照度よりも高くなるように、前記第1照明装置を点灯させる点灯制御装置と、を備える、
照明システム。
【請求項2】
前記窓の厚さ方向における少なくとも一方は、前記窓に入射する光の反射率を高めるための透光性フィルムで覆われている、
請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記第1照明装置の照度と前記第2照明装置の照度との照度差は、144ルクス以上である、
請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記第1照明装置は、
可撓性を有する長尺の回路基板と、
前記回路基板に実装された少なくとも1つの発光部と、
軟性材料から形成され、前記回路基板、前記少なくとも1つの発光部を覆う可撓性を有する長尺のカバーと、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
周囲の明るさを検知する照度センサを更に備え、
前記照度センサにより検知される照度が予め設定された基準照度以下の場合において、前記人感センサにより人が検知されているとき、前記第1照明装置を点灯させる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の入口付近の壁、天井等に設置される照明システムであって、建物の入口付近における人の存否を検知する人感センサと、人感センサにより人が検知されると、防犯目的で威嚇を行うために、フラッシュ点滅する発光部を有する親機および子機と、を備える照明システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-129058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、防犯目的とした照明システムが提供されつつあり、高い防犯効果を得ることができる照明システムが要請されている。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、犯行抑制心理を利用することにより高い防犯効果を得ることができる照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る照明システムは、
建物における窓よりも外側に設置される第1照明装置と、
前記建物における前記窓よりも内側に設置される第2照明装置と、
前記建物の外側における前記窓に隣接した予め設定された領域における人の存否を検知する人感センサと、
前記人感センサにより人が検知されているとき、前記第1照明装置の照度が前記第2照明装置の照度よりも高くなるように、前記第1照明装置を点灯させる点灯制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、点灯制御装置が、人感センサにより人が検知されているとき、第1照明装置の照度が第2照明装置の照度よりも高くなるように、第1照明装置を点灯させる。これにより、特に夜間において、建物への無断侵入者が建物の外側における窓に隣接した領域内に侵入すると、第1照明装置の照度が第2照明装置の照度よりも高くなるように、第1照明装置が点灯することにより、窓がミラーとして機能する。従って、無断侵入者の姿が窓全体に映し出され無断侵入者が自身の姿を客観的に観察することになるので、無断侵入者に犯行抑制心理を働かせることができ、高い防犯効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る照明システムが設置された建物を示し、(A)は断面図であり、(B)は一部の斜視図である。
図2】実施の形態に係る照明装置を示し、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
図3】実施の形態に係る発光モジュールの回路図である。
図4】実施の形態に係る点灯制御ユニットの回路図である。
図5】実施の形態に係る点灯制御ユニットの動作説明図である。
図6】実施の形態に係る照明システムについて行った実験の条件を説明するための図であり、(A)は2つの照明装置それぞれの照度を示す図であり、(B)は2つの照明装置の照度差を示す図である。
図7】実施の形態に係る照明システムについて行った実験結果を示す図であり、(A)は窓の内側の照度が窓の外側の照度よりも高く照度差の絶対値が507.1ルクスの場合に窓の外側から窓を撮影した写真であり、(B)は窓の内側の照度が窓の外側の照度よりも高く照度差の絶対値が350.6ルクスの場合に窓の外側から窓を撮影した写真であり、(C)は窓の内側の照度が窓の外側の照度よりも高く照度差の絶対値が170.9ルクスの場合に窓の外側から窓を撮影した写真であり、(D)は窓の外側の照度が窓の内側の照度よりも高く照度差の絶対値が143.5ルクスの場合に窓の外側から窓を撮影した写真であり、(E)は窓の外側の照度が窓の内側の照度よりも高く照度差の絶対値が310.29ルクスの場合に窓の外側から窓を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る照明システムについて添付図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る照明システムは、建物における窓よりも外側に設置される第1照明装置と、建物における窓よりも内側に設置される第2照明装置と、建物の外側における窓に隣接した予め設定された領域における人の存否を検知する人感センサと、人感センサにより人が検知されているとき、第1照明装置の照度が第2照明装置の照度よりも高くなるように、第1照明装置を点灯させる点灯制御装置と、を備える。そして、この照明装置は、建物の窓の近傍に設置され、夜間の時間帯に無断侵入者が建物の窓に近づくと、第1照明装置が、その照度が第2照明装置の照度よりも高くなるように点灯する。これにより、窓全体に無断侵入者の姿を映し出すことにより、無断侵入者に犯行抑制心理を働かせるというものである。
【0010】
本実施の形態に係る照明システムは、図1(A)および(B)に示すように、2つの線状の照明装置1(1A、1B)と、照明装置1の点灯を制御する点灯制御装置2と、照明装置1Aの周囲の明るさを検知する照度センサ51と、照明装置1Aの周囲の人の存否を検知する人感センサ61と、を備える。照明装置1Aは、建物Hにおける窓Wよりも外側に設置される第1照明装置である。また、照明装置1Bは、建物Hにおける窓Wよりも内側に設置される第2照明装置である。なお、照明装置1A、1Bの取り付け位置は、窓Wの上側に限定されるものではなく、窓Wの側方或いは窓Wの下側に配置されるものであってもよい。ここで、窓Wに用いられるガラス板Gは、透明なものを採用することができる。また、窓Wのガラス板Gの厚さ方向における少なくとも一方は、窓Wに入射する光の反射率を高めるための透光性フィルムで覆われていることが好ましい。このような透光性フィルムとしては、断熱フィルムが挙げられる。また、透光性フィルムとして、偏光フィルムとして機能するものであってもよい。各照明装置1は、図2(A)に示すように、複数(図1(A)では5つ)の可撓性を有する長尺の発光モジュール21と、発光モジュール21を覆う長尺のカバー11と、を備える。また、照明装置1は、カバー11の長手方向における両端部に装着されカバー11内を密閉するキャップ12と、を備える。キャップ12には、発光モジュール21へ電流を供給するための導電線L1、L2をキャップ12外へ導出するための導出孔12aが穿設されている。
【0011】
発光モジュール21は、図2(B)に示すように、板状の回路基板211と、発光部212と、を有する。回路基板211は、例えば長尺のFPC(Flexible Printed Circuits)から構成されており、導体パターン(図示せず)と、が形成されている。発光部212は、ぞれぞれ、例えばSMD(Surface Mount Device)タイプLED(Light Emitting Diode)発光装置であり、回路基板211のY軸方向に沿って列状に実装されている。発光部212は、例えば図3に示すように、7直2並列に接続されている。そして、7つの発光部212を直列に接続されてなる2つの直列回路それぞれの一部に、1つの電流レギュレータ215が介挿されている。電流レギュレータ215としては、例えばオンセミコンダクタ社製のMSI45020AT1Gを採用することができる。7つの発光部212を含む直列回路のアノード側は、回路基板211に形成された導体パターンを介して電極パッド211aに共通接続されている。一方、7つの発光部212を含む直列回路のカソードは、回路基板211に形成された導体パターンを介して電極パッド211bに接続されている。ここで、複数の発光部212は、照明装置1Aの照度が145ルクス以上となるように、その数および発光部212それぞれの発光強度が設定されていることが好ましい。これにより、照明装置1Aが点灯し、照明装置1Bが消灯した状態で、照明装置1A、1Bの照度差の絶対値が145ルクス以上となる。
【0012】
図2(A)および(B)に戻って、カバー11は、長尺の角筒状に形成され5つの発光モジュール21を覆うカバー本体111と、カバー本体111の-Z方向側においてY軸方向に沿って延在する2つの長尺のリブ112と、を有する。即ち、カバー11本体は、発光モジュール21が有する回路基板211および複数の発光部212を覆っている。このカバー本体111およびリブ112は、いずれも、軟性材料から形成されている。このような軟性材料としては、例えば透明なシリコーン樹脂が採用される。
【0013】
照度センサ51は、例えば照明装置1Aの周囲に設置され、信号線(図示せず)を介して点灯制御装置2に接続されている。照度センサ51としては、アナログ照度センサであってもよいし、ディジタル照度センサであってもよい。照度センサ51は、検出される照度が予め設定された基準照度よりも低い場合、Lレベルの電圧を出力し、検出される照度が一度基準照度よりも低い状態から基準照度以上の状態になると、Lレベルよりも高い予め設定されたHレベルの電圧を出力する。
【0014】
人感センサ61は、例えば照明装置1Aの周囲に設置され、信号線(図示せず)を介して点灯制御装置2に接続されている。人感センサ61としては、例えば人から発せられる赤外線を感知する焦電センサを備えるものを用いることができる。人感センサ61は、照明装置1Aが建物Hにおける窓Wの外側に設置された状態で、その検知領域が建物Hの外側における窓Wに隣接した予め設定された領域を含むように設定されている。ここで、前述の窓Wに隣接した領域は、例えば窓Wの表面から窓Wから1m程度離間した位置までに至る領域に設定される。人感センサ61は、例えば図4に示すように、2つの出力ポートte1、te2を有し、人を検出している場合、出力ポートte1から予め設定されたHレベルの電圧を出力し、出力ポートte2からHレベルよりも低い予め設定されたHレベルの電圧を出力する。一方、人感センサ61は、人を検出しなくなると、出力ポートte1からLレベルの電圧を出力し、出力ポートte2からHレベルの電圧を出力する。
【0015】
点灯制御装置2は、照度センサ51、人感センサ61それぞれから導出される信号線に接続されている。そして、点灯制御装置2は、照度センサ51および人感センサ61それぞれの出力に基づいて、照明装置1A、1Bそれぞれの発光部212の点灯状態を制御する。具体的には、点灯制御装置2は、照度センサ51により検知される照度が予め設定された基準照度以下の場合において、人感センサ61により人が検知されているとき、照明装置1Aの照度が照明装置1Bの照度よりも高くなるように、照明装置1Aを点灯させ、照明装置1Bを消灯させる。一方、点灯制御装置2は、照度センサ51により検知される照度が予め設定された基準照度以下の場合において、人感センサ61により人が検知されていないとき、照明装置1Aを消灯状態で維持し、照明装置1Bを点灯させる。この点灯制御装置2は、交流電源ACから供給される交流を直流に変換して出力する電源回路31に導電線L1、L2を介して接続されている。ここで、電源回路31は、整流平滑回路と、降圧チョッパ回路と、を有し、2つの出力端teH、teL間に出力端teH側が高電位側となるような直流電圧を出力する。
【0016】
点灯制御装置2は、4つのスイッチング素子SW1、SW2、SW4、SW5と、3つの抵抗R1、R2、R3と、インバータIN1、IN2と、ツェナーダイオードZD1と、比較器CMPと、ラッチ回路411、413と、第1タイマ412と、第2タイマ414と、を有する。スイッチング素子SW1、SW2、SW4、SW5は、例えばNPN型のバイポーラトランジスタである。スイッチング素子SW5は、コレクタが電源回路31の高電位側の出力端teHに接続され、エミッタが発光モジュール21の電極パッド211aに接続されている。スイッチング素子SW1は、コレクタが発光モジュール21の電極パッド211bに接続されエミッタが電源回路31の低電位側の出力端teLに接続されるとともに、ベースがラッチ回路413に接続されている。スイッチング素子SW2は、コレクタが発光モジュール21の電極パッド211cに接続されエミッタが電源回路31の低電位側の出力端teLに接続されている。スイッチング素子SW4は、エミッタがプルダウン用の抵抗R2を介して電源回路31の低電位側の出力端teLに接続されるとともにラッチ回路413に接続され、コレクタが電源回路31の高電位側の出力端teHに限流用の抵抗R1を介して接続されている。また、スイッチング素子SW4のベースは、人感センサ61の出力ポートte1に接続されている。ラッチ回路413は、例えばSRフリップフロップ回路であり、スイッチング素子SW4のコレクタと抵抗R1との間に接続されたS端子へ入力される入力電圧がLレベルからHレベルに遷移すると、第2タイマ414からR端子へ入力される入力電圧がLレベルからHレベルに遷移するまで、Q端子からHレベルの電圧を出力し続ける。第2タイマ414は、人感センサ61の出力ポートte2に接続され、出力ポートte2の出力がLレベルからHレベルに遷移すると、カウントを開始し、その後、カウント数が予め設定された第1基準時間に対応する数に到達すると、Hレベルの電圧をラッチ回路413のR端子へ出力する。ここで、第1基準時間は、例えば数min乃至数十minに設定される。
【0017】
インバータIN1は、例えば反転増幅回路であり、入力端がラッチ回路413のQ端子に接続され、出力端がスイッチング素子SW2のベースに接続されている。比較器CMPは、例えばオペアンプを含んで構成され、プラス側入力端の電圧がマイナス側入力端の電圧以上である場合、予め設定されたHレベルの電圧を出力端から出力し、プラス側入力端の電圧がマイナス側入力端の電圧未満である場合、Hレベルよりも低いLレベルの電圧を出力端から出力する。比較器CMPは、出力端がスイッチング素子SW5のベースに接続され、マイナス側入力端がツェナーダイオードZD1のカソードに接続されている。ツェナーダイオードZD1は、定電圧源として機能するものであり、カソードが電源回路31の低電位側の出力端teLに接続され、アノードが分圧用の抵抗R3を介して電源回路31の高電位側の出力端teHに接続されている。インバータIN2は、例えば反転増幅回路であり、入力端が照度センサ51の出力端子(図示せず)に接続され、出力端が比較器CMPのプラス側入力端に接続されている。ここで、比較器CMPは、インバータIN2の出力電圧がツェナーダイオードZD1の両端間の基準電圧以上の場合、Hレベルの電圧を出力し、インバータIN2の出力電圧がツェナーダイオードZD1の両端間の基準電圧未満の場合、Lレベルの電圧を出力する。ラッチ回路411は、例えばSRフリップフロップ回路であり、比較器CMPからS端子へ入力される入力電圧がLレベルからHレベルに遷移すると、第1タイマ412からR端子へ入力される入力電圧がLレベルからHレベルに遷移するまで、スイッチング素子SW5のベースへHレベルの電圧を出力し続ける。第1タイマ412は、ラッチ回路411のQ端子の出力がLレベルからHレベルに遷移すると、カウントを開始し、その後、カウント数が予め設定された第2基準時間に対応する数に到達すると、Hレベルの電圧をラッチ回路411のR端子へ出力する。ここで、第2基準時間は、例えば日没時刻から日出時刻までの間の時間の実績に基づいて設定され、例えば7時間に設定される。
【0018】
ここで、本実施の形態に係る点灯制御装置2の動作について図4および図5を参照しながら説明する。まず、図5に示すように、照明装置1の周囲が暗くなっていくとそれに伴い、照度センサ51の出力電圧Vsが漸減していく。ここで、照明装置1の周囲の照度が前述の基準照度以上の場合、インバータIN2の出力電圧が、前述の基準電圧未満であり、比較器CMPの出力電圧はLレベルで維持され、スイッチング素子SW5はオフ状態で維持される。このとき、電源回路31から発光モジュール21へ直流電力が供給されないため、照明装置1A、1B両方の発光モジュール21の発光部212のいずれも消灯状態を維持する。そして、時刻T1において、照度センサ51の出力電圧Vsが前述の基準電圧に対応する電圧Vsthに到達すると、図4に示すインバータIN2の出力電圧が、前述の基準電圧以上となり、比較器CMPからラッチ回路411のS端子へ入力される電圧がHレベルとなる。このとき、ラッチ回路411のQ端子の電圧が、Hレベルにセットされる。そして、スイッチング素子SW5はオン状態となり、電源回路31から発光モジュール21へ直流電力が供給される。ここで、人感センサ61が人を検知していない場合、人感センサ61の出力ポートte1からスイッチング素子SW4のベースへ出力される電圧はLレベルで維持され、スイッチング素子SW4はオフ状態を維持する。そうすると、ラッチ回路413のS端子は、抵抗R2を介して電源回路31の低電位側の出力端teLの電圧レベルにプルダウンされ、ラッチ回路413のS端子の電圧は、Lレベルで維持されており、ラッチ回路413のQ端子からスイッチング素子SW1のベースへLレベルの電圧が出力され、スイッチング素子SW1がオフ状態で維持されている。そして、照明装置1Aの発光モジュール21の電極パッド211aから電極パッド211bへは電流が流れないため、照明装置1Aは消灯状態を維持する。一方、図4に示すインバータIN1は、Hレベルの電圧を出力するため、スイッチング素子SW2がオン状態で維持される。この場合、照明装置1Bの発光モジュール21の電極パッド211aから電極パッド211bへ電流が流れることにより、照明装置1Bが点灯する。即ち、時刻T1において、照明装置1Bのみが点灯し、照明装置1Aは、消灯状態を維持する。
【0019】
時刻T1の後、時刻T2において、人感センサ61が人を検知したとする。この場合、人感センサ61の出力ポートte1からスイッチング素子SW4のベースへ出力される電圧はHレベルに変化し、スイッチング素子SW4がオン状態となる。このとき、ラッチ回路413のS端子の電圧が、電源回路31の高電位側の出力端teHに生じる電圧を抵抗R1、R2で分圧してなる電圧レベルまで上昇し、ラッチ回路413のQ端子からスイッチング素子SW1のベースへHレベルの電圧が出力され、スイッチング素子SW1がオンオフ状態となる。そして、照明装置1Aの発光モジュール21の電極パッド211aから電極パッド211bへは電流が流れるため、照明装置1Aが点灯する。一方、図4に示すインバータIN1は、Lレベルの電圧を出力するため、スイッチング素子SW2がオフ状態となる。この場合、照明装置1Bの発光モジュール21の電極パッド211aから電極パッド211bへは電流が流れないため、照明装置1Bは消灯状態となる。即ち、時刻T2において、照明装置1Aのみが点灯し、照明装置1Bが消灯状態となる。
【0020】
その後、図5に示すように、時刻T3において、人感センサ61が人を検知しなくなった直後は、第2タイマ414からラッチ回路413のR端子へ出力される電圧はLレベルで維持されるため、ラッチ回路413のQ端子からスイッチング素子SW1およびインバータIN1へ出力される電圧はHレベルで維持されている。従って、スイッチング素子SW1がオンしスイッチング素子SW2がオフした状態が維持されるので、照明装置1Aのみが点灯し且つ照明装置1Bが消灯した状態が維持される。このとき、人感センサ61の出力ポートte2から第2タイマ414への出力電圧が、LレベルからHレベルへ遷移し、第2タイマ414がカウントを開始する。そして、第2タイマ414は、時刻T4においてカウント数が前述の第1基準時間dTに対応する数に到達すると、Hレベルの電圧をラッチ回路413のR端子へ出力する。これにより、ラッチ回路413のQ端子の出力が再びLレベルにリセットされ、スイッチング素子SW2がオンし、スイッチング素子SW1がオフし、再び、照明装置1Bのみが点灯し、照明装置1Aが消灯した状態となる。
【0021】
また、図4に示す第1タイマ412は、計時する時刻T1からの経過時間が、前述の基準時間に到達すると、Hレベルの電圧をラッチ回路411のR端子へ出力する。これにより、ラッチ回路411のQ端子の出力が再びLレベルにリセットされ、スイッチング素子SW5がオフ状態となる。そして、照明装置1A、1Bの両方が消灯状態となる。このように、本実施の形態に係る点灯制御装置2は、夜間になり照度センサ51により検出される照度が基準照度よりも低くなった場合、人感センサ61の検知領域、即ち、前述の窓Wに隣接した領域を含む領域内に人が存在するとき、照明装置1Aのみを点灯させ、窓Wに隣接した予め設定された領域内に人が存在しないとき、照明装置1Bのみを点灯させる。
【0022】
ここで、照明装置1Aと照明装置1Bとの照度差と窓Wの外側から窓Wを見たときの見え方との関係について実験を行った結果について図6および図7を参照しながら説明する。実験では、10種類の照明装置1A、1Bの照度の組合せそれぞれについて、窓Wの外側から見た場合の窓Wの見え方を観察した。照明装置1A、1Bの照度は、それぞれ図6(A)に示すように10種類の組合せに設定した。ここで、照明装置1A、1Bの照度は、コニカミノルタ社製CL-200Aを用いて測定した。また、窓Wのガラス板Gの外側全体には透光性フィルムを貼着した。透光性フィルムとしては、リンテック社製OD651Lを採用した。図6(A)に示す10種類の照明装置1A、1Bの照度の組合せそれぞれにおける照度差の絶対値を図6(B)に示す。そして、各照明装置1A、1Bの照度の組合せ中から5種類の組合せについて窓Wの外側から窓Wを撮影した写真を図7(A)乃至(B)に示す。ここで、図7(A)乃至(C)は、窓の内側の照度が窓の外側の照度よりも高い場合の写真であり、図7(D)および(E)は、窓の外側の照度が窓の内側の照度よりも高い場合の写真である。また、図7(A)乃至(C)は、それぞれ、照度差の絶対値が507.1ルクス、350.6ルクス、170.9ルクスとなっている。窓の内側の照度が窓の外側の照度よりも高い場合、いずれの場合も建物Hにおける窓Wの内側に立っている人の像が見えており、建物Hにおける窓Wの外側に立っている人の像はほとんど見えない。但し、照度差の絶対値が小さくなるにつれて建物Hにおける窓Wの内側に立っている人が見えにくくなっていくことが判る。一方、窓の外側の照度が窓の内側の照度よりも高い場合、いずれの場合も建物Hにおける窓Wの内側に立っている人の像はほとんど見えず、建物Hにおける窓Wの外側に立っている人の像が見えている。なお、図7(D)および(E)における照度差の絶対値は、それぞれ、143.5ルクス、310.29ルクスとなっている。この結果から、窓の外側の照度が窓の内側の照度よりも高く且つ照度差の絶対値が144ルクス以上であれば、建物Hにおける窓Wの内側に立っている人の像はほとんど見えず、建物Hにおける窓Wの外側に立っている人の像が鮮明に見えるようになることが判った。
【0023】
以上説明したように、本実施の形態に係る照明装置1によれば、点灯制御装置2が、人感センサ61により人が検知されているとき、照明装置1Aの照度が照明装置1Bの照度よりも高くなるように、照明装置1Aのみを点灯させる。これにより、特に夜間において、建物Hへの無断侵入者が建物Hの外側における窓Wに隣接した領域内に侵入すると、照明装置1Aが点灯し照明装置1Bが消灯することにより、窓Wがミラーとして機能する。従って、無断侵入者の姿が窓W全体に映し出され無断侵入者が自身の姿を客観的に観察することになるので、無断侵入者に犯行抑制心理を働かせることができ、高い防犯効果を得ることができる。
【0024】
また、本実施の形態では、窓Wのガラス板Gの厚さ方向の少なくとも一方が、窓Wに入射する光の反射率を高めるための透光性フィルムで覆われている。そして、照明装置1A、1Bそれぞれの照度の照度差の絶対値が、144ルクス以上に設定されている。これにより、夜間において窓Wを、人感センサ61により検知された人の像を鮮明に映し出すミラーとして機能させることができる。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、点灯制御装置2が、照明装置1A、1Bを常時点灯させるものであってもよい。この場合、点灯制御装置2は、人感センサ61により人が検知されていない状態で、照明装置1Aの照度が照明装置1Bの照度よりも低くなるように照明装置1A、1Bを点灯させ、人感センサ61により人が検知されると、照明装置1Aの照度が照明装置1Bの照度よりも高くなるように照明装置1A、1Bを点灯させるようにすればよい。また、点灯制御装置2が、照明装置1Aの照度が照明装置1Bの照度よりも高くなるように照明装置1A、1Bを点灯させる場合、照明装置1A、1Bの照度差の絶対値が145ルクス以上となるように設定されることが好ましい。
【0026】
実施の形態では、照度センサ51および人感センサ61が、照明装置1A、1Bとは別体である例について説明したが、これに限らず、照度センサ51と人感センサ61との少なくとも一方が、照明装置1Aに内蔵されているものであってもよい。例えば照明装置1Aの少なくとも一方のキャップ12に開口部(図示せず)が形成されており、照度センサ51、人感センサ61がそれらの一部が開口部からキャップ12の外側を臨むようにキャップ12内に収納されていてもよい。
【0027】
実施の形態では、照明装置1A、1Bが、それぞれ、可撓性を有する線状光源である例について説明したが、照明装置1A、1Bとしてはこれに限定されるものではなく、可撓性を有さない線状光源であってもよい。
【0028】
実施の形態において、窓Wが、互いに厚さ方向に重なるように配置された複数枚のガラス板を有し、透光性フィルムが、複数枚のガラス板のうちの少なくとも1枚のガラス板の厚さ方向の少なくとも一方を覆っているものであってもよい。
【0029】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の照明装置は、家屋、施設等における防犯目的の照明システムとして好適である。
【符号の説明】
【0031】
1A、1B:照明装置、2:点灯制御装置、11:カバー、12:キャップ、12a:導出孔、21:発光モジュール、31:電源回路、51:照度センサ、61:人感センサ、111:カバー本体、112:リブ、211:回路基板、211a、211b:電極パッド、212:発光部、R1,R2,R3:抵抗、215:電流レギュレータ、411,413:ラッチ回路、412:第1タイマ、414:第2タイマ、AC:交流電源、CMP:比較器、IN1,IN2:インバータ、L1,L2:導電線、SW1,SW2,SW4,SW5:スイッチング素子、teH,teL:出力端、ZD1:ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7