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  • 特開-血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135271
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/87 20060101AFI20220908BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220908BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220908BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220908BHJP
   A23G 4/12 20060101ALN20220908BHJP
   A23G 3/34 20060101ALN20220908BHJP
   A23C 9/123 20060101ALN20220908BHJP
   A23C 9/13 20060101ALN20220908BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20220908BHJP
【FI】
A61K36/87
A61P3/06
A61P43/00 111
A23L33/105
A23G4/12
A23G3/34
A23G3/34 101
A23C9/123
A23C9/13
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034970
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】594045089
【氏名又は名称】オリザ油化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】呉 剣波
(72)【発明者】
【氏名】下田 博司
(72)【発明者】
【氏名】村井 弘道
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B018
4B117
4C088
【Fターム(参考)】
4B001AC99
4B001EC05
4B014GB13
4B014GG18
4B014GK12
4B014GL03
4B018LB01
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD08
4B018MD48
4B018ME04
4B018ME14
4B018MF01
4B117LC04
4B117LG24
4B117LK06
4B117LP01
4C088AB56
4C088BA08
4C088BA14
4C088BA32
4C088CA03
4C088NA14
4C088ZC20
4C088ZC33
(57)【要約】
【課題】 新規な成分を有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤及び膵リパーゼ阻害剤を提供する。
【解決手段】 上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1.藤茶抽出物を有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
2.上記藤茶抽出物はアンペロプシンを含有するものであることを特徴とする上記1.に記載の血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
3.アンペロプシンを有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
4.藤茶抽出物を有効成分とする膵リパーゼ阻害剤。
5.上記藤茶抽出物はアンペロプシンを含有するものであることを特徴とする上記4.に記載の膵リパーゼ阻害剤。
6.アンペロプシンを有効成分とする膵リパーゼ阻害剤。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
藤茶抽出物を有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
【請求項2】
上記藤茶抽出物はアンペロプシンを含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
【請求項3】
アンペロプシンを有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
【請求項4】
藤茶抽出物を有効成分とする膵リパーゼ阻害剤。
【請求項5】
上記藤茶抽出物はアンペロプシンを含有するものであることを特徴とする請求項4に記載の膵リパーゼ阻害剤。
【請求項6】
アンペロプシンを有効成分とする膵リパーゼ阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤に関する。本発明は、飲食品、サプリメント、医薬品等に広く利用することができる。
【背景技術】
【0002】
トリグリセリドは中性脂質の一種で、血液中に含まれる中性脂質のほとんどはトリグリセリドである。血液中において、トリグリセリド濃度の高い状態が継続すると高脂血症を引き起こすことが知られている。高脂血症は、動脈硬化症の原因であると考えられており、心疾患や脳血管障害等の疾患を引き起こす最初の引き金となる。
このような事情から、安全性が高く、日常的に投与あるいは摂取しても副作用が生じない方法で、血中のトリグリセリド濃度上昇を抑制することが望まれている。近年、安全かつ有効に血中トリグリセリドの濃度上昇を抑える物質として、脂質の吸収を抑えるキサンタンガム及びアルギン酸プロピレングリコールエステル(特許文献1参照)、キトサン(特許文献2参照)、加工澱粉(特許文献3参照)が報告されている(特許文献4)。
【0003】
また、生体内に摂取された脂肪は、膵臓が産生した膵リパーゼによって脂肪酸とグリセリンとに分解された後に腸管に吸収される。そのため、膵リパーゼ活性を阻害する物質は、脂肪の分解吸収を抑制する働きを有する。ゆえに、膵リパーゼ活性を阻害する物質は、上述の生活習慣病を予防、改善又は治療するために有効である(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5-186356号公報
【特許文献2】特開平3-290170号公報
【特許文献3】特開2004-269458号公報
【特許文献4】特開2012-144487号公報
【特許文献5】特開2019-062741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景の下、本発明者は、アンペロプシン及び藤茶抽出物において、血中トリグリセリド濃度上昇抑制作用及び膵リパーゼ阻害作用を有すること見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、新規な成分を有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤及び膵リパーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
1.藤茶抽出物を有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
2.上記藤茶抽出物はアンペロプシンを含有するものであることを特徴とする上記1.に記載の血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
3.アンペロプシンを有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤。
4.藤茶抽出物を有効成分とする膵リパーゼ阻害剤。
5.上記藤茶抽出物はアンペロプシンを含有するものであることを特徴とする上記4.に記載の膵リパーゼ阻害剤。
6.アンペロプシンを有効成分とする膵リパーゼ阻害剤。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】藤茶抽出物及びアンペロプシンにおける血中トリグリセリドの上昇抑制作用の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は藤茶の抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
【0009】
本発明で用いられる藤茶抽出物の原料である藤茶は、学名Ampelopsis grossedentata(Hand.-Mazz.)W.T.Wang のぶどう科植物であって、中国の中部から南部にわたる広い地域で自生する多年生の蔓性植物であるが、台湾では栽培もされている。
【0010】
中国では古来この植物の葉部を飲料として利用する地方があるほか、根部または全草が黄疸性肝炎、風邪、のどの痛み、急性結膜炎等の治療のための民間薬として利用されてきた。しかしながら、これらの用途における有効成分や薬理作用についてはほとんど解明されていない。
【0011】
本発明として使用する上記藤茶の部位は特に限定されず、各種部位(幹、葉、茎、枝、種子、果実、花、根茎、根、樹皮、地上部等、好ましくは果実)を使用できるが、特に、枝、葉をしようすることが好ましい。より高濃度の有効成分を抽出できるからである。
【0012】
抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1、3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル等の極性溶媒を使用することができる。これらの溶媒を2種以上混合してもよい。
望ましくは、水、エタノールまたはこれらの混合物である含水エタノールを抽出溶媒として用いると、有効成分が効率よく抽出される。
【0013】
抽出溶媒として水を用いる場合、水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水等を使用することができる。
【0014】
抽出溶媒としての含水エタノールを用いる場合、エタノールの濃度が特に限定されないが、特にエタノール濃度10~90%(wt/wt)、望ましくはエタノール濃度20~80%(wt/wt)であるとよい。エタノール濃度90%(wt/wt)以下としたのは、エタノール濃度が高すぎると、藤茶中の油分が含水エタノール中に溶け出しやすくなるからである。
【0015】
抽出温度としては、20~80℃、望ましくは40~60℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、抽出温度が高すぎると、有効成分が分解し、生理活性(健康機能性)が低下するためである。
【0016】
抽出方法としては、撹拌抽出、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0017】
具体的な抽出方法を示すと、抽出溶媒を満たした処理槽に原料(藤茶)を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には、抽出原料の2~100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分~2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。
【0018】
その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、精製、乾燥等の処理を施し、本発明による剤とする。
精製方法は、合成吸着樹脂、ゲル濾過樹脂等に抽出液を通して有効成分を吸着させ、これをメタノール、エタノール等で溶出させて濃縮を行うとよい。
【0019】
また、上記藤茶抽出物は、アンペロプシンを含有するものであることが好ましい。より優れた血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤及び膵リパーゼ阻害剤を得ることができるからである。
【0020】
本発明は、アンペロプシンを有効成分とすることを特徴とする。
上記アンペロプシンを得る方法は特に限定されないが、藤茶から得ることが好ましい。藤茶には高濃度のアンペロプシンを含有しているからである。
具体的には、上述した方法で製造された藤茶抽出物を精製、濃縮することにより、アンペロプシンを得ることができる。
【0021】
本発明は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の剤を適宜配合するとよい。
【0022】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤の食品素材を使用することができる。
【0023】
具体的な製法としては、本発明の剤を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、前記本発明の剤を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0024】
本発明のを剤飲食品に適用する場合の添加量としては、病気予防や健康維持が主な目的であるので、飲食品に対して有効成分の含量が合計1~20wt%以下であるのが好ましい。
【0025】
本発明は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明の剤を適宜配合して製造することができる。本発明の剤に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0026】
本発明の剤の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、局所組織内投与、皮内、皮下、筋肉内および静脈内注射などによることができる。また、坐剤などの形態としてもよい。更に、点眼薬として投与することができる。
【0027】
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5~5000mg、子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。
本発明の剤の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3~15.0wt%、非経口投与による場合は、0.01~10wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【実施例0028】
以下、本発明の実施例を説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明によって得られる血中トリグリセリド濃度上昇抑制作用等の確認のために説明するもので、本発明の範囲は、これらの製品および製法に限定されるものではない。
【0029】
実施例1:藤茶抽出物(アンペロプシン50%)の製造
乾燥した藤茶枝葉部の粗砕物を70%含水エタノールに投入し、還流加熱下で抽出した。その後、濾過して得られた抽出液をマクロポーラス樹脂にて精製し、減圧下に濃縮してペースト状物を得た後乾燥し、デキストリンと混合してアンペロプシンが50%となるように調製し、粉末状抽出物を得た。
【0030】
実施例2:アンペロプシン(98%)の製造
乾燥した藤茶枝葉部の粗砕物を70%含水エタノールに投入し、還流加熱下で抽出した。その後、濾過して得られた抽出液をマクロポーラス樹脂にて精製し、乾燥して、粉末状抽出物(アンペロプシン(98%))を得た。
【0031】
試験例1:藤茶抽出物における血中トリグリセリドの上昇抑制作用の評価
1.試験方法
雄性マウス(ICR:ddY,6 週齢)を日本中部科学資材(株)より購入し,検疫を兼ねた予備飼育期間を1 週間おこなった後,実験に使用した。投与時の週齢は7 週齢,体重は雄が30.0~35.0gであった。対照群と投与群は6匹であった。
絶食(15時間)したマウスの眼窩静脈嚢より、ガラスキャピラリーを用いて採血を行い、その30分後に,藤茶エキス(アンペロプシン50%含有)、アンペロプシン(98%)またはオールスタットの5w/v %アラビアガム懸濁液(10 mL/kg)を経口投与した。1時間後にオリーブ油(5 mL/kg)を経口投与し,その後2,4および6時間目において眼窩静脈嚢から同様に採血を行った。得られた血液から血清を遠心分離し,トリグリセリド濃度を酵素法(トリグリセリドE-テストワコー,和光純薬工業社製)を用いて測定した。その結果を表1及び図1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
2.測定結果及び試験例1における実施例の効果
表1と図1に示すように、オリーブ油投与マウス(Control)の血中トリグリセリドは、非投与マウス(Normal)と比較して上昇した。これに対し、藤茶エキス(アンペロプシン50%含有)(以下略称:AG50)(250, 500 mg/kg)と98%アンペロプシン(98%)((以下略称:AG98)(250 mg/kg)をあらかじめ投与したマウスにおいては、血中トリグリセリドの上昇を抑制する傾向が認められた。
また、AG50-250mg/kgを投与したマウスでは、オリーブ油投与2および4時間後において有意な血中トリグリセリドの低下が認められた。AG50-500mg/kgを投与したマウスでは、オリーブ油投与2、4および6時間後において有意な血中トリグリセリドの低下が認められた。抗肥満薬のオルリスタットは20 mg/kgで有意な血中トリグリセリドの上昇抑制作用を示した。これにより、藤茶抽出物及びアンペロプシンは血中トリグリセリドの上昇抑制剤として有用であることが確認された。
【0034】
試験例2:膵リパーゼ阻害作用の評価
1.試験試薬及び試験サンプル
「リパーゼキットS」(DSファーマバイオメディカル社製)を使用した。尚、リパーゼとしては、ブタ膵リパーゼ(シグマアルドリッチジャパン社製、TypeII)を0.05mg/mLに調製したものを膵リパーゼ溶液として使用した。また、基質液はキットに添付のものを使用した。
【0035】
2.試験方法
試験については、上記キットの添付文書に準じた手順にて行った。
【0036】
まず、試験管に、発色液390μL、膵リパーゼ溶液25μL、エステラーゼ阻害液10μL及びDMSOで溶解したサンプル25μLを各々入れて混和した。混和後、各試験管を30℃で5分間予熱した。予熱後、検体用試験管にのみ基質液50μLを加え、混和後、30℃で30分間インキュベートした。次に反応停止液1mLを各試験管に添加し、混和した。続いてブランク用試験管にのみ基質液50μLを加え、混和した。各試験管中の溶液の吸光度を波長412nmで測定した。
【0037】
3.リパーゼ阻害率(%)の算出方法
各検体の測定値(S)から各検体に対応する検体用の各ブランクの測定値(Sb)を引き算し、差分(S-Sb)を算出した。各コントロールについて、各コントロールの測定値(C)から各ブランク(Cb)の測定値を引き
算し、差分(C-Cb)を算出した。得られた値を用いて、以下の式によって、リパーゼ阻害率(%)を算出した。
リパーゼ阻害率(%)=(1-(S-Sb/C-Cb))×100
ここで、S:各検体の測定値、Sb:各ブランクの測定値(C);各コントロールの測定値、Cb:各コントロールのブランクの測定値
(結果)
膵リパーゼ阻害効果について、膵リパーゼ阻害率(%)として表2及び表3に示した。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
4.結果及び試験例2における実施例の効果
ポジティブコントロールである抗肥満薬のオルリスタットに強いリパーゼ阻害活性が認められた(表 2)。また、AG50とAG98に緩和なリパーゼ阻害活性が認められた(表 3)。これにより、藤茶抽出物及びアンペロプシンは膵リパーゼ阻害剤として有用であることが確認された。
【0041】
本発明による剤(藤茶抽出物)の配合例を示す。尚、以下の配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
藤茶抽出物 0.5
100.0wt%
【0042】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブトウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
ユズ果汁 4.0
ユズフレーバー 0.6
色素 0.02
藤茶抽出物 1.0
100.0wt%
【0043】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
藤茶抽出物 0.4
100.0wt%
【0044】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
藤茶抽出物 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0045】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
藤茶抽出物 0.3
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0046】
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
藤茶抽出物 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0047】
配合例7:ソフトカプセル
玄米胚芽油 47.0wt%
ユズ種子油 40.0
乳化剤 12.0
藤茶抽出物 1.0
100.0wt%
【0048】
配合例8:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
藤茶抽出物 1.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上により、本発明は、新規な成分を有効成分とする血中トリグリセリド濃度上昇抑制剤及び膵リパーゼ阻害剤を提供することができる。
図1