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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135279
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】便蓋及び便座
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A47K13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021034991
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】武田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】岩下 直基
(72)【発明者】
【氏名】副島 嵩生
(72)【発明者】
【氏名】光橋 義陽
(72)【発明者】
【氏名】始田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】黒木 潤二
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AA13
2D037AB01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制しつつ、下面部の寸法精度を向上できる便蓋及び便座を提供する。
【解決手段】便器に対して開閉可能に設けられる便蓋30であって、結晶性樹脂を含み、閉状態において便器10のボウル部11の上方に位置する便蓋本体部31と、閉状態において便蓋本体部の後方に設けられ、便蓋本体部を回動させるための便蓋ヒンジ部32と、便蓋本体部に取り付けられる便蓋クッション部材33と、を備え、便蓋本体部は、閉状態において上方に露出する便蓋上面部41aと、閉状態において下方に露出する便蓋下面部41bと、を有し、便蓋下面部には、便蓋クッション部材が取り付けられる便蓋凹部41cが設けられており、便蓋下面部の表面硬度は、便蓋上面部の表面硬度よりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対して開閉可能に設けられる便蓋であって、
結晶性樹脂を含み、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便蓋本体部と、
閉状態において前記便蓋本体部の後方に設けられ、前記便蓋本体部を回動させるための便蓋ヒンジ部と、
前記便蓋本体部に取り付けられる便蓋クッション部材と、
を備え、
前記便蓋本体部は、閉状態において上方に露出する便蓋上面部と、閉状態において下方に露出する便蓋下面部と、を有し、
前記便蓋下面部には、前記便蓋クッション部材が取り付けられる便蓋凹部が設けられており、
前記便蓋下面部の表面硬度は、前記便蓋上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便蓋。
【請求項2】
前記便蓋上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でB以上であり、
前記便蓋下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とする請求項1記載の便蓋。
【請求項3】
前記便蓋上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でF以下であることを特徴とする請求項2記載の便蓋。
【請求項4】
前記便蓋下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の便蓋。
【請求項5】
前記便蓋ヒンジ部は、結晶性樹脂を含み、
前記便蓋ヒンジ部の表面硬度は、前記便蓋上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の便蓋。
【請求項6】
便器に対して開閉可能に設けられる便座であって、
結晶性樹脂を含み、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便座本体部と、
閉状態において前記便座本体部の後方に設けられ、前記便座本体部を回動させるための便座ヒンジ部と、
前記便座本体部に取り付けられる便蓋クッション部材と、
を備え、
前記便座本体部は、閉状態において上方に露出する便座上面部と、閉状態において下方に露出する便座下面部と、を有し、
前記便座下面部には、前記便座クッション部材が取り付けられる便座凹部が設けられており、
前記便座下面部の表面硬度は、前記便座上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便座。
【請求項7】
前記便座上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でB以上であり、
前記便座下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とする請求項6記載の便座。
【請求項8】
前記便座上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でF以下であることを特徴とする請求項7記載の便座。
【請求項9】
前記便座下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることを特徴とする請求項7または8に記載の便座。
【請求項10】
前記便座ヒンジ部は、結晶性樹脂を含み、
前記便座ヒンジ部の表面硬度は、前記便座上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする請求項6~9のいずれか1つに記載の便座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便蓋及び便座に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂を含む材料を成形することで製造した便蓋や便座が知られている(例えば、特許文献1)。このような便蓋や便座の材料には、例えば、安価なポリプロピレン(PP:Polypropylene)などの樹脂が用いられる。しかし、PPなどの樹脂を用いて便蓋や便座を成形すると、表面硬度が小さいために、トイレットペーパーの乾拭きなどで便蓋や便座の表面に傷がつきやすいという問題がある。
【0003】
このような問題を解決する手段として、例えば、便蓋や便座の表面硬度を高めることが考えられる。便蓋や便座の表面硬度を高める手段として、例えば、便蓋や便座を成形するための金型にヒータを設け、加熱された金型内に樹脂を射出することで、樹脂の高温状態を所定時間維持しながら硬化させるヒート&クール成形(H&C成形)などが考えられる。このような成形方法であれば、樹脂の固化過程を徐々に行うことで便蓋や便座の表面の結晶化度を高め、便蓋や便座の表面硬度を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-308601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、表面の結晶化度を高めると、成形品の収縮量が大きくなり、成形品を金型から取り出した後に、成形品の経時的な寸法変化量が大きくなるという問題がある。そのため、便蓋や便座にこのような成形方法を適用すると、寸法精度が低下するおそれがある。便蓋や便座の下面部には、便蓋や便座が閉まるときの衝撃を緩和するためのクッション部材が取り付けられる。このクッション部材は、例えば、便蓋や便座の下面部に設けられた凹部に嵌合されることで取り付けられる。そのため、便蓋や便座の下面部において寸法精度が低下すると、所望の形状で凹部を形成できなくなり、クッション部材を取り付けられなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制しつつ、下面部の寸法精度を向上できる便蓋及び便座を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、便器に対して開閉可能に設けられる便蓋であって、結晶性樹脂を含み、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便蓋本体部と、閉状態において前記便蓋本体部の後方に設けられ、前記便蓋本体部を回動させるための便蓋ヒンジ部と、前記便蓋本体部に取り付けられる便蓋クッション部材と、を備え、前記便蓋本体部は、閉状態において上方に露出する便蓋上面部と、閉状態において下方に露出する便蓋下面部と、を有し、前記便蓋下面部には、前記便蓋クッション部材が取り付けられる便蓋凹部が設けられており、前記便蓋下面部の表面硬度は、前記便蓋上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便蓋である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制しつつ、下面部の寸法精度を向上できる便蓋及び便座を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るトイレ装置を表す斜視図である。
図2】実施形態に係る便蓋の一部を表す断面図である。
図3】実施形態に係る便座の一部を表す断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、便蓋の製造工程の一部を表す断面図である。
図5】実験結果の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るトイレ装置を表す斜視図である。
図2は、実施形態に係る便蓋の一部を表す断面図である。
図3は、実施形態に係る便座の一部を表す断面図である。
図2は、図1に示したA1-A2線による断面図である。
図3は、図1に示したB1-B2線による断面図である。
図1及び図2では、開状態の便座及び便蓋を示している。図3では、閉状態の便座を示している。
図1図3に表したように、実施形態に係るトイレ装置100は、洋式腰掛便器(以下、単に「便器」という)10と、ケーシング20と、便蓋30と、便座40と、を備える。
【0011】
便器10は、下方に向けて窪んだボウル部11を有する。便器10は、ボウル部11において使用者の尿や便などの排泄物を受ける。ボウル部11は、リム11aと、リム11aに囲まれた開口部11hと、を有する。
【0012】
ここで、本願明細書においては、便座40に座った使用者からみて上方を「上方」とし、便座40に座った使用者からみて下方を「下方」とする。また、開いた状態の便蓋30に背を向けて便座40に座った使用者からみて左右方向を、それぞれ「左側方」及び「右側方」とし、前後方向を、それぞれ「前方」及び「後方」とする。
【0013】
便器10のボウル部11の後方の上には、ケーシング20が設けられている。ケーシング20の内部には、例えば、便蓋30を開閉するための便蓋電動開閉ユニットや便座40を開閉するための便座電動開閉ユニットが収納されている。また、ケーシング20の内部には、例えば、使用者の局部を洗浄するノズルユニットなどが収納されていてもよい。
【0014】
便蓋30及び便座40は、それぞれ、便器10に対して開閉可能に設けられている。便蓋30及び便座40は、それぞれ、ケーシング20に対して回動可能に軸支されている。
【0015】
便蓋30は、便蓋本体部31と、便蓋ヒンジ部32と、便蓋クッション部材33と、を有する。便蓋本体部31は、閉状態において、ボウル部11及び便座40の上方に位置する。便蓋本体部31は、閉状態においてボウル部11及び便座40の上方を覆う。
【0016】
便蓋ヒンジ部32は、閉状態において、便蓋本体部31の後方に設けられる。便蓋ヒンジ部32は、例えば、便蓋本体部31と一体成形される。便蓋ヒンジ部32は、例えば、便蓋本体部31とは別で成形され、便蓋本体部31に取り付けられていてもよい。便蓋ヒンジ部32は、ケーシング20の内部に収納された便蓋電動開閉ユニットの出力軸に対して嵌合することで、ケーシング20に対して回動可能に軸支されている。便蓋電動開閉ユニットは、便蓋ヒンジ部32を介して便蓋本体部31を回動させることで、便蓋30を開閉する。
【0017】
便蓋クッション部材33は、便蓋本体部31とは別の部材であり、便蓋本体部31に取り付けられる。便蓋クッション部材33は、例えば、エラストマーなどからなり、便蓋本体部31が便座40に当たる際の衝撃を緩和する。
【0018】
便蓋本体部31は、便蓋上面部31aと、便蓋下面部31bと、を有する。便蓋上面部31aは、閉状態において、上方に露出する。便蓋上面部31aは、閉状態において、上方を向く。便蓋下面部31bは、閉状態において、下方に露出する。便蓋下面部31bは、閉状態において、下方を向く。便蓋下面部31bは、例えば、閉状態において便座40と対向する。
【0019】
便蓋下面部31bには、便蓋凹部31cが設けられている。便蓋凹部31cは、閉状態において、上方に窪む。便蓋凹部31cには、便蓋クッション部材33が取り付けられている。便蓋クッション部材33は、例えば、便蓋凹部31cに嵌合されることで、便蓋凹部31cに取り付けられる。
【0020】
便蓋本体部31は、結晶性樹脂を含む。便蓋ヒンジ部32は、例えば、結晶性樹脂を含む。結晶性樹脂は、結晶性を有する熱可塑性樹脂である。結晶性樹脂としては、例えば、PPまたはポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutyleneterephtalate)が用いられる。
【0021】
便蓋本体部31及び便蓋ヒンジ部32は、無機フィラーをさらに含んでもよい。無機フィラーは、無機材料からなるフィラー(充填剤)である。無機フィラーとしては、例えば、ガラス繊維などの繊維状の無機フィラーが用いられる。無機フィラーは、繊維状でなくてもよい。また、無機フィラーは、例えば、針状鉱物、板状鉱物、フリット系鉱物などの鉱物であってもよい。無機フィラーとしてガラス繊維を用いる場合、繊維径が直径6μm以上24μm以下(例えば、13μm程度)、長さが10μm以上3000μm以下(例えば、300μm以上1000μm以下程度)のガラス繊維を用いることが好ましい。便蓋本体部31または便蓋ヒンジ部32に含まれる無機フィラーの量は、結晶性樹脂と無機フィラーの合計の100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下(例えば、10質量部程度)であることが好ましい。
【0022】
便蓋下面部31bの表面硬度は、便蓋上面部31aの表面硬度よりも小さい。便蓋上面部31aの表面硬度は、鉛筆硬度でB以上であることが好ましい。また、便蓋上面部31aの表面硬度は、鉛筆硬度でF以下であることが好ましい。便蓋下面部31bの表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることが好ましい。また、便蓋下面部31bの表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることが好ましい。
【0023】
便蓋ヒンジ部32の表面硬度は、例えば、便蓋上面部31aの表面硬度よりも小さい。便蓋ヒンジ部32の表面硬度は、例えば、便蓋下面部31bの表面硬度と同じである。便蓋ヒンジ部32の表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることが好ましい。また、便蓋ヒンジ部32の表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることが好ましい。
【0024】
表面硬度は、JIS K 5600-5-4:1999に準拠した鉛筆硬度として求めることができる。なお、JIS K 5600-5-4:1999で規定されていない6B未満の鉛筆硬度は、三菱鉛筆(株)ハイユニ(Hi-uni)シリーズを用いて、JIS K 5600-5-4:1999と同様にして求めることができる。
【0025】
便蓋上面部31aの表面硬度は、例えば、閉状態においてボウル部11の開口部11hと上下方向に重なるいずれかの位置における表面硬度である。便蓋下面部31bの表面硬度は、例えば、閉状態において、便蓋上面部31aの表面硬度を測定した位置と上下方向に重なる位置における表面硬度である。便蓋ヒンジ部32の表面硬度は、例えば、便蓋電動開閉ユニットの出力軸が嵌合されるヒンジ軸受け部の平坦部分における表面硬度である。
【0026】
便座40は、便座本体部41と、便座ヒンジ部42と、便座クッション部材43と、を有する。便座本体部41は、閉状態において、ボウル部11の上方に位置する。便座本体部41は、閉状態において上下方向に貫通する開口部41hを有する。
【0027】
便座ヒンジ部42は、閉状態において、便座本体部41の後方に設けられる。便座ヒンジ部42は、例えば、便座本体部41と一体成形される。便座ヒンジ部42は、例えば、便蓋本体部31とは別で成形され、便座本体部41に取り付けられていてもよい。便座ヒンジ部42は、ケーシング20の内部に収納された便座電動開閉ユニットの出力軸に対して嵌合することで、ケーシング20に対して回動可能に軸支されている。便座電動開閉ユニットは、便座ヒンジ部42を介して便座本体部41を回動させることで、便座40を開閉する。
【0028】
便座クッション部材43は、便座本体部41とは別の部材であり、便座本体部41に取り付けられる。便座クッション部材43は、例えば、エラストマーなどからなり、便座本体部41がボウル部11のリム11aに当たる際の衝撃を緩和する。
【0029】
便座本体部41は、便座上面部41aと、便座下面部41bと、を有する。便座上面部41aは、閉状態において、上方に露出する。便座上面部41aは、閉状態において、上方を向く。便座上面部41aは、使用者が着座する着座面である。便座下面部41bは、閉状態において、下方に露出する。便座下面部41bは、閉状態において、下方を向く。便座下面部41bは、例えば、閉状態においてボウル部11のリム11aと対向する。
【0030】
便座下面部41bには、便座凹部41cが設けられている。便座凹部41cは、閉状態において、上方に窪む。便座凹部41cには、便座クッション部材43が取り付けられている。便座クッション部材43は、例えば、便座凹部41cに嵌合されることで、便座凹部41cに取り付けられる。
【0031】
図3に表したように、便座40は、中空であり、底板45と、上板46と、第1接合部材47と、第2接合部材48と、を有する。底板45は、便座下面部41bを含む。便座下面部41bは、閉状態における底板45の下面に相当する。上板46は、閉状態において底板45の上に位置する。この例では、上板46は、便座上面部41aを含む第1部分46aと、第1部分46aの一端から下方に延びる第2部分46bと、第1部分46aの他端から下方に延びる第3部分46cと、を有する。便座上面部41aは、閉状態における第1部分46aの上面に相当する。第1接合部材47は、便座40の内周側に設けられ、底板45と上板46の第2部分46bとを接合している。第2接合部材48は、便座40の外周側に設けられ、底板45と上板46の第3部分46cとを接合している。便座ヒンジ部42は、例えば、底板45及び上板46により構成される。
【0032】
便座本体部41は、結晶性樹脂を含む。便座ヒンジ部42は、例えば、結晶性樹脂を含む。便座本体部41及び便座ヒンジ部42は、無機フィラーをさらに含んでもよい。結晶性樹脂及び無機フィラーとしては、便蓋30の説明で例示したものと同様のものを用いることができる。また、無機フィラーの配合量も、便蓋30の説明で例示したものと同様とすることができる。
【0033】
便座下面部41bの表面硬度は、便座上面部41aの表面硬度よりも小さい。便座上面部41aの表面硬度は、鉛筆硬度でB以上であることが好ましい。また、便座上面部41aの表面硬度は、鉛筆硬度でF以下であることが好ましい。便座下面部41bの表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることが好ましい。また、便座上面部41aの表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることが好ましい。
【0034】
便座ヒンジ部42の表面硬度は、例えば、便座上面部41aの表面硬度よりも小さい。便座ヒンジ部42の表面硬度は、例えば、便座下面部41bの表面硬度と同じである。便座ヒンジ部42の表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることが好ましい。また、便座ヒンジ部42の表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることが好ましい。
【0035】
便座上面部41aの表面硬度は、例えば、閉状態においてボウル部11のリム11aと上下方向に重なるいずれかの位置における表面硬度である。便座下面部41bの表面硬度は、例えば、閉状態において、便座上面部41aの表面硬度を測定した位置と上下方向に重なる位置における表面硬度である。便座ヒンジ部42の表面硬度は、例えば、便座電動開閉ユニットの出力軸が嵌合されるヒンジ軸受け部の平坦部分における表面硬度である。
【0036】
以下、実施形態に係る便蓋30及び便座40の製造工程について説明する。
図4(a)~図4(c)は、実施形態に係る便蓋の製造工程の一部を表す断面図である。
図4(a)~図4(c)に表したように、便蓋30は、金型M1及び金型M2を用いて、成形により製造される。金型M1には、加熱部Hと、冷却部C1と、が設けられている。金型M2には、冷却部C2が設けられており、加熱部は設けられていない。
【0037】
製造工程においては、まず、図4(a)に表したように、加熱部Hにより加熱された金型M1及び加熱されていない金型M2で形成された空間に上記の結晶性樹脂などを含む材料Xを充填する。このとき、材料Xは、金型M1よりも高温に加熱された状態で、金型M1及び金型M2で形成された空間に充填される。言い換えると、材料Xは、熱変形温度(ISOR75)のマイナス70℃以上かつ射出シリンダの温度より低い温度に加熱された金型M1及び加熱されていない金型M2で形成された空間に、射出シリンダにより加熱された状態で充填される。これにより、材料Xは、金型M1に接している側において徐々に冷却されるとともに、金型M2に接している側において急速に冷却される。次に、図4(b)に表したように、冷却部C1により金型M1を冷却するとともに、冷却部C2により金型M2を冷却することで、金型M1及び金型M2の内部において材料Xを冷却して硬化させる。次に、図4(c)に表したように、材料Xが硬化することで成形された便蓋30を金型M1及び金型M2から取り出す。
【0038】
このように、加熱部Hにより加熱された金型M1に金型M1よりも高温に加熱された材料Xを充填して材料Xを徐々に冷却し、さらに冷却部C1により金型M1を冷却して材料Xを硬化させることで便蓋30の便蓋上面部31aを成形することで、便蓋30の便蓋上面部31a側の表面付近の結晶化を促進し、便蓋30の便蓋上面部31aの表面硬度を大きくすることができる。また、便蓋上面部31a側の金型M1に加熱部Hを設け、便蓋下面部31b側の金型M2には加熱部を設けないことで、便蓋下面部31bの表面硬度を、便蓋上面部31aの表面硬度よりも小さくすることができる。
【0039】
以下、このように金型M1、M2の少なくとも一方に加熱部を設け、材料Xを徐々に冷却して硬化させる成形方法を、「ヒート&クール成形(H&C成形)」と称する。これに対し、金型M1、M2のいずれにも加熱部を設けず、材料Xを急速に冷却して硬化させる成形方法を、「通常成形」と称する。
【0040】
便蓋ヒンジ部32を便蓋本体部31と一体成形する場合、例えば、便蓋ヒンジ部32を成形する金型のヒンジ軸受け部に接触する部分には、加熱部を設けない。これにより、便蓋ヒンジ部32の表面硬度を、便蓋上面部31aの表面硬度よりも小さくすることができる。
【0041】
図4(a)~図4(c)では、便蓋30の製造工程について説明したが、便座40も同様の方法で製造することができる。便座40は、例えば、上記の方法で底板45と上板46とを作製し、底板45と上板46とを第1接合部材47及び第2接合部材48により接合させることで、製造することができる。このとき、加熱部Hを設けた金型M1で上板46の便座上面部41a側を成形し、加熱部を設けない金型M2で底板45の便座下面部41b側を成形することで、便座下面部41bの表面硬度を、便座上面部41aの表面硬度よりも小さくすることができる。
【0042】
あるいは、上板46を成形する際には、高い寸法精度が求められる嵌合箇所を除いて、金型M1及び金型M2の両方に加熱部を設け、底板45を成形する際には、金型M1及び金型M2の両方に加熱部を設けないことで、便座下面部41bの表面硬度を、便座上面部41aの表面硬度よりも小さくしてもよい。つまり、底板45は、「通常成形」で成形されてもよい。
【0043】
また、金型M1に加熱部Hを設ける代わりに、金型M1の成形品を形成する面に、断熱材をコーティングしてもよい。金型M1の表面に断熱材をコーティングすることで、加熱溶融した材料Xの冷却速度が遅くなるため、H&C成形と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、金型M1に加熱部Hを設ける代わりに、冷却部C1に温水や加圧した温水などを流してもよい。冷却部C1に温水や加圧した温水などを流すことで、金型M1の温度が通常の成形よりも高くなるため、H&C成形と同様の効果を得ることができる。
【0045】
図5は、実験結果の一例を示す表である。
図5の各表に示した材料を用い、通常成形、H&C成形、または断熱成形で成形した各成形品(実験例1~11)において、表面硬度を測定した結果を、図5に示す。また、各成形品の耐傷つき性、凹部及びヒンジ部の寸法安定性を評価した結果を、図5に示す。なお、実験例1、11に用いたPP A種、実験例2~5に用いたPP B種、実験例6、8~10に用いたPP C種、及び実験例7に用いたPP D種は、いずれもポリプロピレン(PP)であるが、それぞれ構造が異なる。
【0046】
通常成形では、上面部側(キャビ側)、下面部側(コア側)、及びヒンジ部の金型温度をそれぞれ図5に記載した温度に設定し、加熱溶融した材料を金型に充填し、冷却部により金型を冷却することで、金型の内部において材料を冷却して硬化させて成形品を得た。
【0047】
H&C成形では、上面部側、下面部側、及びヒンジ部の金型温度をそれぞれ図5に記載した温度に設定し、加熱溶融した材料を金型に充填して材料を徐々に冷却し、さらに冷却部により金型を冷却することで、金型の内部において材料を冷却して硬化させて成形品を得た。
【0048】
断熱成形では、上面部側の金型に断熱材をコーティングし、上面部側、下面部側、及びヒンジ部の金型温度をそれぞれ図5に記載した温度に設定し、加熱溶融した材料を金型に充填して材料を徐々に冷却し、金型の内部において材料を冷却して硬化させて成形品を得た。
【0049】
表面硬度は、JIS K 5600-5-4:1999に準拠して測定した。
【0050】
耐傷つき性の評価では、ラビングテスターの先端にフェルトを取り付け、その上から便蓋や便座を掃除する際に使用する可能性の高いトイレットペーパーを被せて、成形品の表面を5往復擦る試験を行い、試験後の成形品の耐傷つき性を評価した。耐傷つき性は、目視にて試験後の成形品を観察し、擦った部分の全体に傷があるものを「×」、擦った部分の一部に傷があるものを「△」、擦った部分の全体に傷がないものを「○」と評価した。試験時の荷重は、上面部では3kgとし、下面部では1kgとした。
【0051】
凹部及びヒンジ部の寸法安定性の評価では、それぞれ、得られた成形品を常温で48時間放置し、凹部及びヒンジ部の寸法を測定することで評価した。寸法安定性は、JIS B 0405:1991に記載の許容差が中級以下のものを「○」、許容差が中級よりも大きく粗級の中間以下のものを「△」、許容差が粗級の中間よりも大きいものを「×」と評価した。
【0052】
図5に表したように、上面部の表面硬度、下面部の表面硬度、及びヒンジ部の表面硬度がいずれも6B未満(7B)である実験例1では、凹部やヒンジ部の寸法安定性は良好であるものの、上面部の耐傷つき性が不良であった。また、上面部の表面硬度、下面部の表面硬度、及びヒンジ部の表面硬度がいずれもFである実験例9では、耐傷つき性は良好であるものの、凹部やヒンジ部の寸法安定性が不良であった。つまり、上面部の表面硬度と下面部やヒンジ部の表面硬度が同じである場合には、耐傷つき性の向上と、凹部やヒンジ部の寸法安定性の確保と、の両立が困難であった。
【0053】
これに対し、下面部の表面硬度及びヒンジ部の表面硬度が上面部の表面硬度よりも小さい、実験例2~8、10、11では、耐傷つき性が良好であり、凹部やヒンジ部の寸法安定性も良好であった。特に、上面部の表面硬度が鉛筆硬度でB以上の実験例2~4、6~8、10では、上面部の表面硬度が鉛筆硬度でB未満の実験例1、5、11に比べて、上面部の耐傷つき性が良好であった。また、下面部の表面硬度及びヒンジ部の表面硬度が鉛筆硬度で3B以上の実験例2~6、8、10では、下面部の表面硬度及びヒンジ部の表面硬度が鉛筆硬度で3B未満の実験例1、7、11に比べて、下面部の耐傷つき性が良好であった。また、下面部の表面硬度及びヒンジ部の表面硬度が鉛筆硬度で2B以下の実験例2~7、10では、下面部の表面硬度及びヒンジ部の表面硬度が鉛筆硬度で2Bを超える実験例8、9に比べて、凹部やヒンジ部の寸法安定性が良好であった。つまり、上面部の表面硬度を鉛筆硬度でB以上とし、下面部やヒンジ部の表面硬度を鉛筆硬度で3B以上2B以下とすることで、耐傷つき性と凹部やヒンジ部の寸法安定性の両方をよりバランスよく達成できることが示唆された。
【0054】
また、実験例4、11の結果から、ガラス繊維などの無機フィラーを添加することで、無機フィラーを添加しない場合と比べて、表面硬度が高くなることが示唆された。
【0055】
以上説明した実施形態に基づく便蓋及び便座として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。
【0056】
第1の態様は、便器に対して開閉可能に設けられる便蓋であって、結晶性樹脂を含み、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便蓋本体部と、閉状態において前記便蓋本体部の後方に設けられ、前記便蓋本体部を回動させるための便蓋ヒンジ部と、前記便蓋本体部に取り付けられる便蓋クッション部材と、を備え、前記便蓋本体部は、閉状態において上方に露出する便蓋上面部と、閉状態において下方に露出する便蓋下面部と、を有し、前記便蓋下面部には、前記便蓋クッション部材が取り付けられる便蓋凹部が設けられており、前記便蓋下面部の表面硬度は、前記便蓋上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便蓋である。
【0057】
便蓋下面部の拭き掃除は、便蓋を開状態にして行われることが多い。便蓋を開状態にして拭き掃除を行う場合には、使用者は強い力をかけにくい。そのため、便蓋下面部は、拭き掃除を行っても、表面に傷がつきにくい。一方、便蓋上面部の拭き掃除は、便蓋を閉状態にして行われることが多い。便蓋を閉状態にして拭き掃除を行う場合には、使用者は体重などにより強い力をかけやすい。そのため、便蓋上面部は、便蓋下面部に比べて、拭き掃除を行った際に、表面に傷がつきやすい。これに対し、第1の態様によれば、便蓋上面部の表面硬度を相対的に大きくすることで、表面に傷がつきやすい便蓋上面部において、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制できる。一方、便蓋下面部は、便蓋上面部に比べて表面に傷がつきにくいため、表面硬度を相対的に小さくしても、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制できる。また、第1の態様によれば、便蓋下面部の表面硬度を相対的に小さくすることができるため、例えば、便蓋下面部を成形する際に、樹脂を硬化させる際の金型の温度を相対的に低くすることができる。これにより、便蓋下面部において、収縮量の増大による経時的な寸法変化を低減することができ、寸法精度を向上させることができる。したがって、便蓋下面部において、便蓋凹部を所望の形状で形成することができ、便蓋クッション部材を適切に便蓋凹部に取り付けることができる。
【0058】
第2の態様は、第1の態様において、前記便蓋上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でB以上であり、前記便蓋下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とする便蓋である。
【0059】
第2の態様によれば、便蓋上面部の表面硬度を鉛筆硬度でB以上とすることで、便蓋上面部において、拭き掃除などによって表面に傷がつくことをより確実に抑制できる。また、便蓋下面部の表面硬度を鉛筆硬度で2B以下とすることで、便蓋下面部において、寸法精度をより確実に向上させることができる。
【0060】
第3の態様は、第2の態様において、前記便蓋上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でF以下であることを特徴とする便蓋である。
【0061】
第3の態様によれば、便蓋上面部の表面硬度を鉛筆硬度でF以下とすることで、便蓋上面部において、表面に傷がつくことを抑制しつつ、より容易に便蓋を製造できる。例えば、安価なため便蓋の材料として広く用いられているPPをベースに、ガラス繊維の添加やH&C成形といった公知の技術を組み合わせることで、低コストで十分な硬度を有する便蓋上面部を備えた便蓋を製造できる。
【0062】
第4の態様は、第2または第3の態様において、前記便蓋下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることを特徴とする便蓋である。
【0063】
第4の態様によれば、便蓋下面部の表面硬度を鉛筆硬度で3B以上とすることで、便蓋下面部において、拭き掃除などによって表面に傷がつくことをより確実に抑制できる。
【0064】
第5の態様は、第1~第4のいずれか1つの態様において、前記便蓋ヒンジ部は、結晶性樹脂を含み、前記便蓋ヒンジ部の表面硬度は、前記便蓋上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便蓋である。
【0065】
第5の態様によれば、便蓋ヒンジ部の表面硬度を、便蓋上面部の表面硬度よりも小さくすることで、便蓋ヒンジ部の寸法精度を向上させることができる。これにより、便蓋を開閉するための便蓋電動開閉ユニットの出力軸を便蓋ヒンジ部に対して適切に嵌合させることができる。
【0066】
第6の態様は、便器に対して開閉可能に設けられる便座であって、結晶性樹脂を含み、閉状態において前記便器のボウル部の上方に位置する便座本体部と、閉状態において前記便座本体部の後方に設けられ、前記便座本体部を回動させるための便座ヒンジ部と、前記便座本体部に取り付けられる便蓋クッション部材と、を備え、前記便座本体部は、閉状態において上方に露出する便座上面部と、閉状態において下方に露出する便座下面部と、を有し、前記便座下面部には、前記便座クッション部材が取り付けられる便座凹部が設けられており、前記便座下面部の表面硬度は、前記便座上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便座である。
【0067】
便座下面部の拭き掃除は、便座を開状態にして行われることが多い。便座を開状態にして拭き掃除を行う場合には、使用者は強い力をかけにくい。そのため、便座下面部は、拭き掃除を行っても、表面に傷がつきにくい。一方、便座上面部の拭き掃除は、便座を閉状態にして行われることが多い。便座を閉状態にして拭き掃除を行う場合には、使用者は体重などにより強い力をかけやすい。そのため、便座上面部は、便座下面部に比べて、拭き掃除を行った際に、表面に傷がつきやすい。これに対し、第6の態様によれば、便座上面部の表面硬度を相対的に大きくすることで、表面に傷がつきやすい便座上面部において、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制できる。一方、便座下面部は、便座上面部に比べて表面に傷がつきにくいため、表面硬度を相対的に小さくしても、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制できる。また、第6の態様によれば、便座下面部の表面硬度を相対的に小さくすることができるため、例えば、便座下面部を成形する際に、樹脂を硬化させる際の金型の温度を相対的に低くすることができる。これにより、便座下面部において、収縮量の増大による経時的な寸法変化を低減することができ、寸法精度を向上させることができる。したがって、便座下面部において、便座凹部を所望の形状で形成することができ、便座クッション部材を適切に便座凹部に取り付けることができる。
【0068】
第7の態様は、第6の態様において、前記便座上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でB以上であり、前記便座下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で2B以下であることを特徴とする便座である。
【0069】
第7の態様によれば、便座上面部の表面硬度を鉛筆硬度でB以上とすることで、便座上面部において、拭き掃除などによって表面に傷がつくことをより確実に抑制できる。また、便座下面部の表面硬度を鉛筆硬度で2B以下とすることで、便座下面部において、寸法精度をより確実に向上させることができる。
【0070】
第8の態様は、第7の態様において、前記便座上面部の表面硬度は、鉛筆硬度でF以下であることを特徴とする便座である。
【0071】
第8の態様によれば、便座上面部の表面硬度を鉛筆硬度でF以下とすることで、便座上面部において、表面に傷がつくことを抑制しつつ、より容易に便座を製造できる。例えば、安価なため便座の材料として広く用いられているPPをベースに、ガラス繊維の添加やH&C成形といった公知の技術を組み合わせることで、低コストで十分な硬度を有する便座上面部を備えた便座を製造できる。
【0072】
第9の態様は、第7または第8の態様において、前記便座下面部の表面硬度は、鉛筆硬度で3B以上であることを特徴とする便座である。
【0073】
第9の態様によれば、便座下面部の表面硬度を鉛筆硬度で3B以上とすることで、便座下面部において、拭き掃除などによって表面に傷がつくことをより確実に抑制できる。
【0074】
第10の態様は、第6~第9のいずれか1つの態様において、前記便座ヒンジ部は、結晶性樹脂を含み、前記便座ヒンジ部の表面硬度は、前記便座上面部の表面硬度よりも小さいことを特徴とする便座である。
【0075】
第10の態様によれば、便座ヒンジ部の表面硬度を、便座上面部の表面硬度よりも小さくすることで、便座ヒンジ部の寸法精度を向上させることができる。これにより、便座を開閉するための便座電動開閉ユニットの出力軸を便座ヒンジ部に対して適切に嵌合させることができる。
【0076】
以上説明したように、実施形態によれば、拭き掃除などによって表面に傷がつくことを抑制しつつ、下面部の寸法精度を向上できる便蓋及び便座が提供される。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便蓋や便座などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0078】
10 便器、 11 ボウル部、 11a リム、 11h 開口部、 20 ケーシング、 30 便蓋、 31 便蓋本体部、 31a 便蓋上面部、 31b 便蓋下面部、 31c 便蓋凹部、 32 便蓋ヒンジ部、 33 便蓋クッション部材、 40 便座、 41 便座本体部、 41a 便座上面部、 41b 便座下面部、 41c 便座凹部、 41h 開口部、 42 便座ヒンジ部、 43 便座クッション部材、 45 底板、 46 上板、 46a~46c 第1~第3部分、 47、48 第1、第2接合部材、 100 トイレ装置、 C1、C2 冷却部、 H 加熱部、 M1、M2 金型、 X 材料
図1
図2
図3
図4
図5