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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135302
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】食品冷却方法及び食品輸送用容器
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20220908BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F25D23/00 302A
F25D11/00 101F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035036
(22)【出願日】2021-03-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】517000922
【氏名又は名称】株式会社福岡ソノリク
(71)【出願人】
【識別番号】000155573
【氏名又は名称】株式会社矢野特殊自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【弁理士】
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】園田 壽俊
(72)【発明者】
【氏名】中川 信之
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA02
3L045CA02
3L045EA01
3L045KA11
3L045LA05
3L045LA09
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA18
3L345BB01
3L345CC01
3L345FF06
3L345FF14
3L345GG18
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】 エチレンガスなどを発生させる食品を輸送することに適した食品冷却方法等を提案する。
【解決手段】 食品輸送自動車1は、箱型の荷台9が備え付けられ、食品が積み込まれる。後方の扉によって荷物を積んだり降ろしたりする。荷台9の前方上部には、荷物を冷やす冷却部3を備える。荷台9は、吸気部5と排出部7を備える。吸気部5は荷台9の前方にあり、吸気ダクトによって荷台9外の空気を荷台9内に吸気することができる。排出部7は後方の扉にあり、荷台9内の気体を荷台9外に排出する。冷却部3を作動させる場合には、吸気部5及び排出部7による空気の取り入れ及び排出を行わず、吸気部5及び排出部7による空気の取り入れ及び排出を行う場合には冷却部3を作動させない。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送する食品が積み込まれる食品輸送用容器における食品冷却方法であって、
前記食品輸送用容器は、
前記食品を冷やすための冷気を生成する冷却部と、
当該容器の外気を当該容器の内部に入れる吸気部と、
当該容器の内気を当該容器の外に排出する排出部を備え、
前記冷却部が生成した冷気により前記食品を冷やす第1冷却ステップと、
前記吸気部及び前記排出部が、前記容器の外気を前記容器の内部に入れ、及び、前記容器の内気を前記容器の外に排出する排出ステップと、
前記冷却部が生成した冷気により前記食品を冷やす第2冷却ステップを含む食品冷却方法。
【請求項2】
前記食品は、エチレンガスを発生するものであり、
前記食品は、外気温でのエチレンガスの発生量よりも、低い温度の少なくとも一部でエチレンガスの発生量が少なくなり、
前記冷却部及び前記吸気部は、輸送されるときの前方に位置し、
前記排出部は、輸送されるときの後方に位置して排出ファンによって前記容器の内気を外部に排出し、
前記排出ステップにおいて、前記吸気部が取り入れた外気は、当該容器において、吸気ダクトによって前記食品の上に導かれる、請求項1記載の食品冷却方法。
【請求項3】
前記吸気部が取り入れた外気の少なくとも一部は、当該容器において前記食品の下に導かれる、請求項1又は2に記載の食品冷却方法。
【請求項4】
前記容器には、床にキーストンが形成されており、
前記吸気部が取り入れた外気の少なくとも一部は、当該容器においてキーストンの溝を利用して移動する、請求項3記載の食品冷却方法。
【請求項5】
輸送する食品が積み込まれる食品輸送用容器であって、
前記食品を冷やすための冷気を生成する冷却部と、
当該容器の外気を当該容器の内部に入れる吸気部と、
当該容器の内気を当該容器の外に排出する排出部と、
前記冷却部並びに前記吸気部及び前記排出部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記冷却部を作動させる場合には、前記吸気部及び前記排出部による空気の取り入れ及び排出を行わず、
前記吸気部及び前記排出部による空気の取り入れ及び排出を行う場合には、前記冷却部を作動させない、食品輸送用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、食品冷却方法及び食品輸送用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にあるように、出願人は、倉庫内において食品を保管するときに倉庫外の空気を利用することを提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6152216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は、従来の食品を輸送するための自動車の一例を示す。一般に、食品を輸送するときには、単純に、食品を冷やせば鮮度を保つことができると信じられている。
【0005】
図6(a)を参照して、食品輸送自動車101は、箱型の荷台が備え付けられ、後方の扉によって荷物を積んだり降ろしたりする。荷台の前方上部には、冷却部103を備える。冷却部103は、荷台内の荷物を冷やす。冷却部103は、特許文献1の倉庫などの場合とは異なり設置できる場所が限定される。
【0006】
図6(b)及び(c)にあるように、荷台は、内部の前方上部中央に冷気吹込口105を備える。冷気吹込口105は、冷却部103が生成した冷気を荷台内に吹き込むためのものである。荷台の床面には、キーストン111が形成されている。キーストン111は、前後方向に複数の溝が形成されたものである。荷台内の後方上部には、冷気循環ファン107が設けられている。冷気循環ファン107は、冷気吹込口105が荷台の上部から後方に吹き込んだ冷気を、荷台内の後方上部において下に送る。下に送られた冷気は、キーストン111の溝に沿って後方から前方に移動する。冷気は、荷台内で循環する。
【0007】
しかしながら、図6(d)にあるように、積荷109が野菜などのエチレンガスを発生させるものである場合に、冷気が荷台内で循環しても単にエチレンガスを充満させるだけであった。
【0008】
エチレンガスに問題があることを経験的に知っている運転手は、例えば、運転を中断して定期的に後扉を開けるなどをしてエチレンガスを排出することもあった。しかしながら、後扉は、冷却部103を運転させた状態で開けていた。さらに、後扉を開けるには自動車が止まっている必要がある。
【0009】
そこで、本願発明は、エチレンガスなどを発生させる食品を輸送することに適した食品冷却方法等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の第1の観点は、輸送する食品が積み込まれる食品輸送用容器における食品冷却方法であって、前記食品輸送用容器は、前記食品を冷やすための冷気を生成する冷却部と、当該容器の外気を当該容器の内部に入れる吸気部と、当該容器の内気を当該容器の外に排出する排出部を備え、前記冷却部が生成した冷気により前記食品を冷やす第1冷却ステップと、前記吸気部及び前記排出部が、前記容器の外気を前記容器の内部に入れ、及び、前記容器の内気を前記容器の外に排出する排出ステップと、前記冷却部が生成した冷気により前記食品を冷やす第2冷却ステップを含む。
【0011】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の食品冷却方法であって、前記食品は、エチレンガスを発生するものであり、前記食品は、外気温でのエチレンガスの発生量よりも、低い温度の少なくとも一部でエチレンガスの発生量が少なくなり、前記冷却部及び前記吸気部は、輸送されるときの前方に位置し、前記排出部は、輸送されるときの後方に位置して排出ファンによって前記容器の内気を外部に排出し、前記排出ステップにおいて、前記吸気部が取り入れた外気は、当該容器において、吸気ダクトによって前記食品の上に導かれる。
【0012】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の食品冷却方法であって、前記吸気部が取り入れた外気の少なくとも一部は、当該容器において前記食品の下に導かれる。
【0013】
本願発明の第4の観点は、第3の観点の食品冷却方法であって、前記容器には、床にキーストンが形成されており、前記吸気部が取り入れた外気の少なくとも一部は、当該容器においてキーストンの溝を利用して移動する。
【0014】
本願発明の第5の観点は、輸送する食品が積み込まれる食品輸送用容器であって、前記食品を冷やすための冷気を生成する冷却部と、当該容器の外気を当該容器の内部に入れる吸気部と、当該容器の内気を当該容器の外に排出する排出部と、前記冷却部並びに前記吸気部及び前記排出部の動作を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記冷却部を作動させる場合には、前記吸気部及び前記排出部による空気の取り入れ及び排出を行わず、前記吸気部及び前記排出部による空気の取り入れ及び排出を行う場合には、前記冷却部を作動させない。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の各観点によれば、食品輸送用容器において、冷却部とは別に吸気部及び排出部を設けることにより、輸送している状態でエチレンガスなどを排出することができ、食品を効率よく冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本願の発明の実施の形態に係る食品輸送自動車の構成の一例を示す図である。
図2】荷台9における空気の流れの一例を説明するための図である。
図3】荷台9においてキーストン19を利用したエチレンガスの排出の一例を説明するための図である。
図4】出願人が作成した実際の輸送自動車の一例を示す第1図である。
図5】出願人が作成した実際の輸送自動車の一例を示す第2図である。
図6】従来の食品を輸送するための自動車の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施例について説明する。なお、本願発明は、この実施例に限定されるものではない。
【実施例0018】
図1は、本願の発明の実施の形態に係る食品輸送自動車の構成の一例を示す図である。
【0019】
図1(a)を参照して、食品輸送自動車1は、箱型の荷台9(本願請求項の「食品輸送用容器」の一例)が備え付けられ、後方の扉によって荷物を積んだり降ろしたりする。荷台9の前方上部には、冷却部3を備える。冷却部3は、荷台9内の荷物を冷やす。
【0020】
荷台9は、吸気部5と排出部7を備える。吸気部5は荷台9の前方にあり、吸気ダクトによって荷台9外の空気を荷台9内に吸気することができる。排出部7は後方の扉にあり、排気ファン171及び172によって荷台9内の気体を荷台9外に排出することができる。吸気部5及び排出部7は、それぞれ、吸気開閉部及び排出開閉部を備える。吸気開閉部は、開閉して吸気の可否を制御する。排気開閉部は、開閉して排気の可否を制御する。吸気開閉部及び排気開閉部による吸気量及び排気量の制御は、全開、全閉に加えて、中間的な値とできるものであってもよい。開閉制御は、手動でも自動でもよい。手動制御の場合には、例えば運転席に設けたスイッチで制御してもよい。
【0021】
図1(b)~(d)を参照して、荷台9の内部の構成について説明する。
【0022】
荷台9は、内部において、前方上部中央に冷気吹込口21を備える。冷気吹込口21は、冷却部3が生成した冷気を荷台9内に吹き込むためのものである。冷却部3は、例えば、荷台9の内部及び/又は外部の気体を取り込んで温度を下げて冷気を生成する。冷気吹込口21は、例えば、冷気を水平後方に吹き込んでもよく、水平からやや上側に吹き込んでもよい。
【0023】
荷台9の床面には、キーストン19が形成されている。キーストン19は、前後方向に複数の溝が形成されたものである。
【0024】
荷台9内の後方上部には、冷気循環ファン111及び112が設けられている。冷気循環ファン111及び112は、冷気吹込口21が荷台9の上部から後方に吹き込んだ冷気を、荷台9内の後方上部において下に送る。下に送られた冷気は、キーストン19の溝に沿って後方から前方に移動する。冷気は、荷台9内で循環する。
【0025】
吸気部5は、外気を荷台9内に吸気する。この例では、吸気部5は、左右2か所に設けられている。左及び右に設けられた吸気部5が吸気した外気は、それぞれ、吸気ダクト131及び132によって導かれて、荷台9内の前方上部に設けられている外気吹込口151及び152から荷台9内に吹き込む。冷気吹込口21は前方上部中央に位置し、外気吹込口151及び152は冷気吹込口21の左側及び右側に設けられている。
【0026】
排気ファン171及び172は、それぞれ、後方の左右の扉に設けられている。排気ファン171及び172は、プロペラファンが回転して荷台9内から荷台9外へと空気の流れを生じさせて、荷台9内の気体を荷台9外に排出することができる。
【0027】
図2は、荷台9における空気の流れの一例を説明するための図である。
【0028】
図2(a)を参照して、冷却部3が生成した冷気により積荷23を冷やすときの空気の流れを説明する。このとき、吸気部5及び排出部7は、それぞれ、吸気開閉部及び排出開閉部によって吸気も排気もしない状態である。冷却部3が生成した冷気は、荷台9の中で循環する。冷気吹込口21は、荷台9の前方上部から後方に、冷却部3による冷気を吹き込む。冷気循環ファン11は、荷台9内の後方上部において、前方から後方に移動する冷気を下に送る。下に至った冷気は、キーストン19の溝によって、積荷23の下において前方へと移動する。冷気は、荷台9の中において効率よく循環する。
【0029】
図2(b)を参照して、積荷23により発生したエチレンガスについて説明する。積荷23は、食品であり、時間の経過とともにエチレンガスを発生するものである。積荷23は、例えば、野菜、果物などである。積荷23において発生したエチレンガスは、空気よりも軽いため荷台9の上方に移動する。
【0030】
積荷23によるエチレンガスの発生量は、積荷23の温度によって異なり、一般的には、常温では多く、冷やすと少なくなる。エチレンガスは、未熟な果物などを熟成させることができる。しかし、積荷23がエチレンガスによって過度に熟成してしまうと腐ってしまうなどの弊害が生じる。また、野菜では、鮮度が落ちてしまうこともある。さらに、エチレンガスは、積荷23の温度を下げることを阻害する。そのため、積荷23の輸送においては、荷台9におけるエチレンガスを減らすことが重要である。
【0031】
図2(c)を参照して、エチレンガスの排出について説明する。冷却部3及び冷気循環ファン11の動作を止め、吸気部5及び排出部7は、それぞれ、吸気開閉部及び排出開閉部によって吸気及び排気ができる状態とする。排気ファン171及び172においてプロペラファンが回転して荷台9内から荷台9外へと空気の流れを生じさせると、吸気部5から外気が吸気され、積荷23の上方の空間を利用して、外気の前方から後方への空気の流れが生じる。エチレンガスは積荷23の上方に集まっているため、エチレンガスは、積荷23の上方での前方から後方への空気の流れによって排出される。排気ファン17により空気の流れを生じさせるため、車が動いていても、車が停止した状態であってもよい。
【0032】
図2(a)の冷気循環と、図2(c)のエチレンガス排出は、例えば、一方を一定時間行い、他方を一定時間行うことを繰り返すように、交互に行うように制御すればよい。この制御は、手動で制御してもよく、図示を省略する制御部によって自動制御してもよい。例えば、積荷23を積みこんで扉を閉めると、まず、10分間は冷気循環し、続いて3分間エチレンガスを排出する。さらに、12分間冷気循環して3分間エチレンガスを排出する。さらに、15分間冷気循環して2分間エチレンガスを排出する。このように、少なくとも積み込んでからしばらくの間は、時間間隔を変更しつつ、交互に実行する。その後は、例えば、荷台9の内部上方でエチレンガスの量を測定して、所定量が検出されるまでは冷気循環して、所定量以上が検出されるとエチレンガスを排出するようにしてもよい。また、これらを組み合わせて、エチレンガスの増加量が多い段階や積荷23を積み込んで輸送を開始して一定の時間が経過するまでは、あらかじめ定めた自動制御や手動によって間欠的な制御を行い、その後に積荷23が冷えてエチレンガスがゆっくりと増加する状態になったならば、荷台9の内部のエチレンガスの量に応じた制御を行ってもよい。
【0033】
図3は、荷台9においてキーストン19を利用したエチレンガスの排出の一例を説明するための図である。
【0034】
図3(a)及び(b)を参照して、この例での荷台9の内部の構成について説明する。
【0035】
荷台9は、図1と同様に、内部前方に、冷却部3が生成した冷気を荷台9内に吹き込む冷気吹込口21を備える。荷台9の床面には、キーストン19が形成されている。また、荷台9は、吸気部5と排出部7を備える。吸気部5は荷台9の前方にあり、吸気ダクトによって荷台9外の空気を荷台9内に吸気することができる。排出部7は後方の扉にあり、排気ファン171及び172によって荷台9内の気体を荷台9外に排出することができる。吸気部5及び排出部7は、それぞれ、吸気開閉部及び排出開閉部を備える。吸気開閉部及び排出開閉部は、開閉によって吸気及び排気する量を制御する。
【0036】
荷台9の後方上方には、図1と同様に、冷気循環ファン11が設けられ、冷却部3が生成した冷気を循環させることができる。冷気循環は、図2(a)と同様に、吸気部5及び排出部7はそれぞれ吸気開閉部及び排出開閉部によって吸気も排気もしない状態で、冷却部3が冷気を後方に排出して冷気循環ファン11により冷気を下に送り、キーストン19の溝によって前方へと移動することにより実現することができる。
【0037】
吸気部5は、左右2か所に設けられている。左及び右に設けられた吸気部5が吸気した外気は、それぞれ、吸気ダクト251及び252によって導かれて、荷台9内の前方上部に設けられている上部外気吹込口271及び272から荷台9内に吹き込むとともに、荷台9内の前方下部に設けられている下部外気吹込口291及び292から荷台9内に吹き込む。冷気吹込口21は前方上部中央に位置し、上部外気吹込口271及び下部外気吹込口291は冷気吹込口21の左に、上部外気吹込口272及び下部外気吹込口292は冷気吹込口21の右に設けられている。
【0038】
図3(c)を参照して、エチレンガスの排出の一例を説明する。
【0039】
冷却部3及び冷気循環ファン11の動作を止め、吸気部5及び排出部7は、それぞれ、吸気開閉部及び排出開閉部によって吸気及び排気ができる状態とする。積荷31の上方のエチレンガスは、図2(c)と同様に、排気ファンによる上部外気吹込口27から吹き込んだ空気の流れにより排出される。
【0040】
この例では、排気ファンにより、下部外気吹込口29から排出部7への空気の流れも生じる。この空気の流れでは、キーストン19における溝に沿った流れが生じる。特に、積荷31には複数の荷物が含まれており、荷物の間には隙間が存在する。この隙間に、エチレンガスが残っている可能性がある。下部外気吹込口29を利用することにより、荷物の間の隙間を利用した空気の流れが生じる。その結果、積荷31の内部に存在する空間にあるエチレンガスを排出することができる。キーストン19における溝では、冷気循環においては後方から前方へ空気が流れ、エチレンガス排出では前方から後方へ空気が流れる。
【0041】
ただし、下部外気吹込口29からの空気の流れは、積荷31が十分に冷却すると、積荷31を温めてしまう可能性がある。そのため、例えば、下部外気吹込口29の開閉制御を行う下部外気吹込制御部を設けてもよい。上部外気吹込口27とは独立に下部外気吹込口29の開閉制御を行うことにより、例えば十分に冷却してエチレンガスの発生量が抑えられた状態などでは、上部外気吹込口27による空気の流れを生じさせても、下部外気吹込口29による空気の流れを生じさせない状態とするようにしてもよい。
【0042】
図4及び図5は、出願人が作成した実際の輸送自動車の一例を示すものである。
【0043】
図4(a)を参照して、吸気部51は、荷台の前方左右に設けられている。図4(b)は、吸気部51を拡大したものである。図4(c)を参照して、左右の吸気部51から吸気された外気は、吸気ダクト531及び532により荷台上部及び下部に設けられた外気吹込口551、552、553及び554から荷台内に吹き込む。外気吹込口551、552、553及び554は、冷気吹込口54の左右に存在して、荷台の中に上下から外気を吹き込む。
【0044】
図4(d)を参照して、荷台の後方の左右の扉には、排出部611及び612が設けられている。図4(e)は、排出部61を拡大したものである。図4(f)を参照して、冷気循環ファン651、652、653及び654が設けられている。荷台の内部の空気は、左右の扉に設けられた排気ファン631及び632によって、排出部611及び612から排出される。
【0045】
排気ファン63は、2台を合計した実測の風速から算出した排出風量が、約5.2m3/分であった。庫内容積は約56m3であり、荷物積載時の空きスペースは約8m3と想定される。そのため、例えば3分ほどの運転により十分にエチレンガス混入空気を排出できることが期待できる。
【0046】
図5は、図4の例におけるエチレンガス排出の動作の一例を説明するための図である。排気ファン631及び632によってボックス内の空気はボックス外に排出される。他方、吸気部51に庫外の空気が入り、吸気ダクト53により上下に分かれてボックス内に取り入れられる。これにより、ボックスの上下で前から後への空気の流れが生じる。
【0047】
出願人は、ファンの作動時間とインターバルの時間を設定して実験を行った。ファンの作動時間(エチレンガスの排出の時間)は3分間とした。このとき、冷却部3は動作させない。他方、インターバルの時間では、冷却部3を動作させてボックス内を冷やし、吸気部51と排出部61は閉じて空気の吸入も排出もしない。インターバルの時間は、庫内の温度が冷えるにつれて徐々に増加させた。冷却機設定温度を0℃としたところ、外気(約40℃)から設定温度に至るまでの時間は、約2時間30分であった。比較のために、ファンを作動させずに行ったところ、同様に約2時間30分であった。そのため、排気ファン63を設置しても、プルダウンのスピードに大きな影響はみられなかった。
【符号の説明】
【0048】
1 食品輸送自動車、3 冷却部、5 吸気部、7 排出部、9 荷台、11 冷気循環ファン、13 吸気ダクト、15 外気吹込口、17 排気ファン、19 キーストン、21 冷気吹込口、23 積荷、25 吸気ダクト、27 上部外気吹込口、29 下部外気吹込口、31 積荷、51 吸気部、53 吸気ダクト、54 冷気吹込口、55 外気吹込口、63 、101 食品輸送自動車、103 冷却部、105 冷気吹込口、107 冷気循環ファン、109 積荷、111 キーストン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送する食品が積み込まれる食品輸送用容器における食品冷却方法であって、
前記食品輸送用容器は、
後方に位置して前記食品を積んだり降ろしたりするための扉と、
前記食品を冷やすための冷気を生成する冷却部と、
前記冷却部が生成した冷気を循環させる冷気循環ファンと、
前記扉において当該容器の内気を当該容器の外に排出する排出部と、
当該容器の内気を前記排出部から当該容器の外に排出させる排気ファンと、
前方に位置して当該容器の外気を当該容器の内部に入れる吸気部を備え、
前記吸気部及び前記排出部が吸気も排気もしない状態で、前記冷却部が冷気を生成して前記冷気循環ファンが冷気を循環させて前記食品を冷やす第1冷却ステップと、
前記冷却部及び前記冷気循環ファンの動作を止めた状態で、前記排気ファンが前記排出部から内気を排出して前記吸気部から前記容器の外気を前記容器の内部に入れて、当該容器において前方から後方への外気の流れを生じさせるとともに、前記食品の間の隙間を利用した空気の流れを生じさせる第1排出ステップと、
前記吸気部及び前記排出部が吸気も排気もしない状態で、前記冷却部が冷気を生成して前記冷気循環ファンが冷気を循環させて前記食品を冷やす第2冷却ステップを含む食品冷却方法。
【請求項2】
前記食品は、エチレンガスを発生するものであって、外気温でのエチレンガスの発生量よりも、低い温度の少なくとも一部でエチレンガスの発生量が少なくなるものであり、
前記容器には、床に前後方向にキーストンが形成されており、
前記吸気部は、
吸気した空気を前記食品の上に導くための上部外気吹込口と、
吸気した空気を前記食品の下に導くための下部外気吹込口を備え、
前記第1冷却ステップにおいて、冷気はキーストンの後方から前方に移動し、
前記第1排出ステップにおいて、
前記上部外気吹込口から前記食品の上に導かれた外気は前方から後方に移動し、
前記下部外気吹込口から前記食品の下に導かれた外気はキーストンの前方から後方に移動しつつ前記食品の間の隙間を利用した空気の流れが生じ、
前記第2冷却ステップにおいて、冷気はキーストンの後方から前方に移動する、請求項記載の食品冷却方法。
【請求項3】
前記第2冷却ステップの後に、前記冷却部及び前記冷気循環ファンの動作を止めた状態で、前記排気ファンが前記排出部から内気を排出したことに応じて前記吸気部から前記容器の外気を前記容器の内部に入れて、当該容器において前方から後方への外気の流れを生じさせる第2排出ステップを含み、
前記吸気部は、前記下部外気吹込口の開閉制御を行う下部外気吹込制御部を備え、
前記第1排出ステップにおいて、前記下部外気吹込制御部は前記下部外気吹込口による空気の流れを生じさせる状態にして、前記食品の上下で前方から後方への空気の流れを生じさせ、
前記第2排出ステップにおいて、前記下部外気吹込制御部は前記下部外気吹込口による空気の流れを生じさせない状態にして、前記食品の上で前方から後方への外気の流れを生じさせて、前記食品の下で前方から後方への外気の流れを生じさせない、請求項2に記載の食品冷却方法。
【請求項4】
輸送する食品が積み込まれる食品輸送用容器であって、
後方に位置して前記食品を積んだり降ろしたりするための扉と、
前記食品を冷やすための冷気を生成する冷却部と、
前記冷却部が生成した冷気を循環させる冷気循環ファンと、
前記扉において当該容器の内気を当該容器の外に排出する排出部と、
当該容器の内気を前記排出部から当該容器の外に排出させる排気ファンと、
前方に位置して当該容器の外気を当該容器の内部に入れる吸気部と
前記冷却部並びに前記吸気部及び前記排出部の動作を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記吸気部及び前記排出部が吸気も排気もしない状態で、前記冷却部が冷気を生成して前記冷気循環ファンが冷気を循環させて前記食品を冷やし、
前記食品を冷やした後に、前記冷却部及び前記冷気循環ファンの動作を止めた状態で、前記排気ファンが前記排出部から内気を排出して前記吸気部から前記容器の外気を前記容器の内部に入れて、当該容器において前方から後方への外気の流れを生じさせるとともに、前記食品の間の隙間を利用した空気の流れを生じさせ
前記吸気部及び前記排出部による空気の流れを生じさせた後に、前記吸気部及び前記排出部が吸気も排気もしない状態で、前記冷却部が冷気を生成して前記冷気循環ファンが冷気を循環させて前記食品を冷やす、食品輸送用容器。