(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135338
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び、情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220908BHJP
【FI】
G06Q30/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035080
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000151221
【氏名又は名称】株式会社島精機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】北川 尚作
(72)【発明者】
【氏名】丸山 元希
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衣類に関する様々な事象の発生状況に応じた有意な情報を衣類自体に持たせることを可能とする情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】情報処理システム1において、情報処理装置5は、衣類に付され、衣類に関する衣類情報を記憶する記憶回路及び非接触通信を行う通信回路を有する情報記憶媒体から非接触通信により読み取られた衣類情報を取得する衣類情報取得部520と、衣類情報により特定される衣類に関する事象に基づいて、衣類に付与する特典を導出する特典導出部521Aと、特典を非接触通信により情報記憶媒体に書き込むための特典情報を生成する特典情報生成部522Aと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類に付された情報記憶媒体であって前記衣類に関する衣類情報を記憶する記憶回路及び非接触通信を行う通信回路を有する前記情報記憶媒体から前記非接触通信により読み取られた前記衣類情報を取得する衣類情報取得部と、
前記衣類情報により特定される前記衣類に関する事象に基づいて、当該衣類に付与する特典を導出する特典導出部と、
前記特典を前記非接触通信により前記情報記憶媒体に書き込むための特典情報を生成する特典情報生成部とを備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記特典導出部は、
前記事象が環境に与える影響度を示す環境影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特典導出部は、
前記衣類の製造に関する前記事象に対する前記環境影響度として、
前記衣類の素材、
前記製造に使用された消耗材、
前記製造に使用されたエネルギー、
前記製造が行われた製造時期、
のうち少なくとも1つの項目に基づいて、前記環境影響度を特定し、
その特定した前記環境影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特典導出部は、
前記衣類の物流に関する前記事象に対する前記環境影響度として、
前記衣類の輸送距離、
前記物流に使用された輸送手段、
前記物流に使用されたエネルギー、
前記物流に使用された梱包材、
のうち少なくとも1つの項目に基づいて、前記環境影響度を特定し、
その特定した前記環境影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記特典導出部は、
前記衣類の使用又は保守に関する前記事象に対する前記環境影響度として、
前記衣類の寸法直し、
前記衣類の補修、
前記衣類に対して洗濯が行われたときの洗濯実績、
前記衣類に対してクリーニングが行われたときのクリーニング実績、
のうち少なくとも1つの項目に基づいて、前記環境影響度を特定し、
その特定した前記環境影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特典導出部は、
複数の前記項目に基づいて前記環境影響度をそれぞれ特定したとき、前記項目毎の前記環境影響度に応じて前記項目毎の個別特典を導出し、
前記特典情報生成部は、
前記項目毎の前記個別特典を書き込むための前記特典情報を生成する、
請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特典導出部は、
複数の前記項目に基づいて前記環境影響度をそれぞれ特定したとき、前記項目毎の前記環境影響度に応じて前記項目毎の個別特典を導出し、前記項目毎の個別特典に基づいて総合特典を導出し、
前記特典情報生成部は、
前記総合特典を書き込むための前記特典情報を生成する、
請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特典導出部は、
前記事象が前記衣類の価値評価に与える影響度を示す価値評価影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記特典導出部は、
前記衣類の販売又は取引に関する前記事象に対する前記価値評価影響度として、
前記衣類の販売期間、
前記衣類の取引回数、
のうち少なくとも1つの項目に基づいて、前記価値評価影響度を特定し、
その特定した前記価値評価影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記特典導出部は、
前記衣類の使用又は保守に関する前記事象に対する前記価値評価影響度として、
前記衣類の着用実績、
前記衣類に対して洗濯が行われたときの洗濯実績、
前記衣類に対してクリーニングが行われたときのクリーニング実績、
のうち少なくとも1つの項目に基づいて、前記価値評価影響度を特定し、
その特定した前記価値評価影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項8又は請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記特典導出部は、
前記衣類の需要に関する前記事象に対する前記価値評価影響度として、
前記衣類の人気度、
前記衣類に関するメディアの露出回数、
前記衣類に関するSNSの投稿回数又は引用回数、
のうち少なくとも1つの項目に基づいて、前記価値評価影響度を特定し、
その特定した前記価値評価影響度に応じて、前記特典を導出する、
請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記特典導出部は、
複数の前記項目に基づいて前記価値評価影響度をそれぞれ特定したとき、前記項目毎の前記価値評価影響度に応じて前記項目毎の個別特典を導出し、
前記特典情報生成部は、
前記項目毎の前記個別特典を書き込むための前記特典情報を生成する、
請求項9乃至請求項11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記特典導出部は、
複数の前記項目に基づいて前記価値評価影響度をそれぞれ特定したとき、前記項目毎
の前記価値評価影響度に応じて前記項目毎の個別特典を導出し、前記項目毎の個別特典に基づいて総合特典を導出し、
前記特典情報生成部は、
前記総合特典を書き込むための前記特典情報を生成する、
請求項9乃至請求項12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記非接触通信により前記情報記憶媒体から前記衣類情報を読み取る情報読取装置と、
前記非接触通信により前記特典情報を前記情報記憶媒体に書き込む情報書込装置とを備える、
情報処理システム。
【請求項15】
衣類に付された情報記憶媒体であって前記衣類に関する衣類情報を記憶する記憶回路及び非接触通信を行う通信回路を有する前記情報記憶媒体から前記非接触通信により読み取られた前記衣類情報を取得する衣類情報取得工程と、
前記衣類情報により特定される前記衣類に関する事象に基づいて、当該衣類に付与する特典を導出する特典導出工程と、
前記特典を前記非接触通信により前記情報記憶媒体に書き込むための特典情報を生成する特典情報生成工程とを備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び、情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、服飾装飾業界による環境汚染が度々問題視されている。本願出願時点における服飾装飾業界による二酸化炭素の排出量は全業界の10%を占め、工業用水汚染の17~20%が衣類の染色と仕上げによるものであると推定されている。具体的な例を挙げれば、綿のTシャツ1枚の作成に使用される平均水量は、推定2,500リットルであるとも言われている。これらの主要因として、服飾装飾業界の多くが「ファストファッション(消費者のニーズに基づいてトレンドの衣類をリサーチし、超短期間で大量に生産・販売する)」という経営スタイルをとっていることが挙げられる。短い期間でトレンド商品を大量生産し、追加生産を行わない売り切り型でコストダウンを図る一方、余剰在庫も発生しやすくなり、それらはブランドイメージを守る等の理由でやむなく処分されてしまう。また、消費者にとっては衣類を低価格で購入できるが故に、衣類の着用回数・期間が短くなり、1シーズンで処分される衣類も珍しくなくなった。
【0003】
服飾装飾業界は、環境問題を解決するために様々な取り組みを行っている。例えば、自然素材、リサイクル素材、アニマルフリー素材等の地球環境に優しいサステナブル素材の活用や研究に力を注いでいる。また、衣類の1枚ずつに付されたICタグに様々な情報を書き込み・読み出しできるシステムを開発し、店頭やオンラインショップ上での在庫管理を行うことで余剰在庫を減らしたり、売り上げの傾向を把握したりすることに活用している。さらに、任意の衣類に付与された情報を消費者個人でもアクセスできるようにして、自宅に保管している衣類を把握したり、手持ちの衣類で可能なコーディネートを提案したり、さらには不要になった衣類の2次流通を促すことで、消費者主体の持続可能な衣類の活用が実現できる可能性がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、会員が使用する会員端末と、衣類に付されたICタグの情報を読み取るICタグリーダと、会員のクローゼット情報を管理する服飾品管理サーバとがネットワークで接続された服飾品管理システムが開示されている。当該服飾品管理システムは、衣類が不要になった際に、会員端末に中古買取店のリストやリンク、広告、同じ商品のオークションでの落札価格などを表示したり、会員同士の物々交換マーケットへの出品を提案したりする機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示された服飾品管理システムでは、上述した機能により、利用者に不要となった衣類の再利用方法を提案することを可能にしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された服飾品管理システムのように、ただ不要になった衣類のリユースを促すのみでは、消費者の能動的な行動に縋ることになってしまう。多くの場合、中古品の売買には何段階にも及ぶ煩雑な作業が必要になるので、実際にはリユースが果たされず、衣類が廃棄されてしまう可能性が高い。不要になった衣類をただ廃棄すると、消費者が短期間に、低価格かつ環境への負荷が大きい手法で製造された衣類を大
量消費し、それらの消費動向を見越して服飾装飾業界が大量生産を行うという悪循環を断ち切ることが困難になると考えられる。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、利用者に衣類に関する情報を提供して利用者にその後の能動的な行動を促すことを要せずとも、衣類に関する様々な事象の発生状況に応じた有意な情報を衣類自体に持たせることを可能とする情報処理装置、情報処理システム、及び、情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、
衣類に付された情報記憶媒体であって前記衣類に関する衣類情報を記憶する記憶回路及び非接触通信を行う通信回路を有する前記情報記憶媒体から前記非接触通信により読み取られた前記衣類情報を取得する衣類情報取得部と、
前記衣類情報により特定される前記衣類に関する事象に基づいて、当該衣類に付与する特典を導出する特典導出部と、
前記特典を前記非接触通信により前記情報記憶媒体に書き込むための特典情報を生成する特典情報生成部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る情報処理装置によれば、特典導出部が、情報記憶媒体から読み取られた衣類情報により特定される衣類に関する事象に基づいて当該衣類に付与する特典を導出し、特典情報生成部が、その特典を情報記憶媒体に書き込むための特典情報を生成する。これにより、特典情報が、衣類に付された情報記憶媒体に書き込まれるので、利用者に能動的な行動を促すことを要せずとも、衣類に関する事象の発生状況に応じた特典という有意な情報を衣類自体に持たせることができる。
【0011】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る衣類情報を記憶する情報記憶媒体3の一例を示す構成図である。
【
図3】第1の実施形態に係るデータベース60Aの一例を示すデータ構成図である。
【
図4】第1の実施形態に係る情報処理装置5の一例を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態に係る特典導出部521Aが特典を導出するときの特典導出処理の概要を示す概要図である。
【
図6】情報処理システム1の各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図7】第1の実施形態に係る情報処理装置5の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係るデータベース60Bの一例を示すデータ構成図である。
【
図9】第2の実施形態に係る情報処理装置5の一例を示すブロック図である。
【
図10】第2の実施形態に係る特典導出部521Bが特典を導出するときの特典導出処理の概要を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、
本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理システム1の一例を示す全体構成図である。
図2は、第1の実施形態に係る衣類情報を記憶する情報記憶媒体3の一例を示す構成図である。
【0015】
情報処理システム1は、衣類2に付された情報記憶媒体3に対して情報の読み書きを非接触通信により行うことで各種の情報処理を行うシステムである。情報処理システム1は、その構成要素として、衣類ライフサイクル管理装置4と、複数のリーダライタ40と、情報処理装置5と、情報管理装置6と、端末装置7とを備える。情報処理システム1の各装置4~7は、ネットワーク8により通信可能に接続される。ネットワーク8は、任意の通信方式を採用すればよく、有線でもよいし無線でもよい。
【0016】
情報処理システム1が扱う衣類2は、
図1に示されるとおり、製造フェーズ、物流フェーズ、販売フェーズ、使用フェーズ及び保守フェーズ等からなるライフサイクルを有する。すなわち、衣類2は、各地の製造工場で製造され、トラックや船舶等の輸送手段を用いた物流ルートにより輸送され、販売網(販売店、オンラインショップ等)にて販売される。そして、衣類2は、消費者によって購入された後、身に付けられることで使用されるとともに、洗濯、クリーニング、補修等の保守が行われる。
【0017】
衣類2には、情報記憶媒体3が付されている。衣類2は、任意の衣類であり、例えば、ニット、シャツ、ズボン、スカート等の衣服だけでなく、マフラー、帽子、手袋等の小物も含む。
【0018】
情報記憶媒体3は、例えば、RFIDと呼ばれる電子タグ(ICタグ)により構成される。情報記憶媒体3は、
図2に示すように、衣類2に関する衣類情報を記憶する記憶回路30と、非接触通信を行う通信回路31とを有する。情報記憶媒体3は、衣類2のデザインや素材に合わせて任意の取付方法により衣類2に取り付けられる。情報記憶媒体3は、衣類2の製造フェーズで取り付けられ、例えば、衣類2の表示ラベルに縫い付けられたり接着されたりしてもよいし、衣類2の編糸に編み込まれてもよい。
【0019】
衣類ライフサイクル管理装置4は、例えば、サーバやクラウドとして機能する汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図6参照)等で構成される。衣類ライフサイクル管理装置4は、各フェーズに設けられ、製造管理装置4Aと、物流管理装置4Bと、販売管理装置4Cと、使用管理装置4Dと、保守管理装置4Eとしてそれぞれ機能する。製造管理装置4Aは、製造工場の各種の製造装置等に接続されて、デザインデータや製造データを管理する。物流管理装置4Bは、物流拠点及び輸送手段等に接続されて、物流データを管理する。販売管理装置4Cは、販売店やオンラインショップの倉庫に接続されて、販売データを管理する。使用管理装置4Dは、消費者の自宅や消費者が使用する端末装置7、家電等に接続されて、使用履歴データを管理する。保守管理装置4Eは、クリーニング店及び衣類補修店等に接続されて、保守履歴データを管理する。
【0020】
衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)には、複数のリーダライタ40がそれぞれ接続される。リーダライタ40は、所定の通信範囲内に存在する情報記憶媒体3との間で非接触通信を行うアンテナ回路(不図示)を備え、情報記憶媒体3から情報を読み取る情報読取装置、及び、情報記憶媒体3に情報を書き込む情報書込装置として機能する。なお、リーダライタ40は、リーダ(情報読取装置)と、ライタ(情報書込装置)とが一体
の装置で構成されていてもよいし、別体の装置で構成されていてもよい。
【0021】
リーダライタ40は、
図1に示すように、衣類2の各フェーズで使用され、衣類2のライフサイクルに沿って、製造工場、物流拠点、輸送手段、販売店(新品、古着及び中古のいずれでもよい)、オンラインショップの倉庫、消費者の自宅の玄関やクローゼット、洗濯機、クリーニング店、衣類補修店等の適宜の設置場所に設置される。
図1では、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)に対して1つのリーダライタ40が接続されているが、複数のリーダライタ40が接続される。その際、リーダライタ40は、壁、天井、ゲート等に固定される固定式でもよいし、使用者が持ち運び可能なハンディ式でもよいし、使用者が所有する携帯端末(携帯電話、スマートフォン等)に組み込まれた組込式でもよい。設置場所によっては、リーダライタ40に代えて、リーダ(情報読取装置)が設置されていてもよい。
【0022】
衣類情報は、
図2に示すように、商品固有情報と、特典情報とを含む。衣類情報は、情報記憶媒体3に記憶されて、リーダライタ40により読み取り及び書き込みが行われる。
【0023】
商品固有情報は、衣類2を識別するために製造メーカ等により割り振られた情報であり、例えば、衣類2の型式を特定するための商品コードと、衣類2の個体を一意に特定するためのシリアルコードとを含む。商品固有情報は、衣類2の製造フェーズにおいてリーダライタ40により読み取り専用のデータとして書き込みが行われ、その書き込みが行われた以降の各フェーズにおいてリーダライタ40により読み取りが行われる。
【0024】
特典情報は、衣類2に関する事象に基づいて当該衣類2に付与された特典を示す情報であり、複数の個別特典P101~PNと、総合特典P201とを含む。個別特典P101~PN及び総合特典P201は、情報処理装置5により導出される。特典情報は、衣類2の各フェーズにおいてリーダライタ40により読み取り及び書き込みが行われる。なお、特定のフェーズでは、特典情報の書き込みが省略されてもよい。
【0025】
衣類2に関する事象とは、衣類2の各フェーズにおいて衣類2の特徴や状態を定める各種の事象であり、例えば、衣類2に対して行われるアクションや、衣類2に発生するイベント等である。事象の発生状況は、衣類2の各フェーズにて衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)により取得される。
【0026】
リーダライタ40の各設置場所にてリーダライタ40の通信範囲内に存在する情報記憶媒体3から衣類情報が読み取られると、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)は、衣類情報により特定される衣類2に関する事象の発生状況を取得し、衣類情報に含まれる商品固有情報と、その事象の発生状況を示す事象データとを情報管理装置6に送信する。また、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)は、衣類情報を情報処理装置5に送信し、その応答として、情報処理装置5から情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を受信すると、その特典情報は、リーダライタ40の通信範囲内に存在する情報記憶媒体3に書き込まれる。
【0027】
情報処理装置5は、例えば、サーバやクラウドとして機能する汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図6参照)等で構成される。情報処理装置5は、リーダライタ40により読み取られた衣類情報を衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)から受信(取得)する。情報処理装置5は、衣類情報により特定される衣類2に関する事象に基づいて当該衣類2に付与する特典を導出し、その導出した特典を情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成し、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)に送信する。情報処理装置5の詳細は後述する。
【0028】
情報管理装置6は、情報処理装置5と同様に、例えば、サーバやクラウドとして機能する汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図6参照)等で構成される。情報管理装置6は、衣類2の各フェーズにて発生する衣類2に関する事象の発生状況を記憶するデータベース60A(後述の
図3参照)を備える。情報管理装置6は、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)から、衣類情報に含まれる商品固有情報と、その商品固有情報に関連付けられた事象データとを受信すると、商品固有情報及び事象データをデータベース60Aに登録する。
【0029】
端末装置7は、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図6参照)等で構成され、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)の管理者、各フェーズの作業員及び店員、並びに消費者により使用される。端末装置7は、入力画面を介して各種の操作入力を受け付けるとともに、アプリやブラウザ等の表示画面を介して各種の情報(例えば、衣類情報)を表示する。
【0030】
図1には、1つの端末装置7が図示されているが、情報処理システム1には、複数の端末装置7が設けられ、一部の端末装置7は、例えば、リーダライタ40と同様の設置場所に設置されるとともに、リーダライタ40に接続されていてもよい。その際、端末装置7は、リーダライタ40により情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報を衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)に送信するようにしてもよい。また、端末装置7は、情報処理装置5として機能するようにしてもよく、その場合には、端末装置7が、リーダライタ40により情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報に基づいて特典情報を生成することで、当該情報記憶媒体3に特典情報を書き込むようにしてもよい。
【0031】
図3は、第1の実施形態に係るデータベース60Aの一例を示すデータ構成図である。
図3は、データベース60Aのテーブル構造を示すものであり、複数の衣類2にそれぞれ対応するレコードの表記は省略されている。
【0032】
データベース60Aには、商品固有情報と、製造情報と、物流情報と、販売・取引情報と、使用・保守情報とが含まれる。
【0033】
商品固有情報は、情報記憶媒体3に記憶された衣類情報に含まれる商品固有情報と同様の情報であり、情報記憶媒体3が付された衣類2と、データベース60Aの1レコード分のデータとを関連付けて管理するための情報である。したがって、製造フェーズにて衣類2が新たに製造される度に、その衣類2に新たに割り振られた商品固有情報が、その衣類2に付された情報記憶媒体3に書き込まれるともに、データベース60Aにも登録される。なお、情報記憶媒体3には、商品固有情報の他に、製造情報、物流情報、販売・取引情報及び使用・保守情報の一部又は全部が書き込まれてもよい。
【0034】
製造情報は、衣類2の製造に関する情報であり、製造フェーズを通じてデータベース60Aに登録される。製造情報は、
図3に示すように、例えば、衣類2の製造メーカ、製造場所、商品区分(ニット、シャツ、ズボン、スカート等)、色、サイズ(S、M、L等でもよいし、mm単位でもよい)、素材(量と種類等、複数種でもよい)、製造に使用された消耗材(量と種類等)、製造に使用されたエネルギー(量と種類等)、製造が行われた製造時期等を含む。なお、製造情報は、衣類2の製造に関する情報であればよく、上記の例に限られない。
【0035】
製造情報に含まれる各種の情報は、衣類2の製造フェーズとして、例えば、デザイン工程、裁断工程、縫製工程、仕上げ工程及び出荷工程等の各工程で発生する事象に基づいて、製造管理装置4Aにより随時取得される。そして、その取得された情報が、事象データとして、製造工場に設置されたリーダライタ40により読み取られた衣類2の商品固有情
報とともに、製造管理装置4Aから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録される。
【0036】
なお、製造情報は、商品固有情報と関連付けられてデータベース60Aに登録されればよい。そのため、リーダライタ40が設置されていない場所や工程であっても、製造管理装置4Aにて商品固有情報を特定できる場合には、製造情報が、その商品固有情報とともに、製造管理装置4Aから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録されてもよい。
【0037】
物流情報は、衣類2の物流に関する情報であり、物流フェーズを通じてデータベース60Aに登録される。物流情報は、
図3に示すように、例えば、衣類2の輸送距離、物流に使用された輸送手段(複数種でもよい)、物流に使用されたエネルギー(量と種類等)、物流に使用された梱包材(種類や量等)等を含む。なお、物流情報は、衣類2の物流に関する情報であればよく、上記の例に限られない。
【0038】
物流情報に含まれる各種の情報は、衣類2の物流フェーズとして、例えば、出荷地点(製造工場)、物流事業者の各物流拠点及び目的地点(販売店、オンラインショップの倉庫、消費者の自宅)の順で輸送される各段階で発生する事象に基づいて、物流管理装置4Bにより随時取得される。そして、その取得された情報は、事象データとして、物流拠点や輸送手段に設置されたリーダライタ40により読み取られた衣類2の商品固有情報とともに、物流管理装置4Bから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録される。
【0039】
なお、物流情報は、商品固有情報と関連付けられてデータベース60Aに登録されればよい。そのため、リーダライタ40が設置されていない場所であっても、物流管理装置4Bにて商品固有情報を特定できる場合には、物流情報が、その商品固有情報とともに、物流管理装置4Bから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録されてもよい。
【0040】
販売・取引情報は、衣類2の販売又は取引に関する情報であり、販売フェーズを通じてデータベース60Aに登録される。販売・取引情報は、
図3に示すように、例えば、販売場所、販売価格、販売期間、取引回数等を含む。販売期間は、衣類2が販売店やオンラインショップで購入可能な状態(棚に陳列された状態等)となってから消費者により購入されるまでの期間である。取引回数は、衣類2が新品として販売された後、例えば、リユースショップ、古着店等の販売店の他に、フリーマーケット、ネットオークションサイト等で中古品として取引が行われたときの回数である。なお、販売・取引情報は、衣類2の販売又は取引に関する情報であればよく、上記の例に限られない。
【0041】
販売・取引情報に含まれる各種の情報は、衣類2の販売フェーズとして、例えば、販売店やオンラインショップの倉庫で入荷、販売、棚卸し、販売価格の改定が行われる各段階で発生する事象に基づいて、販売管理装置4Cにより随時取得される。そして、その取得された情報は、事象データとして、販売店や倉庫に設置されたリーダライタ40により読み取られた衣類2の商品固有情報とともに、販売管理装置4Cから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録される。
【0042】
なお、販売・取引情報は、商品固有情報と関連付けられてデータベース60Aに登録されればよい。そのため、リーダライタ40が設置されていない場所であっても、販売管理装置4Cにて商品固有情報を特定できる場合には、販売・取引情報が、その商品固有情報とともに、販売管理装置4Cから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録されてもよい。
【0043】
使用・保守情報は、衣類2の使用又は保守に関する情報であり、使用フェーズ及び保守フェーズを通じてデータベース60Aに登録される。使用・保守情報は、
図3に示すように、例えば、衣類2の着用実績(回数や時間等)、寸法直し、補修(補修箇所や補修方法等)、洗濯が行われたときの洗濯実績(回数やコース等)、クリーニングが行われたときのクリーニング実績(回数やコース等)等を含む。なお、使用・保守情報は、衣類2の使用又は保守に関する情報であればよく、上記の例に限られない。
【0044】
使用・保守情報に含まれる各種の情報は、衣類2の使用フェーズ及び保守フェーズとして、例えば、消費者が衣類2を着用したり洗濯したり、クリーニングや補修のサービスを受けたりする各段階で発生する事象に基づいて、使用管理装置4D又は保守管理装置4Eにより随時取得される。そして、その取得された情報は、事象データとして、消費者の自宅、クリーニング店又は衣類補修店等に設置されたリーダライタ40により読み取られた衣類2の商品固有情報とともに、使用管理装置4D又は保守管理装置4Eから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録される。
【0045】
なお、使用・保守情報は、商品固有情報と関連付けられてデータベース60Aに登録されればよい。そのため、リーダライタ40が設置されていない場所であっても、使用管理装置4D又は保守管理装置4Eにて商品固有情報を特定できる場合には、使用・保守情報が、その商品固有情報とともに、使用管理装置4D又は保守管理装置4Eから情報管理装置6に送信されることでデータベース60Aに登録されてもよい。
【0046】
図4は、第1の実施形態に係る情報処理装置5の一例を示すブロック図である。
【0047】
情報処理装置5は、キーボード等により構成される入力部50と、情報処理プログラム510Aを記憶する記憶部51と、プロセッサ等により構成される制御部52と、ネットワーク8との通信インターフェースである通信部53と、ディスプレイ等により構成される出力部54とを備える。なお、入力部50や出力部54は省略されてもよく、その場合には、端末装置7等を、入力部50や出力部54として機能させてもよい。
【0048】
制御部52は、情報処理プログラム510Aを実行することにより、衣類情報取得部520、特典導出部521A及び特典情報生成部522Aとして機能する。
【0049】
衣類情報取得部520は、リーダライタ40が情報記憶媒体3から非接触通信により読み取った衣類情報を取得(受信)する。リーダライタ40の通信範囲内に複数の情報記憶媒体3が同時に存在する場合には、衣類情報取得部520は、リーダライタ40が複数の情報記憶媒体3からそれぞれ読み取った複数の衣類情報を取得する。なお、衣類情報取得部520は、衣類情報のうち、商品固有情報だけを取得してもよいし、商品固有情報及び特典情報を取得してもよい。
【0050】
特典導出部521Aは、衣類情報取得部520が取得した衣類情報により特定される衣類2に関する事象に基づいて、当該衣類2に付与する特典を導出する特典導出処理を行う。
【0051】
具体的には、特典導出部521Aは、衣類情報取得部520が取得した衣類情報に含まれる商品固有情報を用いて、データベース60Aに記憶された衣類2に関する各事象の発生状況を参照し、各事象が環境に与える影響度を示す環境影響度に応じて、特典を導出する。その際、特典導出部521Aは、衣類2の各フェーズで発生する事象の各項目に基づいて環境影響度をそれぞれ特定し、その特定した項目毎の環境影響度に応じて項目毎の個別特典を導出する。さらに、特典導出部521Aは、項目毎の個別特典に基づいて総合特
典を導出する。
【0052】
図5は、第1の実施形態に係る特典導出部521Aが特典(個別特典及び総合特典)を導出するときの特典導出処理の概要を示す概要図である。
【0053】
特典導出部521Aは、衣類2の製造に関する事象に対する環境影響度として、素材、消耗材、エネルギー及び製造時期のうち少なくとも1つの項目に基づいて環境影響度を特定し、その特定した環境影響度に応じて特典を導出する。本実施形態では、上記4つの項目に対して個別特典P101~P104をポイントとしてそれぞれ導出するものとして説明する。
【0054】
素材に対する個別特典P101は、例えば、衣類2の素材がサステナブル素材であるときや素材の使用量が少ないほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。消耗材に対する個別特典P102は、例えば、製造フェーズで使用された水や洗浄剤の量が少ないほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。エネルギーに対する個別特典P103は、例えば、製造装置の消費電力が少ないほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。製造時期に対する個別特典P104は、例えば、製造時期から現在時刻までの経過時間が長いほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。なお、個別特典P101~P103は、製造フェーズ以降にて導出されるが、繰り返し導出される必要はない。個別特典P104は、繰り返し導出される。
【0055】
特典導出部521Aは、衣類2の物流に関する事象に対する環境影響度として、輸送距離、輸送手段、エネルギー及び梱包材のうち少なくとも1つの項目に基づいて環境影響度を特定し、その特定した環境影響度に応じて特典を導出する。本実施形態では、上記4つの項目に対して個別特典P111~P114をポイントとしてそれぞれ導出するものとして説明する。
【0056】
輸送距離に対する個別特典P111は、例えば、輸送距離が短いほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。輸送手段に対する個別特典P112は、例えば、輸送手段の動力源がクリーンエネルギーを使用するときや輸送手段の二酸化炭素排出量が少ないほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。エネルギーに対する個別特典P113は、例えば、輸送手段が使用するエネルギー(電気やガソリン)が少ないほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。梱包材に対する個別特典P114は、例えば、梱包材が再生可能資源を原料とした梱包材であるときや梱包材の使用量が少ないほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。なお、個別特典P111~P114は、物流フェーズ以降にて導出されるが、繰り返し導出される必要はない。
【0057】
特典導出部521Aは、衣類2の使用又は保守に関する事象に対する環境影響度として、寸法直し、補修、洗濯実績及びクリーニング実績のうち少なくとも1つの項目に基づいて環境影響度を特定し、その特定した環境影響度に応じて特典を導出する。本実施形態では、上記4つの項目に対して個別特典P121~P124をポイントとしてそれぞれ導出するものとして説明する。
【0058】
寸法直しに対する個別特典P121は、例えば、衣類2の寸法直しが行われるときに環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。補修に対する個別特典P122は、例えば、衣類2の補修が行われるときに環境影響度が
小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。洗濯実績に対する個別特典P123は、例えば、洗濯が節水コースで行われたときや洗濯回数が多いほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。クリーニング実績に対する個別特典P124は、例えば、クリーニングが衣類2の寿命を延ばすようなコースで行われたときやクリーニング回数が多いほど環境影響度が小さいと特定され、環境影響度が小さいほど高いポイントとして導出される。なお、個別特典P121~P124は、使用フェーズ及び保守フェーズにて繰り返し導出される。
【0059】
なお、特典導出部521Aは、項目毎の個別特典P101~P104、P111~P114、P121~P124を導出する際、データベース60Aを参照することで得られる各事象の発生状況を示すデータを、項目毎に予め用意された関数式、換算式、関係テーブル等に代入することで、項目毎の個別特典P101~P104、P111~P114、P121~P124を導出すればよい。
【0060】
また、特典導出部521Aは、項目毎の個別特典P101~P104、P111~P114、P121~P124を導出する際、データベース60Aに記憶された各種の情報(
図3参照)を参照するため、データベース60Aに情報が未登録の場合には、個別特典を導出できないが、情報が登録済みであれば任意のタイミングで個別特典を導出することが可能である。そのため、特典導出部521Aは、データベース60Aに情報が登録された同じタイミングで個別特典P101~P104、P111~P114、P121~P124を導出してもよいし、データベース60Aに情報が登録された後の別のタイミングで個別特典P101~P104、P111~P114、P121~P124を導出してもよい。例えば、製造に関する個別特典P101~P104は、衣類2の製造が行われてデータベース60Aに情報が登録済みのタイミングであれば導出可能であるため、製造フェーズの出荷段階で情報が登録済みであれば、出荷時に衣類情報がリーダライタ40により読み取られたタイミングで導出されてもよいし、物流フェーズの途中段階で衣類情報がリーダライタ40により読み取られたタイミングで導出されてもよい。
【0061】
また、特典導出部521Aは、項目毎の個別特典を導出する際、複数の個別特典を同じタイミングでまとめて導出してもよいし、異なるタイミングで別々に導出してもよい。例えば、販売時のタイミングで、製造に関する個別特典P101~P104と、物流に関する個別特典P111~P114とがまとめて導出されてもよい。
【0062】
特典導出部521Aは、上記のように導出した項目毎の個別特典P101~P104、P111~P114、P121~P124(個別ポイント)に重み係数をそれぞれ乗じて合算することにより、総合特典P201(総合ポイント)を導出する。なお、特典導出部521Aは、総合特典P201の導出に際して、項目毎の差が大きくならないように、個別特典に対して正規化を適宜行ってもよい。また、特典導出部521Aは、製造に関する4つの個別特典P101~P104に基づいて第1の総合特典を導出し、物流に関する4つの個別特典P111~P114に基づいて第2の総合特典を導出し、使用又は保守に関する個別特典P121~P124に基づいて第3の総合特典を導出してもよい。さらに、特典導出部521Aは、総合特典P201の導出を省略してもよい。
【0063】
特典情報生成部522Aは、特典導出部521Aが導出した特典(個別特典及び総合特典)を、リーダライタ40による非接触通信により情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成し、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)に接続されたリーダライタ40に送信する。特典情報生成部522Aが生成した特典情報は、リーダライタ40により情報記憶媒体3に書き込まれることにより、情報記憶媒体3に記憶された特典情報は上書きされる。
【0064】
なお、衣類情報取得部520が、情報記憶媒体3から特典情報を取得している場合には、特典情報生成部522Aは、その特典情報に含まれる個別特典及び総合特典に、特典導出部521Aが導出した特典を加算又は減算することで、情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成してもよい。例えば、消費者の自宅、クリーニング店、衣類補修店等に設置された端末装置7が、情報処理装置5として機能する場合には、寸法直し、補修、洗濯又はクリーニングが行われたときに、特典導出部521Aが、データベース60Aを参照せずに、そのときに行われた寸法直し、補修、洗濯又はクリーニングの内容等に応じた個別特典P121~P124を導出し、特典情報生成部522Aが、上記のように加算又は減算することで特典情報を生成するようにしてもよい。
【0065】
図6は、情報処理システム1の各装置(衣類ライフサイクル管理装置4、情報処理装置5、情報管理装置6及び端末装置7)を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【0066】
衣類ライフサイクル管理装置4、情報処理装置5、情報管理装置6及び端末装置7の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。コンピュータ900は、
図6に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0067】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)とで構成される。
【0068】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0069】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク8と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact D
isc)ドライブ等のドライブ装置で構成され、DVD、CD等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0070】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0071】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。
【0072】
図7は、第1の実施形態に係る情報処理装置5の動作例を示すフローチャートである。以下では、データベース60Aには、特典の導出に必要な情報が登録済みであるものとして説明する。
【0073】
まず、ステップS10にて、リーダライタ40の通信範囲内に、衣類2に付された情報記憶媒体3が存在するとき、リーダライタ40は、その情報記憶媒体3から衣類情報を読み取る。
【0074】
次に、ステップS11にて、リーダライタ40に接続された衣類ライフサイクル管理装置4が、リーダライタ40により情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報を情報処理装置5に送信する。
【0075】
次に、ステップS20にて、情報処理装置5の衣類情報取得部520は、衣類ライフサイクル管理装置4から送信された衣類情報を受信することで、情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報を取得する。
【0076】
次に、ステップS21にて、特典導出部521Aは、ステップS20で取得した衣類情報により特定される衣類2に関する事象に基づいて、当該衣類2に付与する特典を導出する。
【0077】
その際、特典導出部521Aは、ステップS20で取得した衣類情報に含まれる商品固有情報を情報管理装置6に送信し、ステップS30にて、情報管理装置6が、その商品固有情報を検索キーにしてデータベース60Aを参照し、特典導出部521Aが特典を導出するために必要となる情報を情報処理装置5に提供する。
【0078】
そして、特典導出部521Aは、商品固有情報に関連付けられた衣類2に関する事象の発生状況を情報管理装置6から取得することで、
図5に示すように、各項目の環境影響度に応じて、項目毎の個別特典を導出する。そして、特典導出部521Aは、項目毎の個別特典に基づいて総合特典P201を導出する。
【0079】
例えば、ステップS10が、物流フェーズの終了後のタイミングで行われた場合には、ステップS21の特典導出処理において、特典導出部521Aは、物流に関する項目毎の個別特典P111~P114を導出するとともに、製造に関する項目毎の個別特典P101~P104と物流に関する項目毎の個別特典P111~P114とに基づいて総合特典P201を導出する。
【0080】
次に、ステップS22にて、特典情報生成部522Aは、特典導出部521Aが導出した個別特典及び総合特典を情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成する。
【0081】
次に、ステップS23にて、特典情報生成部522Aは、ステップS22で生成した特典情報を衣類ライフサイクル管理装置4に送信する。
【0082】
次に、ステップS40にて、衣類ライフサイクル管理装置4は、情報処理装置5が送信した特典情報を受信する。そして、ステップS41にて、衣類ライフサイクル管理装置4に接続されたリーダライタ40は、ステップS40で受信した特典情報を非接触通信により衣類2に付された情報記憶媒体3に書き込む。ステップS41で特典情報が書き込まれる衣類2(情報記憶媒体3)は、ステップS10で衣類情報が読み取られた衣類2(情報記憶媒体3)と同じものである。
【0083】
以上のようにして、衣類2に関する事象の発生状況に応じた特典(個別特典及び総合特典)が導出されて、衣類2に付された情報記憶媒体3に対して特典情報が書き込まれる。
図7に示すステップS20、S21、S22は、情報処理方法の衣類情報取得工程、特典導出工程、及び、特典情報生成工程にそれぞれ相当する。なお、情報記憶媒体3から読み取られた特典情報や情報記憶媒体3に書き込まれた特典情報は、例えば、端末装置7に送信されて、端末装置7の表示画面に表示されるようにしてもよい。
【0084】
したがって、本実施形態の情報処理装置5によれば、特典導出部521Aが、情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報により特定される衣類2に関する事象に基づいて当該衣類2に付与する特典を導出し、特典情報生成部522Aが、その特典を情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成する。これにより、特典情報が、衣類2に付された情報記憶媒体3に書き込まれるので、利用者に能動的な行動を促すことを要せずとも、衣類2に関する事象の発生状況に応じた特典という有意な情報を衣類自体に持たせることができる。
【0085】
また、特典導出部521Aが、衣類2に関する事象が環境に与える環境影響度に応じて特典を導出する。これにより、環境負荷が低い衣類2には、より高い特典が付与されるので、衣類2のライフサイクルを通して環境負荷が低い衣類2の商品価値を向上させることができる。
【0086】
さらに、特典導出部521Aが、衣類2の製造、物流、使用又は保守に関する事象に対する環境影響度として、各種の項目(
図5参照)に基づいて環境影響度を特定し、その特定した環境影響度に応じて特典を導出する。これにより、衣類2のライフサイクルのうち、製造フェーズ、物流フェーズ、使用フェーズ又は保守フェーズにおける環境負荷がそれぞれ定量化されるので、各フェーズでの環境負荷の低減を促進することができる。
【0087】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、情報処理装置5が、衣類2に関する事象が環境に与える影響度を示す環境影響度に応じて特典を導出する場合について説明した。これに対し、第2の実施形態では、情報処理装置5が、衣類2に関する事象が衣類2の価値評価に与える影響度を示す価値評価影響度に応じて特典を導出する場合について説明する。なお、第2の実施形
態に係る情報処理システム1の各装置4~7の基本的な構成や動作は、第1の実施形態と同様であるため、以下では第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0088】
衣類2の価値評価とは、ブランド、販売時期、流行、コンディション等の評価基準に基づいて衣類2の価値を評価することである。衣類2の価値は、例えば、リユースショップ、古着店等の買主が衣類2を買い取るときの査定額や、フリーマーケットやネットオークションサイトで落札者が衣類2を落札するときの落札額に相当する。
【0089】
図8は、第2の実施形態に係るデータベース60Bの一例を示すデータ構成図である。
図8は、データベース60Bのテーブル構造を示すものであり、複数の衣類2にそれぞれ対応するレコードの表記は省略されている。
【0090】
データベース60Bには、第1の実施形態と同様の商品固有情報、製造情報、物流情報、販売・取引情報及び使用・保守情報の他に、需要情報がさらに含まれる。
【0091】
需要情報は、衣類2の需要に関する情報であり、衣類2のライフサイクルの販売フェーズ以降において時々刻々と変化する需要の状況がデータベース60Bに登録される。需要情報は、
図8に示すように、例えば、人気度、メディア露出回数、SNS投稿回数、SNS引用回数等を含む。人気度は、例えば、販売数量やユーザ評価のランキング等である。メディア露出回数は、雑誌、記事、テレビ等のメディアで扱われた回数である。SNS投稿回数は、ソーシャルネットワーキングサービスの投稿に登場した回数であり、SNS引用回数は、その投稿が引用された回数である。なお、需要情報は、衣類2の需要に関する情報であればよく、上記の例に限られない。
【0092】
需要情報に含まれる各種の情報は、例えば、情報管理装置6が、衣類2の商品固有情報に基づいてインターネット上のウェブサイトを自動で巡回する自動巡回プログラム等を実行して、例えば、ハッシュタグの情報や、記事、投稿、コメント等に含まれる文字列又は写真を解析することにより随時取得される。そして、その取得された需要情報は、衣類2の商品固有情報とともに、データベース60Bに登録される。
【0093】
図9は、第2の実施形態に係る情報処理装置5の一例を示すブロック図である。
【0094】
制御部52は、情報処理プログラム510Bを実行することにより、衣類情報取得部520、特典導出部521B及び特典情報生成部522Bとして機能する。
【0095】
特典導出部521Bは、衣類情報取得部520が取得した衣類情報に含まれる商品固有情報を用いて、データベース60Bに記憶された衣類2に関する各事象の発生状況を参照し、各事象が価値評価に与える価値評価影響度に応じて、特典を導出する。その際、特典導出部521Bは、衣類2の各フェーズで発生する事象の各項目に基づいて価値評価影響度をそれぞれ特定し、その特定した項目毎の価値評価影響度に応じて項目毎の個別特典を導出する。さらに、特典導出部521Bは、項目毎の個別特典に基づいて総合特典を導出する。
【0096】
図10は、第2の実施形態に係る特典導出部521Bが特典(個別特典及び総合特典)を導出するときの特典導出処理の概要を示す概要図である。
【0097】
特典導出部521Bは、衣類2の販売又は取引に関する事象に対する価値評価影響度として、販売期間及び取引回数のうち少なくとも1つの項目に基づいて価値評価影響度を特定し、その特定した価値評価影響度に応じて特典を導出する。本実施形態では、上記2つの項目に対して個別特典P131~P132をポイントとしてそれぞれ導出するものとし
て説明する。
【0098】
販売期間に対する個別特典P131は、例えば、衣類2の販売期間が短いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。取引回数に対する個別特典P132は、例えば、取引回数が多いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。なお、個別特典P131~P132は、販売フェーズにて繰り返し導出される。
【0099】
特典導出部521Bは、衣類2の使用又は保守に関する事象に対する価値評価影響度として、着用実績、洗濯実績及びクリーニング実績のうち少なくとも1つの項目に基づいて価値評価影響度を特定し、その特定した価値評価影響度に応じて特典を導出する。本実施形態では、上記3つの項目に対して個別特典P141~P143をポイントとしてそれぞれ導出するものとして説明する。
【0100】
着用実績に対する個別特典P141は、例えば、着用回数が少ないほど又は着用時間が短いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。洗濯実績に対する個別特典P142は、例えば、洗濯回数が多いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。クリーニング実績に対する個別特典P143は、例えば、クリーニング回数が多いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。なお、個別特典P141~P143は、使用フェーズ及び保守フェーズにて繰り返し導出される。
【0101】
特典導出部521Bは、衣類2の需要に関する事象に対する価値評価影響度として、人気度、メディア露出回数、SNS投稿回数及びSNS引用回数のうち少なくとも1つの項目に基づいて価値評価影響度を特定し、その特定した価値評価影響度に応じて特典を導出する。本実施形態では、上記4つの項目に対して個別特典P151~P154をポイントとしてそれぞれ導出するものとして説明する。
【0102】
人気度に対する個別特典P151は、例えば、人気度が高いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。メディア露出回数に対する個別特典P152は、例えば、メディア露出回数が多いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。SNS投稿回数に対する個別特典P153は、例えば、SNS投稿回数が多いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。SNS引用回数に対する個別特典P154は、SNS引用回数が多いほど価値評価影響度が大きいと特定され、価値評価影響度が大きいほど高いポイントとして導出される。なお、個別特典P151~P154は、販売フェーズ以降のフェーズにて繰り返し導出される。
【0103】
特典導出部521Bは、上記のように導出した項目毎の個別特典P131~P132、P141~P143、P151~P154(個別ポイント)に重み係数をそれぞれ乗じて合算することにより、総合特典P211(総合ポイント)を導出する。特典導出部521Bは、総合特典P211の導出に際して、項目毎の差が大きくならないように、個別特典に対して正規化を適宜行ってもよい。また、特典導出部521Bは、販売又は取引に関する2つの個別特典P131~P132に基づいて第1の総合特典を導出し、使用又は保守に関する3つの個別特典P141~P143に基づいて第2の総合特典を導出し、需要に関する個別特典P151~P154に基づいて第3の総合特典を導出してもよい。さらに、特典導出部521Aは、総合特典P211の導出を省略してもよい。
【0104】
特典情報生成部522Bは、特典導出部521Bが導出した特典(個別特典及び総合特典)を、リーダライタ40による非接触通信により情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成し、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)に接続されたリーダライタ40に送信する。特典情報生成部522Bが生成した特典情報は、リーダライタ40により情報記憶媒体3に書き込まれることにより、情報記憶媒体3に記憶された特典情報は上書きされる。
【0105】
なお、衣類情報取得部520が、情報記憶媒体3から特典情報を取得している場合には、特典情報生成部522Bは、その特典情報に含まれる個別特典及び総合特典に、特典導出部521Bが導出した特典を加算又は減算することで、情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成してもよい。例えば、リユースショップ、古着店等に設置された端末装置7が、情報処理装置5として機能する場合には、販売が行われたときに、特典導出部521Bが、データベース60Bを参照せずに、個別特典P131~P132を導出し、特典情報生成部522Bが、上記のように加算又は減算することで特典情報を生成するようにしてもよい。また、例えば、消費者の自宅、クリーニング店等に設置された端末装置7が、情報処理装置5として機能する場合には、洗濯又はクリーニングが行われたときに、特典導出部521Bが、データベース60Bを参照せずに、そのときに行われた洗濯又はクリーニングの内容等に応じた個別特典P142~P143を導出し、特典情報生成部522Bが、上記のように加算又は減算することで特典情報を生成するようにしてもよい。
【0106】
したがって、本実施形態の情報処理装置5によれば、特典導出部521Bが、情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報により特定される衣類2に関する事象に基づいて当該衣類2に付与する特典を導出し、特典情報生成部522Bが、その特典を情報記憶媒体3に書き込むための特典情報を生成する。これにより、特典情報が、衣類2に付された情報記憶媒体3に書き込まれるので、利用者に能動的な行動を促すことを要せずとも、衣類2に関する事象の発生状況に応じた特典という有意な情報を衣類自体に持たせることができる。
【0107】
また、特典導出部521Bが、衣類2に関する事象が衣類2の価値評価に与える価値評価影響度に応じて特典を導出する。これにより、価値評価にて価値が高いと評価される衣類2には、より高い特典が付与されるので、消費者や取引者のリユース意識を向上させることができる。
【0108】
さらに、特典導出部521Bが、衣類2の販売、取引、使用、保守又は需要に関する事象に対する価値評価影響度として、各種の項目(
図10参照)に基づいて価値評価影響度を特定し、その特定した価値評価影響度に応じて特典を導出する。これにより、衣類2の価値評価に対する客観性が担保されるので、衣類2の2次流通を促進することができる。
【0109】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0110】
例えば、上記第1及び第2の実施形態は組み合わせてもよく、その場合には、情報処理装置5は、環境影響度に応じて特典を導出するとともに、価値評価影響度に応じて特典を導出するようにしてもよい。
【0111】
また、上記第1の実施形態では、特典導出部521Aが、製造に関する個別特典、物流に関する個別特典、及び、使用又は保守に関する個別特典の3つを導出するものとして説明したが、これら3つのうち1つ又は2つを導出するようにしてもよい。上記第2の実施
形態では、特典導出部521Bは、販売又は取引に関する個別特典、使用又は保守に関する個別特典及び、需要に関する個別特典の3つを導出するものとして説明したが、これら3つのうち1つ又は2つを導出するようにしてもよい。さらに、上記の場合には、個別特典の導出に必要な情報だけがデータベース60A、60Bに登録されていればよい。
【0112】
また、上記第1及び第2の実施形態において、データベース60A、60Bに各種の情報を登録する際、例えば、商品コードが同一であるがシリアルコードが異なる複数の衣類2の間で情報が共通する場合には、同じ情報をまとめて登録したり、同じ情報を参照したりするようにしてもよい。
【0113】
また、上記実施形態では、情報管理装置6が、データベース60A、60Bを備えるものとして説明したが、データベース60A、60Bは、情報処理装置5の記憶部51に記憶されていてもよいし、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)の記憶部に、各フェーズのデータベースとして個別に記憶されていてもよい。また、衣類ライフサイクル管理装置4(4A~4E)又は情報管理装置6が、情報処理プログラム510A、510Bを実行することにより、衣類情報取得部520、特典導出部521A、521B及び特典情報生成部522A、522Bとして機能するものでもよい。
【0114】
また、リーダライタ40は、衣類2のライフサイクルに沿った各設置場所に設置されるものとして説明したが、リーダライタ40は、上記以外に設置されていてもよく、例えば、道路、商店街、駅、空港、オフィスビル等の任意の設置場所に設置されてもよい。その場合には、例えば、情報記憶媒体3が付された衣類2を着用した消費者が、上記の各設置場所を通過したときに、情報処理装置5が、例えば、1日1回等の条件で、リーダライタ40により情報記憶媒体3から読み取られた衣類情報に基づいて着用実績に対する個別特典を書き込むための特典情報を生成することで、当該情報記憶媒体3に特典情報を書き込むようにしてもよい。さらに、上記の各設置場所のリーダライタ40により読み取られた衣類情報に含まれる特典情報を統計処理することで、服飾装飾業界の販売戦略等に利用してもよい。
【0115】
また、リーダライタ40が、上記のように任意の設置場所に設置された場合において、情報記憶媒体3が付された衣類2を着用した消費者が、各設置場所を通過したときに、情報処理装置5が、例えば、1日1回等の条件で、その衣類2に特典を付与するための特典情報を生成することで、当該情報記憶媒体3に特典情報を書き込むようにしてもよい。ここでの特典は、消費者が衣類2を着用することで累積加算されるものであり、上記実施形態の個別特典及び総合特典とは別の特典として扱ってもよいし、上記実施形態の個別特典及び総合特典のいずれかに加算するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…情報処理システム、2…衣類、3…情報記憶媒体、
4…衣類ライフサイクル管理装置、4A…製造管理装置、4B…物流管理装置、
4C…販売管理装置、4D…使用管理装置、4E…保守管理装置、
5…情報処置装置、6…情報管理装置、7…端末装置、8…ネットワーク
30…記憶回路、31…通信回路、40…リーダライタ、
50…入力部、51…記憶部、52…制御部、53…通信部、54…出力部、
60A、60B…データベース、510A、510B…情報処理プログラム、
520…衣類情報取得部、521A、521B…特典導出部、
522A、522B…特典情報生成部、900…コンピュータ