(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135367
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】熱処理炉のタール除去装置及びこれを備えた熱処理炉の操業方法
(51)【国際特許分類】
F27D 17/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
F27D17/00 104G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035120
(22)【出願日】2021-03-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094042
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 知
(72)【発明者】
【氏名】大下 修
(72)【発明者】
【氏名】森岡 福次郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 駿己
(72)【発明者】
【氏名】臼田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】寺田 真
【テーマコード(参考)】
4K056
【Fターム(参考)】
4K056AA09
4K056BA04
4K056CA02
4K056DB05
4K056DB26
(57)【要約】
【課題】熱処理炉の排気に含まれるタールを、真空ポンプよりも上流側で、より確実に除去することが可能な熱処理炉のタール除去装置と、当該装置を備えた熱処理炉を好適に操業することが可能な熱処理炉の操業方法を提供する。
【解決手段】熱処理炉のタール除去装置は、浸炭炉に接続された炉側排ガス管1と、真空ポンプに接続された排気管2と、炉側排ガス管及び排気管と連通されているタール除去チャンバー3とを備え、排気管は、タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口2aが、タール除去チャンバーの底蓋体8に対し、間隔を空けて対向され、タール除去チャンバー内には、管端開口よりも高い位置まで油4が充填されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、
上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、
上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする熱処理炉のタール除去装置。
【請求項2】
前記管端開口は、櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項3】
前記管端開口は、網目状構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項4】
前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔と、前記液体流出孔よりも低い位置に、前記液体を該タール除去チャンバー内に導入する液体導入孔とを備え、
上記液体流出孔と上記液体導入孔は、該液体流出孔からの液体を収容する液体収容部及び該液体収容部から該液体導入孔へ液体を循環させる循環ポンプを有する送液管で接続されていることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項5】
前記タール除去チャンバーは、前記管端開口よりも低い位置に、該タール除去チャンバーから前記液体を排出する排出孔を備えていることを特徴とする請求項1~4いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項6】
前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられていることを特徴とする請求項1~5いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項7】
前記排気管には、前記タール除去チャンバーの下流側に、二次捕集部材及び/または液体飛散防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1~6いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項8】
前記二次捕集部材及び/または前記液体飛散防止部材に前記液体を掛け流す液体供給部を備えていることを特徴とする請求項7に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項9】
請求項4~8いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、
前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位を前記管端開口よりも低くして前記熱処理炉を運転する第1ステップと、
該第1ステップの後、上記タール除去チャンバー内の上記液体の液位を上記管端開口よりも高くして上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とするタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法。
【請求項10】
請求項6~8いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、
前記開閉バルブを開放して前記熱処理炉を運転する第1ステップと、
前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位が前記管端開口よりも高いことを条件に、上記第1ステップの後、上記開閉バルブを閉じて上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とするタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理炉の排気に含まれるタールをより確実に除去することが可能な熱処理炉のタール除去装置と、当該装置を備えた熱処理炉を好適に操業することが可能な熱処理炉の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱処理炉では、低圧力で処理を行うために真空ポンプが多く使用されており、そのような炉の一つとして、真空浸炭炉がある。例えば、タール分が発生する浸炭炉等に関する技術として、例えば特許文献1~5が知られている。特許文献1の「真空浸炭炉」は、被処理物を収容するための加熱室と、その加熱室に連通して当該加熱室内を真空排気する排気用配管と、この加熱室に連通して当該加熱室内に真空浸炭用ガスを導入する雰囲気ガス導入用配管を備え、上記加熱室内を真空排気状態で被処理物を導入して加熱した状態で、当該加熱室内に真空浸炭用ガスを導入しつつ、この加熱室内の圧力を一定に保つべく内部の雰囲気ガスを所要の流量で排気しながら被処理物を浸炭する真空浸炭炉において、上記雰囲気ガス導入用配管が上記加熱室の底部で開口する複数のガス噴出孔を有し、かつ、上記排気用配管が上記加熱室の天井部で開口する複数本の配管を有しているとともに、この排気用配管を炉外で冷却する冷却手段を備えて構成されている。
【0003】
特許文献2の「真空浸炭方法および装置」は、真空浸炭方法は、減圧雰囲気下で、炭化水素ガスを主たる炭素源として供給しながら被処理物に浸炭処理を行う。この時、供給する炭化水素ガスに浸炭処理に使用済みの炭化水素ガスを混合する。真空浸炭装置には、浸炭室から排出するガスを浸炭室へ再び循環させる再循環ラインを設けている。
【0004】
特許文献3の「真空浸炭炉の真空排気装置」は、炉体に接続した排気管路に、真空排気用のポンプとして、油回転ポンプとその前段側に設けたメカニカルブースタポンプとをそなえた真空浸炭炉の真空排気装置において、油回転ポンプ用の油をメカニカルブースタポンプの吸気側の排気管路内に供給する油供給装置を設けている。
【0005】
特許文献4の「C/C複合材の焼成方法及び焼成装置」は、焼成炉のチャンバ内に置かれる焼成用ケースにパイプを貫通させて取付け、炉外でパイプに電磁弁経由で水槽ポンプを接続する。これを排気除去装置として焼成時に前駆体から発生するガス化したタールを系外に吸引除去する。真空ポンプを有する圧力調整系が別にあるのでチャンバ内圧力よりも焼成ケース内の圧力を低く保てば、発生したタールはチャンバ内に洩れず、チャンバ内のタール付着が無くなる構成としている。
【0006】
特許文献5の「C/C複合材の焼成方法及び加圧焼成装置」は、加圧焼成炉のチャンバ内に置かれる焼成用ケースの開口に蓋を取付け、さらにこの蓋ににパイプを貫通させて取付け、炉外でこのパイプに電磁弁経由で水槽ポンプを接続する。これを排気除去装置として加圧焼成時に焼成用ケース中の前駆体から発生するガス化したタールを系外に吸引除去する。真空ポンプを有する圧力調整系が別にあるのでチャンバ内圧力よりも焼成ケース内の圧力を低く保てば、発生したタールはチャンバ内に洩れず、チャンバ内のタール付着が無くなる構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4539904号公報
【特許文献2】特開2005-220390号公報
【特許文献3】特開2007-177312号公報
【特許文献4】特開平7-109180号公報
【特許文献5】特開平7-109181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
熱処理炉、例えば浸炭炉では、浸炭ガスが変質してタールとなり、炉内の雰囲気を真空ポンプで吸引して排気する際に、タールが排気バルブや真空ポンプに付着してしまう。このため、排気バルブが閉止できなくなったり、真空ポンプの動作が悪くなったり、さらには排気の流路が狭くなるなどして、排気性能が低下してしまう場合があった。このようにタールが発生する処理と真空ポンプの組み合わせでは課題があった。
【0009】
特許文献1や特許文献2が開示している装置や方法では、タール発生の抑制は不確実であり、また温度管理装置を必要とするなど、コストが嵩んでしまうという課題があった。
【0010】
特許文献3では、油供給装置により、真空ポンプの上流から流した油にタールを吸収させて排気させている。特許文献4及び5では、水封ポンプを用い、水封用の水にタールを溶け込ませ、その水を外部に取り出して廃棄するようにしている。
【0011】
しかしながら、排ガスに含まれるタールを十分に除去することはできないという課題があった。
【0012】
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、熱処理炉の排気に含まれるタールを、真空ポンプよりも上流側で、より確実に除去することが可能な熱処理炉のタール除去装置と、当該装置を備えた熱処理炉を好適に操業することが可能な熱処理炉の操業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置は、熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする。
【0014】
前記管端開口は、櫛歯状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
前記管端開口は、網目状構造を有することを特徴とする。
【0016】
前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔と、前記液体流出孔よりも低い位置に、前記液体を該タール除去チャンバー内に導入する液体導入孔とを備え、上記液体流出孔と上記液体導入孔は、該液体流出孔からの液体を収容する液体収容部及び該液体収容部から該液体導入孔へ液体を循環させる循環ポンプを有する送液管で接続されていることを特徴とする。
【0017】
前記タール除去チャンバーは、前記管端開口よりも低い位置に、該タール除去チャンバーから前記液体を排出する排出孔を備えていることを特徴とする。
【0018】
前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられていることを特徴とする。
【0019】
前記排気管には、前記タール除去チャンバーの下流側に、二次捕集部材及び/または液体飛散防止部材が設けられていることを特徴とする。
【0020】
前記二次捕集部材及び/または前記液体飛散防止部材に前記液体を掛け流す液体供給部を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明に係るタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法は、上記熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位を前記管端開口よりも低くして前記熱処理炉を運転する第1ステップと、該第1ステップの後、上記タール除去チャンバー内の上記液体の液位を上記管端開口よりも高くして上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係るタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法は、上記熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、前記開閉バルブを開放して前記熱処理炉を運転する第1ステップと、前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位が前記管端開口よりも高いことを条件に、上記第1ステップの後、上記開閉バルブを閉じて上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置にあっては、熱処理炉の排気に含まれるタールを、真空ポンプよりも上流側で、より確実に除去することができ、また、本発明にかかるタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法にあっては、タール除去装置を備えていても、熱処理炉を好適に操業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る熱処理炉のタール除去装置の好適な一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本発明に係る熱処理炉のタール除去装置の変形例を示す断面図である。
【
図3】本発明に係る熱処理炉のタール除去装置の他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
本実施形態に係る熱処理炉のタール除去装置は、
図1に示すように、熱処理炉、例えば浸炭炉(不図示)と接続された炉側排ガス管1と、排気バルブ(不図示)が設けられ、真空ポンプ(不図示)に接続された排気管2と、炉側排ガス管1及び排気管2が連通され、内部に液体としての油4が充填されるタール除去チャンバー3とを備えて構成されている。
【0027】
また、タール除去チャンバー3内の油4の液位(高さ)を所定液位に維持する油循環装置5が備えられている。
【0028】
タール除去チャンバー3は、上下方向へ縦向きに配置される中空の円筒体6と、円筒体6の上端及び下端を各々塞ぐ上蓋体7及び底蓋体8とを有している。タール除去チャンバー3内には、底蓋体8側から上方に向けて油4が貯留される。
【0029】
タール除去チャンバー3の円筒体6には、その周側部に、浸炭炉からの排ガスEaが流通される炉側排ガス管1が接続され、この炉側排ガス管1からタール除去チャンバー3内に排ガスEaが導入される。
【0030】
他方、タール除去チャンバー3の上蓋体7には、排気管2が貫通され、排気管2の下端となる管端開口2aは、タール除去チャンバー3内で、炉側排ガス管1の接続位置よりも低い位置に、底蓋体8に対しそれより上方向へ間隔を空けて配置されている。
【0031】
タール除去チャンバー3内に充填される油4は、当該管端開口2aよりも高く、炉側排ガス管1の接続位置よりも低い高さ位置まで充填される。
【0032】
図示例では、浸炭炉からの排ガスEaは、炉側排ガス管1内を下向きに流れてタール除去チャンバー3内に流入し、また、真空ポンプで吸引される排気Ebは、排気管2内を上向きに流れるようになっている。
【0033】
タール除去チャンバー3は、円筒体6が外管となり、排気管2が内管となる二重管構造で構成され、炉側排ガス管1から排出される排ガスEaは、円筒体6と排気管2との間の空間に充満される。
【0034】
管端開口2aには、それより上方へ向けて窪む凹部2bが当該管端開口2aの周方向全周に亘り複数設けられ、これにより、管端開口2aは、所謂櫛歯状に形成されている。
【0035】
排気管2内には、図示したように、排気Ebの排出方向であるタール除去チャンバー3の下流側、すなわち管端開口2aよりも上方に、二次捕集部材としてのデミスター9と、液体飛散防止部材としてのバッフルプレート10とを設けることも可能である。
【0036】
デミスター9は、排気管2内を排気Ebと共に排出される油4や当該排気Ebに残存するタールを、排気Eb中から分離除去する目的で設けられており、例えば、鉄やステンレス、真鍮などを細長い線状に加工して集成した部材で構成される。
【0037】
バッフルプレート10は、管端開口2aとデミスター9との間に、互いに高さを違えて複数枚(図示例では2枚)設けられている。
【0038】
各バッフルプレート10は、排気管2の内部を部分的に塞ぐように、排気管2の内面から当該排気管2の内方へ迫り出すように設けられると共に、上下のバッフルプレート2同士は、重なり合わないように配置されている。
【0039】
バッフルプレート10は、排気管2内を排気Ebと共に排出される油4、タール分を含む油4を付着させて、タール除去チャンバー3内に滴下回収する目的で設けられている。
【0040】
タール除去チャンバー3の円筒体6の外周には、オーバーフロー孔6a、給油孔6b及び排出孔6cが設けられている。そして、排出孔6cに接続される配管には、開閉弁17が設けられている。
【0041】
オーバーフロー孔6aは、タール除去チャンバー3内から余剰な油4を排出する孔であり、オーバーフロー孔6aの高さにより、タール除去チャンバー3内に充填可能な油4の油面の高さが設定されている。オーバーフロー孔6aは、管端開口2aよりも高い位置に設けられ、油4の液位の上昇を規制するための液体流出孔に相当する。
【0042】
給油孔6bは、オーバーフロー孔6aよりも低い位置に設けられている。給油孔6bは、タール除去チャンバー3内に油4を供給するための孔であり、油4をタール除去チャンバー3内に導入する液体導入孔に相当する。
【0043】
排出孔6cは、排気管2の管端開口2aよりも低い位置に設けられている。排出孔6cは、油4の油面の高さを下げるために、タール除去チャンバー3から油4を排出するための孔である。
【0044】
管端開口2aよりも低い位置に設けられている排出孔6cから油4を排出すると、油4の油面の高さが排出孔6cの高さ位置(管端開口2aよりも低い高さ位置)H1まで下がるので、管端開口2aを、タール除去チャンバー3内の油4上方に露出させることができる。
【0045】
排出孔6cは、油4の油面の高さを下げるときに、開閉バルブ17を作動させて開かれ、常時は閉止されている。
【0046】
オーバーフロー孔6aと給油孔6bとは、オーバーフロー孔6aからの油4を収容する油収容容器12及び油収容容器12から給油孔6bへ油4を循環させる循環ポンプ11が組み込まれた送液管としての送油管13で接続されている。
【0047】
循環ポンプ11により循環される油4は、送油管13を介して、給油孔6bからタール除去チャンバー3内に導入され、タール除去チャンバー3内でオーバーフロー孔6aの高さを超えた余剰な油4は、オーバーフロー孔6aから排出されて、送油管13を介して、油収容容器12に回収される。
【0048】
すなわち、送油管13を介してタール除去チャンバー3に接続した循環ポンプ11及び油収容容器12を備える油循環装置5は、油4を循環させながら、タール除去チャンバー3内の油4の油面の高さをオーバーフロー孔6aの高さ位置(管端開口2aよりも高い位置)H2に保ち、管端開口2aが油4の中に浸されている状態を維持するようになっている。
【0049】
図示していないけれども、排出孔6cは、別途送油管13により、油収容容器12に接続するようにしてもよい。
【0050】
本実施形態に係る熱処理炉のタール除去装置及びこれを備えた熱処理炉の操業方法について説明する。
【0051】
熱処理炉の一例である浸炭炉の操業を開始する立ち上げ時など、真空ポンプにより炉内雰囲気を吸引排気することが行われる。
【0052】
立ち上げ時の炉内雰囲気には、タールが含まれていないため、タール除去チャンバー3内で油4に炉内雰囲気の排気Ecを通過させる必要は無く、通過させると却って、油分を含んだ排気Ecが真空ポンプに吸引されたり、真空ポンプの負荷が増して排気処理に時間がかかるという不都合がある。
【0053】
そこで本実施形態では、浸炭炉の立ち上げ時などに炉内雰囲気の排気Ecを吸引排気するときは、排出孔6cを開いて、タール除去チャンバー3内の油4の油面の高さ位置を、管端開口2aよりも低い高さ位置H1に下げ、これにより排気管2の管端開口2aを油面上方に露出させて、真空ポンプを作動し浸炭炉を運転する(第1ステップ)。
【0054】
これにより、炉内雰囲気の排気Ecは、油4を通過することなく、真空ポンプへ向けて素早く流通される。
【0055】
他方、第1ステップの後に続く、浸炭炉での浸炭処理では、排出孔6cを閉止した状態で循環ポンプ11を稼働し、タール除去チャンバー3内の油4の油面の高さ位置を、管端開口2aよりも高い高さ位置H2に上げ、これにより排気管2の管端開口2aを油4中に沈めて、浸炭炉を運転する(第2ステップ)。
【0056】
第2ステップでは、炉側排ガス管1からタール除去チャンバー3内に進入した排ガスEaは、真空ポンプからの負圧によって油4中に引き込まれ、油4にバブリングを生じさせる。このバブリング作用によって、浸炭処理で発生した排ガスEa中のタールが油4に溶け込み回収されて除去される。
【0057】
油4中を通過した排ガスEaは、タールがほぼ除去された排気Ebとして、タール除去チャンバー3から排気管2へと流入する。
【0058】
排気管2に流入した排気Ebは、バッフルプレート10及びデミスター9により、油(タール分を含む油もある)4が除去され、排気バルブを介して真空ポンプ側へ送られる。
【0059】
本実施形態にかかる熱処理炉のタール除去装置にあっては、排気管2がタール除去チャンバー3内に挿入され、その管端開口2aが、タール除去チャンバー3の底面をなす底蓋体8から間隔を空けて、タール除去チャンバー3内の油4の中に沈められている。
【0060】
炉側排ガス管1からタール除去チャンバー3を通過して排気管2に至る排ガスEaは、必ずタール除去チャンバー3内の油4の中を流通するので、この油4によって、浸炭炉から排出される排ガスEaに含まれるタールを除去することができる。
【0061】
タール除去チャンバー3内では、浸炭炉からの排ガスEaにより油4がバブリングされて撹拌されるので、効率よくタールを除去することができる。これにより、排気バルブや真空ポンプにタールが付着することを抑制することができる。
【0062】
油4の中に挿入されている管端開口2aは、櫛歯状に形成されているので、バブリングで発生する気泡を分解して排ガスEa中のタールと油4との接触を促進でき、これによりタールの回収率を格段に高めることができる。
【0063】
具体的には、管端開口2aが平坦であると、バブリングを生じる排ガスEaは、大きな気泡となってかつ間欠的に油4中を通過することとなり、このために排ガスEaの流れに脈動が生じてしまって、浸炭炉の炉内圧力が安定しなくなってしまう。
【0064】
この点を考慮し、本実施形態では、管端開口2aを、多数の隙間(凹部2b)を有する櫛歯状としたことにより、排ガスEaの気泡が細かく連続的に発生して油4中を通過することができ、排ガスEaの脈動を抑制できて炉内圧力を安定させることができ、油4の撹拌作用も促進できて、タールの除去効率を向上することができる。
【0065】
管端開口2aは、櫛歯状に形成することに代えて、網目状構造を有するように構成してもよい。あるいは、櫛歯状に形成することに加えて、網目状構造を有するように構成してもよい。図示しないけれども、網目状構造は、管端開口2aに金網などのメッシュ材を設けることで構成される。「網目状」は、「多孔状」を含む意味である。網目状構造を備えることでも、櫛歯状の場合と同様にして、タールの回収率を高めることができる。
【0066】
タール除去チャンバー3では、管端開口2aよりも高い位置に設けられたオーバーフロー孔6aと、オーバーフロー孔6aよりも低い位置に設けられた給油孔6bとが、油収容容器12及び循環ポンプ11を有する送油管13によって接続されているので、油収容容器12の油4を、循環ポンプ11により給油孔6bからタール除去チャンバー3内に導入しつつ、タール除去チャンバー3内の油4の油面の高さを、オーバーフロー孔6aの高さH2に保つことができる。これにより、管端開口2aが油4の油面から露出してしまうことを防止することができる。
【0067】
なお、このような循環ポンプ11を用いず、油4をタール除去チャンバー3内に溜めたままであっても必要な作用を得ることができる。さらには、大量の油4を使って循環させることにより、汚れた油を交換するまでのメンテナンス期間を長くすることもできる。
【0068】
タール除去チャンバー3は、管端開口2aよりも低い位置に、タール除去チャンバー3内から油4を排出する排出孔6cを備えていて、排出孔6cから油4を排出することによりいつでも、管端開口2aを油4から露出させることができる。
【0069】
このため、浸炭炉内の炉内雰囲気を排気する場合で、タールを除去する必要がないときには、炉内雰囲気の排気Ecを、油4の中に流通させることなく、円滑に排出することができる。
【0070】
従って、本実施形態に係る熱処理炉の操業方法では、タール除去装置を備えていても、運転ステップに応じて、浸炭炉の排気時間が延長されることなく操業することができる。
【0071】
排気管2には、排気Ebの排出方向下流側に、デミスター9及びバッフルプレート10が設けられているので、タール除去チャンバー3内からの排気Ebに含まれる油分や残存するタールをデミスター9及びバッフルプレート10でさらに取り除くことができる。
【0072】
本実施形態に係る熱処理炉のタール除去装置を備えた浸炭炉の操業では、タール除去チャンバー3内の油4を、浸炭炉から排出される排ガスによってバブリングすることにより、効率よくタールを除去することができ、排気バルブや真空ポンプにタールが付着することを抑制することができる。
【0073】
図2には、上記実施形態の変形例が示されている。上記実施形態においては、浸炭炉の操業を開始する立ち上げ時など、排気Ecにタールが含まれていないときには、排出孔6cからタール除去チャンバー3内の油4を排出して、排気管2の管端開口2aを油4中から露出させる例について説明したが、これに限られるものではない。
【0074】
例えば、タール除去チャンバー3の円筒体6を下方に移動させたり、あるいは排気管2を上方に移動させることにより、管端開口2aを油4中から露出させるようにしてもよい。
【0075】
他方、
図2に示すように、タール除去チャンバー3の外部において、炉側排ガス管1と排気管2との間に、開閉バルブ14で開放されて、タール除去チャンバー3を迂回するバイパス管15を設けるようにしてもよい。
【0076】
バイパス管15と開閉バルブ14を備えた構成では、浸炭炉の操業方法において、管端開口2aに対する油4の液位を問わずに、好ましくは管端開口2aに対する油4の液位が高い状態として、第1ステップでは、開閉バルブ14を開放して浸炭炉を運転し、その後の第2ステップでは、タール除去チャンバー3内の油4の液位が管端開口2aよりも高いことを条件に、開閉バルブ14を閉じて浸炭炉を運転する。
【0077】
すなわち、開閉バルブ14を開閉する操作だけで済み、第1ステップから第2ステップにわたり管端開口2aを油4中に沈めたままの状態に維持できて、油4の液位を変更して管端開口2aを油4中に出し入れする操作を不要にすることができる。従って、上記第1ステップから第2ステップへ、容易かつ短時間に移行することができ、浸炭炉の操業を円滑化することができる。第1ステップで、必ずしも管端開口2aが油4中に沈められている必要はない。
【0078】
図3には、他の変形例が示されている。本変形例は、排気管2内に、デミスター9及びバッフルプレート10よりも排気Ebの排出方向下流側に配置して、これらデミスター9及びバッフルプレートに油を掛け流して洗浄するための液体供給部としてシャワー16が設けられている。油は、タール除去チャンバー3内の油4と同じものが用いられる。
【0079】
シャワー16の配管は、図示しないけれども、下端が開放され、上部はL字状に屈曲されて、排気管2の外部へと引き出されている。
【0080】
シャワー16からデミスター9及びバッフルプレート10に油4を噴霧することにより、これらデミスター9及びバッフルプレート10に付着した油分やタール分を除去することができる。
【0081】
シャワー16は、タール除去チャンバー3の上方に配置されているので、噴霧した油4はタール除去チャンバー3内に滴下され、タール除去チャンバー3内の油4と一緒に取り扱って、廃棄するなどの処理を行うことができる。
【0082】
上記実施形態においては、タール除去チャンバー3に関し、円筒体6に炉側排ガス管1を接続し、上蓋体7を貫通させて排気管2を接続する例について説明したが、接続関係を入れ替えて、円筒体6に排気管2を接続し、上蓋体7を貫通させて炉側排ガス管1を接続するようにし、炉側排ガス管1の管端開口を油4中に沈めて配置するようにしてもよい。
【0083】
上記実施形態においては、排ガスEaに含まれるタールを除去するための液体として油4を例に挙げて説明したが、これに限らず、タールを除去可能な液体であればどのようなものであってもよい。
【0084】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1 炉側排ガス管
2 排気管
2a 管端開口
2b 凹部
3 タール除去チャンバー
4 油
5 油循環装置
6 円筒体
6a オーバーフロー孔
6b 給油孔
6c 排出孔
7 上蓋体
8 底蓋体
9 デミスター
10 バッフルプレート
11 循環ポンプ
12 油収容容器
13 送油管
14 開閉バルブ
15 バイパス管
16 シャワー
17 開閉弁
Ea 排ガス
Eb 排気
Ec 炉内雰囲気の排気
【手続補正書】
【提出日】2021-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、
上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、
前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔を備え、
上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする熱処理炉のタール除去装置。
【請求項2】
熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、
上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、
前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔と、前記液体流出孔よりも低い位置に、前記液体を該タール除去チャンバー内に導入する液体導入孔とを備え、
上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする熱処理炉のタール除去装置。
【請求項3】
熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、
上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、
前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔と、前記液体流出孔よりも低い位置に、前記液体を該タール除去チャンバー内に導入する液体導入孔とを備え、
上記液体流出孔と上記液体導入孔は、該液体流出孔からの液体を収容する液体収容部及び該液体収容部から該液体導入孔へ液体を循環させる循環ポンプを有する送液管で接続され、
上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする熱処理炉のタール除去装置。
【請求項4】
前記管端開口は、櫛歯状に形成されていることを特徴とする請求項1~3いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項5】
前記管端開口は、網目状構造を有することを特徴とする請求項1~4いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項6】
前記タール除去チャンバーは、前記管端開口よりも低い位置に、該タール除去チャンバーから前記液体を排出する排出孔を備えていることを特徴とする請求項1~5いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項7】
前記排気管には、前記タール除去チャンバーの下流側に、二次捕集部材及び/または液体飛散防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1~6いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項8】
前記二次捕集部材及び/または前記液体飛散防止部材に前記液体を掛け流す液体供給部を備えていることを特徴とする請求項7に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項9】
前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられていることを特徴とする請求項1~8いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置。
【請求項10】
熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、
上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、
上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填され、
前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられていることを特徴とする熱処理炉のタール除去装置。
【請求項11】
請求項1~9いずれかの項に記載の熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、
前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位を前記管端開口よりも低くして前記熱処理炉を運転する第1ステップと、
該第1ステップの後、上記タール除去チャンバー内の上記液体の液位を上記管端開口よりも高くして上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とするタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法。
【請求項12】
熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、
上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、
上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填され、
前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられている熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、
前記開閉バルブを開放して前記熱処理炉を運転する第1ステップと、
前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位が前記管端開口よりも高いことを条件に、上記第1ステップの後、上記開閉バルブを閉じて上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とするタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置は、熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔を備え、上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする。あるいは、本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置は、熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔と、前記液体流出孔よりも低い位置に、前記液体を該タール除去チャンバー内に導入する液体導入孔とを備え、上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする。もしくは、本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置は、熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、前記タール除去チャンバーは、前記排気管の前記管端開口よりも高い位置に、前記液体の液位の上昇を規制する液体流出孔と、前記液体流出孔よりも低い位置に、前記液体を該タール除去チャンバー内に導入する液体導入孔とを備え、上記液体流出孔と上記液体導入孔は、該液体流出孔からの液体を収容する液体収容部及び該液体収容部から該液体導入孔へ液体を循環させる循環ポンプを有する送液管で接続され、上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
前記二次捕集部材及び/または前記液体飛散防止部材に前記液体を掛け流す液体供給部を備えていることを特徴とする。前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられていることを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置は、熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填され、前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられていることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
本発明に係るタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法は、上記熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位を前記管端開口よりも低くして前記熱処理炉を運転する第1ステップと、該第1ステップの後、上記タール除去チャンバー内の上記液体の液位を上記管端開口よりも高くして上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とする。または、本発明に係るタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法は、熱処理炉に接続された炉側排ガス管と、真空ポンプに接続された排気管と、上記炉側排ガス管及び上記排気管と連通されているタール除去チャンバーとを備え、上記炉側排ガス管及び上記排気管のうちの一方は、上記タール除去チャンバー内に挿入され、挿入された管端開口が、該タール除去チャンバーの底面に対し、間隔を空けて対向され、上記タール除去チャンバー内には、上記管端開口よりも高い位置まで液体が充填され、前記炉側排ガス管と前記排気管との間には、開閉バルブで開放されて、前記タール除去チャンバーを迂回するバイパス管が設けられている熱処理炉のタール除去装置を備えた熱処理炉であって、前記開閉バルブを開放して前記熱処理炉を運転する第1ステップと、前記タール除去チャンバー内の前記液体の液位が前記管端開口よりも高いことを条件に、上記第1ステップの後、上記開閉バルブを閉じて上記熱処理炉を運転する第2ステップとを含むことを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明にかかる熱処理炉のタール除去装置にあっては、熱処理炉の排気に含まれるタールを、真空ポンプよりも上流側で、より確実に除去することができ、また、本発明にかかるタール除去装置を備えた熱処理炉の操業方法にあっては、タール除去装置を備えていても、熱処理炉を好適に操業することができる。特に、タール除去チャンバーは、排気管の管端開口よりも高い位置に、液体の液位の上昇を規制する液体流出孔を備えていて、タール除去チャンバー内に充填可能な液体の高さを設定でき、タール除去チャンバーから余剰な液体を排出できる。