(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135370
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】急速充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20220908BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220908BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20220908BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20220908BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H02J7/00 P
H02M7/12 W
H02M7/12 A
B60L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035127
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 祥一
(72)【発明者】
【氏名】金丸 就吾
(72)【発明者】
【氏名】原澤 紀雄
【テーマコード(参考)】
5G503
5H006
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA02
5G503FA06
5G503GB03
5H006AA05
5H006CB08
5H006CC04
5H006DA02
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC08
5H006HA08
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BE02
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】長寿命化が可能な急速充電装置を提供する。
【解決手段】各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、複数のAC-DCコンバータの出力電流の和が電流指令値に達するまで、複数のAC-DCコンバータを1個ずつ定格まで動作させ、複数のAC-DCコンバータの中の動作累積時間の短い順に動作開始させ、複数のAC-DCコンバータの中の動作中のAC-DCコンバータを、温度の高い順に1個ずつ停止させる制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された走行用バッテリを急速充電するための急速充電装置であって、
各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を前記車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、
前記複数のAC-DCコンバータの出力電流の和が電流指令値に達するまで、前記複数のAC-DCコンバータを1個ずつ定格まで動作させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数のAC-DCコンバータの中の動作累積時間の短い順に動作開始させる、
ことを特徴とする急速充電装置。
【請求項2】
車両に搭載された走行用バッテリを急速充電するための急速充電装置であって、
各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を前記車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、
前記複数のAC-DCコンバータの直流電流の和が電流指令値に達するまで、前記複数のAC-DCコンバータを1個ずつ定格まで動作させる制御部と、
を備える、
ことを特徴とする急速充電装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電流指令値が下降した場合に、前記複数のAC-DCコンバータの直流電流の和が電流指令値に達するまで、前記複数のAC-DCコンバータの中の動作中のAC-DCコンバータを1個ずつ停止させる、
ことを特徴とする、請求項2に記載の急速充電装置。
【請求項4】
前記複数のAC-DCコンバータの温度を表す温度検出信号を出力する複数の温度検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記温度検出信号に基づいて、前記複数のAC-DCコンバータの中の動作中のAC-DCコンバータを、温度の高い順に1個ずつ停止させる、
ことを特徴とする、請求項3に記載の急速充電装置。
【請求項5】
車両に搭載された走行用バッテリを急速充電するための急速充電装置であって、
各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を前記車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、
前記複数のAC-DCコンバータの中の動作累積時間の短い順に動作開始させる制御部と、
を備える、
ことを特徴とする急速充電装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数のAC-DCコンバータの動作開始累積回数に基づいて、前記動作累積時間を判定する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の急速充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急速充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)及びプラグインハイブリッド自動車(PHV)に搭載されている走行用バッテリを充電する装置として、急速充電装置が用いられている(非特許文献1参照)。急速充電装置は、交流電力の供給を系統電源から受けて、直流電力を車両に出力する。
【0003】
特許文献1には、停止するパワーコンディショナをローテーションで決定する運転制御システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】一般社団法人電動車両用電力供給システム協議会、“EV・PHV用普通充電器のご紹介”、[online]、2019年9月、[令和2年12月15日検索]、インターネット(URL:https://evpossa.or.jp/download/pdf/jyudenki_setsumei.pdf)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
急速充電装置は、普通充電装置よりも出力電流が大きいので、並列接続された複数のAC-DCコンバータを含む。複数のAC-DCコンバータは、熱の影響を考慮する必要がある。その要因の1つは、複数のAC-DCコンバータが筐体内に収容されている位置である。
【0007】
急速充電装置の筐体は、一般に縦型である。その縦型の筐体の内部に、複数のAC-DCコンバータが複数段に収容されている。複数のAC-DCコンバータの各々は、動作していると、損失により熱を発生する。熱は、筐体の下部から上部へ対流又は伝導する。従って、上段に収容されているAC-DCコンバータは、下段に収容されているAC-DCコンバータと比較して、高い温度にさらされることになるので、寿命が短くなり得る。また、上段に収容されるAC-DCコンバータのために温度定格の高い部品の選定が必要となり、コスト増を招く。
【0008】
本発明は、長寿命化が可能な急速充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の急速充電装置は、
車両に搭載された走行用バッテリを急速充電するための急速充電装置であって、
各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を前記車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、
前記複数のAC-DCコンバータの出力電流の和が電流指令値に達するまで、前記複数のAC-DCコンバータを1個ずつ定格まで動作させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記複数のAC-DCコンバータの中の動作累積時間の短い順に動作開始させる、
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の急速充電装置は、
車両に搭載された走行用バッテリを急速充電するための急速充電装置であって、
各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を前記車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、
前記複数のAC-DCコンバータの直流電流の和が電流指令値に達するまで、前記複数のAC-DCコンバータを1個ずつ定格まで動作させる制御部と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0011】
前記急速充電装置において、
前記制御部は、
前記電流指令値が下降した場合に、前記複数のAC-DCコンバータの直流電流の和が電流指令値に達するまで、前記複数のAC-DCコンバータの中の動作中のAC-DCコンバータを1個ずつ停止させる、
ことを特徴とする。
【0012】
前記急速充電装置において、
前記複数のAC-DCコンバータの温度を表す温度検出信号を出力する複数の温度検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記温度検出信号に基づいて、前記複数のAC-DCコンバータの中の動作中のAC-DCコンバータを、温度の高い順に1個ずつ停止させる、
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様の急速充電装置は、
車両に搭載された走行用バッテリを急速充電するための急速充電装置であって、
各々が交流電力を直流電力に変換し、直流電流を前記車両に出力する複数のAC-DCコンバータと、
前記複数のAC-DCコンバータの中の動作累積時間の短い順に動作開始させる制御部と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0014】
前記急速充電装置において、
前記制御部は、
前記複数のAC-DCコンバータの動作開始累積回数に基づいて、前記動作累積時間を判定する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様の急速充電装置は、長寿命化が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施の形態の急速充電装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態の急速充電装置のAC-DCコンバータの配置の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態の急速充電装置の階段制御を説明する図である。
【
図4】
図4は、実施の形態の急速充電装置の運転パターンの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の急速充電装置の出力電流値を増加させる場合の動作手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態の急速充電装置の出力電流値を減少させる場合の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の急速充電装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
<実施の形態>
(全体構成)
図1は、実施の形態の急速充電装置の構成を示す図である。急速充電装置1は、交流電源2から供給される交流電力を直流電力に変換し、充電ケーブル16の末端に接続された充電コネクタ17及び車両3の充電口3aを介して、車両3に搭載された走行用バッテリ4を急速充電する。交流電源2は、系統電源が例示される。
【0019】
充電コネクタ17は、充電ガンとも呼ばれ、車両3の充電口3aに着脱自在に挿着される。
【0020】
急速充電装置1は、入力部11と、電力変換部12と、出力部13と、操作部14と、制御部15と、温度センサ22-1から温度センサ22-mまで(mは、2以上の整数)と、を含む。
【0021】
入力部11は、交流電源2に電気的に接続され、交流電力が入力される。入力部11は、入力コンデンサ、フィルタ等が例示される。
【0022】
電力変換部12は、入力部11に電気的に接続されている。電力変換部12は、AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまで(nは、2以上の整数)を含む。AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでの各々は、交流電力を直流電力に変換する。AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでは、互いに並列接続されている。電力変換部12は、スイッチング制御信号S1に基づいて、入力部11から入力される交流電力を直流電力に変換し、充電電流を出力する。
【0023】
温度センサ22-1から22-mまでは、AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでの温度を表す温度検出信号を制御部15に出力する。温度センサ22-1から温度センサ22-mまでは、温度により抵抗値が変化するサーミスタ等の感温素子が例示される。
【0024】
出力部13は、電力変換部12に電気的に接続され、電力変換部12から入力される直流電力を充電ケーブル16に出力する。出力部13は、出力コンデンサ、フィルタ等が例示される。
【0025】
操作部14は、充電の開始、中止等の情報を入力するものであり、タッチパネルディスプレイ(タッチ検出機能付きディスプレイ)、物理キーが例示される。
【0026】
制御部15は、充電コネクタ17及び充電ケーブル16を介して車両3から入力される充電電流指令値信号S2に基づいて、スイッチング制御信号S1をAC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでに出力し、AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでを制御する。
【0027】
制御部15は、階段制御部15a及びローテーション制御部15bを含む。階段制御部15aは、AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでを階段制御する。階段制御については、後で説明する。ローテーション制御部15bは、AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-nまでをローテーション制御する。ローテーション制御については、後で説明する。
【0028】
(AC-DCコンバータの配置)
図2は、実施の形態の急速充電装置のAC-DCコンバータの配置の一例を示す図である。
【0029】
筐体31は、直方体形状であり、長手方向が鉛直方向に沿うように、地面Gに設置されている。AC-DCコンバータ21-1からAC-DCコンバータ21-10までは、筐体31の内部に多段に収容されている。ここでは、n=10としたが、本開示はこれに限定されない。同様に、温度センサ22-1から温度センサ22-5までは、筐体31の内部に多段に収容されている。ここでは、m=5としたが、本開示はこれに限定されない。
【0030】
AC-DCコンバータ21-1及び21-2は、最も下の段に収容されている。AC-DCコンバータ21-3及び21-4は、下から2番目の段に収容されている。AC-DCコンバータ21-5及び21-6は、下から3番目の段に収容されている。AC-DCコンバータ21-7及び21-8は、下から4番目の段に収容されている。AC-DCコンバータ21-9及び21-10は、下から5番目の段に収容されている。
【0031】
温度センサ22-1は、最も下の段に収容され、AC-DCコンバータ21-1及び21-2の温度を検出する。温度センサ22-2は、下から2番目の段に収容され、AC-DCコンバータ21-3及び21-4の温度を検出する。温度センサ22-3は、下から3番目の段に収容され、AC-DCコンバータ21-5及び21-6の温度を検出する。温度センサ22-4は、下から4番目の段に収容され、AC-DCコンバータ21-7及び21-8の温度を検出する。温度センサ22-5は、下から5番目の段に収容され、AC-DCコンバータ21-9及び21-10の温度を検出する。
【0032】
なお、
図2では、5個の温度センサ22-1から22-5までの各々が、各段のAC-DCコンバータ21の温度を検出することとしたが、本開示はこれに限定されない。例えば、10個の温度センサの各々が、AC-DCコンバータ21の各々の温度を検出することとしても良い。
【0033】
AC-DCコンバータ21-1から21-10までの各々は、電力変換動作していると熱を発生する。熱は、筐体31の下部から上部へ対流又は伝導する。従って、最上段のAC-DCコンバータ21-9及び21-10は、最下段のAC-DCコンバータ21-1及び21-2と比較して、高い温度にさらされることになる。これにより、AC-DCコンバータ21の寿命が短くなり得る。
【0034】
そこで、AC-DCコンバータ21の長寿命化を図るべく、階段制御部15aは、階段制御を行い、ローテーション制御部15bは、ローテーション制御を行う。
【0035】
(階段制御)
図3は、実施の形態の急速充電装置の階段制御を説明する図である。波形101から波形105までは、1個目から5個目までのAC-DCコンバータ21の出力電流を示す。波形106は、電力変換部12の全体の出力電流を示す。
【0036】
タイミングt0において、階段制御部15aは、1個目のAC-DCコンバータ21を動作開始させる。階段制御部15aは、波形101で示すように、1個目のAC-DCコンバータ21を定格まで動作させる。タイミングt1において、1個目のAC-DCコンバータ21の出力電流が定格に達する。
【0037】
タイミングt1において、階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流が充電電流指令値未満であった場合に、2個目のAC-DCコンバータ21を動作開始させる。階段制御部15aは、波形102で示すように、2個目のAC-DCコンバータ21を定格まで動作させる。タイミングt2において、2個目のAC-DCコンバータ21の出力電流が定格に達する。
【0038】
タイミングt2において、階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流が充電電流指令値未満であった場合に、3個目のAC-DCコンバータ21を動作開始させる。階段制御部15aは、波形103で示すように、3個目のAC-DCコンバータ21を定格まで動作させる。タイミングt3において、3個目のAC-DCコンバータ21の出力電流が定格に達する。
【0039】
タイミングt3において、階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流が充電電流指令値未満であった場合に、4個目のAC-DCコンバータ21を動作開始させる。階段制御部15aは、波形104で示すように、4個目のAC-DCコンバータ21を定格まで動作させる。タイミングt4において、4個目のAC-DCコンバータ21の出力電流が定格に達する。
【0040】
タイミングt4において、階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流が充電電流指令値未満であった場合に、5個目のAC-DCコンバータ21を動作開始させる。階段制御部15aは、波形105で示すように、5個目のAC-DCコンバータ21を定格まで動作させる。タイミングt5において、5個目のAC-DCコンバータ21の出力電流が定格に達する。
【0041】
このように、階段制御部15aは、波形106で示す電力変換部12の全体の出力電流の和が充電電流指令値に達するまで、AC-DCコンバータ21を1個ずつ定格まで動作させる。最後の1個のAC-DCコンバータ21は、出力増加するが、定格まで至らなくても良い。
【0042】
急速充電装置1は、例えば、5個のAC-DCコンバータ21を定格(100%)で動作させた場合を、10個のAC-DCコンバータ21を定格の50%で動作させた場合と比較すると、10個のAC-DCコンバータ21全体での延べの運転時間を半分にすることができる。
【0043】
従って、急速充電装置1は、階段制御により、AC-DCコンバータ21の長寿命化が可能となる。
【0044】
また、AC-DCコンバータ21の効率は、定格時に最も高くなる。従って、急速充電装置1は、AC-DCコンバータ21を定格まで動作させることにより、効率を良くすることができ、発熱を抑制できる。これにより、温度ピークを抑制することができる。
【0045】
従って、急速充電装置1は、階段制御により、AC-DCコンバータ21の長寿命化が可能となる。
【0046】
なお、階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流をゼロにする場合、AC-DCコンバータ21を1個ずつ動作停止させる。
【0047】
タイミングt6において、階段制御部15aは、5個目のAC-DCコンバータ21を動作停止させる。波形105で示すように、タイミングt7において、5個目のAC-DCコンバータ21の出力電流がゼロに達する。
【0048】
タイミングt7において、階段制御部15aは、4個目のAC-DCコンバータ21を動作停止させる。波形104で示すように、タイミングt8において、4個目のAC-DCコンバータ21の出力電流がゼロに達する。
【0049】
タイミングt8において、階段制御部15aは、3個目のAC-DCコンバータ21を動作停止させる。波形103で示すように、タイミングt9において、3個目のAC-DCコンバータ21の出力電流がゼロに達する。
【0050】
タイミングt9において、階段制御部15aは、2個目のAC-DCコンバータ21を動作停止させる。波形102で示すように、タイミングt10において、2個目のAC-DCコンバータ21の出力電流がゼロに達する。
【0051】
タイミングt10において、階段制御部15aは、1個目のAC-DCコンバータ21を動作停止させる。波形101で示すように、タイミングt11において、1個目のAC-DCコンバータ21の出力電流がゼロに達する。
【0052】
図4は、実施の形態の急速充電装置の運転パターンの一例を示す図である。波形111は、充電電流指令値を示す。波形112は、電力変換部12の全体の出力電流を示す。
【0053】
波形111で示すように、タイミングt20からタイミングt22までの期間では、充電電流指令値は、充電電流指令値A1で一定である。タイミングt22からタイミングt24までの期間では、充電電流指令値は、充電電流指令値A2で一定である。タイミングt24以降では、充電電流指令値は、ゼロで一定である。
【0054】
波形112で示すように、タイミングt20からタイミングt21までの期間では、階段制御部15aは、前述した階段制御によって、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値A1に達するまで、AC-DCコンバータ21を1個ずつ動作開始させる。
【0055】
タイミングt21からタイミングt22までの期間では、階段制御部15aは、出力電流値を充電電流指令値A1に維持する、定電流制御を行う。
【0056】
タイミングt22からタイミングt23までの期間では、階段制御部15aは、前述した階段制御によって、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値A2に達するまで、AC-DCコンバータ21を1個ずつ動作停止させる。最後の1個のAC-DCコンバータ21は、出力減少するが、動作停止まで至らなくても良い。
【0057】
タイミングt23からタイミングt24までの期間では、階段制御部15aは、出力電流値を充電電流指令値A2に維持する、定電流制御を行う。
【0058】
タイミングt24からタイミングt25までの期間では、階段制御部15aは、前述した階段制御によって、電力変換部12の全体の出力電流値がゼロに達するまで、AC-DCコンバータ21を1個ずつ動作停止させる。
【0059】
(ローテーション制御)
ローテーション制御部15bは、出力電流値を減少させる場合に、温度の高いものから順に、AC-DCコンバータ21を動作停止させる。また、ローテーション制御部15bは、次回の車両充電の際又は出力電流値を増加させる場合に、動作累積時間の短いものから順に、AC-DCコンバータ21を動作開始させる。
【0060】
例えば、
図2で説明した収容状況及び
図4で説明した運転パターンの例では、タイミングt
22からタイミングt
23の期間において、ローテーション制御部15bは、温度の高いものから順に、AC-DCコンバータ21を動作停止させる。つまり、ローテーション制御部15bは、鉛直方向の上方から下方へ向かって、AC-DCコンバータ21-10から21-8までを1個ずつ動作停止させる。
【0061】
これにより、ローテーション制御部15bは、AC-DCコンバータ21-10から21-8までが高温にさらされる時間を短くすることができる。
【0062】
従って、急速充電装置1は、ローテーション制御により、AC-DCコンバータ21の長寿命化が可能となる。
【0063】
また、ローテーション制御部15bは、AC-DCコンバータ21の各々の動作累積時間を記録する。そして、ローテーション制御部15bは、次回の車両充電の際又は出力電流値を増加させる場合に、動作累積時間の短いものから順に、AC-DCコンバータ21-10から21-8までを動作開始させる。
【0064】
これにより、ローテーション制御部15bは、AC-DCコンバータ21の動作累積時間の均一化を図ることができる。
【0065】
従って、急速充電装置1は、ローテーション制御により、AC-DCコンバータ21の長寿命化が可能となる。
【0066】
なお、ローテーション制御部15bは、AC-DCコンバータ21の各々の動作累積時間を記録することに代えて、動作開始累積回数(起動累積回数)を記録し、動作開始累積回数に基づいて、動作累積時間を判定しても良い。動作開始累積回数は、動作累積時間と相関があるからである。
【0067】
(動作手順)
図5は、実施の形態の急速充電装置の出力電流値を増加させる場合の動作手順を示すフローチャートである。
【0068】
制御部15は、ステップS100において、充電電流指令値信号S2を車両3から受信する。
【0069】
ローテーション制御部15bは、ステップS102において、動作開始させるAC-DCコンバータ21を決定する。ローテーション制御部15bは、現在動作していないAC-DCコンバータ21の内の動作累積時間が最も短いものを、動作開始させるAC-DCコンバータ21に決定する。
【0070】
ステップS102が、ローテーション制御に相当する。
【0071】
階段制御部15aは、ステップS104において、ステップS102で決定されたAC-DCコンバータ21の動作を開始させる。
【0072】
階段制御部15aは、ステップS106において、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したか否かを判定する。
【0073】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したと判定した場合(ステップS106でYes)、処理を終了し、電力変換部12の全体の出力電流を現在のまま維持する定電流出力制御を行う。
【0074】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達していないと判定した場合(ステップS106でNo)、処理をステップS108に進める。
【0075】
階段制御部15aは、ステップS108において、ステップS102で決定されたAC-DCコンバータ21の出力を増大させる。
【0076】
階段制御部15aは、ステップS110において、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したか否かを判定する。
【0077】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したと判定した場合(ステップS110でYes)、処理を終了し、電力変換部12の全体の出力電流を現在のまま維持する定電流出力制御を行う。
【0078】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達していないと判定した場合(ステップS110でNo)、ステップS112において、ステップS102で決定されたAC-DCコンバータ21の出力が定格に達したか否かを判定する。
【0079】
階段制御部15aは、ステップS102で決定されたAC-DCコンバータ21の出力が定格に達していないと判定した場合(ステップS112でNo)、処理をステップS108に進める。
【0080】
階段制御部15aは、ステップS102で決定されたAC-DCコンバータ21の出力が定格に達したと判定した場合(ステップS112でYes)、処理をステップS102に進める。
【0081】
ステップS104からステップS112までが、階段制御に相当する。
【0082】
制御部15は、ステップS102からステップS112までを繰り返すことにより、出力電流値が充電電流指令値に達するまで、AC-DCコンバータ21を1個ずつ定格まで動作させる。
【0083】
図6は、実施の形態の急速充電装置の出力電流値を減少させる場合の動作手順を示すフローチャートである。
【0084】
制御部15は、ステップS200において、充電電流指令値信号S2を車両3から受信する。
【0085】
ローテーション制御部15bは、ステップS202において、出力減少させるAC-DCコンバータ21を決定する。ローテーション制御部15bは、現在動作しているAC-DCコンバータ21の内の温度が最も高いものを、出力減少させるAC-DCコンバータ21に決定する。
【0086】
ステップS202が、ローテーション制御に相当する。
【0087】
階段制御部15aは、ステップS204において、ステップS202で決定されたAC-DCコンバータ21の出力減少を開始させる。
【0088】
階段制御部15aは、ステップS206において、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したか否かを判定する。
【0089】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したと判定した場合(ステップS206でYes)、処理を終了し、電力変換部12の全体の出力電流を現在のまま維持する定電流出力制御を行う。
【0090】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達していないと判定した場合(ステップS206でNo)、処理をステップS208に進める。
【0091】
階段制御部15aは、ステップS208において、ステップS202で決定されたAC-DCコンバータ21の出力を減少させる。
【0092】
階段制御部15aは、ステップS210において、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したか否かを判定する。
【0093】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達したと判定した場合(ステップS210でYes)、処理を終了し、電力変換部12の全体の出力電流を現在のまま維持する定電流出力制御を行う。
【0094】
階段制御部15aは、電力変換部12の全体の出力電流値が充電電流指令値に達していないと判定した場合(ステップS210でNo)、ステップS212において、ステップS202で決定されたAC-DCコンバータ21の出力がゼロに達したか否かを判定する。
【0095】
階段制御部15aは、ステップS202で決定されたAC-DCコンバータ21の出力がゼロに達していないと判定した場合(ステップS212でNo)、処理をステップS208に進める。
【0096】
階段制御部15aは、ステップS202で決定されたAC-DCコンバータ21の出力がゼロに達したと判定した場合(ステップS212でYes)、処理をステップS202に進める。
【0097】
ステップS204からステップS212までが、階段制御に相当する。
【0098】
制御部15は、ステップS202からステップS212までを繰り返すことにより、出力電流値が充電電流指令値に達するまで、AC-DCコンバータ21を1個ずつゼロまで出力減少させる。
【0099】
(効果)
急速充電装置1は、階段制御により、AC-DCコンバータ21全体での延べの運転時間を抑制することができる。また、急速充電装置1は、AC-DCコンバータ21を定格まで動作させることにより、効率を良くすることができ、発熱を抑制できる。これにより、温度ピークを抑制することができる。
【0100】
従って、急速充電装置1は、階段制御により、AC-DCコンバータ21の長寿命化が可能となる。
【0101】
また、急速充電装置1は、ローテーション制御により、出力電流値を減少させる場合に、温度の高いものから順に、AC-DCコンバータ21を動作停止させる。これにより、急速充電装置1は、AC-DCコンバータ21高温にさらされる時間を短くすることができる。
【0102】
また、急速充電装置1は、ローテーション制御により、次回の車両充電の際又は出力電流値を増加させる場合に、動作累積時間の短いものから順に、AC-DCコンバータ21を動作開始させる。これにより、急速充電装置1は、AC-DCコンバータ21の動作累積時間の均一化を図ることができる。
【0103】
従って、急速充電装置1は、ローテーション制御により、AC-DCコンバータ21の長寿命化が可能となる。
【0104】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0105】
1 急速充電装置
2 交流電源
3 車両
4 走行用バッテリ
11 入力部
12 電力変換部
13 出力部
14 操作部
15 制御部
15a 階段制御部
15b ローテーション制御部
16 充電ケーブル
17 充電コネクタ
21-1、・・・、21-n AC-DCコンバータ
22-1、・・・、22-m 温度センサ
31 筐体