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特開2022-135401ランキンサイクルシステムおよびその制御方法
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  • 特開-ランキンサイクルシステムおよびその制御方法 図1
  • 特開-ランキンサイクルシステムおよびその制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135401
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】ランキンサイクルシステムおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 17/00 20060101AFI20220908BHJP
   F01D 15/08 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F01D17/00 M
F01D15/08 A
F01D15/08 C
F01D17/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035183
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浮 朋冬
【テーマコード(参考)】
3G071
【Fターム(参考)】
3G071AB01
3G071AB06
3G071BA02
3G071BA33
3G071FA03
3G071FA06
3G071GA05
3G071HA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】システムを小型化および軽量化することが可能なランキンサイクルシステムおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】ランキンサイクルシステム10は、ポンプ12の回転軸であるポンプ軸12aの駆動により圧送された作動流体が蒸発器14、タービン16、凝縮器18を順に介して流れて、ポンプによって再び圧送される、ランキンサイクルシステムにおいて、タービンの回転軸であるタービン軸16aは、ポンプ軸に対し同軸上に配置され、タービン軸とポンプ軸との間に配置され、タービン軸の回転数を所定のギア比で変換してポンプ軸へ伝達する変速機40を備え、ポンプの作動流体出口およびタービンの作動流体入口のそれぞれの温度および圧力に基づいて、タービン軸の回転数を変速することによりポンプ軸に所定トルクが付与されるように、変速機を制御する制御部(ECU)50を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプの回転軸であるポンプ軸の駆動により圧送された作動流体が蒸発器、タービン、凝縮器を順に介して流れて、前記ポンプによって再び圧送される、ランキンサイクルシステムにおいて、
前記タービンの回転軸であるタービン軸は、前記ポンプ軸に対し同軸上に配置され、
前記タービン軸と前記ポンプ軸との間に配置され、前記タービン軸の回転数を所定のギア比で変換して前記ポンプ軸へ伝達する変速機を備え、
前記ポンプの作動流体出口およびタービンの作動流体入口のそれぞれの温度および圧力に基づいて、前記タービン軸の回転数を変速することにより前記ポンプ軸に所定トルクが付与されるように、前記変速機を制御する制御部を備える、ランキンサイクルシステム。
【請求項2】
前記タービン軸のトルクから前記ポンプ軸の前記所定トルクを減算した余剰トルクに対応する発電量で発電するモータジェネレータを備える、
請求項1に記載のランキンサイクルシステム。
【請求項3】
ポンプの回転軸であるポンプ軸の駆動により圧送された作動流体が蒸発器、タービン、凝縮器を順に介して流れて、前記ポンプによって再び圧送される、ランキンサイクルシステムにおける制御方法であって、
前記タービンの回転軸であるタービン軸の回転数を所定のギア比で変換して前記ポンプ軸へ伝達する変速機を備え、
前記ポンプの作動流体出口およびタービンの作動流体入口のそれぞれの温度および圧力に基づいて、前記ポンプの作動流体出口における前記作動流体の密度、および、前記タービンの作動流体入口における前記作動流体の密度のそれぞれを算出するステップと、
算出された前記密度のそれぞれに基づいて、前記タービン軸のトルクが前記ポンプ軸のトルクよりも大きいか否について判定するステップと、
前記タービン軸のトルクが前記ポンプ軸のトルクよりも大きくない場合、前記タービン軸の回転数を変速するように、前記変速機を制御するステップと、
を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ランキンサイクルシステムおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランキンサイクルは公知であり、例えば省エネの観点から、車載エンジンの排熱回収などに適用されている。ランキンサイクルシステムは、ポンプ、蒸発器、膨張器、凝縮器が順に配置されて、作動流体が循環する閉回路を主構成として有する。ポンプは、ランキンサイクルシステムの閉回路において作動流体を循環させるように、蒸発器に向けて作動流体を圧送する。車載エンジンに適用される例では、蒸発器は熱源としてのエンジンからの廃熱で作動流体を加熱蒸発するように熱交換器として構成され、膨張器は蒸発器を経た作動流体から動力を取り出すように構成され、凝縮器は膨張器を経た作動流体を凝縮液化させるように熱交換器として構成され得る。
【0003】
このようなランキンサイクルシステムにおいて、タービン(膨張器)から動力を受け取る発電機と、オイルポンプを駆動するためのモータとを備えている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006-506570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載のランキンサイクルシステムにおいては、発電機およびモータのそれぞれの装置を別々に配置する必要があるため、システムが大型化し、また、システムの重量が増加する。また、このようなランキンサイクルシステムが車載される場合、システムを設置するための広いスペースを必要とする点で好ましくない。
【0006】
本開示の目的は、システムを小型化および軽量化することが可能なランキンサイクルシステムおよびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本開示におけるランキンサイクルシステムは、
ポンプの回転軸であるポンプ軸の駆動により圧送された作動流体が蒸発器、タービン、凝縮器を順に介して流れて、前記ポンプによって再び圧送される、ランキンサイクルシステムにおいて、
前記タービンの回転軸であるタービン軸は、前記ポンプ軸に対し同軸上に配置され、
前記タービン軸と前記ポンプ軸との間に配置され、前記タービン軸の回転数を所定のギア比で変換して前記ポンプ軸へ伝達する変速機を備え、
前記ポンプの作動流体出口およびタービンの作動流体入口のそれぞれの温度および圧力に基づいて、前記タービン軸の回転数を変速することにより前記ポンプ軸に所定トルクが付与されるように、前記変速機を制御する制御部を備える。
【0008】
本開示におけるランキンサイクルシステムにおける制御方法は、
ポンプの回転軸であるポンプ軸の駆動により圧送された作動流体が蒸発器、タービン、凝縮器を順に介して流れて、前記ポンプによって再び圧送される、ランキンサイクルシステムにおける制御方法であって、
前記タービンの回転軸であるタービン軸の回転数を所定のギア比で変換して前記ポンプ軸へ伝達する変速機を備え、
前記ポンプの作動流体出口およびタービンの作動流体入口のそれぞれの温度および圧力に基づいて、前記ポンプの作動流体出口における前記作動流体の密度、および、前記タービンの作動流体入口における前記作動流体の密度のそれぞれを算出するステップと、
算出された前記密度のそれぞれに基づいて、前記タービン軸のトルクが前記ポンプ軸のトルクよりも大きいか否について判定するステップと、
前記タービン軸のトルクが前記ポンプ軸のトルクよりも大きくない場合、前記タービン軸の回転数を変速するように、前記変速機を制御するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、システムを小型化および軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施の形態のランキンサイクルシステムの概略構成図である。
図2図2は、ECUの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態のランキンサイクルシステム10の概略構成図である。ランキンサイクルシステム10は、ポンプ12、蒸発器14、タービン16(膨張器)及び凝縮器18を備えている。ポンプ12、蒸発器14、タービン16及び凝縮器18は、作動流体が流通する環状通路20に順に配置されていて、これらは閉回路を形成する。ここでは、車両に搭載されるランキンサイクルシステム10について説明する。また、作動流体としてエタノールを用いるが、本開示は作動流体をエタノールに限定するものではない。
【0012】
ポンプ12は、ポンプ軸12aを有し、ポンプ軸12aが駆動されることで作動流体を蒸発器14側に圧送してランキンサイクルシステム10の環状通路20を循環させるものである。ポンプ12は、始動時においてモータジェネレータ12bにより駆動されるが、他の動力源の動力(駆動力)を用いて駆動されてもよい。モータジェネレータ12bは、制御部(後述する)により、ポンプ12を駆動するためモータに電力を供給する電力供給モードや、余剰トルク(後述する)に対応する発電量で発電する発電モードに切り替え制御される。
【0013】
蒸発器14は、熱交換器として構成されている。蒸発器14は、対向流型の熱交換器として構成されている。ここでは、熱源として車両用の内燃機関(以下、エンジン)の排気ガスの熱が利用される。蒸発器14において、排気ガスの流れ方向と、作動流体の流れ方向とは概ね逆向きである。蒸発器14は、ポンプ12が圧送した(液相の)作動流体を、熱源としてのエンジンの排気管内を流通する排気ガスと熱交換させて加熱するものである。蒸発器14において排気ガスの熱(廃熱)で加熱されることによって作動流体は蒸気化し(蒸発し)、蒸気化した作動流体はタービン16に流入する。
【0014】
タービン16は、蒸発器14で蒸気化した作動流体の膨張エネルギーを動力(機械的エネルギー)として取り出し、タービン軸16aを回転させるものである。
【0015】
凝縮器18は、タービン16が膨張させた作動流体を冷却して凝縮液化させるものである。凝縮器18は、対向流型の熱交換器として構成されている。そして、凝縮器18の作動流体の冷却源としてエンジンの冷却水(エンジン冷却水)が用いられる。つまり、凝縮器18において、エンジン冷却水の流れ方向と、作動流体の流れ方向とは概ね逆向きである。凝縮器18は、タービン16を経た(気相又はガス状の)作動流体を、冷却源としてのエンジン冷却水と熱交換させて冷却するものである。凝縮器18においてエンジン冷却水との熱交換で冷却されることによって作動流体は凝縮する(液化する)。なお、ここでは、エンジン冷却水は、ラジエータ(不図示)を経た後、凝縮器18に流入するが、本開示はこのような構成に限定されるものではなく、凝縮器18を経た後にラジエータで冷却されてもよい。
【0016】
タンク30は、凝縮器18とポンプ12との間に配置されている。タンク30は、作動流体の気液分離を図るように設けられている。凝縮器18側からタンク30に向けて延びる作動流体流路(上流側流路部分)22は、タンク30内の上方領域に連通するように設けられている。また、タンク30からポンプ12側に向けて延びる作動流体流路(下流側流路部分)24は、タンク30内の下方領域に連通するように設けられている。つまり、凝縮器18で凝縮された作動流体はタンク30内で気液分離され、液相の作動流体はポンプ12に吸引され、環状通路20内を再び循環する。
【0017】
本実施の形態におけるランキンサイクルシステム10は、ポンプ軸12aとタービン軸16aとは同軸上に配置されている。ポンプ軸12aとタービン軸16aとの間には変速機40が配置されている。変速機40は、同期装置(不図示)およびアクチュエータ40aを有する。アクチュエータ40aは、同期装置のスリーブ(不図示)をシフト移動させ、対象となる変速ギアを入力軸や出力軸と結合させることにより、所定のギア比の動力伝達経路を確立するものである。これにより、変速機40は、タービン軸16aの回転数を所定のギア比で変換してポンプ軸12aに伝達する。その結果、タービン16の出力が変速機40を介してポンプ12に付与されるため、ポンプ12の自立駆動が可能となる。
【0018】
ところで、ポンプ12とタービン16との特性如何によっては、ポンプ12の回転数とタービン16の回転数とが適切な関係にならない場合がある。この場合、ポンプ12はタービン16の出力が得られず、ポンプ12の自立駆動が困難となる。そこで、ポンプ12とタービン16との間に適切な変速が必要となる。
【0019】
次に、ポンプ12による容積仕事とタービン16による軸仕事との関係について説明する。
容積仕事と軸仕事との関係は、以下の式(1)から式(3)で表される。
【数1】

【数2】

【数3】

ここで、Pは圧力、Qは体積流量、Tはトルク、ωは回転数、mドットは質量流量、ρは密度を表す。
【0020】
ポンプ12において、上式(3)は以下の式(4)で表される。
【数4】

ここで、Pはポンプ12の作動流体出口(以下、出口)の圧力、ρはポンプ12の出口における作動流体の密度、Tはポンプ12のトルク、ωはポンプ12の回転数を表す。なお、密度ρは、ポンプ12の出口の温度、圧力P、および、蒸気表データから求められる。ポンプ12の出口の温度、圧力Pは、ポンプ12の出口に設けられる温度センサ(不図示)および圧力センサ(不図示)のそれぞれから取得される。
【0021】
また、上式(4)より、ポンプ12のトルクTは以下の式(5)で表される。
【数5】
【0022】
タービン16において、上式(3)は以下の式(6)で表される。
【数6】

ここで、Pはタービン16の作動流体入口(以下、入口)の圧力、ρはタービン16の入口における作動流体の密度、Tはタービン16のトルク、ωはタービン16の回転数を表す。なお、密度ρは、タービン16の入口の温度、圧力P、蒸気表データから求められる。タービン16の入口の温度、圧力Pは、タービン16の入口に設けられる温度センサ(不図示)および圧力センサ(不図示)のそれぞれから取得される。
【0023】
また、上式(6)より、タービン16のトルクは以下の式(7)で表される。
【数7】
【0024】
ポンプ12が自立駆動するためには、以下の式(8)が成立すればよい。
【数8】

式(8)より、ポンプ12の回転数ωとタービン16の回転数ωとの関係は、以下の式(9)、式(10)で表される。
【数9】

【数10】
【0025】
なお、蒸発器14で圧力損失がない場合、ポンプ12の回転数ωとタービン16の回転数ωとの関係は、以下の式(11)で表される。
【数11】
【0026】
以上より、ポンプ12の始動には、モータジェネレータ12bの駆動力でポンプ12を駆動する必要であるが、作動流体を蒸気化させる十分な熱源がある場合、式(10)または式(11)を満たすようにタービン16の回転数ωを変速すれば、タービン16の出力でポンプ12を駆動することが可能となる。つまり、ポンプ12の自立駆動が可能となる。
【0027】
本実施の形態では、ECU50(Electronic Control Unit:制御部)は、式(10)または式(11)を満たすようにタービン16(タービン軸16a)の回転数ωを変速するように、変速機40のアクチュエータ40aを制御する。
【0028】
次に、変速機40の制御を含めたECU50による制御について説明する。変速機40の制御のために、ポンプ12の出口、タービン16の入口のそれぞれに圧力センサが設けられている。また、ポンプ12の出口、タービン16の入口のそれぞれに温度センサが設けられている。これらのセンサからの出力は、上記ECU50に入力される。
【0029】
ECU50は、ランキンサイクルシステム10やエンジンの各種制御を行うように、所謂コンピュータとして構成され、公知の演算処理装置(例えばCPU)や記憶装置(例えばROM、RAM)、入力ポート、出力ポート等を備えて構成されている。ECU50は、それらセンサからの出力に基づいて各種値を取得し(検出し)、予め記憶しているプログラム及びデータに基づいて所定の演算をし、エンジン(例えばインジェクタやスロットルバルブ)の作動、モータジェネレータ12bの駆動、変速機40用のアクチュエータ40aの駆動等のためにそれらのそれぞれに作動信号を出力する。つまり、ECU50は、エンジンの制御手段、モータジェネレータ12bの制御手段、変速機40の制御手段のそれぞれに相当する機能部を有し、これらは互いに関連付けられている。なお、ECU50は1つの電子制御ユニットであることに限定されず、複数の電子制御ユニットの複合体として構成されてもよい。
【0030】
次に、ECU50による変速機40の制御について図2を参照して説明する。図2は、ECU50の動作を示すフローチャートである。図2のフローは、ランキンサイクルシステム10の運転中に所定時間間隔で実行される。
【0031】
先ず、ステップS100において、ECU50は、ポンプ12の出口の温度および圧力を取得し、タービン16の入口の温度および圧力を取得する。
【0032】
次に、ステップS110において、ECU50は、ポンプ12の出口における作動流体の密度ρを算出し、タービン16の入口における作動流体の密度ρを算出する。
【0033】
次に、ステップS120において、ECU50は、算出した密度ρ,ρ、および、ポンプ12の回転数ω、タービン16の回転数ωに基づいて、タービン16のトルクTがポンプ12のトルクTよりも大きいか否か(T>Tが成立するか否か)について判定する。T>Tが成立する場合(ステップS120:YES)、処理はステップS130に遷移する。T>Tが成立しない場合(ステップS120:NO)、処理はステップS140に遷移する。
【0034】
次に、ステップS130において、ECU50は、タービン軸16aのトルクからポンプ軸12aのトルクを減算した余剰トルクに対応する発電量で発電するように、モータジェネレータ12bを発電モードに切り替え制御する。その後、図2に示すフローは終了する。
【0035】
次に、ステップS140において、ECU50は、タービン軸16aの回転数を変速するように、変速機40のアクチュエータ40aを制御する。これにより、タービン軸16aのトルクが変速機40を介してポンプ軸12aに伝達される。その結果、ポンプ12の自立駆動が可能となる。その後、図2に示すフローは終了する。
【0036】
以上述べたように、本実施の形態に係るランキンサイクルシステム10は、ポンプ12の回転軸であるポンプ軸12aの駆動により圧送された作動流体が蒸発器14、タービン16、凝縮器18を順に介して流れて、ポンプ12によって再び圧送される、ランキンサイクルシステムにおいて、タービン16の回転軸であるタービン軸16aは、ポンプ軸12aに対し同軸上に配置され、タービン軸16aとポンプ軸12aとの間に配置され、タービン軸16aの回転数を所定のギア比で変換してポンプ軸12aへ伝達する変速機40を備え、ポンプの作動流体出口およびタービンの作動流体入口のそれぞれの温度および圧力に基づいて、タービン軸16aの回転数を変速することによりポンプ軸12aに所定トルクが付与されるように、変速機40を制御するECU50を備える。
【0037】
上記構成により、タービン軸16aから変速機40を介してポンプ12に所定トルクが付与されるため、ポンプ12を駆動するモータが不要になる。これにより、システムを小型化および軽量化することが可能となる。また、タービン軸16aとポンプ軸12aとの間に変速機40が配置されているため、システムを設置するためのスペースを削減できる。これにより、システムをさらに小型化することが可能となる。
【0038】
上記実施の形態では、タービン軸16aのトルクからポンプ軸12aの所定トルクを減算した余剰トルクに対応する発電量で発電するモータジェネレータ12bを備える。これにより、生成された電力はバッテリーに貯留することが可能となる。また、ポンプ12を始動する際に、貯留された電力によりポンプ軸12aを駆動できるため、省エネルギー化を図ることが可能となる。
【0039】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示は、システムを小型化および軽量化することが要求されるランキンサイクルシステムを備えた車両に好適に利用される。
【符号の説明】
【0041】
10 ランキンサイクルシステム
12 ポンプ
12a ポンプ軸
12b モータジェネレータ
14 蒸発器
16 タービン
16a タービン軸
18 凝縮器
20 環状通路
22,24 作動流体流路
30 タンク
40 変速機
40a アクチュエータ
50 ECU
図1
図2