(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135409
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】販売機及び販売システム
(51)【国際特許分類】
G07F 9/02 20060101AFI20220908BHJP
G07F 5/22 20060101ALI20220908BHJP
G07F 7/08 20060101ALI20220908BHJP
G07F 7/04 20060101ALI20220908BHJP
G07B 1/00 20060101ALI20220908BHJP
G07B 5/00 20060101ALI20220908BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20220908BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G07F9/02 103
G07F5/22 T
G07F7/08 Q
G07F7/04
G07B1/00
G07B5/00 D
G07G1/01 301D
G07G1/12 321P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035195
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 総貴
(72)【発明者】
【氏名】土田 雅巳
【テーマコード(参考)】
3E026
3E044
3E142
【Fターム(参考)】
3E026CA06
3E044AA01
3E044BA01
3E044BA02
3E044BA04
3E044CA04
3E044CA06
3E044EA03
3E142DA08
3E142FA03
3E142GA02
3E142GA03
3E142GA06
(57)【要約】
【課題】複数の決済方法に応じた複数の代金情報を表示部にて報知できる販売機、及び、販売機を含む販売システムを提供する。
【解決手段】券売機1は、メニュー選択ボタン2と、メニュー選択ボタン2による選択に係る販売対象の代金について、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって決済する決済部と、現金が投入される硬貨投入口3及び紙幣投入口4と、現金が硬貨投入口3及び紙幣投入口4に投入された場合に当該現金の情報が表示される表示部5と、制御部とを含む。制御部は、メニュー選択ボタン2によって受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、複数の決済方法の間において比較可能に表示部5に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売対象の選択を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金について、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって決済する決済部と、
現金が投入される投入部と、
現金が前記投入部に投入された場合に当該現金の情報が表示される表示部と、
前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、前記複数の決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示する制御部とを含む、販売機。
【請求項2】
前記複数の決済方法は、複数の非現金決済方法を含み、
非現金決済の場合には、前記制御部は、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、前記複数の非現金決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示する、請求項1に記載の販売機。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の非現金決済方法のそれぞれによる代金情報を、一括表示パターン、切替表示パターン及び循環表示パターンの少なくともいずれかによって前記表示部に表示する、請求項2に記載の販売機。
【請求項4】
非現金決済方法を特定する特定部を含み、
代金情報を前記複数の非現金決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示していた前記制御部は、前記特定部による非現金決済方法の特定に応じて、前記複数の非現金決済方法のうち、特定された非現金決済方法による代金情報だけを前記表示部に表示する、請求項2又は3に記載の販売機。
【請求項5】
販売対象を選択する顧客の媒体から情報を読み取る読取部を含み、
前記特定部は、前記読取部による情報の読取に応じて非現金決済方法を特定する、請求項4に記載の販売機。
【請求項6】
販売対象を選択する顧客によって操作される操作部を含み、
前記特定部は、顧客による前記操作部の操作に応じて非現金決済方法を特定する、請求項4に記載の販売機。
【請求項7】
前記複数の非現金決済方法は、IC決済及びコード決済を含む、請求項2~6のいずれか一項に記載の販売機。
【請求項8】
販売対象の選択を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金について、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって決済する決済部と、現金が投入される投入部と、現金が前記投入部に投入された場合に当該現金の情報が表示される表示部とを含む販売機と、
前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、前記複数の決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示する制御部とを含む、販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、販売機、及び、販売機を含む販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された自動券売機の前面には、複数の券選択ボタンと、紙幣挿入口と、硬貨投入口と、蛍光表示管等からなる金額表示部とが配置されている。購入者が、紙幣挿入口や硬貨投入口に金銭を投入すると、投入金額が金額表示部に表示される。購入者が、投入金額にて購入可能な価格に対応する券選択ボタンを操作すると、この券選択ボタンに割り当てられた券が自動券売機から発行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、現金決済の他に、ICカード等を用いたカード決済や、バーコードやQRコード(登録商標)等のコードを用いたコード決済といった非現金決済が普及しつつある。さらに、このように決済方法が複数存在する場合において、同じ商品や同じサービスであっても決済方法に応じて価格が異なる運用も普及しつつある。そして、このような運用が販売機でも求められることが想定される。タッチパネル等の大型の表示部を備える販売機であれば、決済方法毎に異なる複数の価格の情報、つまり複数の代金情報を表示部に一括表示することによって顧客等に十分に報知できる。しかし、特許文献1に記載の自動券売機のように金額表示部という簡易的な表示部しか備えない販売機では、表示部が小さいので、顧客等に対して複数の代金情報を表示部にて報知しきれないおそれがある。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、複数の決済方法に応じた複数の代金情報を表示部にて報知できる販売機、及び、販売機を含む販売システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、販売対象の選択を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金について、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって決済する決済部と、現金が投入される投入部と、現金が前記投入部に投入された場合に当該現金の情報が表示される表示部と、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、前記複数の決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示する制御部とを含む、販売機である。
【0007】
また、本発明は、前記複数の決済方法が、複数の非現金決済方法を含み、非現金決済の場合には、前記制御部が、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、前記複数の非現金決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記制御部が、前記複数の非現金決済方法のそれぞれによる代金情報を、一括表示パターン、切替表示パターン及び循環表示パターンの少なくともいずれかによって前記表示部に表示することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記販売機が、非現金決済方法を特定する特定部を含み、代金情報を前記複数の非現金決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示していた前記制御部が、前記特定部による非現金決済方法の特定に応じて、前記複数の非現金決済方法のうち、特定された非現金決済方法による代金情報だけを前記表示部に表示することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記販売機が、販売対象を選択する顧客の媒体から情報を読み取る読取部を含み、前記特定部が、前記読取部による情報の読取に応じて非現金決済方法を特定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記販売機が、販売対象を選択する顧客によって操作される操作部を含み、前記特定部が、顧客による前記操作部の操作に応じて非現金決済方法を特定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記複数の非現金決済方法が、IC決済及びコード決済を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、販売対象の選択を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金について、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって決済する決済部と、現金が投入される投入部と、現金が前記投入部に投入された場合に当該現金の情報が表示される表示部とを含む販売機と、前記受付部が受け付けた選択に係る販売対象の代金情報を、前記複数の決済方法の間において比較可能に前記表示部に表示する制御部とを含む、販売システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、販売機は、複数の決済方法に応じた複数の代金情報を表示部にて報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の販売機の一実施形態に係る券売機の模式的な正面図である。
【
図2】券売機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】券売機の記憶部に記憶されたテーブルを示す図である。
【
図4】券売機において行われる処理の内容を示すフローチャートである。
【
図5】券売機の表示部における表示内容の遷移を示す図である。
【
図7】
図4の処理の続きを示すフローチャートである。
【
図8】表示部における表示内容の遷移を示す図である。
【
図9】表示部における表示内容の遷移を示す図である。
【
図10】表示部における表示内容の遷移を示す図である。
【
図11】表示部における表示内容の遷移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る販売システム100に含まれる券売機1の模式的な正面図である。販売システム100は、販売店、本実施形態では一例として飲食店に適用され、券売機1は、飲食店の入口付近に設置される。券売機1は、本実施形態では1台だけ存在するが、複数台存在してもよい。販売機の一例である券売機1の販売対象は、本実施形態では飲食店が提供する各メニューの料理等(以下では、単に「メニュー」という。)についての食券であるが、販売機の販売対象は、食券以外に、映画観賞券や乗車券等のチケットや、飲食物等の物品そのものであってもよいし、電子データや、無形のサービス等であってもよい。
【0017】
また、券売機1は、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって食券について決済することができる。これらの決済方法は、複数の非現金決済方法も含み、本実施形態では、IC決済及びコード決済という2つの非現金決済方法が挙げられる。IC決済として、本実施形態ではICカードを用いた電子マネー決済を想定しているが、クレジットカードによるクレジット決済や、キャッシュカードによる口座決済も挙げられる。なお、商品の価格は、同一の商品であっても決済方法によって異なってもよく、本実施形態では、一例として、現金決済、IC決済及びコード決済の順に安く設定される。
【0018】
券売機1は、例えば縦長のボックス形状を有し、その前面には、受付部の一例としてのメニュー選択ボタン2が複数設けられている。本実施形態では、一例として、各メニュー選択ボタン2は、矩形状であり、6つのメニュー選択ボタン2が、横2列縦3列となるように等間隔にて配列されている。左端の一番上のメニュー選択ボタン2を参照して、各メニュー選択ボタン2の前面には、対応するメニューの名称つまりメニュー名2Aと、このメニューについての決済方法毎の価格情報2Bとが表示されている。決済方法毎の価格情報2Bは、現金決済の場合の価格情報2BA、IC決済の場合の価格情報2BB、及び、コード決済の場合の価格情報2BCを含む。
【0019】
本実施形態のようにメニュー選択ボタン2が物理的なメカボタンである場合には、メニュー名2A及び価格情報2Bが印字されたラベルが、透明なメニュー選択ボタン2に差し込まれてもよい。メニュー選択ボタン2が液晶パネルであってもよく、その場合には、メニュー名2A及び価格情報2Bがデジタル画像としてメニュー選択ボタン2に直接表示されてもよい。
【0020】
各メニュー選択ボタン2において例えばメニュー名2A及び価格情報2Bよりも下側の領域には、第1発光部2Cと第2発光部2Dとが横並びに配置されている。右端の一番上の「月見うどん」のメニュー選択ボタン2を参照して、このメニューが品切れ等によって販売不可能である場合には、このメニュー選択ボタン2の第1発光部2Cでは、例えば赤色の×マークが発光する。左端における上から2番目の「わかめうどん」のメニュー選択ボタン2を参照して、第2発光部2Dは、いわゆる販売可能ランプであって、例えば緑色にて点灯したり点滅したりすることができる(詳しくは後述する)。
【0021】
券売機1の前面において、メニュー選択ボタン2の集団よりも上側の領域には、投入部の一例としての硬貨投入口3及び紙幣投入口4と、表示部5と、取消ボタン6と、決済部の一例としての第1読取部7及び第2読取部8と、決済方法選択ボタン9とが配置されている。券売機1の前面において、メニュー選択ボタン2の集団よりも下側の領域には、発券口10と、釣銭取出口11とが配置されている。なお、これらのレイアウトは任意に変更できる。
【0022】
券売機1は、その前面の幅方向における大部分にわたる大きさを有するタッチパネル等の大型表示部が備えられない小型の販売機であってもよい。または、券売機1は、小型の販売機でなくても、その前面の大部分が、商品サンプルの展示領域によって占められていてもよい。このような券売機1では、表示部5は、横長の長方形状をなす蛍光表示管等であり、横並びの数字や文字による列を最大でも上下2列でしか表示できない程度に簡易かつ小型である。表示部5の大きさ(正面視における面積)は、各メニュー選択ボタン2とほぼ同じか、各メニュー選択ボタン2よりも小さい。
【0023】
現金決済によって食券を購入したい顧客は、まず、現金を硬貨投入口3や紙幣投入口4に投入する。すると、投入された現金の総額、つまり入金額が表示部5に表示される。顧客は、現金投入後にメニュー選択ボタン2を押してメニューを選択する。なお、今回の取引を中止したい顧客は、取消ボタン6を押せばよい。
【0024】
IC決済及びコード決済のどちらかにより食券を購入したい顧客は、先にメニュー選択ボタン2を押してメニューを選択する。第1読取部7は、ICカードの情報を非接触にて読み取るリーダーであり、第2読取部8は、コードを非接触にて読み取るリーダーである。IC決済により食券を購入したい顧客は、自身の媒体の一例であるICカード(図示せず)を第1読取部7にかざして読み取らせる。コード決済により食券を購入したい顧客は、自身の媒体の一例であるスマートフォン等の通信端末(図示せず)にインストールされた専用のアプリケーションを起動させて決済用のコードを通信端末の表示部に表示させ、このコードを第2読取部8にかざして読み取らせる。なお、第1読取部7と第2読取部8とは、1つの読取部に一体化されてもよい。決済方法選択ボタン9により、決済方法を選択できるが、詳しくは後述する。
【0025】
決済されたメニューの食券は、発券口10に発行される。現金決済の場合、釣銭が釣銭取出口11に返却される。現金投入後に顧客が取消ボタン6を押した場合には、投入された現金が釣銭取出口11に返却される。なお、返却される現金のうち、硬貨は釣銭取出口11から返却されて、紙幣は紙幣投入口4から返却されてもよい。
【0026】
図2は、券売機1の電気的構成を示すブロック図である。券売機1は、制御部20と、制御部20に対して電気的に接続された現金処理部21、通信部22、発行部23及び記憶部24とをさらに含む。制御部20は、受付部、決済部及び特定部の一例であり、CPUやROM等を含んだマイクロコンピューター等によって構成されている。前述した各メニュー選択ボタン2、表示部5、取消ボタン6,第1読取部7、第2読取部8及び決済方法選択ボタン9も、制御部20に対して電気的に接続されている。
【0027】
制御部20は、顧客によるメニュー選択ボタン2、取消ボタン6及び決済方法選択ボタン9の操作入力を受け付ける。特に、制御部20は、顧客によるメニュー選択ボタン2の操作に応じて、このメニュー選択ボタン2についてのメニューの選択を受け付ける。また、制御部20は、表示部5に所望の内容が表示されるように表示部5を制御する。制御部20は、第1読取部7によって顧客のICカードと非接触通信して、当該ICカードに関連付けられた電子マネー等によってIC決済をすることができる。制御部20は、顧客の通信端末(図示せず)に表示されたコードを第2読取部8によって読み取って、当該コードに基づいてコード決済をすることができる。
【0028】
現金処理部21は、決済部の一例である。現金処理部21は、硬貨投入口3や紙幣投入口4に投入された現金を券売機1の内部に取り込む構成や、取り込んだ現金の金種及び真贋を識別する構成や、釣銭等の返却用の現金を紙幣投入口4や釣銭取出口11に排出する構成等を含む。制御部20は、顧客によって選択された販売対象であるメニューの代金を、投入された現金から差し引くことによって、当該メニューについて現金決済する。以上のように、制御部20は、顧客によるメニュー選択ボタン2の操作に応じて受け付けた選択に係るメニューの代金について、現金決済を含む複数の決済方法のいずれかによって決済する。
【0029】
通信部22は、券売機1が外部装置101と通信するためのインターフェースである。通信部22には、有線又は無線の通信回線によって構成されたネットワークNが接続されている。ネットワークNは、LANや公衆回線である。発行部23は、決済の完了に応じて、食券に、顧客が購入したメニューに関する必要な情報を印字して、この食券を発券口10に発行する構成等を含む。
【0030】
記憶部24は、飲食店にて取り扱われるメニュー等の様々な情報を記憶している。具体的には、記憶部24は、全てのメニューについての情報が登録されたテーブルTを少なくとも記憶している。
図3は、テーブルTを示す図である。テーブルTには、各メニューに割り当てられた識別情報の一例であるメニュー番号と、各メニューに対応するメニュー選択ボタン2のそれぞれに割り当てられたボタン番号と、各メニューのメニュー名と、各メニューについて決済方法毎に設定された価格(以下「設定価格」という。)とが、メニュー毎にまとめられて記憶されている。
【0031】
次に、食券の販売に関連して券売機1の制御部20が実行する処理について、主に
図4のフローチャートを参照して説明する。待機状態にある券売機1では、制御部20は、例えば「いらっしゃいませ」等の定型文Wを表示部5に表示している(
図5の表示部5Aを参照)。また、待機状態にある券売機1では、制御部20は、販売可能なメニューについてのメニュー選択ボタン2の第1発光部2C及び第2発光部2Dを消灯させている。
【0032】
顧客が現金を硬貨投入口3や紙幣投入口4に投入し、当該現金が現金処理部21によって券売機1の内部に取り込まれると(ステップS1にてYES)、制御部20は、今回の取引の決済方法として現金決済が選択されたと判断して、硬貨投入口3や紙幣投入口4に投入された現金の総額である入金額(
図5の表示部5Bを参照)を表示部5に切替表示する(ステップS2)。このように、現金決済のための現金が硬貨投入口3や紙幣投入口4に投入された場合、表示部5には、当該現金の情報が表示される。なお、当該現金の情報は、入金額だけでなく、他の関連情報を含んでもよい。
【0033】
顧客がメニュー選択ボタン2を押すことによってメニューを選択すると(ステップS3にてYES)、制御部20は、顧客によるメニューの選択を受け付けるとともに、テーブルTを参照して、当該メニューについての現金決済での設定価格を取得して、当該設定価格を差し引くことによって入金額を減算更新し、表示部5に更新後の入金額が表示されるように表示部5の表示内容を更新する(ステップS4)。
図5の表示部5Cは、表示内容が更新された直後の表示部5を示している。そして、制御部20は、当該メニューについての食券30(
図6参照)を発行部23によって発行する(ステップS5)。なお、制御部20は、顧客が押したメニュー選択ボタン2の第2発光部2Dを点灯させる。
【0034】
そして、顧客がメニュー選択ボタン2をさらに押すことによってメニューを追加選択する度に(ステップS6にてYES)、制御部20は、表示部5に表示された入金額を減算更新して(ステップS4)、食券30を1枚ずつ発行する(ステップS5)。これにより、顧客は、入金額の範囲内において所望のメニューの食券30を購入することができる。ステップS5の発券から所定時間が経過してもメニューの追加選択がない場合には(ステップS6にてNO)、制御部20は、釣銭の有無を確認する(ステップS7)。入金額が零を上回る場合には釣銭が存在するので(ステップS7にてYES)、制御部20は、現金処理部21によって釣銭を紙幣投入口4や釣銭取出口11に返却する(ステップS8)。これにより、制御部20は、今回の現金決済による取引を完了して、券売機1を待機状態にする。
【0035】
一方、現金投入した顧客がメニューを選択することなく(ステップS3にてNO)、例えば取消ボタン6を押す等によって今回の取引をキャンセルすると(ステップS9にてYES)、制御部20は、投入された現金を返却して(ステップS10)、今回の取引を中止する。なお、制御部20は、最後に発行部23によって領収書やクーポン券等も発行してもよく、その際、各メニュー選択ボタン2の第2発光部2Dを点滅させてもよい。
【0036】
図6は、券売機1から発行された食券30の模式図である。食券30は、例えば矩形状の紙製のチケットである。なお、食券30は、この食券30のメニューに係る料理の受け渡しの際に店員によって回収される店控え30Aと、料理の受け渡し後も顧客によって保有される領収書30Bとを含んでもよい。その場合の食券30には、店控え30Aと領収書30Bとの境界を通るミシン目Mが形成されており、食券30は、ミシン目Mにおいて切断されることによって、店控え30Aと領収書30Bとに分離される。
【0037】
店控え30A及び領収書30Bのそれぞれの表面には、一例として、メニュー名30C、値段30Dと、今回の決済方法30E(
図6では現金決済)と、食券30の発行日時30Fとが印字されている。また、店控え30Aには、店控え30Aであることを示す注記30Gが印字されていて、領収書30Bには、領収書30Bであることを示す注記30Hが印字されている。
【0038】
図7は、
図4の処理の続きを示すフローチャートである。現金投入がない場合において(ステップS1にてNO)、顧客がメニュー選択ボタン2を押すことによってメニューを選択したとする。その場合において(ステップS11にてYES)、前述した定型文Wを表示部5(
図8の表示部5Dを参照)に表示していた制御部20は、今回の取引の決済方法として非現金決済方法が選択されたと判断して、当該メニューについての非現金決済方法による代金についての情報(以下「代金情報」という。)を表示部5に切替表示する(ステップS12)。具体的には、制御部20は、テーブルTを参照して当該メニューについてのIC決済及びコード決済のそれぞれでの設定価格を取得して、決済方法の種類(IC決済又はコード決済)と種類毎の設定価格とを、決済方法毎の代金情報とし、各決済方法についての代金情報を、表示部5において、例えば上下2列に並べて一括表示する(
図8の表示部5Eを参照)。なお、このように2列にて表示される場合の文字や数字のサイズ(表示部5Eを参照)は、1列にて表示される文字や数字のサイズ(表示部5Dを参照)よりも小さく設定されてもよい。
【0039】
そして、顧客がメニュー選択ボタン2をさらに押すことによってメニューを追加選択すると(ステップS13にてYES)、制御部20は、テーブルTを参照して、当該メニューについてのIC決済及びコード決済のそれぞれでの設定価格を取得して、対応する決済方法の代金情報における代金に加算し、各決済方法の最新の代金情報が一括表示されるように表示部5の表示内容を更新する(ステップS14)。
図8の表示部5Fは、メニューの追加選択により表示内容が更新された直後の表示部5を示している。さらなるメニューの追加選択がある度に(ステップS15にてYES)、制御部20は、表示部5の表示内容を更新する(ステップS14)。
【0040】
なお、飲料等の自動販売機のように商品の取出口のスペースの都合上、1つしか商品を選択できない販売機が存在する。このような販売機の場合には、顧客が最初にメニュー選択ボタン2を押した後に再度メニュー選択ボタン2を押すと、制御部20は、最初に選択されたメニューがキャンセルされたと判断して、次に選択されたメニューの代金情報を表示部5に切替表示してもよい。
【0041】
ステップS14での表示部5の表示内容の更新から所定時間が経過してもメニューの追加選択がない場合には(ステップS15にてNO)、制御部20は、第1読取部7による顧客のICカードの読み取りがあったか否かを確認する(ステップS16)。第1読取部7がICカードから情報を読み取ると(ステップS16にてYES)、制御部20は、IC決済を今回の取引の非現金決済方法であると特定して、表示部5に表示されたIC決済による最新の代金情報における代金についてIC決済する(ステップS17)。制御部20は、通信部22によって外部装置40等と通信することにより、IC決済のために必要な問い合わせを実行してもよい。なお、制御部20は、決済が完了するまでの間において、例えば「問い合わせ中」等の定型文Xを表示部5に表示する(
図8の表示部5Gを参照)。
【0042】
IC決済を完了した制御部20は、決済が完了した旨と、特定された非現金決済方法であるIC決済による決済額とを表示部5に切替表示することによって、表示部5の表示内容を更新する(ステップS18)。
図8の表示部5Hは、表示内容が更新された直後の表示部5を示している。このように、代金情報を複数の非現金決済方法の間において比較可能に表示部5(表示部5E及び5Fを参照)に表示させていた制御部20は、非現金決済方法の特定に応じて、複数の非現金決済方法のうち、特定された非現金決済方法による代金情報だけを表示部5(表示部5Hを参照)に表示する。なお、当該情報は、どの決済方法による決済が完了したのかについての情報等を含んでもよい。
【0043】
そして、制御部20は、IC決済したメニューについての食券30を発行部23によって発行して(ステップS19)、今回の取引を完了する。決済したメニューが複数存在する場合、制御部20は、メニュー毎に食券30を1枚ずつ発行してもよいし、全てのメニューの情報がまとめられた食券30を1枚だけ発行してもよい。なお、食券30の決済方法30E(
図6参照)には、今回の決済がIC決済である旨が表示される。
【0044】
ICカードの読み取りがない場合には(ステップS16にてNO)、制御部20は、顧客の通信端末に表示されたコードについての第2読取部8による読み取りがあったか否かを確認する(ステップS20)。第2読取部8がコードを読み取ると(ステップS20にてYES)、制御部20は、コード決済を今回の取引の非現金決済方法であると特定して、表示部5に表示されたコード決済による最新の代金情報における代金についてコード決済する(ステップS21)。コード決済の場合にも、制御部20は、外部装置40等に対して問い合わせを実行してもよい。IC決済の場合と同様に、制御部20は、コード決済が完了するまでの間において、前述した定型文Xを表示部5に表示する(
図8の表示部5Gを参照)。
【0045】
コード決済を完了した制御部20は、決済が完了した旨と、決済した代金の額つまり決済額とを表示部5に切替表示することによって、表示部5の表示内容を更新する(ステップS18)。そして、制御部20は、コード決済したメニューについての食券30を発行部23によって発行して(ステップS19)、今回の取引を完了する。なお、食券30の決済方法30E(
図6参照)には、今回の決済がコード決済である旨が表示される。コードの読み取りがない場合において(ステップS20にてNO)、所定時間が経過したり顧客が取消ボタン6を押したりすることによって今回の取引がキャンセルになると(ステップS22にてYES)、制御部20は、券売機1を待機状態にする。
【0046】
IC決済による代金情報と、コード決済による代金情報とは、前述したように一括表示する一括表示パターン(
図8の表示部5E及び5Fを参照)でなく、他の表示パターンによって表示部5に表示されてもよい。例えば、表示部5に1行しか情報を表示できない等の制約がある場合には、IC決済による代金情報と、コード決済による代金情報とは、
図9の表示部5I及び5Jに示す切替表示パターンによって表示されてもよいし、
図10の表示部5K~5Nに示す循環表示パターンによって表示されてもよい。これらの一括表示パターン、切替表示パターン及び循環表示パターンは、いずれか1つだけ適用されてもよいし、複数組み合わせて適用されてもよい。切替表示パターンの場合には、IC決済による代金情報だけが表示部5に表示される状態(
図5I参照)と、コード決済による代金情報だけが表示部5に表示される状態(
図5J参照)とが、1~2秒といった所定時間毎に切り替わる。
【0047】
循環表示パターンの場合には、例えば、IC決済による代金情報だけが表示部5に表示された状態(
図5K参照)から、IC決済による代金情報が徐々に表示部5から左側へ消えていく一方で、コード決済による代金情報が徐々に右側から表示部5に表示されていき(
図5L参照)、コード決済による代金情報だけが表示部5に表示される(
図5M参照)。その後、コード決済による代金情報が徐々に表示部5から左側へ消えていく一方で、IC決済による代金情報が徐々に右側から表示部5に表示されていき(
図5N参照)、IC決済による代金情報だけが表示部5に表示される(
図5K参照)。つまり、循環表示パターンでは、IC決済による代金情報と、コード決済による代金情報とが、横にスライドしながら徐々に消滅したり出現したりするように連続的に表示される。
【0048】
以上のように、IC決済やコード決済という非現金決済の場合には、制御部20は、顧客によるメニュー選択ボタン2の操作によって受け付けた選択に係るメニューの代金情報を、これらの非現金決済方法の間において比較可能に表示部5に表示する(
図8、
図9及び
図10参照)。つまり、硬貨投入口3及び紙幣投入口4に投入された現金の情報が表示される程度に小さい表示部5であっても、ある決済方法での代金情報と、別の決済方法での代金情報とが比較可能に表示される。そのため、複数の決済方法に応じた複数の代金情報を表示部5にて顧客に報知できる。これにより、メニュー選択を終えた顧客は、表示部5に表示された複数の代金情報を見比べることによって、自分に都合のよい決済方法を事後的に選択できる。
【0049】
特に、制御部20は、複数の非現金決済方法のそれぞれにおける代金情報を、一括表示パターン(
図8の表示部5E及び5Fを参照)、切替表示パターン(
図9参照)及び循環表示パターン(
図10参照)の少なくともいずれかによって表示部5に表示する。そのため、複数の非現金決済方法に応じた複数の代金情報を表示部5にて顧客に報知できる。このように代金情報が複数の非現金決済方法の間において比較可能に表示されていた表示部5では、顧客によって非現金決済方法が特定されたことに応じて、特定された一つの非現金決済方法による代金情報だけが表示される(
図8の表示部5Hを参照)。そのため、顧客が特定した非現金決済方法に応じた代金情報を表示部5にて顧客に報知できる。
【0050】
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0051】
例えば、表示部5には、複数の非現金決済方法のそれぞれの代金情報が比較可能に表示されるが、非現金決済方法だけでなく現金決済も含む全ての決済方法のそれぞれの代金情報が比較可能に表示されてもよい。また、複数の非現金決済方法は、3つ以上存在してもよい。また、各非現金決済方法であっても、例えばIC決済における交通系や流通系のように、複数の種類が存在してもよい。
【0052】
また、前述した実施形態では、券売機1の制御部20は、第1読取部7や第2読取部8といった読取部による情報の読取に応じて非現金決済方法を特定するが(ステップS16及びS20)。これに代え、メニューを選択する顧客によって操作される操作部の一例である決済方法選択ボタン9(
図1参照)の操作に応じて、制御部20が決済方法、特に非現金決済方法を特定してもよい。
【0053】
決済方法選択ボタン9は、例えば、現金決済を選択するために顧客によって操作される現金決済ボタン9Aと、IC決済を選択するために顧客によって操作されるIC決済ボタン9Bと、コード決済を選択するために顧客によって操作されるコード決済ボタン9Cとを含む(
図1参照)。顧客は、例えば、メニュー選択ボタン2を押す前後の任意のタイミングにおいて、いずれかの決済方法選択ボタン9を押すことによって決済方法を選択し、制御部20は、この選択を受け付けることによって決済方法を特定する。なお、前述したように決済方法が現金決済であることが現金投入に応じて特定される構成であれば、顧客の手間を省くために、現金決済ボタン9Aが省略されてもよい。一方、当初は非現金決済による決済を考えていた顧客が、現金決済ボタン9Aを押すことによって、後から現金決済に変更できてもよい。
【0054】
また、券売機1の表示部5を制御する構成は、券売機1の制御部20でなく、通信部22を介して券売機1と通信可能な外部装置101(
図2参照)に設けられてもよい。外部装置101は、販売システム100に含まれる。外部装置101は、券売機1での食券30の販売実績やメニューの在庫を管理するパソコン等の管理装置であってもよいし、例えば厨房に設置されて食券30に係る注文情報を表示するキッチンディスプレーであってもよい。
【0055】
また、前述したように現金決済の場合には、現金を投入した顧客がメニュー選択ボタン2を押す度に、食券30が1枚ずつ発券口10に発行されるので、顧客は、発券口10を確認すれば、食券30が何枚発行されたのか、つまり何品分のメニューを購入したのかを把握できる。一方、非現金決済の場合には、決済が完了するまで食券30が発行されないので、メニュー選択ボタン2を既に押した顧客は、自分が何枚の食券30を購入したのか分からなくなるおそれがある。
【0056】
そこで、顧客がメニュー選択ボタン2を押すことによってメニューを選択すると、前述した定型文Wを表示部5(
図11の表示部5Oを参照)に表示していた制御部20は、このメニューの代金と、食券30が1枚選択された旨とを表示部5に切替表示する(
図11の表示部5Pを参照)。なお、
図11では、IC決済が選択されたことを前提としているので、IC決済による代金と、ICカードをかざすことを促す旨とが表示部5に表示されるが、前述したようにIC決済及びコード決済のそれぞれによる代金情報が比較可能に表示部5に表示されてもよい。また、食券30の枚数の代りに、メニューの品数が表示部5に表示されてもよい。
【0057】
そして、顧客がメニュー選択ボタン2をさらに押すことによって、例えば同じメニューを2つまとめて追加選択すると、制御部20は、このメニューについての設定価格を取得して代金に加算し、加算後の代金と、食券30が合計3枚選択された旨とが表示されるように表示部5の表示内容を更新する(
図11の表示部5Qを参照)。その後、第1読取部7による顧客のICカードの読み取りがあれば、制御部20は、表示部5に表示されたIC決済による最新の代金情報(
図11の表示部5Qを参照)に基づいてIC決済したうえで、決済が完了した旨と、決済額とを表示部5に切替表示する(
図11の表示部5Rを参照)。
【0058】
以上に説明した様々な特徴は、取捨選択のうえ、必要に応じて適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 券売機
2 メニュー選択ボタン
3 硬貨投入口
4 紙幣投入口
5 表示部
7 第1読取部
8 第2読取部
9 決済方法選択ボタン
20 制御部
21 現金処理部
100 販売システム
101 外部装置