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  • 特開-車両用インナーミラーの取付構造 図1
  • 特開-車両用インナーミラーの取付構造 図2
  • 特開-車両用インナーミラーの取付構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135411
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】車両用インナーミラーの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/04 20060101AFI20220908BHJP
   F16C 11/06 20060101ALI20220908BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B60R1/04 Z
F16C11/06 P
F16C11/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035199
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】千葉 明
【テーマコード(参考)】
3J105
【Fターム(参考)】
3J105AB06
3J105AB15
3J105AB17
3J105AB22
3J105AC08
3J105CB42
3J105CF01
3J105DA50
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でインナーミラーの保持トルクを容易にコントロールできる車両用インナーミラーの取付構造を提供する。
【解決手段】取付構造10は、インナーミラー2のミラーステー22の他端部22bに設けられたボール部材23と、車両1の室内側に設けられ、ボール部材23を保持するケース部材3と、ボール部材23とケース部材3との間に保持トルクを発生させる電歪素子5と、を備えている。ケース部材3は、可撓性を有している。電歪素子5は、印加される電圧の大きさの変化に応じて体積が可変であり、ケース部材3をボール部材23に押圧することで保持トルクを発生させている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に配置されるインナーミラーを前記車両に取り付ける車両用インナーミラーの取付構造であって、
前記インナーミラーのミラーステーの端部に設けられたボール部材と、
前記車両の前記室内側に設けられ、前記ボール部材を保持するケース部材と、
前記ボール部材と前記ケース部材との間に保持トルクを発生させるトルク発生部材と、を備え、
前記ボール部材及び前記ケース部材の少なくとも一方は、可撓性を有しており、
前記トルク発生部材は、印加される電圧の大きさの変化に応じて体積が可変であり、前記ボール部材及び前記ケース部材の一方を他方に押圧することで前記保持トルクを発生させる電歪素子によって構成されている、車両用インナーミラーの取付構造。
【請求項2】
前記電歪素子に印加される電圧の大きさを制御する制御部を更に備える、請求項1に記載の車両用インナーミラーの取付構造。
【請求項3】
前記電歪素子による押圧力を検知し、前記押圧力に対応する信号を生成する感圧素子を更に備え、
前記制御部は、前記信号に基づいて前記電歪素子に印加される前記電圧の大きさを制御する、請求項2に記載の車両用インナーミラーの取付構造。
【請求項4】
前記ケース部材は、可撓性を有しており、
前記電歪素子は、前記ケース部材を前記ボール部材側に押圧する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用インナーミラーの取付構造。
【請求項5】
前記ボール部材は、可撓性を有しており、
前記電歪素子は、前記ボール部材を前記ケース部材側に押圧する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用インナーミラーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用インナーミラーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用インナーミラーの取付構造として、例えば特許文献1に記載のピボット構造がある。この従来のピボット構造は、ピボット玉部と、ピボット玉部を収容するピボットケースと、カム板及びカム板に設けられたレバーを有するカム機構と、を備えている。ピボット構造では、レバーの操作によりカム板を回動させ、ピボット玉部へのピボットケースの押圧力を増減させている。このピボット構造では、例えば、インナーミラーのミラー角度を調整時にはインナーミラーの保持トルクを小さくし、調整時以外にはインナーミラー保持トルクを大きくしてミラー角度が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-356129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のピボット構造のように、カム機構によって機械的に保持トルクを増減させる構成では、保持トルクを所望の値にコントロールすることが難しいという問題がある。保持トルクを発生させる手段の代替案としては、空気圧或いは油圧を利用した手段も考えられる。しかしながら、空気圧や油圧を利用する場合には、コンプレッサ等の追加要素の配置やシール性を確保するための構成が必要となり、構造が煩雑化してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、簡単な構成でインナーミラーの保持トルクを容易にコントロールできる車両用インナーミラーの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る車両用インナーミラーの取付構造は、車両の室内に配置されるインナーミラーを車両に取り付ける車両用インナーミラーの取付構造であって、インナーミラーのミラーステーの端部に設けられたボール部材と、車両の室内側に設けられ、ボール部材を保持するケース部材と、ボール部材とケース部材との間に保持トルクを発生させるトルク発生部材と、を備え、ボール部材及びケース部材の少なくとも一方は、可撓性を有しており、トルク発生部材は、印加される電圧の大きさの変化に応じて体積が可変であり、ボール部材及びケース部材の一方を他方に押圧することで保持トルクを発生させる電歪素子によって構成されている。
【0007】
この車両用インナーミラーの取付構造では、ボール部材及びケース部材の少なくとも一方に可撓性を持たせると共に、印加される電圧の大きさの変化に応じて体積が可変な電歪素子によってボール部材及びケース部材の一方を他方に押圧することで、ボール部材とケース部材との間の保持トルクを発生させている。この車両用インナーミラーの取付構造では、電気的な手段をトルク発生部材として用いているため、カム機構、或いは空気圧・油圧といった機械的な手段を用いる場合に比べて複雑な構成の追加が不要となる。また、電歪素子に印加する電圧を変化させることで、ボール部材及びケース部材の一方に付与する押圧力を自在に調整できる。したがって、簡単な構成でインナーミラーの保持トルクを容易にコントロールできる。
【0008】
車両用インナーミラーの取付構造は、電歪素子に印加される電圧の大きさを制御する制御部を更に備えてもよい。この場合、電歪素子に印加される電圧の大きさを制御部によって精度良くコントロールできる。
【0009】
車両用インナーミラーの取付構造は、電歪素子による押圧力を検知し、押圧力に対応する信号を生成する感圧素子を更に備え、制御部は、信号に基づいてトルク発生部材に印加される電圧の大きさを制御してもよい。電歪素子による押圧力の検知結果を制御部にフィードバックすることにより、例えば環境温度の変化や経年劣化等に起因して、印加される電圧に対する電歪素子の体積が変化した場合、或いはボール部材やケース部材が摩耗した場合であっても、保持トルクを一定に維持することが可能となる。
【0010】
ケース部材は、可撓性を有しており、電歪素子は、ケース部材をボール部材側に押圧してもよい。この場合、ケース部材の外側から比較的小さい押圧力でボール部材を押圧できる。
【0011】
ボール部材は、可撓性を有しており、電歪素子は、ボール部材をケース部材側に押圧してもよい。この場合、電歪素子をボール部材の内側に配置できるため、取付構造の小型化が図られる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、簡単な構成でインナーミラーの保持トルクを容易にコントロールできる車両用インナーミラーの取付構造を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係る車両用インナーミラーの取付構造の模式的な断面図である。
図2図1のII-II線に沿っての断面図である。
図3】変形例に係る車両用インナーミラーの取付構造の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る車両用インナーミラーの取付構造(以下、単に「取付構造」という)10の模式的な断面図である。図2は、図1のII-II線に沿っての断面図である。図1及び図2に示すように、車両1の室内には、インナーミラー2が配置されている。車両1は、例えば乗用車等の自動車である。
【0016】
インナーミラー2は、ミラー本体21と、ミラーステー22と、ボール部材(ボールジョイント)23と、を有している。ミラー本体21は、例えば直方体状を呈しており、一方面21a及び他方面21bを有している。ミラー本体21の一方面21aは、ミラー面となっている。ミラーステー22は、例えば円柱状を呈している。ミラー本体21は、ミラーステー22の一端部22aに設けられている。ミラー本体21の他方面21bは、ミラーステー22の一端部22aに固定されている。ボール部材23は、ボール状を呈しており、外面23aを有している。ボール部材23は、ミラーステー22の他端部22bに設けられている。ボール部材23は、ミラーステー22の他端部22bに固定されている。
【0017】
インナーミラー2は、取付構造10によって車両1に取付けられている。取付構造10は、インナーミラー2のボール部材23と、ケース部材3と、カバー部材4と、複数の電歪素子(トルク発生部材)5と、複数の感圧素子6と、制御部7と、を備えている。
【0018】
ケース部材3は、車両1の室内側に設けられている。ケース部材3は、筒部31と、底壁部32と、を有している。筒部31は、円筒状を呈しており、内側面31a及び外側面31bを有している。筒部31の内径は、インナーミラー2のボール部材23の外径と略同じである。筒部31の内側面31a及び底壁部32の内面32aは、ボール部材23を収容する空間を画定している。底壁部32は、車両1に固定されている。これにより、ケース部材3が車両1に固定されている。
【0019】
筒部31は、複数の爪部33を有している。複数の爪部33は、筒部31の軸線を中心とした周方向において並んでいる。各爪部33は、筒部31の内側面31aの一部を構成する内面33a、及び筒部31の外側面31bの一部を構成する外面33bを有している。ケース部材3は、可撓性を有している。具体的には、ケース部材3の各爪部33は、可撓性を有している。各爪部33は、弾性体である。各爪部33は、筒部31の径方向(以下、単に「径方向」ともいう)において変形可能である。各爪部33は、インナーミラー2のボール部材23よりも変形しやすい。各爪部33の材料は、例えば樹脂等である。
【0020】
ケース部材3は、インナーミラー2のボール部材23を保持している。具体的には、ボール部材23は、筒部31の内側面31a及び底壁部32の内面32aによって画定された空間内に配置されている。ボール部材23は、筒部31の軸線を中心とした周方向において、複数の爪部33によって囲まれている。ボール部材23の外面23aは、各爪部33の内面33aと接触している。ボール部材23は、複数の爪部33によって挟まれている。
【0021】
カバー部材4は、ケース部材3を包囲している。カバー部材4は、筒部41と、フランジ部42と、蓋部43と、を有している。筒部41は、円筒状を呈しており、内側面41aを有している。筒部41の内径は、ケース部材3の筒部31の外径よりも大きい。筒部41の内側面41aと筒部31の外側面31bとの間には、隙間が形成されている。
【0022】
フランジ部42は、筒部41の一端部に設けられている。フランジ部42は、筒部41の軸線方向から見て、例えば円環状を呈している。フランジ部42は、筒部41の一端部から筒部41の外側に向かって突出している。フランジ部42は、車両1に固定されている。これにより、カバー部材4が車両1に固定されている。蓋部43は、筒部41の他端部に設けられている。蓋部43は、筒部41の軸線方向から見て、例えば円環状を呈している。蓋部43は、筒部41の他端部から筒部41の内側に向かって突出している。蓋部43は、ケース部材3の筒部31に対応する位置まで至っている。蓋部43は、筒部41の内側面41aと筒部31の外側面31bとの間の隙間を塞いでいる。
【0023】
各電歪素子5は、ケース部材3の外側に配置されている。各電歪素子5は、各爪部33とカバー部材4の筒部41との間に配置されている。各電歪素子5は、各爪部33の外面33b及び筒部41の内側面41aと接触している。各電歪素子5は、各爪部33と筒部41とによって挟まれている。
【0024】
各電歪素子5は、ケース部材3をボール部材23側に押圧することで、ボール部材23とケース部材3との間に保持トルクを発生させる。電歪素子5は、例えば樹脂外装型アクチュエータ又は誘電エラストマー等である。電歪素子5は、印加される電圧の大きさの変化に応じて体積が可変である。電歪素子5の体積は、印加される電圧の大きさが連続的に変化した場合には、連続的に変化する。電歪素子5の体積は、最小値と最大値との間の任意の値に維持できる。電歪素子5は、印加される電圧の大きさに応じて体積が増加する。電歪素子5は、少なくとも径方向において膨張可能である。
【0025】
電歪素子5は、電圧が印加されていない状態では、爪部33と筒部41との間から脱落しない程度の力で、爪部33と筒部41とによって挟まれている。電歪素子5は、所定の大きさの電圧が印加されると、少なくとも径方向において膨張し、爪部33及び筒部41を押圧する。
【0026】
電歪素子5によって押圧された爪部33は、ボール部材23側へ変形し、ボール部材23を押圧する。これにより、ボール部材23とケース部材3との間に、インナーミラー2を保持する保持トルクが発生する。インナーミラー2の角度は、当該保持トルクによって維持されている。
【0027】
各感圧素子6は、各電歪素子5と各爪部33との間に配置されている。感圧素子6は、電歪素子5による押圧力を検知し、当該押圧力に対応する信号を生成する。感圧素子6は、生成された信号を制御部7へ送信する。すなわち、感圧素子6は、電歪素子5による押圧力の検知結果を制御部7にフィードバックする。制御部7は、電歪素子5及び感圧素子6と電気的に接続されている。
【0028】
制御部7は、電歪素子5に印加される電圧の大きさを制御する。制御部7は、インナーミラー2の角度を調整するための調整信号が入力された場合(調整モード)には、電歪素子5に印加される電圧を小さくし、インナーミラー2の角度を固定するための固定信号が入力された場合(ロックモード)には、電歪素子5に印加される電圧を大きくする。これにより、インナーミラー2の角度を調整する場合には、インナーミラー2の保持トルクを小さくし、インナーミラー2の角度を調整した後、インナーミラー2の角度を固定する場合には、インナーミラー2の保持トルクを大きくすることができる。調整信号及び固定信号は、例えばミラー本体21に設けられたスイッチ等によって制御部7に入力されてもよい。これにより、当該スイッチの操作によって調整モード及びロックモードの切替が可能となり、利便性の向上が見込まれる。
【0029】
制御部7は、感圧素子6から受信した信号に基づいて電歪素子5に印加される電圧の大きさを制御する。例えば、インナーミラー2の角度が固定された場合であって、感圧素子6によって検知された押圧力が所定の閾値よりも小さい場合には、制御部7は、電歪素子5に印加される電圧を大きくし、電歪素子5による押圧力を大きくする。これにより、インナーミラー2の角度が固定されている場合に、インナーミラー2の保持トルクを所定値に維持することができる。制御部7は、車両1に搭載されているECU(Electronic Control Unit)又はインナーミラー2のミラー本体21に内蔵されているECU等である。
【0030】
以上説明したように、取付構造10では、ケース部材3に可撓性を持たせると共に、印加される電圧の大きさの変化に応じて体積が可変な電歪素子5によってケース部材3をボール部材23に押圧することで、ボール部材23とケース部材3との間の保持トルクを発生させている。取付構造10では、電気的な手段をトルク発生部材として用いているため、カム機構、或いは空気圧・油圧といった機械的な手段を用いる場合に比べて複雑な構成の追加が不要となる。また、電歪素子5に印加する電圧を変化させることで、ケース部材3に付与する押圧力を自在に調整できる。したがって、簡単な構成でインナーミラー2の保持トルクを容易にコントロールできる。
【0031】
取付構造10は、電歪素子5に印加される電圧の大きさを制御する制御部7を備えている。これにより、電歪素子5に印加される電圧の大きさを制御部7によって精度良くコントロールできる。
【0032】
取付構造10は、電歪素子5による押圧力を検知し、押圧力に対応する信号を生成する感圧素子6を備えている。制御部7は、感圧素子6からの信号に基づいて電歪素子5に印加される電圧の大きさを制御している。電歪素子5による押圧力の検知結果を制御部7にフィードバックすることにより、例えば環境温度の変化や経年劣化等に起因して、印加される電圧に対する電歪素子5の体積が変化した場合、或いはボール部材23やケース部材3が摩耗した場合であっても、保持トルクを一定に維持することが可能となる。
【0033】
ケース部材3は、可撓性を有している。電歪素子5は、ケース部材3をボール部材23側に押圧している。これにより、ケース部材3の各爪部33がボール部材23よりも変形しやすいため、ケース部材3の外側から比較的小さい押圧力でボール部材23を押圧できる。
【0034】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。図3に示すように、取付構造10Aは、ボール部材23に代えてボール部材23Aを備え、ケース部材3に代えてケース部材3Aを備えていてもよい。
【0035】
ボール部材23Aは、ボール状を呈しており、外面23bを有している。ボール部材23Aには、凹部23cが形成されている。凹部23cは、凹部23cの深さ方向から見て、例えば円形状を呈している。凹部23cの内径は、ミラーステー22の外径よりも大きい。ボール部材23Aにおいては、凹部23cによって底壁部231及び側壁部232が形成されている。底壁部231の内面23d及び側壁部232の内側面23eは、ミラーステー22の他端部22bを収容する空間を画定している。
【0036】
ボール部材23Aは、可撓性を有している。具体的には、ボール部材23Aの側壁部232は、可撓性を有している。側壁部232は、弾性体である。側壁部232は、側壁部232の径方向(以下、単に「径方向」ともいう)において変形可能である。ボール部材23Aの材料は、例えば樹脂等である。底壁部231の内面23dには、底壁部231を貫通する貫通孔23fが形成されている。
【0037】
ミラーステー22の他端部22bは、凹部23c内に配置されている。ミラーステー22の他端部22bには、ねじ穴22cが形成されている。ボール部材23Aは、貫通孔23fに挿入されたボルト24がねじ穴22cに螺合されることで、ミラーステー22に固定されている。ミラーステー22の外面22dと側壁部232の内側面23eとの間には、隙間が形成されている。
【0038】
各電歪素子5は、ボール部材23Aの内側に配置されている。各電歪素子5は、ミラーステー22と側壁部232との間に配置されている。各電歪素子5は、ミラーステー22の外面22d及び側壁部232の内側面23eと接触している。各電歪素子5は、ミラーステー22と側壁部232とによって挟まれている。
【0039】
ケース部材3Aは、ボール部材23Aの外面23bに沿った形状を呈する内面3aを有している。ボール部材23Aは、内面3aによって画定された空間内に配置されている。ボール部材23Aの外面23bは、内面3aと接触している。ボール部材23Aの側壁部232は、ケース部材3Aよりも変形しやすい。
【0040】
各電歪素子5は、ボール部材23Aをケース部材3A側に押圧することで、ボール部材23Aとケース部材3Aとの間に保持トルクを発生させる。電歪素子5は、電圧が印加されていない状態では、ミラーステー22と側壁部232との間から脱落しない程度の力で、ミラーステー22と側壁部232とによって挟まれている。電歪素子5は、所定の大きさの電圧が印加されると、少なくとも径方向において膨張し、ミラーステー22及び側壁部232を押圧する。
【0041】
電歪素子5によって押圧された側壁部232は、ケース部材3A側へ変形し、ケース部材3Aを押圧する。これにより、ボール部材23Aとケース部材3Aとの間に、インナーミラー2を保持する保持トルクが発生する。インナーミラー2の角度は、当該保持トルクによって維持されている。各感圧素子6は、各電歪素子5とミラーステー22との間に配置されている。
【0042】
取付構造10Aによれば、電歪素子5をボール部材23Aの内側に配置できるため、取付構造10Aの小型化が図られる。また、例えば、ミラーステー22の内部にミラー本体21(図1参照)と電気的に接続されたハーネスが内蔵されている場合に、当該ハーネスに近い位置で当該ハーネスと電歪素子5とを電気的に接続できる。これにより、電歪素子5の配線の簡易化を実現できる。
【0043】
取付構造10において、感圧素子6が電歪素子5とケース部材3との間に配置されていたが、感圧素子6は、電歪素子5とカバー部材4の筒部41との間に配置されていてもよい。取付構造10Aにおいて、感圧素子6が電歪素子5とミラーステー22との間に配置されていたが、感圧素子6は、電歪素子5とボール部材23Aの側壁部232との間に配置されていてもよい。また、取付構造10,10Aにおいて、電歪素子5が感圧素子6を有していてもよい。換言すると、電歪素子5が感圧の機能を有していてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…車両、2…インナーミラー、3,3A…ケース部材、5…電歪素子(トルク発生部材)、6…感圧素子、7…制御部、10,10A…取付構造、22…ミラーステー、22b…他端部、23,23A…ボール部材。
図1
図2
図3