(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135412
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法
(51)【国際特許分類】
E01C 7/14 20060101AFI20220908BHJP
E01C 23/00 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
E01C7/14
E01C23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035200
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 有寿
(72)【発明者】
【氏名】柳井 修司
【テーマコード(参考)】
2D051
2D053
【Fターム(参考)】
2D051AF03
2D051AH01
2D051AH05
2D053AA13
2D053AA15
2D053AB02
2D053AB05
2D053AD01
(57)【要約】
【課題】充填材の搬送を効率よく行うと共に、充填材の流動性を現場で調整することができる舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る舗装システム1は、道路工事現場である現場Aに充填材を搬送する搬送装置2と、現場Aにおいて、搬送装置2によって搬送された充填材を受け入れて充填材を混練及び撹拌しながら間配りする混練間配り装置10と、混練間配り装置10によって間配りされた充填材を敷き均すと共に充填材を締め固める締め固め装置3と、を備え、搬送装置2、混練間配り装置10、及び締め固め装置3は、この順で並ぶように配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路工事現場である現場に充填材を搬送する搬送装置と、
前記現場において、前記搬送装置によって搬送された充填材を受け入れて前記充填材を混練及び撹拌しながら間配りする混練間配り装置と、
前記混練間配り装置によって間配りされた充填材を敷き均すと共に前記充填材を締め固める締め固め装置と、
を備え、
前記搬送装置、前記混練間配り装置、及び前記締め固め装置は、この順で並ぶように配置される、
舗装システム。
【請求項2】
前記混練間配り装置は、前記充填材を受け入れる受け入れ部を有し、
前記受け入れ部は、前記現場の道路の幅員方向に移動可能とされている、
請求項1に記載の舗装システム。
【請求項3】
前記混練間配り装置に隣接して配置されると共に前記混練間配り装置に電力を供給する発電機を備え、
前記発電機は、前記混練間配り装置に対して旋回可能とされている、
請求項1又は2に記載の舗装システム。
【請求項4】
前記現場の道路に設けられており前記道路に沿って前記締め固め装置を移動させるレールを備え、
前記混練間配り装置は、前記レールに沿って移動する移動部を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の舗装システム。
【請求項5】
前記充填材は、繊維補強コンクリートによって構成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の舗装システム。
【請求項6】
道路工事現場である現場に充填材を搬送する搬送装置から前記充填材を受け入れる混練間配り装置であって、
前記充填材を受け入れる受け入れ部と、
前記受け入れ部の内部に設けられており、前記受け入れ部の内部の充填材を混練及び撹拌する混練撹拌部と、
を備え、
前記受け入れ部は、前記現場の道路の幅員方向に移動可能とされている、
混練間配り装置。
【請求項7】
搬送装置が道路工事現場である現場に充填材を搬送する工程と、
前記現場に搬送された充填材を混練及び撹拌しながら間配りする工程と、
前記間配りされた充填材を敷き均すと共に締め固める工程と、
を備え、
前記間配りする工程では、混練間配り装置が充填材を混練及び撹拌することによって前記充填材の流動性を調整する、
舗装方法。
【請求項8】
前記混練間配り装置は、搬送された充填材を受け入れる受け入れ部を有し、
前記間配りする工程では、前記受け入れ部が受け入れた充填材を混練及び撹拌しながら前記充填材を移動させる、
請求項7に記載の舗装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路工事が行われる現場において用いられる舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から道路工事の現場に用いられる舗装システム及び舗装方法としては種々のものが知られている。特開平8-184024号公報には、路面の改修施工装置及び改修施工方法が記載されている。この改修施工装置及び改修施工方法は、水路トンネルの既存底面の改修工事に用いられている。既存底面には、切削機、ズリ積み込み機、ズリ運搬車、及び小型切削機が配置される。
【0003】
切削機は、既存底面を切削する。ズリ積み込み機は、切削の結果生じた切削ズリをズリ運搬車に積み込む。ズリ運搬車には切削ズリが満載され、切削ズリが満載されたズリ運搬車は坑口を通って搬出入路を適宜往復走行しながら切削ズリを投棄する。小型切削機は、切削機よりも先行して自走しつつ既存底面の側面側の部分を帯状に切削する。
【0004】
また、既存底面には、生コンクリート運搬車、ポンプユニット、敷き均し機、及び仕上げ機が配置される。生コンクリート運搬車は、生コンクリートを運搬し、生コンクリートをポンプユニットのホッパに投入する。ポンプユニットは、ホッパに投入された生コンクリートを走行路に沿って延びるホースを介して敷き均し機に圧送する。敷き均し機は、圧送された生コンクリートを現場の打設面の全体に敷き均す。仕上げ機は、敷き均されたコンクリートの表面を回転コテによって平滑に仕上げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した改修施工方法では、多くの装置が現場に配置されるので、複数の車線に装置を配置しなければならない場合がある。しかしながら、例えば交通量が多い道路を改修する場合には、複数の車線を占有することが望ましくない場合もある。また、生コンクリート等の充填材は、打設される前には流動性を有する。充填材の流動性が高い場合、充填材の搬送、及び鉄筋等への充填を容易に行うことはできる。
【0007】
しかしながら、道路には勾配が存在することが多いため、特に充填材の流動性が高い場合には充填材のダレが生じやすくなる。また、予め流動性が低い充填材を現場に搬送する場合、充填材の搬送を効率よく行えないという問題が生じうる。従って、現場においては、勾配の状況等に応じて充填材の流動性を調整できることが求められる。
【0008】
本開示は、充填材の搬送を効率よく行うと共に、充填材の流動性を現場で調整することができる舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る舗装システムは、道路工事現場である現場に充填材を搬送する搬送装置と、現場において、搬送装置によって搬送された充填材を受け入れて充填材を混練及び撹拌しながら間配りする混練間配り装置と、混練間配り装置によって間配りされた充填材を敷き均すと共に充填材を締め固める締め固め装置と、を備え、搬送装置、混練間配り装置、及び締め固め装置は、この順で並ぶように配置される。
【0010】
この舗装システムでは、搬送装置が道路工事現場である現場に充填材を搬送し、混練間配り装置は、搬送装置によって搬送された充填材を受け入れて現場に対する充填材の間配りを行う。締め固め装置は、混練間配り装置によって間配りされた充填材を敷き均し、充填材を締め固める。混練間配り装置は、現場において充填材を混練及び撹拌しながら間配りを行う。混練間配り装置が充填材の混練及び撹拌を行うことによって充填材の流動性を調整することが可能となるので、現場で充填材の流動性を低くして充填材のダレを抑制することができる。搬送装置は流動性が高い充填材を搬送できるので、現場への充填材の搬送を効率よく行うことができる。搬送装置、混練間配り装置、及び締め固め装置は、この順で並ぶように配置される。従って、搬送装置、混練間配り装置、及び締め固め装置を一直線上に並ぶように配置できるので、一車線上に搬送装置、混練間配り装置、及び締め固め装置を並べて施工を行うことができる。
【0011】
混練間配り装置は、充填材を受け入れる受け入れ部を有し、受け入れ部は、現場の道路の幅員方向に移動可能とされていてもよい。この場合、搬送装置から充填材を受け入れた受け入れ部が道路の幅員方向に移動可能とされている。従って、受け入れ部が道路の幅員方向に沿って充填材を間配りすることが可能であるため、充填材を均一に間配りすることができる。
【0012】
混練間配り装置に隣接して配置されると共に混練間配り装置に電力を供給する発電機を備えてもよく、発電機は、混練間配り装置に対して旋回可能とされていてもよい。この場合、混練間配り装置に電力を供給する発電機が混練間配り装置に隣接して配置される。発電機は、混練間配り装置の隣接位置において混練間配り装置に対して旋回可能とされている。従って、一車線で現場が狭い場合であっても、混練間配り装置に対して発電機の位置を自在に変えることができ、搬送装置から混練間配り装置への充填材の搬送を効率よく行うことができる。
【0013】
現場の道路に設けられており道路に沿って締め固め装置を移動させるレールを備え、混練間配り装置は、レールに沿って移動する移動部を有してもよい。この場合、道路が延びる方向に延在するレールに沿って混練間配り装置の移動部が移動する。よって、混練間配り装置を締め固め装置と共にレールに沿って道路が延在する方向に移動させることができる。更に、締め固め装置を道路に沿って移動させるためのレールを混練間配り装置の移動のために有効利用することができる。
【0014】
充填材は、繊維補強コンクリートによって構成されていてもよい。この場合、流動性が高い繊維補強コンクリートが搬送されたときに混練間配り装置が混練及び撹拌を行うので、繊維補強コンクリートの流動性が調整される。従って、流動性が高い繊維補強コンクリートを混練及び撹拌して流動性を低くすることができるので、繊維補強コンクリ-トのダレを抑制することができる。
【0015】
本開示に係る混練間配り装置は、道路工事現場である現場に充填材を搬送する搬送装置から充填材を受け入れる混練間配り装置であって、充填材を受け入れる受け入れ部と、受け入れ部の内部に設けられており、受け入れ部の内部の充填材を混練及び撹拌する混練撹拌部と、を備え、受け入れ部は、現場の道路の幅員方向に移動可能とされている。
【0016】
この混練間配り装置では、道路工事現場である現場に充填材を搬送する搬送装置から受け入れ部が充填材を受け入れる。混練間配り装置は、受け入れ部の内部に、充填材を混練及び撹拌する混練撹拌部を有する。従って、混練撹拌部が現場で充填材を混練及び撹拌することによって充填材の流動性を調整することができるので、現場で充填材の流動性を低くして充填材のダレを抑制することができる。また、受け入れ部は、道路の幅員方向に移動可能とされている。従って、受け入れ部が道路の幅員方向に沿って充填材を間配りすることにより、充填材を均一に間配りすることができる。
【0017】
本開示に係る舗装方法は、搬送装置が道路工事現場である現場に充填材を搬送する工程と、現場に搬送された充填材を混練及び撹拌しながら間配りする工程と、間配りされた充填材を敷き均すと共に締め固める工程と、を備え、間配りする工程では、混練間配り装置が充填材を混練及び撹拌することによって充填材の流動性を調整する。
【0018】
この舗装方法では、搬送装置によって道路工事現場である現場に充填材が搬送され、混練間配り装置によって搬送された充填材が受け入れられて現場に対する充填材の間配りが行われる。そして、混練間配り装置によって間配りされた充填材を締め固め装置が敷き均し、締め固め装置が充填材を締め固める。現場では、混練間配り装置により、充填材が混練及び撹拌されながら間配りされる。従って、混練間配り装置が充填材の混練及び撹拌を行うことによって充填材の流動性を調整することが可能となる。よって、現場で充填材の流動性を低くして充填材のダレを抑制することができる。また、搬送装置が流動性が高い充填材を現場に搬送しても、現場で充填材の流動性を調整するので、現場への充填材の搬送を効率よく行うことができると共にダレを抑制することができる。
【0019】
混練間配り装置は、搬送された充填材を受け入れる受け入れ部を有し、間配りする工程では、受け入れ部が受け入れた充填材を混練及び撹拌しながら充填材を移動させてもよい。この場合、現場において充填材は混練及び撹拌されながら移動するので、充填材の流動性を調整しながら充填材を効率よく所望の位置に間配りすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、充填材の搬送を効率よく行うと共に、充填材の流動性を現場で調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)は、実施形態に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法が適用される現場を含む橋梁を模式的に示す断面図である。(b)は、
図1(a)の一部を拡大した断面図である。
【
図2】(a)は、
図1とは異なる橋梁を模式的に示す断面図である。(b)は、
図2(a)の一部を拡大した断面図である。
【
図3】(a)は、更新前のコンクリート構造の例を示す断面図である。(b)は、更新後のコンクリート構造の例を示す断面図である。
【
図4】実施形態に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法が適用される現場を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図4の現場において混練間配り装置が移動した状態を模式的に示す平面図である。
【
図6】混練間配り装置を模式的に示す平面図である。
【
図7】混練間配り装置を道路の幅員方向に沿って見た側面図である。
【
図8】搬送装置、混練間配り装置及び発電機を示す平面図である。
【
図9】
図8の発電機の旋回機構の例を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図9の発電機が旋回する態様を模式的に示す平面図である。
【
図11】変形例に係る混練間配り装置が配置された現場を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法の実施形態について説明する。なお、本開示に係る舗装システム、混練間配り装置、及び舗装方法は、後述する実施形態に限定されない。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0023】
図1(a)は、本実施形態に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法が適用可能な一例としての道路橋B1を示す断面図である。
図1(b)は、
図1(a)の道路橋B1の一部を拡大した断面図である。
図1(a)及び
図1(b)に示されるように、現場Aは、例えば、鋼床版橋である道路橋B1に設けられる。
【0024】
例えば、道路橋B1は、橋軸方向(
図1の紙面に直交する方向)に延びる主桁B11と、道路の幅員方向D2に延びる横桁B12と、UリブB13を有する鋼床版B14とを備える。現場Aでは、鋼床版B14の上に位置するアスファルトB15の下部が充填材Cに打ち替えられる施工が行われる。すなわち、施工の前には鋼床版B14の上にアスファルトB15のみが設けられているが、施工によってアスファルトB15の下部に充填材Cが打ち込まれる。
【0025】
本実施形態に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法は、上記の道路橋B1以外の現場Aにも適用可能である。
図2(a)は、
図1(a)及び
図1(b)とは異なる道路橋B2を示す断面図である。
図2(b)は、
図2(a)の道路橋B2の一部を拡大した断面図である。
【0026】
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、現場Aは、中空床版橋である道路橋B2に設けられてもよい。例えば、道路橋B2は、床版部B21と、床版部B21の上部に位置するアスファルトB25とを備える。床版部B21は、道路の幅員方向D2に沿って並ぶ複数の中空部B22を有する。
【0027】
床版部B21には、道路橋B2の橋軸方向に延びる複数の鉄筋B23と、道路橋B2の幅員方向D2に延びる複数の鉄筋B24とが埋設されている。例えば、床版部B21には、鉛直方向に沿って並ぶ2本の鉄筋B24が設けられている。上側の鉄筋B24の下部に複数の鉄筋B23が設けられ、下側の鉄筋B24の上部に複数の鉄筋B23が設けられている。
【0028】
道路橋B2の現場Aでは、下側の鉄筋B24、及び下側の鉄筋B24の上部に位置する鉄筋B23よりも上方に位置する床版部B21の部分が充填材Cに打ち替えられる施工が行われる。すなわち、施工の前には既設のコンクリートB26とアスファルトB25のみが設けられているが、施工によって既設のコンクリートB26とアスファルトB25の間に充填材Cが打ち込まれる。
【0029】
図3(a)及び
図3(b)は、前述した道路橋B2における充填材Cの打ち替えを簡略化して示す断面図である。
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、現場Aでは、既設のコンクリートB26における鉄筋B23及び鉄筋B24が埋設されていた部分が充填材Cに打ち替えられる。
【0030】
充填材Cは、例えば、繊維補強コンクリートによって構成されている。充填材Cは超高強度繊維補強充填材であってもよい。超高強度繊維補強充填材は、超高強度繊維補強コンクリート(UFC:Ultra high strength Fiber reinforce Concrete)であってもよいし、超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC:Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites)であってもよい。これらの材料としては、例えば、サクセム(登録商標)、ダクタル(登録商標)又はスリムクリート(登録商標)を用いることができる。
【0031】
充填材Cは、土木学会「超高強度繊維補強コンクリートの設計・施工方針(案)」の規定に適合する超高強度繊維補強コンクリートであってもよく、前述したサクセム、ダクタル及びスリムクリートはいずれも前述の規定に適合する。この規定では、超高強度繊維補強コンクリートの圧縮強度が150N/mm2であり、ひび割れ発生強度が4N/mm2以上であり、引張強度(直接引張試験)が5N/mm2以上とされている。
【0032】
図4は、本実施形態に係る混練間配り装置10を備えた舗装システム1が適用された現場Aを示す平面図である。
図3(a)、
図3(b)及び
図4に示されるように、例えば、混練間配り装置10は、既設のアスファルトB25及び既設のコンクリートB26の上部が除去されて鉄筋B23,B24が露出した部位に充填材Cの間配りを行う。このように、既設の鉄筋B23,B24が露出した部位に充填材Cの間配りを行うことによって、鉄筋の追加を不要とすることが可能である。
【0033】
既設のコンクリートB26の一部が充填材Cに更新されることにより、道路橋B2等の構造物の剛性及び耐久性を高めることが可能である。例えば、充填材CがUHPFRCである場合、床版部B21を厚くせずに道路橋B2の剛性及び耐久性を高めることができる。更に、UHPFRC等の繊維補強コンクリートは、他種のコンクリートと比較して高い流動性を有するため、鉄筋に対する充填を効率よく且つ十分に行うことができる。但し、高い流動性を有する充填材Cでは、勾配を有する道路に打ち込まれるときにダレが生じやすいことが懸念される。一例として、現場Aにおける道路の勾配は、9%以上且つ10%以下である。しかしながら、勾配は現場の種類によって変動する。
【0034】
一方、流動性が低い充填材Cを搬送装置2において搬送する場合、搬送装置2からスムーズに充填材Cが出てこない等の問題が生じうる。従って、流動性が高い充填材Cを搬送装置2によって現場Aに搬送し、現場Aにおいて充填材Cの流動性を低くするように充填材Cの流動性を調整することが求められる。間配りされる充填材Cの高さは、例えば、50mm以上且つ80mm以下であり、一例として60mmである。混練間配り装置10は、例えば、コンクリートである充填材Cを練り混ぜ、充填材Cを運搬し、且つ充填材Cを間配りする自走式ミキサである。
【0035】
図4に示されるように、現場Aは、道路工事現場である。現場Aは、複数の車線Lからなる道路に設けられており、複数の車線Lのうちの一車線に設けられる。すなわち、現場Aは一車線のみに設けられており、現場Aが設けられていない車線Lでは車Vが走行している。
【0036】
舗装システム1は、一車線のみに設けられる現場Aにおいて車線Lに沿って配置される。舗装システム1は、現場Aに充填材Cを搬送する搬送装置2と、搬送装置2から充填材Cを受け入れて充填材Cの混練及び間配りを行う混練間配り装置10と、混練間配り装置10に間配りされた充填材Cの敷き均し及び締め固めを行う締め固め装置3とを備える。締め固め装置3は、例えば、混練間配り装置10に接近する方向(
図4の左方)にのみ移動可能とされている。
【0037】
搬送装置2は、例えば、アジテータ車である。搬送装置2は、例えば、工場において製造された充填材Cを現場Aに搬送する車両である。搬送装置2は、充填材Cを収容すると共に、回転することによって充填材Cを撹拌する筒状のドラム2bを有する。なお、搬送装置2は、アジテータ車に限られず、ミキサー車又はダンプトラックであってもよく、搬送装置の種類は特に限定されない。
【0038】
混練間配り装置10は、現場Aにおいて搬送装置2と締め固め装置3の間に配置される。現場Aには、道路の延在方向(橋軸方向D1)に沿って延びるレールRが敷設されている。混練間配り装置10は、レールRに沿って混練間配り装置10を移動させる移動部11を備える。
【0039】
移動部11は、例えば、レールRを走行する車輪を有する。混練間配り装置10は、幅員方向D2に沿って並ぶ一対の移動部11を備える。レールRは締め固め装置3を走行させるために設けられたレールであって、混練間配り装置10は締め固め装置3のために設けられたレールRを用いている。すなわち、締め固め装置3のために設けられたレールRに沿って混練間配り装置10の移動部11が移動する。従って、締め固め装置3のために設けられたレールRを混練間配り装置10の移動のために有効利用することが可能である。
【0040】
混練間配り装置10は、搬送装置2及び締め固め装置3に対して橋軸方向D1に移動する。混練間配り装置10は、一対の移動部11の間において幅員方向D2に延びる基部12と、基部12に取り付けられた受け入れ部13と、受け入れ部13の内部の充填材Cを混練及び撹拌する混練撹拌部14と、作業者が搭乗する搭乗部15とを備える。
【0041】
受け入れ部13は、搬送装置2から充填材Cを受け入れる。受け入れ部13は、例えば、搬送装置2から充填材Cを受け入れるホッパー型とされていてもよい。受け入れ部13は、移動部11及び基部12に対して幅員方向D2に移動可能とされている。すなわち、受け入れ部13は、橋軸方向D1に交差する幅員方向D2に沿って移動するトラバーサ機能を有する。
【0042】
混練撹拌部14は、受け入れ部13の内部に設けられており、受け入れ部13が受け入れた充填材Cを混練及び撹拌する。搭乗部15は、例えば、受け入れ部13の橋軸方向D1側(搬送装置2側)に設けられており、作業者が搭乗して受け入れ部13の内部を視認可能とされている。なお、混練間配り装置10の各部の構成については後に詳述する。
【0043】
以上、混練間配り装置10は、橋軸方向D1に沿って混練間配り装置10を移動させる移動部11と、幅員方向D2に沿って受け入れ部13が移動するトラバーサ機能とを有することにより、
図5に示されるように、橋軸方向D1及び幅員方向D2の任意の位置に充填材Cを間配りすることが可能である。従って、混練間配り装置10では、現場Aに均一に充填材Cを間配りすることが可能である。
【0044】
締め固め装置3は、例えば、混練間配り装置10によって間配りされた充填材Cに対して敷き均し及び締め固めを行う。現場Aにおいて、締め固め装置3の混練間配り装置10との反対側では、例えば、複数の作業者による手轢き、及び養生シートSによる養生が行われた後に施工が完了する。
【0045】
図5の例では、車線Lの延在方向の一方側(
図5では右側)から他方側(
図5では左側)に向かって、搬送装置2による充填材Cの搬送、混練間配り装置10による充填材Cの混練、撹拌及び間配り、締め固め装置3による充填材Cの敷き均し及び締め固め、並びに養生シートSによる養生が順次行われる。
【0046】
次に、本実施形態に係る混練間配り装置10の詳細について説明する。
図6は、混練間配り装置10を模式的に示す平面図である。
図7は、混練間配り装置10を幅員方向D2に沿って見た側面図である。
図6及び
図7に示されるように、幅員方向D2に沿って並ぶ一対の移動部11のそれぞれは、例えば、レールRに沿って並ぶ2個の車輪11bと、車輪11bの上部に設けられ車輪11bを回転可能に支持する支持部11cとを有する。
【0047】
例えば、混練間配り装置10は一対の支柱16を備え、一対の支柱16の間に受け入れ部13が配置されている。一対の支柱16は、例えば、橋軸方向D1に沿って並ぶように配置される。受け入れ部13は、支柱16に対して鉛直方向D3に移動可能(昇降可能)とされている。
【0048】
受け入れ部13は、例えば、幅員方向D2に沿って並ぶ一対の第1側壁13bと、橋軸方向D1に沿って並ぶ一対の第2側壁13cと、充填材Cが収容される底部13dとを有する。第2側壁13cは、鉛直方向D3へのスライド機構17を介して支柱16に取り付けられている。例えば、第2側壁13cがスライド機構17を介して支柱16に対して昇降することにより、受け入れ部13が鉛直方向D3に沿って移動自在とされている。
【0049】
受け入れ部13は、底部13dから受け入れ部13の下部に充填材Cを排出する排出部13fを有する。排出部13fは、例えば、底部13dに形成された排出口を含んでおり、当該排出口の面積を可変とすることで受け入れ部13から排出する充填材Cの量を調整可能とされている。
【0050】
受け入れ部13の内側には、充填材Cを混練及び撹拌する混練撹拌部14が配置されている。混練撹拌部14の一部は、受け入れ部13から上方に突出している。例えば、混練撹拌部14は、受け入れ部13の内部に設けられたシャフト14bと、シャフト14bを回転させる駆動力を生じさせるモータ14dと、シャフト14bの回転に伴って充填材Cを撹拌する羽根部14cとを有する。
【0051】
シャフト14bは、例えば、幅員方向D2に沿って延在する棒状を呈する。モータ14dは、例えば、シャフト14bの上方に設けられている。羽根部14cは、例えば、シャフト14bから延び出している。例えば、シャフト14bからは複数の羽根部14cが延び出しており、シャフト14bの回転によって複数の羽根部14cが回転することにより、充填材Cが混練及び撹拌される。
【0052】
混練撹拌部14は、例えば、シャフト14b、羽根部14c及びモータ14dを含む撹拌ユニット14Aを有し、受け入れ部13の内部において2つの撹拌ユニット14Aが配置されている。2つの撹拌ユニット14Aは、橋軸方向D1に沿って並ぶように配置される。このように、混練撹拌部14は、シャフト14b、羽根部14c及びモータ14dを含む2つの撹拌ユニット14Aを備えることにより、充填材Cの混練及び撹拌を現場Aの状況等に応じて適切に行うことができる。
【0053】
受け入れ部13には、例えば、搬送装置2から直接充填材Cを受け入れることが可能となっている。例えば、受け入れ部13には、充填材Cと共に増粘剤が注入される。この場合、混練撹拌部14は、増粘剤と共に充填材Cを混練及び撹拌することによって充填材Cの流動性を調整する。例えば、混練撹拌部14では、注入する増粘剤の量、並びに、充填材Cの混練及び撹拌の時間が調整されることにより、充填材Cの流動性が調整される。
【0054】
例えば、受け入れ部13の搬送装置2側には、作業者Mが搭乗可能な搭乗部15が設けられる。搭乗部15に搭乗した作業者Mからは、例えば、受け入れ部13の内部を視認可能とされている。この場合、混練撹拌部14によって混練及び撹拌されている充填材Cの流動性を目で見て確認することが可能となる。
【0055】
搭乗部15には、受け入れ部13及び混練撹拌部14を操作する操作部が設けられていてもよい。この場合、搭乗部15に搭乗した作業者Mは、受け入れ部13の昇降、受け入れ部13の排出部13fの開度、混練撹拌部14の羽根部14cによる充填材Cの撹拌の状態を搭乗部15から操作することが可能となる。
【0056】
図8は、混練間配り装置10、搬送装置2及び発電機5を模式的に示す平面図である。
図8に示されるように、舗装システム1は、混練間配り装置10に電力を供給する発電機5を備える。発電機5は、例えば、混練間配り装置10の搬送装置2側に設けられる。しかしながら、後述するように、発電機5は混練間配り装置10に対して旋回可能とされているため、平面視における発電機5の位置は変更される。
【0057】
一例として、発電機5は、搬送装置2と幅員方向D2に沿って並ぶように配置される。これにより、混練間配り装置10に対する発電機5の効率の良い配置が可能となる。すなわち、発電機5を混練間配り装置10の隣接位置に配置しながら搬送装置2を混練間配り装置10に接近させることにより、発電機5から混練間配り装置10への電力供給、及び搬送装置2から混練間配り装置10への充填材Cの供給を効率よく行うことができる。
【0058】
図9は、発電機5の例示的な旋回機構6を示す平面図である。
図9に示されるように、平面視において、発電機5は、例えば、長方形状を呈する。旋回機構6は、鉛直方向D3に延びる軸を中心として回転する軸部6bと、軸部6bから発電機5まで延びるアーム6cと、混練間配り装置10からアーム6cまで延びる第1シリンダ6dと、アーム6cから発電機5まで延びる第2シリンダ6fとを有する。
図9に示されるように、混練間配り装置10の基部12は、幅員方向D2に伸縮可能であってもよい。この場合、基部12の幅員方向D2への長さを基部12の伸縮によって調整可能となる。
【0059】
一例として、旋回機構6の軸部6bは、橋軸方向D1及び幅員方向D2の双方に移動可能であってもよい。アーム6cは、例えば、伸縮可能とされていてもよい。また、第1シリンダ6dが伸縮することによって橋軸方向D1に対するアーム6cの傾斜角度が可変とされていてもよいし、第2シリンダ6fが伸縮することによってアーム6cに対する発電機5の回転角度が可変とされていてもよい。
【0060】
以上の旋回機構6によって混練間配り装置10に対する発電機5の向きを自在に調整することが可能である。例えば、平面視における発電機5の長手方向の向きを橋軸方向D1又は幅員方向D2に沿わせることが可能である。なお、旋回機構6の構成は、前述した軸部6b、アーム6c、第1シリンダ6d及び第2シリンダ6fに限られず、適宜変更可能である。
【0061】
図10に示されるように、発電機5を旋回させて発電機5の幅員方向D2の位置が変更可能とされていてもよい。
図10の例では、平面視における発電機5の長辺が一方のレールRに沿うように配置されている状態から発電機5が旋回することにより、平面視における発電機5の長辺が他方のレールRに沿うように配置される。このように、幅員方向D2における発電機5の位置を可変とすることができるので、混練間配り装置10の受け入れ部13の幅員方向D2の位置、及び搬送装置2の幅員方向D2の位置、に応じて発電機5の幅員方向D2の位置を旋回によって変更することができる。
【0062】
次に、本実施形態に係る舗装方法の例について説明する。
図3、
図4及び
図5に示されるように、まず、複数の車線Lを有する道路において、舗装の対象の1つの車線Lを規制する。そして、規制した車線Lにおける既設のアスファルトB25及び既設のコンクリートB26の上部を除去して鉄筋B23,B24を露出させる。
【0063】
そして、鉄筋B23,B24が露出する現場Aの部位に充填材Cの間配り、敷き均し、及び締め固めを行う。まず、搬送装置2が現場Aに充填材Cを搬送する(充填材を搬送する工程)。このとき、搬送装置2を混練間配り装置10に接近させて搬送装置2から混練間配り装置10の受け入れ部13に充填材Cを注入する(充填材を注入する工程)。
【0064】
充填材Cを受け入れ部13に受け入れた混練間配り装置10は、混練撹拌部14によって充填材Cを混練及び撹拌する(充填材を混練及び撹拌する工程)。このとき、移動部11がレールRに沿って橋軸方向D1に移動すると共に、受け入れ部13が基部12に対して幅員方向D2に移動する。
【0065】
混練間配り装置10は、締め固め装置3に接近して混練及び撹拌した充填材Cの間配りを行う(充填材を混練及び撹拌しながら間配りする工程)。充填材Cの間配りは、例えば、締め固め装置3の付近において受け入れ部13が幅員方向D2に沿って移動しながら行われる。例えば、充填材Cの間配りでは、受け入れ部13の排出部13fの開度が調整されることによって、排出部13fからの充填材Cの排出量が調整される。
【0066】
以上のように間配りされた充填材Cに対し、締め固め装置3が充填材Cの敷き均し、及び充填材Cの締め固めを行う(充填材を敷き均すと共に締め固める工程)。そして、作業者による充填材Cの手轢き、及び養生シートSによる充填材Cの養生を行った後に、舗装方法の一連の工程が完了する。
【0067】
次に、本実施形態に係る舗装システム1、混練間配り装置10及び舗装方法から得られる作用効果について説明する。舗装システム1では、搬送装置2が道路工事現場である現場Aに充填材Cを搬送し、混練間配り装置10は、搬送装置2によって搬送された充填材Cを受け入れて現場Aに対する充填材Cの間配りを行う。
【0068】
締め固め装置3は、混練間配り装置10によって間配りされた充填材Cを敷き均し、充填材Cを締め固める。混練間配り装置10は、現場Aにおいて充填材Cを混練及び撹拌しながら間配りを行う。混練間配り装置10が充填材Cの混練及び撹拌を行うことによって充填材Cの流動性を調整することが可能となるので、現場Aで充填材Cの流動性を低くして充填材Cのダレを抑制することができる。従って、現場Aにおける道路の勾配に応じて充填材Cの流動性を調整することができ、更に万が一ダレが生じた場合であっても、その場で流動性の調整を行って対応することが可能である。
【0069】
搬送装置2は流動性が高い充填材Cを搬送できるので、現場Aへの充填材Cの搬送を効率よく行うことができる。搬送装置2、混練間配り装置10、及び締め固め装置3は、この順で並ぶように配置される。従って、搬送装置2、混練間配り装置10、及び締め固め装置3を一直線上に並ぶように配置できるので、一車線上に搬送装置2、混練間配り装置10、及び締め固め装置3を並べて施工を行うことができる。
【0070】
混練間配り装置10は、充填材Cを受け入れる受け入れ部13を有し、受け入れ部13は、現場Aの道路の幅員方向D2に移動可能とされていてもよい。この場合、搬送装置2から充填材Cを受け入れた受け入れ部13が道路の幅員方向D2に移動可能とされている。従って、受け入れ部13が道路の幅員方向D2に沿って充填材Cを間配りすることが可能であるため、充填材Cを均一に間配りすることができる。すなわち、現場Aにおける任意の場所に充填材Cを均一に間配りすることができる。
【0071】
図8及び
図9に示されるように、舗装システム1は、混練間配り装置10に隣接して配置されると共に混練間配り装置10に電力を供給する発電機5を備えてもよく、発電機5は、混練間配り装置10に対して旋回可能とされていてもよい。この場合、混練間配り装置10に電力を供給する発電機5が混練間配り装置10に隣接して配置される。発電機5は、混練間配り装置10の隣接位置において混練間配り装置10に対して旋回可能とされている。従って、一車線で現場が狭い場合であっても、混練間配り装置10に対して発電機5の位置を自在に変えることができ、搬送装置2から混練間配り装置10への充填材Cの搬送を効率よく行うことができる。
【0072】
舗装システム1は、現場Aの道路に設けられており道路に沿って締め固め装置3を移動させるレールRを備え、混練間配り装置10は、レールRに沿って移動する移動部11を有してもよい。この場合、道路が延びる方向に延在するレールRに沿って混練間配り装置10の移動部11が移動する。よって、混練間配り装置10を締め固め装置3と共にレールRに沿って道路が延在する方向に移動させることができる。
【0073】
また、締め固め装置3を道路に沿って移動させるためのレールRを混練間配り装置10の移動のために有効利用することができる。更に、混練間配り装置10の移動部11がレールR上を走行することにより、路面に鉄筋が露出する部位、又は接着剤が塗布された部位が存在する場合であっても、鉄筋又は接着剤の上で混練間配り装置10を橋軸方向D1及び幅員方向D2の双方に走行させることができる。
【0074】
充填材Cは、繊維補強コンクリートによって構成されていてもよい。この場合、流動性が高い繊維補強コンクリートが搬送されたときに混練間配り装置10が混練及び撹拌を行うので、繊維補強コンクリートの流動性が調整される。従って、流動性が高い繊維補強コンクリートを混練及び撹拌して流動性を低くすることができるので、繊維補強コンクリ-トのダレを抑制することができる。
【0075】
混練間配り装置10では、道路工事現場である現場Aに充填材Cを搬送する搬送装置2から受け入れ部13が充填材Cを受け入れる。混練間配り装置10は、受け入れ部13の内部に、充填材Cを混練及び撹拌する混練撹拌部14を有する。従って、混練撹拌部14が現場Aで充填材Cを混練及び撹拌することによって充填材Cの流動性を調整することができるので、現場Aで充填材Cの流動性を低くして充填材Cのダレを抑制することができる。
【0076】
また、受け入れ部13は、道路の幅員方向D2に移動可能とされている。従って、受け入れ部13が道路の幅員方向D2に沿って充填材Cを間配りすることにより、充填材Cを均一に間配りすることができる。本実施形態において、混練間配り装置10は自走式のミキサーである。従って、搬送装置2からの充填材Cの受け入れ、混練、撹拌及び間配りを1台の混練間配り装置10で行うことが可能であるため、バックホー等の重機を減らすことができる。その結果、現場Aにおける安全性を高めると共に、現場Aの作業者の数を減らすことができる。
【0077】
本実施形態に係る舗装方法では、搬送装置2によって道路工事現場である現場Aに充填材Cが搬送され、混練間配り装置10によって搬送された充填材Cが受け入れられて現場Aに対する充填材Cの間配りが行われる。そして、混練間配り装置10によって間配りされた充填材Cを締め固め装置3が敷き均し、締め固め装置3が充填材Cを締め固める。現場Aでは、混練間配り装置10により、充填材Cが混練及び撹拌されながら間配りされる。従って、混練間配り装置10が充填材Cの混練及び撹拌を行うことによって充填材Cの流動性を調整することが可能となる。よって、現場Aで充填材Cの流動性を低くして充填材Cのダレを抑制することができる。また、搬送装置2が流動性が高い充填材Cを現場Aに搬送しても、現場Aで充填材Cの流動性を調整するので、現場Aへの充填材Cの搬送を効率よく行うことができると共にダレを抑制することができる。
【0078】
混練間配り装置10は、搬送された充填材Cを受け入れる受け入れ部13を有し、間配りする工程では、受け入れ部13が受け入れた充填材Cを混練及び撹拌しながら充填材Cを移動させてもよい。この場合、現場Aにおいて充填材Cは混練及び撹拌されながら移動するので、充填材Cの流動性を調整しながら充填材Cを効率よく所望の位置に移動させることができる。
【0079】
以上、本開示に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る舗装システム、混練間配り装置及び舗装方法は、前述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、舗装システム及び混練間配り装置の各部の構成、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。前述した実施形態では、充填材Cが繊維補強コンクリートである例について説明した。しかしながら、本開示に係る充填材は、繊維補強コンクリート以外のコンクリートであってもよい。また、本開示に係る充填材は、コンクリート以外の充填材であってもよい。
【0080】
例えば、前述の実施形態では、幅員方向D2へ移動しながら混練、撹拌及び間配りを行うトラバーサ機能を備えた混練間配り装置10について説明した。しかしながら、トラバーサ機能を有しない混練間配り装置であってもよい。
図11は、変形例に係る混練間配り装置20が設けられた現場を示している。
【0081】
図11に示されるように、混練間配り装置20は、道路に敷設された一対のレールRを跨ぐように配置されている。混練間配り装置20は、例えば、現場における幅員方向D2の全体に延びている。混練間配り装置20は、レールRに沿って走行する移動部21と、搬送装置2から充填材Cを受け入れる受け入れ部23と、受け入れ部23の内部の充填材Cを混練及び撹拌する混練撹拌部24とを備える。
【0082】
混練間配り装置20は幅員方向D2に沿って並ぶ一対の移動部21を備え、各移動部21は橋軸方向D1に沿って並ぶ複数の車輪21bを有する。受け入れ部23は、移動部21の上部に設けられており、充填材Cを受け入れるホッパー型とされている。混練撹拌部24は、幅員方向D2に延びると共に橋軸方向D1に沿って並ぶ一対のシャフト24bと、各シャフト24bに取り付けられた複数の羽根部24cとを有する。混練撹拌部24は、前述した混練撹拌部14と同様、各シャフト24bがモータから駆動力を受けて回転し、各シャフト24bの回転に伴って各羽根部24cが回転して充填材Cの混練及び撹拌を行う。
【0083】
以上、変形例に係る混練間配り装置20では、混練撹拌部24が現場で充填材Cを混練及び撹拌することによって充填材Cの流動性を調整することができるので、現場で充填材Cの流動性を低くして充填材Cのダレを抑制することができる。従って、混練間配り装置20からは、前述した混練間配り装置10と同様の作用効果が得られる。また、混練間配り装置20の混練撹拌部24は、現場における幅員方向D2の一端から他端まで延びているので、現場における幅員方向D2の全体に均一に充填材Cを間配りすることができる。
【符号の説明】
【0084】
1…舗装システム、2…搬送装置、2b…ドラム、3…締め固め装置、5…発電機、6…旋回機構、6b…軸部、6c…アーム、6d…第1シリンダ、6f…第2シリンダ、10,20…混練間配り装置、11,21…移動部、11b,21b…車輪、11c…支持部、12…基部、13,23…受け入れ部、13b…第1側壁、13c…第2側壁、13d…底部、13f…排出部、14,24…混練撹拌部、14A…撹拌ユニット、14b,24b…シャフト、14c,24c…羽根部、14d…モータ、15…搭乗部、16…支柱、17…スライド機構、A…現場、B1,B2…道路橋、B11…主桁、B12…横桁、B13…Uリブ、B14…鋼床版、B15,B25…アスファルト、B21…床版部、B22…中空部、B23,B24…鉄筋、B26…コンクリート、C…充填材、D1…橋軸方向、D2…幅員方向、D3…鉛直方向、L…車線、M…作業者、R…レール、S…養生シート、V…車。