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特開2022-135430構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135430
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20220908BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220908BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220908BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220908BHJP
   E04G 21/02 20060101ALN20220908BHJP
   E04G 21/20 20060101ALN20220908BHJP
【FI】
B28B1/30
B33Y30/00
B33Y10/00
B33Y50/02
E04G21/02 103Z
E04G21/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035226
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】小倉 大季
(72)【発明者】
【氏名】磯田 和彦
【テーマコード(参考)】
2E172
2E174
4G052
【Fターム(参考)】
2E172AA01
2E172AA05
2E172AA09
2E172DB00
2E172DE04
2E174AA03
2E174EA07
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】コンクリート部材などの構造部材を複数色で構築することができる構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法を提供する。
【解決手段】複数の異なる色の水硬性混合物2をそれぞれ吐出して複数色の構造部材を製作する構造部材の付加製造装置1において、水硬性混合物2が投入されるホッパ5と、水硬性混合物2を吐出するノズル6と、ホッパ5に投入された水硬性混合物2をノズル6に圧送するポンプ8と、複数の異なる色の水硬性混合物2のうちのノズル6が吐出する水硬性混合物2を切り替えてノズル6から吐出される水硬性混合物2の色を切り替える制御部9と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる色の水硬性混合物をそれぞれ吐出して複数色の構造部材を製作する構造部材の付加製造装置において、
前記水硬性混合物が投入されるホッパと、
前記水硬性混合物を吐出するノズルと、
前記ホッパに投入された前記水硬性混合物を前記ノズルに圧送するポンプと、
前記複数の異なる色の水硬性混合物のうちの前記ノズルが吐出する水硬性混合物を切り替えて前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える制御部と、を有する構造部材の付加製造装置。
【請求項2】
前記ホッパには、前記複数の異なる色の水硬性混合物からいずれかが投入されるように構成され、
前記制御部は、前記複数の異なる色の水硬性混合物から前記ホッパに投入される前記水硬性混合物を切り替えて前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える請求項1に記載の構造部材の付加製造装置。
【請求項3】
前記ホッパに投入される水硬性混合物を製造する水硬性混合物製造部を有し、
前記制御部は、前記水硬性混合物製造部で製造される前記水硬性混合物の色を切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える請求項2に記載の構造部材の付加製造装置。
【請求項4】
前記ホッパとノズルとの間に設けられ前記ホッパからノズルに圧送される前記水硬性混合物に着色料を添加する着色料添加部を有し、
前記制御部は、前記着色料添加部で添加される着色料の色を切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える請求項1に記載の構造部材の付加製造装置。
【請求項5】
前記ホッパおよび前記ポンプは、それぞれ複数設けられ、
複数の前記ホッパには、それぞれ異なる色の水硬性混合物が投入されて、前記ポンプで前記ノズルに圧送され、
前記制御部は、前記ノズルに圧送される前記水硬性混合物を切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える請求項1に記載の構造部材の付加製造装置。
【請求項6】
前記ホッパ、前記ノズルおよび前記ポンプは、それぞれ複数設けられ、
複数の前記ホッパには、それぞれ異なる色の水硬性混合物が投入されて、前記ポンプで前記ノズルに圧送され、
前記制御部は、前記水硬性混合物を吐出するノズルを切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える請求項1に記載の構造部材の付加製造装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の構造部材の付加製造装置を使用して複数色の構造部材を製作することを特徴とする構造部材の製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート部材を製作する方法として、型枠内にコンクリート材料を打設して製作する方法や、3Dプリンタなどの付加製造装置でノズルから吐出されるコンクリート材料を積層して製作する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
コンクリート部材に色彩を加える場合は、コンクリート材料に着色料(顔料)を添加し、その着色されたコンクリート材料を型枠内に打設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4527107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数色で構築されたコンクリート部材を製作する場合、異なる色に着色されたコンクリート材料を同じ型枠内に打設すると、異なる色に着色されたコンクリート材料どうしが混ざってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、コンクリート部材などの構造部材を複数色で構築することができる構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る構造部材の付加製造装置は、複数の異なる色の水硬性混合物をそれぞれ吐出して複数色の構造部材を製作する構造部材の付加製造装置において、前記水硬性混合物が投入されるホッパと、前記水硬性混合物を吐出するノズルと、前記ホッパに投入された前記水硬性混合物を前記ノズルに圧送するポンプと、前記複数の異なる色の水硬性混合物のうちの前記ノズルが吐出する水硬性混合物を切り替えて前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える制御部と、を有する。
【0007】
また、本発明に係る構造部材の製作方法は、上記の構造部材の付加製造装置を使用して複数色の構造部材を製作する。
【0008】
本発明では、制御部によってノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替えることができるため、異なる色の水硬性混合物が混ざることがない。これにより、コンクリート部材などの構造部材を複数色で構築することができる。
【0009】
また、本発明に係る構造部材の付加製造装置では、前記ホッパには、前記複数の異なる色の水硬性混合物からいずれかが投入されるように構成され、前記制御部は、前記複数の異なる色の水硬性混合物から前記ホッパに投入される前記水硬性混合物を切り替えて前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替えるように構成されていてもよい。
【0010】
このような構成とすることにより、異なる色の水硬性混合物が混ざることがないため、コンクリート部材などの構造部材をホッパに投入された水硬性混合物それぞれの色で構築することができる。
【0011】
また、本発明に係る構造部材の付加製造装置では、前記ホッパに投入される水硬性混合物を製造する水硬性混合物製造部を有し、前記制御部は、前記水硬性混合物製造部で製造される前記水硬性混合物の色を切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替えるように構成されていてもよい。
【0012】
このような構成とすることにより、異なる色の水硬性混合物が混ざることを防止できる。また、水硬性混合物の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【0013】
また、本発明に係る構造部材の付加製造装置では、前記ホッパとノズルとの間に設けられ前記ホッパからノズルに圧送される前記水硬性混合物に着色料を添加する着色料添加部を有し、前記制御部は、前記着色料添加部で添加される着色料の色を切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替えるように構成されていてもよい。
【0014】
このような構成とすることにより、異なる色の水硬性混合物が混ざることを防止できる。また、水硬性混合物の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【0015】
また、本発明に係る構造部材の付加製造装置では、前記ホッパおよび前記ポンプは、それぞれ複数設けられ、複数の前記ホッパには、それぞれ異なる色の水硬性混合物が投入されて、前記ポンプで前記ノズルに圧送され、前記制御部は、前記ノズルに圧送される前記水硬性混合物を切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替えるように構成されていてもよい。
【0016】
このような構成とすることにより、異なる色の水硬性混合物が混ざることを防止できる。また、水硬性混合物の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【0017】
また、本発明に係る構造部材の付加製造装置では、前記ホッパ、前記ノズルおよび前記ポンプは、それぞれ複数設けられ、複数の前記ホッパには、それぞれ異なる色の水硬性混合物が投入されて、前記ポンプで前記ノズルに圧送され、前記制御部は、前記水硬性混合物を吐出するノズルを切り替えることで前記ノズルから吐出される前記水硬性混合物の色を切り替える。
【0018】
このような構成とすることにより、異なる色の水硬性混合物ごとにノズルも異なるため、装置内において異なる色の水硬性混合物が混ざることを確実に防止できる。また、水硬性混合物の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、コンクリート部材などの構造部材を複数色で構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態による構造部材の付加製造装置を示す模式図である。
図2】本発明の第2実施形態による構造部材の付加製造装置を示す模式図である。
図3】本発明の第3実施形態による構造部材の付加製造装置を示す模式図である。
図4】本発明の第4実施形態による構造部材の付加製造装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法について、図1に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態による構造部材の付加製造装置1および構造部材の製作方法は、複数の異なる色の水硬性混合物2をそれぞれ吐出して複数色の構造部材11を製作する装置および方法である。水硬性混合物2は、例えばコンクリートで、硬化することでコンクリート部材(構造部材11)になる。水硬性混合物2は、材料21に着色料3(顔料)が添加されることでコンクリートが着色される。着色された水硬性混合物2を硬化させることで着色された構造部材11が製作される。なお、着色される水硬性混合物2は、添加される着色料3の量により、同じ色調であっても濃淡が異なることになる。以下では、同じ色調であっても濃淡が異なる場合は、異なる色とする。
【0022】
構造部材の付加製造装置1は、水硬性混合物2を製造する水硬性混合物製造部4と、水硬性混合物製造部4で製造された水硬性混合物2が投入されるホッパ5と、水硬性混合物2を吐出するノズル6と、ホッパ5とノズル6とを接続するホース7と、ホッパ5に投入された水硬性混合物2をホース7を介してノズル6に圧送するポンプ8と、制御部9と、を有している。ノズル6から吐出される水硬性混合物2は、押し出されて積層されることで構造部材11の形状に成形されてもよいし、吹き付けられる(噴射される)ことで構造部材11の形状に成形されてもよい。なお、構造部材の付加製造装置1は、水硬性混合物製造部4が設けられておらず、ホッパ5には、別の場所で製造された水硬性混合物2が投入されてもよい。
【0023】
水硬性混合物製造部4は、異なる色の水硬性混合物2を製造可能に構成されている。本実施形態では、水硬性混合物製造部4は、水硬性混合物2の材料21に着色料3を添加して所定の色の水硬性混合物2を製造するように構成されている。なお、水硬性混合物製造部4では、着色料3を添加せずに製造された無着色の水硬性混合物に、着色料3を添加して所定の色の水硬性混合物2を製造するようにしてもよい。
【0024】
制御部9は、水硬性混合物製造部4で添加する着色料3の色(種類)および量の制御、水硬性混合物製造部4で製造する水硬性混合物2の量の制御、ポンプ8の制御、およびノズル6から吐出される水硬性混合物2の吐出量や吐出方向の制御を行う。制御部9は、製作する構造部材11の色および形状の情報が入力され、または情報を受信し、この情報に基づいて上記の制御を行う。
構造部材の付加製造装置1は、例えば、3Dプリンタなどのように、製作する構造部材11の色および形状のデータに合わせて水硬性混合物2の製造からノズル6による吐出まで自動に構造部材11を製作する。
【0025】
第1実施形態による構造部材の付加製造装置1の動作(構造部材11の製作方法)について説明する。ここでは、2色の層が交互に配置された縞柄の構造部材11を製作する。2色のうちの一方を第1色とし、他方を第2色とする。
【0026】
まず、水硬性混合物製造部4で第1色の1つの層(第1層111とする)を形成するための水硬性混合物2を製造する。制御部9は、水硬性混合物製造部4で製造される水硬性混合物2が第1色であり、第1層111を製作するための量とする制御を行う。
【0027】
水硬性混合物製造部4で製造された水硬性混合物2をホッパ5に投入する。ホッパ5に投入された水硬性混合物2を、ポンプ8によってホース7を介してノズル6に圧送する。ノズル6に圧送された水硬性混合物2をノズル6から所定の位置に吐出し、第1層111を形成する。制御部9は、ノズル6から吐出される水硬性混合物2が第1層111の形状とする制御を行う。
【0028】
続いて、水硬性混合物製造部4が第2色の1つの層(第2層112とする)を形成するための水硬性混合物2を製造する。制御部9は、製造された水硬性混合物2が、第2色であり、第2層112を製作するために必要な量とする制御を行う。
【0029】
水硬性混合物製造部4で製造された水硬性混合物2をホッパ5に投入する。ホッパ5に投入された水硬性混合物2を、ポンプ8によってノズル6に圧送する。ノズル6から第1層111に重なって吐出された水硬性混合物2によって第2層112を形成する。制御部9は、ノズル6から吐出される水硬性混合物2が第2層112の形状とする制御を行う。
【0030】
第2層112に重なる第1色の1つの層(第3層113)を第1層111と同様に形成し、第3層113に重なる第2色の1つの層(第4層114)を第2層112と同様に形成し、これを繰り返して縞状の構造部材11を製作する。
【0031】
次に、上記の第1実施形態による構造部材の付加製造装置1および構造部材11の製作方法の作用・効果について説明する。
第1実施形態による構造部材の付加製造装置1および構造部材11の製作方法では、制御部9によってノズル6から吐出される水硬性混合物2の色を切り替えることができるため、異なる色の水硬性混合物2が混ざることがない。これにより、コンクリート部材などの構造部材11を複数色で構築することができる。
【0032】
また、第1実施形態による構造部材の付加製造装置1では、ホッパ5には、複数の異なる色の水硬性混合物2からいずれかが投入されるように構成され、制御部9は、複数の異なる色の水硬性混合物2からホッパ5に投入される水硬性混合物2を切り替えてノズル6から吐出される水硬性混合物2の色を切り替えるように構成されている。
【0033】
このような構成とすることにより、異なる色の水硬性混合物2が混ざることがないため、コンクリート部材などの構造部材11を複数色で構築することができる。
【0034】
(他の実施形態)
次に、他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0035】
(第2実施形態)
図2に示すように、第2実施形態による構造部材の付加製造装置1Bでは、水硬性混合物製造部4は、着色料3が添加されていない水硬性混合物22(以下、無着色の水硬性混合物22とする)を製造する。ホッパ5には、無着色の水硬性混合物22が投入される。第2実施形態による構造部材の付加製造装置1Bは、ホッパ5とノズル6との間に、ホッパ5からノズル6に圧送される無着色の水硬性混合物22に着色料3を添加する着色料添加部31が設けられている。
【0036】
第2実施形態の制御部9Bは、着色料添加部31で添加する着色料3の色(種類)、量および着色される水硬性混合物2の量の制御、水硬性混合物製造部4で製造する無着色の水硬性混合物22の量の制御、ポンプ8の圧送の制御、およびノズル6からの水硬性混合物2の吐出量や吐出方向の制御を行う。
【0037】
第2実施形態による構造部材の付加製造装置1Bの動作(構造部材11の製作方法)について説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に2色の層が交互に配置された縞柄の構造部材11を製作する。2色のうちの一方を第1色とし、他方を第2色とする。
【0038】
まず、水硬性混合物製造部で構造部材11を形成するための無着色の水硬性混合物22を製造する。制御部9Bは、水硬性混合物製造部4で製造される無着色の水硬性混合物22が、構造部材11を製作するために必要な量とする制御を行う。
【0039】
水硬性混合物製造部4で製造された無着色の水硬性混合物22をホッパ5に投入する。ホッパ5に投入された無着色の水硬性混合物22を、ポンプ8によってノズル6に圧送する。第1層111を形成するためにホッパ5からノズル6に圧送される無着色の水硬性混合物22に着色料添加部31で着色料3を添加し第1色に着色する。制御部9Bは、着色料添加部31で添加する着色料3の色(種類)、量および着色される無着色の水硬性混合物22の量の制御を行う。
【0040】
着色料添加部31で第1色に着色された水硬性混合物2は、ノズル6に送られ、ノズル6から所定の位置に吐出されて第1層111を形成する。制御部9Bは、ノズル6から吐出される水硬性混合物2が第1層111の形状とする制御を行う。無着色の水硬性混合物22と着色料3との混合およびノズル6からの吐出は、例えば、無着色の水硬性混合物22と着色料3とを混合するミキサーローターと、混合された着色料3および水硬性混合物22がミキサーローターから直接流入するノズルと、を有するミキシングノズルによって行ってもよい。ミキシングノズルを採用することによって、混合状態のよい水硬性混合物2をノズルから吐出させることができる。
【0041】
続いて、第2層112を形成するためにホッパ5からノズル6に圧送される無着色の水硬性混合物22に着色料添加部31で着色料3を添加し第2色に着色する。制御部9Bは、着色料添加部31で添加する着色料3の色(種類)、量および着色される無着色の水硬性混合物22の量の制御を行う。
【0042】
着色料添加部31で第2色に着色された水硬性混合物2は、ノズル6に送られ、ノズル6から所定の位置に吐出されて第2層112を形成する。制御部9Bは、ノズル6から吐出される水硬性混合物2が第2層112の形状となるように制御する。
【0043】
第2層112に重なる第1色の1つの層(第3層113)を第1層111と同様に形成し、第3層113に重なる第2色の1つの層(第4層114)を第2層112と同様に形成し、これを繰り返して縞状の構造部材11を製作する。
【0044】
上記の第2実施形態による構造部材の付加製造装置1Bおよび構造部材11の製作方法では、異なる色の水硬性混合物2が混ざることを防止できる。これにより、コンクリート部材などの構造部材11を複数色で構築することができる。また、1つの層内で着色料3の量を変化させてグラデーションをつけることもでき、水硬性混合物2の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【0045】
(第3実施形態)
図3に示すように、第3実施形態による構造部材の付加製造装置1Cは、2つのホッパ51,52を有している。2つのホッパ51,52を第1ホッパ51、第2ホッパ52とする。第1ホッパ51および第2ホッパ52は、それぞれ異なるホース71,72を介して同一のノズル6Cと接続されている。第1ホッパ51とノズル6Cとを接続するホース71を第1ホース71とし、第1ホッパ51からノズル6Cに水硬性混合物を圧送するポンプを第1ポンプ81とする。第2ホッパ52とノズル6Cとを接続するホース72を第2ホース72とし、第2ホッパ52からノズル6Cに水硬性混合物を圧送するポンプを第2ポンプ82とする。ノズル6Cには、シャッター機構や電磁弁などの切替機構63が設けられ、圧送されてくる水硬性混合物2を切り替え可能に構成されている。
【0046】
第1ホッパ51および第2ホッパ52には、それぞれ異なる色の水硬性混合物2が投入される。構造部材の付加製造装置1Dには、第1実施形態のように、第1ホッパ51および第2ホッパ52に投入する水硬性混合物2を製造する水硬性混合物製造部4が設けられている。なお、第1ホッパ51および第2ホッパ52には、別の場所で製造された水硬性混合物2が投入されてもよい。
【0047】
第3実施形態の制御部9Cは、水硬性混合物製造部4で添加する着色料3の色(種類)および量の制御、水硬性混合物製造部4で製造する水硬性混合物2の量の制御、第1ポンプ81および第2ポンプ82の圧送の制御、切替機構63の制御、ノズル6Cから吐出される水硬性混合物2の吐出量や吐出方向の制御を行う。
【0048】
第3実施形態による構造部材の付加製造装置1Cの動作(構造部材11の製作方法)について説明する。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に2色の層が交互に配置された縞柄の構造部材11を製作する。2色のうちの一方を第1色とし、他方を第2色とする。
【0049】
まず、第1ホッパ51および第2ホッパ52それぞれに互いに異なる色の水硬性混合物2を投入する。第3実施形態では、第1ホッパ51に第1色の水硬性混合物2を投入し、第2ホッパ52に第2色の水硬性混合物2を投入する。
【0050】
第1ポンプ81を作動させて第1ホッパ51から第1色の水硬性混合物2をノズル6Cに圧送し、ノズル6Cから所定の位置に吐出された水硬性混合物2によって第1層111を形成する。制御部9Cは、切替機構63を制御し、ノズル6Cから第1色の水硬性混合物2を吐出させる制御を行う。
【0051】
続いて、第2ポンプ82を作動させて第2ホッパ52から第2色の水硬性混合物2をノズル6Cに圧送し、ノズル6Cから所定の位置に吐出された水硬性混合物2によって第2層112を形成する。制御部9Cは、切替機構63を制御し、ノズル6Cから第2色の水硬性混合物2を吐出させる制御を行う。
【0052】
第2層112に重なる第1色の1つの層(第3層113)を第1層111と同様に形成し、第3層113に重なる第2色の1つの層(第4層114)を第2層112と同様に形成し、これを繰り返して縞状の構造部材11を製作する。
【0053】
上記の第3実施形態による構造部材の付加製造装置1Cおよび構造部材11の製作方法では、異なる色の水硬性混合物2が混ざることを防止できる。これにより、コンクリート部材などの構造部材11を複数色で構築することができる。また、水硬性混合物2の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【0054】
(第4実施形態)
図4に示すように、第4実施形態による構造部材の付加製造装置1Dは、2つのホッパ51,52と、2つのノズル61,62と、を有している。2つのホッパ51,52を第1ホッパ51、第2ホッパ52とする。2つのノズル61,62を第1ノズル61、第2ノズル62とする。第1ホッパ51は、第1ノズル61と接続されている。第2ホッパ52は、第2ノズル62と接続されている。第1ホッパ51と第1ノズル61とを接続するホースを第1ホース71とし、第1ホッパ51から第1ノズル61に水硬性混合物を圧送するポンプを第1ポンプ81とする。第2ホッパ52と第2ノズル62とを接続するホースを第2ホース72とし、第2ホッパ52から第2ノズル62に水硬性混合物を圧送するポンプを第2ポンプ82とする。
【0055】
第1ホッパ51および第2ホッパ52には、それぞれ異なる色の水硬性混合物2が投入される。構造部材の付加製造装置1Dには、第1実施形態のように、第1ホッパ51および第2ホッパ52に投入する水硬性混合物2を製造する水硬性混合物製造部4が設けられている。なお、第1ホッパ51および第2ホッパ52には、別の場所で製造された水硬性混合物2が投入されてもよい。
【0056】
第4実施形態の制御部9Dは、水硬性混合物製造部4で添加する着色料3の色(種類)および量の制御、水硬性混合物製造部4で製造する水硬性混合物2の量の制御、第1ポンプ81および第2ポンプ82の圧送の制御、水硬性混合物2を吐出するノズルを第1ノズル61および第2ノズル62のいずれかに切り替えるとともに、第1ノズル61および第2ノズル62からの水硬性混合物2の吐出量や吐出方向の制御を行う。
【0057】
第4実施形態による構造部材の付加製造装置1Dの動作(構造部材11の製作方法)について説明する。第4実施形態においても、第1実施形態と同様に2色の層が交互に配置された縞柄の構造部材11を製作する。2色のうちの一方を第1色とし、他方を第2色とする。
【0058】
まず、第1ホッパ51および第2ホッパ52それぞれに異なる色の水硬性混合物2を投入する。第4実施形態では、第1ホッパ51に第1色の水硬性混合物2を投入し、第2ホッパ52に第2色の水硬性混合物2を投入する。
【0059】
第1ポンプ81を作動させて第1ホッパ51から第1色の水硬性混合物2を第1ノズル61に圧送し、第1ノズル61から所定の位置に吐出された水硬性混合物2によって第1層111を形成する。制御部9Dは、第1ノズル61に第1ホッパ51に投入された第1色の水硬性混合物2が圧送されるように第1ポンプ81および第1ノズル61を制御する。
【0060】
続いて、第2ポンプ82を作動させて第2ホッパ52から第2色の水硬性混合物2を第2ノズル62に圧送し、第2ノズル62から所定の位置に吐出された水硬性混合物2によって第2層112を形成する。制御部9Dは、第2ノズル62に第2ホッパ52に投入された第2色の水硬性混合物2が圧送されるように第2ポンプ82および第2ノズル62を制御する。
【0061】
第2層112に重なる第1色の1つの層(第3層113)を第1層111と同様に形成し、第3層113に重なる第2色の1つの層(第4層114)を第2層112と同様に形成し、これを繰り返して縞状の構造部材11を製作する。
【0062】
上記の第4実施形態による構造部材の付加製造装置1Dおよび構造部材11の製作方法では、異なる色の水硬性混合物2が混ざることを防止できる。これにより、コンクリート部材などの構造部材11を複数色で構築することができる。また、水硬性混合物2の製造から吐出までをトータルで制御することができる。
【0063】
以上、本発明による構造部材の付加製造装置および構造部材の製作方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、2色の層が交互に配置された縞柄の構造部材11を製作しているが、1つの層内に複数の色を混在させてもよく、色の数や、その配置や形状は適宜設定されてよい。また、色別にホッパ5やノズル6を設ける場合には、ホッパ5やノズル6の数は、色の数に合わせて設定されてよい。
上記の実施形態では、水硬性混合物2は、コンクリートであるが、コンクリート以外に種々のセメント系材料(例えば、セメントペースト、モルタルなど)、ジオポリマー組成物などを含む水硬性混合物であってもよい。セメント系材料の場合,顔料で着色しやすいように白色セメントを用いてもよい。
【0064】
上記の実施形態の構造部材の付加製造装置1,1B-1Dには、ホッパ5に投入される水硬性混合物2,22を製造する水硬性混合物製造部4が設けられているが、設けられていなくてもよい。例えば、水硬性混合物2,22の製造、ホッパ5への水硬性混合物2,22の投入のいずれかまたは両方を手動で行ってもよい。このような場合、制御部9は、水硬性混合物2,22の製造、ホッパ5への水硬性混合物2,22の投入のいずれかまたは両方に関しての制御を行わないように構成される。なお、制御部9は、複数の異なる色の水硬性混合物2のうちのノズル6が吐出する水硬性混合物2を切り替えてノズル6から吐出される水硬性混合物2の色を切り替えるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0065】
1,1B-1D 構造部材の付加製造装置
2 水硬性混合物
3 着色料
4 水硬性混合物製造部
5 ホッパ
6 ノズル
8 ポンプ
9,9B-9D 制御部
11 構造部材
31 着色料添加部
51 第1ホッパ
52 第2ホッパ
61 第1ノズル
62 第2ノズル
図1
図2
図3
図4