(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013544
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】滅菌されたニット生地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D06C 15/00 20060101AFI20220111BHJP
D06M 11/83 20060101ALI20220111BHJP
D06M 11/74 20060101ALI20220111BHJP
D03D 15/20 20210101ALI20220111BHJP
D03D 15/513 20210101ALI20220111BHJP
D04B 1/14 20060101ALI20220111BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20220111BHJP
D04B 21/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
D06C15/00
D06M11/83
D06M11/74
D03D15/00 A
D03D15/12 Z
D04B1/14
D04B1/00 B
D04B21/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020153397
(22)【出願日】2020-09-12
(31)【優先権主張番号】109122500
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519298259
【氏名又は名称】▲クン▼計飛
【氏名又は名称原語表記】Kung, Chi Fei
【住所又は居所原語表記】3F., No.9, Ln. 393, Jilin Rd., Zhongshan Dist., Taipei City 104, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】▲クン▼計飛
【テーマコード(参考)】
3B154
4L002
4L031
4L048
【Fターム(参考)】
3B154AA05
3B154AA14
3B154AA18
3B154AB05
3B154AB20
3B154AB21
3B154BA01
3B154BA35
3B154BB12
3B154BF01
3B154BF14
3B154DA28
4L002AA00
4L002AB01
4L002AB02
4L002AC00
4L002BA00
4L002CA00
4L002DA01
4L002EA00
4L002FA00
4L031AB33
4L031BA02
4L031BA04
4L031DA12
4L031DA13
4L048AA39
4L048AB01
4L048AB06
4L048AC00
4L048BA01
4L048DA22
4L048EB05
(57)【要約】
【課題】滅菌されたニット生地及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明の滅菌されたニット生地は、以下のステップを含む方法で製造される。まず、複数のナノ遠赤外線抗菌糸と複数の竹炭中空糸を提供する。その後、前記ナノ遠赤外線抗菌糸と前記竹炭中空糸を互いに織り合わせて、生機を作る。その後、前記生機に精製工程を行い、精製された布を形成する。その後、前記精製された布に成形工程を行う。ここで、前記精製された布は、毎分25メートル移動する方式で前記成形加工が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)複数のナノ遠赤外線抗菌糸と複数の竹炭中空糸を提供し、
(B)前記ナノ遠赤外線抗菌糸と前記竹炭中空糸を互いに織り合わせて、生機を形成し、
(C)前記生機に精製工程を行い、精製された布を形成し、
(D)前記精製された布に成形工程を行う、
ことを含み、ステップ(D)において、前記精製された布は、毎分25メートルで前記成形工程が行われる滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項2】
前記成形工程のアイロンがけ温度は、160℃から180℃の間である請求項1に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項3】
前記アイロンがけ温度が170℃である請求項2に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項4】
前記精製工程は、前記生機中の不純物を除去することに用いられる請求項1に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項5】
前記精製工程の精製温度は130℃である請求項1に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項6】
工程(B)において、前記ナノ遠赤外線抗菌糸と前記竹炭中空糸を丸編両面編み機で互いに織り合わせている請求項1に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項7】
成形工程の前に、前記精製された布内に抗菌剤及び架橋剤を添加する請求項1に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項8】
前記生機の竹炭中空糸は、チェッカーボードマス状の配列方式を呈する請求項1に記載の滅菌されたニット生地の製造方法。
【請求項9】
(A)複数のナノメートル遠赤外線抗菌糸と複数の竹炭中空糸を提供し、
(B)前記ナノ遠赤外線抗菌糸と前記竹炭中空糸を織り合わせて、生機を作り、
(C)前記生機に精製工程を行い、精製された布を形成し、
(D)前記精製された布に形成工程を行い、前記精製された布は、毎分25メートル移動する方式で前記成形工程を行うステップを含む方法で製造される滅菌されたニット生地。
【請求項10】
前記生機内の竹炭中空糸がチェッカーボードマス状の配列方式を呈する請求項9に記載の滅菌されたニット生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌されたニット生地及びその製造方法に関し、特に、2つの異なる紡糸材料を備えた滅菌されたニット生地およびその製造方法に関する。
【0002】
ナノ抗菌糸中のナノ銀イオンは、ウイルスをブロックし、人体に有害な外来生物の生長を阻害することができる。さらに、ナノ銀イオンはマイナスイオンと遠赤線エネルギーを放出し続け、血液循環を効果的に増進させ、新陳代謝を促進することができる。また、ナノ銀イオン繊維は、銀と繊維の重合によって形成される単一の個体であるため、銀と繊維とは剥がすことができない。従って、ナノ銀抗菌糸の制菌効果は非常に長く持続し、時間の経過とともに減少することは容易ではない。また、このため、ナノ銀抗菌糸を使用したニット生地は、マスクの内層としてよく使用される。しかし、ナノ銀抗菌糸を使用したニット生地が着用者の肌に触れると、着用者は肌に不快感を生じ易く、そのマスクを長く着用することができなくなる。
【0003】
従って、制菌効果を有し、着用が快適な滅菌されたニット生地を如何に製造するかは、当業者が検討するに値することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、滅菌されたニット生地の製造方法を提供することにあり、前記滅菌されたニット生地の製造方法により製造されたニット生地は、制菌効果を有する。また、前記滅菌されたニット生地をマスクの内層とする時、更に着用の快適感を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の滅菌されたニット生地の製造方法は、以下の工程を含む:まず、複数のナノ遠赤外線抗菌糸と複数の竹炭中空糸を提供する。その後、ナノ遠赤外線抗菌糸と竹炭中空糸を互いに織り合わせて、生機を形成する。その後、前記生機に精製工程を行い、精製された布を形成する。その後、前記精製された布に成形工程を行う。ここで、前記精製された布は、毎分25メートル移動する方式で前記成形工程が行われる。
【0006】
上述の滅菌されたニット生地の製造方法において、成形工程のアイロンがけ温度は、160℃から180℃の間である。
【0007】
上述の滅菌されたニット生地の製造方法において、アイロンがけ温度が170℃である。
【0008】
上述の滅菌されたニット生地の製造方法において、精製工程は、前記生機中の不純物を除去することに用いられる。
【0009】
上述した滅菌されたニット生地の製造方法において、精製工程の精製温度は130℃である。
【0010】
上述した滅菌されたニット生地の製造方法において、前記ナノ遠赤外線抗菌糸と前記竹炭中空糸を丸編両面編み機で互いに織り合わせている。
【0011】
上述した滅菌されたニット生地の製造方法において、成形工程の前に、前記精製された布内に抗菌剤及び架橋剤を添加する。
【0012】
上述した滅菌されたニット生地の製造方法において、ナノ遠赤外線抗菌糸は複数の銀イオンを有する。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、制菌の効果を有する滅菌されたニット生地を提供することにある。また、前記殺菌されたニット生地をマスクの内層とする時、更に着用の快適感を向上させることができる。
【0014】
本発明の滅菌されたニット生地は、以下の工程を含む方法により製造される。
【0015】
まず、複数のナノメートル遠赤外線抗菌糸と複数の竹炭中空糸を提供する。その後、前記ナノ遠赤外線抗菌糸と前記竹炭中空糸を織り合わせて、生機を作る。その後、前記生機に精製工程を行い、精製された布を形成する。その後、前記精製された布に形成工程を行う。ここで、前記精製された布は、毎分25メートル移動することで前記成形工程が行われる。
【0016】
上記の滅菌されたニット生地では、生機内の竹炭中空糸は、チェッカーボードマス状の配列方式を呈する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の滅菌されたニット生地の製造方法により製造されたニット生地は、制菌効果を有する。また、前記滅菌されたニット生地をマスクの内層とする時、更に着用の快適感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の滅菌されたニット生地の製造方法10のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記の特徴及び利点をより分かり易くするために、以下が特に好ましい実施形態であり、添付の図面と併せて、詳細な説明は以下の通りである。
【0020】
先ず、
図1を参照し、
図1は、本実施形態の滅菌されたニット生地を製造方法10のフローチャートである。このうち、前記滅菌されたニット生地は、主にマスクの内層布、即ち、着用者の顔面に直接接触する材質とするものであり、滅菌されたニット生地の製造方法10は、以下のステップを含む。
【0021】
まず、ステップS1を参照し、複数のナノ遠赤外線抗菌糸と複数の竹炭中空糸123を提供する。そのうち、前記ナノ遠赤外線抗菌糸は、複数の銀イオンを有し、銀イオン含有量は抗菌糸全体の0.8%~1%であるため、ナノ遠赤外線抗菌糸121は、マイナスイオンと遠赤線エネルギーを持続的に放出し、且つ更に極めて良好な制菌効果を有することができる。また、竹炭中空糸123は、消臭、湿気調節、化学物質吸着の効果を有し、且つ竹炭中空糸123自体の通気性にも優れる。
【0022】
その後、ステップS2及び
図2(
図2は生機12の部分拡大図である)を参照し、ナノ遠赤外線抗菌糸121と竹炭中空糸123とを互いに織り合わせて生機12を形成する。詳細には、この方法は、丸編み両面編み機(図示せず)を使用して、ナノ遠赤外線抗菌糸121と竹炭中空糸123とを織り合わせて、生機12を形成する。注意すべきこととして、編まれた竹炭中空糸123は、チェッカーボードマス状の配列方式を呈し、編まれたナノ遠赤外線抗菌糸121は竹炭中空糸123に包囲されている。上記では、前記丸編みの二重編み機の直径は34インチで、且つ針筒は1インチあたり24本の針を有する。
【0023】
その後、ステップS3を参照して、生機12に精製プロセスを行い、前記精製プロセスの精製温度は120℃~140℃の間であり、好ましい精製温度は130℃であり、精製された布(図示せず)を形成する。詳細には、染色工程の前に、生機12中の不純物、例えば、ゴム、ワックス、グリース等を除去する必要があり、この作業は「精練」と呼ばれ、精練された生機12はセルロースの純度を向上させ、生地の白さを増し、良好な染色効果を達成することができる。
【0024】
その後、ステップS4を参照して、前記精製された布に染色工程を行い、前記精製された布を染色し、且つ前記精製工程及び前記染色工程はおおよそ1.5時間かかる。
【0025】
その後、ステップS5を参照して、染色後の前記精製された布に成形工程を行い、前記成形工程は、成形機を用いて前記精製された布を高温でアイロンがけし、前記滅菌されたニット生地を形成し、前記成形機は、例えば、乗福社製の9室の成形機である。ここで、前記成形工程のアイロンがけ温度は、160℃~180℃で、好ましいアイロン掛け温度は170℃である。注意すべきこととして、竹炭中空糸123の融点は130℃であり、アイロンがけ温度よりも低いため、前記精製された布は、前記竹炭中空糸123が熱を受けて断裂することを防止するために、毎分25メートル移動して前記成形工程を実行する必要がある。具体的には、前記精製された布は、1分間内に前記成形機の8セクションオーブン(乗福社製の9室の成形機は計9セクションのオーブンを有する)を通過するため、前記精製された布は、成形工程において、静止不動なものではなく、常に移動している。従って、前記精製された布の各部分は、何れも短い時間内で高温のアイロンがけを行うため、アイロンがけ後の前記滅菌されたニット生地内の竹炭中空糸123は、糸切れの問題が生じない。
【0026】
前記滅菌されたニット生地は、半分の組織だけがナノ遠赤外線抗菌糸123であるので、抗菌効果は、ナノ銀抗菌糸のみで製造したニット生地よりもやや劣る。前記滅菌されたニット生地の抗菌効果を補強するため、上記の成形工程の前に抗菌剤を前記精製された布に添加し、前記抗菌剤の型番はMICROBAN(登録商標)ZO6R30700‐480であり、その主成は、亜鉛イオンである。これにより、抗菌、防カビ、防臭効果を高めることができ、且つ前記精製された布が元々有する性能を変化させることがない。また、前記精製された布は、前記抗菌材を添加する以外に、更に架橋剤を添加することもでき、前記架橋剤は、前記精製された布の耐候性、耐溶剤性及び耐腐食性を向上させることができる。
【0027】
ナノ銀抗菌糸を用いて製造されただけのニット生地と比較して、滅菌されたニット生地の製造方法10で製造された滅菌されたニット生地は、制菌効果を有するだけではなく、更に、脱臭、通気、吸湿の効果を有する。また、前記滅菌されたニット生地でマスクを製造する時、チェッカーボードマス状の竹炭中空糸123が着用の快適感を向上させる。
【0028】
本発明は、好適な実施形態により上記のように開示したが、本発明をこれに限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神を逸脱しない範囲で変更及び修飾を行うことができ、従って、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲で定義するものを基準とするものである。
【符号の説明】
【0029】
10 滅菌されたニット生地の製造方法
12 生機
121 ナノ遠赤外線抗菌糸
123 竹炭中空糸