(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135457
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】捩り製品の成形方法
(51)【国際特許分類】
A21C 3/08 20060101AFI20220908BHJP
A21C 11/16 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A21C3/08
A21C11/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035266
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000115924
【氏名又は名称】レオン自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】原田 一宏
【テーマコード(参考)】
4B031
【Fターム(参考)】
4B031CA01
4B031CA09
4B031CA15
4B031CB10
4B031CG18
4B031CG27
4B031CJ11
4B031CL11
4B031CL12
(57)【要約】
【課題】細長い食品材料を捩り製品に成形する新しい方法を提供する。
【解決手段】本発明による方法は、1本又は複数本の細長い食品材料を、垂直方向軸線を中心に捩りながら連続的に下方に吐出することと、コンベヤに到達した細長い食品材料を前記コンベヤによって横方向に搬送することと、細長い食品材料の下降部分の一部である分離箇所を、シャッタ式絞り装置によって縮径させることと、前記分離箇所を、細いつなぎ部にすることと、細いつなぎ部を分離して、捩り製品に成形することとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本又は複数本の細長い食品材料を捩り製品に成形する方法であって、
1本又は複数本の細長い食品材料を、垂直方向軸線を中心に捩りながら連続的に下方に吐出することと、
コンベヤに到達した細長い食品材料を前記コンベヤによって横方向に搬送することと、
細長い食品材料の下降部分の一部である分離箇所を、シャッタ式絞り装置によって縮径させることと、
前記分離箇所を、引張りによって分離する細いつなぎ部にすることと、
細いつなぎ部を分離して、捩り製品に成形することと、を含む成形方法。
【請求項2】
前記コンベヤは、細長い食品材料を受入れる第1のコンベヤと、その下流側に配置された第2のコンベヤを含み、第2のコンベヤの速度は、第1のコンベヤの速度よりも速く、
細いつなぎ部を、第1のコンベヤと第2のコンベヤの速度差によって分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コンベヤは、細長い食品材料を受入れる第1のコンベヤと、その下流側に配置された第2のコンベヤを含み、
細いつなぎ部を、第1のコンベヤと第2のコンベヤの間の段差によって分離する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更に、細いつなぎ部を、第1のコンベヤ又はその下流に設けられた分離装置によって分離する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捩り製品の成形方法に関し、さらに詳細には、細長い食品材料を、垂直方向軸線を中心に捩りながら連続的に下方に吐出して、捩り製品に成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2は、1本又は複数本の細長い食品材料(ビスケット、クッキー等の菓子の生地、又は、パン生地等の発酵生地)を、垂直方向軸線を中心に捩りながら連続的に下方に吐出して、捩り製品に成形する方法及びシステムを開示している。吐出装置によって吐出され且つ捩られた細長い食品材料は、コンベヤによって横方向に搬送され、切断装置(切断刃又はシャッタ機構)によって所定の長さに切断されることにより、捩り製品に成形される。
【0003】
特許文献3及び4は、1本の細長い食品材料を、連続的に下方に吐出して、製品を成形する方法及びシステムを開示している。1本の細長い食品材料は、捩られることなしに真直ぐに下方に吐出される内側材料と、内側材料の周りに螺旋状に巻付けられるように吐出された外側材料を含んでいる。吐出装置によって吐出された細長い食品材料は、吐出された直ぐ後に、切断装置(シャッタ機構)によって所定の長さに切断されることにより、製品に成形され、その後、製品は、コンベヤによって横方向に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭56-138584号公報
【特許文献2】特開2005-269931号公報
【特許文献3】実登第3062496号公報
【特許文献4】実登第3057847号公報
【特許文献5】特開昭62-166850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された切断装置(シャッタ機構)の代わりに、特許文献3又は4に記載された切断装置(シャッタ機構)を配置した成形システムであれば、吐出装置と切断装置(シャッタ機構)を近くに配置したコンパクトな成形システムを実現できそうである。
【0006】
しかしながら、そのような成形システムを試作したところ、細長い食品材料がコンベヤに到達するまで、細長い食品材料を実質的に捩ることができないことが分かった。また、切断された細長い食品材料がコンベヤに着地する向きが安定せず、後続するコンベヤへのパンニングのための引渡しができないことが分かった。
【0007】
そこで、本発明は、細長い食品材料を捩り製品に成形するシステムを、シャッタ機構を用いながらコンパクトにすると共に、細長い食品材料がコンベヤに着地する向きを安定させることができる新しい成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、1本又は複数本の細長い食品材料を捩り製品に成形する本発明による方法は、1本又は複数本の細長い食品材料を、垂直方向軸線を中心に捩りながら連続的に下方に吐出することと、コンベヤに到達した細長い食品材料を前記コンベヤによって横方向に搬送することと、細長い食品材料の下降部分の一部である分離箇所を、シャッタ式絞り装置によって縮径させることと、前記分離箇所を、引張りによって分離する細いつなぎ部にすることと、細いつなぎ部を分離して、捩り製品に成形することと、を含む。
【0009】
このように構成された方法によれば、1本又は複数本の細長い食品材料を、垂直方向軸線を中心に捩りながら連続的に下方に吐出し、細長い食品材料の下降部分の一部である分離箇所を、シャッタ式絞り装置によって縮径させるので、細長い食品生地を吐出する吐出部とシャッタ式絞り装置を近くに配置することができ、したがって、細長い食品材料を捩り製品に成形するシステムを、シャッタ機構用いながらコンパクトにすることができる。また、細長い食品材料は、シャッタ式絞り装置によって縮径されるだけであり、切断されないので、細長い食品材料の捩りを維持することができると共に、細長い食品材料がコンベヤに着地する向きを安定させることができる。その結果、後続するコンベヤへのパンニングのための引渡しが安定し、捩り製品を乱れることなしに配列させることも可能である。
【0010】
本発明による方法の実施形態において、好ましくは、前記コンベヤは、細長い食品材料を受入れる第1のコンベヤと、その下流側に配置された第2のコンベヤを含み、第2のコンベヤの速度は、第1のコンベヤの速度よりも速く、細いつなぎ部を、第1のコンベヤと第2のコンベヤの速度差によって分離する。
【0011】
本発明による方法の実施形態において、好ましくは、前記コンベヤは、細長い食品材料を受入れる第1のコンベヤと、その下流側に配置された第2のコンベヤを含み、細いつなぎ部を、第1のコンベヤと第2のコンベヤの間の段差によって分離する。
【0012】
本発明による方法の実施形態において、好ましくは、更に、細いつなぎ部を、第1のコンベヤ又はその下流に設けられた分離装置によって分離する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明による捩じり製品を成形する方法に使用される成形システムの一例の概図である。
【
図3】開位置にあるシャッタ式絞り装置の概略図である。
【
図4】隙間を有する閉位置にあるシャッタ式絞り装置の概略図である。
【
図5】細長い食品材料の縮径箇所を示す概略図である。
【
図6】細長い食品材料の縮径箇所を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、細長い食品材料を捩り製品に成形する本発明による方法に使用される成形システムの一例を説明する。この成形システム1は、2本の細長い食品材料M1、M2を捩り製品Pに成形する成形システムである。
【0015】
成形システム1は、2本の細長い食品材料M1、M2を、垂直方向軸線Aを中心に捩りながら連続的に下方に吐出する吐出部2と、下方に吐出された細長い食品材料M1、M2を横方向Bに搬送する第1のコンベヤ4aと、第1のコンベヤ4aの下流側に配置された第2のコンベヤ4bと、下方に吐出された細長い食品材料M1、M2の所定の箇所MPを縮径させるシャッタ式絞り装置6を有している。
【0016】
吐出部2は、例えば、特許文献1に記載されている吐出機構と同様の構造を有する。概略的には、吐出部2は、食品材料M1、M2が投入される2つのホッパー8と、食品材料M1、M2をホッパー8から供給する2つの供給部10と、食品材料M1、M2を集合させる集合部12と、集合させた食品材料M1、M2を回転させながら吐出する回転ノズル部14を有している。
【0017】
集合部12において、一方の食品材料M1は、垂直方向軸線Aに沿って配置され、他方の食品材料M2は、一方の食品材料M1の周りに環状に配置される。
図2に示すように、回転ノズル部14を上方から見ると、回転ノズル部14は、矢印方向Rに回転可能であり、2つの流路16、18を有する。一点鎖線で示す境界14aは、食品材料M1と食品材料M2の間の仕切りの位置を示す。一方の流路16は、食品材料M1に対応して、垂直方向軸線A上に配置された入口16aと、それからオフセットされた出口16bを有する。他方の流路18は、食品材料M2に対応する位置に配置された入口18aと、垂直方向軸線Aに対して一方の出口16bの反対側に配置された出口18bを有する。かくして、吐出部2は、供給部10によってホッパー8から供給された食品材料M1、M2がそれぞれ、流路16、18の出口16b、18bから2本の細長い食品材料M1、M2として連続的に下方に吐出されるように構成される。また、吐出部2は、回転ノズル部14を回転させることにより、2本の細長い食品材料M1、M2が垂直方向軸線Aを中心に捩られて吐出されるように構成される。
【0018】
第1のコンベヤ4aは、2本の食品材料M1、M2を受入れた後でそれを幅方向中心に配置させるために、幅方向中心が低くなるように構成されたトラフ部4cを有するのがよい。また、第2のコンベヤ4bの速度は、第1のコンベヤ4aの速度よりも速いことが好ましい。
【0019】
シャッタ式絞り装置6は、例えば、特許文献5等に記載されたシャッタ式切断機構と同様の構造を有する。概略的には、
図3及び
図4に示すように、シャッタ式絞り装置6は、外枠20と、外枠20に収容された6つのシャッタ片22を有し、6つのシャッタ片22によって構成される開口を、カメラのシャッタのように開閉させることができるように構成される。
図3は、かかる開口が開いたシャッタ片22の開位置を示し、
図4は、かかる開口が、隙間を有するように閉じたシャッタ片22の閉位置を示す。このように、本実施形態によるシャッタ式絞り装置6では、食品材料を切断しないで縮径させるために、シャッタ片22が開位置から、隙間を有する閉位置まで移動するのに対し、特許文献5等に記載された切断装置では、食品材料を切断するために、シャッタ片が開位置から完全に閉じた完全閉位置まで移動する。本実施形態のシャッタ式絞り装置6は、閉位置における隙間の大きさを調整できるように、閉位置を調整できることが好ましい。なお、シャッタ式絞り装置6は、特許文献5等に記載されているようなスライド式シャッタに限らず、揺動式シャッタを含む任意のシャッタを採用してもよい。
【0020】
次に、細長い食品材料を捩り製品に成形する本発明による方法の実施形態を説明する。食品材料は、発酵させたパン生地であり、粘弾性を有する。
【0021】
2本の細長い食品材料M1、M2を、垂直方向軸線Aを中心に捩りながら連続的に下方に吐出する。吐出を開始した直後、2本の細長い食品材料は、コンベヤに到達していないぶら下がった状態であり、実質的に互いに捩られておらず、パン生地の弾性により、捩られてもほどける傾向にある。2本の細長い食品材料M1、M2が第1のコンベヤ4aに到達した後、2本の細長い食品材料M1、M2の捩りが維持されるようになり、捩りがほどけることが防止されるようになる。
【0022】
図1に示すように、第1のコンベヤ4aに到達した2本の細長い食品材料M1、M2を、第1のコンベヤ4aによって横方向Bに搬送する。2本の細長い食品材料M1、M2は、トラフ部4cによって、第1のコンベヤ4aの幅方向中心に寄せられる。
図5に示すように、2本の細長い食品材料M1、M2は、回転ノズル部14と第1のコンベヤ4a間の下降部分MLと、第1のコンベヤ4a上で搬送されている搬送部分MTを含む。
【0023】
2本の細長い食品材料M1、M2の下降部分MLの一部の箇所MPを、シャッタ式絞り装置6によって縮径させる。この箇所MPは、後で分離される分離箇所MPでもある。縮径の程度は、シャッタ片22の閉位置を変更することによって調整するのがよい。この縮径により、捩りが維持された状態で分離個所MPの外側の食品材料を内側に引寄せる効果や2本の細長い食品材料M1、M2同士を結着させる効果もある。仮に、分離箇所MPを引用文献3又は4に記載されているように切断してしまうと、2本の細長い食品材料M1、M2が再びぶら下がった状態に戻り、実質的に互いに捩じられない状態になってしまう。
【0024】
縮径された箇所MPは、捩りをほどく力が弱くなっている。このため、
図6に示すように、箇所MPがコンベヤに到達するまでの間、回転ノズル部14による捩り作用が、細長い食品材料M1、M2に維持されることになる。それと共に、箇所MPの径が、捩り作用により、更に縮径される。
【0025】
また、箇所MPと箇所MPの間の2本の細長い食品材料M1、M2は、その弾性により、長さ方向(搬送方向B)に縮もうとする傾向がある。それにより、2本の細長い食品材料M1、M2の搬送中、箇所MPが長さ方向Bに引張られ、分離箇所MPが更に縮径される。最終的に、箇所MPは、引張りによって分離する細いつなぎ部になる。細いつなぎ部は、弾性がほとんどない状態であることが好ましく、例えば、手で引張るだけで容易に分離可能である。
【0026】
次いで、細いつなぎ部である箇所MPを分離する。本実施形態では、第1のコンベヤ4aと第2のコンベヤ4bの速度差を利用して、箇所MPを第1のコンベヤと第2のコンベヤの間で引張って、分離させる。
【0027】
このような方法では、吐出部2とシャッタ式絞り装置6が近くに配置されているので、細長い食品材料を捩り製品に成形するシステムをコンパクトにすることができる。更に、2本の細長い食品材料M1、M2は、シャッタ式絞り装置6によって縮径されるだけであり、切断されないので、2本の細長い食品材料M1、M2の捩りを維持することができると共に、2本の細長い食品材料M1、M2が第1のコンベヤ4aに着地する向きを安定させることができる。その結果、後続するコンベヤへのパンニングのための引渡しが安定し、捩り製品を乱れることなしに配列させることができる。
【0028】
上記実施形態では、2本の細長い食品材料を捩り製品に成形したけれども、細長い食品材料は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、細長い食品材料の断面形状は任意であり、例えば、円形であってもよいし、三角形や矩形や正方形等の多角形であってもよいし、星形であってもよい。また、細長い食品材料は、特許文献2にも開示されているように、円筒状の外皮材と内材のコアを含む多重構造を有していてもよい。
【0029】
上記実施形態では、細長い食品材料は、発酵生地であるパン生地であったが、任意の食品材料を使用してもよく、例えば、中華饅頭生地等の他の発酵生地であってもよいし、パスタや麺類の生地であってもよいし、ビスケット、クッキー等の菓子の生地であってもよいし、練り製品の生地であってもよいし、外皮材で内材を覆った複合食品材料であってもよい。
【0030】
食品材料(生地)に応じて弾性等の材料特性が異なるので、箇所MPを、引張りによって分離する細いつなぎ部にするように、シャッタ片22の閉位置を調整するのがよい。例えば、弾性が大きい食品材料では、シャッタ片22の閉位置における隙間を弾性が小さい食品材料よりも比較的小さくすることが好ましい。また、箇所MPをシャッタ式絞り装置6によって縮径させるとき、箇所MPの径が、細いつなぎ部と同程度の径になる場合もあるし、上記実施形態で説明したように細いつなぎ部よりも太い径になる場合もある。
【0031】
上記実施形態では、第1のコンベヤ4aと第2のコンベヤ4bの速度差を利用して、箇所MPを分離したけれども、第1のコンベヤ4aと第2のコンベヤ4bの間の段差等を利用して、箇所MPを引張って分離してもよい。また、箇所MPの分離を確実にするために、補助的な分離装置(切断刃)を第1のコンベヤ4a又はその下流に設けてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 成形システム
2 吐出部
4a 第1のコンベヤ
4b 第2のコンベヤ
6 シャッタ式絞り装置
A 垂直方向軸線
M1、M2細長い食品材料
MP 分離箇所