(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135473
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】眉型スタンプ
(51)【国際特許分類】
A45D 40/30 20060101AFI20220908BHJP
B41K 1/02 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A45D40/30
B41K1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035298
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】390017891
【氏名又は名称】シヤチハタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】230117259
【弁護士】
【氏名又は名称】綿貫 敬典
(72)【発明者】
【氏名】木村 武佐士
(72)【発明者】
【氏名】松田 孝明
(72)【発明者】
【氏名】高末 廸予
(72)【発明者】
【氏名】柴田 蓮也
(57)【要約】
【課題】形状変更と、左右の形合わせが容易な眉型スタンプを提供すること。
【解決手段】透明な部材で成形された印台2と、印台2に対して着脱自在に貼付可能で柔軟性を有する左右の眉型印材3とを備え、前記印台に貼付された一方の眉型印材3の形状に対して他方の眉型印材3の形状を片側から見て合わせることを可能とした眉型スタンプ1とする。眉型スタンプ1は、印台2の表裏両面に、左右の眉型印材3をそれぞれ貼付可能な平滑面21を設けた構造とするか、印台2が左右一対で、左右の印台2同士を背中合わせに重ねた状態で固定する固定手段を有する構造とすることが好ましい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な部材で成形された印台と、前記印台に対して着脱自在に貼付可能で柔軟性を有する左右の眉型印材とを備え、前記印台に貼付された一方の眉型印材の形状に対して他方の眉型印材の形状を片側から見て合わせることを可能とした眉型スタンプ。
【請求項2】
前記印台の表裏両面に、前記眉型印材を貼付可能な平滑面を設けたことを特徴とする請求項1に記載の眉型スタンプ。
【請求項3】
前記印台が左右一対で、前記印台を背中合わせに重ねた状態で固定する固定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の眉型スタンプ。
【請求項4】
前記眉型印材は、前記印台に貼付される貼付面に粘着性樹脂を、前記貼付面とは反対側の印面に多孔質体を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の眉型スタンプ。
【請求項5】
前記眉型印材が多孔質樹脂で形成されており、前記印台に貼付される貼付面に吸着機能を持つ多数の微小孔を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の眉型スタンプ。
【請求項6】
前記眉型印材は、前記貼付面を形成する第1の層と、前記貼付面とは反対側の第2の層とを有し、第1の層の気孔径が5~100μmであり、第2の層の気孔径が100~300μmであることを特徴とする請求項5に記載の眉型スタンプ。
【請求項7】
前記印台が可撓性を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の眉型スタンプ。
【請求項8】
前記印台は、前記眉型印材を貼付可能な平滑面と、前記平滑面を囲むように形成されたリブとを備え、前記平滑面は前記眉型印材の貼付面より大きく形成されており、前記リブの高さは前記平滑面に貼付された前記眉型印材の高さより低くなるよう形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の眉型スタンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眉型スタンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、色素を付着させたスタンプを用いて眉の化粧ができる器具が知られている。特許文献1記載の化粧器具はスタンプ土台に接着剤等で眉型が固定されているものである。このような眉型スタンプでは、1つの決まった形状でしかスタンプを押すことができず、使用者が形状を変更することができなかった。また、この問題を解決するために眉型スタンプの形状を変更可能とした場合には、変更を加えた眉型スタンプの形状が左右対称となるように調整する手段が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決して、形状変更と、左右の形合わせが容易な眉型スタンプを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、透明な部材で成形された印台と、前記印台に対して着脱自在に貼付可能で柔軟性を有する左右の眉型印材とを備え、前記印台に貼付された一方の眉型印材の形状に対して他方の眉型印材の形状を片側から見て合わせることを可能とした眉型スタンプとする。
【0006】
前記印台の表裏両面に、前記眉型印材を貼付可能な平滑面を設けることが好ましい。
【0007】
なお、前記印台が左右一対で、前記印台を背中合わせに重ねた状態で固定する固定手段を有する構成とすることもできる。
【0008】
また、前記眉型印材は、前記印台に貼付される貼付面に粘着性樹脂を、前記貼付面とは反対側の印面に多孔質体を備えることが好ましい。
【0009】
また、前記眉型印材が多孔質樹脂で形成されており、前記印台に貼付される貼付面に吸着機能を持つ多数の微小孔を有する構成とすることもできる。この場合、前記眉型印材は、前記貼付面を形成する第1の層と、前記貼付面とは反対側の第2の層とを有し、第1の層の気孔径が5~100μmであり、第2の層の気孔径が100~300μmであることが好ましい。
【0010】
また、前記印台が可撓性を有することが好ましい。
【0011】
また、前記印台は、前記眉型印材を貼付可能な平滑面と、前記平滑面を囲むように形成されたリブとを備え、前記平滑面は前記眉型印材の貼付面より大きく形成されており、前記リブの高さは前記平滑面に貼付された前記眉型印材の高さより低くなるよう形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、柔軟性を有する左右の眉型印材を、印台に着脱自在に貼付することができる。また、印台が透明な部材で成形されているため、印台に貼付された一方の眉型印材の形が他方の側から透けて見える構造となっている。このため、形状変更と、左右の形合わせが容易な眉型スタンプとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態における眉型スタンプの斜視図である。
【
図2】第1の実施形態における眉型スタンプの分解斜視図である。
【
図3】印台に対する貼付面が粘着樹脂層である眉型印材の構造を表す図である。
【
図4】印台に対する貼付面に吸着機能を持つ多数の微小孔を有する眉型印材の構造を表す図である。
【
図5】第1の実施形態における眉型スタンプの正面図である。
【
図6】第1の実施形態における眉型スタンプの背面図である。
【
図7】第1の実施形態における眉型スタンプの平面図である。
【
図9】第1の実施形態における眉型スタンプにおいて、印台の表面に貼付された左眉用印材に対し、印台の裏面に貼付された右眉用印材の形状を合わせる前の状態を表した図である。
【
図10】第2の実施形態における眉型スタンプの斜視図である。
【
図11】第2の実施形態における眉型スタンプの分解斜視図である。
【
図12】第2の実施形態における眉型スタンプの正面図である。
【
図13】第2の実施形態における眉型スタンプの左側面図である。
【
図14】第2の実施形態における眉型スタンプの平面図である。
【
図16】第2の実施形態において、左右の眉型印材の形を合わせるために左右の印台を組み合わせた状態を示した斜視図である。
【
図18】
図16に示した状態の眉型スタンプの左側面図である。
【
図19】
図16に示した状態の眉型スタンプであって、左眉用印材に対し、右眉用印材の形状を合わせる前の状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(全体の構造)
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1~
図2に示されるように、眉型スタンプ1は、透明な部材で成形された印台2と、印台2に対して着脱自在に貼付可能で柔軟性を有する左右一対の眉型印材3とを備えている。実施形態の眉型印材3は、後述するとおり、印台2に貼付される側に形成された貼付面311において粘着性樹脂または吸着機能を持つ多数の微小孔のいずれかを有しており、印台2に対して着脱自在に貼付することができる。
【0015】
また、眉型スタンプ1は、印台2が透明で、表裏どちらかの側から左右両方の眉型印材3の形を見ることができるので、容易に眉型印材3同士の形状を左右対称に揃えることが可能である。このような構造を実現するために、第1の実施形態では表裏両面に左右の眉型印材3をそれぞれ貼付可能な平滑面21を設けた印台2を用い、第2の実施形態では左右一対であって背中合わせに重ねた状態で固定可能な印台2を用いる。第1、第2の実施形態における印台2の構造については後述する。
【0016】
(眉型印材3について)
まず、両実施形態に共通な眉型印材3について説明する。眉型印材3は、皮膚や眉毛に色素を付着させる印面321を有している。印面321の表面に化粧用パウダー等を含ませて押捺することで、意図する形状どおりに色素を付着させることができる。
図1~2に示されるように、印面321は眉型に形成されており、眉型印材3は、正面から背面に至る全体にわたり、横断面形状が印面321と同一となるよう形成されている。印面321が基本となる眉型形状を有しているので、使用者の眉の形や好みに合わせてその角度を微調整するだけで、意図した形状の眉を容易に表現可能な眉型スタンプ1とすることができる。
【0017】
実施形態の眉型印材3は、貼付面311を形成する第1の層31と、貼付面311とは反対側の印面321を形成する第2の層32とを有している。
【0018】
(貼付面に粘着性樹脂を備えた眉型印材3について)
ここで、
図3に示されるように、第1の層31が粘着性樹脂である例について説明する。第1の層31に用いる粘着性樹脂としては、例えば表面に再剥離性・柔軟性を有するウレタン樹脂製の粘着樹脂層312を備え、裏面にアクリル系の強粘着接着剤層313を備えた多層シート体が挙げられる。なお、この例では、第1の層31に前記多層シート体(商品名:TGシート(株式会社清和産業製))を使用しているが、片面に剥離可能な粘着性を有している樹脂であれば、材質・形状は特に限定されない。また、前記粘着性樹脂は、ウレタン樹脂製の粘着樹脂層312とアクリル系の強粘着接着剤層313の組み合わせに限定されるものではなく、それ以外の粘着性を有する樹脂と、接着剤の組み合わせからなる多層シートを使用しても良い。また、ウレタン樹脂製の粘着性樹脂またはそれ以外の粘着性を有する樹脂の単層シートを使用してもよい。
【0019】
第1の層31として前記多層シート体を用いる場合は、その表面側(再剥離性を有するウレタン樹脂製の粘着樹脂層312側)を印台2に対する貼付面311とし、裏面側(アクリル系の強粘着接着剤層側313側)に第2の層32を接着して2層構造とする。なお、2層構造に限らず、さらなる多層構造とすることもできる。
【0020】
印面321を形成する第2の層32は、化粧用パウダーなどの着色部材を含みやすいように多孔質体322で構成することが好ましい。実施形態の多孔質体322は、孔径が100~300μmの孔を気孔率80%の密度で有する多孔質体である。
【0021】
このように、眉型印材3を、剥離可能な粘着性を持つ第1の層31と、多孔質体322による第2の層32とで構成することにより、印台2への粘着力を維持しつつ、印面321側への化粧用パウダー等の着色部材の乗りがよい眉型印材3とすることができる。また、ウレタン樹脂製の粘着性樹脂は、汚れ等の付着によって粘着力が弱まっても、水洗いすることで粘着力が復活するため、繰り返し使用することができる。
【0022】
(貼付面に吸着機能を持つ多数の微小孔を備えた眉型印材3について)
次に、
図4に示されるように、第1の層31が多孔質体314であって、その貼付面311に、平滑面に対する吸着機能を持つ多数の微小孔を有する例について説明する。この例の第1の層31を形成する多孔質体314は、孔径が5~100μmの微小孔を気孔率70%の密度で有している。このような多孔質体314の微小孔は、平滑面に密着させた際に吸盤の役割を果たすので、接着部材を用いなくても、眉型印材3を、印台2に対して繰り返し自在に貼ったり剥がしたりすることが可能となる。
【0023】
第1の層31の反対側で印面321を形成する第2の層32は、第1の層31より大きい孔径を有する多孔質体322とすることが好ましい。この例の多孔質体322は孔径が100~300μmの孔を気孔率80%の密度で有している。このように、吸着機能を持つ第1の層31と、第1の層31より径の大きい気泡を有する第2の層32とを設けることにより、印台2への吸着力を維持しつつ、印面321側への化粧用パウダー等の着色部材の乗りがよい眉型印材3とすることができる。
【0024】
なお、2層構造に限らず、さらなる多層構造としてもよい。また、第1の層31と第2の層32は別々に成形してから接着されたものでもよいし、一体成形されたものでもよい。別々に成形された第1の層31と第2の層32とを貼り合わせる場合は、層の境目である境界面315に防水フィルム等の防水層を設けることが好ましい。前記防水層は接着剤によって形成されるものであってもよい。このような防水層を設けることで、第2の層32から第1の層31に水分が浸透して吸着力が低下することを抑制することが可能となる。
【0025】
ここで、第1の層31が多孔質体314で形成された眉型印材3について、その製造方法の例を説明する。原料NBR100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、40~60μmの塩化ナトリウム500部、50~60μmのバレイショデンプン100部を混練してマスターバッチAとし、これを厚さ1mmの平板状のシートAとした。これとは別に、原料NBR100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、150~250μmの塩化ナトリウム900部、70~100μmのバレイショデンプン100部を加え混練してマスターバッチBとし、これを厚さ4mmの平板状のシートBとした。
【0026】
次に、シートAとシートBを重ね合わせ、これを平滑な金型内に収容し、次いで、20MPa程度の圧力を加えて熱盤間に挟圧し、120℃の温度下で60分間加硫した。加硫後離型して、塩化ナトリウム、バレイショデンプンが完全に除去されるまで充分に水洗し、脱水乾燥してシートAとシートBが一体化した多孔質ゴムシートを得た。この多孔質ゴムシートを所要のサイズで印面321の形状に切断すると、第1の層31が厚さ1mm、硬度50°(スプリング式硬さ試験E型硬度計の測定値)、気孔率70%、孔径40~60μmであって、第2の層32が厚さ4mm、硬度20°(スプリング式硬さ試験E型硬度計の測定値)、気孔率80%、孔径150~250μmである眉型印材3を得ることができた。
【0027】
(受注生産による眉型印材3の加工製造)
眉型印材3の加工製造にあたっては、使用者の顔の形や好みに応じた形状とすることができるように受注生産方式をとることが好ましい。使用者は、例えば眉型印材3の製造業者が運営する注文用アプリケーションを用いて眉型印材3の加工を発注することができる。使用者は、スマートフォン等の画面に表示させた自分の顔の画像データに対し、選択した眉デザインを配置して、角度や太さを調整しながらシミュレーションを行うことができる。使用者がシミュレーションの結果に基づいて希望する形状の眉型印材3を発注すると、その発注内容を基に眉型印材3が加工製造される。このようなシミュレーションシステムとしては、特公平8-23871号公報に記載されているとおり公知のシステムが存在しており、本実施形態ではそのような公知のシステムを用いることができる。なお、眉型印材3は受注生産ではなく既成のパターンが用意されるものであってもよい。
【0028】
(印台2について)
次に、印台2について説明する。実施形態の印台2は透明な樹脂で成形された、全体が扁平な横長の略長方形状の部材である。印台2は、眉型印材3の第1の層31側を貼付可能な平滑面21と、平滑面21を囲むように形成されたリブ22とを備えた印材保持部23と、印材保持部23の端部に設けられた持ち手24とを備えている。持ち手24は、印材保持部23の左右の端部、すなわち、平滑面21に眉型印材3が貼付された場合に眉頭側と眉尻側となる位置に形成されている。
【0029】
(第1の実施形態)
第1の実施形態における印台2について説明する。第1の実施形態では、
図5~8に示されるように印台2の表裏両面に平滑面21及びリブ22が設けられており、この例では表側の平滑面21に左眉用印材3Lが、裏側の平滑面21に右眉用印材3Rが貼付される。平滑面21は表面が平滑なため眉型印材3の貼付面311を着脱自在に貼付することができる。
【0030】
また、平滑面21を眉型印材3の貼付面311より大きく形成し眉型印材3の形状を調整可能な余地を持たせることによって、眉型印材3の形状変更の自由度が高い眉型スタンプ1とすることができる。また、大きさや形状の異なるさまざまな眉型印材3にも対応できる。
【0031】
平滑面21の外周には、平滑面21を囲むようにリブ22が形成されている。
図8に示されるように、リブ22の高さは、平滑面21に貼付された眉型印材3の高さより低く形成することが好ましい。このようなリブ22が形成されていると、眉型スタンプ1を押捺する際、顔に密着させた眉型スタンプ1が一定の角度以上に傾き過ぎないように、リブ22が顔に当接してストッパーの役割を果たすので、眉型印材3が横方向に押されてつぶれることを抑制することができる。
【0032】
なお、印台2は、可撓性を有する素材で形成することが好ましい。印台2の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、シリコン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などのプラスチックを用いることが可能である。印台2に可撓性を持たせることで、顔の形状に応じて印台2を撓ませて押捺することができ、眉頭から眉尻まで一度でパウダーを付着させることができる。
【0033】
(第1の実施形態の眉型スタンプ1の使用方法)
第1の実施形態における眉型スタンプ1の使用方法について説明する。まず、左右いずれかの眉型印材3を、印台2に対して貼付面311と平滑面21とが密着する向きで貼り付ける。ここでは、先に左眉用印材3Lを印台2の表面に貼付する例を挙げて説明する。実施形態の平滑面21には線状の位置決めライン211が刻まれており、位置決めライン211に左眉用印材3Lの眉頭の先端を合わせて貼付する。
【0034】
眉型印材3は柔軟性を有する素材で形成されているので、基本となる眉型の角度や傾き等の形状を手で変更させることができる。眉型印材3を印台2に貼り付けたまま眉型印材3の形状を変更させて軽く押圧すると、変形後の形状が貼付面32の吸着力または粘着力により固定され維持される。このような構造とすると、眉尻の先端だけ角度を変えたり、一部分の形状をわずかに変えたりするなど、変形させたい部分だけを容易に細かく調整することができる。印台2は透明な部材で成形されているので、眉型スタンプ1を使用者の眉に当て、鏡を見ながら形状を調整することも可能である。
【0035】
左眉用印材3Lの形状を調整したら、右眉用印材3Rを、裏側の平滑面21に、眉頭の先端を位置決めライン211に合わせて貼付する。なお、左眉用印材3Lの形状調整後に右眉用印材3Rを貼付するのではなく、初めから左眉用印材3Lと右眉用印材3Rとを印台2に貼付した状態で、左眉用印材3Lの形状調整を行ってもよい。
【0036】
図9には、印台2の表面に左眉用印材3Lが、裏面に右眉用印材3Rが貼付されていて、左眉用印材3Lの形状のみが調整済みとなった状態が示されている。この時点では、実線で表されている左眉用印材3Lの形状と、点線で表されている右眉用印材3Rの形状は互いに左右対称とはなっていないので、右眉用印材3Rの形状を左眉用印材3Lに合わせる必要がある。ここで、印台2は透明な部材で成形されているので、一方の側から他方の側に貼付された眉型印材3の形が透けて見えるようになっており、右眉用印材3Rの形状を調整済みの左眉用印材3Lの形状に合わせて、眉型印材3同士を左右対称とすることが容易にできる。このように、第1の実施形態では一つの印台2を用いた単純な構成によって、眉型印材3の形状変更及び左右の形合わせを容易に行うことが可能である。
【0037】
左右の眉型印材3の形合わせ後、眉型印材3が印台2に貼付された状態のまま、印面321に化粧用パウダー等の色素を含ませる。使用者は手で印台2を保持しながら、印面321の眉頭側を、使用者の眉頭としたい部分の位置に合わせ、色素を含んだ印面321を使用者の眉に当て、眉毛及び皮膚に色素を付着させて化粧をすることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
第2の実施形態における印台2について説明する。第2の実施形態では、
図10~
図11に示されるように、左右一対であって背中合わせに重ねた状態で固定可能な左眉用印台2Lと右眉用印台2Rとを用い、左眉用眉型スタンプ1Lと右眉用眉型スタンプ1Rとによって構成される眉型スタンプ1とする。第2の実施形態では、左右の各印台2の表側に印材保持部23が設けられている。左右の各印台2の平滑面21に形成された位置決めライン211は、左眉用印台2Lは表側から見て右端に、右眉用印台2Rは表側から見て左端に位置している。なお、印材保持部23の構造及び印台2の素材は第1の実施形態と同様である。ここで印台2の「表側」とは眉型印材3が貼付される側であり、「裏側」とは「表側」の反対側と定義する。前述した「背中合わせに重ねた状態」とは、左右一対の印台2を互いに裏側の面を対向させて重ねた状態を意味するものとする。
【0039】
(第2の実施形態の印台2の固定手段)
印台2同士を重ねて固定するための固定手段について説明する。この実施形態では、2つの固定手段を有している。一つは持ち手24の組み合わせによるもので、もう一つは印台2の側面に形成された組合せ突起によるものである。
【0040】
まず、持ち手24の構造について説明する。印材保持部23の左右の端部、すなわち、平滑面21に眉型印材3が貼付された場合に眉頭側と眉尻側となる位置には持ち手24が形成されている。
図12に示されるように、左眉用印台2Lの眉頭側の持ち手24aは、印材保持部23の上下方向の中心線より下側にずれた位置に形成され、眉尻側の持ち手24bは、同中心線より上側にずれた位置に形成されている。また、右眉用印台2Rの眉頭側の持ち手24cは、印材保持部23の上下方向の中心線より上側にずれた位置に形成され、眉尻側の持ち手24dは同中心線より下側にずれた位置に形成されている。
図13に示されるように、持ち手24aと24b同士、持ち手24cと24d同士の位置のずれは、印台2の側面から見て持ち手同士が重ならない範囲で最小限とすることが好ましい。
【0041】
このように持ち手24の位置が前記中心線からずれていることにより、
図16~
図18に示されるように、印台2同士を背中合わせに重ねた際に左眉用印台2Lと右眉用印台2Rの持ち手24同士が互い違いに組み合い、印台2同士を背中合わせに重ねた状態で固定することが可能となる。
【0042】
次に、組合せ突起25の構造について説明する。
図11及び
図13~
図15に示されるように、第2の実施形態の印台2には、平滑面21と直交しリブ22と反対側の方向に延びる組合せ突起25が形成されている。
図15に示されるように、左眉用印台2Lの組合せ突起25Lは、リブ22の基部を延長するように形成されていて、対面する2つのリブ22及び組合せ突起25Lと、平滑面21とは、断面がH型となる構造を有している。一方、右眉用印台2Rでは、組合せ突起25Rはリブ22より内側となる位置に形成されていて、組合せ突起25Rの基部とリブ22の基部との境目には、外側になだらかな傾斜面26が形成されている。
【0043】
図16~
図18に示されるように、右眉用印台2Rを裏返しその上に眉用印台2Lを重ねると、組合せ突起25Lと組合せ突起25Rとが組合い、左右一対の印台2同士が背中合わせに重なった状態で固定される。また、組合せ突起25L、25Rは化粧用パウダー等(図示なし)の色素を印材3に付着させる際の把持部を兼ねている。
【0044】
(第2の実施形態の眉型スタンプ1の使用方法)
第2の実施形態における眉型スタンプ1の使用方法について説明する。まず、左眉用印材3Lを左眉用印台2Lに、右眉用印材3Rを右眉用印台2Rに、それぞれ平滑面21の位置決めライン211に眉頭の先端を合わせて貼付する。その後、左右いずれかの眉型印材3の形状を、使用者の好みに合わせて調整する。第1の実施形態と同様に、眉型スタンプ1を使用者の眉に当てて鏡を見ながら形状を調整してもよい。
【0045】
一方の眉型印材3の形状を調整したら、他方の眉型印材3の形状をそれに合わせて調整する。ここでは、先に左眉用印材3Lの形状を調整した場合を例に説明する。
図16~
図18に示されるように、右眉用印台2Rを裏返しその上に眉用印台2Lを重ねると、組合せ突起25Lと組合せ突起25Rとが組合い、左右一対の印台2同士が互いに固定される。このとき、持ち手24においても、持ち手24aと持ち手24c、持ち手24bと持ち手24dとが互いに組合うので、よりしっかりと左右一対の印台2同士を固定することができる。
【0046】
図19には、前記のように組み合わされた左右一対の印台2に、形状を調整済みの左眉用印材3Lと形状未調整の右眉用印材3Rとがそれぞれ貼付された状態が示されている。この時点では、実線で表されている左眉用印材3Lの形状と、点線で表されている右眉用印材3Rの形状は互いに左右対称とはなっていないので、右眉用印材3Rの形状を左眉用印材3Lに合わせる必要がある。ここで、左右一対の印台2はいずれも透明な部材で成形されているので、一方の側から他方の側に貼付された眉型印材3の形が透けて見えるようになっている。また、左右一対の印台2同士が組み合わされた状態において、眉型印材3が貼付された平滑面21はどちらも外側に面しているので、外側から眉型印材3に触れることができ、形を調整しやすい。したがって、右眉用印材3Rの形状を調整済みの左眉用印材3Lの形状に合わせて、眉型印材3同士を左右対称とすることが容易にできる。
【0047】
左右の眉型印材3の形合わせ後、印台2同士を分離し、眉型印材3が印台2に貼付された状態のまま、左右それぞれの印面321に化粧用パウダー等の色素を含ませる。使用者は手で印台2の組合せ突起25を保持しながら、印面321の眉頭側を、使用者の眉頭としたい部分の位置に合わせ、色素を含んだ印面321を使用者の眉に当て、眉毛及び皮膚に色素を付着させて化粧をすることができる。
【0048】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 眉型スタンプ
2 印台
21 平滑面
22 リブ
23 印材保持部
3 眉型印材
311 貼付面
321 印面