(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135484
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】雪氷路面用タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/13 20060101AFI20220908BHJP
B60C 11/12 20060101ALI20220908BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B60C11/13 C
B60C11/12 C
B60C11/03 300A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035316
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 賢悟
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB03
3D131BB11
3D131BC12
3D131BC18
3D131EB07U
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB22W
3D131EB23V
3D131EB23X
3D131EB31V
3D131EB31X
3D131EB32W
3D131EB43W
3D131EB44V
3D131EB44W
3D131EB44X
3D131EB81V
3D131EB81W
3D131EB81X
3D131EC11V
3D131EC11W
3D131EC11X
(57)【要約】
【課題】雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れたタイヤの提供。
【解決手段】タイヤのトレッドは、
(1)周方向に延びる主溝32、
(2)それぞれがサイプを有する複数のブロック48、
及び
(3)周方向において2つのブロック48の間に位置しており、かつ主溝32と連続する横溝40
を有する。この横溝40は、主溝32との境界から離れた位置において最小幅W1を有し、かつこの境界においてこの最小幅W1より大きい幅W2を有する。好ましくは、幅W2の最小幅W1に対する比(W2/W1)は、1.2以上である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド面を有するトレッドを備えた雪氷路面用タイヤであって、
上記トレッドが、
(1)周方向に延びる主溝、
(2)それぞれがサイプを有する複数のブロック、
及び
(3)周方向において2つのブロックの間に位置しており、かつ上記主溝と連続する横溝
を有しており、
上記横溝が、上記主溝との境界から離れた位置において最小幅W1を有し、かつ上記境界においてこの最小幅W1より大きい幅W2を有するタイヤ。
【請求項2】
上記横溝が、上記主溝との境界において最大幅を有する請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
上記幅W2の上記最小幅W1に対する比(W2/W1)が1.2以上である請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
上記トレッド面のランド率が67%以上82%以下である請求項1から3のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項5】
上記横溝が、上記主溝との境界から上記幅が最小である位置までのテーパー形状を有する、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項6】
上記横溝が、上記主溝との境界から上記幅が最小である位置までのステップ形状を有する、請求項1から4のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項7】
上記トレッドが、
(4)周方向に延びており、その幅Wsが上記主溝の幅Wmより小さい細溝
をさらに備えており、
上記横溝が、上記細溝と連続しており、
上記横溝が、上記細溝との境界において上記最小幅W1を有する、請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項8】
上記トレッドが、
(5)周方向に延びる第二主溝
をさらに備えており、
上記横溝が、上記第二主溝と連続しており、
上記横溝が、上記第二主溝との境界において上記最小幅W1より大きい幅W3を有する請求項1から6のいずれかに記載のタイヤ。
【請求項9】
上記幅W3の上記最小幅W1に対する比(W3/W1)が1.2以上である請求項8に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪氷路面上の走行に適したタイヤに関する。詳細には、本発明は、このタイヤのトレッドパターンの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
スタッドレスタイヤは、雪路面及び氷路面の上での走行に適している。従来のスタッドレスタイヤは、複数の溝と、これらの溝によってセパレートされた複数のブロックとを有している。それぞれのブロックは、その接地面に複数のサイプを有している。雪路面では、溝が雪を踏み固めて雪塊が形成される。この雪塊に発生する剪断応力により、雪路面上でのスリップが抑制される。氷路面では、ブロックのエッジ効果により、タイヤと路面との間に存在する水膜が除去される。水膜の除去により、氷路面上でのスリップが抑制される。雪路面でのスリップ抑制と、氷路面でのスリップ抑制との両立が考慮されて、溝とブロックとの適正な面積比率が採用されている。スタッドレスタイヤの一例が、特開平7-172113号公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタッドレスタイヤの溝に、雪が詰まることがある。特に、雪の深い路面での走行により、この詰まりが頻繁に生じる。溝に雪が詰まったタイヤでは、この溝が雪塊の形成に寄与し得ない。溝に雪が詰まったタイヤが雪路面の上を走行すると、スリップが生じやすい。
【0005】
溝の面積比率が大きいタイヤでは、この溝に局部的に雪が詰まっても、雪塊の形成による剪断応力が発生しうる。しかし、このタイヤでは、ブロックの面積比率が小さいので、氷路面の上の走行でのエッジ効果が小さい。
【0006】
本発明の目的は、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れたタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る雪氷路面用タイヤは、トレッド面を有するトレッドを備える。このトレッドは、
(1)周方向に延びる主溝、
(2)それぞれがサイプを有する複数のブロック、
及び
(3)周方向において2つのブロックの間に位置しており、かつ主溝と連続する横溝
を有する。この横溝は、主溝との境界から離れた位置において最小幅W1を有し、かつこの主溝との境界においてこの最小幅W1より大きい幅W2を有する。
【0008】
好ましくは、横溝は、主溝との境界において最大幅を有する。
【0009】
好ましくは、幅W2の最小幅W1に対する比(W2/W1)は、1.2以上である。好ましくは、トレッド面のランド率は、67%以上82%以下である。
【0010】
横溝が、主溝との境界から幅が最小である位置までのテーパー形状を、有してもよい。横溝が、主溝との境界から幅が最小である位置までのステップ形状を、有してもよい。
【0011】
トレッドは、
(4)周方向に延びており、その幅Wsが上記主溝の幅Wmより小さい細溝
を有しうる。横溝は、この細溝と連続してよい。横溝は、細溝との境界において最小幅W1を有しうる。
【0012】
トレッドは、
(5)周方向に延びる第二主溝
を有しうる。横溝は、この第二主溝と連続してよい。横溝は、第二主溝との境界において最小幅W1より大きい幅W3を有しる。好ましくは、幅W3の最小幅W1に対する比(W3/W1)は、1.2以上である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る雪氷路面用タイヤでは、雪の踏み固めによって形成された雪塊に発生する剪断応力が、大きい。このタイヤでは、ブロックにおけるエッジ効果が大幅に阻害されることはない。このタイヤは、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る雪氷路面用タイヤの一部が示された断面図である。
【
図2】
図2は、
図1のタイヤのトレッドパターンの一部が示された展開図である。
【
図3】
図3は、
図2のトレッドパターンの一部が示された拡大図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った拡大断面図である。
【
図5】
図5は、
図2のトレッドパターンの一部が示された拡大図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI線に沿った拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態に係る雪氷路面用タイヤのトレッドパターンの一部が示された平面図である。
【
図8】
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係る雪氷路面用タイヤのトレッドパターンの一部が示された平面図である。
【
図9】
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係る雪氷路面用タイヤのトレッドパターンの一部が示された平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1には、雪氷路面用タイヤ2の回転軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面の一部が示されている。
図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。後述されるトレッドパターンを除けば、このタイヤ2の形状は、赤道面CLに対して鏡面対称である。この一点鎖線CLは、軸方向における、このタイヤ2の中心線でもある。
【0017】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、ベルト12、インナーライナー14及びインスレーション16を有している。タイヤ2は、他の種々の部材を有しうる。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、典型的にはトラック、バス等に装着される。
【0018】
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接触するトレッド面18を有している。トレッド4の材質は、架橋されたゴム組成物である。トレッド4が、ベースと、このベースを覆うキャップとを有してもよい。トレッド4が、3以上の層を有してもよい。トレッド4は、後に詳説されるトレッドパターンを有している。
【0019】
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の一部は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。
【0020】
それぞれのビード8は、サイドウォール6よりも軸方向内側に位置している。このビード8は、コア20と、このコア20から半径方向外向きに延びるエイペックス22とを有している。コア20はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス22は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス22は、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0021】
カーカス10は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカス10は、並列された多数のコードとトッピングゴムとを有している。それぞれのコードが赤道面CLに対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。コードは、スチール又は有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス10が、バイアス構造を有してもよい。
【0022】
ベルト12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト12は、カーカス10と積層されている。ベルト12は、カーカス10を補強する。ベルト12は、第一層24、第二層26、第三層28及び第四層30を有している。それぞれの層は、並列された多数のコードとトッピングゴムとを有している。それぞれのコードは、赤道面CLに対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上60°以下である。第二層26のコードの赤道面CLに対する傾斜方向は、第一層24のコードの赤道面CLに対する傾斜方向と同一である。第三層28のコードの赤道面CLに対する傾斜方向は、第二層26のコードの赤道面CLに対する傾斜方向とは逆である。第四層30のコードの赤道面CLに対する傾斜方向は、第三層28のコードの赤道面CLに対する傾斜方向と同一である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0023】
インナーライナー14は、インスレーション16を介してカーカス10に接合されている。インナーライナー14は、空気遮蔽性に優れている。
【0024】
図2は、
図1のタイヤ2のトレッドパターンの一部が示された展開図である。このトレッドパターンは、一対のクラウン主溝32、一対の細溝34、及び一対のショルダー主溝36を有している。それぞれのクラウン主溝32は、周方向に沿って延在している。本実施形態では、クラウン主溝32は、赤道面CLよりも軸方向外側に位置している。クラウン主溝32の位置が、赤道面CLと一致してもよい。それぞれの細溝34は、周方向に沿って延在している。この細溝34は、クラウン主溝32よりも軸方向外側に位置している。それぞれのショルダー主溝36は、周方向に沿って延在している。このショルダー主溝36は、細溝34よりも軸方向外側に位置している。このタイヤ2は、4つの主溝34、36と2つの細溝34とを有している。主溝34、36の数は、3以下でもよく、5以上でもよい。細溝34の数は、1以下でもよく、3以上でもよい。
図2において矢印TWは、トレッド4の幅を表す。幅TWは、軸方向に沿って測定される。
【0025】
これらの主溝34、36及び細溝34により、トレッド面18に、複数の列が形成されている。具体的には、このトレッドパターンは、第一列R1、一対の第二列R2、一対の第三列R3及び一対の第四列R4を有している。第一列R1は、赤道面CLを跨いでいる。それぞれの第二列R2は、第一列R1よりも、軸方向外側に位置している。それぞれの第三列R3は、第二列R2よりも、軸方向外側に位置している。それぞれの第四列R4は、第三列R3よりも、軸方向外側に位置している。
【0026】
このトレッドパターンは、複数のクラウン横溝38、複数の第一ミドル横溝40、複数の第二ミドル横溝42、及び複数のショルダー横溝44を有している。クラウン横溝38は、第一列R1に存在している。第一ミドル横溝40は、第二列R2に存在している。第二ミドル横溝42は、第三列R3に存在している。ショルダー横溝44は、第四列R4に存在している。それぞれの横溝は、概して軸方向に沿って延在している。
【0027】
これらの溝32、34、36、38、40、42、44により、トレッド面18は、複数のブロックに区画されている。具体的には、トレッドパターンは、複数のクラウンブロック46、複数の第一ミドルブロック48、複数の第二ミドルブロック50、及び複数のショルダーブロック52を有している。それぞれのブロックは、複数のサイプ54を有している。これらのサイプ54を有するブロックは、多数のエッジを有する。このブロックは、氷路面の上でのスリップを抑制しうる。それぞれのサイプ54は、概して軸方向に延在している。サイプ54が、ジグザグ形状を有してもよい。
【0028】
第一列R1では、クラウン横溝38とクラウンブロック46とが、周方向に沿って交互に並んでいる。第二列R2では、第一ミドル横溝40と第一ミドルブロック48とが、周方向に沿って交互に並んでいる。第三列R3では、第二ミドル横溝42と第二ミドルブロック50とが、周方向に沿って交互に並んでいる。第四列R4ではショルダー横溝44とショルダーブロック52とが、周方向に沿って交互に並んでいる。
【0029】
図3は
図2のトレッドパターンの一部が示された拡大図であり、
図4は
図3のIV-IV線に沿った拡大断面図である。
図3には、クラウン主溝32、細溝34、第一ミドル横溝40、クラウンブロック46、2つの第一ミドルブロック48及び第二ミドルブロック50が示されている。
図3において、矢印Wmはクラウン主溝32の幅を表し、矢印Wsは細溝34の幅を表す。幅Wmは、幅Wsよりも大きい。
【0030】
図3において、第一ミドル横溝40の上側には第一ミドルブロック48が存在しており、第一ミドル横溝40の下側には他の第一ミドルブロック48が存在している。第一ミドル横溝40は、周方向において2つの第一ミドルブロック48の間に位置している。第一ミドル横溝40は、クラウン主溝32から細溝34にまで至っている。第一ミドル横溝40は、クラウン主溝32に連続しており、かつ細溝34に連続している。
【0031】
図3に示されるように、第一ミドル横溝40は、クラウン主溝32との境界から細溝34との境界までのテーパー形状を有している。この第一ミドル横溝40の幅(周方向サイズ)は、クラウン主溝32との境界から細溝34との境界に向かって、徐々に小さくなる。
図3において、矢印W1は第一ミドル横溝40の最小幅を表し、矢印W2は第一ミドル横溝40の最大幅を表す。第一ミドル横溝40は、細溝34との境界において最小幅W1を有しており、クラウン主溝32との境界において最大幅W2を有している。換言すれば、第一ミドル横溝40は、クラウン主溝32との境界から離れた位置において、最小幅W1を有している。
【0032】
前述の通り、クラウン主溝32の幅Wmは大きい。前述の通り第一ミドル横溝40は、クラウン主溝32との境界において最大幅W2を有している。従って、この境界の近傍では、溝の面積率が大きい。タイヤ2が雪路面の上を走行するとき、この境界の近傍において、クラウン主溝32及び第一ミドル横溝40に、十分に雪が侵入する。この境界の近傍で雪が踏み固められることで、体積の大きい雪塊が形成されうる。この雪塊に発生する剪断応力は、大きい。この雪塊は、タイヤ2のスリップを抑制する。さらに、この境界の近傍では、溝に雪が詰まりにくい。
【0033】
前述の通り第一ミドル横溝40は、細溝34との境界において最小幅W1を有している。従って、この境界の近傍では、ブロックの面積率が大きい。このブロックのエッジは、タイヤ2が氷路面の上を走行したときのスリップを抑制する。
【0034】
このトレッドパターンの、最大幅W2の位置の近傍は、雪路面でのスリップの抑制に寄与する。このトレッドパターンの、最小幅W1の位置の近傍は、氷路面でのスリップの抑制に寄与する。最小幅W1及び最大幅W2を有する第一ミドル横溝40を含むタイヤ2は、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れる。
【0035】
第一ミドル横溝40が、クラウン主溝32との境界とは異なる位置で、最大幅W2を有してもよい。この場合でも、第一ミドル横溝40は、クラウン主溝32との境界において、最小幅W1よりも大きい幅を有する。
【0036】
図3には、
図2において赤道面CLよりも右側に位置する第一ミドル横溝40が示されている。
図2において赤道面CLよりも左側に位置する第一ミドル横溝40も、同様に、雪路面の上でのスリップ抑制性能と氷路面の上でのスリップ抑制性能とに、寄与しうる。
【0037】
図5は
図2のトレッドパターンの一部が示された拡大図であり、
図6は
図5のVI-VI線に沿った拡大断面図である。
図5には、細溝34、ショルダー主溝36、第二ミドル横溝42、第一ミドルブロック48、2つの第二ミドルブロック50及びショルダーブロック52が示されている。
図5において、矢印Wsは細溝34の幅を表し、矢印Wmはショルダー主溝36の幅を表す。幅Wmは、幅Wsよりも大きい。本実施形態では、ショルダー主溝36の幅Wmは、クラウン主溝32の幅Wm(
図3参照)と同じである。ショルダー主溝36の幅Wmが、クラウン主溝32の幅Wmと異なってもよい。
【0038】
本実施形態では、第二ミドル横溝42の輪郭形状は、第一ミドル横溝40の輪郭形状と合同である。第二ミドル横溝42の輪郭形状が、第一ミドル横溝40の輪郭形状と異なってもよい。本実施形態では、第二ミドルブロック50の輪郭形状は、第一ミドルブロック48の輪郭形状と合同である。第二ミドルブロック50の輪郭形状が、第一ミドルブロック48の輪郭形状と異なってもよい。
【0039】
図5において、第二ミドル横溝42の上側には第二ミドルブロック50が存在しており、第二ミドル横溝42の下側には他の第二ミドルブロック50が存在している。第二ミドル横溝42は、周方向において2つの第二ミドルブロック50の間に位置している。第二ミドル横溝42は、細溝34からショルダー主溝36にまで至っている。第二ミドル横溝42は、細溝34に連続しており、かつショルダー主溝36に連続している。
【0040】
図5に示されるように、第二ミドル横溝42は、ショルダー主溝36との境界から細溝34との境界までのテーパー形状を有している。この第二ミドル横溝42の幅(周方向サイズ)は、ショルダー主溝36との境界から細溝34との境界に向かって、徐々に小さくなる。
図5において、矢印W1は第二ミドル横溝42の最小幅を表し、矢印W2は第二ミドル横溝42の最大幅を表す。第二ミドル横溝42は、細溝34との境界において最小幅W1を有しており、ショルダー主溝36との境界において最大幅W2を有している。換言すれば、第二ミドル横溝42は、ショルダー主溝36との境界から離れた位置において、最小幅W1を有している。
【0041】
前述の通り、ショルダー主溝36の幅Wmは大きい。前述の通り第二ミドル横溝42は、ショルダー主溝36との境界において最大幅W2を有している。従って、この境界の近傍では、溝の面積率が大きい。タイヤ2が雪路面の上を走行するとき、この境界の近傍において、ショルダー主溝36及び第二ミドル横溝42に、十分に雪が侵入する。この境界の近傍で雪が踏み固められることで、体積の大きい雪塊が形成されうる。この雪塊に発生する剪断応力は、大きい。この雪塊は、タイヤ2のスリップを抑制する。さらに、この境界の近傍では、溝に雪が詰まりにくい。
【0042】
前述の通り第二ミドル横溝42は、細溝34との境界において最小幅W1を有している。従って、この境界の近傍では、ブロックの面積率が大きい。このブロックのエッジは、タイヤ2が氷路面の上を走行したときのスリップを抑制する。
【0043】
このトレッドパターンの、最大幅W2の位置の近傍は、雪路面でのスリップの抑制に寄与する。このトレッドパターンの、最小幅W1の位置の近傍は、氷路面でのスリップの抑制に寄与する。最小幅W1及び最大幅W2を有する第二ミドル横溝42を含むタイヤ2は、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れる。
【0044】
第二ミドル横溝42が、ショルダー主溝36との境界とは異なる位置で、最大幅W2を有してもよい。この場合でも、第二ミドル横溝42は、ショルダー主溝36との境界において、最小幅W1よりも大きい幅を有する。
【0045】
図5には、
図2において赤道面CLよりも右側に位置する第二ミドル横溝42が示されている。
図2において赤道面CLよりも左側に位置する第二ミドル横溝42も、同様に、雪路面の上でのスリップ抑制性能と氷路面の上でのスリップ抑制性能とに、寄与しうる。
【0046】
雪路面の上でのスリップ抑制の観点から、横溝の最大幅W2は4.0mm以上が好ましく、4.5mm以上がより好ましく、5.0mm以上が特に好ましい。最大幅W2は、10mm以下が好ましい。
【0047】
氷路面の上でのスリップ抑制の観点から、横溝の最小幅W1は4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。最小幅W1は、1.0mm以上が好ましい。
【0048】
雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスの観点から、最大幅W2の最小幅W1に対する比(W2/W1)は、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上が特に好ましい。この比(W2/W1)は、3.0以下が好ましい。
【0049】
図3(又は
図5)における矢印Ltは、第一ミドル横溝40(又は第二ミドル横溝42)の長さである。長さLtは、軸方向に沿って測定される。長さLtのトレッド幅TWに対する比率は、5%以上が好ましい。この比率が5%以上である横溝は、雪路面の上でのスリップ抑制及び氷路面の上でのスリップ抑制に寄与しうる。この観点から、この比率は8%以上がより好ましく、10%以上が特に好ましい。この比率は、20%以下が好ましい。
【0050】
雪路面の上でのスリップ抑制の観点から、主溝の幅Wmは5.0mm以上が好ましく、7.0mm以上がより好ましく、9.5mm以上が特に好ましい。この幅Wmは、20mm以下が好ましい。
【0051】
氷路面の上でのスリップ抑制の観点から、細溝34の幅Wsは4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。幅Wsがゼロに近い値であってもよい。本発明では、細溝34の概念には、サイプの幅と同様の幅を有しておりかつ周方向に延在する凹みが含まれる。
【0052】
本実施形態では、クラウン横溝38の幅は、一定である。クラウン横溝38が、左側のクラウン主溝との境界において大きくかつ右側のクラウン主溝との境界において小さい幅を有してもよい。換言すれば、クラウン横溝38が右に向かってテーパーであってよい。クラウン横溝38が、右側のクラウン主溝との境界において大きくかつ左側のクラウン主溝との境界において小さい幅を有してもよい。換言すれば、クラウン横溝38が左に向かってテーパーであってよい。
【0053】
第一列R1が、右に向かってテーパーである複数のクラウン横溝38と、左に向かってテーパーである複数のクラウン横溝38とを含んでもよい。好ましくは、右に向かってテーパーである複数のクラウン横溝38と左に向かってテーパーである複数のクラウン横溝38とは、交互に並ぶ。
【0054】
クラウン横溝38が、左側のクラウン主溝との境界において大きく、右側のクラウン主溝との境界において大きく、他の位置において小さい幅を有してもよい。
【0055】
本実施形態では、ショルダー横溝44の幅は、一定である。ショルダー横溝44が、一定でない幅を有してもよい。好ましくは、ショルダー横溝44は、ショルダー主溝36の境界において大きく、他の位置において小さい幅を有する。このショルダー横溝44は、ショルダー主溝36との境界の近傍において、雪路面でのスリップの抑制に寄与する。
【0056】
氷路面の上でのスリップ抑制の観点から、トレッド面18のランド率は67%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、72%以上が特に好ましい。雪路面の上でのスリップ抑制性能の観点から、このランド率は82%以下が好ましく、79%以下がより好ましく、77%以下が特に好ましい。ランド率は、溝がないと仮定されたときのトレッド面18の面積に対する、ブロックの合計面積の比率である。
【0057】
このタイヤ2は、いわゆるスタッドレスタイプである。従ってトレッド4は、スパイクを有していない。トレッド4が、補助的にスパイクを有してもよい。
【0058】
グリップ性能、操縦安定性能及び耐摩耗性の観点から、トレッド4の硬度は50以上70以下が好ましい。硬度は、「JIS K6253」の規定に準拠して、タイプAのデュロメーターで測定される。測定時の温度は、23℃である。
【0059】
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITSAT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【0060】
図7は、本発明の他の実施形態に係る雪氷路面用タイヤのトレッドパターンの一部が示された平面図である。
図7には、主溝56、細溝58、横溝60及び複数のブロック62が示されている。横溝60は、周方向において2つのブロック62の間に位置している。横溝60は、主溝56と連続しており、細溝58とも連続している。
【0061】
横溝60は、主溝56との境界から細溝58との境界までのステップ形状を有している。横溝60は、段差64を有している。横溝60は、段差64よりも軸方向内側において最大幅W2を有しており、段差64よりも軸方向外側において最小幅W1を有している。換言すれば、横溝60は、主溝56との境界から離れた位置において、最小幅W1を有している。
【0062】
主溝56と横溝60との境界の近傍では、溝の面積率が大きい。タイヤが雪路面の上を走行するとき、この境界の近傍において、主溝56及び横溝60に、十分に雪が侵入する。この境界の近傍で雪が踏み固められることで、体積の大きい雪塊が形成されうる。この雪塊に発生する剪断応力は、大きい。この雪塊は、タイヤのスリップを抑制する。さらに、この境界の近傍では、溝に雪が詰まりにくい。
【0063】
細溝58と横溝60との境界の近傍では、ブロック62の面積率が大きい。このブロック62のエッジは、タイヤが氷路面の上を走行したときのスリップを抑制する。
【0064】
最小幅W1及び最大幅W2を有する横溝60を含むタイヤは、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れる。
【0065】
横溝60の最大幅W2は4.0mm以上が好ましく、4.5mm以上がより好ましく、5.0mm以上が特に好ましい。最大幅W2は、10mm以下が好ましい。横溝60の最小幅W1は4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。最小幅W1は、1.0mm以上が好ましい。最大幅W2の最小幅W1に対する比(W2/W1)は、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上が特に好ましい。この比(W2/W1)は、3.0以下が好ましい。横溝60の長さLtのトレッド幅TWに対する比率は、5%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上が特に好ましい。この比率は、20%以下が好ましい。
【0066】
図8は、本発明のさらに他の実施形態に係る雪氷路面用タイヤのトレッドパターンの一部が示された平面図である。
図8には、主溝66、細溝68、横溝70及び複数のブロック72が示されている。横溝70は、周方向において2つのブロック72の間に位置している。横溝70は、主溝66と連続しており、細溝68とも連続している。
【0067】
横溝70は、主溝66との境界から細溝68との境界までのステップ形状を有している。横溝70は、内側段差74及び外側段差76を有している。横溝70は、内側段差74よりも軸方向内側において最大幅W2を有しており、外側段差76よりも軸方向外側において最小幅W1を有している。横溝70は、内側段差74と外側段差76との間において、最小幅W1よりも大きくかつ最大幅W2よりも小さい幅を有している。
【0068】
主溝66と横溝70との境界の近傍では、溝の面積率が大きい。タイヤが雪路面の上を走行するとき、この境界の近傍において、主溝66及び横溝70に、十分に雪が侵入する。この境界の近傍で雪が踏み固められることで、体積の大きい雪塊が形成されうる。この雪塊に発生する剪断応力は、大きい。この雪塊は、タイヤのスリップを抑制する。さらに、この境界の近傍では、溝に雪が詰まりにくい。
【0069】
細溝68と横溝70との境界の近傍では、ブロック72の面積率が大きい。このブロック72のエッジは、タイヤが氷路面の上を走行したときのスリップを抑制する。
【0070】
最小幅W1及び最大幅W2を有する横溝70を含むタイヤは、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れる。
【0071】
横溝70の最大幅W2は4.0mm以上が好ましく、4.5mm以上がより好ましく、5.0mm以上が特に好ましい。最大幅W2は、10mm以下が好ましい。横溝70の最小幅W1は4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。最小幅W1は、1.0mm以上が好ましい。最大幅W2の最小幅W1に対する比(W2/W1)は、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上が特に好ましい。この比(W2/W1)は、3.0以下が好ましい。横溝70の長さLtのトレッド幅TWに対する比率は、5%以上が好ましく、8%以上がより好ましく、10%以上が特に好ましい。この比率は、20%以下が好ましい。
【0072】
図9は、本発明のさらに他の実施形態に係る雪氷路面用タイヤのトレッドパターンの一部が示された平面図である。
図9には、第一主溝78、第二主溝80、横溝82及び複数のブロック84が示されている。横溝82は、周方向において2つのブロック84の間に位置している。横溝82は、第一主溝78と連続しており、第二主溝80とも連続している。
【0073】
横溝82は、第一主溝78との境界と、第二主溝80との境界との中間において、最小幅W1を有している。横溝82は、第一主溝78との境界において、幅W2を有している。この幅W2は、最小幅W1よりも大きい。横溝82は、第二主溝80との境界において、幅W3を有している。この幅W3は、最小幅W1よりも大きい。本実施形態では、幅W3は、幅W2と同じである。従って、幅W2は最大幅であり、幅W3も最大幅である。幅W3が、幅W2と異なってもよい。
【0074】
第一主溝78と横溝82との境界の近傍では、溝の面積率が大きい。タイヤが雪路面の上を走行するとき、この境界の近傍において、第一主溝78及び横溝82に、十分に雪が侵入する。この境界の近傍で雪が踏み固められることで、体積の大きい雪塊が形成されうる。この雪塊に発生する剪断応力は、大きい。この雪塊は、タイヤのスリップを抑制する。さらに、この境界の近傍では、溝に雪が詰まりにくい。
【0075】
第二主溝80と横溝82との境界の近傍では、溝の面積率が大きい。タイヤが雪路面の上を走行するとき、この境界の近傍において、第二主溝80及び横溝82に、十分に雪が侵入する。この境界の近傍で雪が踏み固められることで、体積の大きい雪塊が形成されうる。この雪塊に発生する剪断応力は、大きい。この雪塊は、タイヤのスリップを抑制する。さらに、この境界の近傍では、溝に雪が詰まりにくい。
【0076】
横溝82が最小幅W1を有している近傍では、ブロック84の面積率が大きい。このブロック84のエッジは、タイヤが氷路面の上を走行したときのスリップを抑制する。
【0077】
最小幅W1、幅W2及び幅W3を有する横溝82を含むタイヤは、雪路面の上でのスリップ抑制性能と、氷路面の上でのスリップ抑制性能との、バランスに優れる。
【0078】
横溝82の最大幅W2(又は幅W3)は4.0mm以上が好ましく、4.5mm以上がより好ましく、5.0mm以上が特に好ましい。最大幅W2(又は幅W3)は、10mm以下が好ましい。横溝82の最小幅W1は4.0mm以下が好ましく、3.5mm以下がより好ましく、3.0mm以下が特に好ましい。最小幅W1は、1.0mm以上が好ましい。最大幅W2(又は幅W3)の最小幅W1に対する比は、1.2以上が好ましく、1.4以上がより好ましく、1.5以上が特に好ましい。この比は、3.0以下が好ましい。
【実施例0079】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0080】
[実験1]
[実施例1]
図1-6に示された重荷重用の空気入りタイヤを製造した。このタイヤのサイズは、「11R22.5」であった。このタイヤのトレッドパターンの仕様は、下記の通りである。
【0081】
主溝の幅Wm:7mm
細溝の幅Ws:2mm
横溝の深さ:15mm
横溝の最小幅W1:3.0mm
横溝の最大幅W2:5.0mm
[実施例2及び3並びに比較例1及び2]
横溝の最小幅W1及び最大幅W2を下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2及び3並びに比較例1及び2のタイヤを得た。
【0082】
[実施例4]
図7に示される形状を有する横溝を形成した他は実施例1と同様にして、実施例4のタイヤを得た。
【0083】
[実施例5]
図8に示される形状を有する横溝を形成した他は実施例1と同様にして、実施例5のタイヤを得た。
【0084】
[雪路面での加速]
タイヤをリムに組み込んだ。このタイヤに、正規内圧が達成されるように、空気を充填した。このリムを、最大積載量が10トンであるトラックに装着した。このトラックに、5トンの荷物を積載した。このトラックを雪路面の上で発進させ、加速させた。発進から、走行距離が20mに達するまでの、時間を測定した。10回の測定で得られた測定値から、最大値と最小値とを除外した8つの測定値の平均を算出した。この結果が、指数にて、下記の表1及び2に示されている。指数が大きいタイヤは、雪路面でのスリップ抑制性能に優れている。
【0085】
[氷路面での加速]
前述の雪路面での加速の評価に使用したトラックを氷路面の上で発進させ、加速させた。発進から、走行距離が20mに達するまでの、時間を測定した。10回の測定で得られた測定値から、最大値と最小値とを除外した8つの測定値の平均を算出した。この結果が、指数にて、下記の表1及び2に示されている。指数が大きいタイヤは、氷路面でのスリップ抑制性能に優れている。
【0086】
[雪詰まりの抑制性能]
前述の雪路面での加速の評価の後に、トレッド面を目視にて観察した。雪の詰まりが50%以下である横溝の数を、カウントした。この結果が、指数にて、下記の表1及び2に示されている。指数が大きいタイヤは、雪詰まり抑制性能に優れている。
【0087】
【0088】
【表2】
表1及び2に示されるように、各実施例のタイヤは、諸性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【0089】
[実験2]
[実施例6]
図9に示された重荷重用の空気入りタイヤを製造した。このタイヤのサイズは、「11R22.5」であった。このタイヤのトレッドパターンの仕様は、下記の通りである。
【0090】
主溝の幅Wm:7mm
細溝の幅Ws:2mm
横溝の深さ:15mm
横溝の最小幅W1:3.0mm
横溝の幅W2:5.0mm
横溝の幅W3:5.0mm
[実施例7及び8並びに比較例3]
横溝の最小幅W1及び最大幅W2、W3を下記の表3に示される通りとした他は実施例6と同様にして、実施例7及び8並びに比較例3のタイヤを得た。
【0091】
[評価]
実験1と同様の方法で、雪路面及び氷路面でのスリップ抑制性能並びに雪詰まり抑制性能を評価した。この結果が、指数にて、下記の表3に示されている。
【0092】
【表3】
表3に示されるように、各実施例のタイヤは、諸性能に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。