IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図1
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図2
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図3
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図4
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図5
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図6
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図7
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図8
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図9
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図10
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図11
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図12
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図13
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図14
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図15
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図16
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図17
  • 特開-潤滑油交換警告装置 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135494
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】潤滑油交換警告装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/10 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
F01M11/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035333
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三橋 賢一
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015EA29
3G015EA32
3G015FC02
3G015FC07
3G015FE02
(57)【要約】
【課題】使用潤滑油の含有硫黄濃度に応じた適切な潤滑油交換時期に、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる潤滑油交換警告装置を提供する。
【解決手段】基準潤滑油を含む複数種類の潤滑油のそれぞれの含有硫黄濃度を記憶する硫黄濃度記憶装置と、内燃機関の潤滑油交換時に、使用潤滑油の含有硫黄濃度を取得する硫黄濃度取得装置と、基準潤滑油の含有硫黄濃度に対する使用潤滑油の含有硫黄濃度の硫黄濃度比を取得する硫黄濃度比取得装置と、使用潤滑油の劣化度合いを判定するパラメータを所定時間毎に取得するパラメータ取得装置と、パラメータの取得値を硫黄濃度比に基づいて補正すると共に、補正した補正取得値を積算する積算装置と、この積算値が予め設定されたパラメータ閾値以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨を報知する報知装置と、を備えるように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準潤滑油を含む複数種類の潤滑油のそれぞれの含有硫黄濃度を記憶する硫黄濃度記憶装置と、
内燃機関の潤滑油交換時に、前記硫黄濃度記憶装置から使用潤滑油の含有硫黄濃度を取得する硫黄濃度取得装置と、
前記基準潤滑油の含有硫黄濃度に対する前記使用潤滑油の含有硫黄濃度の硫黄濃度比を取得する硫黄濃度比取得装置と、
前記使用潤滑油の劣化度合いを判定するパラメータを所定時間毎に取得するパラメータ取得装置と、
前記パラメータ取得装置によって取得された前記パラメータの取得値を前記硫黄濃度比に基づいて補正すると共に、補正した補正取得値を積算する積算装置と、
前記積算装置で積算された積算値が予め設定されたパラメータ閾値以上であるか否かを判定する判定装置と、
前記判定装置によって前記積算値が前記パラメータ閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する報知装置と、
を備えた、
潤滑油交換警告装置。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑油交換警告装置において、
前記パラメータは、ソーク回数と、排出NOx積算量と、を含み、
前記パラメータ取得装置は、
前記内燃機関の稼働終了から前記内燃機関の稼働開始までの経過時間であるソーク時間を取得するソーク時間取得装置と、
前記内燃機関の排出するNOx量を所定時間毎に取得するNOx量取得装置と、
を有し、
前記積算装置は、
前記ソーク時間取得装置によって取得された前記ソーク時間が予め設定されたソーク時間閾値以上であるか否かを判定するソーク時間判定装置と、
前記ソーク時間判定装置によって前記ソーク時間が前記ソーク時間閾値以上であると判定された場合に、1回に前記硫黄濃度比を掛け算して補正回数を算出し、前記ソーク回数に前記補正回数を積算するソーク回数積算装置と、
前記NOx量取得装置によって取得されたNOx量に前記硫黄濃度比を掛け算して補正NOx量を算出し、前記排出NOx積算量に前記補正NOx量を積算するNOx量積算装置と、
を有し、
前記判定装置は、
前記パラメータに含まれる前記ソーク回数が予め設定されたソーク回数閾値以上であり、且つ、前記パラメータに含まれる前記排出NOx積算量が予め設定された排出NOx量閾値以上であるか否かを判定するソーク回数・NOx量判定装置を、有し、
前記報知装置は、
前記ソーク回数・NOx量判定装置によって、前記パラメータに含まれる前記ソーク回数が前記ソーク回数閾値以上であり、且つ、前記パラメータに含まれる前記排出NOx積算量が前記排出NOx量閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する、
潤滑油交換警告装置。
【請求項3】
請求項2に記載の潤滑油交換警告装置において、
前記パラメータ取得装置は、
前記内燃機関を循環する冷却水の冷却水温を取得する冷却水温取得装置と、
前記冷却水温取得装置によって取得した前記冷却水温に対応する冷却水温補正係数を取得する水温補正係数取得装置と、
を有し、
前記NOx量積算装置は、
前記補正NOx量に前記水温補正係数取得装置によって取得した冷却水温補正係数を掛け算して水温補正NOx量を算出し、前記補正NOx量に替えて前記水温補正NOx量を前記排出NOx積算量に積算する、
潤滑油交換警告装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の潤滑油交換警告装置において、
前記パラメータは、前記内燃機関の積算稼働時間を含み、
前記パラメータ取得装置は、
前記内燃機関の始動から停止までの稼働時間を取得する稼働時間取得装置を有し、
前記積算装置は、
前記稼働時間取得装置によって取得された前記稼働時間に前記硫黄濃度比を掛け算して補正稼働時間を算出し、前記積算稼働時間に前記補正稼働時間を積算する稼働時間積算装置を有し、
前記判定装置は、
前記パラメータに含まれる前記積算稼働時間が予め設定された稼働時間閾値以上であるか否かを判定する稼働時間判定装置を有し、
前記報知装置は、
前記稼働時間判定装置によって、前記積算稼働時間が前記稼働時間閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する、
潤滑油交換警告装置。
【請求項5】
請求項4に記載の潤滑油交換警告装置において、
前記パラメータ取得装置は、
車両の加速度を取得する加速度取得装置と、
前記加速度取得装置によって取得した前記加速度に対応する加速度補正係数を取得する加速度補正係数取得装置と、
を有し、
前記稼働時間積算装置は、
前記補正稼働時間に前記加速度補正係数取得装置によって取得した加速度補正係数を掛け算して加速度補正稼働時間を算出し、前記補正稼働時間に替えて前記加速度補正稼働時間を前記積算稼働時間に積算する、
潤滑油交換警告装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の潤滑油交換警告装置において、
前記パラメータは、車両の積算走行距離を含み、
前記パラメータ取得装置は、
車両の走行開始から走行停止までの走行距離を取得する走行距離取得装置を有し、
前記積算装置は、
前記走行距離取得装置によって取得された前記走行距離に前記硫黄濃度比を掛け算して補正走行距離を算出し、前記積算走行距離に前記補正走行距離を積算する走行距離積算装置を有し、
前記判定装置は、
前記パラメータに含まれる前記積算走行距離が予め設定された走行距離閾値以上であるか否かを判定する走行距離判定装置を有し、
前記報知装置は、
前記走行距離判定装置によって、前記積算走行距離が前記走行距離閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する、
潤滑油交換警告装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の潤滑油交換警告装置において、
基準燃料を含む複数種類の燃料のそれぞれの含有硫黄濃度を記憶する燃料硫黄濃度記憶装置と、
前記内燃機関の潤滑油交換時に、前記燃料硫黄濃度記憶装置から使用燃料の含有硫黄濃度を取得する燃料硫黄濃度取得装置と、
前記基準燃料の含有硫黄濃度に対する前記使用燃料の含有硫黄濃度の燃料硫黄濃度比を取得する燃料硫黄濃度比取得装置と、
を備え、
前記積算装置は、
前記パラメータ取得装置によって取得された前記パラメータの取得値を前記硫黄濃度比に基づいて補正した後、更に、前記燃料硫黄濃度比に基づいて補正すると共に、補正した補正取得値を積算する、
潤滑油交換警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油交換警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバーに潤滑油の交換を促す潤滑油交換警告装置に関する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載される車両用潤滑油交換警告装置では、演算部は、オイル交換時の新油のアルカリ値を油質検知器で検出して、新油のグレード分けを行う。その結果、演算部は、新油のグレードに応じて運転来歴積算値Yの基準限界値Yeaと使用経過時間の積算値tの基準限界値teaを補正する。
【0003】
そして、演算部は、エンジンが始動すると、油温T、エンジン回転数N、車速Vの情報を取得して、オイル劣化の重み係数Kを決定し、走行距離yに乗算して補正し、積算して運転来歴積算値Yを求める。そして、運転来歴積算値Yが基準限界値Yeaを超えた場合には、警告ランプを点灯し、ドライバーにオイル交換を促す。また、演算部は、使用経過時間の積算値tが基準限界値teaを超えた場合には、警告ランプを点灯し、ドライバーにオイル交換を促す構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-118017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、内燃機関の仕向け国によっては、基準潤滑油の含有硫黄濃度よりも高い高硫黄濃度の潤滑油が使用される場合がある。また、EGRを有する内燃機関が排出するPM、SOx(例えば、二酸化硫黄、三酸化硫黄である。)、窒素酸化物(NOx)と高硫黄濃度の潤滑油とがシリンダ内で触れ合う機会も増える。そのため、潤滑油が窒素酸化物と反応して硝酸エステルが生成されると共に、潤滑油の硫黄成分が酸化してSOx等の酸化物が生成され、結果として使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進む。
【0006】
そして、潤滑油の酸化劣化した状態が続くと、劣化油によってエンジン各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化が促進され、故障に繋がる虞がある。また、燃焼室内の潤滑油の飛沫がEGRクーラへ流れ、冷却されて内面に付着し易くなって、時間が経過すると煤と共にカーボンスラッジとして堆積してしまい、EGRクーラの配管が閉塞したり、EGR弁が固着して、EGRガス量が減少し、NOx排出量が増加する虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、使用潤滑油の含有硫黄濃度に応じた適切な潤滑油交換時期に、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる潤滑油交換警告装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の発明は、基準潤滑油を含む複数種類の潤滑油のそれぞれの含有硫黄濃度を記憶する硫黄濃度記憶装置と、内燃機関の潤滑油交換時に、前記硫黄濃度記憶装置から使用潤滑油の含有硫黄濃度を取得する硫黄濃度取得装置と、前記基準潤滑油の含有硫黄濃度に対する前記使用潤滑油の含有硫黄濃度の硫黄濃度比を取得する硫黄濃度比取得装置と、前記使用潤滑油の劣化度合いを判定するパラメータを所定時間毎に取得するパラメータ取得装置と、前記パラメータ取得装置によって取得された前記パラメータの取得値を前記硫黄濃度比に基づいて補正すると共に、補正した補正取得値を積算する積算装置と、前記積算装置で積算された積算値が予め設定されたパラメータ閾値以上であるか否かを判定する判定装置と、前記判定装置によって前記積算値が前記パラメータ閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する報知装置と、を備えた、潤滑油交換警告装置である。
【0009】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る潤滑油交換警告装置において、前記パラメータは、ソーク回数と、排出NOx積算量と、を含み、前記パラメータ取得装置は、前記内燃機関の稼働終了から前記内燃機関の稼働開始までの経過時間であるソーク時間を取得するソーク時間取得装置と、前記内燃機関の排出するNOx量を所定時間毎に取得するNOx量取得装置と、を有し、前記積算装置は、前記ソーク時間取得装置によって取得された前記ソーク時間が予め設定されたソーク時間閾値以上であるか否かを判定するソーク時間判定装置と、前記ソーク時間判定装置によって前記ソーク時間が前記ソーク時間閾値以上であると判定された場合に、1回に前記硫黄濃度比を掛け算して補正回数を算出し、前記ソーク回数に前記補正回数を積算するソーク回数積算装置と、前記NOx量取得装置によって取得されたNOx量に前記硫黄濃度比を掛け算して補正NOx量を算出し、前記排出NOx積算量に前記補正NOx量を積算するNOx量積算装置と、を有し、前記判定装置は、前記パラメータに含まれる前記ソーク回数が予め設定されたソーク回数閾値以上であり、且つ、前記パラメータに含まれる前記排出NOx積算量が予め設定された排出NOx量閾値以上であるか否かを判定するソーク回数・NOx量判定装置を、有し、前記報知装置は、前記ソーク回数・NOx量判定装置によって、前記パラメータに含まれる前記ソーク回数が前記ソーク回数閾値以上であり、且つ、前記パラメータに含まれる前記排出NOx積算量が前記排出NOx量閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する、潤滑油交換警告装置である。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る潤滑油交換警告装置おいて、前記パラメータ取得装置は、前記内燃機関を循環する冷却水の冷却水温を取得する冷却水温取得装置と、前記冷却水温取得装置によって取得した前記冷却水温に対応する冷却水温補正係数を取得する水温補正係数取得装置と、を有し、前記NOx量積算装置は、前記補正NOx量に前記水温補正係数取得装置によって取得した冷却水温補正係数を掛け算して水温補正NOx量を算出し、前記補正NOx量に替えて前記水温補正NOx量を前記排出NOx積算量に積算する、潤滑油交換警告装置である。
【0011】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明乃至第3の発明のいずれか1つに係る潤滑油交換警告装置において、前記パラメータは、前記内燃機関の積算稼働時間を含み、前記パラメータ取得装置は、前記内燃機関の始動から停止までの稼働時間を取得する稼働時間取得装置を有し、前記積算装置は、前記稼働時間取得装置によって取得された前記稼働時間に前記硫黄濃度比を掛け算して補正稼働時間を算出し、前記積算稼働時間に前記補正稼働時間を積算する稼働時間積算装置を有し、前記判定装置は、前記パラメータに含まれる前記積算稼働時間が予め設定された稼働時間閾値以上であるか否かを判定する稼働時間判定装置を有し、前記報知装置は、前記稼働時間判定装置によって、前記積算稼働時間が前記稼働時間閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する、潤滑油交換警告装置である。
【0012】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る潤滑油交換警告装置おいて、前記パラメータ取得装置は、車両の加速度を取得する加速度取得装置と、前記加速度取得装置によって取得した前記加速度に対応する加速度補正係数を取得する加速度補正係数取得装置と、を有し、前記稼働時間積算装置は、前記補正稼働時間に前記加速度補正係数取得装置によって取得した加速度補正係数を掛け算して加速度補正稼働時間を算出し、前記補正稼働時間に替えて前記加速度補正稼働時間を前記積算稼働時間に積算する、潤滑油交換警告装置である。
【0013】
次に、本発明の第6の発明は、上記第1の発明乃至第5の発明のいずれか1つに係る潤滑油交換警告装置において、前記パラメータは、車両の積算走行距離を含み、前記パラメータ取得装置は、車両の走行開始から走行停止までの走行距離を取得する走行距離取得装置を有し、前記積算装置は、前記走行距離取得装置によって取得された前記走行距離に前記硫黄濃度比を掛け算して補正走行距離を算出し、前記積算走行距離に前記補正走行距離を積算する走行距離積算装置を有し、前記判定装置は、前記パラメータに含まれる前記積算走行距離が予め設定された走行距離閾値以上であるか否かを判定する走行距離判定装置を有し、前記報知装置は、前記走行距離判定装置によって、前記積算走行距離が前記走行距離閾値以上であると判定された場合には、前記使用潤滑油の交換時期である旨を報知する、潤滑油交換警告装置である。
【0014】
次に、本発明の第7の発明は、上記第1の発明乃至第6の発明のいずれか1つに係る潤滑油交換警告装置において、基準燃料を含む複数種類の燃料のそれぞれの含有硫黄濃度を記憶する燃料硫黄濃度記憶装置と、前記内燃機関の潤滑油交換時に、前記燃料硫黄濃度記憶装置から使用燃料の含有硫黄濃度を取得する燃料硫黄濃度取得装置と、前記基準燃料の含有硫黄濃度に対する前記使用燃料の含有硫黄濃度の燃料硫黄濃度比を取得する燃料硫黄濃度比取得装置と、を備え、前記積算装置は、前記パラメータ取得装置によって取得された前記パラメータの取得値を前記硫黄濃度比に基づいて補正した後、更に、前記燃料硫黄濃度比に基づいて補正すると共に、補正した補正取得値を積算する、潤滑油交換警告装置である。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、使用潤滑油の劣化度合いを判定するパラメータが所定時間毎に(例えば、10ミリ秒毎に)取得される。また、内燃機関の潤滑油交換時に、使用潤滑油の含有硫黄濃度が取得される。そして、基準潤滑油の含有硫黄濃度に対する使用潤滑油の含有硫黄濃度の硫黄濃度比が取得され、パラメータの取得値が硫黄濃度比に基づいて補正され、補正された補正取得値が積算される。この補正取得値の積算値が、予め設定されたパラメータ閾値以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。これにより、使用潤滑油の含有硫黄濃度に応じた適切な潤滑油交換時期に、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【0016】
第2の発明によれば、内燃機関の稼働終了から内燃機関の稼働開始までの経過時間であるソーク時間が取得される。そして、このソーク時間が予め設定されたソーク時間閾値以上であると判定された場合に、1回に硫黄濃度比を掛け算して補正回数が算出され、ソーク回数に積算される。また、内燃機関の排出するNOx量が所定時間毎に取得され、このNOx量に硫黄濃度比を掛け算して補正NOx量が算出される。そして、この補正NOx量が排出NOx積算量に積算される。その後、ソーク回数が予め設定されたソーク回数閾値以上であり、且つ、排出NOx積算量が排出NOx量閾値以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。
【0017】
これにより、ソーク回数と排出NOx積算量が硫黄濃度比によって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を抑制することができると共に、EGRクーラの配管の閉塞、EGR弁の固着等を抑制し、NOx排出量を低減化することができる。
【0018】
第3の発明によれば、補正NOx量に冷却水温に対応する冷却水温補正係数を掛け算して水温補正NOx量が算出され、補正NOx量に替えて水温補正NOx量が、排出NOx積算量に積算される。これにより、潤滑油の油温に応じた塩基価の減少を更に考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を更に抑制することができると共に、EGRクーラの配管の閉塞、EGR弁の固着等を更に抑制し、NOx排出量をより低減化することができる。
【0019】
第4の発明によれば、内燃機関の始動から停止までの稼働時間が取得される。そして、この稼働時間に硫黄濃度比を掛け算して補正稼働時間が算出され、積算稼働時間に積算される。続いて、積算稼働時間が予め設定された稼働時間閾値以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。
【0020】
これにより、積算稼働時間が硫黄濃度比によって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を抑制することができると共に、EGRクーラの配管の閉塞、EGR弁の固着等を抑制し、NOx排出量を低減化することができる。
【0021】
第5の発明によれば、補正稼働時間に加速度に対応する加速度補正係数を掛け算して加速度補正稼働時間が算出され、補正稼働時間に替えて加速度補正稼働時間が、積算稼働時間に積算される。これにより、使用潤滑油の車両の加速度に応じた塩基価の減少を更に考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を更に抑制することができると共に、EGRクーラの配管の閉塞、EGR弁の固着等を更に抑制し、NOx排出量をより低減化することができる。
【0022】
第6の発明によれば、車両の走行開始から走行停止までの走行距離が取得される。そして、この走行距離に硫黄濃度比を掛け算して補正走行距離が算出され、積算走行距離に積算される。続いて、積算走行距離が予め設定された走行距離閾値以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。
【0023】
これにより、積算走行距離が硫黄濃度比によって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を抑制することができると共に、EGRクーラの配管の閉塞、EGR弁の固着等を抑制し、NOx排出量を低減化することができる。
【0024】
第7の発明によれば、内燃機関の潤滑油交換時に、使用燃料の含有硫黄濃度が取得される。そして、基準燃料の含有硫黄濃度に対する使用燃料の含有硫黄濃度の燃料硫黄濃度比が取得される。そして、パラメータの取得値が硫黄濃度比に基づいて補正された後、更に、燃料硫黄濃度比に基づいて補正された補正取得値が積算される。この補正取得値の積算値が、予め設定されたパラメータ閾値以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。これにより、使用潤滑油の含有硫黄濃度のみならず、使用燃料の含有硫黄濃度を考慮した適切な潤滑油交換時期に、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る潤滑油交換警告装置の概略構成の一例を説明する図である。
図2】制御装置のEEPROMに格納される潤滑油硫黄濃度データテーブルの一例を示す図である。
図3】制御装置のEEPROMに格納される燃料硫黄濃度データテーブルの一例を示す図である。
図4】制御装置が実行する潤滑油交換警告処理の一例を示すメインフローチャートである。
図5】潤滑油の交換を要求する潤滑油交換要求画像の一例を示す図である。
図6】交換した潤滑油の種類を入力する潤滑油種類入力画面の一例を示す図である。
図7図4の潤滑油交換要否判定処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図8図7のソーク回数積算処理のサブ処理の一例を示す第1サブフローチャートである。
図9図7のソーク回数積算処理のサブ処理の一例を示す第2サブフローチャートである。
図10】ソーク時間を説明する図である。
図11図7のNOx量積算処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図12】冷却水温に対する水温補正係数を示す水温補正係数マップの一例を示す図である。
図13図7のエンジン稼働時間積算処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図14】車両の加速度に対する加速度補正係数を示す加速度補正係数マップの一例を示す図である。
図15図7の走行距離積算処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図16図7の交換要否判定処理のサブ処理の一例を示すサブフローチャートである。
図17】他の第1実施形態に係る制御装置が実行する、潤滑油交換警告処理の異なる部分を説明するフローチャートである。
図18】他の第1実施形態に係る制御装置がディスプレイに表示する、使用燃料(軽油)の種類を入力する燃料種類入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る潤滑油交換警告装置を具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、潤滑油交換警告装置1の概略構成について図1乃至図3に基づいて説明する。図1に示すように、車両V1に搭載された潤滑油交換警告装置1は、内燃機関11と、制御装置50と、車速検出装置32と、加速度センサ33と、タッチパネル36が画面に装着されたディスプレイ35と、アクセル開度検出装置38と、警告ランプ41等から構成されている。
【0027】
内燃機関11は、例えば、ディーゼルエンジンで、車両V1の走行用動力源として搭載されている。内燃機関11は、エンジン本体12に形成された複数(例えば、4個)の気筒13を有しており、燃料噴射弁14が、それぞれの気筒13に設けられている。各燃料噴射弁14には、不図示のコモンレールと不図示の燃料配管を介して燃料が供給されており、各燃料噴射弁14は、制御装置(ECU:Electronic Control Unit)50からの制御信号によって駆動され、それぞれの気筒13内に燃料を噴射する。
【0028】
また、エンジン本体12には、回転検出装置31と冷却水温検出装置39が設けられている。回転検出装置31は、例えば、回転角度センサであり、内燃機関11のクランク軸の回転数(エンジン回転数)や、クランク軸の回転角度(例えば、各気筒の圧縮上死点タイミング)等に応じた検出信号(例えば、クランク角度の15度毎に1パルスの信号)を制御装置50に出力する。冷却水温検出装置39は、エンジン本体12に設けられたウォータジャケットを循環する冷却水の冷却水温に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0029】
内燃機関11の各気筒13の吸気ポート15には、吸気マニホールド16の流出側が接続されている。吸気マニホールド16の流入側(上流側)には吸気通路17の流出側が接続されている。吸気通路17の流入側には、エアクリーナ18で濾過された吸気流量を検出する吸気流量検出装置19(例えば、エアフローメータ)が設けられている。吸気流量検出装置19は、内燃機関11が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。エアクリーナ18よりも下流側の吸気通路17には、スロットルバルブ21が配置されている。スロットルバルブ21は、制御装置50からの制御信号に基づいて、吸気通路17の開度を調整して、吸気流量を調整可能である。
【0030】
内燃機関11の各気筒13の排気ポート22には、排気マニホールド23の流入側が接続されている。排気マニホールド23の流出側には、排気通路24の流入側が接続されている。排気通路24には、排気ガス浄化装置25が設けられている。排気ガス浄化装置25の内部には、例えば、上流側から、酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)、DPF(Diesel Particulate Filter)が設けられている。
【0031】
排気ガス浄化装置25は、排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。例えば、酸化触媒(DOC)は、所定の温度下で多数の貫通孔に排気ガスを通すことにより、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、未燃燃料に含まれるアセトアルデヒド等を酸化して除去する。DPFは、上流側から排気ガスを通すことで粒子状物質(PM)を捕集し、排気ガスのみを下流側へと流出させる。
【0032】
排気ガス浄化装置25よりも上流側の排気通路24には、排気圧力検出装置26と排気温度検出装置27とが設けられている。排気圧力検出装置26は、排気マニホールド23から流出する排気ガスの圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。排気温度検出装置27は、排気ガス浄化装置25に流入する排気ガスの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0033】
また、排気マニホールド23には、EGR通路28の流入側が接続されている。EGR通路28は、排気マニホールド23と吸気マニホールド16とを連通し、排気マニホールド23の排気ガスの一部を吸気マニホールド16に還流させることが可能である。また、EGR通路28には、EGRクーラ29と、EGRクーラ29の下流側に配置されるEGR弁30とが設けられている。
【0034】
EGRクーラ29は、いわゆる熱交換器であり、冷却用のクーラントが供給され、流入されたEGRガスを冷却して吐出する。EGR弁30は、制御装置50からの制御信号に基づいて、EGR通路28の開度を調整することで、EGR通路28から吸気マニホールド16に流入するEGRガスの流量を調整する。
【0035】
また、車速検出装置32(例えば、車速センサ)は、車両V1の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車両V1の車速に応じた検出信号を制御装置50に出力する。加速度センサ33は、車両V1の加速度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。ディスプレイ35は、制御装置50から受信した画像情報を画面に表示すると共に、画面に配置されたタッチパネル36を介して、画面上の指等で押下された位置情報等を取得して、制御装置50に出力する。アクセル開度検出装置38(例えば、アクセル開度センサ)は、ドライバーが操作するアクセルの開度(すなわち、ドライバーの要求負荷)に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0036】
制御装置(ECU:Electronic Control Unit)50は、CPU50A、RAM50B、EEPROM50C、ROM50D、タイマ50E等を備えた公知のものである。CPU50Aは、EEPROM50CまたはROM50Dに記憶された各種プログラムやマップに基づいて、種々の演算処理を実行する。また、RAM50Bは、CPU50Aでの演算結果や各検出装置から入力されたデータ等を一時的に記憶し、EEPROM50Cは、例えば、内燃機関11の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する。
【0037】
制御装置50には、吸気流量検出装置19(例えば、エアフローメータ)の検出信号、回転検出装置31の検出信号、車速検出装置32の検出信号、加速度センサ33の検出信号、アクセル開度検出装置38の検出信号、冷却水温検出装置39の検出信号、のそれぞれが入力されている。また、制御装置50には、上述した排気圧力検出装置26の検出信号、排気温度検出装置27の検出信号が入力されている。
【0038】
そして、制御装置50は、これらの入力された検出信号に基づいて内燃機関11の運転状態を検出することができる。また、制御装置50は、検出した内燃機関11の運転状態や、アクセル開度検出装置38からの検出信号に基づいた運転者からの要求に応じて、各燃料噴射弁14から内燃機関11の各気筒13内に噴射する燃料量を制御する制御信号を出力する。また、図1に示す例では、制御装置50は、後述のように、使用潤滑油の交換が必要であると判定した際に点灯する警告ランプ41の点灯/消灯が可能である。尚、警告ランプ41及びディスプレイ35は、例えば、車両V1のインスツルメントパネルに設けられている。
【0039】
また、EEPROM50Cには、図2に示す潤滑油硫黄濃度データテーブル55と、図3に示す燃料硫黄濃度データテーブル56等を記憶する硫黄濃度データテーブル記憶部501が設けられている。また、EEPROM50Cには、後述のソーク回数NS(図8参照)と、後述の排出NOx積算量WN(図10参照)と、後述の内燃機関(エンジン)の積算稼働時間TN(図12参照)と、後述の積算走行距離LN(図14参照)等を記憶する積算データ記憶部502が設けられている。
【0040】
図2に示すように、潤滑油硫黄濃度データテーブル55は、「潤滑油種類」と、「含有硫黄濃度(%)」とから構成されている。「潤滑油種類」には、基準潤滑油である「基準オイル(例えば、「ACEA-C2」である。)」と、他の潤滑油のオイル名である「オイルA」、「オイルB」、「オイルC」、・・・が、順番に記憶されている。「含有硫黄濃度(%)」には、「潤滑油種類」に記憶されている各オイル名に対応する潤滑油の含有硫黄濃度(%)が記憶されている。例えば、「基準オイル」の「含有硫黄濃度(%)」には、「0.30%」が記憶されている。
【0041】
図3に示すように、燃料硫黄濃度データテーブル56は、燃料種類として「軽油種類」と、「含有硫黄濃度(%)」とから構成されている。「軽油種類」には、軽油の種類のうち、基準となる「基準軽油」と、他の軽油の燃料名である「軽油A」、「軽油B」、「軽油C」、・・・が、順番に記憶されている。「含有硫黄濃度(%)」には、「軽油種類」に記憶されている各燃料名に対応する軽油の含有硫黄濃度(%)が記憶されている。例えば、「基準軽油」の「含有硫黄濃度(%)」には、「0.0010%」が記憶されている。
【0042】
[潤滑油交換警告処理]
次に、上記のように構成された潤滑油交換警告装置1において、制御装置50が実行する処理であって、内燃機関11の潤滑油交換を警告する「潤滑油交換警告処理」の一例について図4乃至図16に基づいて説明する。尚、制御装置50は、内燃機関11の運転中に、所定時間間隔(例えば、数10msec~数100msec間隔)にて、図4のフローチャートに示される処理手順を繰り返し実行する。
【0043】
図4に示すように、先ず、ステップS11において、制御装置50は、内燃機関11で使用している使用潤滑油が交換時期に達したか否かを判定する、つまり、使用潤滑油の交換が必要であるか否かを判定する「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図5参照)を実行した後、ステップS12の処理に進む。ここで、制御装置50は、使用潤滑油の交換が必要であると判定した場合には、後述のように交換警告フラグを「ON」に設定して、RAM50Bに記憶する。一方、制御装置50は、使用潤滑油の交換が必要でないと判定した場合には、後述のように交換警告フラグを「OFF」に設定して、RAM50Bに記憶する(図16参照)。
【0044】
ステップS12において、制御装置50は、交換警告フラグをRAM50Bから読み出し、この交換警告フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する。そして、交換警告フラグが「OFF」に設定されていると判定された場合には(S12:NO)、制御装置50は、ステップS13の処理に進む。ステップS13において、制御装置50は、警告ランプ41を消灯した後、当該処理を終了する。これにより、内燃機関11で使用している使用潤滑油が交換時期に達していない場合は、警告ランプ41は消灯されている。
【0045】
一方、交換警告フラグが「ON」に設定されていると判定された場合には(S12:YES)、制御装置50は、ステップS14の処理に進む。ステップS14において、制御装置50は、警告ランプ41を点灯した後、ステップS15の処理に進む。ステップS15において、制御装置50は、ドライバーに対して使用潤滑油の交換を促す「潤滑油交換要求画像」をディスプレイ35に表示した後、ステップS16の処理に進む。
【0046】
例えば、図5に示すように、制御装置50は、ディスプレイ35の画面中央部に大きな文字で、ドライバーに対して使用潤滑油の交換を促す「オイル交換をして下さい!!」というメッセージを表示する。また、制御装置50は、ディスプレイ35の画面のメッセージの下側に、オイル交換完了ボタン35Aを表示する。ドライバーが使用潤滑油の交換を完了した後に、オイル交換完了ボタン35Aを指61で押下することによって、ディスプレイ35は、タッチパネル36を介して、指61で押下されたオイル交換完了ボタン35Aの位置情報を取得して、制御装置50に出力する。そして、制御装置50は、ディスプレイ35からオイル交換完了ボタン35Aの位置情報が入力された場合には、ドライバーが使用潤滑油の交換を完了したと判定する。
【0047】
図4に示すように、ステップS16において、制御装置50は、ディスプレイ35に表示しているオイル交換完了ボタン35Aが指61で押下されたか否かを判定する。そして、ディスプレイ35に表示しているオイル交換完了ボタン35Aが指61で押下されていないと判定した場合には(S16:NO)、制御装置50は、当該処理を終了する。つまり、制御装置50は、ディスプレイ35に「潤滑油交換要求画像」を表示した状態で、使用潤滑油の交換完了を待つ。
【0048】
一方、ディスプレイ35に表示しているオイル交換完了ボタン35Aが指61で押下されたと判定した場合、つまり、ドライバーが使用潤滑油の交換を完了したと判定した場合には(S16:YES)、制御装置50は、ステップS17の処理に進む。ステップS17において、制御装置50は、ディスプレイ35に交換した潤滑油の種類名を入力する潤滑油種類入力画面を表示する。そして、制御装置50は、ディスプレイ35のタッチパネル36を介して、交換した潤滑油の種類名が入力されたか否かを判定する。
【0049】
そして、ディスプレイ35から交換した潤滑油の種類名が入力されていないと判定された場合には(S17:NO)、制御装置50は、ディスプレイ35から交換した潤滑油の種類名が入力されるの待つ。一方、ディスプレイ35から交換した潤滑油の種類名が入力されたと判定された場合には(S17:YES)、制御装置50は、ディスプレイ35から入力された潤滑油の種類名を交換された潤滑油の種類名としてRAM50Bに記憶した後、ステップS18の処理に進む。
【0050】
ここで、潤滑油種類入力画面の一例を図6に基づいて説明する。図6に示すように、制御装置50は、ディスプレイ35の画面上端部に、ドライバーに対して交換した使用潤滑油の種類名を選択するように要求するメッセージ、例えば、「交換したオイルはどれですか?」というメッセージを表示する。そして、制御装置50は、ディスプレイ35の画面のメッセージの下側に、複数の潤滑油の種類名、例えば、「基準オイル(例えば、ACEA-C2)」、「オイルA」、「オイルB」、「オイルC」・・・の各潤滑油の種類名を上下方向に並べて表示する。また、制御装置50は、ディスプレイ35の画面の各潤滑油の種類名の左側に、円形の選択マーク35Bを表示する。また、制御装置50は、ディスプレイ35の画面の右下角部に、OKボタン35Cを表示する。
【0051】
そして、ドライバーが交換した潤滑油の種類名を指61で押下することによって、ディスプレイ35は、タッチパネル36を介して、指61で押下された潤滑油の種類名の位置情報を取得して、記憶する。そして、ディスプレイ35は、この押下された潤滑油の種類名の左側に表示された選択マーク35B内に黒丸印を表示して、選択された旨をドライバーに報知する。その後、ドライバーがOKボタン35Cを指61で押下することによって、ディスプレイ35は、選択マーク35B内に黒丸印が表示されている潤滑油の種類名を交換された潤滑油の種類名として制御装置50へ出力した後、初期画面を表示する。
【0052】
図4に示すように、ステップS18において、制御装置50は、RAM50Bから交換された潤滑油の種類名を読み出す。そして、制御装置50は、EEPROM50Cの硫黄濃度データテーブル記憶部501に記憶される潤滑油硫黄濃度データテーブル55から、この潤滑油の種類名を「潤滑油種類」として、対応する「含有硫黄濃度(%)」を読み出し、使用潤滑油の含有硫黄濃度(%)として、RAM50Bに記憶した後、ステップS19の処理に進む。
【0053】
ステップS19において、制御装置50は、EEPROM50Cの硫黄濃度データテーブル記憶部501に記憶される潤滑油硫黄濃度データテーブル55から、「潤滑油種類」が「基準オイル」に対応する「含有硫黄濃度(%)」を読み出し、基準潤滑油の含有硫黄濃度(%)として、RAM50Bに記憶する。
【0054】
そして、制御装置50は、使用潤滑油の含有硫黄濃度(%)と、基準潤滑油の含有硫黄濃度(%)とをRAM50Bから再度、読み出し、基準潤滑油の含有硫黄濃度(%)に対する使用潤滑油の含有硫黄濃度(%)の硫黄濃度比CRを算出して、EEPROM50Cに記憶する。つまり、制御装置50は、使用潤滑油の含有硫黄濃度(%)を基準潤滑油の含有硫黄濃度(%)で割り算して、硫黄濃度比CRを算出して、EEPROM50Cに記憶した後、ステップS20の処理に進む。
【0055】
ステップS20において、制御装置50は、積算データ記憶部502から後述のソーク回数NS(図8参照)、排出NOx積算量WN(図10参照)、内燃機関11(エンジン)の積算稼働時間TN(図12参照)、積算走行距離LN(図14参照)を読み出し、それぞれを初期化(リセット)して、再度、積算データ記憶部502に記憶した後、ステップS21の処理に進む。ステップS21において、制御装置50は、交換警告フラグをRAM50Bから読み出して、「OFF」に設定して再度、RAM50Bに記憶した後、当該処理を終了する。
【0056】
[潤滑油交換要否判定処理]
次に、上記ステップS11で制御装置50が実行する「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理について図7に基づいて説明する。図7に示すように、先ず、ステップS31において、制御装置50は、交換警告フラグをRAM50Bから読み出し、「OFF」に設定されているか否かを判定する。つまり、制御装置50は、警告ランプ41を消灯して、「潤滑油交換要求画像」をディスプレイ35に表示していない状態であるか否かを判定する。
【0057】
そして、交換警告フラグが「ON」に設定されていると判定された場合には(S31:NO)、制御装置50は、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、ステップS12の処理に進む。つまり、制御装置50は、警告ランプ41を点灯して、「潤滑油交換要求画像」をディスプレイ35に表示している状態であると判定し、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、ステップS12の処理に進む。
【0058】
一方、交換警告フラグが「OFF」に設定されていると判定された場合には(S31:YES)、制御装置50は、ステップS32の処理に進む。つまり、制御装置50は、警告ランプ41を消灯して、「潤滑油交換要求画像」をディスプレイ35に表示していない状態であると判定し、ステップS32の処理に進む。ステップS32において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから現在までのソーク回数を積算する後述の「ソーク回数積算処理」のサブ処理(図8参照)を実行した後、ステップS33の処理に進む。ステップS33において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから現在までに排出したNOx量を積算する後述の「NOx量積算処理」のサブ処理(図11参照)を実行した後、ステップS34の処理に進む。
【0059】
ステップS34において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから現在までの内燃機関11の稼働時間を積算する後述の「エンジン稼働時間積算処理」のサブ処理(図13参照)を実行した後、ステップS35の処理に進む。ステップS35において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから現在までの車両V1の走行距離を積算する後述の「走行距離積算処理」のサブ処理(図15参照)を実行した後、ステップS36の処理に進む。ステップS36において、制御装置50は、使用潤滑油の交換時期に達したか否かを判定する後述の「交換要否判定処理」のサブ処理(図16参照)を実行した後、当該サブ処理を終了してメインフローチャートに戻り、ステップS12の処理に進む。
【0060】
[ソーク回数積算処理]
次に、上記ステップS32で制御装置50が実行する「ソーク回数積算処理」のサブ処理について図8乃至図10に基づいて説明する。図8に示すように、先ず、ステップS101において、制御装置50は、内燃機関11が停止した旨を表すソークフラグをRAM50Bから読み出し、ソークフラグが「OFF」に設定されているか否かを判定する。そして、ソークフラグが「ON」に設定されていると判定された場合には(S101:NO)、制御装置50は、内燃機関11が停止したと判定して、後述のステップS104の処理に進む。
【0061】
一方、ソークフラグが「OFF」に設定されていると判定された場合には(S101:YES)、制御装置50は、内燃機関11は停止していないと判定して、ステップS102の処理に進む。ステップS102において、制御装置50は、内燃機関11が停止したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、回転検出装置31から入力される検出信号に基づいて、エンジン回転数が「0[rpm]」になったか否かを判定する。そして、内燃機関11が停止していないと判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になっていないと判定された場合には(S102:NO)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS33のサブ処理に進む。
【0062】
一方、内燃機関11が停止していると判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になったと判定された場合には(S102:YES)、制御装置50は、ステップS103の処理に進む。ステップS103において、制御装置50は、内燃機関11が停止した旨を表すソークフラグをRAM50Bから読み出し、ソークフラグを「ON」に設定して、再度RAM50Bに記憶する。また、制御装置50は、当該処理でソーク回数をカウントした旨を表すソークカウントフラグをRAM50Bから読み出し、ソークカウントフラグを「OFF」に設定して、再度RAM50Bに記憶する。制御装置50は、後述のようにソーク回数NSをカウントした場合に、ソークカウントフラグを「ON」に設定する(ステップS110参照)。
【0063】
また、制御装置50は、内燃機関11が停止してから経過した経過時間を表すソーク時間STをRAM50Bから読み出し、ソーク時間STを初期化して、つまり、ソーク時間STに「0」を代入して、再度RAM50Bに記憶した後、ステップS104の処理に進む。ステップS104において、制御装置50は、冷却水温検出装置39から入力された検出信号に基づいて、冷却水温TWを検出してRAM50Bに時系列的に記憶した後、ステップS105の処理に進む。
【0064】
ステップS105において、制御装置50は、RAM50Bから1番目に記憶した内燃機関11が停止した時の冷却水温TW1と、上記ステップS104で検出した今回の冷却水温TWとを読み出す。また、制御装置50は、水温変化量閾値ΔTS(例えば、ΔTS=30℃~40℃)をEEPROM50Cから読み出す。そして、制御装置50は、冷却水温TW1から今回の冷却水温TWを減算した水温変化量が、水温変化量閾値ΔTS以上であるか否かを判定する。尚、水温変化量閾値ΔTSは、EEPROM50Cに予め記憶されている。
【0065】
そして、冷却水温TW1から今回の冷却水温TWを減算した水温変化量が、水温変化量閾値ΔTS未満であると判定された場合には(S105:NO)、制御装置50は、後述のステップS111の処理に進む。一方、冷却水温TW1から今回の冷却水温TWを減算した水温変化量が、水温変化量閾値ΔTS以上であると判定された場合には(S105:YES)、制御装置50は、内燃機関11の冷却水の冷却水温TWが十分低下したと判定して、ステップS106の処理に進む。
【0066】
ステップS106において、制御装置50は、内燃機関11が停止してから経過した経過時間を表すソーク時間STをRAM50Bから読み出す。そして、制御装置50は、このソーク時間STに当該「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTN(例えば、ΔTN=数10msec~数100msec)を加算して、再度RAM50Bに記憶した後、ステップS107の処理に進む。
【0067】
ここで、内燃機関11が停止してから経過した経過時間を表すソーク時間STについて図10に基づいて説明する。図10に示すように、ソーク時間STは、内燃機関11(エンジン)が停止した時の冷却水温から水温変化量閾値ΔTSだけ低下した時間T1から、内燃機関11の冷却水温が水温変化量閾値ΔTSを超えた時間T2までの経過時間である。
【0068】
図8に示すように、ステップS107において、制御装置50は、ソーク時間STを再度RAM50Bから読み出す。また、制御装置50は、ソーク時間閾値STD(例えば、8[時間])をEEPROM50Cから読み出す。そして、制御装置50は、このソーク時間STがソーク時間閾値STD以上であるか否かを判定する。尚、ソーク時間閾値STDは、EEPROM50Cに予め記憶されている。
【0069】
そして、ソーク時間STがソーク時間閾値STD未満であると判定された場合には(S107:NO)、制御装置50は、後述のステップS111の処理に進む。一方、ソーク時間STがソーク時間閾値STD以上であると判定された場合には(S107:YES)、制御装置50は、ソーク時間STが十分に長い停止時間であると判定して、ステップS108の処理に進む。
【0070】
ステップS108において、制御装置50は、今回の処理でソーク回数をカウントした旨を表すソークカウントフラグをRAM50Bから読み出し、ソークカウントフラグが「OFF」に設定されている否かを判定する。つまり、制御装置50は、今回の処理でソーク回数を未だカウントしていないか否かを判定する。そして、ソークカウントフラグが「ON」に設定されていると判定した場合、つまり、今回の処理でソーク回数を既にカウントしたと判定した場合には(S108:NO)、制御装置50は、後述のステップS111の処理に進む。
【0071】
一方、ソークカウントフラグが「OFF」に設定されていると判定した場合、つまり、今回の処理でソーク回数を未だカウントしていないと判定した場合には(S108:YES)、制御装置50は、ステップS109の処理に進む。ステップS109において、制御装置50は、内燃機関11がソーク時間閾値STD以上停止した回数を表すソーク回数NSを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRをEEPROM50Cから読み出す。そして、制御装置50は、「1[回]」に硫黄濃度比CRを乗算した値(補正回数)をソーク回数NSに加算した後、当該ソーク回数NSを再度、積算データ記憶部502に記憶した後、ステップS110の処理に進む。
【0072】
ステップS110において、制御装置50は、今回の処理でソーク回数をカウントした旨を表すソークカウントフラグをRAM50Bから読み出し、ソークカウントフラグを「ON」に設定して、再度RAM50Bに記憶した後、ステップS111の処理に進む。
【0073】
図9に示すように、ステップS111において、制御装置50は、内燃機関11が始動したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、回転検出装置31から入力される検出信号に基づいて、エンジン回転数が「0[rpm]」を超えたか否かを判定する。そして、内燃機関11が始動していないと判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」であると判定された場合には(S111:NO)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS33のサブ処理に進む。
【0074】
一方、内燃機関11が始動したと判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」を超えたと判定された場合には(S111:YES)、制御装置50は、ステップS112の処理に進む。ステップS112において、制御装置50は、ソークフラグをRAM50Bから読み出し、ソークフラグを「OFF」に設定して、再度RAM50Bに記憶した後、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS33のサブ処理に進む。
【0075】
[NOx量積算処理]
次に、上記ステップS33で制御装置50が実行する「NOx量積算処理」のサブ処理について図11及び図12に基づいて説明する。図11に示すように、先ず、ステップS121において、制御装置50は、内燃機関11が停止したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、回転検出装置31から入力される検出信号に基づいて、エンジン回転数が「0[rpm]」になったか否かを判定する。そして、内燃機関11が停止していると判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になったと判定された場合には(S121:YES)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS34のサブ処理に進む。
【0076】
一方、内燃機関11が停止していないと判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になっていないと判定された場合には(S121:NO)、制御装置50は、ステップS122の処理に進む。ステップS122において、制御装置50は、エンジン回転数NE、アクセル開度θA、冷却水温TW等の各パラメータを検出してRAM50Bに記憶した後、ステップS123の処理に進む。
【0077】
具体的には、制御装置50は、回転検出装置31からの検出信号に基づいてエンジン回転数NEを検出してRAM50Bに記憶する。また、制御装置50は、アクセル開度検出装置38からの検出信号に基づいてアクセル開度θAを検出してRAM50Bに記憶する。また、制御装置50は、冷却水温検出装置39からの検出信号に基づいて冷却水の冷却水温TWを検出してRAM50Bに記憶する。
【0078】
ステップS123において、制御装置50は、単位時間当たりに内燃機関11から排出されるNOx量[g/sec]に、当該「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTN(例えば、ΔTN=数10msec~数100msec)を乗算して、サイクル処理時間ΔTNの間に排出した排出NOx量ΔWN[g]を算出してRAM50Bに記憶した後、ステップS124の処理に進む。
【0079】
単位時間当たりに内燃機関11から排出されるNOx量[g/sec]は、例えば、エンジン回転数NE及びエンジンの燃焼状態を示す燃料噴射量に基づいて所定のNOx排出量マップ(不図示)を検索することによって算出される。尚、NOx排出量マップは、実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。ここで、燃料噴射量は、エンジン回転数NE及び目標トルクに基づき、所定のマップを検索することにより算出される。また、目標トルクは、アクセル開度θA及びエンジン回転数NEに基づき、所定のマップを検索することにより算出される。従って、単位時間当たりの排出NOx量[g/sec]は、上記ステップS122で取得したエンジン回転数NEとアクセル開度θAに基づいて算出される。
【0080】
ステップS124において、制御装置50は、上記ステップS122で取得した冷却水温TWをRAM50Bから読み出し、図12に示す水温補正係数マップM1から冷却水温TWに対応する冷却水温補正係数WRを算出してRAM50Bに記憶した後、ステップS125の処理に進む。ここで、冷却水温TWが高いほど単位時間当たりに内燃機関11から排出されるNOx量[g/sec]が多くなり使用潤滑油の劣化が進むため、冷却水温補正係数WRは、冷却水温TWが高くなるに従って大きくなるように設定されている。尚、水温補正係数マップM1は、実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。
【0081】
ステップS125において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから当該「NOx量積算処理」のサブ処理を前回実行するまでの間に内燃機関11が排出したNOx量を表す排出NOx積算量WNを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS123で記憶した排出NOx量ΔWNと、上記ステップS124で記憶した冷却水温補正係数WRと、をRAM50Bから読み出す。また、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRをEEPROM50Cから読み出す。
【0082】
そして、制御装置50は、冷却水温補正係数WRと硫黄濃度比CRとを排出NOx量ΔWNに乗算した値(補正NOx量)を排出NOx積算量WNに加算した後、当該排出NOx積算量WNを再度、積算データ記憶部502に記憶する。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS34のサブ処理に進む。
【0083】
[エンジン稼働時間積算処理]
次に、上記ステップS34で制御装置50が実行する「エンジン稼働時間積算処理」のサブ処理について図13及び図14に基づいて説明する。図13に示すように、先ず、ステップS131において、制御装置50は、内燃機関11が停止したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、回転検出装置31から入力される検出信号に基づいて、エンジン回転数が「0[rpm]」になったか否かを判定する。そして、内燃機関11が停止していると判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になったと判定された場合には(S131:YES)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS35のサブ処理に進む。
【0084】
一方、内燃機関11が停止していないと判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になっていないと判定された場合には(S131:NO)、制御装置50は、ステップS132の処理に進む。ステップS132において、制御装置50は、加速度センサ33からの検出信号に基づいて車両V1の加速度αを算出してRAM50Bに記憶した後、ステップS133の処理に進む。
【0085】
ステップS133において、制御装置50は、上記ステップS132で取得した加速度αをRAM50Bから読み出し、図14に示す加速度補正係数マップM2から加速度αに対応する加速度補正係数HTを算出してRAM50Bに記憶した後、ステップS134の処理に進む。ここで、加速度αが大きいほど単位時間当たりに内燃機関11から排出されるNOx量[g/sec]が多くなり使用潤滑油の劣化が進むため、加速度補正係数HTは、加速度αが大きくなるに従って大きくなるように設定されている。尚、加速度補正係数マップM2は、実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。
【0086】
ステップS134において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから当該「エンジン稼働時間積算処理」のサブ処理を前回実行するまでの間に内燃機関11が稼働した稼働時間を表す内燃機関11(エンジン)の積算稼働時間TNを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS133で記憶した加速度補正係数HTをRAM50Bから読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRをEEPROM50Cから読み出す。
【0087】
そして、制御装置50は、当該「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTN(例えば、ΔTN=数10msec~数100msec)に、硫黄濃度比CRを乗算した値(補正稼働時間)を算出する。続いて、制御装置50は、更に、この補正稼働時間に加速度補正係数HTを乗算した値(加速度補正稼働時間)を算出する。そして、制御装置50は、この加速度補正稼働時間を積算稼働時間TNに加算した後、当該積算稼働時間TNを再度、積算データ記憶部502に記憶する。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS35のサブ処理に進む。
【0088】
[走行距離積算処理]
次に、上記ステップS35で制御装置50が実行する「走行距離積算処理」のサブ処理について図15に基づいて説明する。図15に示すように、先ず、ステップS141において、制御装置50は、内燃機関11が停止したか否かを判定する。具体的には、制御装置50は、回転検出装置31から入力される検出信号に基づいて、エンジン回転数が「0[rpm]」になったか否かを判定する。そして、内燃機関11が停止していると判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になったと判定された場合には(S141:YES)、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS36のサブ処理に進む。
【0089】
一方、内燃機関11が停止していないと判定された場合、つまり、エンジン回転数が「0[rpm]」になっていないと判定された場合には(S141:NO)、制御装置50は、ステップS142の処理に進む。ステップS142において、制御装置50は、車速検出装置32からの検出信号に基づいて車両V1の車速VNを算出してRAM50Bに記憶した後、ステップS143の処理に進む。
【0090】
ステップS143において、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから当該「走行距離積算処理」のサブ処理を前回実行するまでの間に車両V1が走行した走行距離を表す積算走行距離LNを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS142で記憶した車速VNをRAM50Bから読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRをEEPROM50Cから読み出す。
【0091】
そして、制御装置50は、当該「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTN(例えば、ΔTN=数10msec~数100msec)に、車速VNと硫黄濃度比CRとを乗算した値(補正走行距離)を積算走行距離LNに加算した後、当該積算走行距離LNを再度、積算データ記憶部502に記憶した後、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS36のサブ処理に進む。
【0092】
[交換要否判定処理]
次に、上記ステップS36で制御装置50が実行する「交換要否判定処理」のサブ処理について図16に基づいて説明する。図16に示すように、先ず、ステップS151において、制御装置50は、上記ステップS109で記憶したソーク回数NSを積算データ記憶部502から読み出すと共に、ソーク回数閾値NSD(例えば、1000回~3000回)をEEPROM50Cから読み出す。続いて、制御装置50は、ソーク回数NSがソーク回数閾値NSD以上であるか否かを判定する。尚、ソーク回数閾値NSDは、基準オイルを使用した実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。
【0093】
そして、ソーク回数NSがソーク回数閾値NSD以上であると判定された場合には(S151:YES)、制御装置50は、ステップS152の処理に進む。ステップS152において、制御装置50は、上記ステップS125で記憶した排出NOx積算量WNを積算データ記憶部502から読み出すと共に、排出NOx量閾値WND(例えば、約1800[g])をEEPROM50Cから読み出す。続いて、制御装置50は、排出NOx積算量WNが排出NOx量閾値WND以上であるか否かを判定する。尚、排出NOx量閾値WNDは、基準オイルを使用した実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。
【0094】
そして、排出NOx積算量WNが排出NOx量閾値WND以上であると判定された場合には(S152:YES)、制御装置50は、ステップS153の処理に進む。ステップS153において、制御装置50は、使用潤滑油の交換時期に達したと判定して、交換警告フラグをRAM50Bから読み出し、交換警告フラグを「ON」に設定して、再度RAM50Bに記憶する。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)に戻り、上記「潤滑油交換警告処理」(図4参照)のステップS12の処理に進む。
【0095】
一方、上記ステップS151において、ソーク回数NSがソーク回数閾値NSD未満であると判定された場合(S151:NO)、若しくは、上記ステップS152において、排出NOx積算量WNが排出NOx量閾値WND未満であると判定された場合(S152:NO)には、制御装置50は、ステップS154の処理に進む。ステップS154において、制御装置50は、上記ステップS134で記憶した内燃機関11(エンジン)の積算稼働時間TNを積算データ記憶部502から読み出すと共に、稼働時間閾値TND(例えば、250~300[時間])をEEPROM50Cから読み出す。
【0096】
続いて、制御装置50は、積算稼働時間TNが稼働時間閾値TND以上であるか否かを判定する。尚、稼働時間閾値TNDは、基準オイルを使用した実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。そして、積算稼働時間TNが稼働時間閾値TND以上であると判定された場合には(S154:YES)、制御装置50は、使用潤滑油の交換時期に達したと判定して、上記ステップS153以降の処理を実行する。
【0097】
一方、積算稼働時間TNが稼働時間閾値TND未満であると判定された場合には(S154:NO)、制御装置50は、ステップS155の処理に進む。ステップS155において、制御装置50は、上記ステップS143で記憶した積算走行距離LNを積算データ記憶部502から読み出すと共に、走行距離閾値LND(例えば、8000~10000[km])をEEPROM50Cから読み出す。
【0098】
続いて、制御装置50は、積算走行距離LNが走行距離閾値LND以上であるか否かを判定する。尚、走行距離閾値LNDは、基準オイルを使用した実験等により取得されて予めEEPROM50Cに記憶されている。そして、積算走行距離LNが走行距離閾値LND以上であると判定された場合には(S155:YES)、制御装置50は、使用潤滑油の交換時期に達したと判定して、上記ステップS153以降の処理を実行する。
【0099】
一方、積算走行距離LNが走行距離閾値LND未満であると判定された場合には(S155:NO)、制御装置50は、ステップS156の処理に進む。ステップS156において、制御装置50は、使用潤滑油の交換時期に達していないと判定して、交換警告フラグをRAM50Bから読み出し、交換警告フラグを「OFF」に設定して、再度RAM50Bに記憶する。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)に戻り、上記「潤滑油交換警告処理」(図4参照)のステップS12の処理に進む。
【0100】
ここで、EEPROM50Cは、硫黄濃度記憶装置の一例として機能する。制御装置50、ディスプレイ35、及び、タッチパネル36は、硫黄濃度取得装置の一例を構成する。制御装置50、ディスプレイ35、及び、警告ランプ41は、報知装置の一例を構成する。制御装置50及び冷却水温検出装置39は、冷却水温取得装置の一例を構成する。制御装置50及び加速度センサ33は、加速度取得装置の一例を構成する。制御装置50及び車速検出装置32は、走行距離取得装置の一例を構成する。
【0101】
制御装置50は、硫黄濃度比取得装置、パラメータ取得装置、積算装置、判定装置、ソーク時間取得装置、NOx量取得装置、ソーク時間判定装置、ソーク回数積算装置、NOx量積算装置、ソーク回数・NOx量判定装置、水温補正係数取得装置、稼働時間取得装置、稼働時間積算装置、稼働時間判定装置、加速度補正係数取得装置、走行距離積算装置、及び、走行距離判定装置の一例として機能する。
【0102】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る潤滑油交換警告装置1では、内燃機関11の稼働終了から内燃機関11の稼働開始までの経過時間であるソーク時間STが取得される。そして、このソーク時間STが予め設定されたソーク時間閾値STD以上であると判定された場合に、1回に硫黄濃度比CRを掛け算して補正回数が算出され、ソーク回数NSに積算される。
【0103】
また、内燃機関11の排出する排出NOx量ΔWNが所定時間毎に取得され、この排出NOx量ΔWNに硫黄濃度比CRと冷却水温補正係数WRを掛け算して補正NOx量が算出される。そして、この補正NOx量が排出NOx積算量WNに積算される。その後、ソーク回数NSが予め設定されたソーク回数閾値NSD以上であり、且つ、排出NOx積算量WNが排出NOx量閾値WND以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。
【0104】
これにより、ソーク回数NSと排出NOx積算量WNが硫黄濃度比CRによって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油としての基準オイルを使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【0105】
また、排出NOx量ΔWNに硫黄濃度比CRと冷却水温補正係数WRを掛け算して補正NOx量を算出するため、潤滑油の油温に応じた塩基価の減少を更に考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関11の各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を抑制することができると共に、EGRクーラ29の配管の閉塞、EGR弁30の固着等を抑制し、NOx排出量を低減化することができる。
【0106】
また、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTNに硫黄濃度比CRを掛け算して補正稼働時間が算出される。そして、この補正稼働時間に加速度補正係数HTを掛け算して加速度補正稼働時間が算出されて、積算稼働時間TNに積算される。続いて、積算稼働時間TNが予め設定された稼働時間閾値TND以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。
【0107】
これにより、積算稼働時間TNが硫黄濃度比CRと加速度補正係数HTによって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、車両V1の加速度αに応じた塩基価の減少を考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関11の各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を抑制することができると共に、EGRクーラ29の配管の閉塞、EGR弁30の固着等を抑制し、NOx排出量を低減化することができる。
【0108】
また、車両V1の走行開始から走行停止までの走行距離が取得される。そして、この走行距離に硫黄濃度比CRを掛け算して補正走行距離が算出され、積算走行距離LNに積算される。続いて、積算走行距離LNが予め設定された走行距離閾値LND以上であると判定された場合には、使用潤滑油の交換時期である旨が報知される。
【0109】
これにより、積算走行距離LNが硫黄濃度比CRによって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。引いては、潤滑油による内燃機関11の各部の部品(例えば、軸受等)の腐食摩耗、ゴム、樹脂部品等の劣化を抑制することができると共に、EGRクーラ29の配管の閉塞、EGR弁30の固着等を抑制し、NOx排出量を低減化することができる。
【0110】
尚、前記実施形態の説明に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。また、以上(≧)、以下(≦)、より大きい(>)、未満(<)等は、等号を含んでも含まなくてもよい。
【0111】
本発明の潤滑油交換警告装置は、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記図1図16の前記実施形態に係る内燃機関11等と同一符号は、前記実施形態に係る内燃機関11等と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0112】
[他の第1実施形態]
(A)例えば、他の第1実施形態に係る制御装置50は、図17に示すように、上記ステップS19の処理(図4参照)を実行した後、ステップS211~ステップS213の処理を実行した後、上記ステップS20の処理に進むようにしてもよい。具体的には、ステップS211において、制御装置50は、使用している使用燃料(軽油)の種類を入力する燃料種類入力画面をディスプレイ35に表示する。そして、制御装置50は、ディスプレイ35のタッチパネル36を介して、使用している使用燃料の種類が入力されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0113】
そして、ディスプレイ35から使用している使用燃料の種類が入力されていないと判定された場合には(S211:NO)、制御装置50は、ディスプレイ35から交換した使用燃料の種類名が入力されるの待つ。一方、ディスプレイ35から使用している使用燃料の種類名が入力されたと判定された場合には(S211:YES)、制御装置50は、ディスプレイ35から入力された使用燃料の種類名をRAM50Bに記憶した後、ステップS212の処理に進むようにしてもよい。
【0114】
ここで、燃料種類入力画面の一例を図18に基づいて説明する。図18に示すように、制御装置50は、ディスプレイ35の画面上端部に、ドライバーに対して使用している使用燃料の種類名を選択するように要求するメッセージ、例えば、「使用している燃料はどれですか?」というメッセージを表示する。そして、制御装置50は、ディスプレイ35の画面のメッセージの下側に、複数の使用燃料の種類名、例えば、「基準軽油(基準燃料)」、「軽油A」、「軽油B」、「軽油C」・・・の各使用燃料の種類名を上下方向に並べて表示する。また、制御装置50は、ディスプレイ35の画面の各使用燃料の種類名の左側に、円形の選択マーク65Bを表示する。また、制御装置50は、ディスプレイ35の画面の右下角部に、OKボタン65Cを表示する。
【0115】
そして、ドライバーが使用している使用燃料(軽油)の種類名を指61で押下することによって、ディスプレイ35は、タッチパネル36を介して、指61で押下された使用燃料の種類名の位置情報を取得して、記憶する。そして、ディスプレイ35は、この押下された使用燃料の種類名の左側に表示された選択マーク65B内に黒丸印を表示して、選択された旨をドライバーに報知する。その後、ドライバーがOKボタン65Cを指61で押下することによって、ディスプレイ35は、選択マーク65B内に黒丸印が表示されている使用燃料の種類名を使用している使用燃料の種類名として制御装置50へ出力した後、初期画面を表示する。
【0116】
図17に示すように、ステップS212において、制御装置50は、RAM50Bから使用している使用燃料の種類名を読み出す。そして、制御装置50は、EEPROM50Cの硫黄濃度データテーブル記憶部501に記憶される燃料硫黄濃度データテーブル56から、この使用燃料の種類名を「軽油種類」として、対応する「含有硫黄濃度(%)」を読み出し、使用燃料の含有硫黄濃度(%)として、RAM50Bに記憶した後、ステップS213の処理に進むようにしてもよい。
【0117】
ステップS213において、制御装置50は、EEPROM50Cの硫黄濃度データテーブル記憶部501に記憶される燃料硫黄濃度データテーブル56から、「軽油種類」が「基準軽油(基準燃料)」に対応する「含有硫黄濃度(%)」を読み出し、基準軽油の含有硫黄濃度(%)として、RAM50Bに記憶する。
【0118】
そして、制御装置50は、使用燃料の含有硫黄濃度(%)と、基準軽油の含有硫黄濃度(%)とをRAM50Bから再度、読み出し、基準軽油の含有硫黄濃度(%)に対する使用燃料の含有硫黄濃度(%)の燃料硫黄濃度比FRを算出して、RAM50Bに記憶する。つまり、制御装置50は、使用燃料の含有硫黄濃度(%)を基準軽油の含有硫黄濃度(%)で除算して、燃料硫黄濃度比FRを算出して、EEPROM50Cに記憶した後、上記ステップS20の処理に進むようにしてもよい。これにより、制御装置50は、基準潤滑油の含有硫黄濃度(%)に対する使用潤滑油の含有硫黄濃度(%)の硫黄濃度比CRと、基準軽油の含有硫黄濃度(%)に対する使用燃料の含有硫黄濃度(%)の燃料硫黄濃度比FRとを取得することができる。
【0119】
また、上記ステップS109において(図8参照)、制御装置50は、内燃機関11がソーク時間閾値STD以上停止した回数を表すソーク回数NSを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRと、上記ステップS213で記憶した燃料硫黄濃度比FRと、をEEPROM50Cから読み出すようにしてもよい。そして、制御装置50は、「1[回]」に硫黄濃度比CRと燃料硫黄濃度比FRとを乗算した値(補正回数)をソーク回数NSに加算した後、当該ソーク回数NSを再度、積算データ記憶部502に記憶した後、上記ステップS110の処理に進むようにしてもよい。
【0120】
また、上記ステップS125において(図11参照)、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから当該「NOx量積算処理」のサブ処理を前回実行するまでの間に内燃機関11が排出したNOx量を表す排出NOx積算量WNを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS123で記憶した排出NOx量ΔWNと、上記ステップS124で記憶した冷却水温補正係数WRと、をRAM50Bから読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRと、上記ステップS213で記憶した燃料硫黄濃度比FRと、をEEPROM50Cから読み出すようにしてもよい。
【0121】
そして、制御装置50は、冷却水温補正係数WRと硫黄濃度比CRと燃料硫黄濃度比FRとを排出NOx量ΔWNに乗算した値(補正NOx量)を排出NOx積算量WNに加算した後、当該排出NOx積算量WNを再度、積算データ記憶部502に記憶するようにしてもよい。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS34のサブ処理に進むようにしてもよい。
【0122】
また、上記ステップS134において(図13参照)、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから当該「エンジン稼働時間積算処理」のサブ処理を前回実行するまでの間に内燃機関11が稼働した稼働時間を表す内燃機関11(エンジン)の積算稼働時間TNを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS133で記憶した加速度補正係数HTをRAM50Bから読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRと、上記ステップS213で記憶した燃料硫黄濃度比FRと、をEEPROM50Cから読み出すようにしてもよい。
【0123】
そして、制御装置50は、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTN(例えば、ΔTN=数10msec~数100msec)に、硫黄濃度比CRと燃料硫黄濃度比FRとを乗算した値(補正稼働時間)を算出する。続いて、制御装置50は、更に、この補正稼働時間に加速度補正係数HTを乗算した値(加速度補正稼働時間)を算出する。そして、制御装置50は、この加速度補正稼働時間を積算稼働時間TNに加算した後、当該積算稼働時間TNを再度、積算データ記憶部502に記憶するようにしてもよい。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS35のサブ処理に進むようにしてもよい。
【0124】
また、上記ステップS143において(図15参照)、制御装置50は、使用潤滑油を交換してから当該「走行距離積算処理」のサブ処理を前回実行するまでの間に車両V1が走行した走行距離を表す積算走行距離LNを積算データ記憶部502から読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS142で記憶した車速VNをRAM50Bから読み出す。また、制御装置50は、上記ステップS19で記憶した硫黄濃度比CRと、上記ステップS213で記憶した燃料硫黄濃度比FRと、をEEPROM50Cから読み出すようにしてもよい。
【0125】
そして、制御装置50は、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)を前回実行してから今回実行するまでに経過したサイクル処理時間ΔTN(例えば、ΔTN=数10msec~数100msec)に、車速VNと硫黄濃度比CRと燃料硫黄濃度比FRとを乗算した値(補正走行距離)を積算走行距離LNに加算した後、当該積算走行距離LNを再度、積算データ記憶部502に記憶するようにしてもよい。その後、制御装置50は、当該サブ処理を終了して、「潤滑油交換要否判定処理」のサブ処理(図7参照)のステップS36のサブ処理に進むようにしてもよい。
【0126】
これにより、ソーク回数NSが硫黄濃度比CRと燃料硫黄濃度比FRとによって補正され、また、排出NOx積算量WNが硫黄濃度比CRと冷却水温補正係数WRと燃料硫黄濃度比FRとによって補正される。このため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油としての基準オイルを使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用燃料(軽油)の含有硫黄濃度に応じた塩基価の減少を考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【0127】
また、積算稼働時間TNが硫黄濃度比CRと加速度補正係数HTと燃料硫黄濃度比FRとによって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、車両V1の加速度αと使用燃料(軽油)の含有硫黄濃度とに応じた塩基価の減少を考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【0128】
また、積算走行距離LNが硫黄濃度比CRと燃料硫黄濃度比FRとによって補正されるため、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油を使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用燃料(軽油)の含有硫黄濃度に応じた塩基価の減少を考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【0129】
ここで、EEPROM50Cは、燃料硫黄濃度記憶装置の一例として機能する。制御装置50、ディスプレイ35、及び、タッチパネル36は、燃料硫黄濃度取得装置の一例を構成する。制御装置50は、燃料硫黄濃度比取得装置、及び、積算装置の一例として機能する。
【0130】
[他の第2実施形態]
(B)また、例えば、内燃機関11がガソリンエンジンの場合には、燃料硫黄濃度データテーブル56は、燃料(ガソリン)の種類として「基準ガソリン」、「ガソリンA」、「ガソリンB」、「ガソリンC」、・・・を順番に記憶し、「含有硫黄濃度(%)」として、「基準ガソリン」、「ガソリンA」、「ガソリンB」、「ガソリンC」、・・・のそれぞれの含有硫黄濃度を記憶するようにしてもよい。また、制御装置50は、上記ステップS211において、例えば、「基準ガソリン」、「ガソリンA」、「ガソリンB」、「ガソリンC」、・・・の各使用燃料の種類名を上下方向に並べてディスプレイ35に表示するようにしてもよい(図18参照)。
【0131】
そして、制御装置50は、上記ステップS212において、選択された使用燃料(ガソリン)に対応する「含有硫黄濃度(%)」を燃料硫黄濃度データテーブル56から取得してRAM50Bに記憶した後、ステップS213の処理に進むようにしてもよい。ステップS213において、制御装置50は、燃料硫黄濃度データテーブル56から「基準ガソリン」の「含有硫黄濃度(%)」を読み出す。続いて、制御装置50は、使用燃料(ガソリン)の含有硫黄濃度(%)を基準ガソリンの含有硫黄濃度(%)で除算して、燃料硫黄濃度比FRを算出して、EEPROM50Cに記憶した後、上記ステップS20の処理に進むようにしてもよい。
【0132】
これにより、制御装置50は、基準潤滑油の含有硫黄濃度(%)に対する使用潤滑油の含有硫黄濃度(%)の硫黄濃度比CRと、基準ガソリンの含有硫黄濃度(%)に対する使用燃料(ガソリン)の含有硫黄濃度(%)の燃料硫黄濃度比FRとを取得することができる。従って、使用潤滑油の塩基価の減少が、基準潤滑油としての基準オイルを使用した場合の塩基価の減少よりも速く進んでも、使用燃料(ガソリン)の含有硫黄濃度に応じた塩基価の減少を考慮して、使用潤滑油の劣化を適切に判定して、ドライバーに対して潤滑油の交換を促すことができる。
【符号の説明】
【0133】
1 潤滑油交換警告装置
11 内燃機関
31 回転検出装置
32 車速検出装置
33 加速度センサ
35 ディスプレイ
36 タッチパネル
38 アクセル開度検出装置
39 冷却水温検出装置
41 警告ランプ
50 制御装置
50C EEPROM
55 潤滑油硫黄濃度データテーブル
56 燃料硫黄濃度データテーブル
501 硫黄濃度データテーブル記憶部
502 積算データ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18