(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135533
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】分析装置の制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/00 20120101AFI20220908BHJP
【FI】
G06Q30/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035408
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】515202391
【氏名又は名称】デロイトトーマツコンサルティング合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】豊島 浩文
(72)【発明者】
【氏名】萩之内 舜
(72)【発明者】
【氏名】安藤 賢太朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
5L049CC17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コールセンターへの問合せ内容の時間的変化を分析し、管理者に提示する分析装置を提供する。
【解決手段】管理者端末と分析装置が、ネットワークを介して接続するコールセンターシステムにおいて、分析装置は、問合せ毎の問合せデータを複数個取得する取得部と、取得した問合せデータ内の複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを複数個生成する組合せ生成部と、第1所定期間の組合せキーワードが出現する第1出現度及びそれより前の第2所定期間において組合せキーワードが出現する第2出現度を、複数の組合せキーワードの各々について算出する出現度算出部と、第1、第2出現度に基づき、第1所定期間における組合せキーワードの増加度を、複数の組合せキーワード毎に算出する評価度数算出部と、複数の組合せキーワード毎に、第1出現度及び増加度を関連付けた出力データを生成し出力データ出力させる出力データ生成部と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力部を有する分析装置の制御方法であって、
コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを複数個取得し、
前記複数の問合せデータに基づいて、複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを複数個生成し、
第1所定期間における前記問合せデータに基づいて、前記第1所定期間において、1つの問合せデータに組合せキーワードが出現する頻度を表す第1出現度を、前記複数の組合せキーワードの各々について算出し、
前記第1所定期間より前の第2所定期間における前記問合せデータに基づいて、前記第2所定期間において、1つの問合せデータに組合せキーワードが出現する頻度を表す第2出現度を、前記複数の組合せキーワードの各々について算出し、
前記第1出現度及び前記第2出現度に基づいて、前記第1所定期間における組合せキーワードの出現度の増加を表す増加度を、前記複数の組合せキーワードの各々について算出し、
前記複数の組合せキーワードの各々について、前記第1出現度及び前記増加度を関連付けた出力データを生成し、
前記出力データを前記出力部に出力する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記複数の組合せキーワードの各々について、全ての組合せキーワードの前記第1出現度の平均値に対する特定の組合せキーワードの前記第1出現度の比である相対頻度、及び前記増加度を関連付けて、前記出力データを生成する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記出力データは、
前記増加度を第1軸に、前記相対頻度を前記第1軸と交差する第2軸に設定した座標平面と、
前記座標平面上での前記組合せキーワードの位置を示すマークと、を表示する画像データであり、
前記座標平面は、前記増加度が所定の増加度閾値より大きいか小さいか、及び前記相対頻度が所定の頻度閾値より大きいか小さいかによって4象限に分類され、
前記座標平面の4象限は、視覚的に異なる形式で表示される、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
さらに、
前記組合せキーワードと関連付けられた前記増加度及び前記相対頻度を、それぞれ所定の増加度閾値及び所定の頻度閾値と比較し、
前記増加度と前記増加度閾値との大小関係、及び前記相対頻度と前記頻度閾値との大小関係に基づいて、前記出力部に出力する出力データを決定する、請求項2に記載の制御方法。
【請求項5】
出力部を有する分析装置の制御プログラムであって、
コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを複数個取得し、
前記複数の問合せデータに基づいて、複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを複数個生成し、
第1所定期間における前記問合せデータに基づいて、前記第1所定期間において、1つの問合せデータに組合せキーワードが出現する頻度を表す第1出現度を、前記複数の組合せキーワードの各々について算出し、
前記第1所定期間より前の第2所定期間における前記問合せデータに基づいて、前記第2所定期間において、1つの問合せデータに組合せキーワードが出現する頻度を表す第2出現度を、前記複数の組合せキーワードの各々について算出し、
前記第1出現度及び前記第2出現度に基づいて、前記第1所定期間における組合せキーワードの出現度の増加を表す増加度を、前記複数の組合せキーワードの各々について算出し、
前記複数の組合せキーワードの各々について、前記第1出現度及び前記増加度を関連付けた出力データを生成し、
前記出力データを前記出力部に出力する、
ことを分析装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者からの問合せに対して情報を提供する業務を改善するためのシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、利用者からの問合せ等の入力情報と、最終的に提供する情報に至るまでの履歴情報とに基づいて、最終的に提供する情報に関する満足度と検索容易度とを分析し、分析結果を管理者に提示する情報提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、管理者に提示される分析結果は、利用者からの問合せに対するワークフローに関連する情報であり、問合せ内容の時間的変化を示す情報を含まない。このため、管理者は、特定の内容に関する問合せが急増していることを検知して、その問合せに対する回答を充実させる等の対応をとることが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、コールセンターへの問合せ内容の時間的変化に基づいた分析結果をコールセンターの管理者に提供可能な、分析装置の制御方法及び制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、出力部を有する分析装置の制御方法であって、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを複数個取得し、複数の問合せデータに基づいて、問合せデータ内の複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを複数個生成し、第1所定期間における問合せデータに基づいて、第1所定期間において組合せキーワードを含む問合せが出現する頻度を表す第1出現度を、複数の組合せキーワードの各々について算出し、第1所定期間より前の第2所定期間における問合せデータに基づいて、第2所定期間において組合せキーワードを含む問合せが出現する頻度を表す第2出現度を、複数の組合せキーワードの各々について算出し、第1出現度及び第2出現度に基づいて、第1所定期間における組合せキーワードの出現度の増加を表す増加度を、複数の組合せキーワードの各々について算出し、複数の組合せキーワードの各々について、第1出現度及び増加度を関連付けた出力データを生成し、出力データを出力部に出力する、制御方法を提供する。
【0008】
この制御方法において、複数の組合せキーワードの各々について、全ての組合せキーワードの第1出現度の平均値に対する特定の組合せキーワードの第1出現度の比である相対頻度、及び増加度を関連付けて、出力データを生成する、ことが好ましい。
【0009】
この制御方法において、出力データは、増加度を第1軸に、相対頻度を第1軸と交差する第2軸に設定した座標平面と、座標平面上での組合せキーワードの位置を示すマークと、を表示する画像データであり、座標平面は、増加度が所定の増加度閾値より大きいか小さいか、及び相対頻度が所定の頻度閾値より大きいか小さいかによって4象限に分類され、座標平面の4象限は、視覚的に異なる形式で表示される、ことが好ましい。
【0010】
この制御方法において、さらに、組合せキーワードと関連付けられた増加度及び相対頻度を、それぞれ所定の増加度閾値及び所定の頻度閾値と比較し、増加度と増加度閾値との大小関係、及び相対頻度と頻度閾値との大小関係に基づいて、出力部に出力する出力データを決定する、ことが好ましい。
【0011】
本発明の一態様によれば、出力部を有する分析装置の制御プログラムであって、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを複数個取得し、複数の問合せデータに基づいて、問合せデータ内の複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを複数個生成し、第1所定期間における問合せデータに基づいて、第1所定期間において組合せキーワードを含む問合せが出現する頻度を表す第1出現度を、複数の組合せキーワードの各々について算出し、第1所定期間より前の第2所定期間における問合せデータに基づいて、第2所定期間において組合せキーワードを含む問合せが出現する頻度を表す第2出現度を、複数の組合せキーワードの各々について算出し、第1出現度及び第2出現度に基づいて、第1所定期間における組合せキーワードの出現度の増加を表す増加度を、複数の組合せキーワードの各々について算出し、複数の組合せキーワードの各々について、第1出現度及び増加度を関連付けた出力データを生成し、出力データを出力部に出力する、ことを分析装置に実行させる制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る制御方法及び制御プログラムは、コールセンターへの問合せ内容の時間的変化に基づいた分析結果をコールセンターの管理者に提供するように、分析装置を制御することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】分析装置における処理概要の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコールセンターシステム1の概略構成を示す図である。
【
図3】分析装置4の概略構成の一例を示す図である。
【
図4】分析装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】問合せデータテーブルの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態により課題が解決される様子を示す模式図である。
【
図10】単一のキーワードを用いる際の出力画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る分析装置について図を参照しつつ説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、分析装置における処理概要の一例を示す図である。
【0016】
最初に、分析装置は、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを複数個取得する。問合せデータは、コールセンターが電話により受け付けた問合せ毎に生成されるデータであり、問合せを識別するIDと、問合せ内容が文字列形式に変換された問合せ文とを含む。
【0017】
次に、分析装置は、問合せデータの問合せ文からキーワードを抽出し、組合せキーワードを生成する。組合せキーワードは、問合せ文から抽出された複数のキーワードで構成される。
【0018】
次に、分析装置は、生成された組合せキーワードの各々について、第1出現度及び増加度を算出する。第1出現度は、第1所定期間において、1つの問合せデータに組合せキーワードが出現する頻度、すなわち組合せキーワードを含む問合せ文が第1所定期間に出現する頻度を表す。増加度は、第2出現度に対する第1出現度の増加の度合いを表す。第2出現度は、第1所定期間より前の第2所定期間において、1つの問合せデータに組合せキーワードが出現した頻度である。
【0019】
次に、分析装置は、複数の組合せキーワードの各々について、第1出現度及び増加度を関連付けた出力データを生成して出力する。分析装置は、増加度を横軸、第1出現度を縦軸とする座標平面上に、増加度の閾値(=2)と、第1出現度の閾値(=1)と、組合せキーワードの各々とを表示した出力データを生成して出力する。増加値の閾値及び第1出現度の閾値は、コールセンターの管理者(以下、管理者と称する)によって予め設定される。
【0020】
分析装置は、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータに基づいて、複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを生成する。分析装置は、組合せキーワード毎に第1出現度及び増加度を算出し、算出した第1出現度及び増加度を組合せキーワードと関連付けて出力する。組合せキーワードは、問合せの内容を表現するため、分析装置は、コールセンターへの問合せ内容の時間的変化に基づいた分析結果を管理者に提示することができる。
【0021】
<実施形態>
図2は、本発明の一実施形態に係るコールセンターシステム1の概略構成を示す図である。
【0022】
コールセンターシステム1は、サーバ2、管理者端末3及び分析装置4等を有する。サーバ2、管理者端末3及び分析装置4は、インターネット等の通信ネットワーク5を介して接続される。
【0023】
サーバ2は、コールセンターが受け付けた問合せの内容を記憶するサーバである。サーバ2は、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の通信方式により、通信ネットワーク5を介して管理者端末3及び分析装置4と通信する。
【0024】
サーバ2は、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成された問合せデータを記憶する。問合せデータは、問合せデータを識別するためのID、問合せ元の電話番号、問合せをコールセンターが受け付けた問合せ日時及び問合せの内容を含む。
【0025】
管理者端末3は、サーバ2及び分析装置4に対して各種の要求を行う端末である。管理者端末3は、TCP/IP等の通信方式により、通信ネットワーク5を介してサーバ2及び分析装置4と通信する。
【0026】
図3は、分析装置4の概略構成の一例を示す図である。
【0027】
分析装置4は、通信部41と、記憶部42と、処理部43とを有する。
【0028】
通信部41は、有線LAN等の有線の通信インターフェース回路、又は、無線LAN等の無線の通信インターフェース回路を有する。通信部41は、通信ネットワーク5を介して、サーバ2、管理者端末3等とTCP/IP等の通信方式により通信を行う。通信部41は、サーバ2、管理者端末3等から受信したデータを処理部43に供給する。通信部41は、処理部43から供給されたデータをサーバ2、管理者端末3等に送信する。通信部41は、出力部の一例である。
【0029】
記憶部42は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置及び光ディスク装置のうちの少なくとも1つを有する。記憶部42は、処理部43による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。
【0030】
例えば、記憶部42は、ドライバプログラムとして、通信部41を制御する通信デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶部42は、オペレーティングシステムプログラムとして、TCP/IP等の通信方式による接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶部42は、アプリケーションプログラムとして、各種データの送受信を行うデータ処理プログラム等を記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部42にインストールされてもよい。
【0031】
処理部43は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有し、分析装置4の全体的な動作を統括的に制御する。処理部43は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。なお、処理部43は、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等でもよい。
【0032】
処理部43は、分析装置4の各種処理が記憶部42に記憶されているプログラム等に応じて適切な手順で実行されるように、通信部41等の動作を制御する。処理部43は、記憶部42に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部43は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0033】
処理部43は、取得部431、組合せ生成部432、出現度算出部433、評価度数算出部434、出力データ生成部435及び出力データ出力部436等を有する。処理部43が有するこれらの各部は、処理部43が有するプロセッサ上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。あるいは、処理部43が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、又はファームウェアとして分析装置4に実装されてもよい。
【0034】
図4は、分析装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0035】
以下、
図4に示したフローチャートを参照しつつ、分析装置4の動作の例を説明する。以下に説明する動作は、予め記憶部42に記憶されているプログラムに基づき、主に処理部43により各要素と協働して実行される。
【0036】
最初に、取得部431は、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを、サーバ2から通信部41を介して複数個取得する(S11)。問合せデータは、コールセンターが利用者との1回の通話で複数の問合せを受け付けた場合、それぞれの問合せについて生成される。取得部431は、取得した問合せデータから問合せデータテーブルを生成し、記憶部42に記憶する。
【0037】
図5は、問合せデータテーブルの一例を示す図である。
【0038】
問合せデータテーブルには、問合せデータを識別するためのID、問合せ元の電話番号、問合せをコールセンターが受け付けた問合せ日時、問合せ内容が文字列で示された問合せ文等が互いに関連付けられて記憶される。
【0039】
次に、組合せ生成部432は、問合せデータテーブルに記憶されたデータの各々に、セッションIDを付与する(S12)。セッションとは、コールセンターの利用者及び問合せ日時によって問合せデータをグループ化する単位であり、セッションIDは、セッションを識別するための識別子である。組合せ生成部432は、問合せデータテーブルに記憶されたデータを参照し、電話番号が同一、かつ問合せ日時が15分間等の所定の範囲に含まれるデータを、1つのセッションに含まれるデータと判定する。組合せ生成部432は、1つのセッションに含まれると判定したデータの各々に共通のセッションIDを付与する。
【0040】
次に、組合せ生成部432は、セッションIDを付与したデータの各々からキーワードを抽出する(S13)。組合せ生成部432は、問合せデータテーブルに含まれるデータのうち、問合せ日時が第1所定期間及び第2所定期間の何れか一方に含まれるデータの問合せ文を構文解析及び形態素解析して名詞を抽出し、抽出した名詞をキーワードとする。第1所定期間は、分析対象の問合せ日時の日付のうち最新の日付を含む所定の期間であり、例えば1日、1週間等である。第2所定期間は、第1所定期間より前の期間であり、例えば半年、1年等である。組合せ生成部432は、名詞が記憶された辞書を記憶部42に記憶し、抽出した名詞のうち辞書に登録されている名詞をキーワードとしてもよい。組合せ生成部432は、問合せデータテーブルに記憶されたデータ及び抽出されたキーワードから中間データテーブルを生成し、記憶部42に記憶する。
【0041】
【0042】
中間データテーブルには、問合せデータを識別するためのID、セッションID、問合せ日時、抽出されたキーワード等が互いに関連付けられて記憶される。
【0043】
次に、組合せ生成部432は、中間データテーブルに記憶されたデータに基づいて、問合せデータ内の複数のキーワードの組合せから構成される組合せキーワードを複数個生成する(S14)。組合せ生成部432は、問合せ日時が第1所定期間に含まれる問合せデータを対象として、問合せデータに含まれるキーワードについてアソシエーション分析を行う。組合せ生成部432は、問合せデータに同時に含まれる頻度が所定閾値以上のキーワードの組合せをアソシエーション分析によって抽出し、抽出したキーワードの組合せから組合せキーワードを生成する。組合せ生成部432は、同一のセッションIDを有する複数の問合せデータに同時に含まれる頻度が所定閾値以上のキーワードの組合せをアソシエーション分析によって抽出し、組合せキーワードを生成してもよい。
【0044】
次に、出現度算出部433は、第1所定期間における問合せデータに基づいて、第1出現度を複数の組合せキーワードの各々について算出する(S15)。出現度算出部433は、中間データテーブルに含まれ、問合せ日時が第1所定期間内であるデータの中から、S14で生成された組合せキーワードに含まれるキーワードをすべて含むデータの数を組合せキーワード毎に算出する。出現度算出部433は、算出した値をその組み合わせキーワードの第1出現度とする。
【0045】
次に、出現度算出部433は、第2所定期間における問合せデータに基づいて、第2出現度を複数の組合せキーワードの各々について算出する(S16)。出現度算出部433は、中間データテーブルに含まれ、問合せ日時が第2所定期間内であるデータの中から、S14で生成された組合せキーワードに含まれるキーワードをすべて含むデータの数を組合せキーワード毎に算出する。出現度算出部433は、算出した値をその組み合わせキーワードの第2出現度とする。
【0046】
次に、評価度数算出部434は、S15で算出した第1出現度及びS16で算出した第2出現度に基づいて、増加度を複数の組合せキーワードの各々について算出する(S17)。増加度は、例えば以下の数式により算出される。
【数1】
【0047】
ここで、
t:所定期間を示す識別子。本実施形態における所定期間は、第1所定期間に対応する。
i:所定期間tにおける問合せデータから抽出された組合せキーワードの識別子。
C.V.i:組合せキーワードiの変動係数。
-Zi,t:組合せキーワードiの所定期間tにおけるZ値。
xi:組合せキーワードiの出現頻度。本実施形態における第2出現度。
σi:組合せキーワードiの出現頻度の標準偏差。
xi,t:所定期間tにおける組合せキーワードiの出現頻度。本実施形態における第1出現度。
【0048】
次に、評価度数算出部434は、S15で算出した第1出現度を相対値で表現した相対頻度を、複数の組合せキーワードの各々について算出する(S18)。相対頻度は、例えば以下の数式により算出される。
【数2】
【0049】
ここで、
t:所定期間を示す識別子。本実施形態における所定期間は、第1所定期間に対応する。
i:所定期間tにおける問合せデータから抽出された組合せキーワードの識別子。
xi,t:所定期間tにおける組合せキーワードiの出現頻度。本実施形態における第1出現度。
I:所定期間tにおける組合せキーワードの全体集合。
Nt:所定期間tにおける組合せキーワードの総数。
【0050】
次に、出力データ生成部435は、組合せキーワードの各々について、相対頻度及び増加度を関連付けて記憶する出力データテーブルを生成し(S19)、記憶部42に記憶する。
【0051】
【0052】
出力データテーブルには、組合せID、問合せ日時の日付、組合せキーワード、組合せキーワードの出現回数、組合せキーワードの増加度、組合せキーワードの相対頻度等が互いに関連付けられて記憶される。組合せIDは、組合せキーワードを識別するための識別子である。
【0053】
次に、出力データ生成部435は、通信部41を介して管理者端末3から出力データの送信要求を受信すると、送信要求と共に送信された増加度閾値及び頻度閾値と、出力データテーブルに記憶されたデータとに基づいて出力画像を生成する(S20)。出力画像は、出力データの一例である。増加度閾値及び頻度閾値は、予め設定され、記憶部42に記憶されていてもよい。
【0054】
【0055】
出力画像は、横軸が増加度、縦軸が相対頻度である座標平面上に、各組合せキーワードの位置を示すマークを配置した形式で表示される。
図8に示す例では、丸で囲まれた数字1~4は、それぞれ組合せIDの位置を示すマークであり、増加度及び相対頻度は、いずれも0以上の値をとる。座標平面は、増加度閾値(=2)及び頻度閾値(=1)によって第1~第4象限に分類され、第1~第4象限は、視覚的に異なる形式で表示される。
【0056】
第1象限は、増加度が増加度閾値より大きく、相対頻度が頻度閾値より大きな、格子模様が付された領域である。第1象限に配置される組合せキーワードは、特定の期間に多く検索される内容を示すものであり、旬の質問に分類される。
【0057】
第2象限は、増加度が増加度閾値より小さく、相対頻度が頻度閾値より大きな、横線が付された領域である。第2象限に配置される組合せキーワードは、季節を問わず頻繁に検索される内容を示すものであり、定番の質問に分類される。
【0058】
第3象限は、増加度が増加度閾値より小さく、相対頻度が頻度閾値より小さな、模様が付されていない領域である。第3象限に配置される組合せキーワードは、数は少ないが長期間検索される内容を示すものであり、根強い質問に分類される。
【0059】
第4象限は、増加度が増加度閾値より大きく、相対頻度が頻度閾値より小さな、縦線が付された領域である。第4象限に配置される組合せキーワードは、短期的に急増し、即座に対応が求められる内容を示すものであり、急増の質問に分類される。
【0060】
次に、出力データ出力部436は、出力データを通信部41に出力し、通信部41を介して管理者端末3に送信する(S21)。以上により、一連の処理を終了する。
【0061】
このように、分析装置4は、コールセンターが受け付けた問合せ毎に生成される問合せデータを複数個取得し、取得した問合せデータに含まれるキーワードを組み合わせて組合せキーワードを生成する。分析装置4は、組合せキーワードについて相対頻度及び増加度を算出し、組合せキーワード、相対頻度及び増加度を関連付けた出力データを生成する。組合せキーワードは、問合せの内容を表現するため、分析装置4は、コールセンターへの問合せ内容の時間的変化に基づいた分析結果を管理者に提供することができる。
【0062】
図9は、本発明の一実施形態により課題が解決される様子を示す模式図である。
【0063】
分析装置4は、コールセンターへの問合せ内容の時間的変化に基づいた分析結果を管理者に提供するため、管理者は、特定の内容に関する問合せが急増していることを検知して、その問合せに対する回答を充実させる等の対応をとることができる。このように、管理者は、対応を計画(Plan)及び実行(Do)し、実行結果を評価(Check)することによって、さらに対応を改善(Action)することができる。これを繰り返すことにより、管理者は、コールセンターが回答するコンテンツを時間の経過とともに着実に充実させることができる。
【0064】
また、分析装置4は、増加度を第1軸に、相対頻度を第1軸と交差する第2軸に設定した座標平面と、座標平面上での組合せキーワードの位置を示すマークとを表示する画像データを出力データとして生成する。この画像データにおいて、座標平面は、増加度が増加度閾値より大きいか小さいか、及び相対頻度が頻度閾値より大きいか小さいかによって4象限に分類され、座標平面の4象限は、視覚的に異なる形式で表示される。これにより、分析装置4は、組合せキーワードが4象限のどこに含まれるかを容易に区別できるような分析結果を管理者に提供することができる。
【0065】
また、組合せキーワードは、複数の問合せデータのうち異なる問合せデータから抽出されるキーワードを含み、異なる問合せデータは、コールセンターが同一の通話で受け付けた異なる問合せにそれぞれ対応してもよい。分析装置4は、コールセンターが同一の通話で受け付けたキーワードを、問合せ文をまたがるように組み合わせて組合せキーワードを生成するため、通話の全体像を示す組合せキーワードの出現状態を把握できるような分析結果を管理者に提供することができる。
【0066】
なお、出力データ生成部435は、相対頻度に代えて第1出現度を用いて出力画像を生成してもよい。この場合、頻度閾値は、第1出現度に関する閾値である。
【0067】
また、出力データ生成部435は、出力画像の生成に代えて、又は出力画像の生成と共に、出力データテーブルに記憶された各データの増加度及び相対頻度を、それぞれ増加度閾値及び頻度閾値と比較してもよい。この場合、出力データ生成部435は、増加度と増加度閾値との大小関係、及び相対頻度と頻度閾値との大小関係に基づいて、通信部41に出力する出力データを決定する。例えば、出力データ生成部435は、所定の大小関係を満たす組合せキーワードの位置を示すマークのみを出力画像に配置することができる。また例えば、出力データ生成部435は、所定の大小関係を満たす組合せキーワードを含み、他の組合せキーワードを含まない出力データを、通信部41に出力することができる。
【0068】
また、出力データ出力部436は、出力画像に代えて、又は出力画像と共に、出力データテーブルに含まれるデータを出力データとして通信部41に出力し、管理者端末3に送信してもよい。これにより、管理者端末3は、受信した出力データを用いて出力画像を生成し、出力すること、及び、受信した出力データを表形式又はリスト形式で出力することができる。
【0069】
また、分析装置4は、単一のキーワードについて第1出現度、第2出現度及び増加度を算出し、単一のキーワードと第1出現度(相対頻度)及び増加度とを関連付けた出力データを生成してもよい。
【0070】
図10は、単一のキーワードを用いる際の出力画像の一例を示す図である。
【0071】
図10の縦軸は相対頻度、横軸は増加度である。
図10において、多くのキーワードが根強い質問に分類される(座標平面の左下に集まっている)こと、及び、「ゴルフ」、「コロナ」といったキーワードが旬の質問又は急増の質問に分類される(増加度が大きい)ことを読み取ることができる。
【0072】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0073】
4 分析装置
41 通信部(出力部)
42 記憶部