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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135556
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】配送伝票
(51)【国際特許分類】
   B42D 11/00 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
B42D11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035457
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 菜々実
(57)【要約】
【課題】配送物を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスを利用した場合でも、配送物を取り扱いにくくすることなく簡単な作業で、配送伝票に表示された情報の漏洩を回避する。
【解決手段】一方の面に擬似接着層30及び中間紙片20を介して粘着層40が積層された表面紙片10と、粘着層40によって擬似接着層30及び中間紙片20を介して表面紙片10に剥離可能に貼着された剥離紙50とを有する構成において、表面紙片10は、配送情報が表示される受領票11及び貼付票12と、貼付票12に貼着される隠蔽ラベル13aがくり抜き可能に区画形成された不透明なラベル票13とを有し、剥離紙50は、隠蔽ラベル13aと、隠蔽ラベル13a以外の領域のうちの隠蔽ラベル13aの4周辺に沿う領域とに対向する分離部51がくり抜き可能に区画形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に粘着層が積層された伝票基材と、前記粘着層によって前記伝票基材に剥離可能に貼着された剥離紙とを有し、前記剥離紙が剥離されて前記伝票基材が前記粘着層によって配送物に貼付される配送伝票において、
前記伝票基材は、
配送情報が表示される配送票と、
前記配送情報の少なくとも一部を覆うように前記配送票に貼着される隠蔽ラベルがくり抜き可能に区画形成された不透明なラベル票とを有し、
前記剥離紙は、前記隠蔽ラベルと、前記隠蔽ラベル以外の領域のうちの前記隠蔽ラベルの少なくとも3周辺に沿う領域とに対向する分離部がくり抜き可能に区画形成されている、配送伝票。
【請求項2】
請求項1に記載の配送伝票において、
前記隠蔽ラベルは、その外形が、前記配送票の前記配送情報が表示された領域よりも小さい、配送伝票。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の配送伝票において、
前記隠蔽ラベルは、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる複数の切り込みが、前記突出側が互いに異なる方向を向いて形成されている、配送伝票。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送物に貼付される配送伝票に関し、特に、表示される情報の漏洩防止の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配送物を配送する場合、配送物の配送元及び配送先の住所や氏名あるいは名称等の配送情報が表示された配送伝票が用いられ、配送情報が表示された配送伝票が配送物に貼付され、配送伝票に表示された配送情報に従って配送物が配送先に配送されている。
【0003】
このような配送伝票としては、配送物に貼付される伝票基材において、配送物が配送先に配送された後に配送業者が回収する受領票と、配送物が配送された後でも配送物に貼付されたままとなる貼付票とが分離可能に構成されたものが用いられている。このような配送伝票を用いた場合、配送物が配送先に配送されると、受領印が押下された受領票が配送業者によって回収されることにより、配送物が配送先に配送されたことが管理されることになる。
【0004】
さらに近年では、貼付票を配送伝票から分離可能な構成とし、配送物が配送された後に配送物の受取人が貼付票を配送伝票から分離することで、貼付票に表示された個人情報の漏洩を回避する技術が考えられており、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-214901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今、上述したように配送伝票を用いた配送物の配送において、配送物を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスが利用されている。このような置き配サービスにおいては、配送物の受取人が配送物が配送されたことに気づかない場合、貼付票が配送物に貼付された状態で配送物が玄関先等の所定の場所に長時間置かれてしまうことになり、貼付票に表示された配送情報等に含まれる個人情報が漏洩する可能性が高まってしまう。
【0007】
本発明は、配送物を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスを利用した場合でも、配送物を取り扱いにくくすることなく簡単な作業で、配送伝票に表示された情報の漏洩を回避することができる配送伝票を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
一方の面に粘着層が積層された伝票基材と、前記粘着層によって前記伝票基材に剥離可能に貼着された剥離紙とを有し、前記剥離紙が剥離されて前記伝票基材が前記粘着層によって配送物に貼付される配送伝票において、
前記伝票基材は、
配送情報が表示される配送票と、
前記配送情報の少なくとも一部を覆うように前記配送票に貼着される隠蔽ラベルがくり抜き可能に区画形成された不透明なラベル票とを有し、
前記剥離紙は、前記隠蔽ラベルと、前記隠蔽ラベル以外の領域のうちの前記隠蔽ラベルの少なくとも3周辺に沿う領域とに対向する分離部がくり抜き可能に区画形成されている。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、配送物に貼付する場合、剥離紙の分離部以外の領域を伝票基材から剥離し、伝票基材に積層された粘着層によって伝票基材を配送物に貼付する。伝票基材には、ラベル票に隠蔽ラベルがくり抜き可能に区画形成されているものの、剥離紙のうち伝票基材に貼着したままとなっている分離部が、隠蔽ラベルと、隠蔽ラベル以外の領域のうちの隠蔽ラベルの少なくとも3周辺に沿う領域とに対向しているため、剥離紙の分離部以外の領域を伝票基材から剥離しても隠蔽ラベルが伝票基材から脱落せずに、伝票基材を配送物に貼付することができる。伝票基材が配送物に貼付された状態においては、剥離紙の分離部が伝票基材に貼着された状態となっているものの、分離部が剥離紙からくり抜き可能に区画形成されたものであることで、その周囲において伝票基材が粘着層によって配送物に貼付されているため、ラベル票が配送物に貼付されずに配送物を取り扱いにくくしてしまうことがない。その後、配送物が配送先に配送され、隠蔽ラベルを不透明なラベル票から分離して配送票に貼着することで、配送票に表示された情報の漏洩が回避されることになる。その際、隠蔽ラベルは、剥離紙から分離した分離部が配送物に対向する面に剥離可能に貼着されていることで、配送物に貼付されていない状態となっている。それにより、隠蔽ラベルをラベル票から分離して配送票に貼着するという簡単な作業で、配送伝票に表示された情報の漏洩を回避することができる。
【0010】
また、隠蔽ラベルの外形が、配送票の配送情報が表示された領域よりも小さければ、配送票のうち漏洩を回避したい情報が表示された領域のみに隠蔽ラベルを貼着することで、配送票に表示された情報のうち表出させておきたい情報を表出させておくことができる。
【0011】
また、隠蔽ラベルが、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる複数の切り込みが、突出側が互いに異なる方向を向いて形成されているものであれば、隠蔽ラベルが配送票に貼着された後に不正に剥離された場合に、複数の切り込みのうち突出側が剥離開始端側を向いた切り込みから隠蔽ラベルが破断していき、それにより、その後、隠蔽ラベルを配送票に再度貼着したとしても、不正に剥離した痕跡が残っていることで、情報が漏洩した可能性があると判断することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配送票とともに伝票基材に設けられた不透明なラベル票に、配送情報の少なくとも一部を覆うように配送票に貼着される隠蔽ラベルがくり抜き可能に区画形成されるとともに、伝票基材に粘着層によって剥離可能に貼着された剥離紙に、隠蔽ラベルと、隠蔽ラベル以外の領域のうちの隠蔽ラベルの少なくとも3周辺に沿う領域とに対向する分離部がくり抜き可能に区画形成されていることにより、配送物に貼付する場合、剥離紙の分離部以外の領域を伝票基材から剥離し、伝票基材に積層された粘着層によって伝票基材を配送物に貼付し、その後、配送物が配送先に配送された際に、隠蔽ラベルをラベル票から分離して配送票に貼着するだけで、配送票に表示された情報が隠蔽されるので、配送物を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスを利用した場合でも、配送物を取り扱いにくくすることなく簡単な作業で、配送伝票に表示された情報の漏洩を回避することができる。
【0013】
また、隠蔽ラベルの外形が、配送票の配送情報が表示された領域よりも小さいものにおいては、配送票のうち漏洩を回避したい情報が表示された領域のみに隠蔽ラベルを貼着することで、配送票に表示された情報のうち表出させておきたい情報を表出させておくことができる。
【0014】
また、隠蔽ラベルが、突出側とは反対側が開口した凸形状からなる複数の切り込みが、突出側が互いに異なる方向を向いて形成されているものにおいては、隠蔽ラベルが配送票に貼着された後に不正に剥離された場合に、複数の切り込みのうち突出側が剥離開始端側を向いた切り込みから隠蔽ラベルが破断していくことにより、その後、隠蔽ラベルを配送票に再度貼着したとしても、不正に剥離した痕跡が残っていることで、情報が漏洩した可能性があると判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の配送伝票の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
図2図1に示した配送伝票について剥離紙が剥離される状態を示す図である。
図3図1に示した配送伝票が配送物に貼付された状態を示す図である。
図4図1に示した配送伝票が貼付された配送物が配送先に配送された後の使用方法を説明するための図である。
図5図1に示した配送伝票が貼付された配送物が配送先に配送された後の使用方法を説明するための図である。
図6図1に示した配送伝票について貼付票に貼着された隠蔽ラベルが不正に剥離された場合の作用を説明するための図である。
図7】本発明の配送伝票の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
図8】本発明の配送伝票の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
図9図8に示した配送伝票が貼付された配送物が配送先に配送された後の使用方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の配送伝票の実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。なお、図1(c)においては、剥離紙50に形成されたスリット52のラベル票13のスリット15bに対する位置を明確にするために、ラベル票13のスリット15bを破線で示している。
【0018】
本形態は図1に示すように、表面紙片10、中間紙片20及び剥離紙50がこの順で積層され、表面紙片10と中間紙片20とが擬似接着層30を介して剥離可能に貼着され、中間紙片20と剥離紙50とが粘着層40によって剥離可能に貼着されて構成された配送伝票1である。
【0019】
表面紙片10は、長方形の形状を有し、表面紙片10と中間紙片20とで本願発明における伝票基材を構成する。表面紙片10は、例えばサーマル紙等の不透明な材料からなり、配送票となる受領票11及び貼付票12と、ラベル票13とが長手方向に連接して構成されている。
【0020】
受領票11と貼付票12とは、表面紙片10を表裏貫通したスリット15aを介して、表面紙片10の長手方向に分離可能に連接して構成されている。受領票11と貼付票12のそれぞれには、この配送伝票1が貼付される配送物の配送元及び配送先の住所や氏名あるいは名称等の配送情報が記入あるいは印字される配送情報表示領域11a,12aが設けられているとともに、配送伝票1が貼付される配送物を管理するための識別コード11b,12bが表示されている。
【0021】
ラベル票13は、貼付票12の受領票11との連接辺とは反対側の辺に連接している。ラベル票13には、ラベル票13の外形に沿って、表面紙片10、擬似接着層30、中間紙片20及び粘着層40を表裏貫通したスリット15bが形成されており、スリット15bの内側の領域が隠蔽ラベル13aとなっている。これにより、ラベル票13には、スリット15bによって隠蔽ラベル13aがくり抜き可能に区画形成されている。なお、本形態においては、表面紙片10、擬似接着層30、中間紙片20及び粘着層40を表裏貫通したスリット15bの内側の領域が隠蔽ラベル13aとなっていることから、隠蔽ラベル13aは、表面紙片10、擬似接着層30、中間紙片20及び粘着層40が積層された構成となっている。隠蔽ラベル13aには、表面紙片10、擬似接着層30、中間紙片20及び粘着層40を表裏貫通した4つの切り込み13bが形成されている。4つの切り込み13bのそれぞれは、突出側とは反対側が開口したV字状となって、V字状の頂点及び2つの辺部のそれぞれにタイ部を有している。このように構成された4つの切り込み13bは、図中上下2段に2つずつ形成され、突出側が図中上下の段で互いに反対の方向を向いている。
【0022】
擬似接着層30は、表面紙片10の中間紙片20との積層面の全面に積層され、表面紙片10と中間紙片20とを剥離可能に貼着している。擬似接着層30としては、貼着後の剥離が可能となる程度の接着力を有するものや、2枚のフィルムシートが分離可能に積層されたものが考えられる。また、自己のみが貼着可能となる、いわゆる感圧接着剤を表面紙片10と中間紙片20とのそれぞれの積層面に塗布しておき、これらを貼着することで擬似接着層30を構成してもよい。
【0023】
中間紙片20は、表面紙片10と同一形状を有し、表面紙片10の裏面に積層され、擬似接着層30によって剥離可能に貼着されている。
【0024】
粘着層40は、中間紙片20の擬似接着層30が積層された面とは反対側の面の全面に粘着剤が塗布されることで積層されている。
【0025】
剥離紙50は、ベースとなる紙基材の一方の面にシリコン等の剥離剤が塗布されることで構成され、剥離剤が塗布された面が積層面となって粘着層40を介して中間紙片20に積層され、粘着層40によって中間紙片20と剥離可能に貼着されている。剥離紙50には、表面紙片10のラベル票13に対向する領域において、隠蔽ラベル13aの外側にスリット15bに沿って、剥離紙50を表裏貫通したスリット52が形成されており、スリット52の内側の領域が分離部51となっている。これにより、剥離紙50には、隠蔽ラベル13aと、隠蔽ラベル13a以外の領域のうちの隠蔽ラベル13aの4周辺に沿う領域とに対向する分離部51がスリット52によってくり抜き可能に区画形成されている。
【0026】
以下に、上記のように構成された配送伝票1の使用方法及び作用について説明する。
【0027】
図2は、図1に示した配送伝票1について剥離紙50が剥離される状態を示す図である。
【0028】
図1に示した配送伝票1を配送物に貼付する場合はまず、図2(a)に示すように、中間紙片20から剥離紙50を剥離していく。剥離紙50は中間紙片20に剥離可能に貼着されているため、中間紙片20から剥離することができる。この際、剥離紙50の剥離剤による中間紙片20との剥離力は、擬似接着層30による表面紙片10と中間紙片20との剥離力よりも軽くしておく必要がある。
【0029】
中間紙片20から剥離紙50が剥離されると、図2(b)に示すように、中間紙片20の剥離紙50との貼着面に積層された粘着層40が表出する。また、剥離紙50には、上述したようにスリット52によって分離部51がくり抜き可能となっているため、分離部51のみが剥離紙50から分離して中間紙片20に貼着されたままの状態となる。この際、表面紙片10には、表面紙片10、擬似接着層30、中間紙片20及び粘着層40を表裏貫通して形成されたスリット15bによってラベル票13に隠蔽ラベル13aがくり抜き可能に区画形成されているものの、剥離紙50のうち中間紙片20に貼着したままとなっている分離部51が、隠蔽ラベル13aと、隠蔽ラベル13a以外の領域のうちの隠蔽ラベル13aの4周辺に沿う領域とに対向しているため、剥離紙50の分離部51以外の領域を中間紙片20から剥離しても隠蔽ラベル13aが配送伝票1から脱落することがない。
【0030】
図3は、図1に示した配送伝票1が配送物に貼付された状態を示す図である。
【0031】
図2に示したようにして剥離紙50の分離部51以外の領域が中間紙片20から剥離された配送伝票1は、図3に示すように、剥離紙50が剥離されることで表出した粘着層40によって配送物2に貼付されることになる。
【0032】
このようにして配送伝票1が貼付された配送物2は、配送情報表示領域11a,12aに記入あるいは印字された配送情報に従って配送先に配送されていく。その際、配送伝票1が配送物2に貼付された状態においては、剥離紙50の分離部51が中間紙片20に貼着された状態となっているものの、分離部51が剥離紙51からくり抜き可能に区画形成されたものであることで、その周囲において配送伝票1の中間紙片20が粘着層40によって配送物2に貼付されている。それにより、配送物2が取り扱いにくくなってしまったり、配送伝票1が配送物2から不用意に脱落してしまったりすることを回避できる。
【0033】
図4及び図5は、図1に示した配送伝票1が貼付された配送物2が配送先に配送された後の使用方法を説明するための図である。
【0034】
図1に示した配送伝票1が貼付された配送物2が配送先に配送されると、図4(a)に示すように、受領票11が中間紙片20から剥離されていく。受領票11は擬似接着層30によって中間紙片20と剥離可能に擬似接着されており、また、受領票11と貼付票12とはスリット15aを介して分離可能に連接しているため、図4(b)に示すように、受領票11のみを貼付票12から分離して中間紙片20から剥離することができる。
【0035】
このようにして配送伝票1から分離された受領票11は、配送業者によって持ち帰られ、配送物2が配送先に届けられた旨が管理されることになる。
【0036】
受領票11が配送伝票1から分離された状態においては、受領票11が配送伝票1から分離されているものの、貼付票12が配送伝票1から分離されていないため、特に、配送物2を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスが利用された場合において、配送物2の受取人が配送物が配送されたことに気づかないと、貼付票12が配送物2に貼付された状態で配送物2が玄関先等の所定の場所に長時間置かれてしまうことになり、貼付票12の配送情報表示領域12aに表示された配送情報等に含まれる個人情報が漏洩する可能性が高まってしまう。
【0037】
そこで、図5(a)に示すように、不透明なラベル票13から隠蔽ラベル13aが分離され、図5(b)に示すように、ラベル票13から分離した隠蔽ラベル13aが貼付票12に貼着されることで、貼付票12の配送情報表示領域12aに表示された情報の漏洩が回避されることになる。その際、隠蔽ラベル13aは、剥離紙50から分離した分離部51が配送物2に対向する面に剥離可能に貼着されていることで、配送物2に貼付されていない状態となっているため、隠蔽ラベル13aをラベル票13から分離して貼付票12に貼着するという簡単な作業で、配送伝票1に表示された情報の漏洩を回避することができる。また、上述したように、剥離紙50の剥離剤による中間紙片20との剥離力が、擬似接着層30による表面紙片10と中間紙片20との剥離力よりも軽くなっていることで、隠蔽ラベル13aが分離部51から剥がれることになる。
【0038】
以下に、上記のようにして貼付票12に貼着された隠蔽ラベル13aが不正に剥離された場合の作用について説明する。
【0039】
図6は、図1に示した配送伝票1について貼付票12に貼着された隠蔽ラベル13aが不正に剥離された場合の作用を説明するための図である。
【0040】
隠蔽ラベル13bが図5(b)に示したように貼付票12に貼着された後に、隠蔽ラベル13aを図5(b)中左側の端辺から剥離していくと、図6(a)に示すように、隠蔽ラベル13bに形成された4つの切り込み13bのうち、図中左側に形成され、突出側が剥離開始端側となる図中左側を向いた切り込み13bのタイ部が破断し、その切り込み13bのV字状で囲まれた領域が貼付票12に貼着されたままの状態となる一方、隠蔽ラベル13aのその他の領域が貼付票12から剥離していく。
【0041】
そして、隠蔽ラベル13aの貼付票12からの剥離領域が、その切り込み13bの開口部側の端部に達すると、図6(b)に示すように、隠蔽ラベル13a、すなわち、表面紙片10、擬似接着層30、中間紙片20及び粘着層40が切り込み13bの開口部側の端部から隠蔽ラベル13aの剥離方向の延長線上に破断していく。
【0042】
その後、隠蔽ラベル13aを貼付票12からさらに剥離していくと、隠蔽ラベル13aの破断部分が隠蔽ラベル13aの端辺まで達し、図6(c)に示すように、切り込み13bと破断部分と隠蔽ラベル13aの端辺とで囲まれた領域が、貼付票12から剥離されて配送伝票1から分離することになる。
【0043】
また、隠蔽ラベル13aが貼付票12に貼着された後に、隠蔽ラベル13aを図5(b)中右側の端辺から剥離した場合は、隠蔽ラベル13bに形成された4つの切り込み13bのうち、図中右側に形成され、突出側が剥離開始端側となる図中右側を向いた切り込み13bのタイ部が破断し、その切り込み13bのV字状で囲まれた領域が貼付票12に貼着されたままの状態となる一方、隠蔽ラベル13aのその他の領域が貼付票12から剥離していき、その後、隠蔽ラベル13aの破断部分が隠蔽ラベル13aの端辺まで達し、切り込み13bと破断部分と隠蔽ラベル13aの端辺とで囲まれた領域が貼付票12から剥離されて配送伝票1から分離することになる。
【0044】
このようにして貼付票12に貼着された隠蔽ラベル13aを剥離した場合、隠蔽ラベル13aが破断することで不正に剥離した痕跡が残るため、その後、隠蔽ラベル13aを貼付票12に再度貼着したとしても、貼付票12に表示された情報が漏洩した可能性があると判断することができる。その際、貼付票12に貼着された隠蔽ラベル13aが剥離された場合に隠蔽ラベル13aを破断させるための複数の切り込みが、突出側とは反対側が開口した凸形状からなり、突出側が互いに異なる方向を向いて形成されていることにより、複数の方向のうちいずれの方向に隠蔽ラベル13aを剥離した場合でも、隠蔽ラベル13aが不正に剥離した痕跡を残すことができる。
【0045】
なお、貼付票12に隠蔽ラベル13aが貼着された後に、隠蔽ラベル13aのうち表面紙片10のみが中間紙片20から剥離した場合でも、切り込み13bによる上記作用が生じることになる。その場合は、表面紙片10と中間紙片20との貼着力を、擬似接着層20を構成する材料の塗布量を異ならせる等により、貼付票12における貼着力よりも隠蔽ラベル13aにおける貼着力が弱くなるようにすることが好ましい。
【0046】
また、貼付票12に隠蔽ラベル13aが貼着された後に、隠蔽ラベル13aのうち表面紙片10のみが中間紙片20から剥離した場合は、擬似接着層30として、剥離後の再度の貼着ができないものを用いることで、剥離された隠蔽ラベル13aを貼付票12に再度貼着することができなくなるため、配送物2が配送された場合に貼付票12に隠蔽ラベル13aが貼着されることを知っていれば、貼付票12に隠蔽ラベル13aが貼着されていないことで、隠蔽ラベル13aが不正に剥離されたと判断することができる。
【0047】
(他の実施の形態)
図7は、本発明の配送伝票の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。なお、図7(c)においては、剥離紙50に形成されたスリット152のラベル票13のスリット15bに対する位置を明確にするために、ラベル票13のスリット15bを破線で示している。
【0048】
本形態は図7に示すように、図1に示したものに対して、剥離紙50に形成されたスリット152が、ラベル票13のスリット15bに対して貼付票12側の端辺が重なっている点が異なるものである。それにより、図7に示す配送伝票101においては、剥離紙50には、隠蔽ラベル13aと、隠蔽ラベル13a以外の領域のうちの隠蔽ラベル13aの3周辺に沿う領域とに対向する分離部151がスリット152によってくり抜き可能に区画形成されたものとなっている。
【0049】
このように構成された配送伝票101においても、図1に示したものと同様の作用により、配送物に貼付する場合、剥離紙50の分離部151以外の領域を配送伝票101から剥離し、中間紙片20に積層された粘着層40によって配送伝票101を配送物に貼付し、その後、配送物が配送先に配送された際に、隠蔽ラベル13aをラベル票13から分離して貼付票12に貼着するだけで、貼付票12に表示された情報が隠蔽されることとなり、配送物を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスを利用した場合でも、配送物を取り扱いにくくすることなく簡単な作業で、配送伝票101に表示された情報の漏洩を回避することができる。
【0050】
図8は、本発明の配送伝票の他の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。なお、図8(c)においては、剥離紙50に形成されたスリット52のラベル票213のスリット215bに対する位置を明確にするために、ラベル票213のスリット215bを破線で示している。
【0051】
本形態は図8に示すように、図1に示したものに対して、ラベル票213に設けられた隠蔽ラベル213aの外形が、貼付票12の配送情報表示領域12aの大きさよりも小さい点が異なるものである。
【0052】
このように構成された配送伝票201においても、図1に示したものと同様に配送物に貼付されて使用されることになる。
【0053】
図9は、図8に示した配送伝票201が貼付された配送物が配送先に配送された後の使用方法を説明するための図である。
【0054】
図8に示した配送伝票201においても、配送伝票201が貼付された配送物が配送先に配送され、図1に示したものと同様に受領票11が配送伝票201から分離された状態においては、受領票11が配送伝票201から分離されているものの、貼付票12が配送伝票201から分離されていないため、特に、配送物2を配送先の玄関先等の所定の場所に置いていく、いわゆる、置き配サービスが利用された場合において、配送物2の受取人が配送物が配送されたことに気づかないと、貼付票12が配送物2に貼付された状態で配送物2が玄関先等の所定の場所に長時間置かれてしまうことになり、貼付票12の配送情報表示領域12aに表示された配送情報等に含まれる個人情報が漏洩する可能性が高まってしまう。
【0055】
そこで、図9(a)に示すように、ラベル票213から隠蔽ラベル213aが分離され、図9(b)に示すように、ラベル票213から分離した隠蔽ラベル213aが貼付票12に貼着されることで、貼付票12の配送情報表示領域12aに表示された情報の漏洩が回避されることになる。その際、本形態の配送伝票201においては、隠蔽ラベル213aの外形が、貼付票12の配送情報表示領域12aの大きさよりも小さいことにより、配送情報表示領域12aに表示された情報のうち、例えば配送物の配送先の情報のみが表出するように隠蔽ラベル213aを貼着することで、配送物2の受取人が自分宛ての配送物であるかどうかを確認することができる。例えば図9(b)に示すように、隠蔽ラベル213aの外形を、配送情報表示領域12aのうち図中下段の大きさと略同一とすれば、配送情報表示領域12aの図中上段に配送物2の配送先に関する情報が表示され、配送情報表示領域12aの図中下段に、漏洩を回避したい特定配送情報となる配送物2の配送元に関する情報が表示されている場合に、配送情報表示領域12aの図中下段に隠蔽ラベル213aを貼着することで、配送物2の配送先に関する情報を表出させながらも、配送物2の配送元に関する情報の漏洩を回避することができる。
【0056】
なお、上述した実施の形態においては、隠蔽ラベル13a,213aに形成される切り込み13bとして、突出側とは反対側が開口した開口部を有するV字状のものを例に挙げて説明したが、その他に、突出側とは反対側が開口した開口部を有するU字状のもの等、凸形状を有するものであれば、隠蔽ラベル13a,213aに形成される切り込み13bは、V字状のものに限らない。ただし、V字状のように頂角を有するものであれば、貼付票12から隠蔽ラベル13a,213aを不正に剥離した際に隠蔽ラベル13a,213aが切り込みから破断しやすくなる。
【0057】
また、上述した実施の形態においては、伝票基材として、表面紙片10と中間紙片20とが擬似接着層30を介して剥離可能に貼着されたものを例に挙げて説明したが、中間紙片20及び擬似接着層30を設けずに表面紙片10のみで伝票基材を構成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,101,201 配送伝票
2 配送物
10 表面紙片
11 受領票
11a,12a 配送情報表示領域
11b,12b 識別コード
12 貼付票
13,213 ラベル票
13a,213a 隠蔽ラベル
13b 切り込み
15a,15b,52,152,215b スリット
20 中間紙片
30 擬似接着層
40 粘着層
50 剥離紙
51,151 分離部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9