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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135560
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】即湯機能付き給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/10 20220101AFI20220908BHJP
   F24D 17/00 20220101ALI20220908BHJP
【FI】
F24H1/18 503Q
F24D17/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035462
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】綿貫 順也
(72)【発明者】
【氏名】関矢 明洋
【テーマコード(参考)】
3L073
3L122
【Fターム(参考)】
3L073AA02
3L073AA04
3L073AA13
3L073AA19
3L073AC01
3L073AC07
3L073AD03
3L073AE01
3L122AA04
3L122AA34
3L122AA76
3L122AB30
3L122BB02
3L122DA01
3L122EA22
3L122FA02
3L122GA06
(57)【要約】
【課題】機能部品の劣化を抑制できる凍結予防機能を有する即湯機能付き給湯機を提供する。
【解決手段】温水出口23と温水戻り口24の間にポンプ36と給湯逆止弁37とを備えた循環路34と、循環路34の途中に設けられた給湯栓35と、リモコン90に設けられた凍結予防運転スイッチ91とが設けられている即湯機能付き給湯機で、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合は、ポンプ36を駆動し、缶体温度センサ21の温度が第1燃焼開始温度以下で燃焼を開始し、第1燃焼開始温度から第1温度差だけ高い第1燃焼停止温度以上で燃焼を停止し、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、ポンプ36を駆動し、缶体温度センサ21の温度が第2燃焼開始温度以下で燃焼を開始し、第2燃焼開始温度から第2温度差だけ高い第2燃焼停止温度以上で燃焼を停止し、第2温度差は第1温度差より大きい値とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する缶体と、
前記缶体を加熱するバーナと、
前記缶体の温度を計測する缶体温度センサと、
前記缶体に設けた給水口と、
前記給水口に接続された給水管と、
前記給水管の途中に設けられた減圧弁と、
前記缶体に設けた温水出口と、
前記缶体または前記給水管に設けた温水戻り口と、
前記温水出口と前記温水戻り口の間にポンプと給湯逆止弁とを備えた循環路と、
前記循環路の途中に設けられた給湯栓と、
前記バーナの燃焼制御を行う制御部と、
前記制御部と通信可能に接続されたリモコンと、
前記リモコンに設けられた凍結予防運転スイッチと、
を備え、
前記制御部は、
前記凍結予防運転スイッチがオフの場合は、
前記ポンプを駆動し、
前記缶体温度センサの温度が第1燃焼開始温度以下で燃焼を開始し、
前記第1燃焼開始温度から第1温度差だけ高い第1燃焼停止温度以上で燃焼を停止し、
前記凍結予防運転スイッチがオンの場合は、
前記ポンプを駆動し、
前記缶体温度センサの温度が第2燃焼開始温度以下で燃焼を開始し、
前記第2燃焼開始温度から第2温度差だけ高い第2燃焼停止温度以上で燃焼を停止し、
前記第2温度差は前記第1温度差より大きい値とした
ことを特徴とする即湯機能付き給湯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1燃焼停止温度と前記第2燃焼停止温度は等しい温度とした
ことを特徴とする請求項1に記載の即湯機能付き給湯機。
【請求項3】
前記給湯栓より上流の前記循環路にミキシング弁を備え、
前記ミキシング弁の一方の流入側には前記循環路の上流側と接続され、
他方の流入側には前記給水管から分岐したバイパス管と接続され、
前記温水戻り口は前記給水管に設けられ、
前記リモコンは前記循環路を流通する温水の温度を設定可能な循環温度設定スイッチを備え、
前記制御部は、
前記第1燃焼開始温度は前記第2燃焼開始温度より高い温度とし、
前記第1燃焼停止温度は前記第2燃焼停止温度より低い温度とした
ことを特徴とする請求項1に記載の即湯機能付き給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭用の給湯機に関し、特に貯湯式の給湯機に循環路を設け温水を直ちに出湯させることができる即湯機能付き貯湯式給湯機の凍結予防機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ミキシング弁を備えていない即湯機能付き貯湯式給湯機としては、図8に示すように缶体110に設けた給水口122に給水管111が接続され、缶体110に設けた温水出口123と温水戻り口124の間にポンプ136と給湯逆止弁137を備えた循環路134が接続され、循環路134に給湯栓135が設けられている。さらに、缶体110に設けた缶体温度センサ121の値に基づいて熱源機であるバーナ113の燃焼を制御して、リモコン190で設定した温度の温水を循環路134に循環させることができる。これにより、給湯栓135を開栓すると、直ちに温水を出湯させることができるものである。
即湯機能付きの貯湯式給湯機として、例えば特許文献1があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-88267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、貯湯式給湯機の即湯機能は、適温の温水を缶体110に備えていることから、配管の凍結予防を目的とした凍結予防機能としても運用する場合があり、凍結予防を目的としない通常の即湯運転が使用者が日中の出湯の可能性のある時間帯に稼働させておくのに比べ、凍結予防機能として運用する場合は深夜から明け方までの外気温が下がる時間帯で出湯の可能性が小さい時間帯も稼働させることになり、ポンプ136を長時間運転することとなるために缶体110内の温水の温度が低下する度にバーナ113を燃焼させる必要があり、バーナ113の燃焼のオンオフ頻度が増し、その結果、バーナ113などの機能部品の劣化が促進するという課題があった。
【0005】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、凍結予防機能を持ちつつ、バーナ113のオンオフ頻度を低減させることで、機能部品の劣化を抑制することができる即湯機能付き給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、温水を貯湯する缶体と、前記缶体を加熱するバーナと、前記缶体の温度を計測する缶体温度センサと、前記缶体に設けた給水口と、前記給水口に接続された給水管と、前記給水管の途中に設けられた減圧弁と、前記缶体に設けた温水出口と、前記缶体または前記給水管に設けた温水戻り口と、前記温水出口と前記温水戻り口の間にポンプと給湯逆止弁とを備えた循環路と、前記循環路の途中に設けられた給湯栓と、前記バーナの燃焼制御を行う制御部と、前記制御部と通信可能に接続されたリモコンと、前記リモコンに設けられた凍結予防運転スイッチと、を備え、前記制御部は、前記凍結予防運転スイッチがオフの場合は、前記ポンプを駆動し、前記缶体温度センサの温度が第1燃焼開始温度以下で燃焼を開始し、前記第1燃焼開始温度から第1温度差だけ高い第1燃焼停止温度以上で燃焼を停止し、前記凍結予防運転スイッチがオンの場合は、前記ポンプを駆動し、 前記缶体温度センサの温度が第2燃焼開始温度以下で燃焼を開始し、 前記第2燃焼開始温度から第2温度差だけ高い第2燃焼停止温度以上で燃焼を停止し、前記第2温度差は前記第1温度差より大きい値としたことを特徴とした。
【0007】
請求項2では、前記制御部は、前記第1燃焼停止温度と前記第2燃焼停止温度は等しい温度としたことを特徴とした。
【0008】
請求項3では、前記給湯栓より上流の前記循環路にミキシング弁を備え、前記ミキシング弁の一方の流入側には前記循環路の上流側と接続され、他方の流入側には前記給水管から分岐したバイパス管と接続され、前記温水戻り口は前記給水管に設けられ、前記リモコンは前記循環路を流通する温水の温度を設定可能な循環温度設定スイッチを備え、前記制御部は、前記第1燃焼開始温度は前記第2燃焼開始温度より高い温度とし、前記第1燃焼停止温度は前記第2燃焼停止温度より低い温度としたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1によれば、前記凍結予防運転スイッチがオンの時は、前記第2温度差は前記第1温度差より大きいとしたので、前記凍結予防運転スイッチがオンの場合は、前記凍結予防運転スイッチがオフの場合に比べ、前記バーナの燃焼開始温度と燃焼停止温度の温度差が広くなり、一旦燃焼停止したのち温水の温度が下がり再び燃焼開始するまでの時間を長くすることができ、前記バーナのオンオフ燃焼の頻度が低下するので、前記バーナなどの機能部品の劣化が抑制できる。加えて、夜間における周辺への騒音の抑制、排気筒内の煤などの堆積物の抑制、燃料(灯油、ガス)の節約ができるという効果がある。
【0010】
請求項2によれば、前記凍結予防運転スイッチがオンの時は、前記第1燃焼停止温度と前記第2燃焼停止温度は等しい温度としたので、前記缶体内の湯水の沸き上げ温度は、前記凍結予防運転スイッチがオフの場合の凍結予防を目的としない通常の即湯運転の沸き上げ温度と同じため、前記凍結予防運転スイッチをオンの状態からオフの状態にした直後に前記給湯栓を開栓した場合でも、使用者が予期しない高温の温水が給湯栓から出湯されることがなく、安全な温水の温度が確保でき、前記バーナの燃焼開始温度と燃焼停止温度の温度差を広くすることができるので、一旦燃焼停止したのち温水の温度が下がり再び燃焼開始するまでの時間を長くすることができ、前記バーナなどの機能部品の劣化が抑制できる。
【0011】
請求項3によれば、前記循環路に前記ミキシング弁を備え、前記第1燃焼開始温度は前記第2燃焼開始温度より高い温度とし、前記第1燃焼停止温度は前記第2燃焼停止温度より低い温度としたので、凍結予防運転スイッチがオンの時は、前記循環路の温水の温度が低下しても、適時、前記缶体の温水を前記ミキシング弁にて混合して適切な温度の温水を循環路に循環させることができて凍結を防止でき、また、前記缶体内の温水の温度が低下しても、凍結予防を行うことができる適切な温度にまで下がった時点で前記バーナの燃焼を開始すればよく、前記バーナの燃焼停止温度は、給湯機が加熱可能な高温の温度にすることができ、これにより、前記バーナの燃焼開始温度と燃焼停止温度の温度差を広くすることができ、一旦燃焼停止したのち温水の温度が下がり再び燃焼開始するまでの時間を長くすることができ、前記バーナなどの機能部品の劣化が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態を説明する概略構成図
図2】本発明の第1の実施形態を説明する要部ブロック図
図3】本発明の第1の実施形態の動作を示すフローチャート
図4】本発明の第2の実施形態の動作を示すフローチャート
図5】本発明の第3の実施形態を説明する概略構成図
図6】本発明の第3の実施形態を説明する要部ブロック図
図7】本発明の第3の実施形態の動作を示すフローチャート
図8】従来の即湯機能付き給湯機のミキシング弁なしの実施形態を説明する概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本発明にかかる即湯機能付き給湯機の第1の実施形態を説明する。
なお、各図において、共通する構成要素や同種の構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0014】
図1に示すように、1はミキシング弁を備えていない即湯機能付き給湯機で、内部に一定量の湯水が貯湯され、送風ファン14からの燃焼用空気の供給を受けて燃料(灯油またはガス)を燃焼させる燃焼機器としてのバーナ13と、バーナ13の燃焼により発生した燃焼ガスから熱回収し前記湯水を加熱する熱交換器20と、熱交換器20の上方に設置され熱交換器20を通過した後の燃焼ガスを集合させる排気室17と、排気室17を通過した後の燃焼ガスを機外に排出する排気筒18を有しているものである。
【0015】
熱交換器20は、内部に一定量の湯水を貯留する円筒状の缶体10と、缶体10の下部内側に形成されバーナ13の燃焼が行われる燃焼室15と、燃焼室15と排気室17を連通し、バーナ13の燃焼により発生した燃焼ガスを通過させる複数本の煙管16とで構成されている。
【0016】
21は缶体10の上下略中央に取り付けられた缶体10内の湯水の温度(缶体温度)を検出する缶体温度センサである。
また、缶体10下部の側周面には給水口22が設けられ、給水口22に給水管11が接続され、給水管11の途中に減圧弁12が設けられている。
【0017】
さらに、缶体10の側周面には、缶体10上部に缶体10内に貯湯されている湯水を給湯するための温水出口23が設けられ、缶体10下部に循環した温水を缶体10に戻し入れるための温水戻り口24が設けられており、温水出口23と温水戻り口24の間に給湯栓35と、ポンプ36と、給湯逆止弁37とを備えた循環路34が設けられている。
また、バーナ13の燃焼制御を行う制御部80と、この制御部80と通信可能に接続されたリモコン90を備えている。リモコン90には凍結予防運転を行うための凍結予防運転スイッチ91を備えている。
【0018】
図2に示すように、80はマイコンからなる制御部で、入力側には缶体温度センサ21が接続され、出力側にはバーナ13、送風ファン14、ポンプ36が接続されている。
【0019】
制御部80は、缶体10内の湯水を加熱する加熱制御(燃焼制御)として、缶体10内の湯水の温度が予め定めた温度になるように、缶体温度センサ21で検出される缶体10内の湯水の温度に基づいて、バーナ13の燃焼を制御するものである。
【0020】
より詳細には、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合、制御部80は、缶体温度センサ21の検出する温度が第1燃焼開始温度以下となったら、バーナ13の燃焼を開始し、缶体温度センサ21の検出する温度が第1燃焼停止温度以上となったら、バーナ13の燃焼を停止する制御を行うものである。
【0021】
また、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合、制御部80は、缶体温度センサ21の検出する温度が第2燃焼開始温度以下となったら、バーナ13の燃焼加熱を開始し、缶体温度センサ21の検出する温度が第2燃焼停止温度以上となったら、バーナ13の燃焼加熱を停止する制御を行うものである。
【0022】
次に、本発明の第1の実施形態の作用について図3に基づいて詳細説明する。
制御部80は、ステップS1にて循環路34のポンプ36を駆動し、循環路34に温水を循環させる。
【0023】
次に、ステップS2にて凍結予防運転スイッチ91のオンオフ状態を確認し、オフの場合はステップS3に遷移し、オンの場合はステップS4へ遷移する。
ステップS3では、缶体温度センサ21の温度が、第1燃焼開始温度以下であるかを確認し、第1燃焼開始温度以下である場合にステップS5へ遷移し、第1燃焼開始温度を超える場合はステップS2へ遷移する。
ステップS4では、缶体温度センサ21の温度が、第2燃焼開始温度以下であるかを確認し、第2燃焼開始温度以下である場合にステップS5へ遷移し、第2燃焼開始温度を超える場合はステップS2へ遷移する。
ステップS5では、バーナ13の燃焼を開始し、ステップS6へ遷移する。
【0024】
ステップS6にて凍結予防運転スイッチ91のオンオフ状態を確認し、オフの場合はステップS7に遷移し、オンの場合はステップS8へ遷移する。
ステップS7では缶体温度センサ21の温度が、第1燃焼停止温度以上であるかを確認し、第1燃焼停止温度以上である場合にステップS9へ遷移し、第1燃焼停止温度未満の場合はステップS6へ遷移する。
ステップS8では缶体温度センサ21の温度が、第2燃焼停止温度以上であるかを確認し、第2燃焼停止温度以上である場合にステップS9へ遷移し、第2燃焼停止温度未満の場合はステップS6へ遷移する。
ステップS9では、バーナ13の燃焼を停止し、ステップS2へ遷移する。
【0025】
これにより、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合は、予め定められた温度(例えば40℃)の温水を温水出口23から循環路34に送り、前記温水が循環路34を循環することで、給湯栓35を開栓したときに、直ちに前記予め定められた温度(ここでは40℃)の温水を出湯することができる。
このとき、制御部80の燃焼制御は、缶体温度センサ21が第1燃焼開始温度以下であるとき(ここでは例えば39℃以下のとき)燃焼を開始し、缶体温度センサ21が第1燃焼停止温度以上であるとき(ここでは40℃以上のとき)燃焼を停止する制御を行うものである。
【0026】
一方、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、別途定めた温度(例えば20℃)の温水を温水出口23から循環路34に送り出すので、循環路34の凍結予防として機能する。
このとき、制御部80の燃焼制御は、缶体温度センサ21が第2燃焼開始温度以下であるとき(ここでは例えば17℃以下のとき)燃焼を開始し、缶体温度センサ21が第2燃焼停止温度以上であるとき(ここでは例えば21℃以上のとき)燃焼を停止する制御を行うものである。
【0027】
このとき、第2燃焼開始温度と第2燃焼停止温度の温度差である第2温度差(ここでは21-17=4℃)は、第1燃焼開始温度と第1燃焼停止温度の温度差である第1温度差(ここでは40-39=1℃)より大きい値としたので、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合に比べ、バーナ13の燃焼開始温度と燃焼停止温度の温度差が広くなり、一旦燃焼停止したのち温水の温度が下がり再び燃焼開始するまでの時間を長くすることができ、バーナ13のオンオフ燃焼の頻度が低下するので、バーナ13などの機能部品の劣化が抑制できる。加えて、夜間における周辺への騒音の抑制、排気筒内の煤などの堆積物の抑制、燃料(灯油、ガス)の節約ができるという効果がある。
【0028】
次に、本発明の第2の実施形態について図4に基づいて説明する。
第2の実施形態は第1の実施形態をベースとし、第1燃焼停止温度と第2燃焼停止温度を等しい温度とした。
【0029】
図4において、ステップS1からステップS5までの作用は、第1の実施形態と同じである。
ステップS10で缶体温度センサ21の温度が、第1燃焼停止温度以上であるかを確認し、第1燃焼停止温度以上である場合にステップS11へ遷移し、第1燃焼停止温度未満の場合はステップS10へ遷移する。
ステップS11では、バーナ13の燃焼を停止し、ステップS2へ遷移する。
【0030】
これにより、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合は、予め定められた温度(例えば30℃)の温水を温水出口23から循環路34に送り、前記温水が循環路34を循環することで、給湯栓35を開栓したときに、直ちに前記予め定められた温度(ここでは30℃)の温水を出湯することができる。
このとき、制御部80の燃焼制御は、缶体温度センサ21が第1燃焼開始温度以下であるとき(ここでは例えば29℃以下のとき)燃焼を開始し、缶体温度センサ21が第1燃焼停止温度以上であるとき(ここでは30℃以上のとき)燃焼を停止する制御を行うものである。
【0031】
一方、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、別途定めた温度(例えば30℃)の温水を温水出口23から循環路34に送り出すので、循環路34の凍結予防として機能する。
このとき、制御部80の燃焼制御は、缶体温度センサ21が第2燃焼開始温度以下であるとき(ここでは例えば27℃以下のとき)燃焼を開始し、缶体温度センサ21が第2燃焼停止温度(=第1燃焼停止温度)以上であるとき(ここでは30℃以上のとき)燃焼を停止する制御を行うものである。
【0032】
このとき、第2燃焼開始温度と第2燃焼停止温度の温度差である第2温度差(ここでは30-27=3℃)は、第1燃焼開始温度と第1燃焼停止温度の温度差である第1温度差(ここでは30-29=1℃)より大きい値としたので、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合に比べ、バーナ13の燃焼開始温度と燃焼停止温度の温度差が広くなり、一旦燃焼停止したのち温水の温度が下がり再び燃焼開始するまでの時間を長くすることができ、バーナ13などの機能部品の劣化が抑制できる。
【0033】
また、第1燃焼停止温度と第2燃焼停止温度を等しい温度(ここでは30℃)としたので、凍結予防運転スイッチ91をオンの状態からオフの状態にした直後に給湯栓35を開栓した場合でも、使用者が予期しない高温の温水が給湯栓35から出湯されることがなく、安全な温水の温度が確保できるものである。
【0034】
なお、温水戻り口24を缶体10に設けたが、温水戻り口24を給水管11に設けてもよいものである。
【0035】
次に、本発明の第3の実施形態について図5に基づいて説明する。
【0036】
図5に示すように、1はミキシング弁を備えた即湯機能付き給湯機である。
循環路34の給湯栓35より上流側にミキシング弁26が設けられ、ミキシング弁26は循環路34内に給湯温度センサ27を備えている。
また、給水管11に給水逆止弁28を備え、給水逆止弁28より下流側の給水管11から分岐してミキシング弁26と接続するバイパス管29を備えている。
また、温水戻り口24は給水管11に設けられている。
【0037】
図6に示すように、制御部80の入力側には缶体温度センサ21と給湯温度センサ27とが接続される。
また、出力側にはバーナ13、送風ファン14、ミキシング弁26、ポンプ36が接続され、燃焼制御とミキシング弁26の制御を行うものである。
リモコン90には、凍結予防運転スイッチ91と即湯運転中もしくは凍結予防運転中の循環路34を流通させる温水の温度(循環設定温度)を設定可能な循環温度設定スイッチ92が設けられている。
【0038】
制御部80は、ミキシング弁26に設けた給湯温度センサ27の温度が、循環温度設定スイッチ92によって設定された温度になるようミキシング弁26の制御を行う。
また、制御部80の燃焼制御は、缶体10内の湯水を加熱する加熱制御(燃焼制御)として、缶体10内の湯水の温度が循環温度設定スイッチ92で設定した設定温度より高い所定の目標缶体温度(例えば、循環温度設定スイッチ92の温度が40℃であれば目標缶体温度は54℃で燃焼開始し55℃で燃焼を停止する)になるよう、バーナ13の燃焼開始と燃焼停止を繰り返す制御を行う。
【0039】
詳しい作用について、図7に基づいて説明する。
制御部80は、ステップS21にて循環路34のポンプ36を駆動し、循環路34に温水を循環させる。
次に、ステップS22にて、第1燃焼開始温度を循環温度設定スイッチ92の設定温度に所定の温度だけ高い温度(ここでは14℃)を加えた温度を設定する。また、第2燃焼開始温度に循環温度設定スイッチ92の設定温度を設定する。
【0040】
ステップS23では、凍結予防運転スイッチ91のオンオフ状態を確認し、オフの場合はステップS24に遷移し、オンの場合はステップS25へ遷移する。
ステップS24では、缶体温度センサ21の温度が、第1燃焼開始温度以下であるかを確認し、第1燃焼開始温度以下である場合にステップS26へ遷移し、第1燃焼開始温度を超える場合はステップS23へ遷移する。
ステップS25では、缶体温度センサ21の温度が、第2燃焼開始温度以下であるかを確認し、第2燃焼開始温度以下である場合にステップS26へ遷移し、第2燃焼開始温度を超える場合はステップS23へ遷移する。
ステップS26では、バーナ13の燃焼を開始し、ステップS27へ遷移する。
【0041】
次に、ステップS27にて、第1燃焼停止温度を循環温度設定スイッチ92の設定温度に所定の温度だけ高い温度(ここでは15℃)を加えた温度を設定する。また、第2燃焼開始温度に所定の最高温度を設定する。
【0042】
ステップS28にて凍結予防運転スイッチ91のオンオフ状態を確認し、オフの場合はステップS29に遷移し、オンの場合はステップS30へ遷移する。
ステップS29では缶体温度センサ21の温度が、第1燃焼停止温度以上であるかを確認し、第1燃焼停止温度以上である場合にステップS31へ遷移し、第1燃焼停止温度未満の場合はステップS27へ遷移する。
ステップS30では缶体温度センサ21の温度が、第2燃焼停止温度以上であるかを確認し、第2燃焼停止温度以上である場合にステップS31へ遷移し、第2燃焼停止温度未満の場合はステップS27へ遷移する。
ステップS31では、バーナ13の燃焼を停止し、ステップS22へ遷移する。
【0043】
これにより、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合は、循環温度設定スイッチ92で設定された温度(例えば40℃)の温水をミキシング弁26から循環路34に送り、前記温水が循環路34を循環することで、給湯栓35を開栓したときに、直ちに循環温度設定スイッチ92で設定された温度(ここでは40℃)の温水を出湯することができる。
このとき、制御部80の燃焼制御は、缶体温度センサ21が第1燃焼開始温度以下であるとき(ここでは40+14=54℃以下のとき)燃焼を開始し、缶体温度センサ21が第1燃焼停止温度以上であるとき(ここでは40+15=55℃以上のとき)燃焼を停止する制御を行うものである。
【0044】
一方、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、循環温度設定スイッチ92で設定された温度(例えば20℃)の温水をミキシング弁26から循環路34に送り出すので、循環路34の凍結予防として機能する。
このとき、制御部80の燃焼制御は、缶体温度センサ21が第2燃焼開始温度以下であるとき(ここでは20℃以下のとき)燃焼を開始し、缶体温度センサ21が第2燃焼停止温度以上であるとき(ここでは例えば75℃以上のとき)燃焼を停止する制御を行うものである。
【0045】
このとき、第2燃焼開始温度と第2燃焼停止温度の温度差である第2温度差(ここでは75-20=55℃)は、第1燃焼開始温度と第1燃焼停止温度の温度差である第1温度差(ここでは55-54=1℃)より大きい値としたので、凍結予防運転スイッチ91がオンの場合は、凍結予防運転スイッチ91がオフの場合に比べ、バーナ13の燃焼開始温度と燃焼停止温度の温度差が広くなり、一旦燃焼停止したのち温水の温度が下がり再び燃焼開始するまでの時間を長くすることができ、バーナ13などの機能部品の劣化が抑制できる。
【0046】
なお、この実施形態では、ステップS22とステップS27にて、第1燃焼開始温度と第1燃焼停止温度との温度差を1℃として説明したが、他の温度差であってもよい。なお、ステップS27にて所定の最高温度を75℃として説明したが、他の温度であってもよい。
【0047】
なお、この実施形態では上向きに取り付けられたバーナを構成する燃焼機器で説明したが、これに限定されることなく、例えば横向きに取り付けたガンタイプバーナを構成する燃焼機器でもよい。
【0048】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 即湯機能付き給湯機
10 缶体
11 給水管
12 減圧弁
13 バーナ
21 缶体温度センサ
22 給水口
23 温水出口
24 温水戻り口
26 ミキシング弁
34 循環路
35 給湯栓
36 ポンプ
37 給湯逆止弁
80 制御部
90 リモコン
91 凍結予防運転スイッチ
92 循環温度設定スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8