(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135564
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/32 20060101AFI20220908BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
B65D19/32 B
B29C33/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035467
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 侑也
【テーマコード(参考)】
3E063
4F202
【Fターム(参考)】
3E063AA04
3E063BA05
3E063CA05
3E063EE03
3E063EE05
3E063EE11
3E063EE13
3E063GG10
4F202AA11
4F202AG07
4F202AH56
4F202AR12
4F202AR13
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
(57)【要約】
【課題】柱部の損傷を抑止することのできるパレットを提供する。
【解決手段】パレット1は、複数の柱部2、3、4の間にフォーク差込み部7が形成され、フォーク差込み部7は、第1フォーク挿入路8と、第1フォーク挿入路8に対して略直交する方向に延在する第2フォーク挿入路9とを備える。各柱部2、3、4は、第1フォーク挿入路8、及び、第2フォーク挿入路9の内側面をそれぞれ構成する第1壁部25、及び、第2壁部26を備える。各柱部2、3、4は、第1壁部25、及び、第2壁部26からそれぞれ当該柱部2、3、4の中央部側に傾斜して延びる第1柱内傾斜リブ33と、第1壁部25と第2壁部26とが連結される内側コーナー部34から当該柱部2、3、4の中央部側に延びる第2柱内傾斜リブ35とを備えるとともに、第1柱内傾斜リブ33として、各内側コーナー部34から離間する側に傾斜して延びる内方側第1柱内傾斜リブ38を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の柱部と、前記複数の柱部間の上端部間を連結する上デッキ部とを備え、前記複数の柱部の間に、フォークを備える運搬手段のフォークを差込み可能とするフォーク差込み部が形成され、平面視略矩形状をなすパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットの4隅に設けられる隅柱部と、前記パレットの各側辺部に沿って並ぶ一対の前記隅柱部の中間部位に設けられる中間柱部と、前記パレットの中央部に設けられる中央柱部とを備え、
前記フォーク差込み部は、前記パレットの所定の側辺部に対して略直交する方向において前記パレットを貫通するようにして延在する第1フォーク挿入路と、前記第1フォーク挿入路に対して略直交する方向において前記パレットを貫通するようにして延在する第2フォーク挿入路とを備え、
前記各柱部は、当該柱部の外周面を構成する周壁部を備え、
前記周壁部は、前記上デッキ部と連結され、前記第1フォーク挿入路の内側面を構成する第1壁部と、前記上デッキ部と連結され、前記第2フォーク挿入路の内側面を構成する第2壁部とを備え、
前記各柱部は、
前記第1壁部、及び、前記第2壁部からそれぞれ前記第1壁部、及び、前記第2壁部に対して当該柱部の中央部側に向けて傾斜して延びる第1柱内傾斜リブと、
前記第1壁部と前記第2壁部とが連結される内側コーナー部から当該柱部の中央部側に向けて延びる第2柱内傾斜リブとを備えるとともに、
前記第1柱内傾斜リブとして、前記各内側コーナー部から離間する側に傾斜して延びる内方側第1柱内傾斜リブを備えていることを特徴とするパレット。
【請求項2】
前記内方側第1柱内傾斜リブと、前記第2柱内傾斜リブとの間を連結する連結リブを備えていることを特徴とする請求項1に記載のパレット。
【請求項3】
前記内方側第1柱内傾斜リブの端部と連結される第1端部リブが設けられ、
前記隅柱部の前記第1端部リブのうち前記内方側第1柱内傾斜リブと連結された端部とは反対側の端部は、前記第1壁部、及び、前記第2壁部のうち少なくとも一方に対して直接的、又は、間接的に連結され、
前記中間柱部、及び、前記中央柱部の前記第1端部リブのうち前記内方側第1柱内傾斜リブと連結された端部とは反対側の端部は、前記第1壁部、前記第2壁部、及び、同一の前記柱部に設けられた他の前記第1端部リブのうち少なくとも1つに対して直接的、又は、間接的に連結されていることを特徴とする請求項2に記載のパレット。
【請求項4】
前記中間柱部、及び、前記中央柱部のうち少なくとも一方は、端部が前記周壁部と連結された略十字状の十字リブを備えるとともに、前記十字リブを構成する少なくとも一方のリブに対して、前記内方側第1柱内傾斜リブ、前記第2柱内傾斜リブ、前記連結リブ、及び、前記第1端部リブが対称位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のパレット。
【請求項5】
前記隅柱部、及び、前記中間柱部の前記周壁部は、前記パレットの外周面を構成する外向壁部を備え、
前記隅柱部、及び、前記中間柱部は、前記フォーク差込み部の入口を構成する前記第1壁部、又は、前記第2壁部と、前記外向壁部とが連結される外側コーナー部から当該柱部の中央部側に向けて延びる第3柱内傾斜リブを備え、
前記隅柱部、及び、前記中間柱部は、前記第1柱内傾斜リブとして、前記フォーク差込み部の入口側に設けられ、前記外側コーナー部から離間する側に傾斜して延びる入口側第1柱内傾斜リブを備え、
前記入口側第1柱内傾斜リブの端部と連結される入口側第1端部リブが設けられ、
前記入口側第1端部リブのうち前記入口側第1柱内傾斜リブと連結された端部とは反対側の端部は、前記第1端部リブと連結され、
前記隅柱部、及び、前記中間柱部は、
前記第3柱内傾斜リブと、前記入口側第1柱内傾斜リブとの間を連結する第2連結リブと、
同一の前記柱部に設けられた前記第3柱内傾斜リブ同士の間を連結する第3連結リブとを備え、
前記連結リブ、前記第1端部リブ、前記入口側第1端部リブ、前記第2連結リブ、及び、前記第3連結リブにより、前記周壁部の内方側において略環状に連続する連続周リブが構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のパレット。
【請求項6】
前記中間柱部、及び、前記中央柱部のうち少なくとも一方に関し、
前記第1端部リブは、前記内方側第1柱内傾斜リブの延長線上に延びるようにして設けられ、
前記第2柱内傾斜リブの端部と連結され、前記第2柱内傾斜リブの延長線上に延びるようにして設けられる第2端部リブを備え、
前記第1端部リブ、及び、前記第2端部リブは、同一の前記柱部に設けられた他の前記第1端部リブ、及び、前記第2端部リブと連結されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のパレット。
【請求項7】
前記中間柱部の前記周壁部のうち、前記各内側コーナー部に対応して、前記第2柱内傾斜リブを挟んで一対で設けられる前記内方側第1柱内傾斜リブにより挟まれる部位であるコーナー対応部位は、当該コーナー対応部位に隣接する部位よりも厚みが大きく構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の運搬等に使用されるパレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、物品の運搬等に使用されるパレットは、複数の柱部と、当該複数の柱部の上端部間、及び、下端部間を連結する上デッキ部、及び、下デッキ部とを備え、柱部間においてフォークリフト等のフォークを差込み可能なフォーク差込み部を有している。また、フォーク差込み部の入口付近の補強を図るべく、柱部のうちフォーク差込み部の側縁部を構成する部位を湾曲部、又は、傾斜部として構成するとともに、柱部の内側において、前記湾曲部、又は、傾斜部と連結される内壁を設けるといった技術がある(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パレットの四隅に設けられる隅柱部と、パレットの各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部の中間部位に設けられる中間柱部と、パレットの中央部に設けられる中央柱部とが設けられるパレット(4方差しのパレット)においては、フォーク差込み部の入口に挿入されたフォークの先端部が、隅柱部及び中間柱部の内側のコーナー部付近や、中央柱部のコーナー部付近に衝突することが懸念される。従って、特許文献1の技術を採用し、フォーク差込み部の入口付近を補強したとしても、フォークをフォーク差込み部に差込む作業において柱部が損傷してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、柱部の損傷を抑止することのできるパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.複数の柱部と、前記複数の柱部間の上端部間を連結する上デッキ部とを備え、前記複数の柱部の間に、フォークを備える運搬手段のフォークを差込み可能とするフォーク差込み部が形成され、平面視略矩形状をなすパレットにおいて、
前記柱部は、前記パレットの4隅に設けられる隅柱部と、前記パレットの各側辺部に沿って並ぶ一対の前記隅柱部の中間部位に設けられる中間柱部と、前記パレットの中央部に設けられる中央柱部とを備え、
前記フォーク差込み部は、前記パレットの所定の側辺部に対して略直交する方向において前記パレットを貫通するようにして延在する第1フォーク挿入路と、前記第1フォーク挿入路に対して略直交する方向において前記パレットを貫通するようにして延在する第2フォーク挿入路とを備え、
前記各柱部は、当該柱部の外周面を構成する周壁部を備え、
前記周壁部は、前記上デッキ部と連結され、前記第1フォーク挿入路の内側面を構成する第1壁部と、前記上デッキ部と連結され、前記第2フォーク挿入路の内側面を構成する第2壁部とを備え、
前記各柱部は、
前記第1壁部、及び、前記第2壁部からそれぞれ前記第1壁部、及び、前記第2壁部に対して当該柱部の中央部側に向けて傾斜して延びる第1柱内傾斜リブと、
前記第1壁部と前記第2壁部とが連結される内側コーナー部から当該柱部の中央部側に向けて延びる第2柱内傾斜リブとを備えるとともに、
前記第1柱内傾斜リブとして、前記各内側コーナー部から離間する側に傾斜して延びる内方側第1柱内傾斜リブを備えていることを特徴とするパレット。
【0008】
手段1によれば、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブにより柱部(周壁部)の各内側コーナー部付近の強度を高めることができる。さらに、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブは、フォークをフォーク差込み部に挿通させる際にフォークが柱部の内側コーナー部付近に接触する場合のフォークの移動方向に対して極力平行する方向に近くなるようにして延在している。これにより、柱部の内側コーナー部付近にフォークが衝突した場合に、当該内側コーナー部付近を内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブによって効果的に支持するとともに、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブ自体の変形等を抑制することができる。従って、柱部の内側コーナー部付近の変形や損傷等を抑止することができる。
【0009】
手段2.前記内方側第1柱内傾斜リブと、前記第2柱内傾斜リブとの間を連結する連結リブを備えていることを特徴とする手段1に記載のパレット。
【0010】
手段2によれば、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブの変形を抑制することができ、柱部の内側コーナー部付近の強度をより向上させることができる。また、連結リブによって連結された内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブのいずれかに発生した応力を、連結リブを介して、分散させ易くすることができ、例えば、フォークが柱部の内側コーナー部付近に衝突した場合に、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブのいずれかに比較的大きな応力が作用した場合においても、当該内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブの負担軽減を図ることができる。尚、第1壁部と連結された内方側第1柱内傾斜リブと、第2壁部と連結された内方側第1柱内傾斜リブとが連結リブを介して連結されることにより、一方の内方側第1柱内傾斜リブが第1壁部、又は、第2壁部を介してフォークと突き当たった場合の他方の内方側第1柱内傾斜リブを一方の内方側第1柱内傾斜リブの補強として大きく貢献させることができ、補強用のリブを増やし過ぎることなく効率的な補強を行うことができる。
【0011】
手段3.前記内方側第1柱内傾斜リブの端部と連結される第1端部リブが設けられ、
前記隅柱部の前記第1端部リブのうち前記内方側第1柱内傾斜リブと連結された端部とは反対側の端部は、前記第1壁部、及び、前記第2壁部のうち少なくとも一方に対して直接的、又は、間接的に連結され、
前記中間柱部、及び、前記中央柱部の前記第1端部リブのうち前記内方側第1柱内傾斜リブと連結された端部とは反対側の端部は、前記第1壁部、前記第2壁部、及び、同一の前記柱部に設けられた他の前記第1端部リブのうち少なくとも1つに対して直接的、又は、間接的に連結されていることを特徴とする手段2に記載のパレット。
【0012】
手段3によれば、第1端部リブにより、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブの変形を抑止する(第2柱内傾斜リブは連結リブを介して作用する)とともに、柱部の内側コーナー部付近にフォークが衝突した場合に、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブが受けた応力を、第1壁部、第2壁部、又は、他の第1端部リブや、その周辺部に分散させ易くすることができる。従って、柱部の内側コーナー部付近にフォークが衝突した際の衝撃を緩和させ、柱部の損傷等をより一層抑止することができる。
【0013】
手段4.前記中間柱部、及び、前記中央柱部のうち少なくとも一方は、端部が前記周壁部と連結された略十字状の十字リブを備えるとともに、前記十字リブを構成する少なくとも一方のリブに対して、前記内方側第1柱内傾斜リブ、前記第2柱内傾斜リブ、前記連結リブ、及び、前記第1端部リブが対称位置に設けられていることを特徴とする手段3に記載のパレット。
【0014】
手段4によれば、内方側第1柱内傾斜リブ、第2柱内傾斜リブ、連結リブ、及び、第1端部リブがバランスよく配置され、該当する柱部の強度を効率的に高めることができる。
【0015】
手段5.前記隅柱部、及び、前記中間柱部の前記周壁部は、前記パレットの外周面を構成する外向壁部を備え、
前記隅柱部、及び、前記中間柱部は、前記フォーク差込み部の入口を構成する前記第1壁部、又は、前記第2壁部と、前記外向壁部とが連結される外側コーナー部から当該柱部の中央部側に向けて延びる第3柱内傾斜リブを備え、
前記隅柱部、及び、前記中間柱部は、前記第1柱内傾斜リブとして、前記フォーク差込み部の入口側に設けられ、前記外側コーナー部から離間する側に傾斜して延びる入口側第1柱内傾斜リブを備え、
前記入口側第1柱内傾斜リブの端部と連結される入口側第1端部リブが設けられ、
前記入口側第1端部リブのうち前記入口側第1柱内傾斜リブと連結された端部とは反対側の端部は、前記第1端部リブと連結され、
前記隅柱部、及び、前記中間柱部は、
前記第3柱内傾斜リブと、前記入口側第1柱内傾斜リブとの間を連結する第2連結リブと、
同一の前記柱部に設けられた前記第3柱内傾斜リブ同士の間を連結する第3連結リブとを備え、
前記連結リブ、前記第1端部リブ、前記入口側第1端部リブ、前記第2連結リブ、及び、前記第3連結リブにより、前記周壁部の内方側において略環状に連続する連続周リブが構成されていることを特徴とする手段3又は4に記載のパレット。
【0016】
手段5によれば、周壁部の内方側において略環状に連続する連続周リブが設けられ、当該連続周リブは、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブを介して、柱部(周壁部)の内側コーナー部付近と連結されている。従って、柱部の内側コーナー部付近にフォークが衝突した場合に、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブが受けた応力を、連続周リブ、及び、その周辺部により広く分散させることができる。結果として、柱部の内側コーナー部付近にフォークが衝突した際の衝撃を緩和させ、柱部の損傷等をより一層抑止するといった作用効果がより一層奏される。
【0017】
手段6.前記中間柱部、及び、前記中央柱部のうち少なくとも一方に関し、
前記第1端部リブは、前記内方側第1柱内傾斜リブの延長線上に延びるようにして設けられ、
前記第2柱内傾斜リブの端部と連結され、前記第2柱内傾斜リブの延長線上に延びるようにして設けられる第2端部リブを備え、
前記第1端部リブ、及び、前記第2端部リブは、同一の前記柱部に設けられた他の前記第1端部リブ、及び、前記第2端部リブと連結されていることを特徴とする手段3乃至5のいずれかに記載のパレット。
【0018】
手段6によれば、第1端部リブ、及び、第2端部リブにより、内方側第1柱内傾斜リブ、及び、第2柱内傾斜リブが柱部の内周側に(部分的にでも)延伸されたような格好となり、さらに、第1端部リブ、及び、第2端部リブによる延伸先では、他の第1端部リブ、及び、第2端部リブと連結されている。従って、柱部の内側コーナー部付近にフォークが衝突した場合に、当該内側コーナー部付近を支持して変形及び損傷を防止するといった作用効果がより一層奏される。尚、「他の第1端部リブ」には、上記手段5の「入口側第1端部リブ」も含む趣旨である。
【0019】
手段7.前記中間柱部の前記周壁部のうち、前記各内側コーナー部に対応して、前記第2柱内傾斜リブを挟んで一対で設けられる前記内方側第1柱内傾斜リブにより挟まれる部位であるコーナー対応部位は、当該コーナー対応部位に隣接する部位よりも厚みが大きく構成されていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のパレット。
【0020】
手段7によれば、中間柱部の内側コーナー部付近を補強することができ、フォークをフォーク差込み部に挿入させる際のパレットの損傷等をより確実に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】下構成部の一部断面を含む部分拡大斜視図である。
【
図4】隅柱部の下構成部側を示す部分拡大断面図である。
【
図5】中間柱部の下構成部側を示す部分拡大斜視図である。
【
図6】中央柱部の下構成部側を示す部分拡大断面図である。
【
図9】隅柱部の上構成部側を示す部分拡大斜視図である。
【
図10】中間柱部の上構成部側を示す部分拡大斜視図である。
【
図11】中央柱部の上構成部側を示す部分拡大斜視図である。
【
図12】別の実施形態における中間柱部を示す部分拡大断面図である。
【
図13】別の実施形態における中間柱部を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2、
図7に示すように、パレット1は、平面視略矩形状をなしている。また、パレット1は、パレット1の4隅に設けられる4本の隅柱部2と、パレット1の各側辺部に沿って並ぶ一対の隅柱部2の中間部位に設けられる中間柱部3と、パレット1の中央部に設けられる中央柱部4と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上端部間を連結する上デッキ部5と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下端部間を連結する下デッキ部6とを備えている。各隅柱部2と中間柱部3との間には、運搬手段としてのフォークリフトやハンドリフト等のフォークを差込み可能なフォーク差込み部7が形成されている。フォーク差込み部7は、パレット1の所定の側辺部に対して略直交する方向においてパレット1を貫通するようにして延在する第1フォーク挿入路8と、第1フォーク挿入路8に対して略直交する方向においてパレット1を貫通するようにして延在する第2フォーク挿入路9とを備えている。つまり、本実施形態のパレット1は、パレット1の外周面を構成する4つの側面からフォークを差込み可能な4方差しタイプのパレットとなっている。
【0023】
また、
図1に示すように、本実施形態では、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、上デッキ部5の上面によって物品を載置可能な「載置面10」が構成されている。さらに、隅柱部2、中間柱部3、中央柱部4、及び、下デッキ部6の下面によって、パレット1が設置される場所(床面等の設置面)に接地する「接地面11」が構成されている。
【0024】
加えて、パレット1は、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上側部分と、上デッキ部5とを具備する上構成部12と、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下側部分と、下デッキ部6とを具備する下構成部13とを備えている。上構成部12、及び、下構成部13は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。そして、上構成部12の隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の下縁部と、下構成部13の隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4の上縁部とが溶着(例えば、熱溶着、振動溶着)されることにより、上構成部12と下構成部13とが一体化され、パレット1が構成される。
【0025】
さらに、
図1、
図7に示すように、本実施形態では、フォーク差込み部7(第1フォーク挿入路8、及び、第2フォーク挿入路9)の上方全域が上デッキ部5により閉塞される一方で、
図2に示すように、下デッキ部6には、第1フォーク挿入路8と、第2フォーク挿入路9とが交差する範囲において、ハンドリフトのフォークの下面側に取付けられたキャスターを接地可能とするキャスター用開口部15が設けられている。加えて、
図7、
図8に示すように、上デッキ部5の下面側には、柱部2、3、4間を連結するリブと、当該リブに対して略直交する方向に当該リブと連結されつつ延在するリブとにより構成される上デッキ補強リブ16が設けられている。また、
図2、
図3に示すように、下デッキ部6に関しても、柱部2、3、4間を連結するリブと、当該リブに対して略直交する方向に当該リブと連結されつつ延在するリブとにより構成される下デッキ補強リブ17が設けられている。
【0026】
図1~
図3、
図7等に示すように、隅柱部2、中間柱部3、及び、中央柱部4は、それぞれの外周面を構成する周壁部21と、載置面10を構成する上壁部22と、接地面11を構成する下壁部23とを備えている。周壁部21は、パレット1の外周面を構成する外向壁部24と、上デッキ部5と連結され、第1フォーク挿入路8の内側面を構成する第1壁部25と、上デッキ部5と連結され、第2フォーク挿入路9の内側面を構成する第2壁部26とを備えている。外向壁部24、第1壁部25、及び、第2壁部26は、基本的にパレット1の各側辺部と略平行して(又は、略直交して)延在している。尚、隅柱部2、及び、中間柱部3の第1壁部25、及び、第2壁部26と、外向壁部24とのコーナー部(外側コーナー部36)は、フォーク差込み部7の入口付近におけるフォーク差込み部7の横幅がフォーク差込み部7の奥側から入口(端部)側に向けて次第に広がるようにするべく、R形状をなしている。
【0027】
また、
図1、
図3、
図11等に示すように、中央柱部4には、平面視で中央柱部4(パレット1)の中央部において、パレット1に載置される物品に関する情報等が記憶された図示しないRFIDタグを収容するタグ収容部27が設けられている。RFIDタグは略直方体形状をなし、その長手方向が上下方向(略鉛直方向)となるようにしてタグ収容部27に収容される。さらに、タグ収容部27は、当該タグ収容部27に収容されたRFIDタグの各側面がパレット1の各側辺部に対して約45度の角度をなすようにRFIDタグを保持するように構成されている。
【0028】
さて、
図4~
図6、
図9~
図11等に示すように、各柱部2、3、4は、端部が周壁部21と連結された略十字状の十字リブ31を備えている。十字リブ31を構成する各リブは、周壁部21を構成する各壁部(第1壁部25、第2壁部26、及び、外向壁部24)の横幅方向略中央部に対して略直交して連結されている。十字リブ31のうち少なくとも周壁部21と連結される部位は、柱部2、3、4の高さ方向全域に延在する(上構成部12と下構成部13との溶着部位を含んで柱部2、3、4の高さ方向に連続して延び、上壁部22、及び、下壁部23と連結される)全高リブとされている。尚、
図4、
図9に示す隅柱部2の十字リブ31には、十字リブ31の交差部位を含む範囲において下壁部23、及び、上壁部22との連結部位が残されるようにして切欠き部が形成され、
図5、
図10に示す中間柱部3の十字リブ31には、十字リブ31を構成するリブのうち第1壁部25同士の間、又は、第2壁部26同士の間を連結するリブにおいて上壁部22、及び、下壁部23との連結部位が残されるようにして切欠き部が形成されている。さらに、
図6、
図11に示す中央柱部4には、タグ収容部27を囲むようにして設けられた略四角筒状の囲い壁部32が設けられ、囲い壁部32の各側面は、パレット1の各側辺部に対して約45度傾斜して延在している。本実施形態では、中央柱部4の十字リブ31の中央部に囲い壁部32、及び、タグ収容部27が配置されており、十字リブ31を構成し、周壁部21と連結される各リブが、囲い壁部32の各コーナー部と交差して連結されるとともに、
図6に示すように、下構成部13側に関しては、十字リブ31の各リブのうち下壁部23との連結部位が囲い壁部32の内周側に延設されるような格好でタグ収容部27を構成する壁部と連結されている。
【0029】
図4~
図6、
図9~
図11等に示すように、各柱部2、3、4は、第1壁部25、及び、第2壁部26からそれぞれ第1壁部25、及び、第2壁部26に対して当該柱部2、3、4の中央部側に向けて傾斜して延びる第1柱内傾斜リブ33と、第1壁部25と第2壁部26とが連結される内側コーナー部34から当該柱部2、3、4の中央部側に向けて延びる第2柱内傾斜リブ35とを備えている。尚、本実施形態の第1柱内傾斜リブ33、及び、第2柱内傾斜リブ35は、全高リブとされている。また、
図4、
図5(
図9、
図10)に示すように、隅柱部2、及び、中間柱部3は、フォーク差込み部7の入口を構成する第1壁部25、又は、第2壁部26と、外向壁部24とが連結される外側コーナー部36から当該隅柱部2、又は、中間柱部3の中央部側に向けて延びる第3柱内傾斜リブ37を備えている。
【0030】
図4~
図6(
図9~
図11)等に示すように、各柱部2、3、4は、第1柱内傾斜リブ33として、第1壁部25、及び、第2壁部26のうち、当該第1壁部25、又は、第2壁部26の横幅方向中央部よりも内側コーナー部34側の部位から、対応する柱部2、3、4の中央部側に向けて、内側コーナー部34から離間する側に傾斜して延びる内方側第1柱内傾斜リブ38を備えている。本実施形態では、各柱部2、3、4の各内側コーナー部34に対応して、第2柱内傾斜リブ35を挟んで一対の内方側第1柱内傾斜リブ38が互いに対称位置に設けられている。さらに、
図4、
図5(
図9、
図10)に示すように、隅柱部2、及び、中間柱部3については、第1柱内傾斜リブ33として、第1壁部25、及び、第2壁部26のうち、当該第1壁部25、又は、第2壁部26の横幅方向中央部よりもフォーク差込み部7の入口側の部位から、対応する柱部2、3、4の中央部側に向けて、外側コーナー部36から離間する側に傾斜して延びる入口側第1柱内傾斜リブ39を備えている。
【0031】
図4~
図6、
図8等に示すように、第2柱内傾斜リブ35は、第1壁部25、及び、第2壁部26に対して約45度傾いて延在している。これに対し、第1壁部25(第2壁部26)と連結される内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、入口側第1柱内傾斜リブ39は、第1壁部25(第2壁部26)に対して45度よりも若干直角に近くなる角度(例えば、約55度)に傾いて柱部2、3、4の中央部側に向けて延在している。尚、第1柱内傾斜リブ33と、第1壁部25(第2壁部26)とのなす角度を極力大きくすることにより、第1柱内傾斜リブ33と、第1壁部25(第2壁部26)とで鋭角に区画された領域を形成するための金型の強度を高めることができる。
【0032】
また、第3柱内傾斜リブ37は、入口側第1柱内傾斜リブ39と略平行して延在している。さらに、内方側第1柱内傾斜リブ38、入口側第1柱内傾斜リブ39、第2柱内傾斜リブ35、及び、第3柱内傾斜リブ37のうち周壁部21と連結された端部とは反対側の端部は、十字リブ31から離間している。
【0033】
加えて、
図4~
図6(
図9~
図11)等に示すように、各柱部2、3、4は、各内側コーナー部34に対応して設けられた一対の内方側第1柱内傾斜リブ38のうち周壁部21(第1壁部25又は第2壁部26)と連結された端部とは反対側の端部と、第2柱内傾斜リブ35のうち周壁部21(内側コーナー部34)と連結された端部とは反対側の端部との間を連結する連結リブ41を備えている。尚、本実施形態の連結リブ41のうち、少なくとも内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35との連結部位は全高リブとされている。
【0034】
各柱部2、3、4には、内方側第1柱内傾斜リブ38の端部と連結される第1端部リブ42が設けられている。また、
図4、
図5(
図9、
図10)に示すように、隅柱部2、及び、中間柱部3には、入口側第1柱内傾斜リブ39の端部と連結される入口側第1端部リブ43が設けられている。第1端部リブ42、及び、入口側第1端部リブ43は、全高リブではなく、下壁部23(上壁部22)からパレット1の高さ方向中央部側に突出する比較的突出長の短いリブにより構成される。さらに、
図4~
図6、
図8等に示すように、第1端部リブ42、及び、入口側第1端部リブ43は、それぞれ内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、入口側第1柱内傾斜リブ39の延長線上に延びるようにして設けられている。
【0035】
図4、
図5に示すように、隅柱部2、及び、中間柱部3には、第2柱内傾斜リブ35の端部と連結され、第2柱内傾斜リブ35の延長線上に延びる第2端部リブ44が設けられている。第2端部リブ44についても、全高リブではなく、第1端部リブ42と同様の突出長となっている。尚、
図9、
図10に示すように、本実施形態では、隅柱部2、及び、中間柱部3であっても、上構成部12側においては、第2端部リブ44が省略されている。また、本実施形態では、各柱部2、3、4の各内側コーナー部34に対応して、一対の内方側第1柱内傾斜リブ38と、第2柱内傾斜リブ35と、連結リブ41とにより構成される水平断面略「山」の字状の山型リブ構成部が設けられ、当該山型リブ構成部と別の山型リブ構成部、又は、周壁部21との間を間接的に連結するべく、当該山型リブ構成部の各柱部2、3、4の中央部側に隣接して、第1端部リブ42が(隅柱部2、及び、中間柱部3に関してはさらに第2端部リブ44を含めて「川」の字状に)設けられている。
【0036】
図5(
図10)に示すように、中間柱部3の各内側コーナー部34に対応して設けられた一対の内方側第1柱内傾斜リブ38のうち、中央柱部4側の内方側第1柱内傾斜リブ38に連結された第1端部リブ42は、同一の中間柱部3に設けられた他の第1端部リブ42に(十字リブ31を介して)連結されている。中間柱部3の各内側コーナー部34に対応して設けられた一対の内方側第1柱内傾斜リブ38のうち、フォーク差込み部7の入口側の内方側第1柱内傾斜リブ38に連結された第1端部リブ42は、同一の中間柱部3に設けられた入口側第1端部リブ43に(十字リブ31を介して)連結されており、間接的に第1壁部25、又は、第2壁部26に連結されている。尚、第1端部リブ42、及び、入口側第1端部リブ43のうち十字リブ31との連接部位は、十字リブ31とのなす角度が直角に近付くようにして若干湾曲している。また、中間柱部3の第2端部リブ44は、同一の中間柱部3に設けられた他の第2端部リブ44と(十字リブ31を介して)連結されている。
【0037】
図6(
図11)に示すように、中央柱部4の第1端部リブ42のうち内方側第1柱内傾斜リブ38と連結された端部とは反対側の端部は、囲い壁部32と連結され、当該囲い壁部32、及び、十字リブ31を介して間接的に第1壁部25、及び、第2壁部26に連結されている。
【0038】
図4(
図9)に示すように、隅柱部2の第1端部リブ42のうち内方側第1柱内傾斜リブ38に連結された端部とは反対側の端部は、同一の中間柱部3に設けられた入口側第1端部リブ43に(十字リブ31を介して)連結されており、間接的に第1壁部25、又は、第2壁部26に連結されている。尚、第1端部リブ42、及び、入口側第1端部リブ43のうち十字リブ31との連接部位は、十字リブ31とのなす角度が直角に近付くようにして若干湾曲している。また、隅柱部2にも第2端部リブ44が設けられ、十字リブ31と連結されているが、隅柱部2には第2端部リブ44が1つのみであり、他の第2端部リブ44とは連結されていない。
【0039】
図5、
図10に示すように、本実施形態では、中間柱部3に関しては、十字リブ31を構成するリブのうち、中央柱部4と対向する第1壁部25又は第2壁部26と、外向壁部24との間を連結するリブに対して、内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、連結リブ41、及び、第1端部リブ42(下構成部13に対応しては、さらに第2端部リブ44)が対称位置に設けられている。さらに、
図6、
図11に示すように、中央柱部4に関しては、十字リブ31を構成する各リブに対して、それぞれ内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、連結リブ41、及び、第1端部リブ42が対称位置に設けられている。
【0040】
また、
図4、
図5(
図9、
図10)に示すように、隅柱部2、及び、中間柱部3は、入口側第1柱内傾斜リブ39のうち周壁部21(第1壁部25又は第2壁部26)と連結された端部とは反対側の端部と、第3柱内傾斜リブ37との間を連結する第2連結リブ45を備えている。さらに、隅柱部2、及び、中間柱部3は、同一の隅柱部2、及び、中間柱部3に設けられた第3柱内傾斜リブ37同士の端部間を連結する第3連結リブ46を備えている(隅柱部2の第3連結リブ46に関しては、水平断面において屈曲している)。本実施形態では、連結リブ41、第1端部リブ42、入口側第1端部リブ43、第2連結リブ45、及び、第3連結リブ46により、周壁部21の内方側において略環状に連続する連続周リブが構成されている。尚、本実施形態では、第3連結リブ46が第3柱内傾斜リブ37のうち第2連結リブ45と異なる位置に連結されている(第2連結リブ45が第3柱内傾斜リブ37のうち端部よりも外側コーナー部36側の部位と連結されている)ため、第3柱内傾斜リブ37の一部も連続周リブに含まれる。
【0041】
加えて、
図5、
図10に示すように、中間柱部3の周壁部21のうち、各内側コーナー部34に対応して、第2柱内傾斜リブ35を挟んで一対で設けられる内方側第1柱内傾斜リブ38により挟まれる部位であるコーナー対応部位48は、当該コーナー対応部位48に隣接する部位(中央柱部4と対向する第1壁部25、及び、第2壁部26のうちその横幅方向中央部を含む範囲、並びに、隅柱部2と対向する第1壁部25、及び、第2壁部26のうち内方側第1柱内傾斜リブ38よりも外向壁部24側の範囲)よりも厚みが大きく構成されている。
【0042】
図8等に示すように、柱部2、3、4の上デッキ部5との連結部位において、内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、入口側第1柱内傾斜リブ39、十字リブ31(第1壁部25又は第2壁部26の連結部のみ)は、周壁部21を介して、上デッキ補強リブ16と連結されている(連続している)。ひいては、中間柱部3の内方側第1柱内傾斜リブ38と、中央柱部4、及び、隅柱部2の内方側第1柱内傾斜リブ38とが、上デッキ補強リブ16を介して互いに連結され、中間柱部3の第2柱内傾斜リブ35と、隅柱部2の第2柱内傾斜リブ35と、中央柱部4の第2柱内傾斜リブ35とが、上デッキ補強リブ16を介して互いに連結されている。また、
図3等に示すように、柱部2、3、4の下デッキ部6との連結部位に関しても、内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、入口側第1柱内傾斜リブ39、十字リブ31(第1壁部25又は第2壁部26の連結部のみ)は、周壁部21を介して、下デッキ補強リブ17と連結されている(連続している)。
【0043】
以上詳述したように、本実施形態によれば、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35により柱部2、3、4(周壁部21)の各内側コーナー部34付近の強度を高めることができる。さらに、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35は、フォークをフォーク差込み部7に挿通させる際にフォークが柱部2、3、4の内側コーナー部34付近に接触する(例えば、勢いよく突き当たる)場合のフォークの移動方向に対して極力平行する方向に近くなるようにして延在している。これにより、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近にフォークが衝突した場合に、当該内側コーナー部34付近を内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35によって効果的に支持するとともに、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35自体の変形等を抑制することができる。従って、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近の変形や損傷等を抑止することができる。
【0044】
また、内方側第1柱内傾斜リブ38と、第2柱内傾斜リブ35との間を連結する連結リブ41を備えている。このため、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35の変形を抑制することができ、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近の強度をより向上させることができる。さらに、連結リブ41によって連結された内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35のいずれかに発生した応力を、連結リブ41を介して、分散させ易くすることができ、例えば、フォークが柱部2、3、4の内側コーナー部34付近に衝突した場合に、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35のいずれかに比較的大きな応力が作用した場合においても、当該内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35の負担軽減を図ることができる。加えて、第1壁部25と連結された内方側第1柱内傾斜リブ38と、第2壁部26と連結された内方側第1柱内傾斜リブ38とが連結リブ41を介して連結されることにより、一方の内方側第1柱内傾斜リブ38が第1壁部25、又は、第2壁部26を介してフォークと突き当たった場合の他方の内方側第1柱内傾斜リブ38を一方の内方側第1柱内傾斜リブ38の補強として大きく貢献させることができ、補強用のリブを増やし過ぎることなく効率的な補強を行うことができる。
【0045】
また、内方側第1柱内傾斜リブ38の端部と連結される第1端部リブ42が設けられている。特に、隅柱部2の第1端部リブ42のうち内方側第1柱内傾斜リブ38と連結された端部とは反対側の端部は、第1壁部25、又は、第2壁部26に対して間接的に(囲い壁部32及び十字リブ31を介して)連結されている。さらに、中間柱部3の第1端部リブ42のうち内方側第1柱内傾斜リブ38と連結された端部とは反対側の端部は、同一の中間柱部3に設けられた他の第1端部リブ42、又は、入口側第1端部リブ43に対して直接的に(見方を変えれば、十字リブ31を介して)連結されている。加えて、中央柱部4の第1端部リブ42のうち内方側第1柱内傾斜リブ38と連結された端部とは反対側の端部は、同一の中央柱部4に設けられた入口側第1端部リブ43に対して直接的に(見方を変えれば、十字リブ31を介して)連結されている(入口側第1端部リブ43を介して第1壁部25、又は、第2壁部26に間接的に連結されているとも言える)。このため、第1端部リブ42により、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35の変形を抑止する(第2柱内傾斜リブ35は連結リブ41を介して作用する)とともに、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近にフォークが衝突した場合に、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35が受けた応力を、第1壁部25、第2壁部26、又は、他の第1端部リブ42(入口側第1端部リブ43)や、その周辺部に分散させ易くすることができる。従って、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近にフォークが衝突した際の衝撃を緩和させ、柱部2、3、4の損傷等をより一層抑止することができる。
【0046】
さらに、中間柱部3は、十字リブ31を構成するリブのうち中央柱部4と対向する壁部と、外向壁部24との間を連結するリブに対して、内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、連結リブ41、及び、第1端部リブ42が対称位置に設けられている。加えて、中央柱部4は、十字リブを構成する双方のリブに対して、それぞれ内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、連結リブ41、及び、第1端部リブ42が対称位置に設けられている。このため、内方側第1柱内傾斜リブ38、第2柱内傾斜リブ35、連結リブ41、及び、第1端部リブ42がバランスよく配置され、中間柱部3、及び、中央柱部4の強度を効率的に高めることができる。
【0047】
また、隅柱部2においては、連結リブ41、第1端部リブ42、入口側第1端部リブ43、第2連結リブ45、及び、第3連結リブ46が連結されることにより、周壁部21の内方側において略環状に連続する連続周リブが構成されている。中間柱部3においては、連結リブ41、第1端部リブ42、入口側第1端部リブ43、第2連結リブ45、及び、第3連結リブ46が連結されることにより、周壁部21の内方側において略環状に連続する連続周リブが構成されている。隅柱部2においては、連結リブ41、第1端部リブ42、入口側第1端部リブ43、第2連結リブ45、及び、第3連結リブ46が連結されることにより、周壁部21の内方側において略環状に連続する連続周リブが構成されている。このように、柱部2、3、4には周壁部21の内方側に連続周リブが設けられ、当該連続周リブは、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35を介して、柱部2、3、4(周壁部21)の内側コーナー部34付近と連結されている。従って、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近にフォークが衝突した場合に、内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、第2柱内傾斜リブ35が受けた応力を、連続周リブ、及び、その周辺部により広く分散させることができる。結果として、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近にフォークが衝突した際の衝撃を緩和させ、柱部2、3、4の損傷等をより一層抑止するといった作用効果がより一層奏される。
【0048】
加えて、第1端部リブ42(隅柱部2、及び、中間柱部3はさらに第2端部リブ44)により、内方側第1柱内傾斜リブ38(及び、第2柱内傾斜リブ35)が柱部2、3、4の内周側に(部分的にでも)延伸されたような格好とされている。特に、中間柱部3については、第1端部リブ42、及び、第2端部リブ44による延伸先では、他の第1端部リブ42、入口側第1端部リブ43、及び、第2端部リブ44と(十字リブ31を介して)連結されている。従って、柱部2、3、4の内側コーナー部34付近にフォークが衝突した場合に、当該内側コーナー部34付近を支持して変形及び損傷を防止するといった作用効果がより一層奏される。
【0049】
また、中間柱部3の周壁部21のうち、各内側コーナー部34に対応して、第2柱内傾斜リブ35を挟んで一対で設けられる内方側第1柱内傾斜リブ38により挟まれる部位であるコーナー対応部位48は、当該コーナー対応部位48に隣接する部位よりも厚みが大きく構成されている。このため、中間柱部3の内側コーナー部34付近を補強することができ、フォークをフォーク差込み部7に挿入させる際のパレット1の損傷等をより確実に抑止することができる。
【0050】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0051】
(a)上記実施形態では、第1端部リブ42、及び、入口側第1端部リブ43は、それぞれ内方側第1柱内傾斜リブ38、及び、入口側第1柱内傾斜リブ39の延長線上に延びるようにして設けられているが、例えば、
図12に示すように、対応する第1壁部25、又は、第2壁部26とほぼ平行して延在し、十字リブ31に対して略直交して連結されるように構成してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、中間柱部3の第1端部リブ42は、(十字リブ31を介して)他の第1端部リブ42、又は、入口側第1端部リブ43と連結され、隅柱部2の第1端部リブ42は、(十字リブ31を介して)入口側第1端部リブ43と連結されるように構成されているが、
図13に示すように、内方側第1柱内傾斜リブ38の端部と、第1壁部25、又は、第2壁部26との間を連結するように設けられる(特に、
図13では、連結リブ41の両端部を延長させるようにして第1端部リブ42が設けられている)こととしてもよい。尚、
図13に示すように、第1壁部25、又は、第2壁部26と連結される第1端部リブ42と、上記実施形態のように(十字リブ31を介して)他の第1端部リブ42、又は、入口側第1端部リブ43と連結される第1端部リブ42とを併用してもよい。また、例えば、第1端部リブ42に代えて、連結リブ41のうち内方側第1端部リブ42と第2柱内傾斜リブ35との間の部位と、十字リブ31等との間を連結するリブを設けることも可能であるが、内側コーナー部34付近にフォークが衝突した際に、連結リブ41のうち内方側第1端部リブ42と第2柱内傾斜リブ35との間の部位に応力が集中してしまうことが懸念されることから、第1端部リブ42は内方側第1柱内傾斜リブ38の端部と連結されることが望ましい。尚、
図12、
図13では、中間柱部3に変形例が具体化されているが、隅柱部2、中央柱部4において当該変形例を適用することも可能である。
【0053】
また、上記実施形態において、柱部2、3、4の内側に設けられる各リブを全高リブとするか否かについては適宜変更可能であり、全てのリブを全高リブとしてもよいし、全てのリブを上壁部22、及び、下壁部23から上構成部12、及び、下構成部13の高さ方向の中間位置まで延在する(パレット1の高さ方向全域には連続していない)リブとしてもよいし、全高リブと前記中間位置まで延在するリブとを適宜組み合わせる構成としてもよい。
【0054】
(b)さらに、上記実施形態では、中央柱部4の第1端部リブ42が囲い壁部32と連結されるように構成されているが、第1壁部25、又は、第2壁部26に連結される構成としてもよいし、(十字リブ31を介して)他の第1端部リブ42と連結される構成としてもよい。加えて、上記実施形態では、中間柱部3、及び、隅柱部2の下部において、第2端部リブ44が設けられているが、当該第2端部リブ44を省略することとしてもよい。加えて、中間柱部3、及び、隅柱部2の上部、中央柱部4の上部及び下部において、第2端部リブ44を設けることとしてもよい。
【0055】
(c)上記実施形態では、連結リブ41が内方側第1柱内傾斜リブ38の端部と、第2柱内傾斜リブ35の端部との間を連結するように構成されているが、端部よりも内側コーナー部側の部位の間を連結するように構成してもよい。また、第2連結リブ45が入口側第1柱内傾斜リブ39の端部よりも外側コーナー部36側の部位と連結されてもよいし、第2連結リブ45が第3柱内傾斜リブ37のうち周壁部21と連結された端部とは反対側の端部と連結されてもよい。
【0056】
尚、連結リブ41が内方側第1柱内傾斜リブ38のうち端部以外の部位と連結されている場合には、内方側第1柱内傾斜リブ38の一部も周壁部21の内方側において略環状に連続する連続周リブに含まれ、第2連結リブが入口側第1柱内傾斜リブ、及び、第3柱内傾斜リブのうち端部以外の部位と連結されている場合には、入口側第1柱内傾斜リブ、及び、第3柱内傾斜リブの一部も連続周リブに含まれる。また、第2連結リブ45が第3柱内傾斜リブ37の端部と連結されるように構成してもよい。
【0057】
(d)上記実施形態では、上構成部12と、下構成部13とで形状等が異なるよう構成されているが、上構成部12と、下構成部13とが同一形状で、同一の大きさとなるパレット(両面使用タイプのパレット)に具体化してもよい。さらに、例えば、下デッキ部6が省略され、全体が一体的に形成されるパレットに具体化することも可能である。加えて、上記実施形態では、載置面10が基本的に(タグ収容部27以外は)無孔状に構成されているが、例えば、上デッキ部5において適宜開口部が設けられるように構成してもよい。また、例えば、各柱部が上方に開口し、パレット同士を積み重ねた場合に、上側のパレットの柱部(下方に向けて外寸が次第に小さくなるように構成される)が、下側のパレットの柱部の内側に挿入されるタイプ(ネスティングタイプ)のパレットに具体化することも可能である(当該構成を採用する場合にも、上デッキ部5に開口部を有するか否かについては適宜設計可能)。また、上記実施形態では、パレット1はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…パレット、2…隅柱部、3…中間柱部、4…中央柱部、5…上デッキ部、6…下デッキ部、7…フォーク差込み部、8…第1フォーク挿入路、9…第2フォーク挿入路、21…周壁部、24…外向壁部、25…第1壁部、26…第2壁部、31…十字リブ、33…第1柱内傾斜リブ、34…内側コーナー部、35…第2柱内傾斜リブ、36…外側コーナー部、37…第3柱内傾斜リブ、38…内方側第1柱内傾斜リブ、39…入口側第1柱内傾斜リブ、41…連結リブ、42…第1端部リブ、43…入口側第1端部リブ、44…第2端部リブ、45…第2連結リブ、46…第3連結リブ、48…コーナー対応部位。