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  • 特開-洪水耐性建物 図1
  • 特開-洪水耐性建物 図2
  • 特開-洪水耐性建物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135570
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】洪水耐性建物
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035476
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】302051544
【氏名又は名称】ミツヤジーホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安江 高治
【テーマコード(参考)】
2E139
【Fターム(参考)】
2E139AA07
2E139AC02
2E139AC22
2E139AC26
2E139AC33
(57)【要約】
【課題】洪水発生時等において住宅に浮力が作用した場合であっても居住部の浮き上がりを防止することが可能な洪水耐性建物を提供すること。
【解決手段】底盤12と底盤12から起立する起立部14を有するべた基礎10と、起立部14に固定された居住部20とを具備し、底盤12、起立部14および居住部20とで囲まれた床下空間30に充填物40が充填されていることを特徴とする洪水耐性建物100である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底盤と前記底盤から起立する起立部を有するべた基礎と、前記起立部に固定された居住部とを具備し、
前記底盤、前記起立部および前記居住部とで囲まれた床下空間に充填物が充填されていることを特徴とする洪水耐性建物。
【請求項2】
前記充填物は砕石であることを特徴とする請求項1記載の洪水耐性建物。
【請求項3】
前記充填物を前記床下空間に充填した後に形成された間隙部分に間隙充填剤がさらに充填されていることを特徴とする請求項1または2記載の洪水耐性建物。
【請求項4】
前記間隙充填剤がモルタルまたはセメントミルクであることを特徴とする請求項3記載の洪水耐性建物。
【請求項5】
前記充填物の上端面高さ位置は、前記起立部の上端面と同一高さ位置であることを特徴とする請求項1または2記載の洪水耐性建物。
【請求項6】
前記充填物および前記間隙充填剤のうち少なくとも一方の上端面高さ位置は、前記起立部の上端面と同一高さ位置であることを特徴とする請求項3または4記載の洪水耐性建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洪水耐性建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゲリラ豪雨等により洪水が発生する頻度が高まっていると共に、その激しさが増大している。このような洪水発生時において生命を守るための避難先として、例えば特許文献1(特開2008-74385号公報)によって避難先シェルターの構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-74385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている避難用シェルターは、洪水や津波が発生した際において、生命を守ると共に設置場所からの流出を防ぐことが可能な構成が開示されている。しかしながら、洪水等が発生した際においても、介助者および非介助者や体が不自由な人は、迅速に避難シェルターに避難することができず、自宅内での避難が余儀なくされる。なお、洪水時発生時における浮力によって自宅(住宅に代表される建物)が敷地から浮き上がってしまうことへの対策を提案している先行技術は発見することができず、洪水発生時等において浮力による建物の敷地からの浮き上がりに対する具体的な対策の提案が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明においては、洪水発生時等において浮力が作用した場合であっても、敷地からの建物の浮き上がりを防止することが可能な洪水耐性建物の提供を目的としている。
【0006】
すなわち本発明は、底盤と前記底盤から起立する起立部を有するべた基礎と、前記起立部に固定された居住部とを具備し、前記底盤、前記起立部および前記居住部により囲まれた床下空間に充填物が充填されていることを特徴とする洪水耐性建物である。
【0007】
これにより、洪水耐性建物の自重を大幅の増加させることができるので、洪水発生時等においても敷地からの建物の浮き上がりを防止することができる。
【0008】
また、前記充填物は砕石であることが好ましい。
【0009】
これにより、床下空間への充填物の充填を低コストで行うことができる。
【0010】
また、前記充填物を前記床下空間に充填した後に形成された間隙部分に間隙充填剤がさらに充填されていることが好ましい。
【0011】
これにより、床下空間への充填物の充填率が高まり、洪水耐性建物の自重をさらに増加させることができる。
【0012】
また、前記間隙充填剤がモルタルまたはセメントミルクであることが好ましい。
【0013】
これにより、間隙充填剤の入手が容易であり低コストでの施工ができる。
【0014】
また、前記充填物の上端面高さ位置は、前記起立部の上端面と同一高さ位置であることが好ましい。
【0015】
これにより、洪水耐性建物の自重をさらに増加させることができる。
【0016】
さらに、前記充填物および前記間隙充填剤のうち少なくとも前記充填物の上端面高さ位置は、前記起立部の上端面と同一高さ位置であることが好ましい。
【0017】
これにより、べた基礎構築後における居住部の構築が容易になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における洪水耐性建物の構成によれば、従来構造の建物に対して大幅に自重を増加させることができ、洪水発生時においても敷地からの建物の浮き上がりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態における洪水耐性建物の概略構造示す説明断面図である。
図2】第2実施形態における洪水耐性建物の概略構造示す説明断面図である。
図3図2中のIII部分における拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1に示すように本実施形態における洪水耐性建物100は、べた基礎10と、べた基礎10の上に構築された居住部20とを具備する。べた基礎10は、底盤12と底盤12の上面から上方に向けて起立する起立部14が所要範囲にわたって形成されたものである。このようなべた基礎10は、一般的な鉄筋コンクリートにより構築されているが、鉄筋コンクリートの骨材に砂や砕石よりも比重の高い材料を用いることもできる。底盤12は居住部20が構築される平面領域よりも広範囲に形成されており、底盤12の厚さ方向の少なくとも一部分が現地盤Gに埋設された状態になっている。また、居住部20は公知の工法で構築することができ、木造、鉄鋼造、鉄筋コンクリート造のいずれであってもよく、構築材料および工法は特に限定されるものではない。居住部20は公知の手段により起立部14に固定されている。
【0021】
本実施形態における洪水耐性建物100は、底盤12、起立部14および居住部20の床22により囲まれた空間である床下空間30に充填物40を充填している点が最大の特徴である。起立部14には通気口が配設されていないので、床下空間30は外部空間と連通しておらず、洪水発生時においても床下空間30への浸水が防止されている。このように床下空間30に充填物40を充填することにより、洪水耐性建物100としての自重を大幅に増加させることができ、洪水発生時等におけるべた基礎10および居住部20(建物)の浮き上がりを防止することができる。本実施形態においては充填物40として砕石を用いることにより、充填物40の調達コストを低減させている。適度な粒度分布を有している砕石を充填物40として用いることにより、充填物40の転圧が可能になるため、床下空間30に可及的に密な状態で充填物40が充填され、洪水耐性建物100の自重増加に貢献する。
【0022】
本実施形態においては、床下空間30の一部を残した状態で床下空間30に充填物40を充填した形態としているが、充填物40の上端面高さ位置を起立部14の上端面高さ位置と同一高さ位置になるまで充填することもできる。このように床下空間30の全体に充填物40を充填することにより、洪水耐性建物100の自重を最大限に増加させることができる。また、べた基礎10の上面に起立部14と充填物40とによって平坦面が形成されているため、べた基礎10の上面への居住部20の構築が容易になる点においても好都合である。
【0023】
(第2実施形態)
図2は本実施形態における洪水耐性建物100の概略構造を示す断面図であり、図3図2中のIII部分の拡大図である。本実施形態における洪水耐性建物100の説明においては、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付すことにより、各構成についての詳細な説明を省略している。本実施形態における洪水耐性建物100は、床下空間30に充填物40を充填した後に形成された間隙部分50に間隙充填剤60が充填されている。本実施形態においては、安価に利用できる間隙充填剤60としてモルタルが用いられている。なお、間隙充填剤60はモルタルに限定されるものではなく、セメントミルク等の他の公知のグラウト剤を適宜採用することができる。
【0024】
床下空間30において、上端面高さ位置が起立部14の上端面高さ位置と同一高さ位置以下まで充填物40を充填した後、床下空間30に形成された間隙部分50に間隙充填剤60が公知の手法により充填される。本実施形態においては、充填物40または間隙充填剤60の上端面高さ位置が起立部14の上端面と同一高さ(べた基礎10の上面が平坦面)になるように仕上げられている。また、図示はしないが、べた基礎10の上面に雌型アンカー部材の開口部を開口させた状態で充填物40または間隙充填剤60にアンカー部材を埋設させておくこともできる。このようにべた基礎10の上面に雌型または雄型のアンカー部材を開口させた状態で埋設しておくことで、べた基礎10の上面に居住部20を構築する際に雄型または雄型のアンカー部材(図示はせず)を適宜用いることで、建物としてのべた基礎10と居住部20との固定(連結)をより確実に行うことができる点で好都合である。
【0025】
本実施形態における洪水耐性建物100の構成によれば、第1実施形態における洪水耐性建物100よりもさらに自重を増大させることができ、より高水位の洪水に対してもべた基礎10および居住部20(建物)の浮上を防止することが可能である。なお、本明細書においては、具体的に説明はしていないが、居住部20の壁面に形成された開口部に取り付けられる玄関ドアに代表されるドアや窓における耐水構造については、本願発明の出願人によりなされている耐水玄関(特願2021-35336号)や洪水耐性窓(特願2021-35337号)において説明されている形態と同様の形態を採用することができる。以上のドアや窓における耐水構造を本発明と併用することで、洪水発生時等においても居住部20の内部への浸水を防止すると共に、居住部20の浮き上がりが防止されるので、自宅を避難場所として利用することができる。
【0026】
また、以上の実施形態においては、充填物40として砕石を用いているが、充填物40は砕石に限定されるものではない。充填物40は特に限定されるものではないが、洪水時等における浮力に対抗するための自重増大を目的としているため、比重は1以上のものを用いることが好ましく、床下空間30への充填物40としてコンクリートを打設してもよい。べた基礎10を構築する際における整地の際に生じた掘削土を充填物40として用いれば、洪水耐性建物100の構築現場における残土処理が不要になり施工コストの低減に貢献する。
【0027】
また、以上に説明した本実施形態の構成に対し、明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することもできる。
【符号の説明】
【0028】
10 べた基礎
12 底盤
14 起立部
20 居住部
22 床
30 床下空間
40 充填物
50 間隙部分
60 間隙充填剤
100 洪水耐性建物
G 現地盤
図1
図2
図3