IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図1
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図2
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図3
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図4
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図5
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図6
  • 特開-電源装置、及び電源制御方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135571
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電源装置、及び電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
H02M7/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035477
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 豊隆
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA05
5H006CA03
5H006CB03
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA01
(57)【要約】
【課題】接地端子が未接地状態になった場合に、動作異常が発生することを予防する。
【解決手段】電源装置は、発電機が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部に直流電圧を供給する電源装置であって、電源装置の接地端子と発電機の出力端子との間に接続され、少なくとも出力端子が発電機の出力端子に接続された、交流信号の負側の信号を整流する第1スイッチ素子と、入力端子が発電機の出力端子に接続され、出力端子が負荷部に接続された、交流信号の正側の信号を整流する第2スイッチ素子と、第2スイッチ素子の出力端子と接地端子との間に接続されたコンデンサと、交流信号の正負の切り替えに応じて、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子の導通制御を行う制御部と、コンデンサの電圧が所定の閾値電圧以上になった場合に、接地端子が未接地状態であると判定し、第1スイッチ素子をオフ状態にする異常検出部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部に前記直流電圧を供給する電源装置であって、
前記電源装置の接地端子と前記発電機の出力端子との間に接続され、少なくとも前記出力端子が前記発電機の出力端子に接続された、前記交流信号の負側の信号を整流する第1スイッチ素子と、
入力端子が発電機の出力端子に接続され、出力端子が前記負荷部に接続された、前記交流信号の正側の信号を整流する第2スイッチ素子と、
前記第2スイッチ素子の出力端子と前記接地端子との間に接続されたコンデンサと、
前記交流信号の正負の切り替えに応じて、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子の導通制御を行う制御部と、
前記コンデンサの電圧が所定の閾値電圧以上になった場合に、前記接地端子が未接地状態であると判定し、前記第1スイッチ素子をオフ状態にする異常検出部と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記所定の閾値電圧が第1の閾値電圧であり、
前記制御部は、前記コンデンサの電圧が、前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧以上になった場合に、前記第2スイッチ素子をオフ状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記異常検出部は、前記コンデンサの電圧が前記所定の閾値電圧以上になった場合に、オン状態になるツェナーダイオードを備え、前記ツェナーダイオードがオン状態になった場合に、前記第1スイッチ素子をオフ状態にする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記コンデンサが第1のコンデンサであり、
前記第1スイッチ素子の入力端子と前記接地端子との間に接続され、前記接地端子を中間ノードとして前記第1のコンデンサと直列に接続された第2のコンデンサ、又は抵抗を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項5】
発電機が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部に前記直流電圧を供給する電源装置であって、前記電源装置の接地端子と前記発電機の出力端子との間に接続され、少なくとも前記出力端子が前記発電機の出力端子に接続された、前記交流信号の負側の信号を整流する第1スイッチ素子と、入力端子が発電機の出力端子に接続され、出力端子が前記負荷部に接続された、前記交流信号の正側の信号を整流する第2スイッチ素子と、前記第2スイッチ素子の出力端子と前記接地端子との間に接続されたコンデンサとを備える電源装置の電源制御方法であって、
制御部が、前記交流信号の正負の切り替えに応じて、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子の導通制御を行う制御ステップと、
異常検出部が、前記接地端子を基準にした前記コンデンサの電圧が所定の閾値電圧以上になった場合に、前記接地端子が未接地状態であると判定し、前記第1スイッチ素子をオフ状態にする異常検出ステップと
を含むことを特徴とする電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置、及び電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発電機が発電する交流信号を直流電圧に変換するレギュレータなどの電源装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような電源装置では、直流電圧の出力端子と接地端子との間にコンデンサが接続され、出力する直流電圧は、接地された外部の負荷部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-115071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電源装置では、接地端子が未接地状態になると、直流電圧の出力端子と接地端子との間に接続されたコンデンサが、外部の負荷部を通じてコンデンサに異常電圧が充電されて、動作異常が発生する場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、接地端子が未接地状態になった場合であっても、コンデンサに異常電圧が充電されて、動作異常が発生することを予防することができる電源装置、及び電源制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、発電機が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部に前記直流電圧を供給する電源装置であって、前記電源装置の接地端子と前記発電機の出力端子との間に接続され、少なくとも前記出力端子が前記発電機の出力端子に接続された、前記交流信号の負側の信号を整流する第1スイッチ素子と、入力端子が発電機の出力端子に接続され、出力端子が前記負荷部に接続された、前記交流信号の正側の信号を整流する第2スイッチ素子と、前記第2スイッチ素子の出力端子と前記接地端子との間に接続されたコンデンサと、 前記交流信号の正負の切り替えに応じて、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子の導通制御を行う制御部と、前記コンデンサの電圧が所定の閾値電圧以上になった場合に、前記接地端子が未接地状態であると判定し、前記第1スイッチ素子をオフ状態にする異常検出部とを備えることを特徴とする電源装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記所定の閾値電圧が第1の閾値電圧であり、前記制御部は、前記コンデンサの電圧が、前記第1の閾値電圧よりも低い第2の閾値電圧以上になった場合に、前記第2スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記異常検出部は、前記コンデンサの電圧が前記所定の閾値電圧以上になった場合に、オン状態になるツェナーダイオードを備え、前記ツェナーダイオードがオン状態になった場合に、前記第1スイッチ素子をオフ状態にすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記コンデンサが第1のコンデンサであり、前記第1スイッチ素子の入力端子と前記接地端子との間に接続され、前記接地端子を中間ノードとして前記第1のコンデンサと直列に接続された第2のコンデンサ、又は抵抗を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様は、発電機が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部に前記直流電圧を供給する電源装置であって、前記電源装置の接地端子と前記発電機の出力端子との間に接続され、少なくとも前記出力端子が前記発電機の出力端子に接続された、前記交流信号の負側の信号を整流する第1スイッチ素子と、入力端子が発電機の出力端子に接続され、出力端子が前記負荷部に接続された、前記交流信号の正側の信号を整流する第2スイッチ素子と、前記第2スイッチ素子の出力端子と前記接地端子との間に接続されたコンデンサとを備える電源装置の電源制御方法であって、制御部が、前記交流信号の正負の切り替えに応じて、前記第1スイッチ素子及び前記第2スイッチ素子の導通制御を行う制御ステップと、異常検出部が、前記接地端子を基準にした前記コンデンサの電圧が所定の閾値電圧以上になった場合に、前記接地端子が未接地状態であると判定し、前記第1スイッチ素子をオフ状態にする異常検出ステップとを含むことを特徴とする電源制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電源装置では、発電機が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部に前記直流電圧を供給し、制御部が、交流信号の正負の切り替えに応じて、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子の導通制御を行う。そして、異常検出部が、接地端子を基準にしたコンデンサの電圧が所定の閾値電圧以上になった場合に、接地端子が未接地状態であると判定し、第1スイッチ素子をオフ状態にする。これにより、電流検出装置は、接地端子が未接地状態になった場合に、交流信号の負側の信号の際に、接地された負荷部を介して、コンデンサに異常電圧が充電されて、動作異常が発生することを予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態による電源システム及び電源装置の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態における電源制御処理の一例を示す第1のフローチャートである。
図3】第1の実施形態における電源制御処理の一例を示す第2のフローチャートである。
図4】第1の実施形態による電源装置の接地端子が未接地状態になった場合の動作の一例を説明する図である。
図5】第1の実施形態における接地端子が未接地状態になった場合の異常検出部及び制御部の動作の一例を説明するタイミングチャートである。
図6】第2の実施形態による電源システム及び電源装置の一例を示すブロック図である。
図7】第3の実施形態による電源システム及び電源装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による電源装置及び電源制御方法について、図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による電源システム100及び電源装置1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、電源システム100は、例えば、自動二輪車などの車両に搭載されるシステムであり、電源装置1と、発電機2と、バッテリ3と、FI負荷部5と、負荷部(4、6)と、灯火器7とを備えている。
【0015】
電源装置1は、発電機2で発電した交流電力を半波整流して、バッテリ3を充電するとともに、負荷部4に直流電力を供給する。また、電源装置1は、ダイオード13を介して、FI負荷部5及び負荷部6が接続され、発電機2が発電した電力、又はバッテリ3の出力電力をFI負荷部5及び負荷部6に供給する。
【0016】
電源装置1は、入力端子T1と、バッテリ端子T2と、出力端子T3と、接地端子T4と、LA端子T5(ライトアノード端子)と、LK端子T6(ライトカソード端子)とを備えている。
【0017】
入力端子T1は、発電機2と接続される端子であり、発電機2が発電した交流信号が供給される。
バッテリ端子T2は、バッテリ3及び負荷部4が接続される端子であり、バッテリ3を充電する直流電力を供給するとともに、発電機2の停止時に、バッテリ3からの電力が共供給される。
【0018】
出力端子T3は、FI負荷部5及び負荷部6が接続される端子であり、FI負荷部5及び負荷部6に直流電力を供給する。
接地端子T4は、電源装置1の接地用の端子であり、例えば、グランド端子である。電源装置1は、接地端子T4を介して、自動二輪車などの車両のボディに接地される。
【0019】
LA端子T5及びLK端子T6は、灯火器7が接続される端子であり、LA端子T5が、灯火器7のアノード端子に接続され、LK端子T6が、灯火器7のカソード端子に接続される。
また、電源装置1は、サイリスタ11と、サイリスタ12と、ダイオード13と、コンデンサ14と、コンデンサ15と、異常検出部16と、制御部17とを備えている。電源装置1が備える各構成の詳細については後述する。
【0020】
発電機2は、例えば、単相磁石式交流発電機であり、回転子(不図示)の回転に応じて発電し、発電した電力に応じた交流信号を出力する。ここで、回転子は、例えば、自動二輪車の内燃機関(エンジン)の回転軸に接続されたクランクシャフトなどである。発電機2は、発電した電力に応じた交流信号を、電力供給線L1を介して、サイリスタ12に接続されている。なお、本実施形態において、交流信号のうちの負電圧(負側電圧)を第1極性の電圧とし、正電圧(正側電圧)を第1極性の電圧と反対極性の電圧である第2極性の電圧とする。
【0021】
バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池であり、+(プラス)電極(正極)が、サイリスタ12のカソード端子(バッテリ端子T2)に接続されており、-(マイナス)電極(負極)が、グランドに接続(接地)されている。バッテリ3は、電力供給線L1及びサイリスタ12を介して供給された発電機2の発電電力を充電するとともに、充電した電力を、ダイオード13を介して、FI負荷部5及び負荷部6に供給する。また、バッテリ3は、充電した電力を負荷部4に供給する。
【0022】
負荷部4は、バッテリ3に直接接続された負荷部である。
FI負荷部5は、例えば、自動二輪車の電装部品であり、ECU(Engine Control Unit)、フューエルポンプ、インジェクション、各種センサ類などである。FI負荷部5は、出力端子T3とグランドとの間に接続され、ダイオード13を介して、発電機2の発電電力又はバッテリ3の出力電力を供給されて動作し、電力を消費する。
負荷部6は、出力端子T3とグランドとの間に接続された負荷部であり、負荷部6には、ダイオード13を介して、発電機2の発電電力又はバッテリ3の出力電力が供給される。
【0023】
灯火器7は、例えば、車両用のLED(Light Emitting Diode)ライトである。灯火器7は、サイリスタ11がオン状態されると、電力供給線L1の交流信号が負側電圧であるタイミングで電流が流れて発光する。
【0024】
また、灯火器7は、直列に接続された発光ダイオード7Aと、発光ダイオード7Bとを備える。発光ダイオード7Aのアノード端子と、発光ダイオード7Bのカソード端子とが接続されて、発光ダイオード7Aと発光ダイオード7Bとが、直列に接続されている。また、発光ダイオード7Bのアノード端子が、LA端子T5に接続され、発光ダイオード7Aのカソード端子が、LK端子T6に接続されている。なお、発光ダイオード7A及び発光ダイオード7Bには、電流を制限するための抵抗(接地端子T4を中間ノードとしてコンデンサ14と直列に接続された抵抗)が接続されていてもよい。
【0025】
次に、電源装置1が備える各構成の詳細について説明する。
サイリスタ11(第1スイッチ素子の一例)は、アノード端子がLK端子T6であるノードN1に、カソード端子が電力供給線L1のノードN2に、ゲート端子(制御端子)が制御部17が出力する制御信号線(制御信号S1の信号線)に、それぞれ接続されている。
【0026】
サイリスタ11は、電源装置1の接地端子T4と発電機2の出力端子との間に接続され、少なくともカソード端子(出力端子)が発電機2の出力端子(電源装置1の入力端子T1)に接続された、交流信号の負側の信号を整流する。サイリスタ11は、制御部17が出力する制御信号S1によりオン状態(導通状態)になるか否かが制御される。サイリスタ11は、制御部17が出力する制御信号S1により、発電機2が出力する交流信号が負側電圧である場合に、オン状態に制御される。
【0027】
サイリスタ12(第2スイッチ素子の一例)は、発電機2が出力する交流信号を整流して充電電力としてバッテリ3に供給するシリコン制御整流子である。サイリスタ12は、アノード端子が電力供給線L1のノードN2に、カソード端子がノードN3(バッテリ端子T2)に、ゲート端子(制御端子)が制御部17が出力する制御信号線(制御信号S2の信号線)に、それぞれ接続されている。
【0028】
サイリスタ12は、アノード端子(入力端子)が発電機2の出力端子(電源装置1の入力端子T1)に接続され、カソード端子(出力端子)が負荷部(例えば、負荷部4など)に接続された、交流信号の正側の信号を整流する。サイリスタ12は、制御部17が出力する制御信号S2によって、オン状態にされることで、電力供給線L1の交流信号の正側電圧をバッテリ3の+電極に供給して、バッテリ3を充電するとともに、FI負荷部5に動作電力を供給する。
【0029】
ダイオード13は、アノード端子がノードN3に、カソード端子がノードN4(出力端子T3)にそれぞれ接続されており、FI負荷部5からの電流の逆流を防止する。
コンデンサ14(第1のコンデンサの一例)は、サイリスタ12のカソード端子(出力端子)と接地端子T4(グランド線L2)との間に接続され、FI負荷部5及び負荷部6に供給する直流電圧を平滑化する。
【0030】
コンデンサ15(第2のコンデンサの一例)は、サイリスタ11のアノード端子(入力端子、ノードN1)と接地端子T4(グランド線L2)との間に接続され、灯火器7に供給する直流電圧を平滑化する。コンデンサ15は、接地端子T4を中間ノードとしてコンデンサ14と直列に接続されている。
【0031】
異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが所定の閾値電圧以上(第1の閾値電圧以上)になった場合に、接地端子T4が未接地状態であると判定し、サイリスタ11をオフ状態にする。ここで、コンデンサ14の電圧Vcxとは、接地端子T4に対するノードN4の電圧であり、第1の閾値電圧は、例えば、閾値電圧Vth1である。異常検出部16は、ダイオード161と、ツェナーダイオード162と、抵抗163と、トランジスタ164とを備える。
【0032】
ダイオード161とツェナーダイオード162とは、互いに逆方向に直列に接続されている。ダイオード161は、アノード端子がノードN4に、カソード端子がツェナーダイオード162のカソード端子に、それぞれ接続されている。ダイオード161は、ノードN4における電圧であるコンデンサ14の電圧Vcxを検出する際に電流の逆流を防止する。
【0033】
ツェナーダイオード162は、アノード端子が抵抗163の第1端子に、カソード端子がダイオード161のカソード端子に、それぞれ接続されている。ツェナーダイオード162は、コンデンサ14の電圧Vcx(接地端子T4に対するノードN4の電圧)が、上述した閾値電圧Vth1以上になった場合に、オン状態になるように調整されている。すなわち、ツェナーダイオード162は、コンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上(所定の閾値電圧以上)になった場合に、オン状態になる。
【0034】
抵抗163は、第1端子がツェナーダイオード162のアノード端子に、第2端子がトランジスタ164のベース端子に、それぞれ接続されている。抵抗163は、トランジスタ164のベース端子への電流(ベース電流)を制限する。
【0035】
トランジスタ164は、例えば、NPN型バイポーラトランジスタであり、コレクタ端子が接地端子T4(グランド線L2)に、ベース端子が抵抗163の第2端子に、エミッタ端子が後述する制御部17のノードN5に、それぞれ接続されている。コンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上になった場合に、ツェナーダイオード162の導通により、ベース電流が流れ(ベース端子がHigh(ハイ)状態になり)、トランジスタ164は、オン状態になる。その結果、後述するトランジスタ174がオフ状態に固定され、異常検出部16は、サイリスタ11をオフ状態にする。すなわち、異常検出部16は、ツェナーダイオード162がオン状態になった場合に、サイリスタ11をオフ状態にする。
【0036】
制御部17は、交流信号の正負の切り替えに応じて、サイリスタ11及びサイリスタ12の導通制御を行う。制御部17は、サイリスタ11の導通を制御する制御信号S1を出力するとともに、サイリスタ12の導通を制御する制御信号S2を出力する.制御部17は、交流信号の負側の電圧の期間に、制御信号S1を、例えば、サイリスタ11をオン状態にする信号状態にする。また、制御部17は、交流信号の正側の電圧の期間に、制御信号S2を、例えば、サイリスタ12をオン状態にする信号状態にする。
制御部17は、バッテリ制御部171と、ダイオード(172、176)と、抵抗(173、175)と、トランジスタ174とを備える。
【0037】
バッテリ制御部171は、サイリスタの導通制御を行うことで、バッテリ3の充放電を制御するとともに、負荷部4、FI負荷部5、及び負荷部6への直流電力の供給を制御する。バッテリ制御部171は、交流信号の負側の電圧の期間(電力供給線L1(ノードN2)が、負側電圧)である場合、又は、例えば、コンデンサ14の電圧Vcx(ノードN4の電圧)が、閾値電圧Vth2以上である場合に、制御信号S2をLow(ロウ)状態(サイリスタ12をオフ状態にする状態)にする。すなわち、制御部17は、コンデンサ14の電圧Vcxが、の閾値電圧Vth2以上になった場合に、サイリスタ12をオフ状態にする。
【0038】
また、バッテリ制御部171は、交流信号の正側の電圧の期間(電力供給線L1(ノードN2)が、正側電圧)である場合、且つ、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth2未満である場合に、制御信号S2をハイ状態(サイリスタ12をオン状態にする状態)にする。ここで、閾値電圧Vth2は、上述した閾値電圧Vth1より小さい電圧であり、バッテリ3への充電及びFI負荷部5等への電力供給を停止する閾値電圧である。
【0039】
ダイオード172は、アノード端子が抵抗173の第1端子に、カソード端子がノードN2に、それぞれ接続されている。ダイオード172は、交流信号の負側の電圧の期間(電力供給線L1(ノードN2)が、負側電圧)である場合にオン状態になり、交流信号の正側の電圧の期間(電力供給線L1(ノードN2)が、正側電圧)である場合に、オフ状態になって、交流信号の正側電圧の逆流を防止する。
【0040】
抵抗173は、第1端子がダイオード172のアノード端子に、第2端子がトランジスタ174のベース端子にそれぞれ接続されている。抵抗173は、トランジスタ174のベース端子への電流(ベース電流)を制限する。
【0041】
トランジスタ174は、例えば、PNP型バイポーラトランジスタであり、エミッタ端子が接地端子T4(グランド線L2)に、ベース端子が抵抗173の第2端子(ノードN5)に、コレクタ端子が抵抗175の第1端子に、それぞれ接続されている。ダイオード172がオン状態になった場合(ノードN2が負側電圧の期間)、且つ、上述したトランジスタ174がオフ状態の場合に、トランジスタ174は、オン状態になる。この場合、ベース端子がロウ状態になるため、トランジスタ174は、オン状態になる。
【0042】
また、ダイオード172がオフ状態になった場合(ノードN2が正側電圧の期間)、又は、上述したトランジスタ174がオン状態の場合に、トランジスタ174は、オフ状態になる。この場合、ベース端子がハイ状態になるため、トランジスタ174は、オフ状態になる。
【0043】
抵抗175は、第1端子がトランジスタ174のコレクタ端子に、第2端子がダイオード176のアノード端子に、それぞれ接続されている。抵抗175は、制御信号S2の電流を制限する。
【0044】
ダイオード176は、アノード端子が抵抗175の第2端子に、カソード端子がサイリスタ11の制御端子に、それぞれ接続されている。ダイオード176は、サイリスタ11の制御信号S1を出力する。ダイオード176は、トランジスタ174がオン状態の場合に、制御信号S2をハイ状態(サイリスタ11をオン状態にする状態)にする。また、ダイオード176は、トランジスタ174がオフ状態の場合に、制御信号S2をロウ状態(サイリスタ11をオフ状態にする状態)にする。
【0045】
次に、図面を参照して、本実施形態による電源システム100及び電源装置1の動作について説明する。
図2は、本実施形態における電源制御処理の一例を示す第1のフローチャートである。図2では、制御部17によるサイリスタ12の制御処理について説明する。
【0046】
図2に示すように、制御部17は、まず、発電交流信号が、正側であるか否かを判定する(ステップS101)。制御部17のバッテリ制御部171は、ノードN2の電圧に基づいて、発電機2が出力した交流信号が正側電圧の期間であるか否かを判定する。制御部17は、発電交流信号が、正側である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、制御部17は、発電交流信号が、正側でない(負側である)場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS104に進める。
【0047】
ステップS102において、バッテリ制御部171は、コンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth2以上であるか否かを判定する。バッテリ制御部171は、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth2以上である場合(ステップS102:YES)に、処理をステップS104に進める。また、バッテリ制御部171は、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth2未満である場合(ステップS102:NO)に、処理をステップS103に進める。
【0048】
ステップS103において、バッテリ制御部171は、制御信号S2をオン状態にする。すなわち、バッテリ制御部171は、制御信号S2をハイ状態にして、サイリスタ12をオン状態にさせる。ステップS103の処理後に、バッテリ制御部171は、処理をステップS101に戻す。
【0049】
また、ステップS104において、バッテリ制御部171は、制御信号S2をオフ状態にする。すなわち、バッテリ制御部171は、制御信号S2をロウ状態にして、サイリスタ12をオフ状態にさせる。ステップS104の処理後に、バッテリ制御部171は、処理をステップS101に戻す。
【0050】
また、図3は、本実施形態における電源制御処理の一例を示す第2のフローチャートである。図3では、制御部17によるサイリスタ11の制御処理について説明する。
【0051】
図3に示すように、制御部17は、まず、発電交流信号が、負側であるか否かを判定する(ステップS201)。制御部17は、ノードN2の電圧が負側電圧になり、ダイオード172がオン状態になることで、発電交流信号が負側である(ノードN2の電圧が負側電圧である)場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、制御部17は、発電交流信号が負側でない(ノードN2の電圧が正側電圧である)場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS204に進める。
【0052】
ステップS202において、異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上であるか否かを判定する。異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth1以上である場合(ステップS202:YES)に、処理をステップS204に進める。また、異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth1未満である場合(ステップS202:NO)に、処理をステップS203に進める。
【0053】
ステップS203において、制御部17は、制御信号S1をオン状態にする。すなわち、制御部17は、制御信号S1をハイ状態にして、サイリスタ11をオン状態にさせる。ステップS203の処理後に、制御部17は、処理をステップS201に戻す。
【0054】
また、ステップS204において、制御部17は、制御信号S1をオフ状態にする。すなわち、制御部17は、制御信号S1をロウ状態にして、サイリスタ11をオフ状態にさせる。ステップS204の処理後に、制御部17は、処理をステップS201に戻す。
【0055】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態による電源装置1の接地端子T4が未接地状態になった場合の動作について説明する。
図4は、本実施形態による電源装置1の接地端子T4が未接地状態になった場合の動作の一例を説明する図である。
【0056】
図4において、接地端子T4が未接地状態になると、発電機2が出力する交流信号が負側の期間では、負荷部4及び負荷部6に接続されたグランドから経路RT1により、発電機2に向かって電流が流れる。この電流により、コンデンサ14が充電され、接地端子T4を基準としたコンデンサ14の電圧Vcxは、発電電圧に応じた高電圧になる。
【0057】
例えば、本実施形態の異常検出部を備えていない従来技術の電源装置では、電圧Vcxがコンデンサ14などの部品の耐圧以上に上昇して、部品が破損するなどが考えられる。また、コンデンサ14の電圧Vcx(ノードN4の電圧)が上昇するため、バッテリ制御部171により、サイリスタ12がオフ状態に固定され、バッテリ3が充電されない状態になる。このように、接地端子T4が未接地状態になると、従来技術の電源装置では、動作異常が発生する場合があった。
【0058】
これに対して、本実施形態による電源装置1では、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth1以上になると、ツェナーダイオード162がオン状態になり、トランジスタ164をオン状態にすることで、異常検出部16が、サイリスタ11を強制的にオフ状態にする。ここで、図5を参照して、接地端子T4が未接地状態である場合における異常検出部16及び制御部17の動作の詳細について説明する。
【0059】
図5は、本実施形態における接地端子T4が未接地状態になった場合の異常検出部16及び制御部17の動作の一例を説明するタイミングチャートである。
図5において、各グラフは、上から順に、(a)交流信号の状態、(b)コンデンサ電圧Vcxの変化、並びに(c)異常検出部16及び制御部17の内部状態を示している。また、図5(b)の波形W1は、コンデンサ電圧Vcxの波形を示し、図5(c)の波形W2は、トランジスタ164の状態を示している。また、図5(c)の波形W3は、トランジスタ174の状態を示し、波形W4は、制御信号S1の状態を示している。また、各グラフの横軸は、時間を示している。ここでのコンデンサ電圧Vcxとは、コンデンサ14の電圧Vcxのことである。
【0060】
発電交流信号が負側の期間において、制御部17では、ダイオード172がオン状態になることで、ノードN5がロウ状態になり、トランジスタ174がオン状態になる。これにより、制御部17は、ダイオード176を介して、制御信号S1をオン状態にして、サイリスタ11をオン状態にする。接地端子T4が未接地状態になった場合に、この状態で、上述した図4の経路RT1により電流が流れるため、コンデンサ電圧Vcxは、上昇する(波形W1参照)。
【0061】
時刻t1において、コンデンサ電圧Vcxが閾値電圧Vth1に達すると、異常検出部16のツェナーダイオード162がオン状態になり、トランジスタ164をオン状態にする(波形W2参照)。これにより、ノードN5が、接地端子T4と同電位になるため、制御部17のトランジスタ174がオフ状態になる(波形W3参照)。
【0062】
また、制御部17のトランジスタ174がオフ状態になるため、制御部17は、制御信号S1がオフ状態にして、サイリスタ11をオフ状態にする。これにより、発電交流信号が負側の期間において、コンデンサ電圧Vcxの上昇を停止させる。
【0063】
次に、時刻t2において、発電交流信号が正側の期間になると、負荷部4、FI負荷部5、及び負荷部6による電力の消費により、コンデンサ電圧Vcxは、低下する。コンデンサ電圧Vcxが閾値電圧Vth2以下になると、制御部17のバッテリ制御部171は、発電交流信号が正側の期間において、制御信号S2をオン状態にして、サイリスタ12をオン状態にする。これにより、バッテリ3を充電することが可能になる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、発電機2が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部(4、6)に直流電圧を供給する電源装置であって、サイリスタ11(第1スイッチ素子)と、サイリスタ12(第2スイッチ素子)と、制御部17と、異常検出部16とを備える。サイリスタ11は、電源装置1の接地端子T4と発電機2の出力端子(入力端子T1)との間に接続され、少なくとも出力端子(カソード端子)が発電機2の出力端子(入力端子T1)に接続された、交流信号の負側の信号を整流する。サイリスタ12は、入力端子(アノード端子)が発電機2の出力端子(入力端子T1)に接続され、出力端子(カソード端子)が負荷部(4、6)に接続された、交流信号の正側の信号を整流する。コンデンサ14は、サイリスタ12の出力端子(カソード端子)と接地端子T4との間に接続されている。制御部17は、交流信号の正負の切り替えに応じて、サイリスタ11及びサイリスタ12の導通制御を行う。異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが所定の閾値電圧以上(閾値電圧Vth1以上)になった場合に、接地端子T4が未接地状態であると判定し、サイリスタ11をオフ状態にする。
【0065】
これにより、本実施形態による電源装置1は、接地端子T4が未接地状態であることによるコンデンサ14への充電を停止できるため、接地された負荷部(4、6)を介して、コンデンサ14に異常電圧が充電されて、動作異常が発生することを予防することができる。ここで、動作異常とは、例えば、サイリスタ12がオフ状態になり、バッテリ3が充電されなくなる、或いは、異常電圧により耐圧仕様以上の電圧がかかり、コンデンサ14などの部品が破損するなどである。
【0066】
また、本実施形態では、所定の閾値電圧が閾値電圧Vth1(第1の閾値電圧)である。制御部17は、コンデンサ14の電圧Vcxが、閾値電圧Vth1よりも低い閾値電圧Vth2以上(第2の閾値電圧以上)になった場合に、サイリスタ12をオフ状態にする。
【0067】
これにより、本実施形態による電源装置1は、サイリスタ12の制御に影響を与えずに、閾値電圧Vth1により、接地端子T4が未接地状態であることを判定して、適切にサイリスタ11をオフ状態にすることができる。
【0068】
また、本実施形態では、異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上(所定の閾値電圧以上)になった場合に、オン状態になるツェナーダイオード162を備える。異常検出部16は、ツェナーダイオード162がオン状態になった場合に、サイリスタ11をオフ状態にする。
【0069】
これにより、本実施形態による電源装置1は、ツェナーダイオード162によりコンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上になったことを簡単に検出できるため、簡易な構成により、コンデンサ14に異常電圧が充電されることを防止することができる。
【0070】
また、本実施形態では、コンデンサ14が第1のコンデンサであり、電源装置1は、サイリスタ11の入力端(アノード端子)と接地端子T4との間に接続され、接地端子T4を中間ノードとしてコンデンサ14(第1のコンデンサ)と直列に接続されたコンデンサ15(第2のコンデンサ)、又は抵抗を備える。
これにより、本実施形態による電源装置1は、サイリスタ11により整流した交流信号の負側の電圧を、例えば、灯火器7などの電源として、有効利用することができる。
【0071】
また、本実施形態による電源制御方法は、発電機2が出力した交流信号を直流電圧に変換し、接地された負荷部(4、6)に直流電圧を供給する電源装置1であって、電源装置1の接地端子T4と発電機2の出力端子(入力端子T1)との間に接続され、少なくとも出力端子(カソード端子)が発電機2の出力端子(入力端子T1)に接続された、交流信号の負側の信号を整流するサイリスタ11と、入力端子(アノード端子)が発電機2の出力端子(入力端子T1)に接続され、出力端子(カソード端子)が負荷部(4、6)に接続された、交流信号の正側の信号を整流するサイリスタ12と、サイリスタ12の出力端子(カソード端子)と接地端子T4との間に接続されたコンデンサ14とを備える電源装置1の電源制御方法であって、制御ステップと、異常検出ステップとを含む。制御ステップにおいて、制御部17が、交流信号の正負の切り替えに応じて、サイリスタ11及びサイリスタ12の導通制御を行う。異常検出ステップにおいて、異常検出部16が、接地端子T4を基準にしたコンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上(所定の閾値電圧以上)になった場合に、接地端子T4が未接地状態であると判定し、サイリスタ11をオフ状態にする。
これにより、本実施形態による電源制御方法は、上述した電源装置1と同様の効果を奏し、接地された負荷部(4、6)を介して、コンデンサ14に異常電圧が充電されて、動作異常が発生することを予防することができる。
【0072】
[第2の実施形態]
次に、図6を参照して、第2の実施形態による電源システム100a及び電源装置1aについて説明する。
図6は、第2の実施形態による電源システム100a及び電源装置1aの一例を示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、電源システム100aは、例えば、自動二輪車などの車両に搭載されるシステムであり、電源装置1aと、発電機2と、バッテリ3と、FI負荷部5と、負荷部(4、6)と、灯火器7とを備えている。
なお、図6において、図1と同一の構成には同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0074】
電源装置1aは、発電機2で発電した交流電力を半波整流して、バッテリ3を充電するとともに、負荷部4に直流電力を供給する。また、電源装置1aは、FI負荷部5及び負荷部(4、6)が接続され、発電機2が発電した電力、又はバッテリ3の出力電力をFI負荷部5及び負荷部(4、6)に供給する。
【0075】
電源装置1aは、入力端子T1と、バッテリ端子T2と、接地端子T4と、LA端子T5と、LK端子T6とを備えている。本実施形態では。電源装置1aが出力端子T3を備えていない点が、第1の実施形態とは異なる。そのため、バッテリ端子T2には、バッテリ3及び負荷部4と、FI負荷部5及び負荷部6とが接続されている。
【0076】
また、電源装置1aは、サイリスタ11と、サイリスタ12と、コンデンサ14と、コンデンサ15と、異常検出部16と、制御部17とを備えている。本実施形態では。電源装置1aがダイオード13を備えていない点が、第1の実施形態とは異なる。そのため、サイリスタ12のカソード端子(ノードN3)と、コンデンサ14の一端(ノードN4)とが直接接続されている。
【0077】
このように、本実施形態による電源装置1aは、ダイオード13を備えずに、コンデンサ14は、サイリスタ12の出力端子(カソード端子)と接地端子T4との間に接続されている。その他の構成は、第1の実施形態による電源装置1と同様である。
【0078】
また、本実施形態による電源装置1aの動作は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1aは、第1の実施形態による電源装置と同様に、サイリスタ11と、サイリスタ12と、コンデンサ14と、異常検出部16と、制御部17とを備える。
【0080】
これにより、本実施形態による電源装置1aは、第1の実施形態による電源装置1と同様の効果を奏し、接地された負荷部(4、6)を介して、コンデンサ14に異常電圧が充電されて、動作異常が発生することを予防することができる。
【0081】
[第3の実施形態]
次に、図7を参照して、第3の実施形態による電源システム100b及び電源装置1bについて説明する。
図7は、第3の実施形態による電源システム100b及び電源装置1bの一例を示すブロック図である。
【0082】
図7に示すように、電源システム100bは、例えば、自動二輪車などの車両に搭載されるシステムであり、電源装置1bと、発電機2と、バッテリ3と、FI負荷部5と、負荷部(4、6)と、灯火器7とを備えている。
なお、図7において、図1と同一の構成には同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0083】
電源装置1bは、入力端子T1と、バッテリ端子T2と、出力端子T3と、接地端子T4と、LA端子T5と、LK端子T6とを備えている。
また、電源装置1bは、サイリスタ11と、サイリスタ12と、ダイオード13と、コンデンサ14と、コンデンサ15と、異常検出部16と、制御部17と、コンデンサ18とを備えている。
【0084】
本実施形態では、電源装置1bがコンデンサ18を備えている点が、第1の実施形態とは異なる。
コンデンサ18は、サイリスタ12の出力端子(カソード端子)と接地端子T4との間に接続されている。コンデンサ18は、第1端子がサイリスタ12のカソード端子(ノードN3)に、第2端子が接地端子T4に、それぞれ接続されている。
【0085】
本実施形態において、コンデンサ14及びコンデンサ18は、いずれもサイリスタ12の出力端子(カソード端子)と接地端子T4との間に接続されている第1のコンデンサに相当する。
【0086】
また、本実施形態による電源装置1bの動作は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1bは、サイリスタ11と、サイリスタ12と、コンデンサ14と、異常検出部16と、制御部17と、コンデンサ18とを備える。コンデンサ18は、サイリスタ12の出力端子(カソード端子)と接地端子T4との間に接続されている。
【0088】
これにより、本実施形態による電源装置1bは、第1の実施形態による電源装置1と同様の効果を奏し、接地された負荷部(4、6)を介して、コンデンサ14及びコンデンサ18に異常電圧が充電されて、動作異常が発生することを予防することができる。
【0089】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、スイッチ素子が、サイリスタ11及びサイリスタ12である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、他のシリコン制御整流子などの他のスイッチ素子であってもよい。
【0090】
また、上記の各実施形態において、異常検出部16及び制御部17の構成は、図1に示す回路に限定されるものではなく、他の構成(回路)であってもよい。
例えば、異常検出部16及び制御部17は、CPU(中央処理装置)を備え、CPUにプログラムを実行させるソフト処理により実現させてもよい。
【0091】
また、上記の第3の実施形態において、異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxが閾値電圧Vth1以上になった場合に、接地端子T4が未接地状態であると判定し、サイリスタ11をオフ状態にする例を説明したが、これに限定されるものではない。異常検出部16は、コンデンサ14の電圧Vcxの代わりに、コンデンサ18の電圧(接地端子T4を基準にしたノードN3の電圧)が、閾値電圧Vth1以上になった場合に、接地端子T4が未接地状態であると判定し、サイリスタ11をオフ状態にするようにしてもよい。
【0092】
なお、上述の異常検出部16及び制御部17は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した異常検出部16及び制御部17の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1、1a、1b 電源装置
2 発電機
3 バッテリ
4、6 負荷部
5 FI負荷部
7 灯火器
7A、7B 発光ダイオード
11、12 サイリスタ
13、161、172、176 ダイオード
14、15、18 コンデンサ
16 異常検出部
17 制御部
100、100a、100b 電源システム
162 ツェナーダイオード
163、173、175 抵抗
164、174 トランジスタ
171 バッテリ制御部
T1 入力端子
T2 バッテリ端子
T3 出力端子
T4 接地端子
T5 LA端子
T6 LK端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7