IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 清水建設株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135579
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】構造物の構築方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20220908BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20220908BHJP
   E04B 1/35 20060101ALI20220908BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220908BHJP
【FI】
B28B1/30
E04G21/02 103Z
E04B1/35 L
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035491
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】小倉 大季
(72)【発明者】
【氏名】磯田 和彦
【テーマコード(参考)】
2E172
4G052
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172AA06
2E172CA31
2E172DC08
4G052DA01
4G052DB12
4G052DC06
(57)【要約】
【課題】付加製造装置を用いて芸術性の高い構造物を製造できる構造物の構築方法を提供する。
【解決手段】構造物の構築方法は、付加製造部10から水硬性混合物31を吐出して構造物3を構築する構造物構築工程と、仕上げ加工部20によって、水硬性混合物31が凝結する前に、構造物3の表面3fに凹凸の加工をする仕上げ加工工程と、を備え、仕上げ加工部20は、構造物3の表面3fに、第一種類の凹凸の加工をする第一加工部24と、構造物3の表面3fに、第一種類とは異なる第二種類の凹凸の加工をする第二加工部29と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造装置の付加製造部から水硬性混合物を吐出して構造物を構築する構造物構築工程と、
仕上げ加工部によって、前記水硬性混合物が凝結する前に、前記構造物の表面に凹凸を形成する加工をする仕上げ加工工程と、を備える構造物の構築方法。
【請求項2】
前記仕上げ加工部は、
前記構造物の表面に、第一種類の凹凸を形成する加工をする第一加工部と、
前記構造物の表面に、前記第一種類とは異なる第二種類の凹凸を形成する加工をする第二加工部と、を有する請求項1に記載の構造物の構築方法。
【請求項3】
前記仕上げ加工部は、前記付加製造部に接続されている請求項1または2に記載の構造物の構築方法。
【請求項4】
前記仕上げ加工部は、前記付加製造部とは別に設けられている請求項1または2に記載の構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、壁や柱の表面に立体的な凹凸をつけた芸術性の高い外層仕上げが知られている。
【0003】
一方、近年では、付加製造装置等を用いて、セメント系材料のコンクリート部材を所定箇所に押し出して、構造物を構築する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4527107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の付加製造装置では、コンクリート部材を積層することはできるものの、表面を所望の形状に加工して芸術性の高い構造物を製造できないという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、付加製造装置を用いて芸術性の高い構造物を製造できる構造物の構築方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る構造物の構築方法は、付加製造装置の付加製造部から水硬性混合物を吐出して構造物を構築する構造物構築工程と、仕上げ加工部によって、前記水硬性混合物が凝結する前に、前記構造物の表面に凹凸を形成する加工をする仕上げ加工工程と、を備える。
【0008】
このように構成された構造物の構築方法では、付加製造装置の付加製造部から水硬性混合物を吐出して構造物を構築する。水硬性混合物が凝結する前に、仕上げ加工部によって、構造物の表面に凹凸を形成する加工をする。よって、構造物の表面に凹凸を形成して立体装飾仕上げとすることで、単に水硬性混合物を積層または吹き付けだけではできない、複雑で精緻な芸術性の高い構造物を構築することができる。なお、「水硬性混合物」とは、種々のセメント系材料(例えば、セメントペースト、モルタル、コンクリートなど)、およびジオポリマー組成物などを含む材料のことである。
【0009】
また、本発明に係る構造物の構築方法では、前記仕上げ加工部は、前記構造物の表面に、第一種類の凹凸を形成する加工をする第一加工部と、前記構造物の表面に、前記第一種類とは異なる第二種類の凹凸を形成する加工をする第二加工部と、を有していてもよい。
【0010】
このように構成された構造物の構築方法では、第一加工部によって、構造物の表面には、第一種類の凹凸が形成される。第二加工部によって、構造物の表面には、第一種類とは異なる第二種類の凹凸が形成される。よって、構造物の表面には、第一種類の加工及び第二種類の加工が施されるため、より一層芸術性の高い構造物を構築することができる。
【0011】
また、本発明に係る構造物の構築方法は、前記仕上げ加工部は、前記付加製造部に接続されていてもよい。
【0012】
このように構成された構造物の構築方法では、仕上げ加工部は、付加製造部に接続されている。よって、仕上げ加工部と付加製造部とを連動して操作することができる。
【0013】
また、本発明に係る構造物の構築方法は、前記仕上げ加工部は、前記付加製造部とは別に設けられていてもよい。
【0014】
このように構成された構造物の構築方法では、仕上げ加工部は、付加製造部とは別に設けられている。よって、仕上げ加工部を備えた装置と付加製造部を備えた付加製造装置とを別々にすることで、各装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る構造物の構築方法によれば、付加製造装置を用いて芸術性の高い構造物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る構造物の構築方法を示す正面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る構造物の構築方法を示す斜視図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る構造物の構築方法を示す正面図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る構造物の構築方法を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図6】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図7】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図8】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図9】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図10】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図11】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図12】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図13】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図14】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図15】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図16】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図17】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図18】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図19】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図20】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図21】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図22】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図23】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図24】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図25】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図26】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図27】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図28】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図29】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図30】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図31】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図32】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法による表面仕上げの一例である。
図33】本発明の一実施形態に係る構造物の構築方法の一部を利用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る構造物の構築方法について、図面を用いて説明する。本実施形態では、壁や柱等のコンクリート構造物の表面に凹凸を形成する加工をする場合の説明を行う。構造物の構築方法は、構造物構築工程と、仕上げ加工工程と、を備えている。
【0018】
図1に示すように、付加製造装置1を用いる。付加製造装置1は、付加製造部10と、仕上げ加工部20と、を有している。
【0019】
付加製造部10は、ノズル11と、リフター部12と、自走部13と、ホース14と、を有している。リフター部12は、ノズル11及びノズル11に未硬化(未凝結)状態のコンクリート流動体(水硬性混合物)31を供給するホース14を支持し、ノズル11を所定の高さまで昇降させる。自走部13は、リフター部12と連結されている。自走部13は、所定の箇所を自走し、リフター部12と連動してノズル11を移動させる。ノズル11からコンクリート流動体31が吐出される。コンクリート流動体31はノズル11から、押し出されるように吐出される。付加製造部10の構成は、特に限定されない。付加製造部10は、遠隔操作可能であってもよい。
【0020】
水硬性混合物の一例のコンクリート流動体31は、種々のセメント系材料(例えば、セメントペースト、モルタル、コンクリートなど)、およびジオポリマー組成物などを含む材料のことである。また、水硬性混合物は、漆喰であってもよい。
【0021】
仕上げ加工部20は、第一加工手段21と、第二加工手段26と、を有している。
【0022】
図2に示すように、第一加工手段21は、第一接続部22と、第一アーム部23と、第一加工部24と、を有している。第一接続部22は、リフター部12に接続されている。なお、第一接続部22は、付加製造部10のリフター部12以外の一部に接続されていてもよい。第一アーム部23は、第一接続部22から延びている。第一アーム部23は、複数の第一アーム部材23aどうしが第一節部23bを介して変形自在に接続されている。第一加工部24は、第一アーム部23の先端部に設けられている。第一加工部24は、コンクリート流動体31(構造物3)の表面3fをならす(第一種類の凹凸を形成する加工する)ことが可能なブラシやガイド板であり、表面3fに大まかな加工を施す。
【0023】
第二加工手段26は、第二接続部27と、第二アーム部28と、第二加工部29と、を有している。第二接続部27は、リフター部12に接続されている。なお、第二接続部27は、付加製造部10のリフター部12以外の一部に接続されていてもよい。第二アーム部28は、第二接続部27から延びている。第二アーム部28は、複数の第二アーム部材28aどうしが第二節部28bを介して変形自在に接続されている。第二加工部29は、第二アーム部28の先端部に設けられている。第二加工部29は、コンクリート流動体31(構造物3)の表面3fからコンクリート流動体31を削ったり盛ったりする(第二種類の凹凸を形成する加工する)ことが可能なヘラであり、表面3fに細かい加工を施す。
【0024】
第一加工手段21及び第二加工手段26は、付加製造部10のリフター部12と連動して移動可能である。仕上げ加工部20は、不図示の学習部を備えていて、AI(artificial intelligence:人工知能)を用いた学習が可能であり、芸術性の高い立体装飾仕上げが可能であってもよい。
【0025】
構造物構築工程では、付加製造部10のノズル11からコンクリート流動体31を吐出して、下方から上方に積層することによって、所定の形状の構造物3を構築する。なお、ノズル11からコンクリート流動体31を吹き付ける(噴出する)ように吐出して、所定の形状の構造物3を構築する構成でもよい。このとき吹き付けられる対象物は水平面でも鉛直面でも勾配を持った面でも構わない。
【0026】
仕上げ加工工程では、仕上げ加工部20の第一加工部24及び第二加工部29によって、コンクリート流動体31が凝結する前に、構造物3の表面3fに凹凸を形成する加工をする。まず、構造物3の表面3fに対して第一加工手段21がアクセスして、第一加工部24によって、表面3fが大まかな形状にならされた中間仕上げ面3aを形成する。第一加工部24によってならされた中間仕上げ面3aに対して第二加工手段26がアクセスして、第二加工部29によって、中間仕上げ面3aからコンクリート流動体31を削ったり盛ったりされた最終仕上げ面3bを形成する。なお、表面3fの一部に第一加工部24によって表面3fがならされた中間仕上げ面3aを形成し、表面3fの他の部分に第二加工部29によって表面3fからコンクリート流動体31を削ったり盛ったりされた最終仕上げ面3bを形成するようにして、最終的に、構造物3の表面3fに中間仕上げ面3a及び最終仕上げ面3bが併存する構成であってもよい。なお、コンクリート流動体31が凝結する前とは、JISA1147:2019 コンクリートの凝結時間試験方法における貫入抵抗試験装置で測定した貫入抵抗値が8N/mm以下の状態である。
【0027】
このように構成された構造物の構築方法では、付加製造装置1の付加製造部10からコンクリート流動体31を吐出して構造物3を構築する。コンクリート流動体31が凝結する前に、仕上げ加工部20によって、構造物3の表面3fに凹凸を形成する加工をする。よって、構造物3の表面3fに凹凸を形成して立体装飾仕上げとすることで、単にコンクリート流動体31を積層または吹き付けだけではできない、複雑で精緻な芸術性の高い構造物3を構築することができる。
【0028】
また、第一加工部24によって、構造物3の表面3fはならされて中間仕上げ面3aが形成される。第二加工部29によって、構造物3の表面3fからコンクリート流動体31を削ったり盛ったりされて最終仕上げ面3bが形成される。よって、構造物3の表面3fは、ならされた加工及びコンクリート流動体31を削ったり盛ったりされた加工が施されるため、より一層芸術性の高い構造物3を構築することができる。
【0029】
また、仕上げ加工部20は、付加製造部10に接続されている。よって、仕上げ加工部20と付加製造部10とを連動して操作することができる。
【0030】
また、構造物3の表面3fの立体装飾仕上げは、構造物3と一体化した材料で構築されるため、構造物3の表面3fにレリーフパネルを後付けで設置したもののように剥落するおそれがなく、耐久性及び耐候性に優れたものとなる。
【0031】
また、構造物3の大きな表面3fであっても仕上げ面を継ぎ目なく製作できるため、芸術性に優れている。
【0032】
(第二実施形態)
次に、本発明第二実施形態に係る構造物の構築方法について、主に図3及び図4を用いて説明する。なお、下記に示す実施形態において、第一実施形態と略同一の構成の箇所については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、本実施形態では、付加製造システム1Aを用いる。付加製造システム1Aは、付加製造装置10Aと、仕上げ加工装置20Aと、を有している。本実施形態では、付加製造装置10Aと仕上げ加工装置20Aとが接続されておらず、別々に設けられている(独立している)。
【0034】
付加製造装置10Aは、付加製造部10を有している。つまり、付加製造装置10Aは、ノズル11と、リフター部12と、自走部13と、ホース14と、を有している。
【0035】
仕上げ加工装置20Aは、リフター部41と、自走部42と、仕上げ加工部20と、を有している。つまり、仕上げ加工装置20Aは、リフター部41と、自走部42と、第一加工手段21と、第二加工手段26と、を有している。
【0036】
自走部42は、所定の箇所を自走可能である。リフター部41は、自走部42に連結されている。図4に示すように、第一加工手段21及び第二加工手段26は、付加製造装置10Aのリフター部41の先端部に設けられている。リフター部41は、第一加工手段21の第一加工部24及び第二加工手段26の第二加工部29を移動させる。仕上げ加工装置20Aは、遠隔操作可能であってもよい。
【0037】
このように構成された構造物の構築方法では、付加製造装置10Aの付加製造部10からコンクリート流動体31を吐出して構造物3を構築する。コンクリート流動体31が凝結する前に、仕上げ加工部20によって、構造物3の表面3fに凹凸を形成する加工をする。よって、構造物3の表面3fに凹凸を形成して立体装飾仕上げとすることで、単にコンクリート流動体31を積層または吹き付けだけではできない、複雑で精緻な芸術性の高い構造物3を構築することができる。
【0038】
また、仕上げ加工部20は、付加製造部10とは別に設けられている。よって、仕上げ加工部20を備えた仕上げ加工装置20Aと付加製造部10を備えた付加製造装置10Aとを別々にすることで、仕上げ加工装置20A及び付加製造装置10Aをそれぞれ小型化することができる。特に仕上げ加工装置20Aは、コンクリート流動体31を供給せずにブラシやヘラといった軽量の道具をもつだけの構成であるため、小型軽量な産業用ロボットを採用することもできる。
【0039】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、第一加工部24及び第二加工部29は、ブラシやヘラ以外にも、コンクリート流動体31の表面3fに凹凸を形成する加工ができるものであれば適宜採用可能である。例えば、コテでコンクリート流動体31の表面3fを平滑にした後に、第二加工部で凹凸を形成する加工をする構成であってもよい。
【0041】
また、上記に示す本実施形態では、仕上げ加工部20は第一加工部24及び第二加工部29の二種類の加工部を備えているが、三種類以上の加工手段を備えていてもよい。加工部の数が多ければ、凹凸を形成する多くの加工作業を並行して行うことができる、作業性が良い。また、構造物3の表面3f及び裏面(表面3fと反対側の面)等の複数の面の加工作業を行うこともできる。一方、ヘラをもつ加工部が1つだけで全ての加工作業をするようにしてもよい。また、付加製造装置1で造形した構造物3の表面3fに対して、追加で水硬性混合物を吹き付けて、より立体的な凸凹を形成してもよい。
【0042】
また、構造物3の表面3fを保護し劣化を防止するためにコーティングを施してもよい。耐久性、耐候性及び光触媒など防汚性を高めるコーティングを併用してもよい。また、構造物3の表面3fを着色しても、顔料を混ぜて着色したカラーのコンクリート流動体を用いてもよい。
【0043】
また、コンクリート流動体31が凝結する前に、小型ロボットでLEDランプ等の照明器具を所定の位置に埋設することも可能である。例えば、立体装飾で描かれた目に照明器具を組み込んで光らせるとかも可能である。
【0044】
また、光造形や金属3Dプリンタと組合せて、コンクリート流動体31が凝結する前にコンクリート流動体31の中に造形物を貫入させ異種仕上材料を一体化することも可能である。これによって、光沢のある部分を構成することもできる。
【0045】
また、3Dスキャナーと組み合わせれば、任意の形状を立体的に模写復元することが可能となる。
【0046】
また、図33に示すように、仕上げ加工工程と並行して、構造物3の表面3fにタイル4を設置する表面材設置工程を行ってもよい。つまり、構造物3の表面3fのうち一部には凹凸が形成され、構造物3の表面3fのうち他の部分にはタイル4が設置される。なお、構造物3の表面3fに設置されるものは、タイル4以外にも太陽光パネルや照明パネル等であってもよい。
【0047】
表面材設置工程では、ロボットアーム51等の機械装置を用いて、ロボットアーム51の先端部に設けられた真空吸着パット52に、タイル4の仕上げ面4fを吸着させる。タイル4を、構造物3の表面3fに押圧する。タイル4における構造物3の表面3fに設置される設置面4bには、タイル4の板厚方向に凹む凹部4aが形成されている。タイル4の設置面4bは、凹部4aが形成されることによって、凹凸形状になっている。タイル4の凹部4a内に未硬化のコンクリート流動体31が入り込み、タイル4と構造物3とが一体化させる。これによって、付加製造装置1から吐出されたコンクリート流動体31からなる構造物3の表面3fに、コンクリート流動体31が凝結する前にタイル4を設置することができる。よって、タイル4を接着するための接着剤等の材料が不要であり、コンクリート流動体31が凝結する前にタイル4を構造物3に設置するため早期に仕上がるため、施工性が良い。また、構造物3とタイル4との一体性が高まり、タイル4の剥落が抑制される。
【符号の説明】
【0048】
1…付加製造装置
1A…付加製造システム
3…構造物
3a…中間仕上げ面
3b…最終仕上げ面
3f…表面
10…付加製造部
10A…付加製造装置
20…仕上げ加工部
20A…仕上げ加工装置
21第一加工手段
24…第一加工部
26…第二加工手段
29…第二加工部
31…水硬性混合物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33