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  • 特開-電力変換装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135590
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20220908BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035510
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 豪
(72)【発明者】
【氏名】重政 盛史
(72)【発明者】
【氏名】島田 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健一
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770BA02
5H770CA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA22
5H770DA30
5H770HA02Z
5H770PA12
5H770QA12
5H770QA28
5H770QA35
(57)【要約】
【課題】サイズの増大を抑制しつつノイズ影響を抑制することが可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換回路と、当該電力変換回路を制御する制御回路と、電力変換回路と電力の入出力を行うバスバーとが導電性筐体内に収容された電力変換装置において、バスバーは、電力変換回路と導電性筐体との間に配置され、導電性筐体には、バスバーの一部を覆う突部が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換回路と、当該電力変換回路を制御する制御回路と、前記電力変換回路と電力の入出力を行うバスバーとが導電性筐体内に収容された電力変換装置において、
前記バスバーは、前記電力変換回路と前記導電性筐体との間に配置され、
前記導電性筐体には、前記バスバーの一部を覆う突部が形成されていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記突部は、前記導電性筐体から前記電力変換回路の方向に突出するリブであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電力変換回路には、前記バスバーの他部を覆う金属板が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記突部は、前記バスバーが前記制御回路に電源を供給する電源回路と対向する部分に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記電源回路は、主電源回路及び副電源回路から構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、DC-DCコンバータ部とインバータ部との間のノイズの影響を抑制しつつ、特定方向の小型化を実現することが可能な電力変換装置が開示されている。この電力変換装置は、直流電源と接続される一対の主入力端子と、該主入力端子に入力された直流電力を平滑化するコンデンサと、上記直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、上記直流電力を異なる電圧の直流電力に変換するDC-DCコンバータ部とを備え、DC-DCコンバータ部は、インバータ部及びコンデンサの少なくとも一方に対して、インバータ部とコンデンサとの並び方向である縦方向と直交する高さ方向に配置され、DC-DCコンバータ部は、主入力端子と電気的に接続されるコンバータ入力端子を引き出してなり、コンデンサは、主入力端子と電気的に接続される一対の第1端子とインバータ部と電気的に接続される一対の第2端子とを引き出してなり、主入力端子を一端に有する一対の入力バスバーの他端に設けたバスバー端子にコンバータ入力端子とコンデンサの第1端子とが接続されており、コンバータ入力端子は、高さ方向から見たときコンデンサ及びインバータ部よりも主入力端子に近い位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-085320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記背景技術は、主端子台を備えることによりコンデンサ、DC-DCコンバータ部及び直流電源を入力バスバーに容易に接続するが、主端子台の設置スペースが余分に必要となる関係で電力変換装置のサイズが大きくなる虞がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、サイズの増大を抑制しつつノイズ影響を抑制することが可能な電力変換装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、電力変換装置に係る第1の解決手段として、電力変換回路と、当該電力変換回路を制御する制御回路と、前記電力変換回路と電力の入出力を行うバスバーとが導電性筐体内に収容された電力変換装置において、前記バスバーは、前記電力変換回路と前記導電性筐体との間に配置され、前記導電性筐体には、前記バスバーの一部を覆う突部が形成されている、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、電力変換装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記突部は、前記導電性筐体から前記電力変換回路の方向に突出するリブである、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、電力変換装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記電力変換回路には、前記バスバーの他部を覆う金属板が設けられている、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、電力変換装置に係る第4の解決手段として、上記第1~第3のいずれかの解決手段において、前記突部は、前記バスバーが前記制御回路に電源を供給する電源回路と対向する部分に形成されている、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、電力変換装置に係る第5の解決手段として、上記第1~第4のいずれかの解決手段において、前記電源回路は、主電源回路及び副電源回路から構成されている、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サイズの増大を抑制しつつノイズ影響を抑制することが可能な電力変換装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る電力変換装置の機械的な全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電力変換装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電力変換装置の要部構成を示す分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
最初に、図1及び図2を参照して本実施形態に係る電力変換装置Aの全体構成を説明する。
【0014】
この電力変換装置Aは、車両に搭載されるPCU(Power Control Unit)であり、走行時に車輪を駆動する電動機(走行用モータ)の駆動や走行用モータの回生電力及び別途設けられた発電機の発電電力の二次電池への充電等を行う。当該二次電池、走行用モータ及び発電機は、電力変換装置Aに電気的に接続される電気機器である。
【0015】
このような電力変換装置Aは、図1に示すように、中央ケース1、下ケース2及び上カバー3からなる導電性の金属筐体B(導電性筐体)を備えている。この金属筐体Bは、各接触面にシール材が挿入された状態で中央ケース1、下ケース2及び上カバー3を相互にネジ締結することによって、略密閉状の内部空間を形成する。詳細については後述するが、この内部空間は、上記PCUを構成する各種回路を収容する回路収容室である。
【0016】
ここで、上記各種回路は、図2に示すように、変圧回路K1、走行用インバータ回路K2、発電用インバータ回路K3、制御回路K4、主電源回路K5、副電源回路K6及び6つの電流センサS1~S6等から構成されている。このような各種回路のうち、変圧回路K1、走行用インバータ回路K2及び発電用インバータ回路K3は、本発明の電力変換回路である。なお、この各種回路の詳細については後述する。
【0017】
また、この金属筐体Bは、PCUを構成する各種回路を強制冷却する機能を備えている。すなわち、この金属筐体Bには、外部から冷却水を取り込む取込口b1と、冷却水を外部に排出する排出口b2、また取込口b1と排出口b2との間に設けられ、各種回路の熱を受熱する受熱流路(図示略)が設けられている。
【0018】
さらに、金属筐体Bには、各種回路を上記電気機器や上位制御装置(図示略)と電気的に接続するための端子(接続端子)が設けられている。なお、図1では、上記電気機器のうち、二次電池を変圧回路K1、主電源回路K5及び副電源回路K6に接続するための一次端子b3及び12V電源に電力を供給するためのバッテリ端子b7が示されている。
【0019】
ここで、走行用モータを走行用インバータ回路K2に接続するための第1の二次端子b4(図2参照)、発電機を発電用インバータ回路K3に接続するための第2の二次端子b5(図2参照)及び上位制御装置を制御回路K4に接続するための制御端子b6(図2参照)は、図1において金属筐体Bの裏側に設けられている。
【0020】
中央ケース1は、上記回路収容室を上下に二分する仕切り部が設けられたアルミダイキャスト製の金属部材である。この中央ケース1において、上側の回路収容室(第1収容室)には、変圧回路K1、走行用インバータ回路K2及び発電用インバータ回路K3や電流センサS1~S6が少なくとも収容される。また、上述した一次端子b3は、図1に示すように中央ケース1の周縁近傍部位に固定されている。
【0021】
なお、上記仕切り部には、上述した受熱流路が形成されている。すなわち、第1収容室に収容された変圧回路K1、走行用インバータ回路K2及び発電用インバータ回路K3は、強制冷却が必要な発熱回路であり、受熱流路を流れる冷却水によって除熱されることにより、所望の動作温度以下に維持される。
【0022】
また、下側の回路収容室(第2収容室)には、制御回路K4、主電源回路K5及び副電源回路K6が少なくとも収容される。さらに、この第2収容室には、上記一次端子b3を変圧回路K1、主電源回路K5及び副電源回路K6に接続する一対のバスバーLp、Ln(図2参照)が収容されている。
【0023】
これら一対のバスバーLp、Lnの詳細については後述するが、銅等の導電性に優れた金属材料によって形成された板部材である。また、これら一対のバスバーLp、Lnは、殆どの部位が所定の間隔を隔てて平行対峙することにより、電気的には平滑コンデンサを形成している。
【0024】
下ケース2は、このような中央ケース1の下部に装着(締結)されるアルミダイキャスト製の金属部材である。この下ケース2は、中央ケース1と共に第2収容室を形成するものであり、制御回路K4、主電源回路K5及び副電源回路K6並びに一対のバスバーLp、Lnを収容する。なお、第2収容室における一対のバスバーLp、Lnの実装形態は、本実施形態に係る電力変換装置Aの主な特徴部分である。
【0025】
上カバー3は、中央ケース1の上部に装着(締結)されるアルミダイキャスト製の金属部材である。この上カバー3は、中央ケース1と共に第1収容室を形成するものであり、変圧回路K1、走行用インバータ回路K2、発電用インバータ回路K3及び電流センサS1~S6を略密閉状態に保持する。
【0026】
続いて、図2の変圧回路K1、走行用インバータ回路K2、発電用インバータ回路K3、制御回路K4、主電源回路K5、副電源回路K6及び6つの電流センサS1~S6について説明する。
【0027】
変圧回路K1は、双方向チョッパ回路であり、所定インダクタンスを有するコイル、複数のスイッチングトランジスタ及び一対の入出力用平滑コンデンサ等を備えている。この変圧回路K1は、制御回路K4から入力される変圧用ゲート信号に基づいて各スイッチングトランジスタがON/OFF動作することにより、昇圧動作あるいは降圧動作を択一的に行う。
【0028】
すなわち、この変圧回路K1は、二次電池から一次端子b3に入力された所定電圧(一次電圧)の直流電力を昇圧して二次電圧の直流電力に変換して走行用インバータ回路K2に出力する昇圧動作と、走行用インバータ回路K2から入力される所定電圧の回生電力あるいは発電用インバータ回路K3から入力される二次電圧の直流電力を降圧して一次電圧の直流電力に変換して二次電池に出力する降圧動作とを択一的に行う。
【0029】
走行用インバータ回路K2は、複数のスイッチングトランジスタ及び入出力用平滑コンデンサ等を備えている。この走行用インバータ回路K2は、制御回路K4から入力される走行用ゲート信号に基づいて各スイッチングトランジスタがON/OFF動作することにより、力行動作と回生動作とを択一的に行う。
【0030】
すなわち、この走行用インバータ回路K2は、変圧回路K1から入力される直流電力を所定周波数の走行電力(三相交流電力)に変換して走行用モータに出力する昇圧動作と、走行用モータから入力される回生電力(三相交流電力)を直流電力に変換して変圧回路K1に出力する回生動作とを択一的に行う。
【0031】
発電用インバータ回路K3は、複数のスイッチングトランジスタ及び入出力用平滑コンデンサ等を備えている。この発電用インバータ回路K3は、制御回路K4から入力される発電用ゲート信号に基づいて各スイッチングトランジスタがON/OFF動作することにより、発電機から入力される所定周波数の発電電力(三相交流電力)を直流電力に変換して変圧回路K1に出力する。
【0032】
制御回路K4は、図示するようにECU及びゲートドライバを備えており、変圧回路K1、走行用インバータ回路K2及び発電用インバータ回路K3を制御する。すなわち、この制御回路K4は、内部の記憶装置に予め記憶された制御プログラムに基づいて変圧用ゲート信号、走行用ゲート信号及び発電用ゲート信号を生成することにより、変圧回路K1、走行用インバータ回路K2及び発電用インバータ回路K3を制御するソフトウエア制御装置である。
【0033】
また、この制御回路K4は、変圧用ゲート信号、走行用ゲート信号及び発電用ゲート信号の生成に際して、制御プログラムに加えて、上位制御装置から制御端子b6に入力される制御指令及び電流センサS1~S6から入力される各電流検出値を参照する。すなわち、制御回路K4は、制御指令及び各電流検出値に基づいて変圧用ゲート信号、走行用ゲート信号及び発電用ゲート信号を生成するフィードバック制御装置でもある。
【0034】
主電源回路K5は、このような制御回路K4に電源を供給し、かつ12V電源への降圧電力を供給するDC-DCコンバータである。この主電源回路K5は、チョッパ回路であり、所定インダクタンスを有するコイル、スイッチングトランジスタ及び出力用平滑コンデンサ等を備えている。このような主電源回路K5は、スイッチングトランジスタがON/OFF動作することにより、一次電圧の直流電力を制御回路K4の定格電源電圧の直流電力に降圧する。
【0035】
すなわち、この主電源回路K5は、一次端子b3及び一対のバスバーLp、Lnを介して二次電池から入力される一次電圧の直流電力をコイル及びスイッチングトランジスタを用いて導通/遮断することによって、上記定格電源電圧の直流電力を生成して制御回路K4の電源端子に出力する。
【0036】
副電源回路K6は、上記主電源回路K5の補助(例えば二次電池からの電力供給遮断時や主電源回路K5の故障時等)として備えられるDC-DCコンバータである。この副電源回路K6は、上述した主電源回路K5と同様にチョッパ回路であり、所定インダクタンスを有するコイル、スイッチングトランジスタ及び出力用平滑コンデンサ等を備えている。このような副電源回路K6は、スイッチングトランジスタがON/OFF動作することにより、一次電圧の直流電力を制御回路K4の定格電源電圧の直流電力に降圧する。
【0037】
すなわち、この副電源回路K6は、一次端子b3及び一対のバスバーLp、Lnを介して二次電池から入力される一次電圧の直流電力をコイル及びスイッチングトランジスタを用いて導通/遮断することによって、上記定格電源電圧の直流電力を生成して制御回路K4の電源端子に出力する。
【0038】
ここで、主電源回路K5及び副電源回路K6は、一次電圧の直流電力を所定周期でスイッチングするチョッパ回路であり、当該スイッチングに起因して外部にノイズを放射する。特に、主電源回路K5及び副電源回路K6の構成素子であるコイルは、上記スイッチングに同期して電流が所定周期で間欠的に流れるので、他の回路にとって外乱となり得る磁界性の放射ノイズを発生する。
【0039】
6つの電流センサS1~S6は、三相交流電力における各相の電流値を検出する検出器である。これら6つの電流センサS1~S6のうち、第1の電流センサS1は、走行電力におけるU相の電流値を検出して制御回路K4に出力する。第2の電流センサS2は、走行電力におけるV相の電流値を検出して制御回路K4に出力する。第3の電流センサS3は、走行電力におけるW相の電流値を検出して制御回路K4に出力する。
【0040】
第4の電流センサS4は、発電電力におけるU相の電流値を検出して制御回路K4に出力する。第5の電流センサS5は、発電電力におけるV相の電流値を検出して制御回路K4に出力する。第6の電流センサS6は、発電電力におけるW相の電流値を検出して制御回路K4に出力する。
【0041】
続いて、上述した一対のバスバーLp、Lnの実装形態、つまり本実施形態に係る電力変換装置Aの主な特徴部分について、図3を参照して詳しく説明する。
【0042】
図3(a)は、中央ケース1とともに第2収容室を形成する下ケース2の内面を示す斜視図である。アルミダイキャスト製の金属部材である下ケース2は、制御回路K4、主電源回路K5、副電源回路K6及び一対のバスバーLp、Lnを収容する第2収容室を中央ケース1とともに形成している。
【0043】
また、この図3(a)では、下ケース2の内面に一対のバスバーLp、Lnが実装された状態を示している。この図3(a)に示すように、一対のバスバーLp、Lnは、全体としてL字形状に形成されており、複数の絶縁材4によって長手方向に順次被覆された状態で下ケース2の内面に対向する状態で配置されている。
【0044】
これら一対のバスバーLp、Lnには、一端に一対の第1端子部5p、5nが設けられ、また他端に一対の第2端子部6p、6nが設けられている。さらに、一対のバスバーLp、Lnのうち、二次電池のプラス電極に接続される第1のバスバーLpの途中部位には、第3端子部7pが設けられている。
【0045】
第1端子部5p、5nは、中央ケース1に固定された一次端子b3にネジ止めされる接続部である。また、第2端子部6p、6nは、変圧回路K1の一次側入出力端子(一対の入出力用平滑コンデンサ)、主電源回路K5及び副電源回路K6におけるプラス側入力端子に接続される接続部である。さらに、第3端子部7pは、変圧回路K1の一次側入出力端子(所定インダクタンスを有するコイル)に接続される接続部である。
【0046】
このような一対のバスバーLp、Lnは全体としてL字状の形状を有し、途中部位に直線部8を備えている。この直線部8は、一対のバスバーLp、Lnが平行平板として直線状に延在する部位(平行平板部位)であり、一端に上述した第2端子部6p、6nが設けられ、また途中部位に分岐直線部9を介して第3端子部7pが設けられている。なお、この分岐直線部9は、直線部8の延在方向に対して直交する方向に直線部8から分岐する平行平板部位である。
【0047】
このような直線部8及び分岐直線部9は、一面が下ケース2の内面に対向し、他面が第2収容室の内方に向いている。また、直線部8及び分岐直線部9は、図示するように下ケース2に埋め込まれた状態に実装されている。すなわち、下ケース2には直線部8及び分岐直線部9の側面(一部)を覆うようにリブ10が設けられている。
【0048】
このリブ10は、下ケース2の内面から垂直方向に突出する突部であり、下ケース2の機械的強度を補強するための部位である。また、リブ10は、このような機械的な機能だけではなく電気的な機能をも併せ持つ。
【0049】
すなわち、本実施形態に係る電力変換装置Aでは、下ケース2に設けられたリブ10(突部)が直線部8及び分岐直線部9の側面(一部)を覆うので、放射ノイズが直線部8及び分岐直線部9に飛来することを抑制する。
【0050】
また、このような直線部8及び分岐直線部9の他面側つまり第2収容室の内方側には、図3(b)に示すようにシールド板11(金属板)が実装される。このシールド板11は、第2収容室の内方側に実装される主電源回路K5及び副電源回路K6と直線部8及び分岐直線部9との間に設けられ、直線部8及び分岐直線部9の他面(他部)に加え、リブ10をも覆う形状に設定された略平板状の金属部材である。
【0051】
すなわち、本実施形態に係る電力変換装置Aでは、直線部8及び分岐直線部9の他面(他部)側にシールド板11が設けられるので、直線部8及び分岐直線部9の他面(他部)に放射ノイズが飛来することを抑制する。
【0052】
このような本実施形態によれば、直線部8及び分岐直線部9の周囲が導電性の下ケース2及びシールド板11によって覆われているので放射ノイズが一対のバスバーLp、Lnに飛来することを抑制することができる。特に、本実施形態によれば、シールド板11の内方側に実装される主電源回路K5及び副電源回路K6の放射ノイズが一対のバスバーLp、Lnに飛来することを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、下ケース2に設けられたリブ10(突部)によって直線部8及び分岐直線部9の側面(一部)を覆うことで放射ノイズの飛来を抑制するので、電力変換装置Aのサイズの増大つまり中央ケース1、下ケース2及び上カバー3の重ね方向における電力変換装置Aの大型化を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、電力変換装置Aのサイズの増大を抑制しつつノイズの影響を抑制することが可能である。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、下ケース2に設けられたリブ10(突部)によって直線部8及び分岐直線部9の側面(一部)を覆ったが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明における突部は、下ケース2の機械的強度を補強する機能を備えるものである必要はなく、電気的な機能として直線部8及び分岐直線部9に放射ノイズが飛来することを抑制するものであれば良い。
【0055】
(2)上記実施形態では、特に主電源回路K5及び副電源回路K6の放射ノイズの影響を抑制するためにリブ10(突部)及びシールド板11(金属板)を設けたが、本発明はこれに限定されない。主電源回路K5及び副電源回路K6以外の回路から発生する放射ノイズの影響を抑制するようにリブ10(突部)及びシールド板11(金属板)を設けてもよい。
【0056】
例えば、第2収容室において直線部8及び分岐直線部9と対向する位置にゲートドライバが実装される場合、リブ10(突部)及びシールド板11(金属板)は、ゲートドライバから発生する放射ノイズの影響を抑制するように機能する。
【符号の説明】
【0057】
A 電力変換装置
B 金属筐体(導電性筐体)
b1 取込口
b2 排出口
b3 一次端子
b4 第1の二次端子
b5 第2の二次端子
b6 制御端子
b7 12V電源端子
Lp、Ln バスバー
1 中央ケース
2 下ケース
3 上カバー
4 絶縁材
5p、5n 第1端子部
6p、6n 第2端子部
7p 第3端子部
8 直線部
9 分岐直線部
10 リブ(突部)
11 シールド板(金属板)
K1 変圧回路(電力変換回路)
K2 走行用インバータ回路(電力変換回路)
K3 発電用インバータ回路(電力変換回路)
K4 制御回路
K5 主電源回路
K6 副電源回路
S1~S6 電流センサ

図1
図2
図3