(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013566
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A63F7/02 326C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020184869
(22)【出願日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2020115927
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592113865
【氏名又は名称】株式会社新太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】江場 登
(72)【発明者】
【氏名】石井 秀昭
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA09
2C088DA23
(57)【要約】
【課題】 前面扉用枠体の前面に装飾ユニットを簡易且つ迅速に装着し得る遊技機を提供する。
【解決手段】 前面扉用枠体15に係止部80が形成され、装飾ユニット52に被係止部70が形成され、係止部80は、前面扉用枠体の周縁部に穿設された軸挿通孔43と、軸挿通孔に貫通させた回転シャフト81と、回転シャフトの前端部に直交状に突出する押圧体84と、回転シャフトの外周であり押圧体の後方位置に突出する弾性部材受部88aと、弾性部材受部と前面扉用枠体の前面との間に設けられた弾性部材87と、回転シャフトの後端部に設けられた操作レバー88とを備え、被係止部70は、押圧体を支持する支持板部72と、支持板部に穿設され係止部の押圧体を挿入させる横長孔73とを備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機本体の前側に前面扉が開閉自在に装着された遊技機において、
前記前面扉は、縦長方形状に形成された前面扉用枠体と、前記前面扉用枠体の前側に装着される装飾ユニットとを備え、
前記前面扉用枠体には、前記装飾ユニットを該前面扉用枠体に係止させるための係止部が形成され、前記装飾ユニットには、前記係止部材を受け入れて係止させる被係止部が形成され、
前記係止部は、前記前面扉用枠体の周縁部に穿設された軸挿通孔と、前記軸挿通孔に前記前面扉用枠体の前面側と後面側のそれぞれに位置するように貫通させた回転シャフトと、前記回転シャフトの前端部に該回転シャフトと直交し該回転シャフトから互いに反対方向へ突出するように設けられた押圧体と、前記回転シャフトの外周であり前記押圧体の後方位置に突出状に設けられた弾性部材受部と、前記バネ受部と前記前面扉用枠体の前面との間に位置するように前記回転シャフトに外嵌させて該回転シャフトを付勢する弾性部材と、前記回転シャフトの後端部に設けられ該回転シャフトを係合位置と解除位置に回転させる操作レバーとを備え、
前記被係止部は、前記係止部の押圧体を支持する支持板部と、前記支持板部に穿設され前記係止部の押圧体を挿入させる横長孔とを備え、
前記前面扉用枠体の前方に前記装飾ユニットを位置させて、該前面扉用枠体の係止部の押圧体に該装飾ユニットの被係止部の横長孔を挿入した後に、該前面扉用枠体の後方に位置する該係止部の操作レバーを回転させると該前面扉用枠体に該装飾ユニットが装着されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
遊技機本体の前側に前面扉が開閉自在に装着された遊技機において、
前記前面扉は、縦長方形状に形成された前面扉用枠体と、前記前面扉用枠体の前側に装着される装飾ユニットとを備え、
前記前面扉用枠体には、前記装飾ユニットを該前面扉用枠体に係止させるための係止部が形成され、前記装飾ユニットには、前記係止部材を受け入れて係止させる被係止部が形成され、
前記係止部は、前記前面扉用枠体の周縁部に穿設された軸挿通孔と、前記軸挿通孔に前記前面扉用枠体の前面側と後面側のそれぞれに位置するように貫通させた回転シャフトと、前記回転シャフトの前端部に該回転シャフトと直交し該回転シャフトから互いに反対方向へ突出するように設けられた押圧体と、前記回転シャフトの外周であり前記押圧体の後方位置に突出状に設けられたバネ受部と、前記バネ受部と前記前面扉用枠体の前面との間に位置するように前記回転シャフトに外嵌させて該回転シャフトを付勢するバネ部材と、前記回転シャフトの後端部に設けられ該回転シャフトを係合位置と解除位置に回転させる操作レバーとを備え、
前記被係止部は、前記係止部の押圧体を支持する支持板部と、前記支持板部に穿設され前記係止部の押圧体を挿入させる横長孔とを備え、
前記前面扉用枠体の前方に前記装飾ユニットを位置させて、該前面扉用枠体の係止部の押圧体に該装飾ユニットの被係止部の横長孔を挿入した後に、該前面扉用枠体の後方に位置する該係止部の操作レバーを回転させると該前面扉用枠体に該装飾ユニットが装着されるようにしたことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記前面扉用枠体であり前記操作レバーの回転範囲内に、該操作レバーが所定角度回転した位置で該操作レバーに当接し、該操作レバーの移動を規制するストッパーを形成したことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前面扉用枠体の前面に装飾ユニットを簡易且つ迅速に装着し得る遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
遊技機の代表例として、パチンコ遊技機があるが、このパチンコ遊技機は、縦長な方形状に枠組み形成される外枠と、外枠の一側にヒンジ機構によって開閉自在に装着される本体枠と、本体枠の前面一側にヒンジ機構によって開閉自在に装着される前面扉用枠体とからなり、本体枠には、遊技球を流下させる遊技盤等が配設され、前面扉用枠体には、その前面を装飾する装飾ユニットが装着されている。そして、パチンコ遊技機は、いわゆるパチンコホールといった遊技場に複数台設置されているが、これを利用する遊技者に飽きられることがないように、比較的早いサイクルで新しい機種に交換することが求められている。この点、従来は、新しい機種を導入するにあたり、パチンコ遊技機全体を交換するといったことが一般的であったが、最近では、パチンコ遊技機全体を交換すると多大なコストがかかってしまうため、外枠、本体枠、前面扉用枠体についてはそのまま利用し、本体枠に配設される遊技盤、前面扉用枠体に装着される装飾ユニットなどの部材のみを交換するといったことが頻繁に行われるようになってきている。ここで、前面扉用枠体に装着する装飾ユニットの交換に着目すると、特許文献1に示されているように、装飾ユニットは前面扉用枠体に複数のネジを使って螺着されている。そのため、装飾ユニットを交換するにあたっては、前面扉用枠体の複数のネジを外して古い装飾ユニットを取り外した後、新しい装飾ユニットを再び複数のネジを使って前面扉用枠体に装着する必要があり、きわめて面倒な作業を強いられていた。特に、この交換作業は、遊技場に設置されているかなりの台数のパチンコ遊技機に対して行う必要があるため、その労力は多大である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、装飾ユニットの交換作業を簡易になし得る手段が望まれるところであるが、あまりに簡易な手段であると、別の問題が発生する。すなわち、最近の装飾ユニットは、遊技者の注意を惹くために、かなり大型化している傾向にある。そして、大型化した装飾ユニットは、必然的にかなりの重量になっている。従って、あまりに簡易な装着手段であると、装飾手段が装飾ユニットの重さに耐えきれずに破損してしまう可能性がある。また、装飾ユニットを装着する前面扉用枠体は、樹脂や金属により成形されるが、これらを加工した際、その厚み等を完全に均等にすることは困難で、公差の範囲とはいえ、どうしてもわずかながらの誤差が生じてしまう。そのため、前面扉用枠体の厚みについての誤差に対応できるように形成されていることも必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、装飾ユニットを備えた遊技機において、装飾ユニットを遊技機の前面扉用枠体に簡易且つ迅速に脱着でき、しかも、装飾ユニットの重量に対しても十分な耐久性を備え、さらには、前面扉用枠体の厚みに生じる誤差にも対応して装飾ユニットを脱着し得る遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するために本発明は、遊技機本体の前側に前面扉が開閉自在に装着された遊技機において、前記前面扉は、縦長方形状に形成された前面扉用枠体と、前記前面扉用枠体の前側に装着される装飾ユニットとを備え、前記前面扉用枠体には、前記装飾ユニットを該前面扉用枠体に係止させるための係止部が形成され、前記装飾ユニットには、前記係止部材を受け入れて係止させる被係止部が形成され、前記係止部は、前記前面扉用枠体の周縁部に穿設された軸挿通孔と、前記軸挿通孔に前記前面扉用枠体の前面側と後面側のそれぞれに位置するように貫通させた回転シャフトと、前記回転シャフトの前端部に該回転シャフトと直交し該回転シャフトから互いに反対方向へ突出するように設けられた押圧体と、前記回転シャフトの外周であり前記押圧体の後方位置に突出状に設けられたバネ受部と、前記バネ受部と前記前面扉用枠体の前面との間に位置するように前記回転シャフトに外嵌させて該回転シャフトを付勢するバネ部材と、前記回転シャフトの後端部に設けられ該回転シャフトを係合位置と解除位置に回転させる操作レバーとを備え、前記被係止部は、前記係止部の押圧体を支持する支持板部と、前記支持板部に穿設され前記係止部の押圧体を挿入させる横長孔とを備え、前記前面扉用枠体の前方に前記装飾ユニットを位置させて、該前面扉用枠体の係止部の押圧体に該装飾ユニットの被係止部の横長孔を挿入した後に、該前面扉用枠体の後方に位置する該係止部の操作レバーを回転させると該前面扉用枠体に該装飾ユニットが装着されるようにしたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明は、前記前面扉用枠体であり前記操作レバーの回転範囲内に、該操作レバーが所定角度回転した位置で該操作レバーに当接し、該操作レバーの移動を規制するストッパーを形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に係る遊技機によれば、遊技機の前面扉用枠体に装飾ユニットをきわめて簡易且つ迅速に脱着することができる。しかも、本発明に係る遊技機の装飾ユニットについての脱着手段は、近時大型化する装飾ユニットの重量に対しても十分な耐久性を備え、さらには、前面扉用枠体の厚みに生じる誤差にも対応することが可能である。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る発明によれば、装飾ユニットを脱着する際に使用する操作レバーを常に所定角度の位置に止めておくことが可能であるため、操作レバーを回転させる量を気にする必要がなく、また、その角度をみれば、装飾ユニットがきちんと装着されている状態なのか、あるいは、装飾ユニットを装着する準備状態にあるのかを視覚的に確認することができる。従って、遊技機の前面扉用枠体に装飾ユニットを装着する作業が、より簡易且つ迅速になし得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第3装飾ユニットの一部を取り外したパチンコ遊技機の斜視図。
【
図3】第3装飾ユニットを取り外した前面扉用枠の正面視図。
【
図6】前面扉用枠の係止部の分解斜視図及び第3装飾ユニットの斜視図。
【
図7】前面扉用枠の係止部の分解斜視図及び第3装飾ユニットの断面図。
【
図9】他の実施形態における前面扉用枠の係止部の分解斜視図及び第3装飾ユニットの斜視図。
【
図10】他の実施形態における前面扉用枠の係止部の分解斜視図及び第3装飾ユニットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、例えば、パチンコ遊技機、スロットマシン、雀球機、アレパチ機等の種々の遊技機に適用可能であるが、本実施の形態では、パチンコ遊技機に適用した例を説明する。
図1はパチンコ遊技機の斜視図、
図2は装飾ユニットの一部を取り外したパチンコ遊技機の斜視図である。パチンコ遊技機は、遊技機本体1と、前面扉用枠体2とによって概略構成されており、このうち、遊技機本体1は、縦長な方形状に枠組み形成される外枠3と、外枠3の一側にヒンジ機構4,4によって開閉自在に装着される本体枠5とからなっている。そして、本体枠5の前面一側に前面扉用枠体2がヒンジ機構6,6によって開閉自在に装着されている。なお、この実施形態において「前側」とは、パチンコ遊技機の正面側、「後側」とは、パチンコ遊技機の背面側、「右側」「左側」とは、パチンコ遊技機を正面から見た場合の右側、左側をそれぞれ指すこととする。
【0012】
前記外枠3は、アルミ合金の押出型材によって縦長な方形枠状に形成されている。具体的には、上下に配置される上枠材10及び下枠材、左右に配置される側枠材11を四角形に組み合わせ、それらの四隅角部に断面L字形の連結金具12を固着することで縦長な方形枠状に形成されている。また、下枠板の前方には、合成樹脂製の装飾カバー13が装着されている。なお、この外枠3は、遊技場における島設備(図示省略)にパチンコ遊技機を設置するにあたり、これを島設備に装着する部位となる。
【0013】
前記本体枠5は、合成樹脂により一体成型された縦長な方形枠状に形成されており、そのサイズは、外枠3の装飾カバー13を除く前面を略覆うサイズになっている。また、本体枠5には、図示はしないが遊技球を流下させる遊技盤が配設されることになる。そして、この遊技盤の前面には、入賞装置、遊技釘、球誘導レール等が配設され、遊技盤の後側には、球タンク、通路部材、球払出装置、各種制御基板等が配設されることになる。また、遊技盤の下方には、図示はしないが打球発射装置等が配設されることになる。
【0014】
前記前面扉2は、前面扉用枠体15と、この前面扉用枠体15の裏面に固着される補強金属板と、前面に装着される装飾ユニットと、その他の構成部材とから成っている。このうち、前面扉用枠体15は、合成樹脂により一体成形されており、上下のそれぞれに位置する上枠部材20及び下枠部材21、左右に位置する左側枠部材22及び右側枠部材23とを有する縦長な方形板状に形成されており、そのサイズは、前述した本体枠5の前面を略覆うサイズになっている。また、これら上枠部材20、下枠部材21、左側枠部材22、右側枠部材23に囲まれた内側部分は、略楕円形状の開放部25になっており、該開放部25を後方から塞ぐようにして透明板ユニット26が装着されることになる。次に、
図4を参照しつつ、前面扉用枠体15について、その裏面側から説明する。前面扉用枠体15の下枠部材21の裏面には、その略全域に亘るように金属製の補強金属板30が固着されており、この補強金属板30の左半部(
図4では右側)後面には、後述する上球皿56や下球皿57へ遊技球を送出する通路が形成された通路ユニット31が装着されている。さらに、前面扉用枠体15の裏面左端(
図4では右端)には、上下方向へ沿うように金属製であり細幅の補強金属板32が固着されていると共に、左側枠部材22の下端部にはスピーカ33が左側枠部材22の前後に貫通するように装着されている。また、前面扉用枠体15の上枠部材20の裏面上端に左右方向へ沿うように金属製であり細幅の補強金属板34が固着されている。また、上枠部材20の左端(
図4では右端)からやや内側であって、補強金属板34の下側に後述する係止部80を固着するための四角形の金属板からなる取付板35が装着されており、この取付板35の略中央部に軸挿通孔36が穿設されている。なお、上枠部材20の取付板35が装着されている箇所には、開口37が穿設されており、この開口37を塞ぐように取付板35が装着されている。さらに、前面扉用枠体15の右側枠部材23の裏面には、その上下方向に沿うように補強金属板38が固着されていると共に、右側枠部材22の下端部にはスピーカ39が左側枠部材22の前後に貫通するように装着されている。なお、右側枠部材22に固着される補強金属板38は、その中間部分38aが細幅で上端部と下端部の双方がやや広幅の膨出部38b,38cになっている。また、補強金属板38の膨出部38cの下端よりやや上側は、コ字型に切り欠かれており、この切欠部分に外枠3に対する本体枠5、本体枠5に対する前面扉用枠体2を施錠開錠するための施錠装置の一部40が装着されている。さらに、補強金属板38の膨出部38bと中間部分38aの境界部分の内側と、中間部分38aと膨出部38cの境界部分の内側のそれぞれが後述する係止部80を固着する取付部41,41となっており、ここに軸挿通孔43,43が穿設されている。また、右側枠部材22であり、補強金属板38の取付部41,41の前方に相当する箇所には、開口45,45が穿設されており、取付部41,41が開口45,45を塞ぐように位置している。
【0015】
前記前面扉用枠体15の前面には、合成樹脂により成形された装飾ユニットが装着されている。このパチンコ遊技機における装飾ユニットは、大きく分けて3つのユニットによって構成されている。具体的には、前面扉用枠体15の下側、より詳しくは、前面扉用枠体15の下枠部材21の前面を覆うように装着される第1装飾ユニット50、前面扉用枠体15の左側、より詳しくは、前面扉用枠体15の左側枠部材22の前面を覆うように装着される第2装飾ユニット51、前面扉用枠体15の上部と右側部、より詳しくは、前面扉用枠体15の上枠部材20の左寄りの位置から右枠部材23の前面を覆うように装着される第3装飾ユニット52という3つのパートに分割されている。
【0016】
前記第1装飾ユニット50は、前面扉用枠体15の下枠部材21の前面に前方へ膨出するように固着されている。具体的には、前面扉用枠体15の左右両端のそれぞれから中央に向かうにしたがって膨出度合いを増していくような形状になっており、平面視で略三角形状になっている。そして、第1装飾ユニット50の上面中央部には、操作演出用ボタン55が設けられており、この操作演出用ボタン55の奥側に発射用の遊技球を貯留する凹状の上球皿56が形成されている。また、上球皿56の左下方には、前方が開口する空間になっており、その下部に余剰球を貯留する凹状の下球皿57が形成されている。さらに、第1装飾ユニット50の右下部分に遊技球を発射させるための反射ハンドル58が設けられている。
【0017】
前記第2装飾ユニット51は、内部中空の断面略コ字型の部材で、前面扉用枠体15の前方にやや張り出すように装着されている。また、第2装飾ユニット51は、透明色の合成樹脂により形成されており、図示はしないが、その内部に発光基板に搭載された複数のLEDが設けられている。そのため、第2装飾ユニット51は、LEDを必要に応じて発光させることができるようになっている。
【0018】
前記第3装飾ユニット52は、前面扉用枠体15の上枠部材20の前面に位置する上側装飾部52aと、前面扉用枠体15の右側枠部材23の前面に位置する右側装飾部52bとを合体させて1の部材として構成されている。このうち、上側装飾部52aは、左右両端部のそれぞれが前面扉用枠体15から前方に膨出し、それら左右両端からさらに中央部に向かって膨出する形状になっている。より具体的には、上側装飾部52aは、その左右両端の先端から中央部に向かって円弧状に膨出し、左右両端の先端から膨出した部分は平面視略半円形状になっている。また、上側装飾部52aは、上下方向に厚みをもち、その内部が中空状になっている。そして、この中空部分に図示はしないが、複数のLEDや制御基板等が設けられている。また、上側装飾部52aの上面60は不透明な合成樹脂で形成されており、上側装飾部52aの前面61は透明な合成樹脂により形成されている。そのため、上側装飾部52aは、LEDを必要に応じて発光させ、且つその光を前方へ照射させるなどして演出に供することができるようになっている。右側装飾部52bは、前述の第2装飾ユニット51と同様、内部中空の断面略コ字型の部材で、前面扉用枠体15の前方にやや張り出すように形成されている。また、右側装飾部52bは、透明な合成樹脂により形成されており、図示はしないが、その内部に発光基板に搭載された複数のLEDが設けられている。そのため、右側装飾部52bは、LEDを必要に応じて発光させることができるようになっている。なお、第3装飾ユニット52の背面側には、
図5に示されているように、上側装飾部52a及び右側装飾部52bの中空部分を塞ぐように合成樹脂製の背面カバー62が設けられており、さらに、背面カバー62の後面側に補強金属枠63が複数のネジにより固着されている。この補強金属枠63は、第3装飾ユニット52の上側装飾部52aに位置させる上板部63aと第3装飾ユニット52の右側装飾部52bに位置させる右板部63bとによって略くの字形に形成されている。このうち、上板部63aは、その上端と下端が前方へ直角に折曲されて折返し片部(不図示)が形成された断面コ字形になっている。一方、右板部63bには、その右端部(
図5では左端部)を前方へ直角に折曲した後、さらに右方へ直角に折曲した右端片部63cが形成されている。そのため、右板部63bと右端片部63cに段差が形成されることになり、その結果、補強金属枠63の右端片部63cが背面カバー62に接触し、その他の部分は、背面カバー62からやや間隔を離して位置することになる。なお、補強金属枠63には、第3装飾ユニット52を前面扉用枠体15に装着するにあたり、後述する係止部80を係止させるための被係止部70が3箇所に設けられている。このうちの1箇所は、補強金属枠63の上板部63aの左端(
図5では右端)に設けられている。すなわち、上板部63aの左端は、第3装飾ユニット52の上側装飾部52aの左端よりやや内側で切れており、ここに被係止部70が設けられている。この被係止部70は、平板状の金属板を直角に折曲してL字形に形成されており、前方へ延出する延出板部71と、この延出板部71から左方向へ延出する支持板部72とを備えている。そして、支持板部72には、後述する係止部80の押圧体84を挿入するための横長矩形状の横長孔73が穿設されており、この横長孔73の中央の上下それぞれの部分は、円弧状に切り欠かれて、後述する係止部80の回転シャフト81を挿入できるようになっている。また、他の2箇所の係止部70は、補強金属枠63の右端片部63cの上端部と下端部のそれぞれに1つずつ設けられている。すなわち、補強金属枠63の右板部63bの上端部と下端部のそれぞれに1箇所ずつ円弧状に切り欠かれている部分があり、さらに、この円弧状の切欠きと右端片部63cとの間の金属板が切り欠かれて切欠部75が形成されている。そして、切欠部75に位置する右端片部63cの左端から内側(左方向)へ金属板が延出されて支持板部76が形成されている。そして、支持板部76には、後述する係止部80の押圧体84を挿入するための横長矩形状の横長孔77が穿設されており、この横長孔77の中央の上下それぞれの部分は、円弧状に切り欠かれて、後述する係止部60の回転シャフト81の軸頭部81bを挿入できるようになっている。
【0019】
次に、前面扉用枠体15に第3装飾ユニット52を装着するための係止部80について説明する。係止部80は、前面扉用枠体15の周縁部に3箇所設けられている。このうち1箇所は、前述した前面扉用枠体15の上枠部材20の左端(
図4では右端)からやや内側に装着された取付板35に設けられており、他の2箇所は、前述した前面扉用枠体15の右側枠部材23の裏面に装着された補強金属板38における取付部41,41に設けられている。ここで、係止部80について、
図6及び
図7を参照しつつ、取付部41に設けられたものを例に説明する。取付部41には、軸挿通孔43が穿設されており、この軸挿通孔43に回転シャフト81が挿通される。回転シャフト81は、前後方向に所定の長さを有する軸本体81aと、軸本体81aの前端部に位置し軸本体81aよりもやや太径の軸頭部81bとによって構成されている。そして、軸本体81aと軸頭部81bの境目部分に外方へ環状に延出する鍔部82が形成されている。また、軸頭部81bには、軸頭部81bと直交する貫通孔が設けられ、この貫通孔に丸棒状の押圧体84が軸頭部81bと直交状に嵌合されている。すなわち、押圧体84は、軸頭部81bの外周から互いに反対方向へ突出するようなっている。さらに、軸本体81aの後端にはネジ孔83が形成されている。また、軸本体81aには、一方側が開放され、他方側が閉塞された有底筒状のバネ収容筒体85が遊嵌されている。すなわち、バネ収容筒体85の底部に軸本体81aの径よりもわずかに孔径が広い軸用孔86が穿設されており、この軸用孔86に軸本体81aが挿通されている。さらに、軸本体81aには、コイル状のバネ部材87が外嵌されており、バネ部材87は、バネ収容筒体85内に収容された状態になる。なお、軸本体81aが挿通されたバネ収容筒体85は、鍔部82によって前方への移動が阻止されることになる。他方、軸本体81aの後端には、操作レバー88が装着される。この操作レバー88は、円筒部88aと、円筒部88aの外周から互いに反対方向へ突出させた摘片部88bとからなっている。そして、取付部41の軸挿通孔43に挿通され、取付部41の後方へ突出している軸本体81aの後端部を操作レバー88の円筒部88a内に挿入させ、ネジ89を軸本体81aのネジ孔83に螺締することによって、操作レバー88が装着されている。これにより、操作レバー88を回転させると、これに伴って回転シャフト81も回転することになる。ちなみに、補強金属板38の取付部42に設けられた係止部は、前述の係止部41に設けられた係止部と同一構成からなるので、ここでは説明を省略する。また、前面扉用枠体15の上枠部材20の取付板35に設けられた係止部も、バネ収容筒体の前後方向の長さ、その内側に収容されるバネの前後方向の長さが異なるのみで、基本的な構成は同一なので説明を省略する。なお、上記実施例において、バネ収容筒体85の底部がバネ受け部としての機能を果たしている。もっとも、本発明を実施するにあたり、必ずしも、バネ収容筒体85が必要であるわけではなく、前述の回転シャフト81の鍔部83のように回転シャフト81の外周から突出させた部位があれば、これによって代用することが可能である。
【0020】
ここで、
図7を参照しつつ、前面扉用枠体15に第3装飾ユニット52を装着する方法について説明する。まず、前面扉用枠体15の3箇所に存在している係止部80の押圧体84のすべてが
図3のように、横向き、すなわち、押圧体84が左右方向を向いていることを確認する。次に、前面扉用枠体15の前方に第3装飾ユニット52を持ってくる。この時、前面扉用枠体15の係止部80の前方に第3装飾ユニット52の被係止部70が位置するようにする。そうしたら今度は、第3装飾ユニット52を前面扉用枠体15に近づけて、前面扉用枠体15の係止部80の押圧体84に、第3装飾ユニット52の被係止部70の横長孔77を挿し入れる。後は、前面扉用枠体15の後方から係止部80の操作レバー88を時計回りに回転させると、同時に回転シャフト81及び押圧体84も回転し、押圧体84が被係止部70の支持板部76の前面に当接する。この時、押圧体84は、第3装飾ユニット52の被係止部70である支持板部72の円弧状ガイド部90に摺動しつつ回転するので、摩擦抵抗が軽減されてスムースに回転させることができる。また、回転させた操作レバー88は、前面扉用枠体15の係止部80を構成する取付板35、取付部41,42に設けられているストッパーとしての回り止め凸部91に当接し、90度回転したところで回転が阻止されることになる。なお、操作レバー88を回転させる際、係止部80のバネ部材87の付勢力が作用するため、きわめてスムースに回転させることができる。特に、前面扉用枠体15の厚みが一定でない、すなわち、前面扉用枠体15の補強金属板38や取付板35の厚みが成形上の問題で一定でない場合であっても、バネ部材87がその厚みを吸収するため、操作レバー88をスムースに回転させることができる。そして、3箇所の操作レバー88をすべて回転させれば、前面扉用枠体15に第3装飾ユニット52の装着が完了する。ちなみに、前面扉用枠体15から第3装飾ユニット52を取り外す時は、前述の装着方法の逆の手順を踏めば良い。すなわち、前面扉用枠体15の後方から係止部80の操作レバー88を反時計回りに90度回転させると、同時に回転シャフト81及び押圧体84も回転し、押圧体84と被係止部70の支持板部76前面との当接状態が解消され、押圧体84は、被係止部70の横長孔77の前方に位置した状態になる。そして、3箇所の操作レバー88をすべて回転させ、後は、第3装飾ユニット52を前面扉用枠体15から前方へ遠ざけるようにすれば、前面扉用枠体15から第3装飾ユニット52が取り外される。なお、第3装飾ユニット52を脱着する際に、前述のとおり、押圧体84が横向きになっていることを確認すれば、第3装飾ユニット52を装着する準備状態にあるということを視覚的に把握することができる。また、押圧体84が縦向き、すなわち、押圧体84が上下に向いていることを確認すれば、第3装飾ユニット52がきちんと装着されている状態なのかを視覚的に把握することができる。換言すれば、押圧体84の向きを確認すれば、装飾ユニットを装着する準備状態にあるのか、あるいは、第3装飾ユニット52がきちんと装着されている状態なのかを視覚的に確認することができ、ひいては、前面扉用枠体15に第3装飾ユニット52を装着する作業が、より簡易且つ迅速になし得ることになる。
【0021】
図8は、前面扉用枠体15に形成された係止部の他の実施形態を示すものである。この実施形態に係る係止部80Aは、主として、回転シャフト81が前述のものと異なっている。具体的には、この回転シャフト81は、合成樹脂により一体成形されており、また、回転シャフト81の軸頭部81bの形状が前述のものと大きく異なっている。すなわち、前述のものは、軸頭部81bに貫通孔が穿設されていて、ここに押圧体84を挿入して形成されているが、この実施形態のものは、押圧体84も含めて一体成形されている。このように成形することで、1の型で成形し得るので、成形コストを大幅に軽減させることができるというメリットを有している。また、押圧体84の左右両端のそれぞれに前方に向かうに従って幅が細まっていく三角形状の差込片部95,95が形成されている。この差込片部95,95が設けられていることにより、前面扉用枠体15に第3装飾ユニット52を装着する際、回転シャフト81の先端部を被係止部70の横長孔77へ挿入し易くなる。
【0022】
図9及び
図10は、前面扉用枠体15に形成された係止部の他の実施形態を示すものである。この実施形態に係る係止部80Bは、前述の係止部80、80Aと多くの部分において共通するので、共通の構成部分については同一符号を付して説明する。また、この実施形態に係る係止部80Bも、前述の補強金属板38における取付部41に設けられていることを前提として説明する。取付部41には、軸挿通孔43が穿設されており、この軸挿通孔43に回転シャフト100が挿通される。回転シャフト100は、合成樹脂により一体成形されており、前後方向に所定の長さを有する軸本体100aと、軸本体100aの前端部に位置し軸本体100aよりもやや太径の軸頭部100bとによって概略構成されている。そして、軸本体100aと軸頭部100bの境目部分に外方へ環状に延出する鍔部101が形成されている。また、軸頭部100bには、丸棒状の押圧体102が軸頭部100bと直交するように外方へ突出するように設けられている。すなわち、押圧体102は、軸頭部100bの外周から互いに反対方向へ突出するようなっている。さらに、軸本体100aの後端にはネジ孔103が形成されている。また、軸本体100aには、弾性部材受部としての薄厚の金属製の受円板104と、所定厚の可撓性ある合成樹脂製の弾性円板105(弾性部材)が装着されている。すなわち、受円板104と弾性円板105はいずれも、その中心部に軸本体100aの外径よりもやや広幅の内径の軸用孔106が穿設されており、これら軸用通孔106を軸本体100aに挿通することによって、軸本体100aに受円板104と弾性円板105が装着されている。なお、受円板104は、その前面が回転シャフト100の鍔部101に接することになり、弾性円板105は、その前面が受円板104に接することになる。従って、軸本体100aに挿通された受円板104は、鍔部101によって前方への移動が阻止されることになる。他方、軸本体100aの後端には、操作レバー107が装着される。この操作レバー107は、円筒部107aと、円筒部107aの外周から互いに反対方向へ突出させた摘片部107bとからなっている。そして、取付部41の軸挿通孔43に挿通され、取付部41の後方へ突出している軸本体100aの後端部を操作レバー107の円筒部107a内に挿入させ、ネジ108を軸本体100aのネジ孔103に螺締することによって、操作レバー107が装着されている。これにより、操作レバー107を回転させると、これに伴って回転シャフト100も回転することになる。なお、前記説明においては、受円板104が金属製である例を示したが、受円板104は、必ずしも金属製である必要はなく、合成樹脂等により成形することも勿論可能である。また、弾性部材受部の例として受円板104、弾性部材の例として弾性円板105を示したが、これらの形状は必ずも円板状でなくてもよく、多角形等の種々の形状を選択可能である。さらに弾性受部の例として、受円板104を示したが、これに限られず、例えば、回転シャフト100の鍔部101を弾性受部とすることも可能である。
【0023】
なお、
図9及び
図10に示した実施形態に係る係止部80Bを採用すると、
図6乃至
図8に示した係止部80、80Aよりも次のような利点がある。すなわち、係止部80Bでは、バネ部材87に代えて弾性円板105を採用しているが、この弾性円板105は、バネ部材87よりも厚みを薄く形成することができる。これにより、軸本体100の長さも短くすることが可能になり、
図10(b)に示すように、第3装飾ユニット52後面と前面扉用枠体15前面との間に余分なスペースが不要になって、ひいては、パチンコ遊技機全体の前後の厚みを薄くすることができる。
【0024】
前記実施形態における遊技機の装飾ユニットは、3つのユニットによって構成されている例を示したが、これに限られるわけではなく、1以上のユニットであれば本発明の適用が可能である。また、前記実施形態では、第1乃至第3装飾ユニットのうち、第3装飾ユニットのみが係止部と被係止部により前面扉用枠体に装着されるようにした例を示したが、これに限られず、第1装飾ユニット、第2装飾ユニットにも係止部と被係止部を設けて前面扉用枠体に装着できるようにしてもよい。また、前記実施形態では、第3装飾ユニットを上側装飾部と右側装飾部が合体されて構成されている例を示したが、上側装飾部と右側装飾部が互いに独立して構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 遊技機本体
2 前面扉
15 前面扉用枠体
36 軸挿通孔
43 軸挿通孔
44 軸挿通孔
52 第3装飾ユニット
70 被係止部
76 支持板部
77 横長孔
80 係止部
81 回転シャフト
84 押圧体
85 バネ収容筒体
87 バネ部材
88 操作レバー
91 回り止め凸部(ストッパー)