(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135706
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】車両用リッドロック装置、供給部構造及び車両用リッドロック装置の取付け方法
(51)【国際特許分類】
E05B 79/04 20140101AFI20220908BHJP
E05B 83/34 20140101ALI20220908BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
E05B79/04
E05B83/34
B60K15/05 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035672
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 浩二
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ43
2E250LL13
3D038CA00
3D038CB01
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】供給用開口部が車両のボディパネルに一体化されている場合において、供給用開口部の外側に対し車両用リッドロック装置を容易に取り付けることができる車両用リッドロック装置を提供する。
【解決手段】車両のボディパネルPに一体化されている給油用開口部11の外側に取り付けられる車両用リッドロック装置13であって、ラッチ51と、ラッチ51を介してフューエルリッド12をロックするロック機構52と、ロック機構52を収容するハウジング53と、を備え、ハウジング53には、給油用開口部11の後側壁33に形成された係合孔43と係合する第1係合部122と、係合孔43と第1係合部122との係合部分を支点Fとしてハウジング53を回動させたとき、供給用開口部11の後フランジ37に形成されたストライカ用開口42の後端部42aと係合する第2係合部123と、が形成されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボディパネルに一体化されている給油用開口部又は充電用開口部である供給用開口部の外側に取り付けられ、前記供給用開口部を開閉するリッドを閉状態でロックする車両用リッドロック装置であって、
前記リッドと係合する係合子と、
前記係合子を支持し、前記係合子を介して前記リッドをロックするロック機構と、
前記ロック機構を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングには、
前記供給用開口部の側壁に形成された第1被係合部と係合する第1係合部と、
前記第1被係合部と前記第1係合部との係合部分を支点として前記ハウジングを回動させたとき、前記供給用開口部のフランジに形成された第2被係合部と係合する第2係合部と、が形成されていることを特徴とする車両用リッドロック装置。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記車両用リッドロック装置を前記供給用開口部にネジ止め固定するための本固定部が、更に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項3】
前記係合子と、前記第1係合部と、前記第2係合部と、を囲うように配設され、前記供給用開口部と前記ハウジングとの間を封止するシール部材を、更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項4】
前記リッドは、
リッド本体と、
前記リッド本体に固定され、前記係合子と係合するストライカと、を有し、
前記供給用開口部には、前記ストライカが前記車両用リッドロック装置に到達するためのストライカ用開口が形成され、
前記第2被係合部は、前記ストライカ用開口の端部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項5】
前記第2係合部は、前記フランジに対して前記供給用開口部の開放側に突出して形成され、
前記第2係合部には、前記フランジに対して前記開放側に突出した位置において、前記ストライカを前記ストライカ用開口内に案内する案内部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用リッドロック装置。
【請求項6】
前記供給用開口部と、
前記リッドと、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両用リッドロック装置と、を備えたことを特徴とする供給部構造。
【請求項7】
前記第1被係合部は、係合孔であることを特徴とする請求項6に記載の供給部構造。
【請求項8】
前記係合孔は、
前記第1係合部と係合する被係合部分と、
前記被係合部分に連なり且つ前記被係合部分より幅広に形成され、前記第1係合部を挿入する挿入部分と、を有することを特徴とする請求項7に記載の供給部構造。
【請求項9】
前記係合孔には、前記挿入部分に挿入した前記第1係合部を幅方向で前記被係合部分に誘導する誘導斜面が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の供給部構造。
【請求項10】
給油用開口部又は充電用開口部である供給用開口部を開閉するリッドと係合する係合子と、
前記係合子を支持し、前記係合子を介して前記リッドを閉状態でロックするロック機構と、
前記ロック機構を収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングには、
前記供給用開口部の側壁に形成された第1被係合部と係合する第1係合部と、
前記第1被係合部と前記第1係合部との係合部分を支点として前記ハウジングを回動させたとき、前記供給用開口部のフランジに形成された第2被係合部と係合する第2係合部と、が形成されている車両用リッドロック装置を、車両のボディパネルに一体化されている前記供給用開口部の外側に取り付ける車両用リッドロック装置の取付け方法であって、
前記第1被係合部に前記第1係合部を係合させる第1係合工程と、
前記第1係合工程の後、前記第1被係合部と前記第1係合部との係合部分を支点として前記ハウジングを回動させて、前記第2被係合部に前記第2係合部を係合させる第2係合工程と、を実行することを特徴とする車両用リッドロック装置の取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用リッドロック装置、供給部構造及び車両用リッドロック装置の取付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用リッドロック装置として、例えば、ネジ固定によって、給油用開口部(開口部ハウジング)の外側に取り付けられる車両用リッドロック装置がある(特許文献1参照)。このような車両用リッドロック装置では、車両用リッドロック装置を、給油用開口部の外側に取り付けることで、車両用リッドロック装置の機構部が給油用開口部内に露出するのを避けることができ、利用者が、車両用リッドロック装置の機構部を触ってしまうのを抑制することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の車両用リッドロック装置では、溶接等で、給油用開口部が車両のボディパネルに一体化されている場合、ボディパネルの車室内側から車両用リッドロック装置を所定の位置で支えつつ、ボディパネルの車室外側からネジ締結を行う必要がある。そのため、車両用リッドロック装置の取付けが困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、供給用開口部が車両のボディパネルに一体化されている場合において、供給用開口部の外側に対し車両用リッドロック装置を容易に取り付けることができる車両用リッドロック装置、供給部構造及び車両用リッドロック装置の取付け方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車両のボディパネルに一体化されている給油用開口部又は充電用開口部である供給用開口部の外側に取り付けられ、前記供給用開口部を開閉するリッドを閉状態でロックする車両用リッドロック装置であって、前記リッドと係合する係合子と、前記係合子を支持し、前記係合子を介して前記リッドをロックするロック機構と、前記ロック機構を収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングには、前記供給用開口部の側壁に形成された第1被係合部と係合する第1係合部と、前記第1被係合部と前記第1係合部との係合部分を支点として前記ハウジングを回動させたとき、前記供給用開口部のフランジに形成された第2被係合部と係合する第2係合部と、が形成されていることを特徴とする車両用リッドロック装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記目的を達成するため、前記供給用開口部と、前記リッドと、上記の車両用リッドロック装置と、を備えたことを特徴とする供給部構造を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記目的を達成するため、給油用開口部又は充電用開口部である供給用開口部を開閉するリッドと係合する係合子と、前記係合子を支持し、前記係合子を介して前記リッドを閉状態でロックするロック機構と、前記ロック機構を収容するハウジングと、を備え、前記ハウジングには、前記供給用開口部の側壁に形成された第1被係合部と係合する第1係合部と、前記第1被係合部と前記第1係合部との係合部分を支点として前記ハウジングを回動させたとき、前記供給用開口部のフランジに形成された第2被係合部と係合する第2係合部と、が形成されている車両用リッドロック装置を、車両のボディパネルに一体化されている前記供給用開口部の外側に取り付ける車両用リッドロック装置の取付け方法であって、前記第1被係合部に前記第1係合部を係合させる第1係合工程と、前記第1被係合部と前記第1係合部との係合部分を支点として前記ハウジングを回動させて、前記第2被係合部に前記第2係合部を係合させる第2係合工程と、を実行することを特徴とする車両用リッドロック装置の取付け方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両用リッドロック装置、供給部構造及び車両用リッドロック装置の取付け方法は、供給用開口部が車両のボディパネルに一体化されている場合において、供給用開口部の外側に対し車両用リッドロック装置を容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る給油部構造を示した側面図である。
【
図2】フューエルリッドを省略した給油部構造を示した斜視図(a)、平面図(b)及び側面図(c)である。
【
図3】給油用開口部を示した平面図(a)及び側面図(b)である。
【
図4】車両用リッドロック装置を示した分解斜視図である。
【
図5】車両用リッドロック装置を示した斜視図(a)、正面図(b)及び平面図(c)である。
【
図6】(a)は、車両用リッドロック装置周りを示した
図2(b)のA‐A´線切断部端面図であり、(b)は、
図2(c)のB‐B´線断面図であり、(c)は、
図2(b)の要部拡大図である。
【
図7】(a)は、
図3(b)のC‐C´線断面図であり、(b)は、
図3(a)の要部拡大図である。
【
図8】車両用リッドロック装置の取付け方法を示した説明図である。
【
図9】車両用リッドロック装置の変形例を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用リッドロック装置、これを備えた給油部構造、及び車両用リッドロック装置の取付け方法について説明する。この給油部構造(供給部構造)は、車両(自動車)における車体の側面に設けられ、車両に対し、ガソリン等のエンジン用燃料を給油するためのものである。特に、本給油部構造は、車両のボディパネルに一体化されている給油用開口部の外側に対して、車両用リッドロック装置を容易に取り付けることができる取付け構造を備えたものである。なお、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。
【0012】
(給油部構造)
図1に示すように、給油部構造1は、溶接等で車両の板金のボディパネルPに一体されていると共に給油ポートを収容した板金の給油用開口部11(供給用開口部)と、給油用開口部11の開放部分を開閉するフューエルリッド12(リッド)と、給油用開口部11の外側に取り付けられた車両用リッドロック装置13と、を備えている。この車両用リッドロック装置13は、フューエルリッド12を閉状態でロック(保持)するロック機能と、フューエルリッド12の開放時にフューエルリッド12を外方に押し開く(跳ね上げる)押上げ機能とを兼ね備えた装置である。なお、給油用開口部11の外側は、給油ポートを収容する側を内側としてときの外側の部分であり、ボディパネルPの車室内側に位置する部分である。
【0013】
フューエルリッド12は、ヒンジ(図示省略)を介して、給油用開口部11に対し回動自在に取り付けられ、給油用開口部11の開放部分を開閉するリッド本体21と、リッド本体21の内側(給油用開口部11側)に固定され、ラッチ51(後述する)と係合する樹脂製のストライカ22と、を有している。ストライカ22は、円柱状の円柱係合部26と、円柱係合部26を両持ちで支持する一対の腕部27、27と、で構成されており、当該円柱係合部26が、車両用リッドロック装置13のラッチ51に係合する。なお、ストライカ22は、金属製であっても良い。
【0014】
図2及び
図3に示すように、給油用開口部11は、車室外側(上側)を開放側とするボックス状に形成されており、車室内側(下側)に位置した側面視半円状の底部31と、底部31の前後端から車室外側に立ち上がり、車室外側に相互に拡開するように形成された前側壁32及び後側壁33(側壁)と、底部31の左右端から車室外側に立ち上がり、車室外側に相互に拡開するように形成された右側壁34及び左側壁35と、前側壁32の車室外側の端部から前方向に延在する前フランジ36と、後側壁33の車室外側の端部から後方向に延在する及び後フランジ37(フランジ)と、前フランジ36の周縁、右側壁34及び左側壁35の上端及び後フランジ37の周縁に亘って形成され、車室外側に立ち上がるリブ38と、を有している。なお、図示省略するが、給油ポートは、底部31に配設されている。
【0015】
また、給油用開口部11には、車両用リッドロック装置13の取付け面ができるように後側壁33に凹設され、その外面(後面)に車両用リッドロック装置13が取り付けられる装置取付け部41と、装置取付け部41から後フランジ37に亘って開口したストライカ用開口42と、装置取付け部41上のストライカ用開口42の下に開口した倒立台形状の係合孔43(第1被係合部)と、係合孔43の右上に開口した円形の排液孔44と、後フランジ37において、ストライカ用開口42の右側に隣接して開口した円形の固定孔45と、が形成されている。なお、ストライカ用開口42、係合孔43、排液孔44及び固定孔45の詳細については、後述する。
【0016】
(車両用リッドロック装置)
次に
図4乃至
図6を参照して、車両用リッドロック装置13について説明する、
図4に示すように、車両用リッドロック装置13は、ストライカ22と係合する樹脂製且つフック状のラッチ51(係合子)と、ラッチ51を支持し、ラッチ51を介してフューエルリッド12を閉状態でロック(保持)するロック機構52と、樹脂製のケース101及びカバー102から成り、ロック機構52を収容するハウジング53と、ハウジング53の前側から上側に亘って形成されたシール部材54と、を備えている。ラッチ51は、ハウジング53に対して揺動自在に配設され、フューエルリッド12を閉状態にするロック位置A1と、フューエルリッド12を開状態にするアンロック位置A2と、フューエルリッド12を閉状態からさらに押し込んでフューエルリッド12を開状態にするための押込み位置と、の間を揺動自在に支持されている(ロック位置A1及びアンロック位置A2については
図5(b)参照)。
【0017】
ラッチ51は、ラッチ51の揺動軸方向に延出しロック機構52の軸状部材61(後述する)に固定される固定軸部56と、固定軸部56に接続しラッチ51の揺動軸に直交する平面上において揺動軸から離れる方向に延出する第1の爪部57と、固定軸部56に接続し第1の爪部57と同一の平面上において第1の爪部57から離れるように位置すると共にラッチ51の揺動方向に第1の爪部57と向かい合うように延出する第2の爪部58と、を有している。第1の爪部57は、ラッチ51がロック位置A1にある状態において、ストライカ22が進行方向後方に移動することを規制するロック部である。一方、第2の爪部58は、ラッチ51の揺動に伴って、ストライカ22を進行方向後方に押し出す押出し部である。なお、第1の爪部57及び第2の爪部58は、ストライカ22の円柱係合部26に接触し係合する構成となっている。
【0018】
ロック機構52は、ラッチ51の揺動軸と同軸でラッチ51と共に揺動可能な軸状部材61と、ラッチ51がアンロック位置A2に揺動するように弾性力を付与するトーションバネ62と、軸状部材61の側面に凹設された溝カムであるハートカム63と、先端部64bがハートカム63と係合すると共に、ラッチ51の揺動によって先端部64bがハートカム63に沿って誘導されるロックピン64と、ロックピン64の先端部64bをハートカム63の溝底側に付勢する板バネ65と、を備えている。
【0019】
また、ロック機構52は、アクチュエータとしてのモータ71と、モータ71の出力軸に連結されるウォーム72と、ウォーム72に噛み合うことでモータ71によって駆動され、フューエルリッド12の閉状態から開状態への移動を規制する規制位置と当該規制を解除する非規制位置との間で揺動するロックギア73と、モータ71の故障時にロックギア73を非規制位置に揺動させるための解除レバー74と、軸状部材61及びラッチ51の揺動に伴って第1信号状態としてのオフ、及び第2信号状態としてのオンが切り替えられるスイッチ75と、を備えている。このスイッチ75の信号は、フューエルリッド12の開閉検出に用いられる。
【0020】
軸状部材61は、回転軸と直交する上面81及び底面82と、回転軸方向と平行な側面部83と、上面81から回転軸方向に突出するように設けられ、ネジ77によって、ラッチ51の固定軸部56を固定するためのラッチ固定部84と、上面81に円形の溝状に凹設され、トーションバネ62を収容するトーションバネ収容部85と、側面部83に設けられ、スイッチ75のボタン部を押圧するスイッチ押圧部86と、を有している。なお、上記ハートカム63は、側面部83に凹設されている。
【0021】
トーションバネ62は、軸状部材61のトーションバネ収容部85に収容されると共に、一端が軸状部材61に係止され、他端がハウジング53のケース101に係止されている。これによって、トーションバネ62は、軸状部材61を回転付勢している。トーションバネ62は、軸状部材61を介してラッチ51をアンロック位置A2側に揺動付勢するものであり、第2の爪部58によりストライカ22を押し出すための揺動力をラッチ51に付与する役割を担っている。
【0022】
ロックピン64は、棒状の部材を略角「U」字状としたものであって、基端部64aと、先端部64bと、中間部64cと、を有している。そして、ロックピン64は、先端部64bが、軸状部材61の側面部83に形成されたハートカム63と係合し、基端部64aが、ハウジング53のケース101に対し進退動自在且つ回転自在に取り付けられている。その結果、ロックピン64は、先端部64bが軸状部材61の回転軸方向にハートカム63に沿って移動できると共に、先端部64bが軸状部材61の回転軸方向に垂直な方向(軸状部材61に対する離接方向)に移動できるようになっている。
【0023】
板バネ65は、軸状部材61の側面部83に対面するように配設され、ロックピン64に接触してロックピン64の先端部64bをハートカム63の溝底側に付勢する。これにより、ロックピン64の先端部64bが、常にハートカム63に押し付けられる状態になる。
【0024】
ハートカム63は、ラッチ51がアンロック位置A2にある場合にロックピン64の先端部64bが位置する第1位置と、軸状部材61の回転方向において第1位置とは異なる位置に設けられ、ラッチ51がロック位置A1にある場合にロックピン64の先端部64bが位置する第2位置と、を有している。また、ハートカム63は、ラッチ51がアンロック位置A2からロック位置A1まで揺動する場合にロックピン64の先端部64bが誘導される第1経路と、第1経路と第2位置との間にある第1押込み位置と、ラッチ51がロック位置A1からアンロック位置A2まで揺動する場合にロックピン64の先端部64bが誘導される第2経路と、第2経路と第2位置との間にある第2押込み位置と、を有している。すなわち、ハートカム63は、第1位置、第1経路、第1押込み位置、第2位置、第2押込み位置及び第2経路が環状に接続された略ハート型の形状をなしている。
【0025】
フューエルリッド12の閉塞動作は、利用者がフューエルリッド12を閉塞することで行われる。フューエルリッド12が開状態であるときは、ラッチ51がアンロック位置A2に位置し、ロックピン64の先端部64bが第1位置に位置している。そして、利用者が、開状態のフューエルリッド12を閉塞していくと、ストライカ22が、アンロック位置A2にあるラッチ51の第2の爪部58に接触し、ラッチ51を押圧する。この押圧によって、ラッチ51が、トーションバネ62の付勢力に逆らってアンロック位置A2から揺動していき、ラッチ51が固定された軸状部材61が回転していく。これに伴って、ロックピン64の先端部64bが、第1位置から第1経路上を移動していく。その後、フューエルリッド12の閉塞が進み、ラッチ51がロック位置A1を経て押込み位置に到達すると、ロックピン64の先端部64bが第1押込み位置に到達する。そして、利用者がフューエルリッド12から手を放すと、トーションバネ62の付勢力によって軸状部材61が回転する。これによって、ラッチ51が押込み位置からロック位置A1に揺動すると共に、ロックピン64の先端部64bが第2位置に到達する。ロックピン64の先端部64bが第2位置に到達すると、ロックピン64の先端部64bが第2位置におけるハートカム63の内壁に突き当たる。これによって、軸状部材61の回転が規制される。これにより、ラッチ51の揺動が規制されラッチ51がロック位置A1に維持されることで、ストライカ22を介してフューエルリッド12は閉状態でロック(保持)される状態となる(
図5(b)の想像線参照)。
【0026】
一方、フューエルリッド12の開放動作は、利用者がフューエルリッド12を押し込むことで行われる。利用者がフューエルリッド12を押し込むと、ストライカ22の押圧により、トーションバネ62の付勢力に逆らってラッチ51がロック位置A1から押し込み位置まで揺動し、これに伴って軸状部材61が回転する。これによって、ロックピン64の先端部64bが第2押込み位置に到達する。その後、利用者がフューエルリッド12から手を放すと、トーションバネ62の付勢力によって軸状部材61が回転する。これによって、ラッチ51が押込み位置からアンロック位置A2に揺動すると共に、ロックピン64の先端部64bが第2経路を経て第1位置に到達する。このとき、揺動するラッチ51がストライカ22を進行方向後方に押し出すことで、ストライカ22を介してフューエルリッド12が外方に押し開かれる。これによって、フューエルリッド12が開状態となる。
【0027】
ロックギア73は、軸状部材61の底面82と向かい合う位置に設けられた本体部91と、本体部91における軸状部材61の底面82と向かい合う側の面とは反対側の面であってロックギア73の回転軸と直交する面から突出するように設けられた解除レバー固定部92と、モータ71の出力軸に連結されたウォーム72と噛み合うと共に本体部91におけるロックギア73の回転軸と直交しない面に接続される円弧状のギア部93と、ギア部93から軸状部材61の側面部83に沿って延出し、ハートカム63の一部を覆う抑止部94と、を有している。解除レバー固定部92には、ネジ76により、解除レバー74が固定されている。
【0028】
ロックギア73は、ラッチ51の揺動軸と同軸に且つ規制位置と非規制位置との間で揺動自在に配設されている。そして、モータ71を駆動すると、ウォーム72及びギア部93によって、ロックギア73が非規制位置から規制位置に揺動する。これによって、ロックギア73に設けられた抑止部94がハートカム63の一部を覆うことでロックピン64の先端部64bが第2位置から脱出することを妨げる。これにより、フューエルリッド12が閉状態から開状態へ移動することを規制することができる。なお、モータ71の駆動(ロックギア73によるフューエルリッド12の移動規制)は、ドアロックの施錠と連動させる構成であっても良いし、リモコンキーに別途設けた操作ボタンで行う構成であっても良い。
【0029】
図4及び
図5に示すように、ハウジング53は、ロック機構52を収容するケース101と、ケース101の開放部分を閉塞するカバー102と、を備えている。ケース101とカバー102とは、スナップフィット方式で接合され一体化されている。
【0030】
ケース101には、解除レバー74が取り付けられる解除レバー取付け穴(不図示)が形成されている。この解除レバー取付け穴を介して、解除レバー74とロックギア73とが一体に揺動するように連結されている。
【0031】
一方、カバー102には、ラッチ51が取り付けられるラッチ取付け穴(不図示)が形成されている。このラッチ取付け穴を介して、ラッチ51と軸状部材61とが一体に揺動するように連結されている。なお、カバー102とラッチ51との間には、ハウジング53の内部を防水するための環状弾性体78が配置されている。
【0032】
また、
図5に示すように、カバー102は、ケース101の開放部分を閉塞するカバープレート111と、カバープレート111から前方向及び上方向に突出する突出部112と、を備えている。この突出部112が、ラッチ51を収容するラッチ収容部分であると共に、給油用開口部11への取付け部分となっている。
【0033】
突出部112には、ストライカ22をガイドするストライカガイド121と、突出部112の下端部に配設され、給油用開口部11の係合孔43に係合する第1係合部122と、ストライカガイド121の上端に形成され、給油用開口部11のストライカ用開口42の後端部42aに係合する第2係合部123と、突出部112の上端部に右側に配設されたネジ固定部124と、が形成されている。本実施形態では、第1係合部122及び第2係合部123が、係合孔43及びストライカ用開口42の後端部42aにそれぞれ係合することで、給油用開口部11に対する車両用リッドロック装置13の仮固定が行われ、仮固定の状態で、ネジ固定部124によって、車両用リッドロック装置13が給油用開口部11にネジ止め固定されることで、給油用開口部11に対する車両用リッドロック装置13の本固定が行われる。すなわち、第1係合部122及び第2係合部123は、車両用リッドロック装置13を給油用開口部11に仮固定するための仮固定部であり、ネジ固定部124は、車両用リッドロック装置13を給油用開口部11にネジ止め固定するための本固定部である。なお、カバープレート111、突出部112、ストライカガイド121、第1係合部122、第2係合部123及びネジ固定部124は、後述のナット153を除き、同一の樹脂で且つ一体として形成されている。
【0034】
ストライカガイド121は、ストライカ22の移動範囲の左右両側に面して配設された一対のガイド壁131と、ストライカ22の移動範囲の下側に面して配設されたストッパ132と、を有している。一対のガイド壁131によって、ストライカ22の進行方向側方への移動を規制し、ストッパ132によって、移動範囲を超えてストライカ22が進行方向に移動することを規制する。これによって、車両用リッドロック装置13上では、予め定められた移動範囲の中で、ストライカ22が移動するようになっている。また、各一対のガイド壁131の上端部は、相互に上側に拡開するように形成されており、ストライカ22をストライカガイド121内に導く導入部として機能している。
【0035】
第1係合部122は、突出部112の下端部から前方向に突出して形成され且つ左右方向に幅を有する腕部141と、腕部141の先端に形成され且つ下方向に延在する先端部142と、を有している。
図6に示すように、第1係合部122は、給油用開口部11の係合孔43に挿入され、当該係合孔43と係合する。具体的には、腕部141の下面は、係合孔43の下縁と係合する係合面となっており、先端部142の後面は、係合孔43が形成された装置取付け部41の前面と係合する係合面となっている。なお、第1係合部122を係合孔43に挿入しやすいように、先端部142の先端における後側の角部と、先端部142の基端及び左右端における前側の角部は、面取りされて傾斜面となっていることが好ましい。
【0036】
図5に示すように、第2係合部123は、ストライカガイド121の上端から上方向に突出して形成されており、左右方向に幅を有すると共に、後側を底とする側面視扇状(側面視四半円状)に形成されている。
図6に示すように、第2係合部123は、後フランジ37上のストライカ用開口42内に入り込み、ストライカ用開口42の後端部42aに係合している。具体的には、第2係合部123の後面が、ストライカ用開口42の後端部42aにおける後縁と係合する係合面となっている。一方、第2係合部123の前側には、前側に向かって下方に傾斜する誘導斜面123aが形成されている。第2係合部123は、後フランジ37に対して上側(給油用開口部11の開放側)に突出して形成されており、この誘導斜面123aが、後フランジ37に対して上側に突出した位置において、ストライカ22をストライカ用開口42内、より言えば、ストライカガイド121内に案内する案内部として機能している。すなわち、フューエルリッド12を閉塞するとき、フューエルリッド12が後方向に位置ズレし、ストライカ22が後方向に位置ズレしていた場合、ストライカ22が当該誘導斜面に接触してストライカ用開口42内に誘導され、ストライカガイド121内に誘導される。
【0037】
また、第2係合部123は、第1係合部122と係合孔43との係合部分を支点F(回動中心)として車両用リッドロック装置13(ハウジング53)を給油用開口部11側に回動させたとき、ストライカ用開口42の後端部42aと係合するように配設されている(
図8参照)。そのため、第1係合部122と係合孔43とが係合すれば、車両用リッドロック装置13を回動させるだけで、特段の位置合わせを行うことなく、ストライカ用開口42の後端部42aに第2係合部123を係合させることができるようになっている。
【0038】
図4及び
図5に示すように、ネジ固定部124は、ネジ14を通す通し孔151と、通し孔151の直下においてナット153を収容するナット収容部152と、を有している。給油用開口部11に対する車両用リッドロック装置13の取付けでは、ネジ14を、給油用開口部11の固定孔45及び通し孔151に通しつつ、ネジ14を、ナット収容部152に収容されたナット153に螺合させることで、給油用開口部11に対し車両用リッドロック装置13がネジ止め固定される。すなわち、給油用開口部11に対し車両用リッドロック装置13が本固定される。
【0039】
図5に示すように、シール部材54は、エストラマー(熱可塑性エストラマー)(弾性体)で構成されており、突出部112の上側及び前側において、突出部112と給油用開口部11の装置取付け部41との間の空間を囲うように配設され、突出部112と給油用開口部11の装置取付け部41との間を封止する。すなわち、シール部材54は、突出部112と装置取付け部41との間における空間内外の境界部分を封止して、ストライカ用開口42や係合孔43から、当該空間に入り込んだ水やエンジン用燃料等の液体が、当該空間外に出るのを防止する。これにより、当該液体がボディパネルPの車室内側に入り込むのを防止している。なお、本実施形態では、シール部材54が、突出部112と給油用開口部11の装置取付け部41との間の空間を囲うことで、ラッチ51、第1係合部122及び第2係合部123を囲う構成となっている。また、シール部材54は、射出成型によって形成されている(厳密には、カバー102及びシール部材54は、2色成形によって形成されている)。これに係り、第1係合部122の先端部142には、シール部材54を射出成型する金型を逃げるための半円状の切欠きが形成されている。なお、シール部材54を、発泡ゴムで構成しても良い。
【0040】
(ストライカ用開口、係合孔、排液孔及び固定孔)
次に
図6及び
図7を参照して、給油用開口部11におけるストライカ用開口42、係合孔43、排液孔44及び固定孔45について説明する。
図7に示すように、ストライカ用開口42は、ストライカ22が、給油用開口部11の外側に取り付けられた車両用リッドロック装置13に到達するための開口であり、装置取付け部41から後フランジ37に亘って延在すると共に、ストライカ22が通過可能な幅を有している。また、ストライカ用開口42の幅は、ストライカガイド121のガイド幅(ガイド壁131同士の間隔)よりも幅広に形成されており、ストライカガイド121にガイドされた状態の樹脂製のストライカ22が、板金であるストライカ用開口42の縁に接触しないように構成されている。また、ストライカ用開口42の上端部は、他の部分に比べより幅広に形成されている。これにより、ストライカガイド121にガイドされる前のストライカ22が、ストライカ用開口42の縁に接触するのを防止している。
【0041】
また、
図6に示すように、後フランジ37に形成されたストライカ用開口42の後端部42aは、第2係合部123が係合する第2被係合部となっている。具体的には、ストライカ用開口42の後端部42aの後縁が、第2係合部123の後面と接触する被係合部分となっている。
【0042】
図6及び
図7に示すように、係合孔43は、左右方向を幅方向とする倒立台形状に形成されており、その下端部に第1係合部122が係合する。すなわち、係合孔43は、その下端部が、第1係合部122と略同一幅に形成され、第1係合部122と係合する被係合部分となっており、当該下端部より上側が、当該下端部に連なり且つ当該下端部より幅広に形成され、第1係合部122を挿入する(挿入しやすくした)挿入部分となっている。より言えば、係合孔43の下端部における下縁が、第1係合部122における腕部141の下面と係合する。また、係合孔43の左右縁面は、上記挿入部分に挿入した第1係合部122を幅方向(左右方向)で被係合部分(下端部)に誘導する誘導斜面となっている。係合孔43に第1係合部122を係合させるときには、第1係合部122を係合孔43の上側に挿入した後、給油用開口部11に対して車両用リッドロック装置13を下方に移動させて、第1係合部122を係合孔43の被係合部分に移動させる。このとき、係合孔43の左右縁面が、第1係合部122に接触し第1係合部122を左右方向で誘導することで、幅方向で被係合部分に誘導され、第1係合部122の左右方向の位置が位置合わせされる。これにより、給油用開口部11に対する車両用リッドロック装置13の位置が左右方向で位置合わせされる。
【0043】
図7(a)に示すように、排液孔44は、給油用開口部11と車両用リッドロック装置13との間に空間(ラッチ51の収容部分を含む)に進入した水やエネルギー用燃料等を排液する孔であり、当該空間に面して装置取付け部41上に形成されている。すなわち、排液孔44は、シール部材54によって封止された空間に進入した液体を、給油用開口部11内に排液する。また、排液孔44は、排液を効果的に行うべく、上記空間の鉛直方向の下端部に面して配設されている。本実施形態では、右方向が、鉛直方向の下方向であるため、上記空間の右端部に面して配設されている。
【0044】
図7(b)に示すように、固定孔45は、ネジ14を通す通し孔であり、第1係合部122及び第2係合部123によって給油用開口部11に車両用リッドロック装置13を仮固定したとき、車両用リッドロック装置13の通し孔151と略一致する位置に配設されている。また、同図に示すように、固定孔45の周辺部は、ネジ14の頭部が着座する着座部となっていることが好ましい。
【0045】
(車両用リッドロック装置の取付け方法)
次に
図8を参照して、車両用リッドロック装置13を給油用開口部11の外側に取り付ける車両用リッドロック装置13の取付け方法について説明する。なお、車両用リッドロック装置13の取付けのうち、給油用開口部11の外側から行う作業(第1係合工程及び第2係合工程)は、給油用開口部11に近いボディパネルPの開口部分(例えば、トランク開口)から腕を入れて、ボディパネルPの車室内側から行う。
【0046】
車両用リッドロック装置13の取付けでは、まず、
図8(a)に示すように、係合孔43に第1係合部122を係合させる第1係合工程を行う。第1係合工程では、まず、車両用リッドロック装置13を、装置取付け部41に倣う略直立姿勢に対し上側を後方向に傾けた斜め姿勢にし、その姿勢でシール部材54の下端部を装置取付け部41に押し付けて圧縮させつつ、第1係合部122を係合孔43に挿入する。第1係合部122を係合孔43に挿入したら、車両用リッドロック装置13を下方に移動して、第1係合部122を係合孔43の下端部に係合させる。これにより、第1係合部122の腕部141下面と係合孔43の下縁とが係合して車両用リッドロック装置13の上下方向の位置が位置合わせされると共に、係合孔43の左右縁面による第1係合部122の誘導によって、車両用リッドロック装置13の左右方向の位置が位置合わせされる。
【0047】
第1係合部122を係合孔43の下端部に係合させたら(第1係合工程の後)、
図8(b)に示すように、ストライカ用開口42の後端部42aに第2係合部123を係合させる第2係合工程を行う。第2係合工程では、第1係合部122と係合孔43との係合部分を支点Fとして、車両用リッドロック装置13(ハウジング53)を給油用開口部11側に回動させることで、シール部材54を装置取付け部41及び後フランジ37に押し付けて圧縮させつつ、第2係合部123をストライカ用開口42の後端部42aに係合させる。これにより、第2係合部123の後面とストライカ用開口42の後端部42aの後縁とが係合して車両用リッドロック装置13の後方への回動が規制される。また、車両用リッドロック装置13の回動によって、第1係合部122の先端部142の後面が装置取付け部41の前面に係合する。第1係合部122の先端部142後面と装置取付け部41の前面との係合、及び、第2係合部123とストライカ用開口42の後端部42aとの係合によって、第1係合部122及び第2係合部123の2か所で、車両用リッドロック装置13の前後方向の位置が位置合わせされる。
【0048】
なお、車両用リッドロック装置13を回動したとき、第2係合部123の上端が、ストライカ用開口42の後縁に引っかかることを考慮し、第2係合部123が下方に圧縮変形可能な構成とすることが好ましい。すなわち、車両用リッドロック装置13を回動したとき、第2係合部123の上端がストライカ用開口42の後縁に引っかかるが、第2係合部123が下方に圧縮変形することで、ストライカ用開口42の後縁を超えて、第2係合部123がストライカ用開口42に入り込み、第2係合部123の後面がストライカ用開口42の後縁に係合する。なお、第2係合部123がストライカ用開口42の後縁を超えたとき、クリック音及び/またはクリック感が生じることが好ましい。また、第2係合部123が下方に圧縮変形するのに代えて、第1係合部122の腕部141が下方に湾曲する構成であっても良いし、後フランジ37が上方に撓む構成であっても良い。
【0049】
これらのように、第1係合部122が係合孔43に係合し、第2係合部123がストライカ用開口42の後端部42aに係合することで、車両用リッドロック装置13が給油用開口部11に仮固定される。すなわち、車両用リッドロック装置13の位置が位置合わせされた状態で車両用リッドロック装置13が給油用開口部11に保持される。なお、第1係合部122が係合孔43に係合し、第2係合部123がストライカ用開口42の後端部42aに係合した状態では、給油用開口部11と突出部112との間に位置するシール部材54が弾性体として機能しその復元力がハウジング53に作用する。後フランジ37と突出部112との間に位置するシール部材54の復元力によって、ハウジング53が下方に付勢され、第1係合部122の腕部141が係合孔43の下縁に押し付けられる。これにより、第1係合部122の腕部141と係合孔43との係合状態が維持される。また、後側壁33と突出部112との間に位置するシール部材54の復元力によって、ハウジング53が後方向に付勢され、第1係合部122の先端部142が装置取付け部41に押し付けられると共に、第2係合部123がストライカ用開口42の後端部42aの後縁に押し付けられる。これにより、第1係合部122の先端部142と装置取付け部41との係合状態、及び、第2係合部123とストライカ用開口42の後端部42aとの係合状態が維持される。すなわち、シール部材54の復元力と、第1係合部122及び第2係合部123の給油用開口部11への係合によって、車両用リッドロック装置13が給油用開口部11に保持されている。
【0050】
車両用リッドロック装置13が給油用開口部11に仮固定されたら、
図8(c)に示すように、給油用開口部11に車両用リッドロック装置13をネジ止め固定する本固定工程を行う。本固定工程では、車両用リッドロック装置13が給油用開口部11に仮固定された状態において、ネジ14を、給油用開口部11の固定孔45及び車両用リッドロック装置13の通し孔151に通しつつ、ナット153に螺合させることで、車両用リッドロック装置13を、給油用開口部11の後フランジ37にネジ止め固定する。これにより、車両用リッドロック装置13の取付けを終了する。
【0051】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態によれば、車両用リッドロック装置13が、後側壁33の係合孔43に係合する第1係合部122と、係合孔43と第1係合部122との係合部分を支点Fとして車両用リッドロック装置13(ハウジング53)を回動させたとき、後フランジ37の第2被係合部(ストライカ用開口42の後端部42a)に係合する第2係合部123と、を備えたことで、給油用開口部11が車両のボディパネルPに一体化されている場合において、給油用開口部11の外側に対し車両用リッドロック装置13を容易に取り付けることができる。
【0052】
すなわち、ボディパネルPに一体化されている給油用開口部11の外側に対する車両用リッドロック装置13の取付けでは、給油用開口部11に近いボディパネルPの開口部分から腕を入れて、車両用リッドロック装置13の位置合わせを行う必要があるため、車両用リッドロック装置13の位置合わせが著しく煩雑であり、車両用リッドロック装置13の取付けが煩雑であるという問題があった。
これに対し、上記実施形態では、車両用リッドロック装置13が、後側壁33の係合孔43に係合する第1係合部122と、係合孔43と第1係合部122との係合部分を支点Fとして車両用リッドロック装置13を回動させたとき、後フランジ37の第2被係合部(ストライカ用開口42の後端部42a)に係合する第2係合部123と、を備えたことで、後側壁33の係合孔43に対し第1係合部122を係合しさえすれば、車両用リッドロック装置13を回動させるだけで、後フランジ37に第2係合部123を係合させることができ、車両用リッドロック装置13の位置合わせを行うことができる(仮固定できる)。そのため、ボディパネルPに一体化されている給油用開口部11の外側に対する車両用リッドロック装置13の取付けを容易に行うことができる。
【0053】
また、上記実施形態によれば、車両用リッドロック装置13を給油用開口部11に仮固定した状態で、給油用開口部11に対する車両用リッドロック装置13のネジ止め固定(本固定)を行う構成であるため、車両用リッドロック装置13をネジ止め固定する際、ボディパネルPの車室内側から車両用リッドロック装置13を支える必要がなく、車両用リッドロック装置13のネジ止め固定を容易に行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態によれば、車両用リッドロック装置13を、給油用開口部11の外側(ボディパネルPの車室内側)に取り付ける構成であるため、車両用リッドロック装置13の機構部(例えばラッチ51)が給油用開口部11内に露出するのを避けることができ、利用者が、車両用リッドロック装置13の機構部を触るのを極力防止することができる。例えば、フューエルリッド12の開閉検出を、車両用リッドロック装置13における係合子(本実施形態におけるラッチ51)の位置に基づいて行う場合、利用者が係合子を弄ることで、正常な開閉検出を行うことができなくなってしまうという事態が生じるが、このような利用者が係合子を弄るといった事態を極力防止することができる。
【0055】
また、上記実施形態によれば、装置取付け部41と車両用リッドロック装置13との間の空間を囲うシール部材54を設けたことで、ストライカ用開口42や係合孔43から上記空間に入り込んだ水やエネルギー用燃料等の液体が、ボディパネルPの車室内側に入り込んでしまうのを防止することができる。
【0056】
また、上記実施形態によれば、車両用リッドロック装置13を給油用開口部11に取り付ける際、第1係合部122と係合孔43との係合部分を支点Fとして給油用開口部11側に回動させて取り付ける構成であるため、突出部112の前側に位置するシール部材54を、後側壁33に押し付けて圧縮させつつ、突出部112の上側に位置するシール部材54を、後フランジ37に押し付けて圧縮させることができる。これにより、シール部材54を適切に圧縮することができるので、シール部材54による封止性を向上させることができる。
【0057】
また、上記実施形態によれば、係合孔43を、第1係合部122が係合する第1被係合部とする構成であるため、板金である装置取付け部41に孔抜き加工を行うだけで、容易に第1被係合部を形成することができる。また、係合孔43から、係合孔43に係合した第1係合部122を視認することができるため、第1係合部122が第1被係合部に係合したことを、ボディパネルPの車室外側から確認することができる。
【0058】
また、上記実施形態によれば、係合孔43が、第1係合部122と係合する係合部分(下端部)と、係合部分に連なり且つ係合部分より幅広の挿入部分と、を有することで、第1係合部122を容易に挿入することができ且つ第1係合部122を係合したとき、幅方向(左右方向)の位置決めを行うことができる。
【0059】
また、上記実施形態によれば、係合孔43の左右縁面が、第1係合部122を左右方向に誘導する誘導斜面となっているため、車両用リッドロック装置13の左右方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0060】
また、上記実施形態によれば、ストライカ用開口42の後端部42aを、第2係合部123が係合する第2被係合部とする構成であるため、第2被係合部を別途設ける必要がなく、給油用開口部11を簡単な構成にすることができる。
【0061】
また、上記実施形態によれば、第2係合部123が、後フランジ37に対し上側(給油用開口部11の開放側)に突出して形成され、第2係合部123に、後フランジ37から突出した位置において、ストライカ22をストライカ用開口42内に案内する誘導斜面123aが形成されていることで、フューエルリッド12を閉塞するときに、フューエルリッド12が後方向に位置ズレし、ストライカ22が後方向に位置ズレしていた場合にも、第2係合部123によって、ストライカ22をストライカガイド121内に誘導させることができる。そのため、フューエルリッド12の後方向への位置ズレによって、フューエルリッド12が正常に閉塞できない事態を避けることができる。そして、樹脂製の第2係合部123によって、樹脂製のストライカ22をストライカ用開口42内に案内する構成であるため、樹脂製のストライカ22が、板金であるストライカ用開口42の縁に接触するのを避けることができる。これにより、ストライカ22が破損するのを防止することができる。
【0062】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態においては、給油用開口部11と車両用リッドロック装置13との間の空間(ラッチ51の収容部分を含む)の排液を、給油用開口部11に設けられた排液孔44によって行う構成であったが、
図9に示すように、車両用リッドロック装置13において、突出部112の右端部(鉛直方向下端部)に取り付けられ、上記空間とボディパネルPの車室外とを連通するドレンホース161を設ける構成であっても良い。
【0064】
また、上記実施形態においては、装置取付け部41に開口した係合孔43を、第1係合部122が係合する第1被係合部とする構成であったが、これに限るものではない。例えば、装置取付け部41から突出した突起等を、第1被係合部とする構成であっても良い。
【0065】
また、上記実施形態においては、後フランジ37に形成されたストライカ用開口42の後端部42aを、第2係合部123が係合する第2被係合部とする構成であったが、これに限るものではない。例えば、別途、後フランジ37に開口した孔を、第2被係合部とする構成であっても良いし、後フランジ37から突出した突起等を、第2被係合部とする構成であっても良い。
【0066】
また、上記実施形態においては、第1係合部122及び第2係合部123をカバー102に形成する構成であったが、第1係合部122及び/又は第2係合部123をケース101に形成する構成であっても良い。
【0067】
また、上記実施形態においては、揺動自在のラッチ51がストライカ22と係合してフューエルリッド12を閉状態でロック(保持)する車両用リッドロック装置13に、本発明を適用したが、進退動自在のロッド状のロック部材(係合子)がフューエルリッド12(リッド本体21又はストライカ22)と係合してフューエルリッド12を閉状態でロック(保持)する車両用リッドロック装置13に、本発明を適用しても良い。
【0068】
また、上記実施形態においては、給油用開口部11及びフューエルリッド12を備えた給油部構造1に、本発明を適用したが、供給用開口部及びリッドを備えた供給部構造であれば、これに限るものではない。例えば、車両に設けられ、充電ポートを収容した充電用開口部と、充電用開口部を開閉する充電用リッドと、を備えた充電部構造に、本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0069】
1:給油部構造、 11:給油用開口部、 12:フューエルリッド、 13:車両用リッドロック装置、 21:リッド本体、 22:ストライカ、 33:後側壁、 37:後フランジ、 42:ストライカ用開口、 42a:後端部、 43:係合孔、 51:ラッチ、 52:ロック機構、 53:ハウジング、 54:シール部材、 122:第1係合部、 123:第2係合部、 123a:誘導斜面、 124:ネジ固定部、 P:ボディパネル