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特開2022-135787炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
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  • 特開-炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法 図1
  • 特開-炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法 図2
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  • 特開-炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135787
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220908BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20220908BHJP
   H01L 21/322 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H01L29/78 658H
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/78 652C
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 655A
H01L29/78 652G
H01L29/91 J
H01L29/91 F
H01L29/91 D
H01L21/322 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035840
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】市川 義人
(57)【要約】
【課題】所定オン抵抗および所定耐圧を安定して得ることができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】n-型エピタキシャル層で構成されたn-型ドリフト領域のn型不純物濃度がn-型ドリフト領域の狙いの多数キャリア濃度(設計値)よりも高い半導体ウエハに対して、ゲート電極の形成後のいずれかのタイミングで粒子線照射を行う。この粒子線照射により、粒子線の照射量に応じた欠陥密度で点欠陥をn-型ドリフト領域の内部に発生させることで、n-型ドリフト領域のn型不純物濃度に対してn-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度を低く調整して狙いの多数キャリア濃度に近づける。n-型ドリフト領域となるn-型エピタキシャル層の形成後にn-型ドリフト領域のn型不純物濃度を測定してもよいし、n-型ドリフト領域となるn-型エピタキシャル層を設計値よりも高いn型不純物濃度で形成してもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる出発基板と、
前記出発基板のおもて面に設けられた第1導電型エピタキシャル層と、
前記第1導電型エピタキシャル層の上に設けられた第2導電型エピタキシャル層と、を備え、前記第2導電型エピタキシャル層と前記第1導電型エピタキシャル層とのpn接合を通る主電流が流れる炭化珪素半導体装置であって、
前記第1導電型エピタキシャル層は、粒子線の照射量に応じた欠陥密度で点欠陥を含み、第1導電型不純物濃度に対して実効的な多数キャリア濃度が低くなっていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度は、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して70%以上100%未満であることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度は、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して10%以内で低くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記粒子線は、ヘリウム、プロトンまたは電子線であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記第1導電型エピタキシャル層および前記出発基板の全体に前記点欠陥を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
前記第2導電型エピタキシャル層の内部に設けられた第1導電型領域と、
前記第2導電型エピタキシャル層の、前記第1導電型領域を除く部分である第2導電型領域と、
前記第2導電型領域の、前記第1導電型領域と前記第1導電型エピタキシャル層との間の領域に接して設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2導電型領域の反対側に設けられたゲート電極と、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に電気的に接続された第1電極と、
前記出発基板の裏面に設けられた第2電極と、
を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項7】
炭化珪素からなる出発基板のおもて面に、第1導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第1工程と、
前記第1導電型エピタキシャル層の上に、第2導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第2工程と、
前記第2導電型エピタキシャル層の内部に第1導電型領域を形成して、前記第2導電型エピタキシャル層の、前記第1導電型領域を除く部分を第2導電型領域とする第3工程と、
前記第2導電型領域の、前記第1導電型領域と前記第1導電型エピタキシャル層との間の領域に接するゲート絶縁膜を形成する第4工程と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2導電型領域の反対側にゲート電極を形成する第5工程と、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に電気的に接続された第1電極を形成する第6工程と、
前記出発基板の裏面に第2電極を形成する第7工程と、
を含み、
前記第1工程の後、前記第2工程の前に、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度を測定する測定工程を行い、
前記測定工程で測定した前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度が所定の設計値よりも高い場合、前記第5工程以降に、前記第1導電型エピタキシャル層に粒子線を照射して、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を低くして前記設計値に近づける調整工程を行うことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項8】
炭化珪素からなる出発基板のおもて面に、第1導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第1工程と、
前記第1導電型エピタキシャル層の上に、第2導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第2工程と、
前記第2導電型エピタキシャル層の内部に第1導電型領域を形成して、前記第2導電型エピタキシャル層の、前記第1導電型領域を除く部分を第2導電型領域とする第3工程と、
前記第2導電型領域の、前記第1導電型領域と前記第1導電型エピタキシャル層との間の領域に接するゲート絶縁膜を形成する第4工程と、
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2導電型領域の反対側にゲート電極を形成する第5工程と、
前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に電気的に接続された第1電極を形成する第6工程と、
前記出発基板の裏面に第2電極を形成する第7工程と、
を含み、
前記第1工程では、所定の設計値よりも高い第1導電型不純物濃度で前記第1導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させ、
前記第5工程以降に、前記第1導電型エピタキシャル層に粒子線を照射して、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を低くして前記設計値に近づける調整工程を行うことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記調整工程では、前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して70%以上100%未満にすることを特徴とする請求項7または8に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記調整工程では、前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して10%以内で低くすることを特徴とする請求項7~9のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記調整工程では、前記粒子線としてヘリウム、プロトンまたは電子線を用いることを特徴とする請求項7~10のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記調整工程では、前記粒子線の照射後に、350℃以上400℃以下の温度の熱処理を行うことを特徴とする請求項7~11のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記調整工程では、前記熱処理を30分間以上60分間以下で行うことを特徴とする請求項12に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記調整工程の前記熱処理の後、400℃以上の温度での加熱工程を含まないことを特徴とする請求項12または13に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭化珪素(SiC)を半導体材料とする炭化珪素半導体装置では、ドリフト領域を所定導電型の不純物(ドーパント)をドープしてエピタキシャル成長させることで形成する。従来の炭化珪素半導体装置の製造方法について、nチャネル型の縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)を製造する場合を例に説明する。
【0003】
図8は、従来の炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。まず、n+型ドレイン領域となるn+型出発ウエハを用意する。次に、n+型出発ウエハ上に、n-型ドリフト領域およびp型ベース領域となる各エピタキシャル層を順にエピタキシャル成長させる(ステップS101)。ここまでの工程により、p型ベース領域となるp型エピタキシャル層側の主面をおもて面とし、n+型出発ウエハ側の主面を裏面とする半導体ウエハが完成する。
【0004】
次に、イオン注入により、半導体ウエハの個々のチップ領域において活性領域に、n+型ソース領域およびp++型コンタクト領域等の所定の拡散領域を形成する(ステップS102)。次に、半導体ウエハの個々のチップ領域において活性領域の周囲を囲むエッジ終端領域に、所定の耐圧構造を形成する(ステップS103)。次に、MOSゲート(金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート)を形成する(ステップS104)。次に、半導体ウエハのおもて面に層間絶縁膜を形成する(ステップS105)。
【0005】
次に、層間絶縁膜を選択的に除去して、n+型ソース領域およびp++型コンタクト領域を露出するコンタクトホールを形成する。次に、層間絶縁膜のコンタクトホールにおいて半導体ウエハにオーミック接触するオーミック電極を形成する(ステップS106)。次に、半導体ウエハの両主面にそれぞれおもて面電極および裏面電極を形成する(ステップS107,S108)。その後、半導体ウエハを切断(ダイシング)して個々の半導体チップに個片化することで、従来の炭化珪素半導体装置が完成する。
【0006】
ステップS101の処理において、エピタキシャル層のエピタキシャル成長温度が1600℃程度と高温度である。このため、n-型ドリフト領域の多数キャリア(ドナー)濃度のばらつきが大きくなる。例えば、窒素(N)をドープしてエピタキシャル成長させることで形成したn-型ドリフト領域の多数キャリア濃度は、狙いの多数キャリア濃度(設計値)から、半導体チップ(炭化珪素半導体装置を構成する半導体基板)の面内で±5%程度ばらつき、半導体ウエハの面内で±10%程度ばらつく。
【0007】
したがって、n-型ドリフト領域の多数キャリア濃度は、同一の半導体ウエハから個片化された半導体チップ間で狙いの多数キャリア濃度から±15%程度ばらつく。一方、シリコン(Si)を半導体材料とした場合、炭化珪素を半導体材料とした場合と比べてエピタキシャル成長温度が低い。このため、窒素をドープしてエピタキシャル成長させることで形成したn-型ドリフト領域の多数キャリア濃度のばらつきは、同一の半導体ウエハから個片化された半導体チップ間で狙いの多数キャリア濃度から±7%程度と小さい。
【0008】
従来の炭化珪素半導体装置として、n-型ドリフト領域を、少数キャリアとなる正孔のライフタイムを1μsec以下としたn-型エピタキシャル層で構成したMOSFETが提案されている(例えば、下記特許文献1,2参照。)。下記特許文献1,2では、イオン注入による拡散領域の形成後、ゲートトレンチの形成前に、1700℃以上の温度でのアニールもしくは電子線や陽電子線の照射、またはヘリウムイオン(He+)照射およびアニールを行って、n-型ドリフト領域の少数キャリアのライフタイムを短くしている。
【0009】
シリコンを半導体材料とした従来の半導体装置として、n-ドリフト領域の内部に、プロトン(H+)照射およびアニールによりブロードバッファ構造を形成した装置が提案されている(例えば、下記特許文献3参照。)。下記特許文献3では、n-ドリフト領域の内部にネットドーピング濃度が最大となる深さ位置から半導体基板の両主面にそれぞれ向かうにしたがって減少するネットドーピング濃度分布を有するブロードバッファ領域を配置することで、n-ドリフト領域の比抵抗のばらつきを低減している。
【0010】
シリコンを半導体材料とした従来の別の半導体装置として、n-ドリフト領域に、プロトン照射によりn-ドリフト領域の深さ方向の全域にわたって水素を導入した装置が提案されている(例えば、下記特許文献4参照。)。下記特許文献4では、ドリフト領域に深さ方向の全域にわたって水素を導入して、ドリフト領域の水素濃度をn-ドリフト領域のドナー濃度よりも高くすることで、n-ドリフト領域の多数キャリア濃度を高くしてn-ドリフト領域の比抵抗を調整し、高耐圧を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2019-140242号公報
【特許文献2】特開2019-080035号公報
【特許文献3】特許第5569532号公報
【特許文献4】特開2007-266233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来の炭化珪素半導体装置の製造方法(図8参照)では、エピタキシャル成長温度等でn-ドリフト領域となるエピタキシャル層の多数キャリア濃度のばらつきを小さくすることができるが、エピタキシャル成長温度の制御には限界がある。上記特許文献1~4には、炭化珪素を半導体材料とした場合において、粒子線照射によって変化するn-ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度について言及されていない。
【0013】
-ドリフト領域の多数キャリア濃度のばらつきは、炭化珪素半導体装置のオン抵抗のばらつきや耐圧のばらつきにつながる。特に、高温環境下で使用する炭化珪素半導体装置のオン抵抗に対して、n-ドリフト領域の多数キャリア濃度のばらつきによる悪影響が大きくなる。また、n-ドリフト領域の厚さが厚くなるほど、n-ドリフト領域の多数キャリア濃度のばらつきによる悪影響が大きくなる。
【0014】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、所定オン抵抗および所定耐圧を安定して得ることができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、第2導電型エピタキシャル層と第1導電型エピタキシャル層とのpn接合を通る主電流が流れる炭化珪素半導体装置であって、次の特徴を有する。前記第1導電型エピタキシャル層は、炭化珪素からなる出発基板のおもて面に設けられている。前記第1導電型エピタキシャル層は、粒子線の照射量に応じた欠陥密度で点欠陥を含み、第1導電型不純物濃度に対して実効的な多数キャリア濃度が低くなっている。前記第2導電型エピタキシャル層は、前記第1導電型エピタキシャル層の上に設けられている。
【0016】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度は、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して70%以上100%未満であることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度は、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して10%以内で低くなっていることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記粒子線は、ヘリウム、プロトンまたは電子線であることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1導電型エピタキシャル層および前記出発基板の全体に前記点欠陥を含むことを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、第1導電型領域、第2導電型領域、ゲート絶縁膜、ゲート電極、第1電極および第2電極を備える。前記第1導電型領域は、前記第2導電型エピタキシャル層の内部に設けられている。前記第2導電型領域は、前記第2導電型エピタキシャル層の、前記第1導電型領域を除く部分である。前記ゲート絶縁膜は、前記第2導電型領域の、前記第1導電型領域と前記第1導電型エピタキシャル層との間の領域に接して設けられている。前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2導電型領域の反対側に設けられている。前記第1電極は、前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に電気的に接続されている。前記第2電極は、前記出発基板の裏面に設けられていることを特徴とする。
【0021】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる出発基板のおもて面に、第1導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第1工程を行う。前記第1導電型エピタキシャル層の上に、第2導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第2工程を行う。前記第2導電型エピタキシャル層の内部に第1導電型領域を形成して、前記第2導電型エピタキシャル層の、前記第1導電型領域を除く部分を第2導電型領域とする第3工程を行う。前記第2導電型領域の、前記第1導電型領域と前記第1導電型エピタキシャル層との間の領域に接するゲート絶縁膜を形成する第4工程を行う。
【0022】
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2導電型領域の反対側にゲート電極を形成する第5工程を行う。前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に電気的に接続された第1電極を形成する第6工程を行う。前記出発基板の裏面に第2電極を形成する第7工程を行う。前記第1工程の後、前記第2工程の前に、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度を測定する測定工程を行う。前記測定工程で測定した前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度が所定の設計値よりも高い場合、前記第5工程以降に、前記第1導電型エピタキシャル層に粒子線を照射して、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を低くして前記設計値に近づける調整工程を行う。
【0023】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。炭化珪素からなる出発基板のおもて面に、第1導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第1工程を行う。前記第1導電型エピタキシャル層の上に、第2導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる第2工程を行う。前記第2導電型エピタキシャル層の内部に第1導電型領域を形成して、前記第2導電型エピタキシャル層の、前記第1導電型領域を除く部分を第2導電型領域とする第3工程を行う。前記第2導電型領域の、前記第1導電型領域と前記第1導電型エピタキシャル層との間の領域に接するゲート絶縁膜を形成する第4工程を行う。
【0024】
前記ゲート絶縁膜を挟んで前記第2導電型領域の反対側にゲート電極を形成する第5工程を行う。前記第1導電型領域および前記第2導電型領域に電気的に接続された第1電極を形成する第6工程を行う。前記出発基板の裏面に第2電極を形成する第7工程を行う。前記第1工程では、所定の設計値よりも高い第1導電型不純物濃度で前記第1導電型エピタキシャル層をエピタキシャル成長させる。前記第5工程以降に、前記第1導電型エピタキシャル層に粒子線を照射して、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を低くして前記設計値に近づける調整工程を行う。
【0025】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記調整工程では、前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して70%以上100%未満にすることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記調整工程では、前記第1導電型エピタキシャル層の実効的な多数キャリア濃度を、前記第1導電型エピタキシャル層の第1導電型不純物濃度に対して10%以内で低くすることを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記調整工程では、前記粒子線としてヘリウム、プロトンまたは電子線を用いることを特徴とする。
【0028】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記調整工程では、前記粒子線の照射後に、350℃以上400℃以下の温度の熱処理を行うことを特徴とする。
【0029】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記調整工程では、前記熱処理を30分間以上60分間以下で行うことを特徴とする。
【0030】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記調整工程の前記熱処理の後、400℃以上の温度での加熱工程を含まないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、n-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度のばらつきを低減させることができるため、所定オン抵抗および所定耐圧を安定して得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置が製造された半導体ウエハをおもて面側から見た状態を示す平面図である。
図2】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図3図2の活性領域の断面構造を示す断面図である。
図4】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
図5】実験例のn-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度と粒子線照射との関係を示す特性図である。
図6】実験例のn-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度と粒子線照射との関係を示す特性図である。
図7】実験例のn-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度と粒子線照射との関係を示す特性図である。
図8】従来の炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0034】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造について、トレンチゲート構造のnチャネル型の縦型MOSFETを例に説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置が製造された半導体ウエハをおもて面側から見た状態を示す平面図である。図2は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板(半導体チップ)のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図2には、図1の1つのチップ領域51の切断後の状態を示している。図3は、図2の活性領域の断面構造を示す断面図である。
【0035】
図2,3に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10は、後述する実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の製造方法(図4参照)により、炭化珪素(SiC)を半導体材料として用いた半導体ウエハ50の略中央部の各チップ領域51(図1参照)にそれぞれ作製(製造)され、半導体基板(半導体チップ)30に個片化されてなる。チップ領域51とは、半導体ウエハ50のダイシング(切断)により個片化されて半導体基板30となる部分であり、半導体ウエハ50に複数配置されている。
【0036】
半導体ウエハ50の複数のチップ領域51は、例えば、略矩形状の平面形状を有し、マトリクス状に配置されて、チップ領域51の周囲を格子状に囲むダイシングライン52に沿って半導体ウエハ50が切断されることで個片化される。同一の半導体ウエハ50から個片化されたすべての半導体基板30は、同一工程でエピタキシャル成長されて積層されたエピタキシャル層32~34(図3参照)を有し、同一工程で形成された同一の素子構造(ここではトレンチゲート構造:図3参照)を有する。
【0037】
具体的には、図2,3に示す実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10は、活性領域41において、炭化珪素からなる半導体基板30のおもて面側に、トレンチゲート構造を備えたnチャネル型の縦型MOSFETである。活性領域41は、MOSFETがオン状態のときに主電流(ドリフト電流)が流れる領域であり、MOSFETの同一構造の複数の単位セル(素子の機能単位)が隣接して配置される。活性領域41は、例えば半導体基板30の略中央に配置され、エッジ終端領域42に周囲を囲まれている。
【0038】
エッジ終端領域42は、活性領域41と半導体基板30の端部との間の領域である。エッジ終端領域42は、半導体基板30のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。エッジ終端領域42には、フィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)、接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造又はガードリング等の耐圧構造(不図示)が配置される。耐圧とは、炭化珪素半導体装置10が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
【0039】
半導体基板30は、炭化珪素からなるn+型出発基板31のおもて面上にn型バッファ領域2a、n-型ドリフト領域2bおよびp型ベース領域(第2導電型領域)4となる各エピタキシャル層32~34を順にエピタキシャル成長させてなる。半導体基板30の、p型エピタキシャル層(第2導電型エピタキシャル層)34側の主面をおもて面とし、n+型出発基板31側の主面(n+型出発基板31の裏面)を裏面とする。n+型出発基板31は、n+型ドレイン領域1である。エピタキシャル層32~34は、一般的なエピタキシャル装置を用いてエピタキシャル成長される。
【0040】
n型バッファ領域2aは、p型ベース領域4とn-型ドリフト領域2bとのpn接合界面で発生したホール(正孔)がn型バッファ領域2a内で再結合してn+型出発基板31に到達することを防止する機能を有する。また、n型バッファ領域2aは、n+型出発基板31からエピタキシャル層32~34での積層欠陥の成長を抑制する機能を有する。n型バッファ領域2aを設けない場合、n+型出発基板31のおもて面上にn-型ドリフト領域2bとなるn-型エピタキシャル層(第1導電型エピタキシャル層)33がエピタキシャル成長される。
【0041】
-型ドリフト領域2bは、ヘリウム(He)、プロトン(H+)または電子線等の粒子線が照射(後述するステップS6参照)されることで発生する点欠陥を含む。この粒子線照射によりn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア(ドナー)濃度は調整され、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度よりも低くなっている。n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度とは、n-型エピタキシャル層33にエピタキシャル成長時にドープされたn型不純物(n型ドーパント)の濃度である。
【0042】
-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度とは、n-型エピタキシャル層33にエピタキシャル成長時にドープされたn型不純物(n型ドーパント)のうち電気的に活性化した状態にあるn型不純物(ドナー)の濃度である。仮に粒子線照射を行わない場合、n-型エピタキシャル層33にエピタキシャル成長時にドープされたn型不純物のほぼすべてが電気的に活性化した状態にあるため、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度はn-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度とほぼ等しい。
【0043】
したがって、粒子線照射を行わない場合、従来方法(図8参照)と同様に、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度は、狙いの多数キャリア濃度(設計値)から、半導体チップ(半導体基板30)の面内で±5%程度ばらついた状態であり、半導体ウエハ50の面内で±10%程度ばらついた状態である。したがって、従来方法と同様に、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度は、同一の半導体ウエハ50から個片化された半導体チップ間で狙いの多数キャリア濃度から±15%程度ばらつく。
【0044】
そこで、本実施の形態においては、n-型ドリフト領域2b(n-型エピタキシャル層33)のn型不純物濃度がn-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度よりも高い半導体ウエハ50に対して粒子線照射を行うことで、n-型ドリフト領域2bの実効的なキャリア濃度が低くなるように調整する。n-型ドリフト領域2bは、この粒子線照射により発生した点欠陥を粒子線の照射量に応じた欠陥密度で含む。この粒子線照射によりn-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度は変化しないが、n-型ドリフト領域2bの実効的なキャリア濃度は、粒子線の照射量が増えるほど減少する。
【0045】
例えば、粒子線照射により、半導体ウエハ50の面内でのn-型ドリフト領域2bの実効的なキャリア濃度のばらつき(狙いの多数キャリア濃度から+10%程度)がなくなるように、n-型ドリフト領域2bの実効的なキャリア濃度を低く調整することができる。この場合、n-型ドリフト領域2bは、n型不純物濃度に対して実効的なキャリア濃度が10%以内程度で低くなる。このため、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを、半導体チップの面内でのばらつき(狙いの多数キャリア濃度から+5%程度)のみにすることができる。
【0046】
具体的には、例えば、n-型ドリフト領域2bに2×1011/cm2程度のドーズ量でヘリウムを照射した場合、ヘリウム照射によるn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の減少量は半導体ウエハ50の面内で7%程度である(後述する図5参照)。このため、従来方法(+15%程度のばらつき)と比べて、同一の半導体ウエハ50から個片化された半導体チップ間でのn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを狙いの多数キャリア濃度から+8%(=15%-7%)程度にすることができる。
【0047】
例えば、n-型ドリフト領域2bに1×1012/cm2程度のドーズ量でプロトンを照射した場合、プロトン照射によるn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の減少量は半導体ウエハ50の面内で6%程度である(後述する図6参照)。このため、従来方法(+15%程度のばらつき)と比べて、同一の半導体ウエハ50から個片化された半導体チップ間でのn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを狙いの多数キャリア濃度から+9%(=15%-6%)程度にすることができる。
【0048】
例えば、n-型ドリフト領域2bに300kGy程度の吸収線量で電子線を照射した場合、電子線照射によるn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の減少量は半導体ウエハ50の面内で5%程度である(後述する図7参照)。このため、従来方法(+15%程度のばらつき)と比べて、同一の半導体ウエハ50から個片化された半導体チップ間でのn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを狙いの多数キャリア濃度から+10%(=15%-5%)程度にすることができる。
【0049】
粒子線の照射量(ヘリウム照射のドーズ量、プロトン照射のドーズ量、電子線照射の吸収線量)を多くするほど、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度を低くすることができるが、n-型ドリフト領域2bの内部の点欠陥が多くなる。これによって、n-型ドリフト領域2bの電気抵抗が高くなるため、炭化珪素半導体装置10のオン抵抗が高くなってしまう。このため、粒子線の照射量を適宜設定して、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度が減少しすぎないことがよい。
【0050】
具体的には、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度は、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度に対して例えば70%以上100%未満程度であることがよい。これにより、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを、狙いの多数キャリア濃度からの増加分が従来方法よりも小さい+15%未満で、かつ狙いの多数キャリア濃度からの減少分が従来方法と同じ-15%以内程度に抑えることができるとともに、粒子線照射による効果とオン抵抗の増加抑制とのバランスをとることができる。
【0051】
-型ドリフト領域2bは、p型ベース領域4とn型バッファ領域2aとの間に、これらの領域に接して設けられている。n-型エピタキシャル層33の内部に後述するn型電流拡散領域3および第1,2p+型領域21,22が設けられている場合、n-型ドリフト領域2bは、n-型エピタキシャル層33の、n型電流拡散領域3および第1,2p+型領域21,22を除く部分であり、n型電流拡散領域3および第1,2p+型領域21,22とn型バッファ領域2aとの間に、これらの領域に接して設けられている。
【0052】
p型ベース領域4は、p型エピタキシャル層34の、後述するn++型ソース領域(第1導電型領域)5および後述するp++型コンタクト領域6を除く部分である。p型ベース領域4は、半導体基板30のおもて面とn-型ドリフト領域2bとの間に設けられている。n-型ドリフト領域2bとp型ベース領域4との間に、これらの領域に接して、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CSL:Current Spreading Layer)であるn型電流拡散領域3が設けられてもよい。
【0053】
n型電流拡散領域3は、後述するトレンチ7の底面よりもn+型ドレイン領域1側に深い位置に達する。n型電流拡散領域3は、n-型エピタキシャル層33の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。n型電流拡散領域3がn-型エピタキシャル層33とp型エピタキシャル層34との間に堆積されるn型エピタキシャル層である場合、n-型ドリフト領域2bと同様に粒子線照射によりn型電流拡散領域3の実効的な多数キャリア濃度を低くして、n型電流拡散領域3のn型不純物濃度よりも低くしてもよい。
【0054】
トレンチゲート構造は、p型ベース領域4、n++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6と、後述するトレンチ(ゲートトレンチ)7、ゲート絶縁膜8およびゲート電極9からなるMOSゲートと、で構成される。n++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、p型エピタキシャル層34の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。n++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、半導体基板30のおもて面とp型ベース領域4との間にそれぞれ選択的に設けられている。
【0055】
++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、p型ベース領域4に接し、かつ後述する層間絶縁膜11のコンタクトホールにおいて半導体基板30のおもて面に露出されている。半導体基板30のおもて面に露出とは、層間絶縁膜11のコンタクトホールで後述するオーミック電極(第1電極)13に接することである。p++型コンタクト領域6は設けられていなくてもよい。p++型コンタクト領域6が設けられていない場合、p++型コンタクト領域6に代えて、p型ベース領域4が半導体基板30のおもて面に露出される。
【0056】
p型ベース領域4とn-型ドリフト領域2bとの間において、トレンチ7の底面よりもn+型ドレイン領域1側に深い位置に、第1,2p+型領域21,22が設けられていてもよい。第1,2p+型領域21,22は、n-型エピタキシャル層33の内部(またはn型電流拡散領域3を構成するn型エピタキシャル層の内部)にイオン注入により形成された拡散領域である。第1,2p+型領域21,22は、トレンチ7の底面にかかる電界を緩和させる機能を有する。
【0057】
第1p+型領域21は、p型ベース領域4と離れて設けられ、深さ方向にトレンチ7の底面に対向する。第1p+型領域21は、図示省略する部分でオーミック電極13に電気的に接続されてもよい。第1p+型領域21は、トレンチ7の底面を囲み、トレンチ7の底面に露出されてもよい。トレンチ7の底面に露出とは、トレンチ7の底面でゲート絶縁膜8に接することである。第2p+型領域22は、互いに隣り合うトレンチ7間に、第1p+型領域21およびトレンチ7と離れて設けられ、かつp型ベース領域4に接する。
【0058】
トレンチ7は、n++型ソース領域5およびp型ベース領域4を貫通してn型電流拡散領域3(n型電流拡散領域3が設けられていない場合はn-型ドリフト領域2b)に達する。トレンチ7の内部には、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極9が設けられている。層間絶縁膜11は、半導体基板30のおもて面に設けられ、ゲート電極9を覆う。層間絶縁膜11と後述するおもて面電極(第1電極)14との間の全面に、例えばおもて面電極14側からゲート電極9側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル(第1電極)12が設けられてもよい。
【0059】
オーミック電極13は、層間絶縁膜11のコンタクトホールにおいて半導体基板30のおもて面に設けられ、n++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6(p++型コンタクト領域6を設けない場合は、p++型コンタクト領域6に代えてp型ベース領域4)にオーミック接触するシリサイド膜である。オーミック電極13は、p型ベース領域4、n++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6に電気的に接続されている。バリアメタル12、オーミック電極13およびおもて面電極14は、ソース電極として機能する。
【0060】
おもて面電極14は、層間絶縁膜11のコンタクトホールを埋め込むように、活性領域41において半導体基板30のおもて面の略全面に設けられている。おもて面電極14は、オーミック電極13を介してp型ベース領域4、n++型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6に電気的に接続されている。裏面電極(第2電極)15は、半導体基板30の裏面(n+型出発基板31の裏面)全面に設けられ、n+型ドレイン領域1に電気的に接続されている。裏面電極15は、ドレイン電極として機能する。
【0061】
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の製造方法について説明する。図4は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。まず、炭化珪素からなるn+型出発ウエハ(半導体ウエハ)を用意する。このn+型出発ウエハは、半導体ウエハ50のダイシング後にn+型出発基板31(n+型ドレイン領域1)となる部分である(図1~3参照)。次に、n+型出発ウエハのおもて面に、n型バッファ領域2aとなるn型エピタキシャル層32をエピタキシャル成長させる。
【0062】
次に、n型エピタキシャル層32の上に、n-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度となるように窒素(N)等のn型不純物をドープしたn-型エピタキシャル層33をエピタキシャル成長させる(ステップS1:第1工程)。このステップS1の処理の段階においては、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度はn-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度と等しい。このため、n-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度と同じn型不純物濃度となるようにn-型エピタキシャル層33を形成すればよい。
【0063】
次に、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度(すなわちn-型エピタキシャル層33のn型不純物濃度)を測定する(ステップS2:測定工程)。ステップS2の処理時、n-型エピタキシャル層33の表面が露出されているため、n-型エピタキシャル層33のn型不純物濃度を正確に測定することができる。n-型エピタキシャル層33のn型不純物濃度は、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)でイオンを照射して該イオンと固体表面の分子・原子レベルでの衝突によって発生するイオンを質量分析計で検出する表面計測、赤外分光法で低周波領域のスペクトル形状を解析することでキャリア濃度を測定、または水銀CV(容量―電圧)測定で容量と電圧からキャリア濃度を測定等の一般的な表面分析法を用いて測定すればよい。
【0064】
ステップS2の処理においては、例えば、n-型エピタキシャル層33の無効領域53(図1参照)の部分でn型不純物濃度を測定してもよいし、複数のチップ領域51のうちのいずれかを不純物濃度測定用の領域としてもよい。無効領域53とは、半導体ウエハ50の最も外側のチップ領域51と半導体ウエハ50の端部との間の、半導体基板30(図2参照)として用いない部分である。または、ステップS1の処理と同じ条件でn-型エピタキシャル層33をエピタキシャル成長させた不純物測定用の試料を用意してもよい。
【0065】
n型電流拡散領域3および第1,2p+型領域21,22を形成する場合、ステップS1の処理後、後述するステップS3の処理前に、これらの領域を形成するための各イオン注入をそれぞれ任意の順番でn-型エピタキシャル層33に行えばよい。n-型エピタキシャル層33を複数回に分けてエピタキシャル成長させるごとにイオン注入を行って、n-型エピタキシャル層33とp型エピタキシャル層34との界面から深い位置に達するn型電流拡散領域3および第1,2p+型領域21,22を形成してもよい。
【0066】
次に、n-型エピタキシャル層33の上に、アルミニウム(Al)等のp型不純物をドープしたp型エピタキシャル層34をエピタキシャル成長させる。ここまでの工程により、n+型出発ウエハ(n+型出発基板31となる部分)のおもて面にn型エピタキシャル層32、n-型エピタキシャル層33およびp型エピタキシャル層34を順に積層した半導体ウエハ50が完成する。半導体ウエハ50の、p型エピタキシャル層34側の主面がおもて面であり、n+型出発ウエハ側の主面が裏面である。
【0067】
次に、半導体ウエハ50の各チップ領域51においてp型エピタキシャル層34のエッジ終端領域42の部分を除去して、エッジ終端領域42において半導体ウエハ50のおもて面にn-型エピタキシャル層33を露出させ、活性領域41にのみp型エピタキシャル層34を残す。次に、イオン注入により、半導体ウエハ50の各チップ領域51の活性領域41においてp型エピタキシャル層34の表面領域にn+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6をそれぞれ選択的に形成する。
【0068】
p型エピタキシャル層34のエッジ終端領域42の部分を除去する工程と、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6を形成する工程と、の順序を入れ替えてもよい。p型エピタキシャル層34の、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6を除く部分がp型ベース領域4となる(ステップS3:第2,3工程)。次に、各チップ領域51のエッジ終端領域42において半導体ウエハ50のおもて面に露出するn-型エピタキシャル層33の表面領域に、所定の耐圧構造を形成する(ステップS4)。
【0069】
次に、一般的な方法により、トレンチ7、ゲート絶縁膜8およびゲート電極9からなるMOSゲートを形成する(ステップS5:第4,5工程)。次に、ステップS2の処理において測定したn-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度がn-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度よりも高い半導体ウエハ50に対して、半導体ウエハ50のおもて面または裏面から粒子線(ヘリウム、プロトンまたは電子線)を所定の照射量で照射する(ステップS6:調整工程)。
【0070】
ステップS6の粒子線照射によりn-型ドリフト領域2bの内部に粒子線の照射量に応じた欠陥密度で点欠陥を発生させて、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度に対してn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度を低く調整する。粒子線の照射量は、ステップS2の処理で測定したn-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度の測定値に基づいて、粒子線照射後のn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の閾値がn-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度(設計値)に近づくように設定する。
【0071】
-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の閾値とは、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきの範囲の中間値であり、n-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度に相当する。ステップS6において、粒子線照射後に、例えば350℃以上400℃以下程度の温度で30分間以上60分間以下程度のアニール(熱処理)により半導体ウエハ50を加熱して、n-型ドリフト領域2bの点欠陥を一部回復させ、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の閾値を調整してもよい。
【0072】
ステップS6の粒子線照射により、n-型エピタキシャル層33の全体およびn+型出発ウエハ(n+型出発基板31)の全体に粒子線が照射されることがよい。また、半導体ウエハ50の内部のn-型ドリフト領域2b以外の各部に粒子線が照射されてもよい。例えばステップS6で電子線を照射する場合、半導体ウエハ50のおもて面から裏面(または裏面からおもて面)へ向かって半導体ウエハ50の全体を電子線が通過するため、半導体ウエハ50の全体に電子線が照射される。
【0073】
上述したように、ステップS6の粒子線照射により、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度は変化しないが、n-型ドリフト領域2bの実効的なキャリア濃度が粒子線の照射量に応じて減少する。これによって、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを小さくすることができる。ステップS6の粒子線照射における粒子線の好ましい照射量の範囲と、粒子線照射によるn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の下限値と、は次の通りである。
【0074】
-型ドリフト領域2bへのヘリウム照射のドーズ量は、例えば1×1012/cm2以下程度であることがよい。n-型ドリフト領域2bへのプロトン照射のドーズ量は、例えば4×1012/cm2以下程度であることがよい。n-型ドリフト領域2bへの電子線照射の吸収線量は、例えば700kGy以下程度であることがよい。これらの粒子線の照射量により、炭化珪素半導体装置10のオン抵抗を維持しつつ、n-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度を例えば6×1015/cm2程度まで低減可能である。
【0075】
次に、半導体ウエハ50のおもて面上に、層間絶縁膜11を形成する(ステップS7)。ステップS5の処理の後、ステップS7の処理の前に、各チップ領域51のエッジ終端領域42において半導体ウエハ50のおもて面にフィールド酸化膜を形成してもよい。次に、層間絶縁膜11を選択的に除去してコンタクトホールを開口し、当該コンタクトホールにn+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6を露出させる。次に、一般的な方法により、層間絶縁膜11の表面全面を覆うバリアメタル12を形成する。
【0076】
次に、層間絶縁膜11のコンタクトホールにおいてn+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6にオーミック接触するオーミック電極13を形成する(ステップS8:第6工程)。次に、半導体ウエハ50の両主面にそれぞれおもて面電極14および裏面電極15を形成する(ステップS9,S10:第6,7工程)。その後、半導体ウエハ50を切断(ダイシング)して個々の半導体チップ(半導体基板30)に個片化することで、図1~3の炭化珪素半導体装置10が完成する。
【0077】
上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の製造方法において、ステップS6の処理(粒子線照射およびアニール)の後、半導体ウエハ50を400℃以上の温度で加熱する加熱工程を行わないことがよい。その理由は、ステップS6の処理後に半導体ウエハ50が400℃以上の温度で加熱されると、ステップS6の処理によって調整したn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度の閾値がn-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度からずれてしまうからである。
【0078】
具体的には、ステップS5の処理(MOSゲートの形成)は1100℃程度の温度での加熱を伴う。このため、ステップS6の処理は、ステップS5の処理以降のいずれかのタイミングで行えばよい。ステップS6の処理は、半導体ウエハ50から個片化された半導体チップ(半導体基板30)に対して行ってもよい。また、ステップS1の処理において、n-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度よりも高いn型不純物濃度のn-型エピタキシャル層33を形成してもよい。
【0079】
ステップS1の処理においてn-型ドリフト領域2bの狙いの多数キャリア濃度よりも高いn型不純物濃度のn-型エピタキシャル層33を形成することで、すべての半導体ウエハ50がステップS6の処理対象となる。これによって、同一の半導体ウエハ50から個片化された半導体チップ間だけでなく、同じ製造条件で製造されたすべての半導体チップ間において、従来方法(図8参照)よりもn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度のばらつきを低減することができる。
【0080】
以上、説明したように、実施の形態によれば、n-型ドリフト領域のn型不純物濃度がn-型ドリフト領域の狙いの多数キャリア濃度(設計値)よりも高い半導体ウエハに対して、ゲート電極の形成後のいずれかのタイミングで粒子線照射を行う。この粒子線照射により、粒子線の照射量に応じた欠陥密度で点欠陥をn-型ドリフト領域の内部に発生させることで、n-型ドリフト領域のn型不純物濃度に対してn-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度を低く調整して狙いの多数キャリア濃度に近づける。
【0081】
これによって、n-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度が狙いの多数キャリア濃度から増加する方向にばらついた半導体ウエハについて、n-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度のばらつきを例えば従来方法(図8参照)の+15%程度から+5%程度に低減させることができる。また、n-型ドリフト領域への粒子線の照射量を調整することで、n-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度を容易に調整することができ、所定オン抵抗および所定耐圧を安定して得ることができる。
【0082】
(実験例)
粒子線照射後のn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度について検証した。図5~7は、実験例のn-型ドリフト領域の実効的な多数キャリア濃度と粒子線照射との関係を示す特性図である。上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置10の製造方法(図4参照)にしたがって作製したMOSFET(以下、実験例とする、図3参照)について、ステップS6の処理でヘリウム(He)、プロトンおよび電子線を照射した場合のn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度をそれぞれ図5~7に示す。
【0083】
図5~7には、n-型ドリフト領域2bを構成するn-型エピタキシャル層33のn型不純物濃度(ステップS2の処理の測定値に相当)を破線(基準線:窒素濃度8×1015/cm3)で示し、ステップS6の処理後のn-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度を実線で示す。図5~7の縦軸は、n-型エピタキシャル層33のn型不純物濃度(窒素(N)epi濃度)である。図5~7の横軸は、それぞれヘリウムのドーズ量、プロトンのドーズ量および電子線の吸収線量である。
【0084】
-型ドリフト領域2bの実効的な多数キャリア濃度は、CV(容量-電圧)測定により測定したp型ベース領域4とn-型ドリフト領域2bとのpn接合から広がる空乏層の接合容量(1/C2)の当該pn接合への逆方向印加電圧(V)に対する負の相関に基づいて、当該空乏層がn+型ドレイン領域1に達したときの接合容量を用いて算出した、n-型ドリフト領域2bの実際の多数キャリア濃度である。図5~7の各実施例ともに、n型電流拡散領域3および第1,2p+型領域21,22は設けられていない。
【0085】
図5~7の実施例のいずれにおいても、粒子線の照射量が増えるほどn-型ドリフト領域2bの実際の多数キャリア濃度が低下していることから、粒子線照射によりn-型ドリフト領域2bの実際の多数キャリア濃度を調整可能であることが確認された。また、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度は粒子線照射後も変化しないため、粒子線の照射量が増えるほど、n-型ドリフト領域2bのn型不純物濃度に対するn-型ドリフト領域2bの実際の多数キャリア濃度の比率が小さくなることが確認された。
【0086】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した実施の形態では、MOSFETを例に説明しているが、エピタキシャル層で構成されたn-型ドリフト領域を備えたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やpin(p-intrinsic-n)ダイオード等の炭化珪素半導体装置に本発明を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用であり、特にMOSFETに適している。
【符号の説明】
【0088】
1 n+型ドレイン領域
2a n型バッファ領域
2b n-型ドリフト領域
3 n型電流拡散領域
4 p型ベース領域
5 n+型ソース領域
6 p++型コンタクト領域
7 トレンチ
8 ゲート絶縁膜
9 ゲート電極
10 炭化珪素半導体装置
11 層間絶縁膜
12 バリアメタル
13 オーミック電極
14 おもて面電極
15 裏面電極
21,22 p+型領域
30 半導体基板
31 n+型出発基板
32 n型エピタキシャル層
33 n-型エピタキシャル層
34 p型エピタキシャル層
41 活性領域
42 エッジ終端領域
50 半導体ウエハ
51 半導体ウエハのチップ領域
52 半導体ウエハのダイシングライン
53 半導体ウエハの無効領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8