(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135807
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】FAX送信システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220908BHJP
G06F 21/42 20130101ALI20220908BHJP
【FI】
H04N1/00 K
H04N1/00 838
G06F21/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035879
(22)【出願日】2021-03-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年12月1日に発明の実施品であるアプリの提供およびホームページにてアプリの提供開始を発表した
(71)【出願人】
【識別番号】520340237
【氏名又は名称】株式会社SoftBay
(74)【代理人】
【識別番号】100133802
【弁理士】
【氏名又は名称】富樫 竜一
(74)【代理人】
【識別番号】100197181
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 泰子
(72)【発明者】
【氏名】徐 容浚
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA16
5C062AA30
5C062AA32
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB11
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC22
5C062AC38
5C062AC42
5C062AE02
5C062AE11
5C062AF01
5C062AF02
5C062AF03
5C062AF12
5C062BB03
5C062BC03
5C062BC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利用者の料金負担を増加させることなくFAXの送信が可能でありかつ発信者の特定が可能なFAX送信システムの提供をする。
【解決手段】FAX送信システム1において、公衆電話回線網Wを利用した音声通話手段とインターネットIを介したデータ通信手段を有した携帯端末2と、公衆電話回線網Wを利用した音声通信手段とインターネットを介したデータ通信手段を有したサーバ4を有する。サーバ4は、携帯端末2からインターネットIを介した通信によって公衆電話回線網Wに接続されたFAX受信装置3に対して送信するFAXデータを受信するとともに、携帯端末2を用いて入力させる確認情報OTPを送信し、携帯端末2による公衆電話回線網Wを利用した通信によって確認情報OTPの入力を確認した場合に、FAXデータをFAX受信装置3に対して送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆電話回線網を利用した音声通話手段とインターネットを介したデータ通信手段を有した携帯端末と、
公衆電話回線網を利用した音声通信手段とインターネットを介したデータ通信手段を有したサーバ手段を有し、
前記サーバ手段は、前記携帯端末からインターネットを介した通信によって公衆電話回線網に接続されたFAX受信装置に対して送信するFAXデータを受信するとともに、前記携帯端末を用いて入力させる確認情報を送信し、
前記サーバ手段は、前記携帯端末による公衆電話回線網を利用した通信によって前記確認情報の入力を確認した場合に、
前記FAXデータを前記FAX受信装置に対して送信するように構成したことを特徴とするFAX送信システム。
【請求項2】
また、前記確認情報が前記携帯端末から前記サーバ手段に対するFAXデータの送信処理ごとに生成されるワンタイムパスワードであることを特徴とする請求項1記載のFAX送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FAX送信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
FAX装置による画像の送受信は、送信側のFAX装置によって生成した白黒2値化した画像信号を音声信号によって送信し、受信側のFAX装置において音声信号を復号して用紙上に画像として再現するものである。これらのFAX装置による画像の一般的な送受信は、互いに公衆電話回線網に接続されている機器によって行われるものであるが、スマートフォン等の携帯端末による通信が主流の今日においてFAX装置の所有者は少ない。また、市町村区役所等における各種の申請業務においては、電子メール等による書類の送付を認めず、FAXによる書類の送信であれば認める場合が多い。このため、携帯端末を使用してFAX画像を送受信できるサービスの提供が望まれている。
【0003】
一方、電子メールをイメージデータ化してFAX装置に対して送信することができる特許文献1記載の携帯端末用ファクシミリシステムがある。特許文献1には、ショートメールを使用してFAXを送信する例と、ロングメール(インターネットを利用した一般的な電子メール)を使用してFAXを送信する例が記載されている。ショートメールでは送信先FAX番号を指定してデータを送信するものであり、送信元の電話番号も記録されるが送信する画像のデータ量に応じて通信時間が長くなるので通話料金が多くかかってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、インターネット上の電子メール(ロングメール)によって受信したデータをサーバ側で変換して指定された送信先FAX番号あてに画像を送信する技術も併せて記載されている。ロングメールは通信料金が通話に比べて無視できるほど安価であるが、電話番号の無い機器からも利用可能であるとともに発信者の特定が困難であるため迷惑FAXの送信などの悪用が懸念される。
【0006】
本発明は当該事情に鑑み発明されたものであって、利用者の料金負担を増加させることなくFAXの送信が可能であり、かつ発信者の特定が可能なFAX送信システムの提供を可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有するものである。すなわち、
公衆電話回線網を利用した音声通話手段とインターネットを介したデータ通信手段を有した携帯端末と、
公衆電話回線網を利用した音声通信手段とインターネットを介したデータ通信手段を有したサーバ手段を有し、
前記サーバ手段は、前記携帯端末からインターネットを介した通信によって公衆電話回線網に接続されたFAX受信装置に対して送信するFAXデータを受信するとともに、前記携帯端末を用いて入力させる確認情報を送信し、
前記サーバ手段は、前記携帯端末による公衆電話回線網を利用した通信によって前記確認情報の入力を確認した場合に、
前記FAXデータを前記FAX受信装置に対して送信するように構成したことを特徴とするFAX送信システム。
【0008】
また、本発明は上記FAX送信システムにおいて以下の構成を有するものである。すなわち、
前記確認情報が前記携帯端末から前記サーバ手段に対するFAXデータの送信処理ごとに生成されるワンタイムパスワードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るFAX送信システムは、スマートフォン等の携帯端末を使用して公衆電話回線網に接続されたFAX装置に対してFAX画像が送信できるシステムである。このシステムでは、データ量の大きいFAX(画像)データはインターネット通信を介してサーバに送信され、送信元である携帯端末の認証を公衆電話回線網を使用した通信で行わせるようになっている。
携帯端末の認証処理および発信者電話番号の取得については通話料金を要する公衆電話回線網の使用が必要である。しかし、携帯端末の所有者が通話時間に応じた従量制で課金されるプランで携帯端末を利用していたとしても、短い通信(通話)時間で処理することができるので通信料金の負担は最小限である。一方、インターネット通信に関する費用は、本システムの利用にかかわらず定額制のプランで利用している利用者が多いので、本システムのためだけに課金される料金は実質的に発生しない。また、公共のWi-Fi環境を利用した場合にはインターネット通信に要する通信料金は不要である。
本発明は、このように利用者に対して安価(実質的に無料)にFAX送信システムを提供することが可能であめという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係るFAX送信システムの概要を表した概念図である。
【
図2】本システムに用いる携帯端末が有する手段の構成図である。
【
図3】本システムに用いるサーバが有する手段の構成図である。
【
図4】
図1に示したFAX送信システムの構成を詳しく表した説明図である。
【
図5】携帯端末のディスプレイに表示される初期画面の説明図である。
【
図6】FAX画像の生成に関する操作項目を表示させた画面の説明図である。
【
図7】送信するFAX画像を表示させた画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
図1は、本発明に係るFAX送信システム(以下「本システム」という)1の概要を表した概念図である。本システム1は、利用者が所有するスマートフォン等の携帯端末2を使用して、公衆電話回線網Wに接続されているFAX装置3に対して画像の送信を行うことができるサービスを提供するものである。
本システム1は、システムサーバ(以下「サーバ」という)4を有している。サーバ4はインターネットIに接続されており、携帯端末2にインストールしたアプリケーションプログラム(Mobile Application)(以下「アプリ」という)MAを使用して、FAX画像の送信(もしくは受信)に関する通信および処理を行うように構成されている。
【0012】
また、サーバ4は電話会社Cが所有する公衆回線交換機(PSTN)5を経由して一般の公衆電話回線網Wに接続されており、携帯端末2およびFAX装置3との間において公衆電話回線網Wを使用した音声通信を行うことができるようになっている。公衆回線交換機5を経由した一般の公衆電話回線網Wへの接続というのは、公衆回線交換機5を経由する回線番号(電話番号)を用いた音声通信ということである。
【0013】
本システム1は、携帯端末2によって実行されるアプリMAを使用して、従来一般的に使用されている公衆回線電話網に接続されたFAX装置3に対してFAX信号を送信し画像として印刷出力させることができるものである。特に、無償でFAXを送信することができるFAX送信サービスを提供することを目的として設けられたものであり、利用者とサーバ4の運営者との課金を伴う金銭的な契約を行わずに利用可能なFAX送信(受信)システムの提供を目的としている。
【0014】
本システム1は、課金制、ポイント購入制、キャリア決済等の有料での使用と、課金を伴わない無料での使用ができるようになっている。有料および無料とも、使用には事前にユーザ登録を必要としている。有料の場合には使用料の決済が伴うものであるため利用者の個人情報を含めた情報の提供および提供された情報の信憑性を得るための確認処理が必要である。一方、無料の場合には使用料金の決済が不要であるため、銀行口座、クレジットカード、通話料に合算して請求するキャリア決済等との連携など、信頼性のある個人情報を用いた個人情報の確認を行わない。このため、例えば、電話番号の登録を求めたとしても、自己申告であるから虚偽の電話番号や他の個人情報を登録された場合であってもその真偽の判定は困難である。また、コンピュータ端末を用いた成りすましのような不正な利用についても完全に防ぐことは難しい。
このような事情に基づき、無料で利用できるシステムでありながら、社会的に不適切な情報や犯罪事件を伴うような情報の送信が行われた場合には、利用者が使用した携帯端末2の電話番号が特定できるように、電話番号取得し記録できるシステムを構成した。
【0015】
図2は本システム1に用いる携帯端末2が有する各手段の内容を表した構成図である。
携帯端末2は、一例としてスマートフォンを用いることができ、画像や映像を表示するとともにタッチパネルによる入力機能を有したディスプレイ6を有した携帯機器である。携帯端末2は、プログラムや各種の情報を記憶する記憶手段、プログラムを実行し各種の情報を処理する演算処理装置、電話通信、データ通信を含め、
図2に示した各種の手段からなるハードウエア手段を搭載している。
携帯端末2が有する各種の手段を大別すると、機器としての基本的な機能を発揮するO/Sレイヤー(O/S Layer)7、通信やネットワークに関する機能を発揮するネットワークレイヤー(Network Layer)8、アプリケーションプログラムの実行に関連した機能を発揮するアプリケーションレイヤー(Application Layer)9に分けることができる。
【0016】
FAXの送信(受信)に関する機能は、アプリケーションレイヤー9に属するプログラムモジュールとして提供されるアプリMAによって提供される。アプリMAはアプリケーションプログラミングインタフェースサーバインタフェース(以下「APIサーバインタフェース」という)10、ユーザインタフェース(User Interface:以下「UI」という)11、プッシュインタフェース(Push Interface:以下「PI」という)12、ティフイメージングモジュール(TIF Imaging Module:以下「TIFM」という)13等を有している。
【0017】
APIサーバインタフェース10はサーバ3との通信の確立や認証、各種情報の送受信に関するインターフェイスである。UI11は携帯端末2のタッチパネルを兼ねたディスプレイ6に表示する文字、画像、情報および操作スイッチとして機能する表示等を生成し機能させるプログラムモジュールである。PI12はサーバ3がメッセージを送信した場合に受動的に通知や情報を受信するためのプログラムモジュールである。TIFM13は、画像や文字をFAXデータとして送信するために、送信する情報を白黒2値に変換した画像ファイル形式であるTIFFファイルを生成するためのプログラムモジュールである。
【0018】
図3は本システム1に用いるサーバ3が有する各手段の内容を表した構成図である。
サーバ3は、単体のウエブサーバ若しくは他のサーバ装置やデバイスと連携して本システム1の一部を構成するものであり、ハードウエア手段としてプログラムを実行する演算処理手段、記憶手段、インターネットに対する接続手段および公衆電話回線網Wに接続するための通信手段を有している。これらのハードウエア手段は、
図3に示したプログラムモジュール、デバイスおよび各手段によって構成されている。
サーバ3の構成を大別すると、機器としての基本的な機能を発揮するO/Sレイヤー(O/S Layer)15、通信やネットワークに関する機能を発揮するネットワークレイヤー(Network Layer)16、アプリケーションプログラムの実行に関連した機能を発揮するアプリケーションレイヤー(Application Layer)17に分けることができる。
【0019】
FAX送信システムとしての機能は、主にアプリケーションレイヤー17として表示されているプログラムモジュール、デバイスおよび各機器によって構成される。PABX Interface(Private automatic branch exchange Interface)19は、サーバ3内で生成した情報の出力及び処理する情報の入力を行わせるために、IP PABX(Internet Protocol Private automatic branch exchange)20との間で情報の入出力を行わせるためのインターフェイスである。
IP PABX20は、構内用(内線用)のインターネットプロトコルを使用したIP電話機の交換機能を有した手段であり、本実施の形態ではサーバ3を公衆電話回線網Wの公衆回線交換機(PSTN)に接続する手段として用いており、携帯端末2に割り当てたIP電話番号を用いてFAX画像を送信(受信)するように構成している。
【0020】
クライアントインターフェイス(Client Interface:以下「CI」という)21は、主に携帯端末2との通信によってデータや各種情報の送受信を行う手段である。
データアクセスモジュール(Data Access Module)22は、送受信したFAXデータや送受信記録、利用者情報等、サーバ3内における各種データの記録、読み出し等を制御するための手段である。
認証モジュール(Authentication Module)23は、IDやパスワードといった認証情報に基づいて利用者の認証処理を行う手段である。
ストレージインターフェイス(Storage I/O Interface)24は、Storage(記録デバイス)に対する情報の入出力を管理するための手段である。
データベースマネージメントシステム(DataBase Management System)25は記録デバイス内の構造を管理する手段であり、データを記録する領域の管理や構造の構築・修正、データの消去、書き込み等を行う手段であり、データの検索機能を提供するものである。
【0021】
本システム1は、携帯端末2によって取得した写真や画像、各種アプリケーションソフトで生成したドキュメントをFAX装置3によって受信可能な画像ファイルを生成し、生成した画像ファイルを公衆電話回線網Wに接続されているFAX装置3に対して送信(受信)するものである。
本実施の形態では、携帯端末2にインストールされたアプリMAによって画像ファイルを生成するようになっている。しかし、サーバ4が携帯端末2から情報を取得して画像ファイルを生成しFAX装置3に対して送信するように構成してもよい。
【0022】
図4は
図1に示した構成をさらに詳しく表したものであり、
図4を用いて携帯端末2を用いたデータの作成からFAX装置3に対する送信までの流れを説明する。
本システム1の利用者は、予め本システム1に対して利用者登録を行うことが必要である。利用者登録の際、使用する最低限の情報として携帯端末2の電話番号とパスワードの登録が必要である。この事前の利用者登録については一般的な手法であるので詳細については説明を省略するが、利用者が申告した電話番号やパスワード等は利用者の認証情報としてアプリMAに登録される。
また、上記利用者の認証情報はサーバ4の認証モジュール23によって管理・制御され所定の記憶領域に記録される。本システム1に対する利用登録が行われると、アプリMAが提供するUI11を使用して、以下に説明する流れでFAXの送信処理を行うことが可能になる。
【0023】
(1)アプリMAの起動
図5は、携帯端末2のディスプレイ6に表示されるアプリ起動後の初期画面の一例を表している。アプリMAを起動すると、携帯端末2のディスプレイ6上には、UI11として機能するFAXの送信(受信)に関する各種の操作メニューが表示される。
起動後に表示される初期画面は、入力項目として送信先FAX番号の入力欄30、送信するFAX画像を生成するための「+」印で表示された生成GUI31、送信するFAX画像のイメージ表示部32、送信を実行する場合に操作する送信GUI33、その他送受信の履歴を確認するための履歴GUI34、送信するFAX画像を記録しておくための保管GUI35、有料サービス時に消費されるポイント残量を確認や購入処理行う際に使用するポイントGUI36、アプリについての各種の設定を行わせる設定GUI37を設けている。
また、送信元FAX番号29は本システム1から与えられたIP電話としての番号であって、FAXの送信元として表示される番号である。また、FAX装置3から携帯端末2あてにFAXを送信する場合の送信先番号である。
【0024】
(2)FAXデータの生成
アプリMAは、FAXの送信および受信に関して様々なメニューや機能を有しているが、本明細書ではFAX画像の生成および送信に関する説明を中心に行う。
生成GUI31を操作すると、操作メニューとして
図6に示すようなFAX画像の生成に関するカメラで撮影39、アルバムから選択40、ドキュメントから選択41、その他各種クラウドサービスに接続して画像やドキュメントを取得する方法等が選択可能に表示される。
最も簡単なFAX画像の生成は送信したい情報を携帯端末2が搭載しているカメラで撮影することであり、撮影を終えると例えば
図7に示したような画像のイメージが表示される。表示された画像を採用する場合には採用GUI42を操作し、再取得する場合にはCANCELと表示されたキャンセルGUI43を操作する。
【0025】
(3)FAXデータの送信(アップロード)
取得した画像はTIFM13によって白黒2値化したTIFFファイルに変換される。送信される画像のイメージは初期画面のイメージ表示部32に表示され、送信を行う場合には送信先FAX番号30を入力した後に送信GUI33を操作することで、FAXデータ(TIFFファイル)としてサーバ4に送信される。
(4)FAXデータの受信
送信GUI33が操作されると、サーバ4はCI21を介してFAXデータを受信する。受信したFAXデータは、ストレージインターフェイス24の制御によって記憶装置(File Storege)26に記録される。
FAXデータには、送信される画像やメッセージ等のFAX画像として印刷表示される画像情報とともに、FAXデータの受付時刻、送信元電話番号等のFAXの送信にかかわる全ての情報が含まれる。
(5)確認情報(ワンタイムパスワード)の生成および送信
FAXデータを受信すると、認証モジュール23が4桁の数値からなる確認情報OTPを生成する。生成した確認情報OTPは、CI21を介して携帯端末2に送信され、PI12を使用して送信し利用者に知らせる。確認情報OTPは携帯端末2からサーバ4に対するFAXデータの送信処理ごとに生成されるものである。
FAXデータの送信処理ごとというのは、携帯端末2からサーバ4に対して行われたFAX画像の送信に関わるリクエストを含めた一連の相互通信全体をいうものである。
【0026】
(6)サーバとの電話通信
確認情報(OTP)の表示の際、利用者に対して確認情報(OTP)を記憶させるメッセージ表示と、サーバ4に対して音声通話を行わせる電話番号のリンクを表示させる。この電話番号のリンクは、確認情報(OTP)とともにサーバ4が送信するものでもよいし、予めアプリに設定したものでもよい。電話番号のリンクが操作されると、携帯端末2からサーバ4に対して公衆電話回線網Wを使用した電話がかけられる。電話番号のリンクの表示形態は、電話番号そのものでもよいし、UIとして形成したスイッチでもよい。
上記の電話番号は、サーバ4が電話会社(所謂キャリア)Cと契約している公衆電話回線を利用するものであり、電話会社Cの公衆回線交換機5を経由した後、システムサーバに接続された交換機であるIP PABX20によってサーバ4の通話インターフェイスであるPABX Interface19に接続される。
【0027】
(7)確認情報(OTP)の入力要求および認証
PABX Interface19を介して入電があった場合、IVR(Interactive Voice Response )27が、あらかじめ用意しておいた音声メッセージを送信する。IVR27は、音声メッセージの送信に加えて、携帯端末によって入力された番号(確認情報OTP)を認識する。IVR27は、メッセージによってテンキーを使用した数字の入力を指示し、テンキーを使用して入力された数字が正しいか否かを判定することができ、判定結果に基づいた処理を行う機能を有している。
【0028】
前記音声メッセージに従い、携帯端末2が備える通話インターフェイス画面において確認情報(OTP)の入力が行われると、確認情報(OTP)はDTMF等の音声信号として送信される。送信された確認情報(OTP)は交換機5、IP PABX20を経由してIVR(Interactive Voice Response )27が取得し認証確認が行われる。本実施例では、確認情報(OTP)として携帯端末に対して4桁の番号の入力を求める音声メッセージを通知する。この4桁の番号は認証モジュール23によって生成される。
【0029】
(8)FAX画像の送信
サーバ4は、確認情報(OTP)を取得すると登録されている利用者であることを条件に、携帯端末2に対して約1分程の音声メッセージを送信し、同時に送信先となるFAX装置3(3a、3b、3c)に電話を掛けてFAX画像の送信を開始する。案内メッセージの送信が完了すると通話は自動的に終了する。
(9)FAX画像の送信完了
サーバ4は、送信先のFAX装置3から受信の成功/失敗に関する情報を取得し、その結果をデータベースマネージメントシステム25に記録するとともに、プッシュ手段機能(Mobile Push)28を利用してメッセージとして携帯端末2のPI12を介して送信し利用者に送受信結果を知らせて一連のFAX送信処理を終了する。
【0030】
FAX送信に関する一連の流れは以上の通りであるが、本システムはFAXの送信を行わせる場合に、携帯端末2とサーバ4との間におけるインターネットを介したデータ通信と、公衆電話回線網Wを利用した通信(音声通話)を行わせることを特徴としている。そしてインターネットを介したデータ通信によってサーバ4が生成した確認情報(OTP)を携帯端末2に送信し、公衆回線を利用した通信によって携帯端末2からシステムサーバに電話をかけて確認情報(OTP)の送信を行わせることで、FAX送信元である携帯端末2の特定(発信元の電話番号の確認)が可能になっている。
【0031】
上記のFAX送信システムは、システム使用料の徴収を行わずにサービスを提供することを意図して構成したものであるが、社会規範に反したり犯罪に関わるような利用は防止しなければならい。そのため、万が一そのような用途で使われた場合に利用者を特定できるようにしておかなければならない。
本システム1は、このような事情から発明されたものであり、FAX送信時に公衆回線を使用した通話によって電話会社との契約に使用されている発信元電話番号の確認を行い、発信元電話番号を含めた送受信記録を行うことによって、必要な時に発信元電話番号(利用者)等の記録を確認できるようにしている。
【0032】
本システム1は、データベースマネージメントシステム25によって、画像データを含め送受信された情報をすべて記録するようになっており、送信元電話番号、送信先電話番号、メールアドレス、送受信時刻などを検索キーとして、通信データを検索し閲覧等できるようになっている。このように、無料のFAX送信・受信システムであっても、利用者の特定を含め通信履歴や内容の確認をすることができるようになっている。
【0033】
以上の説明は無料にて本システム1を利用させる場合について説明したが、有料によるサービスも提供することができる。有料の場合には、代金やポイントの決済を伴うので、決済システムにおいて利用者の特定が行われるようになっている。
そのため、有料サービスの場合には、サーバ4が生成した確認情報(OTP)を携帯端末2に送信し、公衆回線を利用した通信によって携帯端末2からシステムサーバに電話をかけて確認情報(OTP)の送信を行わせるという前述した処理を不要にすることが可能である。
【0034】
また、以上の説明は携帯端末2からFAX装置3に対してFAX画像を送信する場合について説明したが、FAX装置3から携帯端末2に対してFAX画像を送信することも可能である。この場合、送信先のFAX番号は本システム1が管理するIP PABX20によって管理されるIP電話番号(送信元FAX番号29)である。
本システム1は、IP PABX20が管理するIP電話番号に宛てたFAX画像の送信があった場合、アプリMAによって取得できる画像データに変換し、プッシュ手段(Mobile Push)28介して携帯端末2に着信を通知する。そして、通知を受けた利用者がアプリMAを操作するとFAX画像(画像データ)を受信してディスプレイ6で閲覧可能になる。なお、FAX画像は添付ファイルとして所定のメールアドレスに転送するように構成してもよい。
【0035】
なお、以上の説明は本発明の一例であって、特許請求の範囲を上記の例に限定することを意図したものではない。また、上記発明の実施の形態は、特許録請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更、追加、組み合わせ、置き換え、省略等を行うことが可能であり、これらについても特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、スマートフォン等の携帯端末から一般の公衆回線網に接続されたFAX装置に対してFAX画像の送受信を行うことができるFAX送受信システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 FAX送信システム(本システム)
2 携帯端末
3 FAX装置
4 システムサーバ(サーバ)
5 公衆回線交換機
6 ディスプレイ
7 O/Sレイヤー(O/S Layer)
8 ネットワークレイヤー(Network Layer)
9 アプリケーションレイヤー(Application Layer)
10 アプリケーションプログラミングインタフェースサーバインタフェース(APISI)
11 ユーザインタフェース(UI)
12 プッシュインタフェース(PI)
13 ティフイメージングモジュール(TIFM)
15 O/Sレイヤー(O/S Layer)
16 ネットワークレイヤー(Network Layer)
17 アプリケーションレイヤー(Application Layer)
19 PABX Interface
20 IP PABX
21 クライアントインターフェイス(CI)
22 データアクセスモジュール(Data Access Module)
23 認証モジュール(Authentication Module)
24 ストレージインターフェイス(Storage I/O Interface)
25 データベースマネージメントシステム(DataBase Management System)
26 記憶装置(File Storege)
27 IVR(Interractive Voice Response)
28 プッシュ手段(Mobile Push)
29 送信元FAX番号
30 送信先FAX番号の入力欄
31 生成GUI
32 イメージ表示部
33 送信GUI
34 履歴GUI
35 保管GUI
36 ポイントGUI
37 設定GUI
39 カメラで撮影
40 アルバムから選択
41 ドキュメントから選択
42 採用GUI
43 キャンセルGUI
MA アプリ(アプリケーションプログラム)
C 電話会社
W 公衆電話回線網