IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社三友機工の特許一覧

特開2022-135845地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法
<>
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図1
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図2
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図3
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図4
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図5
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図6
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図7
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図8
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図9
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図10
  • 特開-地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135845
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 9/02 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
E02D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021072185
(22)【出願日】2021-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】519230329
【氏名又は名称】有限会社三友機工
(72)【発明者】
【氏名】柳川 宏治
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050DA01
2D050DB04
(57)【要約】
【課題】玉掛けワイヤーを杭に掛けて引き抜くことが困難な場合でも,安全確実に地中杭を引き抜く手段を提供する。
【解決手段】上下開放による、上筒と下筒とを設け、下筒に沿って上筒が所定範囲内にて回動可能に上記双方の筒を組み合わせ、上筒外周面に、土中杭の外周面を押圧保持するための押圧爪を、上筒外面に適宜手段にて回動可能に軸支し、上筒適所に切除部を設けるとともに、前記押圧爪先端を上記切除部端より上筒内方へ微突出させ、一方、上筒外周面適所において、所定幅の凹部を設けるとともに、この凹部内に位置する凸状のストッパーを下筒適所に設け、下筒下端に土掘削のための刃部を複数個突設することにより、前記上下双方筒の平面視時計方向の回動にて土中の杭周を掘削可能とし、また、平面視反時計方向の回動にて、前記押圧爪による土中の破砕杭の押圧保持を可能とするとともに、下筒に対する上筒の回動範囲が、前記凹部内での前記ストッパーの可動範囲にて規制されるよう構成したことを特徴とする。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下開放による、上筒と下筒とを設け、下筒に沿って上筒が所定範囲内にて回動可能に上記双方の筒を組み合わせ、上筒外周面に、土中杭の外周面を押圧保持するための押圧爪を、上筒外面に適宜手段にて回動可能に軸支し、上筒適所に切除部を設けるとともに、前記押圧爪先端を上記切除部端より上筒内方へ微突出させ、一方、上筒外周面適所において、所定幅の凹部を設けるとともに、この凹部内に位置する凸状のストッパーを下筒適所に設け、下筒下端に土掘削のための刃部を複数個突設することにより、前記上下双方筒の平面視時計方向の回動にて土中の杭周を掘削可能とし、また、平面視反時計方向の回動にて、前記押圧爪による土中の破砕杭の押圧保持を可能とするとともに、下筒に対する上筒の回動範囲が、前記凹部内での前記ストッパーの可動範囲にて規制されるよう構成したことを特徴とする、地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構。
【請求項2】
1.埋設されている地中杭の上方地盤を掘削して杭頭を露出させる第一工程。
2.杭位置まで杭引き抜き機を移動し、足場を養生する第二工程。
3.オーガーケ-シングを杭周に建て込み、その鉛直度を確認する第三工程。
4.オーガーケーシング下端から水を噴出しながら杭周を掘削する第四工程。
5.掘削深度を確認しながら杭と地中面とのえん切りを確認する第五工程。
6.オーガーケーシングを地中より引き上げる第六工程。
7.オーガーケーシング下端に、玉掛けワイヤーをセットして地中に落とし込み、ワイヤーが杭に掛かったことを確認し、地中杭を引き抜く第七工程。
8.地中杭が破砕され、ワイヤー掛けにて杭を引き抜くことが困難な場合において、請求項1にて示した地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構を反時計方向に回動させて、押圧爪にて破砕杭を保持しつつ地上に引き上げる第八工程。
9.引き抜いた後の孔を埋め戻す第九工程。
以上の各工程よりなることを特徴とする地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地中杭周の掘削機能並びに破砕地中杭の引き抜き機構と、該機構を用いる破砕地中杭の引き抜き工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機械装置を用いて地中杭を引き抜く機構および工法はあるが、本発明にて示すように、押圧爪を用いる方式は現在のところ見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既述した従来方法には,以下に示す問題があった。
1.杭にワイヤー掛けする方法のため、杭小片等は引き抜くことができず撤去することができない。
2.杭が地中に残されて小片となっていることを確認できない。
3.油圧シリンダーなどを用いた大型の装置が必要である。
本発明は以上に鑑み、上記問題点を解決するために発明されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。すなわち本発明の一つは、
上下開放による、上筒と下筒とを設け、下筒に沿って上筒が所定範囲内にて回動可能に上記双方の筒を組み合わせ、上筒外周面に、土中杭の外周面を押圧保持するための押圧爪を、上筒外面に適宜手段にて回動可能に軸支し、上筒適所に切除部を設けるとともに、前記押圧爪先端を上記切除部端より上筒内方へ微突出させ、一方、上筒外周面適所において、所定幅の凹部を設けるとともに、この凹部内に位置する凸状のストッパーを下筒適所に設け、下筒下端に土掘削のための刃部を複数個突設することにより、前記上下双方筒の平面視時計方向の回動にて前記押圧爪による土中の杭周を掘削可能とし、また、平面視反時計方向の回動にて、前記押圧爪による土中の破砕杭の押圧保持を可能とするとともに、下筒に対する上筒の回動範囲が、前記凹部内での前記ストッパーの可動範囲にて規制されるよう構成したことを特徴とする、地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構である。
【0005】
また本発明の他の一つは、
1.埋設されている地中杭の上方地盤を掘削して杭頭を露出させる第一工程。
2.杭位置まで杭引き抜き機を移動し、足場を養生する第二工程。
3.オーガーケ-シングを杭周に建て込み、その鉛直度を確認する第三工程。
4.オーガーケーシング下端から水を噴出しながら杭周を掘削する第四工程。
5.掘削深度を確認しながら杭と地中面とのえん切りを確認する第五工程。
6.オーガーケーシングを地中より引き上げる第六工程。
7.オーガーケーシング下端に、玉掛けワイヤーをセットして地中に落とし込み、ワイヤーが杭に掛かったことを確認し、地中杭を引き抜く第七工程。
8.地中杭が破砕され、ワイヤー掛けにて杭を引き抜くことが困難な場合において、請求項1にて示した地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構を反時計方向に回動させて、押圧爪にて破砕杭を保持しつつ地上に引き上げる第八工程。
9.引き抜いた後の孔を埋め戻す第九工程。
以上の各工程よりなることを特徴とする地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明は下記の効果を有する。
1.地中杭に直接ワイヤーを掛ける従来法では引き抜くことが困難な破砕地中杭を引き抜くことができる。
2.対向する押圧爪が破砕した地中杭側面に押圧接触して、安全確実に破砕地中杭を保持して引き抜くことができる。
3.掘削用の刃部を下筒下端に設けたので、本機構にて地中掘削と破砕地中杭の引き上げの双方を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来例の杭引き抜き手順フローチャート
図2】従来例の杭引き抜き手順説明図
図3】本発明の地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構の平面図
図4】本発明の地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構の正面図
図5】本発明の地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構における押圧爪突出説明図(平面視)
図6】本発明の地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構の右側面図
図7】本発明に用いる押圧爪位置変化説明図
図8】本発明の地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構の各筒位置関係説明図(A-A断面・一部略)
図9】本発明の地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構の水管位置変化説明図
図10】本発明の破砕地中杭引き抜き手順フローチャート
図11】本発明の破砕地中杭引き抜き手順説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、本発明の説明の前に、従来手段について説明する。
従来手段による地中杭引き抜き手順:
1.地盤掘削および逃げ芯セット(図2-a,b)
バックホウで杭上方の地面を掘削して杭頭を露出させる。杭芯が不明となる恐れのあるときは、逃げ芯を2箇所以上設ける。地盤崩落の危険がある場合は、転落防止柵を設置し、スタンドパイプ(重機転倒防止対策用型枠)設置後、地盤を埋め戻す。
2.杭抜き機の据え付け
杭抜き位置まで杭抜き機を移動し、足場を確実に養生する。このとき、杭の仮置き位置、施工順序、残渣処理場所等を確認する。
3.オーガーケーシング建て込み(図2-c)
オーガーケーシングを杭周に建て込むとともに、2方向からその鉛直を確認する。
油圧ホース、ウォータージェットホース等の接続を確認する。
4.掘削(図2-c,d)
該ケーシング下端から水を噴出させ,地中杭の抵抗や土質に適した速度で掘削する。
【0009】
5.杭と地盤とのえん切りを確認する(図2-d)
掘削速度を確認しながら、杭の挙動や回転等にてえん切りを確認する。
6.ケーシング引き上げ(図2-e)
オーガーケーシングに付着した土の落下による危険がある場合は、引き上げ時に除去する。
7.地中杭の引き抜き(コンクリートパイル)(図2-f,g)
ケーシング下端に玉掛けワイヤーをセットし、該パイルが安全に引き抜ける位置まで玉掛けワイヤーを落とし込む。
ケーシングを引き抜き、確実にワイヤーが杭に掛かったことを確認してから徐々にパイルを引き抜く。パイルが中間で切断されて地中に残ったときは、その深度を確認しながら再度ワイヤー掛けを行って引き抜く。
8.掘削孔の養生(図2-h)
砂をバックホウで埋め戻す。
以上の工程を,各パイル毎に行う。
【0010】
次に、本発明にて用いる地中杭周掘削および破砕地中杭引き抜き機構について説明する。
図において、1は金属製の下筒で、その外周下方に段部2を有しており、該段部2の一部には水管の挿入孔3が平面視対称形に一対が形成されている。また、図4および図6にて示すように、下筒外周面に角状突起によるストッパー4が平面視四等配に設けられている。10は上筒で、金属製であるとともに図8にて示すように、外段部11と内段部12を有している。上筒の下部は外段部にて肉厚部13が形成されている。
この肉厚部適所に、略四角形貫通孔によるストッパー制限部14が設けられ、前記ストッパーがこのストッパー制限部内に位置している。
【0011】
前記ストッパーおよびストッパー制限部は図のごとく、上方位置と下方位置とに振り分けられて、各々一対が平面視対称形に位置する。また、上記のストッパー制限部の一部には段部にて一段下がったロック凹部15が形成される。16は後述する押圧爪の保護のための爪保護体で、肉厚部外周よりやや外方に突出して位置する枠状部材である。
17は正面視板状の押圧爪である。この押圧爪は図7にて示すように、肉厚の根元箇所に貫通孔を有し、先端部はなめらかに肉薄となっている。
この押圧爪の高さは前記の爪保護体に収納できるサイズであるとともに、上記貫通孔内に軸が挿通され、この軸の両端は上記爪保護体に固定され、この軸に対して押圧爪は回動可能である。また、上筒の適所には所定サイズ角形の切除部(図示略)が形成されており、この切除部端に押圧爪の先端近傍が接触して少し内方に突出している。
【0012】
従って、下筒に対して上筒が、平面視反時計方向に回動すると、図7にて示すように、押圧爪は下筒内の土にくい込みつつ上筒内方へ突出することとなる。下筒に対する上筒の回動範囲は、前記のストッパー制限枠の範囲内にてストッパーは移動可能であり、これにて押圧爪の回動範囲すなわち上筒内方への突出距離の範囲が定まる。
20は水管に関してこの水管を保護するために上筒適所の上端から前記外段部に至る位置に設けられる棒状の水管保護体で、相互に平行な距離を有して一対が設けられる。
21は上筒の肉厚部適所の上端から下端に至るまで形成される水管下部保護部で、肉厚部を、上部は狭く下部は広くした形状に切除された部分である。
22は水管で、前記水管保護体間に水管上部22aが位置し、水管下部保護部間に水管下部22bが位置し、水管のさらに下方は前記の水管挿通孔3内に位置し、水管下端は下筒下端よりわずかに上方位置である。水管上部は金属管であり、水管下部は可撓性部材、例えばゴムチューブにて形成され、このゴムチューブ上端と上記金属管下端とは適宜な接続部品(図示略)にて接続される。なお、下筒に水管保護カバー23を設けてもよい。
【0013】
押圧爪の回動範囲は、前記したようにストッパーの可動範囲にて定められるが、上筒の回動にて下筒との間に回動関係が生じ、水管上部は上筒に固定され、水管下部は下筒にて位置決めされているために、上筒回動にて水管の上部と下部との間に角度移動が生ずる。
これを吸収するために、水管下部をゴムチューブとし、かつ水管下部保護部を設けて、水管下部を保護する構成となっている。なお、下筒下端には切削刃部30が複数個下方突出して設けられる。
【0014】
次に、本機構の機能と作用について説明する。
まず、既述のオーガーケーシング下端に本発明の上筒を適宜手段にて固定する。
また、水管上端を水供給部に接続する。次ぎにオーガー駆動にてケーシングおよび上筒・下筒は平面視時計方向に回動し、下筒下端の刃部にて杭周の掘削を開始し、水管下端から水噴射がなされる。これを継続しながら本発明の掘削機構およびケーシングは地中を下方移動する。杭周の掘削が終了すると、オーガーケーシングを上方に移動させた後、先端を環状にしたロープを杭に絡めて上方移動させることにて、地中杭は土中より引き出される。この杭が破砕して上下分離となったとき、上部の杭はロープにて引き出し可能であるが、下部の杭は土中に残ったままである。そこで、杭の除去後の孔にオーガーケーシングを入れてから、該ケーシングを平面視反時計回りに回動させると、既述のごとく、押圧爪は上筒内方へ突出して杭外周を押圧保持するので、このままケーシングを上方移動させることによって、破砕して残っていた杭を土中から引き出して処理することができる。
【0015】
また、土中掘削中に石その他が刃部に当たって掘削進行が困難になった場合には、上筒を少しだけ上方移動させると、ストッパーは前記のロック凹部に入り込み、時計方向と反時計方向の双方向へ交互に回動可能となって、掘削障害を取り除くことができる。その後は従前とおりに掘削を進めることができる。
【0016】
次に、本発明による地中杭周および破砕地中杭引き抜き機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法について説明する。
1.地盤掘削・杭頭確認・逃げ芯セット(図11-a,b)
バックホウで地盤を掘削し、杭頭を露出させる。杭頭の倒れ等の有無を考慮し、杭芯が不明となる恐れがあるときは、逃げ芯を2箇所以上設置する。地盤崩落の危険があるときは、転落防止柵を設置し、スタンドパイプ設置後、地盤を埋め戻す。
2.杭抜き機据え付け
杭抜き位置まで杭抜き機を移動し、足場を確実に養生する。このとき、杭の仮置き位置、施工順序、残土処理場所等を確認しておく。
3.オーガーケーシング建て込み(図11-c)
オーガーケーシングを杭周に建て込むと共に、2方向からオーガーケーシングの鉛直を確認する。オーガーケーシング用油圧ホース、ウォータージェットホース等の接続を確認する。
4.掘削(図11-c)
オーガーケーシング先端から水を噴出させ、地中杭の抵抗や土質に適した速度で掘削する。
5.杭・地盤とのえん切り確認(図11-d)
掘削深度を確認しながら杭の挙動や回転等により、えん切りを確認する。
6.ケーシング引き上げ(図11-e)
オーガーケーシングに付着した土の落下による危険があるときは、引き上げ時に取り除く。
【0017】
7.地中杭(コンクリートパイル)の引き抜き
(7-1)(図11-f,g)
ケーシング先端に玉掛けワイヤーをセットし、該パイルが安全に引き抜ける位置まで落とし込む。ケーシングを引き抜き、確実にワイヤーが杭に掛かったことを確認してから,徐々にパイルを引き抜く。パイルが中間で切断されて地中に残ったときは、その深度を確認しながら,再度ワイヤー掛けを行って引き抜く。
(7-2)(図11h~n)
コンクリートパイルが破砕され、ワイヤー掛けで引き抜くことが困難な場合、再度ケーシングを時計方向に回動させ、杭孔下部先端付近まで落とし込む。適正深度を確認後ケーシングを逆転(反時計方向)させて、押圧爪を内部に突出させながら引き上げる。
地盤にケーシング先端を設置後正転(時計方向)させ、内部突起を格納する。
ケーシングを上げてケーシング内部の杭破片や鉄筋等を落下させて取り除く。
8.掘削孔の養生(図11-p)
砂をバックホウにて埋め戻す。以上の各工程を各杭に対してくり返す。
【0018】
以上、本発明について記したが、本発明は従来法の玉掛けワイヤーを地中杭に掛けて引き抜く手段とは異なり、地中杭周掘削並びに破砕地中杭引き抜き機構を用いて、破砕した杭をも引き抜くところにその特徴を有するものである。
従来法は既述のように、諸準備の後に玉掛けワイヤーを掘削孔中の杭に掛けて引き上げるものであり、杭が破砕していない場合にはこの方法で対処ができるが、破砕している杭に対しては効果を発揮することができない。玉掛けワイヤーは引くと締まる環状部分を杭に掛けて引き上げるのであるが、破砕箇所はこのワイヤーにてくずれてしまうために、引き上げが困難となる。
【0019】
これに対し本発明は既述のように、押圧爪を杭外面に押圧接触させる方式のために、破砕した杭箇所を外方から強固に押圧して杭形状を保持したまま引き上げることが可能である。またその押圧は、本発明機構の逆転(反時計方向)にてなされるものであるために、従来法では不能であった破砕地中杭をも引き上げることができるのである。
なお、手順としてはまず従来法による引き抜きを行い、杭の状態を判断して本発明方式を用いることができる。以上のごとく、本発明によって、従来法では不能であった破砕地中杭の引き上げを可能とする新規かつ有用なる、地中杭周掘削並びに地中破砕杭引き抜き機構および該機構を用いた破砕地中杭引き抜き工法を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 下筒
2 段部
3 挿入孔
4 ストッパー
10 上筒
11 外段部
12 内段部
13 肉厚部
14 ストッパー制限部
15 ロック凹部
16 爪保護体
17 押圧爪
20 水管保護体
21 水管下部保護体
22 水管
22a 水管上部
22b 水管下部
23 水管保護カバー
30 切削刃部
40 オーガー
41 ケーシング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11