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特開2022-135949負荷変化に対する即応を提供する電圧レギュレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135949
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】負荷変化に対する即応を提供する電圧レギュレータ
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/56 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
G05F1/56 310L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022017577
(22)【出願日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】17/191,719
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】松尾 善彦
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF02
5H430FF13
5H430HH03
5H430JJ07
(57)【要約】
【課題】 電圧レギュレータを提供する。
【解決手段】 電圧レギュレータは、演算増幅器と、第1トランジスタと、第2トランジスタと、キャパシタと、電流シンク回路と、を含む。演算増幅器は、演算増幅器の第1入力端子と第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い、制御電圧を出力する。第1トランジスタは、制御電圧を受信する制御端子と、供給端子に結合された第1端子と、出力電圧を供給する第2端子と、バルク端子と、を有する。第2トランジスタは、第1トランジスタのバルク端子に結合された第2端子と、供給端子に結合されたバルク端子と、を有する。キャパシタは、第1トランジスタのバルク端子に結合された第1端子と、出力電圧を受信する第2端子と、を有する。電流シンク回路は、出力電圧に従いフィードバック電圧を生成し、フィードバック電圧を演算増幅器へ出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子、第2入力端子、及び出力端子を有する演算増幅器であって、前記出力端子が前記第1入力端子と前記第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い制御電圧を出力する、演算増幅器と、
前記演算増幅器の前記出力端子に結合された制御端子、供給端子に結合された第1端子、負荷端子に出力電圧を供給する第2端子、及びバルク端子を有する第1トランジスタと、
前記演算増幅器の前記出力端子に結合された制御端子、前記供給端子に結合された第1端子、前記第1トランジスタの前記バルク端子に結合された第2端子、及び前記供給端子に結合されたバルク端子を有する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記バルク端子及び前記第2トランジスタの前記第2端子に結合された第1端子、並びに前記第1トランジスタの前記第2端子に結合された第2端子を有する第1キャパシタと、
前記第1トランジスタの前記第2端子、前記第1キャパシタの前記第2端子、前記演算増幅器の前記第2入力端子、及びグランド端子に結合された電流シンク回路と、
を備える電圧レギュレータ。
【請求項2】
前記電流シンク回路は、前記第1トランジスタの前記第2端子、前記第1キャパシタの前記第2端子及び前記演算増幅器の前記第2入力端子に結合された第1端子と、前記グランド端子に結合された第2端子と、を有する抵抗器を含む、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項3】
前記電流シンク回路は、前記第1トランジスタの前記第2端子、前記第1キャパシタの前記第2端子及び前記演算増幅器の前記第2入力端子に結合された第1端子と、前記グランド端子に結合された第2端子と、固定バイアス電圧を受信する制御端子と、バルク端子と、を有する第3トランジスタを含む、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項4】
前記第3トランジスタは、N型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である、請求項3に記載の電圧レギュレータ。
【請求項5】
前記電流シンク回路は、
前記第1トランジスタの前記第2端子及び前記第1キャパシタの前記第2端子と結合する第1端子と、第2端子と、を有する第1抵抗器と、
前記第1抵抗器の前記第2端子及び前記演算増幅器の前記第2入力端子に結合された第1端子と、前記グランド端子に結合された第2端子と、を有する抵抗器と、
を含む、請求項1に記載の電圧レギュレータ。
【請求項6】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、P型MOSFETである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電圧レギュレータ。
【請求項7】
第1入力端子、第2入力端子、第1出力端子、及び第2出力端子を有する演算増幅器であって、前記第1出力端子が前記第1入力端子と前記第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い第1制御電圧を出力し、前記第2出力端子が前記第1入力端子と前記第2入力端子との間の前記増幅された差動電圧に従い第2制御電圧を出力する、演算増幅器と、
前記演算増幅器の前記第1出力端子に結合された制御端子、供給端子に結合された第1端子、負荷端子に出力電圧を供給する第2端子、及びバルク端子を有する第1トランジスタと、
前記演算増幅器の前記第1出力端子に結合された制御端子、前記供給端子に結合された第1端子、前記第1トランジスタの前記バルク端子に結合された第2端子、及び前記供給端子に結合されたバルク端子を有する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記バルク端子及び前記第2トランジスタの前記第2端子に結合された第1端子、並びに前記第1トランジスタの前記第2端子に結合された第2端子を有する第1キャパシタと、
前記第1トランジスタの前記第2端子、前記第1キャパシタの前記第2端子、前記演算増幅器の前記第2入力端子、前記演算増幅器の前記第2出力端子、及びグランド端子に結合された電流シンク回路と、
を備える電圧レギュレータ。
【請求項8】
前記電流シンク回路は、
前記演算増幅器の前記第2出力端子に結合された制御端子と、前記第1トランジスタの前記第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、バルク端子と、を有する第3トランジスタであって、前記第3トランジスタの前記第1端子は、前記負荷端子に前記出力電圧を供給する、第3トランジスタと、
前記演算増幅器の前記第2出力端子に結合された制御端子と、前記第3トランジスタの前記バルク端子に結合された第1端子と、前記グランド端子に結合された第2端子と、前記グランド端子に結合されたバルク端子と、を有する第4トランジスタと、
前記第3トランジスタの前記第1端子に結合された第1端子と、前記第3トランジスタの前記バルク端子及び前記第4トランジスタの前記第1端子に結合された第2端子と、を有する第2キャパシタと、
を含み、
前記第1トランジスタの前記第2端子及び前記第3トランジスタの前記第1端子は、前記演算増幅器の前記第2入力端子にフィードバック電圧を供給する、請求項7に記載の電圧レギュレータ。
【請求項9】
前記電流シンク回路は、
前記演算増幅器の前記第2出力端子に結合された制御端子と、前記第1トランジスタの前記第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、バルク端子と、を有する第3トランジスタであって、前記第3トランジスタの前記第1端子は、前記負荷端子に前記出力電圧を供給する、第3トランジスタと、
前記演算増幅器の前記第2出力端子に結合された制御端子と、前記第3トランジスタの前記バルク端子に結合された第1端子と、前記グランド端子に結合された第2端子と、前記グランド端子に結合されたバルク端子と、を有する第4トランジスタと、
前記第3トランジスタの前記第1端子に結合された第1端子と、前記第3トランジスタの前記バルク端子及び前記第4トランジスタの前記第1端子に結合された第2端子と、を有する第2キャパシタと、
前記第1トランジスタの前記第2端子及び前記第1キャパシタの前記第2端子に結合された第1端子と、第2端子と、を有する第1抵抗器と、
前記第1抵抗器の前記第2端子及び前記演算増幅器の前記第2入力端子に結合された第1端子と、前記グランド端子に結合された第2端子と、を有する第2抵抗器と、
を含む、請求項7に記載の電圧レギュレータ。
【請求項10】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、P型MOSFETであり、前記第3トランジスタ及び第4トランジスタはN型MOSFETである、請求項8又は9に記載の電圧レギュレータ。
【請求項11】
前記演算増幅器の前記第1入力端子は、反転入力端子であり、前記演算増幅器の前記第2入力端子は、非反転入力端子である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電圧レギュレータ。
【請求項12】
前記演算増幅器の前記第1入力端子は、固定基準電圧を受信する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電圧レギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関し、具体的には、負荷変化に対する即応を提供する電圧レギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
電圧レギュレータは、一定電圧レベルを自動的に維持するよう設計された装置であり、電子装置、コンピューティング装置、モバイル装置、ポータブル装置、家庭用電化機器、等の電源において幅広い用途がある。ウエアラブル装置で適用するために、電圧レギュレータは、長いサービス寿命を達成するために、より少ない電力を消費する必要があり、製造コストを削減するために、より小さな出力キャパシタ又はキャパシタの無い構成を採用する必要がある。低電力消費を達成するための1つのソリューションは、電圧レギュレータ内のより低い電流駆動性を、出力トランジスタに適用することである。しかしながら、低い電流駆動性を有する出力トランジスタ、及び小さな出力キャパシタは、結果として低い回路応答をもたらす可能性が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-217964
【特許文献2】特開2013-186735
【特許文献3】特開2003-347913
【特許文献4】特開2006-134268
【特許文献5】特開2002-116829
【特許文献6】特開平11-68039
【特許文献7】特開2004-94788
【特許文献8】特開2003-100078
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態によると、電圧レギュレータは、演算増幅器と、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第1キャパシタと、電流シンク回路と、を含む。前記演算増幅器は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、を有する。前記出力端子が前記第1入力端子と前記第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い、制御電圧を出力する。前記第1トランジスタは、前記演算増幅器の前記出力端子に結合された制御端子と、供給端子に結合された第1端子と、負荷端子に出力電圧を供給する第2端子と、バルク端子と、を有する。前記第2トランジスタは、前記演算増幅器の前記出力端子に結合された制御端子と、前記供給端子に結合された第1端子と、前記第1トランジスタの前記バルク端子に結合された第2端子と、前記供給端子に結合されたバルク端子と、を有する。前記第1キャパシタは、前記第1トランジスタの前記バルク端子及び前記第2トランジスタの前記第2端子に結合された第1端子と、前記第1トランジスタの前記第2端子に結合された第2端子と、を有する。前記電流シンク回路は、前記第1トランジスタの前記第2端子、前記第1キャパシタの前記第2端子、前記演算増幅器の前記第2入力端子、及びグランド端子に結合される。
【0005】
本発明の別の実施形態によると、電圧レギュレータは、演算増幅器と、第1トランジスタと、第2トランジスタと、第1キャパシタと、電流シンク回路と、を含む。前記演算増幅器は、第1入力端子と、第2入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、を有する。前記第1出力端子が前記第1入力端子と前記第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い第1制御電圧を出力し、前記第2出力端子が前記第1入力端子と前記第2入力端子との間の前記増幅された差動電圧に従い第2制御電圧を出力する。前記第1トランジスタは、前記演算増幅器の前記第1出力端子に結合された制御端子と、供給端子に結合された第1端子と、負荷端子に出力電圧を供給する第2端子と、バルク端子と、を有する。前記第2トランジスタは、前記演算増幅器の前記第1出力端子に結合された制御端子と、前記供給端子に結合された第1端子と、前記第1トランジスタの前記バルク端子に結合された第2端子と、前記供給端子に結合されたバルク端子と、を有する。前記第1キャパシタは、前記第1トランジスタの前記バルク端子及び前記第2トランジスタの前記第2端子に結合された第1端子と、前記第1トランジスタの前記第2端子に結合された第2端子と、を有する。前記電流シンク回路は、前記第1トランジスタの前記第2端子、前記第1キャパシタの前記第2端子、前記演算増幅器の前記第2入力端子、前記演算増幅器の前記第2出力端子、及びグランド端子に結合される。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図及び図面に示される好適な実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態による電圧レギュレータの回路概略である。
【0008】
図2】例示的な負荷変化状態として表される図1の電圧レギュレータの波形である。
【0009】
図3】別の例示的な負荷変化状態として表される図1の電圧レギュレータの波形である。
【0010】
図4】本発明の別の実施形態による電圧レギュレータの回路概略である。
【0011】
図5】本発明の別の実施形態による電圧レギュレータの回路概略である。
【0012】
図6図1,4,5に示される実施形態による演算増幅器の回路概略である。
【0013】
図7】本発明の別の実施形態による電圧レギュレータの回路概略である。
【0014】
図8】例示的な負荷変化状態として表される図7の電圧レギュレータの波形である。
【0015】
図9】別の例示的な負荷変化状態として表される図7の電圧レギュレータの波形である。
【0016】
図10】本発明の別の実施形態による電圧レギュレータの回路概略である。
図11図7,10に示される実施形態による演算増幅器の回路概略である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本開示の実施形態による電圧レギュレータ1の回路概略である。電圧レギュレータ1は、出力電圧Voutを負荷Lに供給してよく、負荷状態に関係なく、出力電圧Voutを所定のレベルに維持してよい。所定のレベルは、実質的に一定であってよい。負荷Lは、コンピューティング装置のプロセッサであってよい。プロセッサは、アクティブモード又はスリープモードで動作してよい。アクティブモードでは、プロセッサは、電圧レギュレータ1からの高電流を消費してよく、電圧レギュレータ1は重負荷状態で動作し得る。スリープモードでは、プロセッサは、電圧レギュレータ1からの低電流を消費してよく、電圧レギュレータ1は軽負荷状態で動作し得る。軽負荷状態から重負荷状態へ切り換えるとき、負荷Lは、電圧レギュレータ1からの過度な量の電流を消費し、その結果、出力電圧Voutの急激な降下が生じる。反対に、重負荷状態から軽負荷状態へ切り換えるとき、負荷Lは、電圧レギュレータ1からの減少した量の電流を消費し、その結果、出力電圧Voutの急激な上昇が生じる。出力電圧Voutの急激な変化は、100mV未満であり得る。負荷の大きさに依存して、出力電圧Voutの急激な変化は、100mV以上になり得る。電圧レギュレータ1は、出力電圧Voutの変化に応答して、即座に負荷Lに流れる電流を調整し得る。
【0018】
電圧レギュレータ1は、演算増幅器10と、トランジスタM1と、トランジスタM2と、キャパシタCcと、電流シンク回路12と、を含んでよい。演算増幅器10は、第1入力端子と、第2入力端子と、出力端子と、を含む。トランジスタM1は、演算増幅器10の出力端子に結合された制御端子と、供給端子に結合された第1端子と、負荷Lの負荷端子に出力電圧Voutを供給する第2端子と、バルク端子と、を有する。供給端子は、実質的に一定の供給電圧VDDを供給してよい。トランジスタM2は、演算増幅器10の出力端子に結合された制御端子と、供給端子に結合された第1端子と、トランジスタM1のバルク端子に結合された第2端子と、供給端子に結合されたバルク端子と、を有する。キャパシタCcは、トランジスタM1のバルク端子及びトランジスタM2の第2端子に結合された第1端子と、トランジスタM1の第2端子に結合された第2端子と、を有する。電流シンク回路12は、トランジスタM1の第2端子、キャパシタCcの第2端子、演算増幅器10の第2入力端子、及びグランド端子に結合される。グランド端子は、実質的に一定のグランド電圧VSSを供給してよい。負荷Lは、負荷端子と、抵抗器Routと、キャパシタCoutと、を含んでよい。抵抗器Routは、負荷端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。キャパシタCoutは、負荷端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。
【0019】
電流シンク回路12は、抵抗器R1を有してよい。抵抗器R1は、トランジスタM1の第2端子、キャパシタCcの第2端子、及び演算増幅器10の第2入力端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。抵抗器R1は、余分な電流をグランド端子へ引き込む(シンクする)電流シンクパスを提供してよい。
【0020】
トランジスタM1は、制御電圧vaに従い電流Im1を生成してよい。電流Im1は、キャパシタCoutを充電する電流Icと、抵抗器Routを流れる電流Iloadと、を含んでよい。トランジスタM1は、閾値電圧Vthpを有するP型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal oxide semiconductor field effect transistor (MOSFET))であってよい。制御電圧vaが、供給電圧VDDと閾値電圧|Vthp|の絶対値との間の差より低いとき、トランジスタM1はオンにされて、電流Im1を生成する。電流Im1の大きさは、供給電圧VDDと制御電圧vaとの間の差の関数であってよい。言い換えると、低い制御電圧vaほど、大きな電流Im1を供給する。制御電圧vaが、供給電圧VDDと閾値電圧|Vthp|の絶対値との間の差より高いとき、トランジスタM1はオフにされて、電流Im1の生成を停止する。
【0021】
演算増幅器10の第1入力端子は、基準電圧Vrefを受信してよい。基準電圧Vrefは、値が固定されてよい。演算増幅器10の第2入力端子は、フィードバック電圧Vfbを受信してよい。フィードバック電圧Vfbは、基準電圧Vrefに等しくなるよう制御されてよい。演算増幅器10の出力端子は、第1入力端子と第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い、制御電圧を出力してよい。演算増幅器10の第1入力端子は反転入力端子であってよく、演算増幅器10の第2入力端子は非反転入力端子であってよい。フィードバック電圧Vfbは、出力電圧Voutと正相関されてよい。実施形態では、フィードバック電圧Vfbは、出力電圧Voutと等しくてよい。演算増幅器10は、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの間の差に従い、制御電圧vaを生成してよい。出力電圧Voutが急激に降下すると、フィードバック電圧Vfbは相応して低下してよい。フィードバック電圧Vfbが低下すると、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの間の差は増大してよく(フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vrefより低いとき、VfbからVrefを減算した結果が演算増幅器10に対して負になり得る)、制御電圧vaは減少してよい。制御電圧vaが減少する結果として、トランジスタM1をオンにすることにより、電流Im1は更に増加してよい。従って、出力電圧Voutの急激な降下が補償でき、出力電圧Voutは所定のレベルに維持され得る。反対に、出力電圧Voutが急激に上昇すると、フィードバック電圧Vfbは相応して増大してよい。フィードバック電圧Vfbが上昇すると、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの間の差は増大してよく(フィードバック電圧Vfbが基準電圧Vrefより高いとき、VfbからVrefを減算した結果が演算増幅器10に対して正になり得る)、制御電圧vaは増大してよい。制御電圧vaが増大する結果として、電流Im1は、トランジスタM1を弱くオンにすることにより更に減少してよく、又は供給を停止して、トランジスタM1を完全にオフにしてよい。従って、出力電圧Voutの急激な上昇が補償でき、出力電圧Voutは所定のレベルに維持され得る。従って、制御電圧vaの生成は、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの間の差に依存し、制御電圧vaの収束は、時間を消費し、出力電圧Voutの変化に対する電圧レギュレータ1の応答を遅くし得る。
【0022】
従って、トランジスタM2及びキャパシタCcが組み込まれ、出力電圧Voutの急激な変化のときに出力電圧Voutを所定のレベルに維持するために、電圧レギュレータ1の応答を高速化する。トランジスタM2は、P型MOSFETであってよく、抵抗器として機能してよい。軽負荷状態では、制御電圧vaは大きくなってよく、従って、トランジスタM2は、オフにされるか又は僅かにオンにされてよく、トランジスタM2の抵抗は大きくなってよく、トランジスタM1のバルク電圧vbは出力電圧Voutにより大部分が決定される。重負荷状態では、制御電圧vaは低くなってよく、従って、トランジスタM2は、オンにされ、トランジスタM2の抵抗は小さくなってよく、トランジスタM1のバルク電圧は供給電圧VDD及び出力電圧Voutにより決定される。トランジスタM2及びキャパシタCcは、供給端子、トランジスタM1のバルク端子、及びトランジスタM1の第2端子の間で構成される時定数回路として機能してよい。出力電圧Voutの変化は、キャパシタCcを介してトランジスタM1のバルク端子におけるバルク電圧vbとして伝搬されてよい。トランジスタM1の閾値電圧Vthpは、ボディ効果(body effect)のために、そのバルク電圧vbによる影響を受けてよく、式(1)により表すことができる:
【数1】
【0023】
式(1)に示されるように、閾値電圧Vthpは、ソース-バルク電圧Vsbに負相関する。出力電圧Voutの急激な降下は、キャパシタCcを介してトランジスタM1のバルク電圧vbの降下を引き起こしてよい。従って、トランジスタM1のソース-バルク電圧Vsbは増大してよく、トランジスタM1の閾値電圧Vthpは減少してよく、制御電圧vaを不変に保ちながらトランジスタM1が電流Im1を増大させ、出力電圧Voutを引き上げ、出力電圧Voutを実質的に一定レベルに維持する。出力電圧Voutの急激な上昇は、キャパシタCcを介してトランジスタM1のバルク電圧vbの上昇を引き起こしてよい。従って、トランジスタM1のソース-バルク電圧Vsbは減少してよく、トランジスタM1の閾値電圧Vthpは増大してよく、制御電圧vaを不変に保ちながらトランジスタM1が電流Im1を減少させ、出力電圧Voutを引き下げ、出力電圧Voutを実質的に一定レベルに維持する。
【0024】
キャパシタCcのキャパシタンスは、電圧レギュレータ1の安定性に影響を与えることなく、選択できる。幾つかの実施形態では、キャパシタCcのキャパシタンスはキャパシタCoutのキャパシタンスの10分の1より小さくてよく、式(2)を満たすことができる:
【数2】
【0025】
図2は、例示的な負荷変化状態として表される電圧レギュレータ1の波形である。線20及び22は、それぞれ本発明の実施形態及び従来技術における出力電圧Voutの波形を表し、線24及び26は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術における電流Im1の波形を表す。
【0026】
実施形態では、時間t1で、負荷状態は、重負荷状態から軽負荷状態へ切り換えられる。時間t1及び時間t2の間で、負荷Lは、減少した量の電流Iloadを引き出し、出力電圧Voutの波形20は、所定のレベルVprdから出力ピークレベルVp1へと上昇し、バルク電圧vbは供給電圧VDDからバルクピークレベルVbpへ増大し、制御電圧vaは電圧レベルVlのままであり、電流Im1の波形24は、バルク電圧vbの増大に応答して、電流レベルIhから電流レベルIlに減少し、出力電圧Voutの波形20の上昇を抑制する。供給電圧VDDは、バルク電圧vbの安定レベルであってよい。時間t2及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形20は、出力ピークレベルVp1から降下し、バルク電圧vbはバルクピークレベルVbpから降下し、制御電圧vaは電圧レベルVlのままであり、電流Im1の波形24は、電流レベルIlのままであり、出力電圧Voutの波形20の上昇を抑制する。時間t3及び時間t4の間で、出力電圧Voutの波形20は、所定のレベルVprdへ降下し続け、バルク電圧vbは供給電圧VDDへ降下し続け、制御電圧vaは電圧レベルVlから電圧レベルVhへ向かって上昇し始め、電流Im1の波形24は、電流レベルIlのままであり、出力電圧Voutの波形20を所定のレベルVprdに向けて引き下げる。
【0027】
関連技術では、時間t1及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形22は、所定のレベルVprdから出力ピークレベルVp2へと上昇し、制御電圧vaは電圧レベルVlのままであり、電流Im1の波形26は電流レベルIhのままである。波形22の出力ピークレベルVp2は、波形20の出力ピークレベルVp1より高くなり得る。時間t3及び時間t5の間で、制御電圧vaは、電圧レベルVlから電圧レベルVhへと上昇し、電流Im1の波形26は電流レベルIhから電流レベルIlへと減少して、出力電圧Voutの波形22を所定のレベルVprdへと引き下げる。関連技術と比べると、出力電圧Voutの波形20は、時間t4で所定のレベルVprdへと戻され、出力電圧Voutの波形22は、時間t5で所定のレベルVprdへと戻され、従って、本発明の実施形態は、関連技術よりも速く、負荷状態の変化に応答する。
【0028】
図3は、別の例示的な負荷変化状態として表される電圧レギュレータ1の波形である。線30及び32は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術における出力電圧Voutの波形を表し、線34及び36は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術における電流Im1の波形を表す。
【0029】
実施形態では、時間t1で、負荷状態は、軽負荷状態から重負荷状態へ切り換えられる。時間t1及び時間t2の間で、負荷Lは、増大した量の電流Iloadを引き出し、出力電圧Voutの波形30は、所定のレベルVprdから出力谷レベルVvlへと降下し、バルク電圧vbは供給電圧VDDからバルク谷レベルVbvへ減少し、制御電圧vaは電圧レベルVhのままであり、電流Im1の波形34は、バルク電圧vbの減少に応答して、電流レベルIlから電流レベルIh1へと上昇し、出力電圧Voutの波形30の降下を補償する。時間t2及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形30は、出力谷レベルVv1から所定のレベルVprdへと上昇し、バルク電圧vbはバルク谷レベルVbvから供給電圧VDDへ向けて上昇し、制御電圧vaは所定の電圧レベルVhのままであり、電流Im1の波形34は、電流レベルIh1から最終レベルIfへ降下し、出力電圧Voutの波形30を所定のレベルVprdに向けて引き上げる。時間t3及び時間t4の間で、制御電圧vaは、電圧レベルVhから電圧レベルVlへと降下する。時間t4及び時間t5の間で、制御電圧vaは、電圧レベルVlのままであり、電流Im1の波形34は最終レベルIfのままであり、出力電圧Voutの波形30は所定のレベルVprdのままである。
【0030】
関連技術では、時間t1及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形32は、所定のレベルVprdから出力谷レベルVv2へと降下し、制御電圧vaは電圧レベルVhのままであり、電流Im1の波形36は電流レベルIlのままである。出力谷レベルVv2は、出力谷レベルVv1より低くなり得る。時間t3及び時間t4の間で、制御電圧vaは、電圧レベルVhから電圧レベルVlへと降下し、電流Im1の波形36は電流レベルIlから電流レベルIh2へと増大して、出力電圧Voutの波形32を出力谷レベルVv2から所定のレベルVprdへ向けて引き上げる。時間t4及び時間t5の間で、制御電圧vaは、電圧レベルVlのままであり、電流Im1の波形36は電流レベルIh2から最終レベルIfへと減少して、出力電圧Voutの波形32を所定のレベルVprdへと引き上げる。関連技術と比べると、出力電圧Voutの波形30は、時間t3で所定のレベルVprdへと戻され、出力電圧Voutの波形32は、時間t5で所定のレベルVprdへと戻され、従って、本発明の実施形態は、より速く、負荷状態の変化に応答する。
【0031】
図4は、本発明の別の実施形態による電圧レギュレータ4の回路概略である。電圧レギュレータ4は、電流シンク回路12を置き換えるために電流シンク回路42が使用される点が、電圧レギュレータ1と異なる。電圧レギュレータ4は、電圧レギュレータ1と同様に動作し、簡単のためにその説明は省略される。電流シンク回路42は、以下の段落で詳細に説明される。
【0032】
電流シンク回路42は、トランジスタM3を含む。トランジスタM3は、トランジスタM1の第2端子とキャパシタCcの第2端子と演算増幅器10の第2入力端子とに結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、固定バイアス電圧Vbiasを受信する制御端子と、グランド端子に結合されたバルク端子と、を有する。トランジスタM3は、N型MOSFETであってよく、抵抗器の抵抗がバイアス電圧Vbiasにより制御される抵抗器として機能してよい。トランジスタM3は、余分な電流をグランド端子へ引き込む(シンクする)電流シンクパスを提供してよい。
【0033】
図5は、本発明の別の実施形態による電圧レギュレータ5の回路概略である。電圧レギュレータ5は、電流シンク回路12を置き換えるために電流シンク回路52が使用される点が、電圧レギュレータ1と異なる。電圧レギュレータ5は、電圧レギュレータ1と同様に動作し、簡単のためにその説明は省略される。電流シンク回路52は、以下の段落で詳細に説明される。
【0034】
電流シンク回路52は、分圧器として構成される、抵抗器R1及び抵抗器R2を含んでよい。抵抗器R2は、トランジスタM1の第2端子とキャパシタCcの第2端子とに結合された第1端子と、第2端子と、を有する。抵抗器R1は、抵抗器R2の第2端子と演算増幅器10の第2入力端子とに結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。抵抗器R1の第1端子は、フィードバック電圧Vfbを演算増幅器10に供給してよい。フィードバック電圧Vfbは、出力電圧Voutと正相関され、出力電圧Voutより低くてよい。幾つかの実施形態では、抵抗器R1及び抵抗器R2は、トランジスタにより実装されてよい。電圧レギュレータ5は、式(3)により表されるレギュレータ利得を有することができる:
Vout/Vref=(Rb1+Rb2)/Rb1 式(3)
ここで、Voutは出力電圧である。
Vrefは基準電圧である。
Rb1は、抵抗器R1の抵抗である。
Rb2は、抵抗器R2の抵抗である。
【0035】
図6は、図1,4,5に示される実施形態による演算増幅器10の回路概略である。演算増幅器10は、トランジスタM60~M66を含んでよい。トランジスタM60、M61、M63、M65はP型MOSFETであってよく、トランジスタM62、M64、M66はN型MOSFETであってよい。トランジスタM60は、固定バイアス電圧Vbiasを受信する制御端子と、供給端子に結合される第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM65は、固定バイアス電圧Vbiasを受信する制御端子と、供給端子に結合される第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM60、M65は電流源として機能してよい。トランジスタM61は、演算増幅器10の第1入力端子に結合された制御端子と、トランジスタM60の第2端子に結合された第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM63は、演算増幅器10の第2入力端子に結合された制御端子と、トランジスタM60の第2端子に結合された第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM62は、制御端子と、トランジスタM62の制御端子とトランジスタM61の第2端子とに結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。トランジスタM64は、トランジスタM62の制御端子に結合された制御端子と、トランジスタM63の第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。トランジスタM62、M64は電流ミラーに構成されてよい。トランジスタM66は、トランジスタM64の第1端子に結合された制御端子と、トランジスタM65の第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。
【0036】
演算増幅器10は、トランジスタM61の制御端子において基準電圧Vrefを受信し、トランジスタM63の制御端子においてフィードバック電圧Vfbを受信し、トランジスタM65の第2端子及びトランジスタM66の第1端子において制御電圧vaを出力してよい。基準電圧Vrefは固定され、結果として、トランジスタM61を通る電流は、上述のように安定状態(VrefがVfbに等しい)でトランジスタM63を通る電流と等しくなる。フィードバック電圧Vfbは出力電圧Voutと共に変化してよい。フィードバック電圧Vfbが減少するにつれ、トランジスタM63を通る電流は相応して増大してよい。トランジスタM62及びトランジスタM64の電流ミラーは、トランジスタM62及びトランジスタM64を通る電流を等しくさせ、従って、トランジスタM63を通る電流の中の余分な電流は、トランジスタM66の制御端子へと向けられてよく、トランジスタM66の制御端子の電圧を増大して、トランジスタM66の第1端子における制御電圧vaを低下させる。結果として、演算増幅器10の制御電圧は、トランジスタM66の制御端子の電圧を増大することにより、トランジスタM66を通る電流が増大するために、減少してよい。フィードバック電圧Vfbが増大するにつれ、トランジスタM63を通る電流は相応して減少してよい。トランジスタM62及びトランジスタM64の電流ミラーは、トランジスタM62及びトランジスタM64を通る電流を等しくさせ、従って、トランジスタM63を通る電流の中の不足した電流は、トランジスタM66の制御端子へと向けられてよく、トランジスタM66の制御端子の電圧を減少させてよく、トランジスタM66の第1端子における制御電圧vaを確立する。結果として、演算増幅器10の制御電圧vaは、トランジスタM66の制御端子の電圧を減少することにより、トランジスタM66を通る電流が減少するために、増大してよい。
【0037】
図1、4、5における実施形態は、トランジスタM2及びキャパシタCcを利用して、出力電圧Voutの急激な変化のときに、素早い回路応答で、トランジスタM1のバルク電圧vbを調整し、負荷状態の変化に起因する出力電圧の変動を低減する。
【0038】
図7は、本発明の別の実施形態による電圧レギュレータ7の回路概略である。電圧レギュレータ7は、電流シンク回路12を置き換えるために電流シンク回路72が使用され、及び演算増幅器10を置き換えるために演算増幅器70が使用される点が、電圧レギュレータ1と異なる。電圧レギュレータ7内のトランジスタM1、M2、及びキャパシタCcは、電圧レギュレータ1内のものと同様に動作し、簡単のためにその説明は省略される。演算増幅器70及び電流シンク回路72は、以下の段落で詳細に説明される。
【0039】
演算増幅器70は、第1入力端子と、第2入力端子と、第1出力端子と、第2出力端子と、を含む。演算増幅器70の第1入力端子は、固定基準電圧Vrefを受信してよい。演算増幅器70の第2入力端子は、フィードバック電圧Vfbを受信してよい。演算増幅器70の第1入力端子は反転入力端子であってよく、演算増幅器70の第2入力端子は非反転入力端子であってよい。演算増幅器70の第1出力端子は、第1入力端子と第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い第1制御電圧vaを出力してよく、演算増幅器70の第2出力端子は、第1入力端子と第2入力端子との間の増幅された差動電圧に従い第2制御電圧va2を出力してよい。第1制御電圧vaは、第2制御電圧va2と同一又は異なってよい。電流シンク回路72は、トランジスタM1の第2端子、キャパシタCcの第2端子、演算増幅器70の第2入力端子、演算増幅器70の第2出力端子、及びグランド端子に結合されてよい。
【0040】
電流シンク回路72は、トランジスタM4、トランジスタM5、及びキャパシタCc2を含んでよい。トランジスタM4は、演算増幅器70の第2出力端子に結合された制御端子と、トランジスタM1の第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、バルク端子と、を有する。トランジスタM4の第1端子は、負荷Lの負荷端子に出力電圧Voutを供給してよい。トランジスタM5は、演算増幅器70の第2出力端子に結合された制御端子と、トランジスタM4のバルク端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、グランド端子に結合されたバルク端子と、を有する。キャパシタCc2は、トランジスタM4の第1端子に結合された第1端子と、トランジスタM4のバルク端子及びトランジスタM5の第1端子に結合された第2端子と、を有する。トランジスタM1の第2端子及びトランジスタM4の第1端子は、演算増幅器70の第2入力端子に、フィードバック電圧Vfbを供給する。トランジスタM1及びトランジスタM2は、P型MOSFETであってよく、トランジスタM4及びトランジスタM5はN型MOSFETであってよい。
【0041】
負荷状態が重負荷状態から軽負荷状態へと切り替わるとき、電流シンク回路72は、グランド端子へと余分な電流を引き込む電流シンクパスを提供してよく、出力電圧Voutの急激な上昇を抑制する。同様に、負荷状態が軽負荷状態から重負荷状態へと切り替わるとき、電流シンク回路72は、出力電圧Voutの急激な降下を軽減してよい。トランジスタM4は、第2制御電圧va2に従い電流Im4を生成してよい。電流Im4は、式(4)を満たすことができる:
Iload=Im1-Ic-Im4 式(4)
ここで、Iloadは、抵抗器Routを通る電流である。
Im1は、トランジスタM1により生成されたドレイン電流である。
Icは、キャパシタCoutを充電する電流である。
Im4は、トランジスタM4により生成されたドレイン電流である。
【0042】
トランジスタM4は閾値電圧Vthnを有する。第2制御電圧va2が、閾値電圧Vthnとグランド電圧VSSとの間の差より高いとき、トランジスタM4はオンにされて、電流Im4を生成する。電流Im4の大きさは、第2制御電圧va2とグランド電圧VSSとの間の差の関数であってよい。言い換えると、高い第2制御電圧va2により大きな電流Im4が供給される。第2制御電圧va2が、閾値電圧Vthnとグランド電圧VSSとの間の差より低いとき、トランジスタM4はオフにされて、電流Im4の生成を停止する。
【0043】
トランジスタM5及びキャパシタCc2が組み込まれ、出力電圧Voutの急激な変化のときに出力電圧Voutを所定のレベルVprdに維持するために、電圧レギュレータ7の応答を高速化する。トランジスタM5は抵抗器として機能してよい。トランジスタM5及びキャパシタCc2は、グランド端子、トランジスタM4のバルク端子、及びトランジスタM4の第1端子の間で構成される時定数回路として機能してよい。出力電圧Voutの変化は、キャパシタCc2を介してトランジスタM4のバルク端子におけるバルク電圧vb2として伝搬されてよい。トランジスタM4の閾値電圧Vthnは、ボディ効果(body effect)により、そのバルク電圧vb2による影響を受けてよく、式(5)により表すことができる:
【数3】
【0044】
閾値電圧Vthnは、ソース-バルク電圧Vsbに正相関する。出力電圧Voutの急激な上昇は、キャパシタCc2を介してトランジスタM4のバルク電圧vb2の上昇を引き起こしてよい。従って、トランジスタM4のソース-バルク電圧Vsbは減少してよく、トランジスタM4の閾値電圧Vthnは減少してよく、第2制御電圧va2を不変に保ちながらトランジスタM4が電流Im4を増大させ、余分な電流をグランド端子へと引き込み、出力電圧Voutを引き下げて、出力電圧Voutを実質的に一定レベルに維持する。出力電圧Voutの急激な降下は、キャパシタCc2を介してトランジスタM4のバルク電圧vb2の降下を引き起こしてよい。従って、トランジスタM4のソース-バルク電圧Vsbは増大してよく、トランジスタM4の閾値電圧Vthnは増大してよく、制御電圧va2を不変に保ちながらトランジスタM4が電流Im4を減少させ、出力電圧Voutを実質的に一定レベルに維持する。
【0045】
図8は、例示的な負荷変化状態として表される電圧レギュレータ7の波形である。線80及び82は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術における出力電圧Voutの波形を表し、線83及び85は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術におけるトランジスタM1の電流Im1の波形を表し、線87及び89は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術におけるトランジスタM4の電流Im4の波形を表す。
【0046】
実施形態では、時間t1で、負荷状態は、重負荷状態から軽負荷状態へ切り換えられる。時間t1及び時間t2の間で、負荷Lは減少した量の電流Iloadを引き出し、出力電圧Voutの波形80は、所定のレベルVprdから出力ピークレベルVp1へと上昇し、トランジスタM1のバルク電圧vbは、供給電圧VDDからバルクピークレベルVbpへと増大し、トランジスタM4のバルク電圧vb2は、グランド電圧VSSからバルクピークレベルVp2へと増大し、第1制御電圧vaは電圧レベルVlのままであり、第2制御電圧va2は電圧レベルvl2のままであり、電流Im1は、トランジスタM1のバルク電圧が増加するのに応答して、電流レベルIhから電流レベルIlb1へと減少し、電流Im4は、トランジスタM4のバルク電圧vb2が増大するのに応答して、電流レベルIl2から電流レベルIhp2へと増大し、出力電圧Voutの波形80の上昇を抑制する。グランド電圧VSSは、トランジスタM4のバルク電圧vb2の安定レベルであってよい。時間t2及び時間t3の間で、電流Im1は、電流レベルIlb1から電流レベルIlへと上昇し、電流Im4は電流レベルIhp2から電流レベルIh2へと降下し、出力電圧Voutは出力ピークレベルVp1から降下し、トランジスタM1のバルク電圧vbはバルクピークレベルVbpから供給電圧VDDへと降下し、トランジスタM4のバルク電圧vb2は、バルクピークレベルVbp2からグランド電圧VSSへと降下し、第1制御電圧vaは電圧レベルVlのままであり、第2制御電圧va2は電圧レベルVl2のままであり、出力電圧Voutの波形80を所定のレベルVprdへと引き下げる。時間t3及び時間t4の間で、第1制御電圧vaは電圧レベルVlから電圧レベルVhへと上昇し、第2制御電圧va2は電圧レベルVl2から電圧レベルVh2へと上昇し、電流Im1は電流レベルIlのままであり、電流Im4は電流レベルIh2のままであり、出力電圧Voutは所定のレベルVprdのままである。電圧レベルVlは、電圧レベルVl2と同じか又は異なってよい。電圧レベルVhは電圧レベルVh2と同じか又は異なってよい。時間t4の後、電流Im1は電流レベルIlのままであり、電流Im4は電流レベルIh2のままであり、出力電圧Voutは所定のレベルVprdのままである。
【0047】
関連技術では、時間t1及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形82は、所定のレベルVprdから出力ピークレベルVp2へと上昇し、電流Im1の波形85は電流レベルIhのままであり、電流Im4の波形89は電流レベルIl2のままである。波形82の出力ピークレベルVp2は、波形80の出力ピークレベルVp1より高くてよい。時間t3及び時間t4の間で、電流Im1の波形85は、電流レベルIhから電流レベルIlへと降下し、電流Im4の波形89は電流レベルIl2から電流レベルIh2へと上昇し、第1制御電圧vaは電圧レベルVlから電圧レベルVhへと上昇し、第2制御電圧va2は電圧レベルVl2から電圧レベルVh2へと上昇して、出力電圧Voutの波形82を所定のレベルVprdへと引き下げる。関連技術と比べると、出力電圧Voutの波形80は、時間t3で所定のレベルVprdへと戻され、出力電圧Voutの波形82は、時間t4で所定のレベルVprdへと戻され、従って、本発明の実施形態は、関連技術よりも速く、負荷状態の変化に応答する。
【0048】
図9は、別の例示的な負荷変化状態として表される電圧レギュレータ7の波形である。線90及び92は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術における出力電圧Voutの波形を表し、線93及び95は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術におけるトランジスタM1の電流Im1の波形を表し、線97及び99は、それぞれ本発明の実施形態及び関連技術におけるトランジスタM4の電流Im4の波形を表す。
【0049】
実施形態では、時間t1で、負荷状態は、軽負荷状態から重負荷状態へ切り換えられる。時間t1及び時間t2の間で、負荷Lは増大した量の電流Iloadを引き出し、出力電圧Voutの波形90は、所定のレベルVprdから出力谷レベルVv1へと降下し、トランジスタM1のバルク電圧vbは、供給電圧VDDからバルク谷レベルVbvへと減少し、トランジスタM4のバルク電圧vb2は、グランド電圧VSSから第2バルク谷レベルVbv2へと減少し、第1制御電圧va及び第2制御電圧va2はそれぞれ電圧レベルVh及びVh2のままであり、電流Im1は、トランジスタM1のバルク電圧vbが減少するのに応答して、電流レベルIlから電流レベルIh1へと上昇し、電流Im4は電流レベルIh2から電流レベルIlb2へと降下し、出力電圧Voutの波形90の降下を補償する。時間t2及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形90は出力谷レベルVv1から上昇し、トランジスタM1のバルク電圧vbはバルク谷レベルVbvから上昇し、トランジスタM4のバルク電圧vb2は第2バルク谷レベルVbv2から上昇し、第1制御電圧va及び第2制御電圧va2はそれぞれ電圧レベルVh及びVh2のままであり、電流Im1は電流レベルIh1から降下し、電流Im4は電流レベルIlb2から上昇し、出力電圧Voutの波形90を所定のレベルVprdへ向けて引き上げる。時間t3及び時間t4の間で、出力電圧Voutの波形90は所定のレベルVprdへ上昇し、トランジスタM1のバルク電圧vbは供給電圧VDDへと上昇し、トランジスタM4のバルク電圧vb2はグランド電圧VSSへと上昇し、第1制御電圧va及び第2制御電圧va2は、それぞれ電圧レベルVh及びVh2から、それぞれ電圧レベルVl及びVl2へ向かって降下し、電流Im1は電流レベルIfへ降下し、電流Im4は電流レベルIl2へと上昇し、出力電圧Voutの波形90を所定のレベルVprdに引き上げる。
【0050】
関連技術では、時間t1及び時間t3の間で、出力電圧Voutの波形92は、所定のレベルVprdから出力谷レベルVv2へと降下し、電流Im1の波形95は電流レベルIlのままであり、電流Im4の波形99は電流レベルIh2のままであり、第1制御電圧va及び第2制御電圧va2は、それぞれ電圧レベルVh及びVh2のままである。波形92の出力谷レベルVv2は、波形90の出力谷レベルVv1より低くてよい。時間t3及び時間t5の間で、電流Im1の波形95は、電流レベルIlから電流レベルIfへと上昇し、電流Im4の波形99は電流レベルIh2から電流レベルIl2へと降下し、第1制御電圧vaは電圧レベルVhから電圧レベルVlへと降下し、第2制御電圧va2は電圧レベルVh2から電圧レベルVl2へと降下し、出力電圧Voutの波形92は出力谷レベルVv2から所定のレベルVprdへ上昇する。関連技術と比べると、出力電圧Voutの波形90は、時間t4で所定のレベルVprdへと戻され、出力電圧Voutの波形92は、時間t5で所定のレベルVprdへと戻され、従って、本発明の実施形態は、関連技術よりも速く、負荷状態の変化に応答する。
【0051】
図10は、本発明の別の実施形態による電圧レギュレータ10の回路概略である。電圧レギュレータ10は、電流シンク回路72を置き換えるために電流シンク回路102が使用される点が、電圧レギュレータ7と異なる。電圧レギュレータ10は、電圧レギュレータ7と同様に動作し、簡単のためにその説明は省略される。電流シンク回路102は、以下の段落で詳細に説明される。
【0052】
電流シンク回路102は、トランジスタM4、トランジスタM5、キャパシタCc2、抵抗器R1、及び抵抗器R2を含む。トランジスタM4は、演算増幅器70の第2出力端子に結合された制御端子と、トランジスタM1の第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、バルク端子と、を有する。トランジスタM4の第1端子は、負荷端子に出力電圧Voutを供給する。トランジスタM5は、演算増幅器70の第2出力端子に結合された制御端子と、トランジスタM4のバルク端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、グランド端子に結合されたバルク端子と、を有する。キャパシタCc2は、トランジスタM4の第1端子に結合された第1端子と、トランジスタM4のバルク端子及びトランジスタM5の第1端子に結合された第2端子と、を有する。抵抗器R2は、トランジスタM1の第2端子とキャパシタCcの第2端子とに結合された第1端子と、第2端子と、を有する。抵抗器R1は、抵抗器R2の第2端子と演算増幅器70の第2入力端子とに結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。抵抗器R1の第1端子は、フィードバック電圧Vfbを演算増幅器10に供給してよい。フィードバック電圧Vfbは、出力電圧Voutと正相関され、出力電圧Voutより低くてよい。幾つかの実施形態では、抵抗器R1及び抵抗器R2は、トランジスタにより実装されてよい。電圧レギュレータ10のレギュレータ利得は、式(3)により決定されてよい。トランジスタM1及びトランジスタM2は、P型MOSFETであってよく、トランジスタM4及びトランジスタM5はN型MOSFETであってよい。
【0053】
図1、4、5に示された実施形態と比較して、電圧レギュレータ7及び10は、電流シンクパス内にトランジスタM4を設けることにより、出力電圧Voutの急激な上昇により良好に応答する。
【0054】
図11は、図7,10に示される実施形態による演算増幅器70の一例の回路概略である。演算増幅器70は、トランジスタM111~M117を含んでよい。トランジスタM111、M113、M114、M116はP型MOSFETであってよく、トランジスタM112、M115、M117はN型MOSFETであってよい。
【0055】
トランジスタM113は、固定バイアス電圧Vbiasを受信する制御端子と、供給端子に結合される第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM111は、制御端子と、供給端子に結合された第1端子と、トランジスタM111の制御端子に結合された第2端子と、を有する。トランジスタM114は、演算増幅器70の第1入力端子に結合された制御端子と、トランジスタM113の第2端子に結合された第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM116は、演算増幅器70の第2入力端子に結合された制御端子と、トランジスタM113の第2端子に結合された第1端子と、第2端子と、を有する。トランジスタM115は、制御端子と、トランジスタM115の制御端子とトランジスタM114の第2端子とに結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。トランジスタM117は、制御端子と、トランジスタM117の制御端子とトランジスタM116の第2端子とに結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。トランジスタM112は、トランジスタM115の制御端子に結合された制御端子と、トランジスタM111の第2端子に結合された第1端子と、グランド端子に結合された第2端子と、を有する。
【0056】
トランジスタM113は、固定バイアス電圧Vbiasを受信して固定ドレイン電流idを生成する電流源として機能してよい。トランジスタM113のドレイン電流idは、トランジスタM114及びM115を通る第1電流i1と、トランジスタM116及びM117を通る第2電流i2と、に分けられてよい。演算増幅器70は、トランジスタM114の制御端子において基準電圧Vrefを受信し、トランジスタM116の制御端子においてフィードバック電圧Vfbを受信し、トランジスタM111の第2端子において第1制御電圧vaを出力し、及びトランジスタM117の制御端子において第2制御電圧va2を出力してよい。トランジスタM115及びM112は電流ミラーとして機能してよい。トランジスタM111は電流源として機能してよい。第1電流i1及び第2電流i2の和は、トランジスタM113のドレイン電流idと等しい。フィードバック電圧Vfbが減少すると、トランジスタM116により生成される第2電流i2は減少してよく、結果として第1電流i1の増大をもたらす。第1電流i1の増大は、トランジスタM115、M112、及びM111を介して第1制御電圧vaの減少を生成し、第2電流i2の減少は、トランジスタM117を介して第2制御電圧va2の減少へと変換されてよい。フィードバック電圧Vfbが増大すると、トランジスタM116により生成される第2電流i2は増大してよく、結果として第1電流i1の減少をもたらす。第1電流i1の減少は、トランジスタM115、M112、及びM111を介して第1制御電圧vaの増大を生成し、第2電流i2の増大は、トランジスタM117を介して第2制御電圧va2の増大へと変換されてよい。
【0057】
図7及び10の実施形態は、電流ソースパス及び電流シンクパスを提供して、出力電圧Voutの上昇及び降下を軽減し、並びに、トランジスタM2及びキャパシタCcを利用して、電流ソースパス内のトランジスタM1のバルク電圧vbを調整し、トランジスタM5及びキャパシタCc2を利用して、電流シンクパス内のトランジスタM4のバルク電圧vb2を調整して、回路応答を更に高速化して、出力電圧Voutを実質的に一定レベルに維持する。
【0058】
当業者は、装置及び方法の多数の変形及び変更が本発明の教示を保持したまま行われてよいことを直ちに理解する。従って、上述の開示は、添付の請求の範囲によってのみ与えられ制限されるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0059】
1 電圧レギュレータ
10 演算増幅器
12 電流シンク回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】