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特開2022-135953イメージング・システムに給電するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135953
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】イメージング・システムに給電するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05G 1/54 20060101AFI20220908BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20220908BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220908BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20220908BHJP
   H05G 1/20 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
H05G1/54 M
H02M7/06 P
H02J7/00 302A
A61B6/03 A
H05G1/20
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020131
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】17/193,541
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】グウタム・マジ
【テーマコード(参考)】
4C092
4C093
5G503
5H006
【Fターム(参考)】
4C092AA01
4C092AB14
4C092AC01
4C092AC17
4C092BB03
4C092BB06
4C092BB34
4C093AA22
4C093CA32
4C093EE14
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503BB03
5G503DA07
5G503GA19
5H006AA02
5H006BB06
(57)【要約】
【課題】イメージング・システムに給電する電力システム及び方法を提供する。
【解決手段】電力システム及び方法は、イメージング・システム・ガントリに結合された配電ユニット(PDU)を含んでいる。PDUの入力は、商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている。PDUの出力は、イメージング・システム・ガントリに電気的に結合されている。この電力システム及び方法はさらに、X線発生時にイメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給するエネルギ貯蔵システムを含んでいる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージング・システムに給電する電力システムであって、
少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有する配電ユニット(PDU)であって、前記少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている、配電ユニット(PDU)と、
前記イメージング・システムのガントリであって、前記PDUの前記少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するガントリと、
X線発生時に前記イメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給するエネルギ貯蔵システムと
を備えた電力システム。
【請求項2】
前記エネルギ貯蔵システムは少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を含んでおり、前記少なくとも一つの入力は直流(DC)電力を受け取り、前記少なくとも一つの出力はDC電力を前記X線発生器に供給する、請求項1に記載の電力システム。
【請求項3】
前記エネルギ貯蔵システムは、
入力及び出力を有する少なくとも一つのバッテリと、
DC電力を受け取る入力、及び前記少なくとも一つのバッテリの前記入力に電気的に結合された出力を有し、前記少なくとも一つのバッテリを充電するように構成されているバッテリ充電器と、
前記少なくとも一つのバッテリの前記出力に電気的に結合された入力、及び貯蔵された電気エネルギを前記少なくとも一つのバッテリから前記X線発生器へ供給するように動作可能な出力を有するスイッチと
を含んでいる、請求項1に記載の電力システム。
【請求項4】
前記イメージング・システムは計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムである、請求項1に記載の電力システム。
【請求項5】
前記エネルギ貯蔵システムは前記ガントリの内部に配置される、請求項1に記載の電力システム。
【請求項6】
前記エネルギ貯蔵システムは前記PDUの内部に配置される、請求項1に記載の電力システム。
【請求項7】
前記ガントリの内部に配置されており、ヒューズ及びコネクタを含んでいる電力アセンブリをさらに含んでおり、前記ヒューズはDC電力を受け取る入力及びDC電力を出力する出力を含んでおり、前記コネクタはAC電力を受け取る入力及びAC電力を出力する出力を含んでいる、請求項1に記載の電力システム。
【請求項8】
前記バッテリ充電器は力率改善(PFC)回路を含んでPFCバッテリ充電器として構成されており、該PFCバッテリ充電器は前記少なくとも一つのバッテリを充電するように構成されている、請求項3に記載の電力システム。
【請求項9】
前記少なくとも一つのバッテリはリチウムイオン・バッテリである、請求項3に記載の電力システム。
【請求項10】
前記PDUの前記少なくとも一つの出力は、前記電力アセンブリに電気的に結合されて該電力アセンブリにAC電力を供給する三相ACバスである、請求項7に記載の電力システム。
【請求項11】
前記PDUの前記少なくとも一つの出力は、前記電力アセンブリに電気的に結合されて該電力アセンブリにDC電力を供給するDCバスである、請求項7に記載の電力システム。
【請求項12】
三相AC電源に電気的に結合された入力及び少なくとも一つの出力を有するPDUと、
該PDUの前記少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するイメージング・システム・ガントリと、
電気エネルギを貯蔵するように構成されていると共に、X線曝射時にX線発生器に給電するために、前記貯蔵された電気エネルギを出力するように構成されているエネルギ貯蔵システムと
を備えたイメージング・システム。
【請求項13】
前記イメージング・システム・ガントリは電力アセンブリを含んでいる、請求項12に記載のイメージング・システム。
【請求項14】
前記エネルギ貯蔵システムは、
入力及び出力を有する少なくとも一つのバッテリと、
DC電力を受け取る入力、及び前記少なくとも一つのバッテリの前記入力に電気的に結合された出力を有し、前記少なくとも一つのバッテリを充電するように構成されているバッテリ充電器と、
前記少なくとも一つのバッテリの前記出力に電気的に結合された入力、及び貯蔵された電気エネルギを前記少なくとも一つのバッテリから前記X線発生器へ供給するように動作可能な出力を有するスイッチと
を含んでいる、請求項12に記載のイメージング・システム。
【請求項15】
前記エネルギ貯蔵システムは前記イメージング・システム・ガントリの内部に配置される、請求項12に記載のイメージング・システム。
【請求項16】
前記エネルギ貯蔵システムは前記PDUの内部に配置される、請求項12に記載の電力システム。
【請求項17】
CTイメージング・システムである請求項12に記載のイメージング・システム。
【請求項18】
イメージング・システムに給電する方法であって、
エネルギ貯蔵システムの入力をDC電源に接続するステップと、
エネルギ貯蔵システムの出力を前記イメージング・システムのX線発生器に接続するステップと、
前記DC電源から電気エネルギを供給することにより前記エネルギ貯蔵システムを充電するステップと、
X線曝射時に前記X線発生器に給電するために、貯蔵された電気エネルギを前記エネルギ貯蔵システムから前記X線発生器へ出力するステップと
を備えた方法。
【請求項19】
前記エネルギ貯蔵システムを充電するステップは、PDUからの電気エネルギを受け取ることと、電気エネルギを貯蔵するために、前記エネルギ貯蔵システムの少なくとも一つのバッテリを充電するバッテリ充電器に前記電気エネルギを供給することとを含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
貯蔵された電気エネルギを前記エネルギ貯蔵システムから出力するステップは、X線曝射時に前記X線発生器に給電するために、前記貯蔵された電気エネルギを前記少なくとも一つのバッテリから前記X線発生器へ供給することを含んでいる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題の実施形態は、医用イメージング・システムに関し、さらに具体的には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムの電力要求に対処することに関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の医学的状態を診断するために、様々な医用イメージング・システム及び方法を用いて被検体の画像を得る。X線イメージング・システムは多くの形態を取ることができ、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム、及び被検体の画像データを取得するためにX線を利用して利用者が観察可能な被検体の画像を形成する他の多くの形式のX線イメージング・システム等がある。
【0003】
CTイメージング・システムを用いて被検体を撮像するためには、テーブルに被検体を配置し、CTイメージング・システムのガントリの内部でテーブルを移動させて、被検体の体内の解剖学的構造の画像を得るために被検体を全方向に通過するX線を発生する必要がある。CTイメージング・システムは、CTイメージング・システムのガントリに配置された被検体を通してX線を放出するX線管に給電するX線発生器と、X線を受光するように配置されたX線検出器アレイとを含んでいる。X線検出器アレイによって受光されたX線は、様々な画像再構成手法及び視覚化手法を用いて処理されて、利用者が観察可能な被検体の画像を形成する。CT走査にかかる合計時間は通常、30分間から40分間の間を変化するが、実際のX線曝射時間は数秒間から数分間の間を変化する。
【0004】
X線発生器の最大電力消費はしばしば「ピーク電力」又は「ピーク負荷」と呼ばれ、数秒間又は数分間のX線発生時又はX線曝射時に発生され消費される電力となっている。商用電源からの三相AC電源は、X線発生器やX線管を含むCTイメージング・システムに給電してCTイメージング・システムのピーク電力需要を満たすことが必要とされる。
【0005】
一例では、従来のCTイメージング・システム動作時に、560ボルト直流(VDC)バスはX線発生時又はX線曝射時に28キロワット(kW)のピーク電力需要に遭遇する場合があり、このため560VDCバスは約62アンペア(A)の電流を有することになる。しかしながら、X線発生やX線曝射が存在しない時間には、電力需要は約200ワット~300ワット(W)である。また、ピーク電力需要を賄うために、CTイメージング・システムの全ての上流構成要素が適当な電力定格を有することが必要とされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
CTイメージング・システムにピーク電力又はバックアップ電力を供給するためには、CTイメージング・システムに必要とされる無停電電力を供給する無停電電源(UPS)のような様々なシステム及び方法が利用可能である。しかしながら、これらのUPSはCTイメージング・システム全体のための「バックアップ」を提供するに留まり、また比較的広い面積又は空間を必要とする。さらに、既存の電力システム構成要素はX線発生器によるピーク電力消費に向けて設計されており、ピーク電力を供給するのに適当な大電力能力及び定格を電力構成要素の全てが有している。また、ピーク電力を供給するために、高電圧直流(HVDC)ケーブルのようなさらに大きい電源基盤設備構成要素や、ヒューズ、交流から直流への(AC-DC)コンバータ、ソフト・スタート回路を含めた高電力定格の構成要素が要求される。
【0007】
さらに、回路の力率は電圧と電流との間の位相シフトである。理論的には、負荷によって取り出される電流量を減少させるためには最大力率値が1となることが極めて望ましい。回路の力率がより小さい場合には、電力損失を最小限に留めるために力率改善(PFC)回路を設ける場合がある。CTイメージング・システムでは、配電ユニット(PDU)が、ガントリを回転させるためのアキシャル・ドライブ、X線発生器及びX線管等のようなCTイメージング・システムの多くの異なる構成要素に電力を供給する。PDUの内部にPFC回路を設けることは商業的に成り立たないため不可能である。従って、CTイメージング・システムが消費する電力量は、PFC回路が存在しない場合にはより大きくなる。
【0008】
従って、CTイメージング・システムにピーク電力を供給し、且つ商用電源へのピーク負荷を解消しつつ、空間、消費、及び電力定格を小さくした電力システム及び方法が必要とされている。さらに、力率及び基盤設備占有面積を改善したシステム及び方法が極めて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一観点によれば、イメージング・システムに給電する電力システムが提供される。この電力システムは、少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有する配電ユニット(PDU)であって、少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源に電気的に結合されている、配電ユニット(PDU)と、イメージング・システムのガントリであって、PDUの少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するガントリと、X線発生時にイメージング・システムのX線発生器にピーク電力を供給するエネルギ貯蔵システムと、を含んでいる。
【0010】
本開示の一観点によれば、イメージング・システムが、三相AC電源に電気的に結合された入力及び少なくとも一つの出力を有するPDUと、PDUの少なくとも一つの出力に電気的に結合された少なくとも一つの入力を有するイメージング・システム・ガントリと、電気エネルギを貯蔵するように構成されていると共に、X線曝射時にX線発生器に給電するために、貯蔵されたエネルギを出力するように構成されているエネルギ貯蔵システムと、を含んでいる。
【0011】
本開示の一観点によれば、イメージング・システムに給電する方法が提供される。この方法は、エネルギ貯蔵システムの入力をDC電源に接続するステップと、エネルギ貯蔵システムの出力をイメージング・システムのX線発生器に接続するステップと、DC電源から電気エネルギを供給することによりエネルギ貯蔵システムを充電するステップと、X線曝射時にX線発生器に給電するために、貯蔵された電気エネルギをエネルギ貯蔵システムからX線発生器へ出力するステップと、を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一観点によるイメージング・システムの一例の概略ブロック図である。
図2】本開示の一観点による計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図である。
図3】本開示の一観点によるCTイメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図であって、三相AC電源が配電ユニット(PDU)からガントリに結合されている場合の図である。
図4】本開示の一観点によるCTイメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図であって、単相AC電源及び力率改善(PFC)バッテリ充電器を有する場合の図である。
図5】本開示の一観点によるCTイメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図であって、単相AC電源がPDUに給電する場合の図である。
図6】本開示の一観点によるPDUに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システム及びPFCバッテリ充電器を含む電力システムの概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の明細書及び特許請求の範囲では多くの用語に対する参照を行なっており、各用語は以下の意味を有するように定義されるものとする。
【0014】
単数形の不定冠詞及び定冠詞は、特に明記されていない限り複数への参照も含む。
【0015】
本書で用いられる場合には、「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、モバイル装置、タブレット、クラスタ、コンピュータ、ワークステーション、クライアント、及びサーバを非限定的に含む装置による実行のためにメモリに記憶される任意のコンピュータ・プログラムを含む。
【0016】
本書で用いられる場合には、「コンピュータ」及び関連する用語、例えば「計算装置」「コンピュータ・システム」「プロセッサ」又は「制御器(コントローラ)」との用語は、当技術分野でコンピュータと称される集積回路に限定されず、少なくとも一つの中央処理ユニット(CPU)、グラフィクス処理ユニット(GPU)、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理制御器(PLC)、特定応用向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、及び他のプログラム可能な回路を広く指し、これらの用語は本書では互換的に用いられる。
【0017】
近似言語は、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて本書で用いられる場合には任意の定量的表現を修飾するのに適用されることができ、かかる定量的表現は、当該定量的表現が関係する基本的な作用に変更を齎すことなく変化を許容し得る。従って、「約」「略」「凡そ」「近似的に」及び「実質的に」のような一語又は複数語によって修飾される値は、所定の厳密な値に限定されない。少なくとも幾つかの例では、近似言語は、値を測定する機器の精度に対応し得る。本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて本書では範囲の制限は組み合わせ及び/又は交換が可能であり、かかる範囲は文脈又は言語で明示しない限り、全ての部分範囲を含むように指定される。
【0018】
本書で用いられる場合には、「システム」「デバイス」及び「装置」との用語は互換的であり、X線イメージング・システム又は計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムを非限定的に含む構成要素、部分構成要素、部分(サブ)システムを含む。
【0019】
エネルギ貯蔵システムとの用語は、限定された時間にわたりイメージング・システムに給電するための電力を供給する1若しくは複数のバッテリ又はスーパキャパシタを含むシステムを広く指すように本書で用いられるが、本書に記載されるエネルギ貯蔵システムは、バッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールを含む場合があり、従って、「エネルギ貯蔵システム」「バッテリ・パック」及び「スーパキャパシタ・モジュール」との用語は本書では互換的に用いられ得ることを認められたい。
【0020】
以下の記載はイメージング・システムの様々な実施形態に関する。具体的には、計算機式断層写真法(CT)イメージング・システムに給電するシステム及び方法が提供される。本発明の手法に従って画像を取得するために用いられ得るCTイメージング・システムの一例を図1に掲げる。CTイメージング・システムは少なくとも一つのX線発生器及び少なくとも一つのX線管を含むことができ、これらのX線発生器及びX線管は、幾つかの撮像モードで動作させられるときに大量の電力を消費する。少なくとも一つのX線発生器は少なくとも一つのX線管に電力を供給する。幾つかの例では、少なくとも一つのX線発生器及び少なくとも一つのX線管を含むCTイメージング・システムの電力要求が、CTイメージング・システムを収容している建物の商用電源、及び/又はCTイメージング・システムに給電するために商用電力の交流(AC)を直流(DC)へ変換する配電ユニット(PDU)の電力能力を上回る場合がある。CTイメージング・システムの電力要求に対処する一つのアプローチは、ケーブル、ヒューズ、回路遮断器、及び/又は配電変圧器のサイズを増大させること等により、商用電源を拡張することを含み得る。もう一つのアプローチは、より大型のPDUに拡張する又は第二のPDUを設置することを含み得る。しかしながら、かかる解決方法は高経費で且つ時間を要し、CTイメージング・システムの利用を阻むまでになり得る。
【0021】
もう一つのアプローチは、商用電源のピーク負荷要求を軽減するために、図2に示すようにバッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールのようなエネルギ貯蔵システムを設けることを含み得る。バッテリ・パックは、1又は複数のバッテリと、バッテリ・パックを制御する制御回路とを含み得る。代替的には、複数のスーパキャパシタが、この複数のスーパキャパシタを制御する制御回路を含んでいてもよい。エネルギ貯蔵システムはまた、図3図5に示すように、バッテリ・パック又はスーパキャパシタ・モジュールの構成要素に給電するための電力回路、バッテリ・パック又はスーパキャパシタ・モジュールの構成要素を冷却するための1又は複数のファン、及びバッテリ・パック又はスーパキャパシタ・モジュールを充放電するための制御スイッチを含み得る。
【0022】
従って、本書に記載されているようなバッテリ・パック又はスーパキャパシタ・モジュールは、図6に示すように、X線曝射の少なくとも一部の最中にCTイメージング・システムの1又は複数の構成要素に電力を供給して、PDUの出力限度を上回る電力消費を可能にし得る。
【0023】
エネルギ貯蔵システムはDCバスに電気的に結合されており、PDUによる電気エネルギ出力を貯蔵するように構成されている。エネルギ貯蔵システムは、X線曝射時のようなピーク電力要求時にのみX線発生器に給電するために貯蔵された電気エネルギを出力するように構成されている。エネルギ貯蔵システムは、CTイメージング・システムのPDUの内部に含まれるバッテリ・パックとして構成される場合もある少なくとも一つ又は複数のバッテリを含み得る。また、ピーク及び非ピークの電力消費時間での給電を調整するために、制御システムが含まれ用いられ得る。エネルギ貯蔵システムは、停電時、又は利用可能な電力が存在しないときに、X線管に給電するX線発生器、CTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ、及び他のシステム電子回路を含めたCTイメージング・システムのためのバックアップ電力を供給するように構成されている。バッテリ・パックはPDUに内蔵されてもよいし、CTイメージング・システムのガントリに内蔵されてもよい。バッテリ・パックを充電するためにバッテリ充電器を設けてもよい。
【0024】
X線イメージング・システム又はCTイメージング・システムが例示的に記載されるが、本発明の手法は、磁気共鳴(MR)イメージング・システム、陽電子放出型断層写真法(PET)イメージング・システム、単光子放出型計算機式断層写真法(SPECT)イメージング・システム、超音波イメージング・システム、フルオロスコピィX線イメージング・システム、及びこれらの組み合わせ(例えばPET/CT、PET/MR又はSPECT/CTの各イメージング・システムのようなマルチ・モダリティ型イメージング・システム)のような他のイメージング・システムに適用されるときにも有用であり得ることを理解されたい。CTイメージング・システムの本書での議論は適当な一イメージング・システムの例として掲げられているに過ぎない。
【0025】
ここで、図面を参照して本開示の実施形態を例示的に記載する。図1は、X線イメージング・システム又はCTイメージング・システムのようなイメージング・システムの一例100を示す。本開示の観点によれば、イメージング・システム100は被検体102を撮像するように構成されている。実施形態の一例では、イメージング・システム100は、X線検出器アレイ104を含んでいる。X線検出器アレイ104はさらに、複数の検出器素子108を含んでおり、これらの検出器素子108は一括で、患者のような被検体102を通過したX線ビーム106を感知して、対応する投影データを取得する。従って、実施形態の一例では、検出器アレイ104はセル又は検出器素子108から成る複数の横列を含むマルチ・スライス構成として作製される。かかる構成では、投影データを取得するために検出器素子108から成る1又は複数の付加的な横列を並列構成に配置する。
【0026】
幾つかの実施形態では、イメージング・システム100は、望まれる投影データを取得するために、被検体102の周りの様々な角度位置を横断するように構成されている。従って、ガントリ110及び搭載された構成要素は、投影データを例えば様々なエネルギ・レベルで取得するために、回転中心112の周りを回転するように構成され得る。代替的には、被検体102に対する投影角度が時間の関数として変化するような実施形態においては、搭載された構成要素が円弧に沿ってではなく一般的な曲線に沿って移動するように構成される場合もある。
【0027】
X線源114及びX線検出器アレイ104が回転するのに伴って、X線検出器アレイ104は被検体102を通過したX線ビームから減弱後のX線のデータを収集する。X線検出器アレイ104によって収集されたデータは、走査されている被検体102の減弱係数の線積分を表わすようにデータを調整する処理を受ける。このデータは投影データとして周知である。
【0028】
幾つかの例では、X線検出器アレイ104の個々の検出器素子108は、個々の光子の相互作用を1又は複数のエネルギ・ビンに登録する光子計数型検出器素子を含み得る。本書に記載される方法は、エネルギ積分型検出器としても具現化され得ることを認められたい。
【0029】
イメージング・システム100はさらに、ガントリ110の回転及びX線源114の動作のようなCTイメージング・システムの構成要素を制御する制御システム120を含み得る。幾つかの実施形態では、制御システム120は、X線源114に電力信号及びタイミング信号を供給するように構成されているX線制御器122を含み得る。加えて、制御システム120は、撮像要件に基づいてガントリ110の回転速度及び/又は位置を制御するように構成されているガントリ制御器124を含み得る。
【0030】
イメージング・システム100はさらに、検出器素子108からアナログ・データを受け取って、後に行なわれる処理のためにアナログ・データをディジタル信号へ変換するように構成されているデータ取得システム(DAS)116を含んでいる。DAS116が受け取ってディジタル化したデータは、コンピュータ又は計算装置126へ伝達される。一例では、計算装置126は記憶装置128にデータを記憶させる。記憶装置128は例えば、ハード・ディスク・ドライブ、フロッピィ・ディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク読み書き(CD-R/W)ドライブ、ディジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュ・ドライブ、固体記憶ドライブ、又は他の形式の記憶装置を含み得る。
【0031】
加えて、計算装置126は、DAS116、X線制御器122、及びガントリ制御器124の1又は複数に対し、データ取得及び/又は処理のようなシステム動作を制御するための命令及びパラメータを供給する。幾つかの実施形態では、計算装置126は操作者入力に基づいてシステム動作を制御する。計算装置126は例えば、計算装置126に結合されて動作する操作者コンソール130を介して命令及び/又は走査パラメータを含む操作者入力を受け取る。操作者コンソール130は、キーボード(不図示)、タッチスクリーン、又は操作者が命令及び/若しくは走査パラメータを指定することを可能にする他の入力装置を含み得る。
【0032】
図1は一つのみの操作者コンソール130を示しているが、例えばシステム・パラメータを入出力する、画像取得を開始する、及び/又は画像を観察する等のために、1よりも多い操作者コンソールがイメージング・システム100に結合されていてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、イメージング・システム100は多数の表示器、プリンタ、ワークステーション、及び/又は類似の装置に結合されてよく、これらの装置はインターネット及び/又は仮想専用網のような1又は複数の構成可変の有線網及び/又は無線網を介して、例えば施設又は病院の内部でのように構内に位置していてもよいし、全く異なる位置のように遠隔に位置していてもよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、例えばイメージング・システム100は医用画像管理通信システム(PACS)132を含んでいてもよいし、PACS132に結合されていてもよい。具現化形態の一例では、PACS132はさらに、放射線情報システム(RIS)や病院情報システム(HIS)のような遠隔システム、並びに/又は様々な位置の操作者が命令及びパラメータを与え、且つ/若しくは画像データを入手することを可能にする内外網(不図示)に結合される。
【0034】
計算装置126は操作者が与えた及び/又はシステムが定義した命令及びパラメータを用いてテーブル制御器134を動作させ、テーブル制御器134は続いて、電動テーブルであってよいテーブル136を制御することができる。具体的には、テーブル制御器134は、撮像されている被検体102の関心領域(ROI)に対応する投影データを取得するために被検体102をガントリ110の適当な位置に配置するようにテーブル136を移動させることができる。
【0035】
前述のように、DAS116は、検出器素子108によって取得された投影データを受け取ってディジタル化する。続いて、画像再構成器140が、標本化されて及びディジタル化された投影データを用いて高速画像再構成を実行する。図1は画像再構成器140を別個の構成要素として示しているが、幾つかの実施形態では、画像再構成器140が計算装置126の部分を形成していてもよい。代替的には、画像再構成器140がイメージング・システム100から省かれて、代わりに計算装置126が画像再構成器140の1又は複数の作用を果たしてもよい。また、画像再構成器140は構内に位置していても遠隔に位置していてもよく、有線網又は無線網を用いてイメージング・システム100に接続されて動作し得る。具体的には、実施形態の一例は、画像再構成器140について「クラウド(cloud)」網の計算資源を利用し得る。
【0036】
実施形態の一例では、画像再構成器140は、再構成された画像を記憶装置128に記憶させることができる。代替的には、画像再構成器140は評価及び診断に有用な患者情報を生成するために、再構成された画像を計算装置126に伝達してもよい。幾つかの実施形態では、計算装置126は再構成された画像及び/又は患者情報を、計算装置126及び/又は画像再構成器140に連絡結合された表示器138に伝達することができる。
【0037】
本書にさらに詳しく記載される様々な方法及び工程は、イメージング・システム100の計算装置の非一過性のメモリに実行可能な命令として記憶され得る。実施形態の一例では、画像再構成器140が、かかる実行可能な命令を非一過性のメモリに含むことができ、取得された走査データから画像を再構成するための本書に記載される方法を適用することができる。もう一つの実施形態では、計算装置126が命令を非一過性のメモリに含んでいてもよく、画像再構成器140から再構成画像を受け取った後に再構成画像に本書に記載される方法を少なくとも部分的に適用することができる。さらにもう一つの実施形態では、本書に記載される方法及び工程が画像再構成器140及び計算装置126に分散されていてもよい。
【0038】
実施形態の一例では、表示器138は、撮像された解剖学的構造を操作者が評価することを可能にする。表示器138はまた、後に行なわれる画像取得走査又は処理のために、例えばグラフィック・ユーザ・インタフェイス(GUI)を介して操作者が関心容積(VOI)を選択すること及び/又は患者情報を要求することを可能にし得る。
【0039】
X線源114からX線を発生するためには大量の電力が必要である。例えば、CTイメージング・システムのX線発生器はX線発生時又はX線曝射時に24kWのピーク電力(ピーク負荷とも呼ぶ)を必要とする場合があり、一方X線発生又はX線曝射が行なわれない時間には、X線発生器は200Wから300Wの範囲の平均電力を消費する。診療所、医療施設、病院、又は撮像施設の平均的な1日では、CTイメージング・システムは、日当たり数時間にわたり動作し得るが、CTイメージング・システムのX線発生器のピーク電力消費は、走査中に数分間しか生じない。従って、ピーク電力利用が比較的短時間しか生じなくても、CTイメージング・システムに給電する電力システムの他の構成要素の全てがピーク電力定格で設計される必要がある。
【0040】
加えて、CTイメージング・システムによって要求されるピーク電力量、及びCTイメージング・システムの内部にバッテリ・パックを収容するために利用可能な空間を考慮すると、X線発生器のためのバックアップ電力を設けることも困難である。
【0041】
図2は、本開示の一観点によるCTイメージング・システム・ガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図を示す。エネルギ貯蔵システムは、CTイメージング・システムのX線発生器及び他の構成要素にピーク電力を供給するように構成されている。
【0042】
CTイメージング・システムに給電する電力システムの一例200が、CTイメージング・システム・ガントリ220に電気的に結合されてCTイメージング・システムのX線発生器223及び他の構成要素に給電する配電ユニット(PDU)210を含み得る。PDU210は少なくとも一つの入力及び少なくとも二つの出力を有し、少なくとも一つの入力は商用電源からの交流(AC)電源211に電気的に結合されている。PDU210は調整電力を供給する本質的な構成要素の全てを含んでいてよく、これらの構成要素としては、限定しないが入力AC電源211、第一の回路遮断器231、変圧器212、変圧器212からの第一の出力、及び変圧器212からの第二の出力が含まれる。実施形態の一例では、商用電源からの入力AC電源211は200/220/240ボルト交流(VAC)三相AC電力、380/400/420VAC三相AC電力、及び/又は440/460/480VAC三相AC電力であってよい。変圧器212からの第一の出力は400/230VAC三相AC電力を供給し、ヒューズ213、電磁適合性(EMC)基板214、ソフト・スタート回路215、EMCフィルタ216、及びAC/DC回路217に結合されることができ、560ボルト直流(VDC)電力を直流(DC)バス230へ供給する。EMC基板は、入力AC電源211からのEMCノイズを減少させる又は解消する働きをする。ソフト・スタート回路215は、PDU210の緩やかな電源投入を保証し、PDUの電源投入時の容量性突入電流を減少させる働きをする。すなわち、キャパシタを用いて、キャパシタに跨って高電圧が印加された場合には突入電流を減少させ、故にソフト・スタート回路はキャパシタに跨る電圧の緩やかな増大を保証して、これにより突入電流を減少させる。EMCフィルタ216もまた、回路からのEMCノイズを減少させ又は解消する働きをする。従って、EMC基板214が回路からのEMCノイズを減少させ又は解消する働きをしている場合には、EMCフィルタ216は必須という訳ではない。AC/DC回路217は出力において、三相ブリッジ整流器及び電解キャパシタ(1又は複数)を含み得る。変圧器212からの第二の出力は208/120VAC三相AC電力を供給し、第二の回路遮断器218及びKSV回路219に結合されることができ、KSV回路219は、コネクタ227及びCTイメージング・システム・ガントリ回転を受け持つアキシャル・ドライブ225に三相ACバス240を結合したり遮断したりする三相接触器を含み得る。ACバス240は、アキシャル・ドライブ225用に三相低電圧AC(LVAC)電力を供給する。変圧器212からCTイメージング・システム・ガントリ及びテーブルへ三相LVAC電力(208/120三相VAC)を供給するもう一つの出力が存在していてもよい。
【0043】
PDU210は、CTイメージング・システム・ガントリ220及びCTイメージング・システムの他の構成要素に電気的に結合されている。実施形態の一例では、ガントリ220は少なくとも二つの入力を有し、これら少なくとも二つの入力はPDU210の少なくとも二つの出力に電気的に結合されている。本開示の一観点では、PDU210のDCバス230及びACバス240が、好ましくはガントリ220の内部に配置された電力アセンブリ221に電気的に結合されて、PDU210からのDC電力及びAC電力をガントリ220に供給する。DCバス230は電力アセンブリ221の内部のヒューズ226に結合され、スリップ・リング222及びX線発生器223にDC電力を供給することができる。DCバスは、X線発生器223のための高電圧DC(HVDC)電力を供給する。X線発生器223は電力信号及び制御信号をX線管224へ供給する。後で述べるように、ヒューズ226は、負荷がエネルギ貯蔵システム229のバッテリ充電器によるバッテリ充電のためのみに減少するので、低下したヒューズ定格を有し得る。ACバス240はコネクタ227に電気的に結合されて、CTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ225に三相AC電力を供給することができる。さらに、電力アセンブリ221は他の構成要素、例えば省エネルギ制御228及びサービス・コンセント232を含み得る。
【0044】
実施形態の一例では、ヒューズ226は、DC電力を受け取る入力及びDC電力を出力する出力を含んでおり、コネクタ227は、AC電力を受け取る入力及びAC電力を出力する出力を含んでいる。
【0045】
電力システム200はさらに、エネルギ貯蔵システム229を含むことができ、エネルギ貯蔵システム229は、ヒューズ226とスリップ・リング222との間に設けられて、商用電源からのAC電源211が利用可能でないとき及びピーク電力要求時に、スリップ・リング222及びX線発生器223に電力を供給することができる。エネルギ貯蔵システム229は、少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を含み得る。実施形態の一例では、エネルギ貯蔵システム229は、バッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールを含み得る。少なくとも一つのバッテリは入力及び出力を有する。バッテリ・パックに加えて、エネルギ貯蔵システム229は、DC電力を受け取る入力及び少なくとも一つのバッテリの入力に電気的に結合された出力を有するバッテリ充電器と、少なくとも一つのバッテリの出力に電気的に結合された入力を有するDC断路スイッチと、保護ヒューズとを含み得る。ヒューズは、スイッチの出力に電気的に結合された入力と、スリップ・リング222に電気的に結合された出力とを有する。一例では、PDU210からのDCバス230の560VDC出力は、エネルギ貯蔵システム229、具体的にはエネルギ貯蔵システム229の内部のバッテリ・パックを充電するバッテリ充電器に電気的に結合され得る。エネルギ貯蔵システム229からの出力は、スリップ・リング222及びX線発生器223に接続され得る。DC断路スイッチ及びヒューズは、バッテリ・パックから来る電力の制御を提供すると共に、スリップ・リング222及びX線発生器223の保護を提供する。エネルギ貯蔵システム229の内部のバッテリ・パックは、X線発生時又はX線曝射時にのみX線発生器223及びX線管224に給電するために利用されることができ、連続した2回のX線曝射の間の時間にはバッテリ・パックはバッテリ充電器によって充電され得る。バッテリ・パックが故障したり貯蔵されたエネルギを消尽したりした場合には、エネルギ貯蔵システムを迂回することができ、電力はPDUから直接CTイメージング・システム・ガントリ及びX線発生器へ供給される。
【0046】
続けて図2を参照して述べると、本開示の一観点では、コネクタ227はPDU210からACバス240を通じて三相AC電力に接続されることができ、コネクタ227はCTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ225に三相AC電力を供給するように構成され得る。PDU210は、商用電源からのAC電源211を、X線発生器223に給電するようにDCバス230で供給されるDC電力と、アキシャル・ドライブ225に供給される三相AC電力とに分離する。
【0047】
X線発生器223に給電するためにエネルギ貯蔵システム229を導入すると、X線発生器223にピーク電力を間断なく供給する必要性が解消する。バッテリ・パックは、X線発生に要求されるピーク電力をX線曝射時にのみ供給することができる。さらに、ヒューズ213、EMC基板214、ソフト・スタート回路215、EMCフィルタ216を高いピーク電力定格で含める必要性が解消し、これによりPDU210の費用を引き下げることができる。
【0048】
動作時には、バッテリ・パックはX線曝射時に何らかのレベルまで放電され得るが、次回のX線曝射までにバッテリ充電器によって再充電され得る。一例では、バッテリ・パックは、1回のX線曝射時にエネルギ貯蔵容量の7%から10%までを放電する場合があり、次回のX線曝射が開始するまでにバッテリ・パックが100%充電状態(SOC)レベルまで完全充電されていなくても、バッテリ・パックは依然として連続CT走査時の10回以上又はそれよりも多いX線曝射又は合計電力消費量が少ないX線曝射をサポートし得る。
【0049】
バッテリ・パックに組み入れられ得るバッテリは様々な種類のものが市販されている。バッテリ・パックの構成に対する制限はないが、小型バッテリは単一の走査にX線発生器によって要求されるエネルギの約3倍から5倍の貯蔵能力のエネルギを有し得る。ピーク負荷要件を切り下げることにより、X線発生器をサポートするのに必要とされる電気的基盤設備を縮小することができる。多くの高エネルギ密度リチウム・イオン(Liイオン)バッテリが市販されており、他の応用向けの安全で且つ高エネルギ密度のバッテリへの需要が高まっているため多数が進化しつつある。LiFePO型のLiイオン・バッテリは、他のLiイオン技術(コバルト酸リチウム(LCO)、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物(NCA)等)よりもエネルギ密度は低いものの最も安全な技術の一つである。バッテリ・サイズの計算及び適当なサイズのバッテリ・パックは、バッテリ性能パラメータ及び要件を考慮して設計され得る。
【0050】
一例では、平均電力要求が260ワット(W)でピーク電力要求が24kWであると考え、走査プロトコルを鑑みてバッテリ・パラメータを画定することができる。プロトコルに応じた最高のX線走査の持続時間が120秒でX線発生器効率が約85%であると考えると、バッテリ効率が約90%で最大放電電流が約60アンペア(A)であることが要求され得る。一例では、バッテリ・パックは560VDCで約1800WH(ワット時)であってよく、バッテリのサイズは約325×200×200mmであってよい。X線発生器による電力消費のため枯渇したバッテリの電荷は1000Wバッテリ充電器で10分間以内に再充電され得る。エネルギ貯蔵システム及びバッテリ充電器は、入力力率改善(PFC)付きで利用可能になり得る。このエネルギ貯蔵システムは、PDU設計を変更せずにガントリに組み込まれ得る。
【0051】
本開示のもう一つの観点によれば、低下した電力定格を有する構成要素を用いてPDU210を単純化することができる。PDU変圧器212やEMC基板213のような構成要素の電力定格を低下させると、PDUの費用を引き下げると共に、ガントリ220に設けられたエネルギ貯蔵システム229の利益を強化することができる。高電圧DC(HVDC)バス230はバッテリ充電負荷(例えば1000W)を提供しさえすればよいので、電気部品の費用を引き下げるようにPDU210を改修することができる。PDUの変圧器212、ヒューズ213、EMC基板214、ソフト・スタート回路215、及び他の電気的構成要素又は回路を、バッテリ充電の電力要求に応じて小型化することができる。これによりPDU210費用を引き下げることができる。同様に、電力定格は1kWの範囲にあり、より大型のCTイメージング・システムでは約3kWであり得るので、DC電気的構成要素を単相部品に改修することができる。
【0052】
図3は、本開示の一観点によるCTイメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図を示し、三相AC電源がPDUからガントリに結合されている。図3では、PDU及びCTイメージング・システム・ガントリの電気的構成が、CTイメージング・システムに給電する電力システムの費用を引き下げるように改修されている。
【0053】
CTイメージング・システムに給電する電力システムの一例300がPDU310を含み得るが、図2に示すようにガントリ320への二つの別個の出力を有して一方の出力がX線発生器にHVDC電力を供給し他方の出力がアキシャル・ドライブにLVAC電力を供給するのではなく、PDU310はガントリ320への一つのみの三相AC出力340に単純化され得る。故に、三相ACバス340は図3に示すように、コネクタ327において、ガントリ320に一体内蔵されたアキシャル・ドライブ用の三相LVAC電力と、エネルギ貯蔵システム用のHVDC電力とに分割され得る。別個のHVDC電力ケーブルの費用が解消され、また電力システム300の制御を単純化することができる。但し、ガントリ320は、PDU310からガントリ320へ移動され得るさらに幾つかの電気的構成要素を収容する必要がある場合があり、かかる構成要素としては、ソフト・スタート回路315、三相ブリッジ整流器及び電解キャパシタ(1又は複数)を含み得るAC/DC回路317、並びにブリッジ整流器及び電解キャパシタ(1又は複数)を含み得るKSV回路319等がある。
【0054】
PDU310は少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有し、少なくとも一つの入力は商用電源からのAC電源311に電気的に結合されている。PDU310は調整電力を供給する本質的な構成要素の全てを含んでいてよく、これらの構成要素としては、限定しないが第一の回路遮断器331、変圧器312、変圧器312からの第一の出力、及び変圧器312からの第二の出力が含まれる。実施形態の一例では、商用電源からの入力AC電源311は200/220/240VAC三相AC電力、380/400/420VAC三相AC電力、及び/又は440/460/480VAC三相AC電力であってよい。変圧器312からの第一の出力はLVAC208/120VAC三相AC電力を供給し、第二の回路遮断器332、ヒューズ313、及びEMC基板314に結合されることができ、ACバス340に出力を供給する。変圧器312からの第二の出力は208/120VAC三相AC電力を供給し、CTイメージング・システム・ガントリ及びテーブルにこの三相LVAC電力を供給することができる。
【0055】
PDU310は、CTイメージング・システム・ガントリ320及びCTイメージング・システムの他の構成要素に電気的に結合されている。実施形態の一例では、ガントリ320は少なくとも一つの入力を有し、この少なくとも一つの入力はPDU310の少なくとも一つの出力に電気的に結合されている。本開示の一観点では、PDU310の三相ACバス340は、好ましくはガントリ320の内部に配置された電力アセンブリ321に電気的に結合されて、PDU310からのAC電力をガントリ320に供給する。三相ACバス340は電力アセンブリ321の内部のコネクタ327に結合され得る。コネクタ327は二つの出力を与え、第一の三相AC出力はソフト・スタート回路315、AC/DC回路317、及びヒューズ326に電気的に結合されて、エネルギ貯蔵システム329に560VDC電力を供給する。第二の三相AC出力はKSV回路319に電気的に結合されて、CTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ325に給電するためのLVACを供給する。PDU310からガントリ320への三相ACバス340を設けてPDU310からガントリ320までに必要とされるケーブルの数を減少させることができる。
【0056】
実施形態の一例では、ヒューズ326は、DC電力を受け取る入力及びDC電力を出力する出力を含んでおり、コネクタ327は、AC電力を受け取る入力及びAC電力を出力する出力を含んでいる。
【0057】
ヒューズ326の出力は、エネルギ貯蔵システム329に電気的に結合されている。ヒューズ326は、負荷がエネルギ貯蔵システム329のバッテリ充電器によるバッテリ充電のためのみに減少するので、低下したヒューズ定格を有し得る。エネルギ貯蔵システム329は、少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を含み得る。エネルギ貯蔵システム329はヒューズ326とスリップ・リング322との間に設けられて、商用電源からのAC電源311が利用可能でないとき及びピーク電力要求時に、スリップ・リング322及びX線発生器323にHVDC電力を供給することができる。実施形態の一例では、エネルギ貯蔵システム329は、バッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールを含み得る。少なくとも一つのバッテリは入力及び出力を有する。バッテリ・パックに加えて、エネルギ貯蔵システム329は、DC電力を受け取る入力及び少なくとも一つのバッテリの入力に電気的に結合された出力を有するバッテリ充電器と、少なくとも一つのバッテリの出力に電気的に結合された入力を有するDC断路スイッチと、保護ヒューズとを含み得る。ヒューズは、スイッチの出力に電気的に結合された入力と、スリップ・リング322に電気的に結合された出力とを有する。エネルギ貯蔵システム329からの出力は、スリップ・リング322及びX線発生器323に電気的に結合され得る。DC断路スイッチ及びヒューズは、バッテリ・パックから来る電力の制御を提供すると共に、スリップ・リング322及びX線発生器323の保護を提供する。エネルギ貯蔵システム329の内部のバッテリ・パックは、X線曝射時にはX線発生器323に給電するために利用されることができ、連続した2回のX線曝射の間の時間にはバッテリ・パックはバッテリ充電器によって充電され得る。バッテリ・パックはX線曝射時に何らかのレベルまで放電され得るが、次回のX線曝射までにバッテリ充電器によって再充電され得る。
【0058】
図4は、本開示の一観点によるCTイメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図を示し、単相AC電源及び力率改善(PFC)バッテリ充電器を有している。バッテリ充電器はPFC回路を含んでおり、PFCバッテリ充電器として構成されている。PFCバッテリ充電器は、少なくとも一つのバッテリ又はバッテリ・パックを充電するように構成されている。図4では、電力アセンブリ421は、AC/DC回路417への単相AC電力入力、及びCTイメージング・システムのX線発生器に給電するPFCバッテリ充電器によって単純化されている。PFCバッテリ充電器は、電力システム400の電力消費及び全体費用を引き下げることができる。PFCバッテリ充電器は、CTイメージング・システムによる無効電力消費を減少させ、力率を改善して、電気料金をより引き下げる。
【0059】
CTイメージング・システムに給電する電力システムの一例400は、CTイメージング・システム・ガントリ420に電気的に結合されたPDU410を含み得る。PDU410は少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有し、少なくとも一つの入力は商用電源ACからの電源411に電気的に結合されている。PDU410は、調整電力を供給する本質的な構成要素の全てを含んでいてよく、これらの構成要素としては、限定しないが第一の回路遮断器431、変圧器412、変圧器412からの第一の出力、及び変圧器412からの第二の出力が含まれる。実施形態の一例では、商用電源からの入力AC電源411は200/220/240VAC三相AC電力、380/400/420VAC三相AC電力、及び/又は440/460/480VAC三相AC電力であってよい。変圧器412からの第一の出力はLVAC208/120VAC三相AC電力を供給し、第二の回路遮断器432、ヒューズ413、及びEMC基板414に結合されることができ、ACバス440に出力を供給する。変圧器412からの第二の出力は208/120VAC三相AC電力を供給し、CTイメージング・システム・ガントリ及びテーブルにこの三相LVAC電力を供給することができる。
【0060】
PDU410は、CTイメージング・システム・ガントリ420及びCTイメージング・システムの他の構成要素に電気的に結合されている。実施形態の一例では、ガントリ420は少なくとも一つの入力を有し、この少なくとも一つの入力はPDU410の少なくとも一つの出力に電気的に結合されている。本開示の一観点では、PDU410の三相ACバス440は、好ましくはガントリ420の内部に配置された電力アセンブリ421に電気的に結合されて、PDU410からのAC電力をガントリ420に供給する。三相ACバス440は電力アセンブリ421の内部のコネクタ427に結合され得る。コネクタ427は二つの出力を与え、第一の単相AC出力はAC/DC回路417及びヒューズ426に電気的に結合されて、エネルギ貯蔵システム429に560VDC電力を供給する。第二の三相AC出力はKSV回路419に電気的に結合されて、CTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ425に給電するLVACを供給する。
【0061】
実施形態の一例では、ヒューズ426は、DC電力を受け取る入力及びDC電力を出力する出力を含んでおり、コネクタ427は、AC電力を受け取る入力及びAC電力を出力する出力を含んでいる。
【0062】
ヒューズ426の出力は、エネルギ貯蔵システム429に電気的に結合されている。ヒューズ426は、負荷がエネルギ貯蔵システム429のバッテリ充電器によるバッテリ充電のためのみに減少するので、低下したヒューズ定格を有し得る。エネルギ貯蔵システム429は、少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を含み得る。エネルギ貯蔵システム429はヒューズ426とスリップ・リング422との間に設けられて、商用電源からのAC電源411が利用可能でないとき及びピーク電力要求時に、X線発生器423にHVDC電力を供給することができる。実施形態の一例では、エネルギ貯蔵システム429は、バッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールを含み得る。少なくとも一つのバッテリは入力及び出力を有する。バッテリ・パックに加えて、エネルギ貯蔵システム429は、DC電力を受け取る入力及び少なくとも一つのバッテリの入力に電気的に結合された出力を有するPFCバッテリ充電器と、少なくとも一つのバッテリの出力に電気的に結合された入力を有するDC断路スイッチと、ヒューズとを含み得る。ヒューズは、スイッチの出力に電気的に結合された入力と、スリップ・リング422に電気的に結合された出力とを有する。エネルギ貯蔵システム429からの出力は、スリップ・リング422及びX線発生器423に電気的に結合され得る。DC断路スイッチ及びヒューズは、バッテリ・パックから来る電力の制御を提供すると共に、スリップ・リング422及びX線発生器423の保護を提供する。エネルギ貯蔵システム429の内部のバッテリ・パックは、X線曝射時にはX線発生器423に給電するために利用されることができ、連続した2回のX線曝射の間の時間にはバッテリ・パックはPFCバッテリ充電器によって充電され得る。バッテリ・パックはX線曝射時に何らかのレベルまで放電され得るが、次回のX線曝射までにPFCバッテリ充電器によって再充電され得る。
【0063】
既存のCTイメージング・システムでは、PDUは約40kVAのピーク負荷に遭遇する場合があるが、PDUにPFC回路を組み入れると商業的に成り立たない。従って、実施形態の一例では、エネルギ貯蔵システム429がX線発生器423に給電し、ピーク電力を供給するという要件を解消して、PDU410は平均負荷でのみ動作することができる。
【0064】
図5は、本開示の一観点によるCTイメージング・システムのガントリに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図を示し、単相AC電源がPDUに給電している。
【0065】
CTイメージング・システムに給電する電力システムの一例500が、CTイメージング・システム・ガントリ520に電気的に結合されているPDU510を含み得る。PDU510は少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を有し、少なくとも一つの入力は商用電源からのAC電源511に電気的に結合されている。PDU510は、調整電力を供給する本質的な構成要素の全てを含んでいてよく、これらの構成要素としては、限定しないが商用電源からの入力AC電源511、第一の回路遮断器531、変圧器512、変圧器512からの第一の出力、及び変圧器512からの第二の出力が含まれる。実施形態の一例では、商用電源からの入力AC電源511は、110/220VAC単相AC電力であってよい。変圧器512からの第一の出力はLVAC208/120VAC三相AC電力を供給し、第二の回路遮断器532、ヒューズ513、及びEMC基板514に結合されることができ、ACバス530に出力を供給する。変圧器512からの第二の出力は208/120VAC三相AC電力を供給し、CTイメージング・システム・ガントリ及びテーブルにこの三相LVAC電力を供給することができる。
【0066】
PDU510は、CTイメージング・システム・ガントリ520及びCTイメージング・システムの他の構成要素に電気的に結合されている。実施形態の一例では、ガントリ520は少なくとも一つの入力を有し、この少なくとも一つの入力はPDU510の少なくとも一つの出力に電気的に結合されている。本開示の一観点では、PDU410の三相ACバス535は、好ましくはガントリ520の内部に配置された電力アセンブリ521に電気的に結合されて、PDU510からのAC電力をガントリ520に供給する。三相ACバス535は電力アセンブリ521の内部のコネクタ527に結合され得る。コネクタ527は二つの出力を与え、第一の単相AC出力はAC/DC回路517及びヒューズ526に電気的に結合されて、エネルギ貯蔵システム529に560VDC電力を供給する。第二の三相AC出力はKSV回路519に電気的に結合されて、CTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ525に給電するLVACを供給する。
【0067】
実施形態の一例では、ヒューズ526は、DC電力を受け取る入力及びDC電力を出力する出力を含んでおり、コネクタ527は、AC電力を受け取る入力及びAC電力を出力する出力を含んでいる。
【0068】
ヒューズ526の出力は、エネルギ貯蔵システム529に電気的に結合されている。ヒューズ526は、負荷がエネルギ貯蔵システム529のPFCバッテリ充電器によるバッテリ充電のためのみに減少するので、低下したヒューズ定格を有し得る。エネルギ貯蔵システム529は少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を含み得る。バッテリ充電器はPFC回路を含んでおり、PFCバッテリ充電器として構成されている。PFCバッテリ充電器は、少なくとも一つのバッテリ又はバッテリ・パックを充電するように構成されている。エネルギ貯蔵システム529はヒューズ526とスリップ・リング522との間に設けられて、商用電源からのAC電源511が利用可能でないとき及びピーク電力要求時に、X線発生器523にHVDC電力を供給することができる。実施形態の一例では、エネルギ貯蔵システム529は、バッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールを含み得る。少なくとも一つのバッテリは入力及び出力を有する。バッテリ・パックに加えて、エネルギ貯蔵システム529は、DC電力を受け取る入力及び少なくとも一つのバッテリの入力に電気的に結合された出力を有するPFCバッテリ充電器と、DC-DCコンバータと、少なくとも一つのバッテリの出力に電気的に結合された入力を有するDC断路スイッチと、ヒューズとを含み得る。ヒューズは、スイッチの出力に電気的に結合された入力と、スリップ・リング522に電気的に結合された出力とを有する。エネルギ貯蔵システム529からの出力は、スリップ・リング522及びX線発生器523に電気的に結合され得る。DC断路スイッチ及びヒューズは、バッテリ・パックから来る電力の制御を提供すると共に、スリップ・リング522及びX線発生器523の保護を提供する。エネルギ貯蔵システム529の内部のバッテリ・パックは、X線曝射時にはX線発生器523に給電するために利用されることができ、連続した2回のX線曝射の間の時間にはバッテリ・パックはPFCバッテリ充電器によって充電され得る。バッテリ・パックはX線曝射時に何らかのレベルまで放電され得るが、次回のX線曝射までにPFCバッテリ充電器によって再充電され得る。
【0069】
コネクタ527において、三相線は二つの別個の電力線に分割されて、各々アキシャル・ドライブ525及びバッテリ充電器に給電することができる。PDU510からのAC電力は、AC/DC回路517を用いてDCに変換され得る。従って、ガントリ520への高電圧直流(HVDC)ケーブルの費用を節減し、また制御を単純化することができる。
【0070】
単相AC電源511は、PDU510の入力供給要件を40kVAから4kVAまで引き下げることができ、PDU510の内部の各構成要素がより低い電力定格を有し得る。さらに、バッテリ・パックを直接DC断路スイッチに接続するのではなく、昇圧型DC-DCコンバータをバッテリ・パックとDC断路スイッチとの間に組み入れることができる。このDC-DCコンバータは48VDCバッテリ供給を560VDCのX線発生器入力電圧まで昇圧させることができ、高電圧バッテリ・パックの必要性を回避し得る。
【0071】
図6は、本開示の一観点によるCTイメージング・システムのPDUに一体内蔵されたエネルギ貯蔵システムを含む電力システムの概略ブロック図を示す。このエネルギ貯蔵システムは、X線発生器及びCTイメージング・システムの他の構成要素にピーク電力を供給するように構成されている。図6では、ガントリ設計を不変に保つために、エネルギ貯蔵システムをPDUの内部に配置することができる。本実施形態では、PDUは、小型化した変圧器、ヒューズ、EMC基板、及びAC/DC回路によって非常に単純化されている。エネルギ貯蔵システムをPDUに追加した後であっても、電気的構成要素の電力定格が低下するためPDUの全体費用が現状のPDU費用から少なくとも20%だけ引き下げられる。
【0072】
CTイメージング・システムに給電する電力システムの一例600が、CTイメージング・システム・ガントリ620に電気的に結合されてX線発生器623及びCTイメージング・システムの他の構成要素に給電するPDU610を含み得る。PDU610は少なくとも一つの入力及び少なくとも二つの出力を有し、少なくとも一つの入力は商用電源からのAC電源611に電気的に結合されている。PDU610は、調整電力を供給する本質的な構成要素の全てを含んでいてよく、これらの構成要素としては、限定しないが商用電源からの入力交流(AC)電源611、第一の回路遮断器631、変圧器612、変圧器612からの第一の出力、及び変圧器612からの第二の出力が含まれる。実施形態の一例では、商用電源からの入力AC電源611は、200/220/240VAC三相AC電力、380/400/420VAC三相AC電力、及び/又は440/460/480VAC三相AC電力であってよい。変圧器612からの第一の出力は230VAC単相AC電力を供給し、ヒューズ613、EMC基板614、及びAC/DC回路617に結合されることができ、またPDU610の内部に配置されたエネルギ貯蔵システム629に560VDC電力を供給する。変圧器612からの第二の出力は208/120VAC三相AC電力を供給し、第二の回路遮断器632及びKSV回路619に結合されることができ、KSV回路619はコネクタ627及びCTイメージング・システム・ガントリ回転を受け持つアキシャル・ドライブ625に三相ACバス640を結合したり遮断したりする三相接触器を含み得る。ACバス640は、アキシャル・ドライブ625用に三相低電圧AC(LVAC)電力を供給する。変圧器612からCTイメージング・システム・ガントリ及びテーブルへ三相LVAC電力(208/120三相VAC)を供給するもう一つの出力が存在していてもよい。
【0073】
電力システム600はさらに、PDU610の内部に含まれてAC/DC617の出力に設けられたエネルギ貯蔵システム629を含むことができ、エネルギ貯蔵システム629に560VDC電力を供給する。エネルギ貯蔵システム629は少なくとも一つの入力及び少なくとも一つの出力を含み得る。実施形態の一例では、エネルギ貯蔵システム629は、バッテリ・パックとして構成される少なくとも一つ若しくは複数のバッテリ、又は複数のスーパキャパシタ・モジュールを含み得る。少なくとも一つのバッテリは入力及び出力を有する。バッテリ・パックに加えて、エネルギ貯蔵システム629は、DC電力を受け取る入力及び少なくとも一つのバッテリの入力に電気的に結合された出力を有するPFCバッテリ充電器と、少なくとも一つのバッテリの出力に電気的に結合された入力及びガントリ620の電力アセンブリ621のヒューズ626に電気的に結合された出力を有するDC断路スイッチとを含み得る。ヒューズ626は、スイッチの出力に電気的に結合された入力と、スリップ・リング622に電気的に結合された出力とを有する。一例では、PDU610からのDCバス630の560VDC出力は、電力アセンブリ621、具体的にはX線発生器623に給電するヒューズ626に電気的に結合され得る。エネルギ貯蔵システム229の内部のバッテリ・パックは、X線発生時又はX線曝射時にのみX線発生器623及びX線管624に給電するために利用されることができ、連続した2回のX線曝射の間の時間にはバッテリ・パックはバッテリ充電器によって充電され得る。バッテリ・パックが故障したり貯蔵されたエネルギを消尽したりした場合には、エネルギ貯蔵システムを迂回することができ、電力はPDUから直接CTイメージング・システム・ガントリ及びX線発生器へ供給される。
【0074】
PDU610は、CTイメージング・システム・ガントリ620及びCTイメージング・システムの他の構成要素に電気的に結合されている。実施形態の一例では、ガントリ620は少なくとも二つの入力を有し、これら少なくとも二つの入力はPDU610の少なくとも二つの出力に電気的に結合されている。本開示の一観点では、PDU610のDCバス630及びACバス640は、好ましくはガントリ620の内部に配置された電力アセンブリ621に電気的に結合されて、PDU610からのDC電力及びAC電力をガントリ620に供給する。DCバス630は、電力アセンブリ621の内部のヒューズ626に結合されて、スリップ・リング622及びX線発生器623にDC電力を供給することができる。DCバスはX線発生器623のために高電圧DC(HVDC)電力を供給する。X線発生器623は電力信号及び制御信号をX線管624へ供給する。ACバス640は、コネクタ627に電気的に結合されて、CTイメージング・システム・ガントリを回転させるアキシャル・ドライブ625に三相AC電力を供給することができる。
【0075】
実施形態の一例では、ヒューズ626は、DC電力を受け取る入力及びDC電力を出力する出力を含んでおり、コネクタ627は、AC電力を受け取る入力及びAC電力を出力する出力を含んでいる。
【0076】
バッテリ・パックに組み入れられ得るバッテリは様々な種類のものが市販されている。バッテリ・パックの構成に対する制限はないが、小型バッテリは単一の走査にX線発生器によって要求されるエネルギの約3倍から5倍のエネルギ貯蔵能力を有し得る。ピーク負荷要件を切り下げることにより、X線発生器をサポートするのに必要とされる電気的基盤設備を縮小することができる。多くの高エネルギ密度リチウム・イオン(Liイオン)バッテリが市販されており、他の応用向けの安全で且つ高エネルギ密度のバッテリへの需要が高まっているため多数が進化しつつある。LiFePO型のLiイオン・バッテリは、他のLiイオン技術(コバルト酸リチウム(LCO)、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物(NCA)等)よりもエネルギ密度は低いものの最も安全な技術の一つである。バッテリ・サイズの計算及び適当なサイズのバッテリ・パックは、バッテリ性能パラメータ及び要件を考慮して設計され得る。
【0077】
CTイメージング・システムの動作は、CTイメージング・システムのためにピーク電力を供給する方法を含んでいる。この方法は、エネルギ貯蔵システムをCTイメージング・システムのX線発生器に結合することを含んでいる。エネルギ貯蔵システムは、バッテリ・パックとして構成される複数のバッテリを含むことができ、また複数のバッテリを充電するバッテリ充電器、DC断路スイッチ、及びヒューズを含み得る。この方法はさらに、直流(DC)バスから供給される電気エネルギによってエネルギ貯蔵システムを充電することを含んでいる。バッテリ・パックはバッテリ充電器を用いて充電されることができ、充電器は力率改善(PFC)回路を含み得る。これにより、CTシステムによる無効電力消費を減少させ、延いては電気料金を引き下げることができる。一例では、バッテリ充電器を用いてバッテリを充電するためにDCバスの560VDC出力を利用することができ、バッテリ・パックは、エネルギ貯蔵電力供給を制御するヒューズ保護及びDC断路スイッチによってX線発生器に接続され得る。一例では、1000Wバッテリ充電器が用いられる場合には、PDUから560VDCバスを介して2.22Aの電流が引き出される(DCバス電圧はより低い450VDCであることを考慮する)。バッテリ・パックはX線曝射時に何らかのレベルまで放電され得るが、次回のX線曝射までにバッテリ充電器によって再充電され得る。一例では、各回のX線曝射はバッテリの合計貯蔵エネルギの約7%~10%を消費する場合があり、次回の走査が開始するまでにバッテリが100%の完全充電状態(SOC)レベルまで充電されていなくても、バッテリは依然として10回を上回る連続走査をサポートし得る。
【0078】
この方法はさらに、X線曝射時にのみDCバスを通してX線発生器に給電するための電気エネルギを出力することを含んでいる。CTイメージング・システムのようなX線イメージング・システムでは、X線発生器は短時間に高いピーク電力を消費するが、消費される平均電力はより少ない。一例では、24kWのX線発生器は、日当たり25回の走査のために約200W~300Wの平均電力を消費し、上流構成要素の全てがピーク電力(24kW)を供給するさらに高い電力定格を有するものでなければならない。もう一つの例では、CTイメージング・システムは、平均電力定格は6.3kVAであるが、ピーク電力定格は40kVAである。故に、33kVAの余分な電力要件は、X線発生時の短時間にX線管に給電するX線発生器のためのものである。
【0079】
本開示の一観点によれば、バッテリ・パックは、X線発生時にのみ、X線管に給電するために必要とされるピーク電力を与えることができる。X線曝射時にX線管に給電するためのピーク電力を供給するという要件が、エネルギ貯蔵システムの付加によって解消され得る。複数のバッテリをX線発生器に電力を供給するバッテリ・パックとして組み込むことができ、このバッテリ・パックが、X線発生時にX線管に電力を供給する。CTイメージング・システムの他の電気的構成要素は、PDUからのACバスによって給電され得る。従って、バッテリ及びバッテリ・パックのサイズは、X線発生のためにピーク電力を供給するためのみに最適化され、これによりバッテリの費用、空間要件、及び商用電源への依存を最小限に留めることができる。バッテリ・パックは、X線発生器に要求されるピーク負荷(例えば33kVA)を削減することができる。適当なサイズで高い放電電流能力を有するバッテリ及びバッテリ・パックが、X線発生のためにピーク電力を供給するようにCTイメージング・システム・ガントリにでもPDUにでも配置されることができ、CTイメージング・システムの残りの部分は従来のAC電力によって給電され得る。電力定格は約1kWでよく、さらに電力を必要とするより大型のCTイメージング・システムについても約2kW~3kWであるため、電気的構成要素を単相構成要素に改修することができる。バッテリ・パックのバッテリは、X線発生時以外の時間に適当なバッテリ充電器によって充電され得る。さらに、この方法は、PDUから直接X線発生器に電力を供給することもできるので、バッテリ・パックが故障したり完全に放電してしまったりした場合には従来の方法と同様にエネルギ貯蔵システムを迂回することによりX線発生器に直接給電することを含み得る。
【0080】
この方法はさらに、ガントリに三相AC電力出力を与えて、AC電力をアキシャル・ドライブへの給電とエネルギ貯蔵システムへの給電とに分割することを含み得る。PDU設計は、二つの別個のAC電力出力を有して一方がX線発生器用のHVDC電力を生成し他方がアキシャル・ドライブ用のLVAC電力を生成するのではなく、一つのみの三相AC電力出力で単純化され得る。これにより、電力システムの費用を引き下げ、また電力制御を単純化することができる。但し、ガントリは、PDUからガントリに移動され得るさらに幾つかの電気的構成要素を収容する必要がある場合がある。
【0081】
図面に示され以上に記載された本開示の実施形態は実施形態の例であるに過ぎず、特許請求の範囲内に含まれる任意の均等構成を含め、特許請求の範囲を限定するものではない。様々な改変が可能であり、当業者には容易に明らかとなろう。本書に記載される互いに排他的でない特徴の任意の組み合わせが本発明の範囲内にあるものとする。すなわち、所載の実施形態の特徴を上述の任意の適当な観点と組み合わせることができ、任意の一観点の選択随意の特徴を他の任意の適当な観点と組み合わせることもできる。同様に、従属請求項に記載される特徴を、特に各従属請求項が同じ独立請求項に従属している場合には、他の従属請求項の互いに排他的でない特徴と組み合わせることができる。単一項従属は幾つかの法域での実施に要求されるため用いられている場合があるが、従属請求項の各特徴が互いに排他的であることを意味していると解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0082】
100 イメージング・システム
102 被検体
104 X線検出器アレイ
106 X線ビーム
108 検出器素子
110 ガントリ
112 回転中心
114 X線源
116 データ取得システム(DAS)
120 制御システム
138 表示器
200、300、400、500、600 電力システム
211、311、411、511、611 交流(AC)電源
212、312、412、512、612 変圧器
218、332、432、532、632 第二の回路遮断器
229、329、429、529、629 エネルギ貯蔵システム
230、630 直流(DC)バス
231、331、431、531、631 第一の回路遮断器
240、340、440、535、640 三相ACバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】