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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135963
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】多軸モジュール式脛骨ステム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/42 20060101AFI20220908BHJP
   A61F 2/40 20060101ALI20220908BHJP
   A61F 2/38 20060101ALI20220908BHJP
   A61F 2/32 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61F2/42
A61F2/40
A61F2/38
A61F2/32
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022023207
(22)【出願日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】63/156,452
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/193,280
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/649,088
(32)【優先日】2022-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・エル・ハダッド
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ダブリュ・ロワリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェシー・ジィ・ムーア
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097AA07
4C097AA08
4C097AA13
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC02
4C097CC06
4C097CC13
4C097CC16
4C097SC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高密度の脛骨に係合して、長期にわたってインプラントの移動を低減させるように設計されている足関節置換用プロテーゼの脛骨ステムコンポーネントが提供される。
【解決手段】脛骨ステムコンポーネント110Aの終端から延在し、人工足関節100Aの関節面に取り付けられるように構成された脛骨トレーコンポーネント120Aが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成される。脛骨ステムコンポーネントは、引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて構成された一つ以上の引込式部材130Aを備える。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、前記脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、前記脛骨ステムコンポーネントと、
人工関節の関節面に取り付けられるように構成された脛骨トレーコンポーネントであって、
前記脛骨トレーコンポーネントが、前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端から延在しており、
前記脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、
前記脛骨ステムコンポーネントが、
引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて前記縦軸から遠ざかるように構成されている、1つ以上の引込式部材を備えており、
前記引込位置では、前記1つ以上の引込式部材が、前記脛骨ステムコンポーネントの中に実質的に含まれ、外側へ広がらない、前記脛骨トレーコンポーネントと
を備えており、
前記脛骨ステムコンポーネントが前記髄内腔に配置され、前記1つ以上の引込式部材が外側へ広げられると、前記1つ以上の引込式部材が前記髄内腔の周囲の骨に係合し、前記髄内腔内での前記脛骨ステムの固定を強化する、人工足関節。
【請求項2】
前記1つ以上の引込式部材は、広げられてから前記引込位置へ制御可能に戻ることができるように構成されている、請求項1に記載の人工足関節。
【請求項3】
前記脛骨トレーは、前記人工関節面を受けるための一対の対向するレールの間に延在するチャンネルを備える、請求項1に記載の人工足関節。
【請求項4】
前記脛骨トレーの前記チャンネルは、前方-後方方向、内側-外側方向に、または斜め方向に延在する、請求項3に記載の人工足関節。
【請求項5】
前記脛骨ステムコンポーネントは、
前記終端で開いている内部空洞をその中に画定する細長い略円筒形シェルと、
前記脛骨ステムコンポーネントの前記円筒形シェルに、前記1つ以上の引込式部材のそれぞれに対して設けられた開口部であって、前記開口部を通して前記1つ以上の引込式部材が前記引込位置から移動して外側へ広がる、前記開口部と
を備える、請求項1に記載の人工足関節。
【請求項6】
前記脛骨ステムコンポーネントは、前記内部空洞内に設けられたリニアアクチュエーターをさらに備え、前記リニアアクチュエーターは、前記縦軸に沿って前記内部空洞内で移動可能であるように構成されており、
前記1つ以上の引込式部材のそれぞれは、遠位端及び近位端を有しており、前記近位端は、前記リニアアクチュエーターに取り付けられており、前記遠位端は、前記髄内腔の周囲の骨に係合するように、前記脛骨ステムコンポーネントの前記円筒形シェルに設けられた前記開口部を通り抜けて移動できる自由端であり、
それにより、前記内部空洞内で前記リニアアクチュエーターを移動させることにより、前記1つ以上の引込式部材を前記引込位置から移動させ、外側へ広げられて前記脛骨ステムコンポーネントから遠ざかることが可能である、請求項5に記載の人工足関節。
【請求項7】
前記1つ以上の引込式部材は、前記内部空洞内で前記リニアアクチュエーターを移動させることにより、広げられてから前記引込位置へ制御可能に戻ることができる、請求項6に記載の人工足関節。
【請求項8】
前記1つ以上の引込式部材それぞれの前記近位端は、前記リニアアクチュエーターにヒンジ式に取り付けられている、請求項6に記載の人工足関節。
【請求項9】
前記リニアアクチュエーターは、ベースピース及び移動ピースを備えており、
前記ベースピースは、前記内部空洞に配置され、前記縦軸を中心に回転するが、前記内部空洞内で軸方向に移動しないように、停留するように構成されており、前記移動ピースは、前記ベースピースに対して前記脛骨ステムの前記縦軸に沿って移動可能であり、
前記ベースピースと前記移動ピースとは、互いに螺合して、前記内部空洞内で前記ネジ付きステムを移動させる、請求項6に記載の人工足関節。
【請求項10】
前記ベースピースは、前記終端付近の前記内部空洞に配置されている、請求項9に記載の人工足関節。
【請求項11】
前記移動ピースが前記脛骨ステムの前記先端に向かって前記移動することにより、前記1つ以上の引込式部材が外側へ移動して前記縦軸から遠ざかることが可能になる、請求項9に記載の人工足関節。
【請求項12】
前記1つ以上の引込式部材のそれぞれは、遠位端及び近位端を有しており、前記近位端は、前記脛骨ステムコンポーネントの前記略円筒形シェルに取り付けられており、前記遠位端は、前記髄内腔の周囲の骨に係合する自由端である、請求項3に記載の人工足関節。
【請求項13】
前記1つ以上の引込式部材は、前記引込位置から移動可能であり、前記1つ以上の引込式部材の前記近位端を、前記脛骨ステムの前記終端にある前記開口部を介して前記内部空洞に挿入されたアクチュエーターと係合させることによって外側へ広げられる、請求項12に記載の人工足関節。
【請求項14】
前記1つ以上の引込式部材それぞれの前記近位端はカム面を備え、前記アクチュエーターは前記カム面に係合して、前記1つ以上の引込式部材を前記引込位置から移動させ、外側へ広げさせる、請求項13に記載の人工足関節。
【請求項15】
前記脛骨ステムコンポーネントは、前記内部空洞内に設けられたリニアアクチュエーターをさらに備え、前記リニアアクチュエーターは、前記縦軸に沿って前記内部空洞内で移動可能であるように構成されており、
前記1つ以上の引込式部材のそれぞれは、遠位端及び近位端を有しており、前記近位端は、前記脛骨ステムコンポーネントに取り付けられており、前記遠位端は、前記髄内腔の周囲の骨に係合する自由端であり、
それにより、前記1つ以上の引込式部材は、前記内部空洞内で前記リニアアクチュエーターを並進させることにより、前記引込位置から動かされ、外側へ広げられる、請求項5に記載の人工足関節。
【請求項16】
前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端に向かって前記並進を行うことにより、前記1つ以上の引込式部材が外側へ移動して前記縦軸から遠ざかることが可能になる、請求項15に記載の人工足関節。
【請求項17】
前記リニアアクチュエーターと前記内部空洞の側壁とは、互いに係合して、前記内部空洞の中で前記リニアアクチュエーターを移動させる、請求項15に記載の人工足関節。
【請求項18】
前記リニアアクチュエーターと前記内部空洞の側壁とは互いに螺合する、請求項17に記載の人工足関節。
【請求項19】
前記リニアアクチュエーターと前記内部空洞の側壁とは、互いに係合して、前記内部空洞の中で前記リニアアクチュエーターを並進させる、請求項17に記載の人工足関節。
【請求項20】
前記リニアアクチュエーターと前記内部空洞の側壁とは互いに螺合する、請求項19に記載の人工足関節。
【請求項21】
前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端に向かって前記並進を行うことにより、前記1つ以上の引込式部材が外側へ移動して前記縦軸から遠ざかることが可能になる、請求項20に記載の人工足関節。
【請求項22】
前記リニアアクチュエーターは、前記脛骨ステムの先端及び終端の前記方向に対応する先端及び終端を有しており、前記リニアアクチュエーターは、その先端近くにカム係合面をさらに有しており、前記2つ以上の引込式部材の前記近位端のそれぞれは、前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端に向かって並進するときに、前記1つ以上の引込式部材が外側へ移動して前記縦軸から遠ざかるようにする前記カム係合面に係合するカム面を有している、請求項17に記載の人工足関節。
【請求項23】
前記1つ以上の引込式部材の前記遠位端は、前記引込位置にあるときに、前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端を向いて延在している、請求項5に記載の人工足関節。
【請求項24】
前記1つ以上の引込式部材の前記遠位端は、前記引込位置にあるときに、前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端を向いて延在している、請求項15に記載の人工足関節。
【請求項25】
前記脛骨ステムコンポーネントは、前記内部空洞内に設けられたリニアアクチュエーターをさらに備え、前記リニアアクチュエーターは、前記縦軸に沿って前記内部空洞内で移動可能であるように構成されており、
前記内部空洞内で前記リニアアクチュエーターを並進させることにより、前記1つ以上の引込式部材が前記引込位置から動かされ、外側へ広げられて前記縦軸から遠ざかる、請求項5に記載の人工足関節。
【請求項26】
前記リニアアクチュエーターと前記内部空洞の側壁とは、互いに螺合して、前記内部空洞の中で前記リニアアクチュエーターを移動させる、請求項25に記載の人工足関節。
【請求項27】
前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端に向かって前記並進を行うことにより、前記1つ以上の引込式部材が外側へ広がることが可能になる、請求項26に記載の人工足関節。
【請求項28】
前記リニアアクチュエーターは、前記脛骨ステムの先端及び終端の前記方向に対応する先端及び終端を有しており、その先端近くにカム係合面をさらに有しており、
前記1つ以上の引込式部材のそれぞれは、前記脛骨ステムの前記縦軸に対する遠位面及び近位面を有しており、
前記1つ以上の引込式部材それぞれの前記近位面は、前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端に向かって並進するときに、前記1つ以上の引込式部材が外側へ押されて前記縦軸から遠ざかることを可能にする、前記リニアアクチュエーターの前記カム係合面に係合するカム面を有している、請求項27に記載の人工足関節。
【請求項29】
前記1つ以上の引込式部材それぞれの前記遠位面は、前記髄内腔の周囲の骨に係合し、前記髄内腔内での前記脛骨ステムコンポーネントの固定を強化するように構成された複数の表面特徴を有する、請求項28に記載の人工足関節。
【請求項30】
前記遠位面上の前記複数の表面特徴は、偏った配向を有する歯である、請求項29に記載の人工足関節。
【請求項31】
前記脛骨ステムコンポーネントは、前記内部空洞内に設けられたアクチュエーターをさらに備え、前記アクチュエーターは、前記内部空洞内で前記縦軸を中心に回転可能であるように構成されており、
前記1つ以上の引込式部材のそれぞれは、遠位端及び近位端を有しており、前記近位端は、前記脛骨ステムコンポーネントに取り付けられており、前記遠位端は、前記髄内腔の周囲の骨に係合する自由端であり、
それにより、前記1つ以上の引込式部材は、前記内部空洞内で前記アクチュエーターを回転させることにより、前記引込位置から動かされ、外側へ広げられる、請求項1に記載の人工足関節。
【請求項32】
前記アクチュエーターは送りネジ部分を含み、前記1つ以上の引込式部材それぞれの前記近位端は、前記送りネジ部分と係合される歯車部分を含み、それにより、前記アクチュエーターを回転させることで、前記送りネジ部分と前記歯車部分とを係合させて、前記1つ以上の引込式部材を前記引込位置から移動させる、請求項31に記載の人工足関節。
【請求項33】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、前記脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、前記脛骨ステムコンポーネントと、
人工関節の関節面に取り付けられるように構成された脛骨トレーコンポーネントであって、
前記脛骨トレーコンポーネントが、前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端から延在しており、
前記脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、
前記脛骨ステムコンポーネントは、前記脛骨ステムコンポーネントの前記先端から部分的に前記終端に向かって延在する、前記脛骨ステムに形成された縦スリットにより2つ以上の引込式部材に分けられ、それにより、前記2つ以上の引込式部材のそれぞれは、近位端及び遠位端を含み、それらの近位端が前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端で接合されるとともに、それらの遠位端が自由に移動可能になっており、
前記2つ以上の引込式部材は、引込位置から制御可能に移動可能であり、外側へ広げられて前記縦軸から遠ざかるように構成されており、前記引込位置では、前記2つ以上の引込式部材は、前記縦軸と平行であり、外側へ広がらず、
前記脛骨ステムコンポーネントが前記髄内腔に配置され、前記2つ以上の引込式部材が外側へ広げられると、前記2つ以上の引込式部材が前記髄内腔の周囲の骨に係合し、前記髄内腔内での前記脛骨ステムの固定を強化する、前記脛骨トレーコンポーネントと
を備える、人工足関節。
【請求項34】
前記2つ以上の引込式部材は、前記脛骨ステムの前記先端及び前記終端の両方で開いている内部空洞を画定し、
前記脛骨ステムは、前記内部空洞内に設けられたリニアアクチュエーターをさらに備え、前記リニアアクチュエーターは、前記縦軸に沿って前記内部空洞内で移動可能であるように構成されており、
それにより、前記内部空洞内で前記リニアアクチュエーターを並進させることにより、前記2つ以上の引込式部材は前記引込位置から動かされ、外側へ広げられる、請求項33に記載の人工足関節。
【請求項35】
前記リニアアクチュエーターと前記内部空洞の側壁とは、互いに螺合して、前記内部空洞の中で前記リニアアクチュエーターを移動させる、請求項34に記載の人工足関節。
【請求項36】
前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端に向かって前記並進を行うことにより、前記2つ以上の引込式部材が外側へ広がって前記縦軸から遠ざかることが可能になる、請求項35に記載の人工足関節。
【請求項37】
前記リニアアクチュエーターは、前記脛骨ステムの先端及び終端の前記方向に対応する先端及び終端を有しており、その先端近くにカム面をさらに有しており、
前記2つ以上の引込式部材は、前記カム面に係合するカム係合面を有しており、
前記カム面及び前記カム係合面は、前記リニアアクチュエーターが前記脛骨ステムの前記終端に向かって並進するときに、前記2つ以上の引込式部材を外側へ押して前記縦軸から遠ざけるように構成されている、請求項36に記載の人工足関節。
【請求項38】
前記2つ以上の引込式部材は、前記脛骨ステムコンポーネントが前記髄内腔に配置され、前記2つ以上の引込式部材が外側へ動かされて前記縦軸から遠ざかるときに、前記髄内腔の周囲の骨に係合し、かつ前記髄内腔内での前記脛骨ステムコンポーネントの固定を強化するように構成された複数の表面特徴を有する、請求項37に記載の人工足関節。
【請求項39】
前記遠位面上の前記複数の表面特徴は、偏った配向を有する歯である、請求項38に記載の人工足関節。
【請求項40】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、前記脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、前記脛骨ステムコンポーネントと、
基準面を画定する表面を含む脛骨トレーコンポーネントであって、
前記脛骨ステムコンポーネント及び前記脛骨トレーコンポーネントはモジュール式であり、前記脛骨トレーコンポーネントと前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端とは、前記縦軸が、前記基準面の直交軸と角度θを形成するように、前記基準面に対する前記脛骨ステムコンポーネントの相対角度を調節可能な関節を形成するように構成されており、前記角度は、0度から、40度を含むそれ以下までの範囲であることが可能であり、
前記脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、
前記脛骨ステムコンポーネントが、
引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて前記縦軸から遠ざかるように構成されている、2つ以上の引込式部材を備えており、
前記引込位置では、前記1つ以上の引込式部材が、前記脛骨ステムコンポーネントの中に実質的に含まれる、前記脛骨トレーコンポーネントと
を備えており、
前記脛骨ステムコンポーネントが前記髄内腔に配置され、前記2つ以上の引込式部材が外側へ広げられると、前記1つ以上の引込式部材が前記髄内腔の周囲の骨に係合し、前記髄内腔内での前記脛骨ステムの固定を強化する、人工足関節。
【請求項41】
前記角度θは、0度から、30度を含むそれ以下までの範囲であることが可能である、請求項40に記載の人工足関節。
【請求項42】
前記角度θは、0度から、20度を含むそれ以下までの範囲であることが可能である、請求項40に記載の人工足関節。
【請求項43】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、前記脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、前記脛骨ステムコンポーネントと、
基準面を画定する表面を含む脛骨トレーコンポーネントであって、
前記脛骨ステムコンポーネント及び前記脛骨トレーコンポーネントはモジュール式であり、前記脛骨トレーコンポーネントと前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端とは、前記縦軸が、前記基準面の直交軸と角度θを形成するように、前記基準面に対する前記脛骨ステムコンポーネントの相対角度を調節可能な関節を形成するように構成されており、前記角度は、0度から、40度を含むそれ以下までの範囲であることが可能であり、
前記脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、
前記脛骨ステムコンポーネントは、互いに積み重ねられた2つ以上のモジュールコンポーネントを含む、前記脛骨トレーコンポーネントと
を備える、人工足関節。
【請求項44】
前記脛骨トレーコンポーネントは、前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端に係合する凸面を有しており、前記脛骨ステムコンポーネントは、前記凸面の周りを旋回して、前記角度θを形成することが可能である、請求項43に記載の人工足関節。
【請求項45】
前記角度θは、0度から、30度を含むそれ以下までの範囲であることが可能である、請求項43に記載の人工足関節。
【請求項46】
前記角度θは、0度から、20度を含むそれ以下までの範囲であることが可能である、請求項43に記載の人工足関節。
【請求項47】
ロックボルトをさらに備えており、
前記脛骨トレーコンポーネントは近位面及び遠位面を有し、前記凸面が前記近位面に設けられており、
前記凸面は、前記関節を前記角度θで動かないよう留めるために、前記ロックボルトが前記遠位面から前記脛骨ステムコンポーネントの前記終端に螺合する孔を有する、請求項44に記載の人工足関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人工足関節全置換術に関する。
【背景技術】
【0002】
脛骨ステムコンポーネントは、人工足関節置換術に使用できる骨が限られている場合に、インプラントを係合するのに役立つ。インプラントのピストニングまたは緩みが、長期合併症として現れる可能性がある。したがって、脛骨とよりよく係合し、インプラントの即時安定性を向上させ、経時的なインプラントの移動を減少させることができる、改善された脛骨ステムコンポーネントが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書には、海綿脛骨、場合によっては皮質脛骨に係合して、インプラントの即時安定性を向上させ、長期間にわたるインプラントの移動を減少させるよう考案されたインプラントが開示されている。
【0004】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、脛骨ステムコンポーネントと、人工関節の関節面に取り付けられるように構成された脛骨トレーコンポーネントであって、脛骨トレーコンポーネントが、脛骨ステムコンポーネントの終端から延在しており、脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、脛骨ステムコンポーネントが、引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて縦軸から遠ざかるように構成されている、1つ以上の引込式部材を備えており、引込位置では、1つ以上の引込式部材が、脛骨ステムコンポーネントの中に実質的に含まれ、外側へ広がらない、脛骨トレーコンポーネントを備えており、脛骨ステムコンポーネントが髄内腔に配置され、1つ以上の引込式部材が外側へ広げられると、1つ以上の引込式部材が髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムの固定を強化する、人工足関節が開示されている。
【0005】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、脛骨ステムコンポーネントと、人工関節の関節面に取り付けられるように構成された脛骨トレーコンポーネントであって、脛骨トレーコンポーネントが、脛骨ステムコンポーネントの終端から延在しており、脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、脛骨ステムコンポーネントは、脛骨ステムコンポーネントの先端から部分的に終端に向かって延在する、脛骨ステムに形成された縦スリットにより2つ以上の引込式部材に分けられ、それにより、2つ以上の引込式部材のそれぞれは、近位端及び遠位端を含み、それらの近位端が脛骨ステムコンポーネントの終端で接合されるとともに、それらの遠位端が自由に移動可能になっており、2つ以上の引込式部材は、引込位置から制御可能に移動可能であり、外側へ広げられて縦軸から遠ざかるように構成されており、引込位置では、2つ以上の引込式部材は、縦軸と平行であり、外側へ広がらず、脛骨ステムコンポーネントが髄内腔に配置され、2つ以上の引込式部材が外側へ広げられると、2つ以上の引込式部材が髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムの固定を強化する、脛骨トレーコンポーネントを備える、人工足関節が開示されている。
【0006】
脛骨ステムコンポーネントであって、先端と、終端と、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸とを有する、脛骨ステムコンポーネントと、基準面を画定する表面を含む脛骨トレーコンポーネントであって、脛骨ステムコンポーネント及び脛骨トレーコンポーネントはモジュール式であり、脛骨トレーコンポーネントと脛骨ステムコンポーネントの終端とは、縦軸が、基準面の直交軸と角度θを形成するように、基準面に対する脛骨ステムコンポーネントの相対角度を調節可能な関節を形成するように構成されており、角度は、0度から、40度を含むそれ以下までの範囲であることが可能であり、脛骨ステムコンポーネントが、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されており、脛骨ステムコンポーネントが、引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて縦軸から遠ざかるように構成されている、2つ以上の引込式部材を備えており、引込位置では、1つ以上の引込式部材が、脛骨ステムコンポーネントの中に実質的に含まれる、脛骨トレーコンポーネントを備えており、脛骨ステムコンポーネントが髄内腔に配置され、2つ以上の引込式部材が外側へ広げられると、1つ以上の引込式部材が髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムの固定を強化する、人工足関節が開示されている。
【0007】
本明細書に記載される実施形態の特徴は、以下の詳細な説明においてより完全に開示される。この詳細な説明は、同様の番号が同様の部分を指す添付の図面と共に考慮されるべきである。全ての図面は概略図であり、実際の寸法または比率を示すことは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1B】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1C】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1D】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1E】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1F】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1G】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1H】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1I】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1J】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1K】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図1L】本開示の実施形態によるプロテーゼの図である。
図2A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図2B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図2C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図2D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図2E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図2F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3H】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3I】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図3J】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図4G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図5A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図5B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図5C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図5D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図5E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図5F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図6G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図7G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図8G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図9A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図9B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図9C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図9D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図9E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図9F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図10H】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図11A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図11B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図11C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図11D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図11E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図11F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12C】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12D】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12E】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12F】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12G】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図12H】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図13A】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
図13B】本開示の別の実施形態によるプロテーゼの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この例示的な実施形態についての説明は、添付の図面に関連して読まれることが意図されている。この図面は明細書全体の一部であるとみなされるべきである。作図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の特徴を、明瞭さ及び簡潔さのために、縮尺を誇張してまたは幾分概略的な形態で示す場合がある。本明細書では、「水平な」、「垂直な」、「上へ」、「下へ」、「上部」及び「下部」などの相対語ならびにその派生語(例えば、「水平に」、「下方に」、「上方に」など)は、その時点で説明されている向き、または議論中の描画図形に示されている向きを指すものと解釈されるべきである。これらの相対語は、説明の便宜を図るためのものであり、通常は特定の向きを要求することは意図されていない。「内側に」に対して「外側に」、「縦方向の」に対して「横方向の」などを含む用語は、必要に応じて、互いを基準として、あるいは伸長軸または回転軸もしくは回転中心に対して解釈されるべきである。取り付け、結合などに関する用語、例えば「接続された」及び「相互接続された」などは、特に明記のない限り、構造体が直接的にまたは介在構造を介して間接的に互いに固定されまたは取り付けられる関係、及び両者の移動可能なまたは固定された取り付けまたは関係を指す。用語「動作可能に接続された」とは、関連する構造体がその関係によって目的どおりに動作することを可能にする取り付け、結合、または接続をいう。
【0010】
本明細書で足首について記載されている方法、システム、及び構造は、膝、肩、股関節、肘などの関節を含むがこれらに限定されない、関節形成術の他の用途に適合させてもよい。
【0011】
図1A図7Eを参照すると、人工足関節100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100Jが開示されている。本人工足関節は、人工関節の関節面に取り付けられるように構成された脛骨ステムコンポーネント110A、110B、110C、110D、110E、110F、110G、110H、110I、110J、及び脛骨トレーコンポーネント120A、120B、120C、120E、120F、120G、120H、120I、120Jを備える。脛骨ステムコンポーネントは、先端111A、111B、111C、111D、111E、111F、111G、111H、111I、111Jと、終端112A、112B、112C、112D、112E、112F、112G、112H、112I、112Jと、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸Lとを有する。
【0012】
脛骨トレーコンポーネントは、脛骨ステムコンポーネントの終端から延在している。脛骨ステムコンポーネントは、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されている。脛骨ステムコンポーネントは、引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて脛骨ステムコンポーネントから遠ざかるように構成された1つ以上の引込式部材130A、130B、130C、130D、130E、130F、130G、130H、130I、130Jを備える。引込位置では、1つ以上の引込式部材130A、・・・130Jは、脛骨ステムコンポーネントのシルエット内に実質的に含まれ、外側へ広がらない。脛骨ステムのシルエット内に実質的にあるとは、1つ以上の引込式部材の遠位端のほんの一部(約0.5mm以下)が、いくつかの実施形態では、脛骨ステムのシルエットからはみ出し得ることを意味する。使用の際に、脛骨ステムコンポーネントが脛骨の髄内腔に配置された後、1つ以上の引込式部材がそれらの引込位置から外側へ動かされて縦軸Lから遠ざかる結果、1つ以上の引込式部材が髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムの固定を強化する。
【0013】
いくつかの好ましい実施形態では、脛骨ステムコンポーネントは、2つ以上の引込式部材130A、130B、130C、130D、130E、130F、130G、130H、130I、130Jを備える。多くの状況では、2つ以上の引込式部材を使用すると、より対称な固定構成を提供することができる。本明細書で関係のある対称性は、脛骨ステムコンポーネントの縦軸Lに関する平面対称性または放射対称性であり得る。引込式部材130A、130B、130C、130D、130E、130F、130G、130H、130I、130Jの引き込みにより、脛骨ステムコンポーネントのその場での調節、再配置、及び患者分離が可能になる。
【0014】
プロテーゼ100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100Jのいくつかの実施形態では、脛骨トレーは、人工関節面を受けるための一対の対向するレール124A、124B、124C、124D、124E、124F、124G、124H、124I、124Jの間に延在するチャンネル122A、122B、122C、122D、122E、122F、122G、122H、122I、122Jを備える。
【0015】
プロテーゼ100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100Jのいくつかの実施形態では、脛骨トレーのチャンネルは、前方-後方方向、内側-外側方向に、または斜め方向に延在する。
【0016】
プロテーゼ100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100Jのいくつかの実施形態では、1つ以上の引込式部材130A、130B、130C、130D、130E、130F、130G、130H、130I、130Jは、それらの引込位置から外側へ移動して縦軸Lから遠ざかる際に、広がって、脛骨ステムコンポーネントの縦軸Lから遠ざかる。
【0017】
プロテーゼ100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100Jのいくつかの実施形態では、脛骨ステムは、終端が開いている内部空洞115A、115B、115C、115D、115E、115F、115G、115H、115I、115Jを画定する細長い略円筒形シェルを備える。脛骨ステムコンポーネントの略円筒形シェルには、1つ以上の引込式部材のそれぞれに対して開口部116A、116B、116C、116D、116E、116F、116G、116H、116I、116Jが設けられている。1つ以上の引込式部材は、引込位置から円筒形シェルの開口部を通り抜けて外側へ広がる。
【0018】
脛骨ステムコンポーネントを形成するシェルの形状は、略円筒形と称されるが、本開示の範囲は、円形または楕円形の断面を有するもの以外のシェルの様々な形状を包含する。本明細書で使用される「略円筒形」という用語は、多角形(すなわち、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形など)などの他の様々な断面形状を有することができるシェルの構造を包含することを意図するものである。さらに、本明細書で使用される「略円筒形」という用語は、図10A及び図11Aにそれぞれ示されるプロテーゼ実施形態200A及び200Bの脛骨ステムコンポーネントを形成するシェルなどの連続した中実のシェルを有しない場合がある構造を包含することが意図されている。プロテーゼ実施形態200A及び200Bの脛骨ステムは、中実の円筒形構造を有していないが、やはり略円筒形の形状を有している。
【0019】
プロテーゼのいくつかの実施形態では、脛骨ステムは、内部空洞の中に設けられたリニアアクチュエーター117A、117B、117C、117D、117E、117F、117G、117H、117I、117Jをさらに備える。リニアアクチュエーターは、内部空洞の中で縦軸Lに沿って移動できるように構成されている。1つ以上の引込式部材のそれぞれは、遠位端131A、131B、131C、131D、131E、131F、131G、131H、131I、131J、及び近位端132A、132B、132C、132D、132E、132F、132G、132H、132I、132Jを有する。近位端は、リニアアクチュエーターに取り付けられており、遠位端は、プロテーゼが脛骨の髄内腔の内部に設置されたときに、髄内腔の周囲の骨に係合するように、脛骨ステムの円筒形シェルに設けられたそれぞれの開口部を通り抜けて移動できる自由端である。1つ以上の引込式部材130A、・・・130Jの、外側へ広げられて脛骨ステムコンポーネントから遠ざかる引込位置からの移動は、内部空洞115A、・・・115Jの中でリニアアクチュエーター117A、・・・117Jを移動させることによって制御可能に達成される。リニアアクチュエーターの移動は、縦軸Lに沿った軸方向において、先端111A、・・・111Jに向かうかまたは終端112A、・・・112Jに向かうかのいずれかであり得る。
【0020】
リニアアクチュエーターの制御された軸方向の移動を、様々な方法で可能にすることができる。プロテーゼ100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100Jの開示された例示的な実施形態では、リニアアクチュエーター117A、・・・117Jの軸方向の移動は、ネジの作用によって達成される。
【0021】
例えば、図1A図2Eに示すプロテーゼ実施形態100A、100Bでは、リニアアクチュエーター117A、117Bは、それぞれベースピース117A-1、117B-1、及び移動ピース117A-2、117B-2の2つの部品を含む。ベースピース117A-1、117B-1は、それぞれ内部空洞115A、115Bに配置されており、縦軸Lを中心に回転するが、内部空洞115A、115B内で軸方向に移動しないように、停留するように構成されている。ベースピース117A-1、117B-1と移動ピース117A-2、117B-2とは、互いに螺合して、移動ピース117A-2、117B-2をそれぞれの内部空洞115A、115B内で軸方向に(すなわち、上へ下へと)移動させる。1つ以上の引込式部材130A、130Bは、それぞれのリニアアクチュエーター117A、117Bの移動ピース117A-2、117B-2に取り付けられており、移動ピース117A-2、117B-2を軸方向に移動させることにより、外側へ広げられてステムコンポーネントから遠ざかるまで、引込式部材130A、130Bをそれらの引込位置から移動させることが可能である。
【0022】
図1Gの断面図を参照すると、プロテーゼ実施形態100Aでは、ベースピース117A-1が、先端111Aに向かって開いている雌ネジ孔を備えており、ネジ付きステム117A-2が、その相手ネジによって係合されてその孔に受け入れられる。ベースピース117A-1は停留しているので、ベースピース117A-1を時計方向または反時計方向に回すと、ネジ付きステム117A-2が、先端111Aから遠ざかるように引っ込められ、または先端111Aへ向けてベースピースの中から外へ広がるようになる。このネジ付きステム117A-2の制御された上へ下への移動により、1つ以上の引込式部材130Aを、図1A及び図1Dに示す引込位置から外側へ制御可能に移動させて、縦軸Lから図1C及び図1Fに示す完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へと遠ざけることができる。図1B図1E、及び図1Gは、中間位置のいくつかを示す。先に述べたように、1つ以上の引込式部材130Aは、脛骨ステムコンポーネント110Aの略円筒形シェルに設けられた開口部116Aを通り抜けて移動する。
【0023】
図1Fを参照すると、この例示的な実施形態では、1つ以上の引込式部材130Aの近位端132Aは、ヒンジ式接続部Hによってネジ付きステム117A-2に接続されている。ヒンジ式接続部Hを、ピン117A-3によって実現することができる。ピン117A-3を、図1Kのプロテーゼ100Aの分解組立図に示す。このヒンジ式接続部により、ネジ付きステム117A-2は、1つ以上の引込式部材130Aをそれらの引込位置から移動させ、それぞれの開口部116Aを通してそれらを広げることが可能になる。1つ以上の引込式部材130Aのそれぞれは、ネジ付きステム117A-2が引込式部材130Aの近位端132Aを上方に押し上げる際に、外側へ広がる移動を容易にする湾曲形状を有している。図1A及び図1Dを参照すると、引込式部材130Aの近位端132Aがネジ付きステム117A-2によって押し上げられると、引込式部材130Aの上縁が開口部116Aの上縁に押し付けられ、それにより、引込式部材130Aが滑節Hを中心に旋回するにつれて、引込式部材130Aが外側に広がるように案内される。
【0024】
ベースピース117A-1及びネジ付きステム117A-2のネジ山は、ネジ付きステム117A-2を上昇または下降させるためにベースピース117A-1をどちらの方向に回転させる必要があるかを決めることになる、左巻きまたは右巻きのいずれかに合わせることができる。
【0025】
図示の実施例では、ベースピース117A-1は、一対の保持ピンRPにより、内部空洞115A内で引き続き回転可能でありながらも、軸方向には停留し続けるように構成されている。このことは、図1H図1Lに、よりよく見ることができる。ベースピース117A-1には、環状溝117A-1Gが構成されており、脛骨ステムコンポーネント110Aの実質的に円筒形のシェルは、終端112Aの近くに保持ピンRPを受け入れるための2つの略平行な貫通孔111Aを有している。2つの貫通孔111Aは、保持ピンRPが2つの貫通孔111Aの中を延在するように配置されており、2つの貫通孔111Aは、ベースピース117A-1の環状溝117A-1Gと位置合わせされ、図1H及び図1Iの断面図に示すように、保持ピンRPが、向かい合う2つの側から溝をはさみ取り、内部空洞115A内の所定の位置にベースピース117A-1を保持するようにする。いくつかの実施形態では、ベースピース117A-1は、内部空洞内の終端112Aの近くに停留しており、移動ピース117A-2は、螺合の作用により、ベースピースに対して脛骨ステムコンポーネントの縦軸Lに沿って移動可能である。
【0026】
ベースピース117A-1には、レンチまたはネジ回しなどの工具を用いてベースピース117A-1を回転させ、1つ以上の引込式部材130Aの移動を制御することができるように、下端に工具受けソケット117A-1S(図1G参照)が設けられてもよい。
【0027】
図2B図2Dの断面図を参照すると、プロテーゼ実施形態100Bでは、ベースピース117B-1は、ネジ付きステム部分117B-1’を備えており、移動ピース117B-2は、ネジ付きステム部分117B-1’と螺合するネジナット構造体である。つまり、ネジ付きステム部分117B-1’は送りネジであり、移動ピース117B-2は、送りネジの回転運動を直線運動に変換する送りネジナットである。1つ以上の引込式部材130Bの近位端132Bは、移動ピース117B-2に接続されている。ベースピース117B-1は停留しているので、ベースピース117B-1を時計方向または反時計方向に回転させることにより、移動ピース117B-2を、それらの螺合の作用により、ネジ付きステム部分117B-1’の上または下に移動させることができる。この移動ピース117B-2の制御された上へ下への移動により、1つ以上の引込式部材130Bを、図2Cに示すそれらの引込位置から外側へ制御可能に移動させて、縦軸Lから図2Dに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へと遠ざけることができる。先に述べたように、1つ以上の引込式部材130Bは、脛骨ステムコンポーネント110Bの略円筒形シェルに設けられた開口部116Bを通り抜けて移動する。
【0028】
図2Dを参照すると、この例示的な実施形態では、1つ以上の引込式部材130Bの近位端132Bは、ヒンジ式接続部Hによって移動ピース117B-2に接続されている。ヒンジ式接続部Hを、移動ピース117B-2に設けられた接続ピン117B-3によって実現することができる。接続ピン117B-3を、図2Eのプロテーゼ100Bの分解組立図に示す。このヒンジ式接続部により、移動ピース117B-2は、1つ以上の引込式部材130Bをそれらの引込位置から移動させ、それぞれの開口部116Bを通してそれらを広げることが可能になる。1つ以上の引込式部材130Bのそれぞれは、移動ピース117B-2が引込式部材130Bの近位端132Bを上方に押し上げる際に、外側へ広がる移動を容易にする湾曲形状を有している。図2C及び図2Dを参照すると、引込式部材130Bの近位端132Bが移動ピース117A-2によって押し上げられると、引込式部材130Bの上縁が開口部116Bの上縁に押し付けられ、それにより、引込式部材130Bが滑節Hを中心に旋回するにつれて、引込式部材130Bが外側に広がるように案内される。
【0029】
ネジ付きステム部分117B-1’及び移動ピース117B-2のネジ山は、移動ピース117B-2を上昇または下降させるためにベースピース117B-1をどちらの方向に回転させる必要があるかを決めることになる、左巻きまたは右巻きのいずれかに合わせることができる。
【0030】
ベースピース117B-1には、レンチまたはネジ回しなどの工具を用いてベースピース117B-1を回転させ、1つ以上の引込式部材130Bの移動を制御することができるように、下端にベースピース117A-1の工具受けソケット117A-1Sと同様の工具受けソケット(図示せず)が設けられてもよい。
【0031】
図示の実施例では、ベースピース117B-1は、一対の保持ピンRPにより、内部空洞115B内で引き続き回転可能でありながらも、軸方向には停留し続けるように構成されている。保持ピンRPは、プロテーゼ100Aの場合と同様に機能する。このことは、図2Bの断面図、及び分解組立図2E~2Fに、よりよく見ることができる。ベースピース117B-1には、環状溝117B-1Gが構成されており、脛骨ステムコンポーネント110Bの実質的に円筒形のシェルは、終端112Bの近くに保持ピンRPを受け入れるための2つの略平行な貫通孔111Bを有している。2つの貫通孔111Bは、保持ピンRPが2つの貫通孔111Bの中を延在するように配置されており、2つの貫通孔111Bは、ベースピース117B-1の環状溝117B-1Gと位置合わせされ、図1H及び図1Iの断面図に示すように、保持ピンRPが、向かい合う2つの側から溝をはさみ取り、内部空洞115B内の所定の位置にベースピース117B-1を保持するようにする。
【0032】
プロテーゼ100C、100D、100E、100F、100G、100Hのいくつかの実施形態では、1つ以上の引込式部材130C、・・・130Hの近位端132C、・・・132Hは、脛骨ステム110C、・・・110Hの実質的に円筒形のシェルに取り付けられており、遠位端は、髄内腔の周囲の骨に係合する自由端である。好ましい実施形態では、1つ以上の引込式部材130C、・・・130Hは、脛骨ステムの実質的に円筒形のシェルにヒンジ式に取り付けられている。
【0033】
プロテーゼ100C、100D、100E、100F、100G、100Hのいくつかの実施形態では、脛骨ステム110C、・・・110Hは、内部空洞115C、・・・115Hの中に設けられたリニアアクチュエーター117C、・・・117Hをさらに備える。リニアアクチュエーター117C、・・・117Hは、内部空洞の中で縦軸Lに沿って軸方向に移動できるように構成されている。1つ以上の引込式部材130C、・・・130Hのそれぞれは、遠位端131C、・・・131H及び近位端132C、・・・132Hを有しており、近位端は、脛骨ステム110C、・・・110Hの実質的に円筒形のシェルに取り付けられている。遠位端131C、・・・131Hは、髄内腔の周囲の骨に係合する自由端である。好ましい実施形態では、近位端132C、・・・132Hは、脛骨ステムの実質的に円筒形のシェルにヒンジ式に取り付けられている。
【0034】
プロテーゼ100C、100D、100E、100F、100G、100Hのいくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117C、・・・117Hが脛骨ステム110C、・・・110Hの先端111C、・・・111Hに向かって移動することにより、1つ以上の引込式部材が外側へ移動して縦軸Lから遠ざかることが可能になる。いくつかの実施形態では、リニアアクチュエーターと内部空洞の側壁とは、互いに係合して、内部空洞115C、・・・115Hの中でリニアアクチュエーターを移動させる。いくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117C、・・・117Hと内部空洞の側壁とは互いに螺合する。
【0035】
例えば、図3A図3Jに示すプロテーゼ実施形態100Cでは、1つ以上の引込式部材130Cそれぞれの近位端132Cは、リニアアクチュエーター117Cに係合するように構成されたカム面135C(図3I及び図3J参照)を有する。リニアアクチュエーター117Cは、ベースピース117C-1及びトップピース117C-2を含む。図3E図3F図3H、及び図3Iに示す断面図に示すように、トップピース117C-2及びベースピース117C-1は、トップピース117C-2をベースピース117C-1の上にして内部空洞115Cの内側に位置する。図3Jの分解組立図に示すように、トップピースとベースピースとは、ベースピース117C-1がトップピース117C-2に対して縦軸Lを中心に回転できるように組み立てられる。図示の実施例では、ベースピース117C-1は、トップピース117C-2に設けられた相手穴(図示せず)に収まる、軸方向に配置されたピン117C-1’を備える。他の実施形態では、ピン117C-1’の配置を逆にし、したがってトップピース117C-2がピンを備え、ベースピース117C-1が相手穴を備えてもよい。
【0036】
ベースピース117C-1は、その外面にネジ山を付けられ、内部空洞115Cの側壁には、ベースピース117C-1と脛骨ステムコンポーネント110Cとが互いに螺合するようにネジ山を付けられる。ベースピース117C-1を時計方向または反時計方向に回転させることにより、ベース117C-1を内部空洞115Cの中でそれらの螺合の作用により上または下に移動させることができる。ベースピース117C-1が上昇して内部空洞115Cに入ると、ベースピース117C-1がトップピース117C-2を押し上げる。トップピース117C-2が上方へ移動すると、トップピース117C-2の先端は、カム係合面となって、1つ以上の引込式部材130Cのカム面135Cに接し、1つ以上の引込式部材130Cを、図3Cに示すそれらの引込位置から外側へ移動させて、縦軸Lから図3Hに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へと遠ざける。先に述べたように、1つ以上の引込式部材130Cは、脛骨ステムコンポーネント110Cの略円筒形シェルに設けられた開口部116Cを通り抜けて移動する。
【0037】
本書で使用するとき、「カム面」及び「カム係合面」という用語は、2つの構成要素の、各構成要素に1つの、対を成す任意の面であって、互いに接触し、その2つの構成要素の一方または両方を意図したように移動させるよう作用する面のことをいう。したがって、対を成す2つの面のうち、一方の面はカム面と称され、他方の構成要素の対応する面はカム係合面と称される。
【0038】
プロテーゼ100Cは、2対の引込式部材130Cを備える。各対の引込式部材130Cは、図3A図3D、及び図3Gに示すように、互いに対向して配置されており、トップピース117C-2の先端は、各対の2つの引込式部材130Cの間に延在している。断面図である図3B図3C図3E図3F図3H、及び図3Iに示すように、トップピース117C-2の先端は、引込式部材130Cのカム面135Cと接している。図3Jに示すように、トップピース117C-2の先端は、2対の斜面117C-2’及び117C-2”を有しており、各対は、引込式部材130Cの対応するカム面135Cの対に接する。引込式部材130Cが、それらの引込位置から外側へ移動して縦軸Lから遠ざかることは、斜面117C-2’及び117C-2”とカム面135Cとの間の係合によって可能になる。リニアアクチュエーターアセンブリ117Cが脛骨ステムコンポーネントの先端111Cに向かって持ち上げられると、2対のカム面の間に挟まれた2対の斜面117C-2’及び117C-2”がカム面135Cに接触し、引込式部材のそれぞれを押して引込位置から外側へ移動させ、縦軸Lから遠ざける。
【0039】
図4A図4Gを参照すると、プロテーゼ実施形態100Dでは、リニアアクチュエーター117Dは、内部空洞115Dの側壁に設けられた対応するネジ山に係合する雄ネジ面117D’(図4G参照)を有する。リニアアクチュエーター117Dを時計方向または反時計方向に回転させることにより、リニアアクチュエーター117Dを内部空洞115Dの中でそれらの螺合の作用により上または下に移動させることができる。リニアアクチュエーター117Dが上方へ移動すると、リニアアクチュエーター117Dの先端は、1つ以上の引込式部材130Dのカム面135Dに接し、1つ以上の引込式部材130Dを、図4Cに示すそれらの引込位置から外側へ移動させ、縦軸Lから図4Fに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へ向けて遠ざける。リニアアクチュエーター117Dには、例えばレンチ、ネジ回しなどの工具を用いてリニアアクチュエーター117Dを回転させることができるように、下端(終端112Dに近い端部)に、終端112Dの開口部123Dを介してアクセス可能な工具受けソケット117D-S(図4D図4E図4F参照)が設けられてもよい。1つ以上の引込式部材130Dは、脛骨ステムコンポーネント110Dの略円筒形シェルに設けられた開口部116Dを通り抜けて移動する。
【0040】
図5A図5Fを参照すると、プロテーゼ実施形態100Eでは、リニアアクチュエーター117Eは、内部空洞115Eの側壁に設けられた対応するネジ山に係合する雄ネジ面117E’(図5E参照)を有する。リニアアクチュエーター117Eにはまた、例えばレンチ、ネジ回しなどの工具を用いてリニアアクチュエーター117Eを回転させることができるように、下端に、終端112Eの開口部123Eを介してアクセス可能な、工具受けソケット117D-Sと同様の工具受けソケットが設けられてもよい。
【0041】
図7A図7Gを参照すると、プロテーゼ実施形態100Gでは、リニアアクチュエーター117Gは、ベースピース117G-1及びトップピース117G-2を含む。この構造は、上記のリニアアクチュエーター117Gの2ピース構成に類似している。ベースピース117G-1は、その外面にネジ山を付けられ、内部空洞115Gの側壁には、ベースピース117G-1と脛骨ステムコンポーネント110Gとが互いに螺合するようにネジ山を付けられる。ベースピース117G-1を時計方向または反時計方向に回転させることにより、ベース117G-1を内部空洞115Gの中でそれらの螺合の作用により上または下に移動させることができる。ベースピース117G-1が上昇して内部空洞115Gに入ると、ベースピース117G-1がトップピース117G-2を押し上げる。トップピース117G-2が上方へ移動すると、トップピース117G-2の先端は、1つ以上の引込式部材130Gのカミング面135Gに接し、1つ以上の引込式部材130Gを、図7Bに示すそれらの引込位置から外側へ移動させ、縦軸Lから図7Fに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へと遠ざける。先に述べたように、1つ以上の引込式部材130Gは、脛骨ステムコンポーネント110Gの略円筒形シェルに設けられた開口部116Gを通り抜けて移動する。
【0042】
プロテーゼ100C、100D、100E、100G、100Hのいくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117C、117D、117E、117G、117Hは、脛骨ステムの先端111C、111D、111E、111G、111H及び終端112C、112D、112E、112G、112Hの方向に対応する先端及び終端を有しており、リニアアクチュエーターは、その先端近くにカム係合面117C-2’、117D-5、117E-5、117G-5、117H-5をさらに有しており、2つ以上の引込式部材の近位端のそれぞれは、リニアアクチュエーターが脛骨ステムの先端に向かって移動するときに、1つ以上の引込式部材を外側へ移動させて縦軸Lから遠ざけることができるようにするカム係合面に係合するカム面135C、135D、135E、135G、135Hを有している。
【0043】
プロテーゼのいくつかの実施形態では、1つ以上の引込式部材130A、・・・130Hそれぞれの遠位面131A、・・・131Hは、髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムの固定を強化するように構成された複数の表面特徴を有する。そのような表面特徴は、偏った配向を有する表面テクスチャリングまたは歯などの任意の表面特徴であり得る。
【0044】
図6A図6Gを参照すると、いくつかの実施形態によれば、プロテーゼ100Fが開示されており、脛骨ステムコンポーネント110Fは、内部空洞115Fの中に設けられたアクチュエーター117Fをさらに備える。アクチュエーター117Fは、内部空洞内で縦軸Lを中心に回転可能であるように構成される。1つ以上の引込式部材130Fのそれぞれは、遠位端131F及び近位端132Fを有しており、近位端は、脛骨ステムコンポーネント110Fに取り付けられており、遠位端は、髄内腔の周囲の骨に係合する自由端である。1つ以上の引込式部材130Fは、内部空洞内でアクチュエーター117Fを回転させることにより、引込位置から動かされ、外側へ広げられて縦軸Lから遠ざけられる。
【0045】
プロテーゼ100Fのいくつかの実施形態では、アクチュエーター117Fは送りネジ部分117F-Sを含み、1つ以上の引込式部材それぞれの近位端は、送りネジ部分と噛み合わされる歯車部分136Fを含む。アクチュエーター117Fを回転させると、送りネジ117F-Sと歯車部分136Fとが噛み合って、1つ以上の引込式部材を引込位置から移動させる。
【0046】
図6B図6D、及び図6Fの断面図に示すように、アクチュエーター117Fは、縦軸Lと揃えられて内部空洞115F内に配置される。アクチュエーター117Fは、送りネジ部分117F-S及びベース部分117F-Bを含む。ベース部分117F-Bには、アクチュエーター117Fを回転可能としつつ内部空洞115Fに保持するための環状溝117F-Gが設けられている。これは、プロテーゼ実施形態100Aのベースピース117A-1がその内部空洞115A内に保持されるのと同様の構成によって達成される。アクチュエーター117Fは、終端112Fの近くで脛骨ステムコンポーネント110Fに設けられた2つの実質的に平行な貫通孔113Fを通して挿入された2つの保持ピンRP(図6G参照)によって所定の位置に保持される。保持ピンRPは、実質的に両側から環状溝117F-Gに係合し、アクチュエーター117Fを縦軸Lの周りに回転可能としつつ、アクチュエーター117Fを所定の位置に保持する。
【0047】
図8A図8Gを参照すると、プロテーゼ実施形態100Hでは、リニアアクチュエーター117Hは、内部空洞115Hの側壁に設けられた対応するネジ山に係合する雄ネジ面117H’(図8G参照)を有する。リニアアクチュエーター117Hを時計方向または反時計方向に回転させることにより、リニアアクチュエーター117Hを内部空洞115Hの中でそれらの螺合の作用により上または下に並進させることができる。リニアアクチュエーター117Hが上方へ移動すると、リニアアクチュエーター117Hの先端は、1つ以上の引込式部材130Hのカム面135Hに接し、1つ以上の引込式部材130Hを、図8Bに示すそれらの引込位置から外側へ移動させて、縦軸Lから図8Eに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へ向けて遠ざける。リニアアクチュエーター117Hにはまた、例えばレンチ、ネジ回しなどの工具を用いてリニアアクチュエーター117Hを回転させることができるように、下端(終端112Hに近い端部)に、終端112Hの開口部123H(図8G参照)を介してアクセス可能な工具受けソケット117H-S(図8G参照)が設けられてもよい。1つ以上の引込式部材130Hは、脛骨ステムコンポーネント110Hの略円筒形シェルに設けられた開口部116Hを通り抜けて移動する。
【0048】
髄内腔における脛骨ステムコンポーネントの固定が改善されることに加えて、プロテーゼ実施形態100A、100B、100E、100Hのさらにもう1つの有益な特徴は、1つ以上の引込式部材130A、130B、130E、及び130Hが外側へ広がる際の作動方向により、脛骨ステムコンポーネントが髄内腔内にさらに付勢されることである。この場合、脛骨トレーは足首関節の遠位脛骨切断面に引き込まれる。
【0049】
プロテーゼ100E、100Hの実施形態では、1つ以上の引込式部材130E、130Hの遠位端131E、131Hは、引込位置にあるときに、脛骨ステム110E、110Hの先端111E、111Hを向いて延在している。
【0050】
図9A図9Cを参照すると、プロテーゼ実施形態100Iでは、脛骨ステムコンポーネント110Iは、内部空洞115I内に設けられたリニアアクチュエーター117Iを備える。リニアアクチュエーター117Iは、内部空洞115Iの中で縦軸Lに沿って移動できるように構成されている。1つ以上の引込式部材130Iは、内部空洞115I内でリニアアクチュエーター117Iを並進させることにより、図9Bに示す引込位置から動かされ、外側へ広げられて縦軸Lから遠ざけられる。
【0051】
いくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117Iと内部空洞の側壁とは、互いに螺合して、内部空洞の中でリニアアクチュエーター117Iを並進させる。リニアアクチュエーター117Iの一部分には、雄ネジ117I-Tが設けられており、内部空洞115Iの側壁には、螺合を達成するための対応する雌ネジが設けられている。リニアアクチュエーター117Iの下端には、レンチまたはネジ回しなどの工具を用いてリニアアクチュエーター117Iを回転させ、1つ以上の引込式部材130Iの移動を制御することができるように、工具受けソケット117I-Sが構成されてもよい。
【0052】
プロテーゼ100Iのいくつかの実施形態では、脛骨ステムコンポーネント110Iの先端111Iに向けたリニアアクチュエーター117Iの並進により、1つ以上の引込式部材130Iを外側へ広げることが可能になる。
【0053】
プロテーゼ100Iのいくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117Iは、脛骨ステムの先端111I及び終端112Iの方向に対応する先端及び終端を有しており、その先端近くにカム係合面117I-Cをさらに有する。1つ以上の引込式部材130Iのそれぞれは、脛骨ステムコンポーネントの縦軸Lに対する遠位面131I及び近位面132Iを有しており、1つ以上の引込式部材130Iそれぞれの近位面132Iは、リニアアクチュエーターのカム係合面117I-Cに係合するカム面である。リニアアクチュエーター117Iが先端111Iに向かって上方に並進されると、カム係合面117I-Cがカム面132I(すなわち、近位面)を押し、カム係合面117I-Cにより、1つ以上の引込式部材130Iを、縦軸Lから外側へ遠ざけて、図9A図9Bに示すそれらの引込位置から、図9Cに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へ向けて押すことが可能となる。
【0054】
プロテーゼ100Iのいくつかの実施形態では、1つ以上の引込式部材130Iそれぞれの遠位面131Iは、髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムコンポーネント110Iの固定を強化するように構成された複数の表面特徴を有する。図9A図9Bに示す図示の実施例では、遠位面131I上の複数の表面特徴は、偏った配向を有する歯である。
【0055】
図9D図9Fを参照すると、プロテーゼ実施形態100Jでは、脛骨ステムコンポーネント110Jは、内部空洞115J内に設けられたリニアアクチュエーター117Jを備える。リニアアクチュエーター117Jは、内部空洞115Jの中で縦軸Lに沿って移動できるように構成されている。脛骨ステムコンポーネント110Jに設けられた2つ以上の引込式部材130Iは、内部空洞115J内でリニアアクチュエーター117Jを並進させることにより、図9Bに示す引込位置から動かされ、外側へ広げられて縦軸Lから遠ざかる。
【0056】
いくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117Jと内部空洞の側壁とは、互いに螺合して、内部空洞の中でリニアアクチュエーター117Jを並進させる。リニアアクチュエーター117Jの一部分には、雄ネジ117J-Tが設けられており、内部空洞115Jの側壁には、螺合を達成するための対応する雌ネジが設けられている。リニアアクチュエーター117Jの下端には、レンチまたはネジ回しなどの工具を用いてリニアアクチュエーター117Jを回転させ、2つ以上の引込式部材130Jの移動を制御することができるように、工具受けソケット117J-Sが構成されてもよい。
【0057】
プロテーゼ100Jのいくつかの実施形態では、脛骨ステムコンポーネント110Jの先端111Jに向けたリニアアクチュエーター117Jの並進により、2つ以上の引込式部材130Jを外側へ広げることが可能になる。
【0058】
プロテーゼ100Jのいくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター117Jは、脛骨ステムの先端111J及び終端112Jの方向に対応する先端及び終端を有しており、その先端近くにカム係合面117J-Cをさらに有する。2つ以上の引込式部材130Jのそれぞれは、脛骨ステムコンポーネントの縦軸Lに対する遠位面131J及び近位面132Jを有しており、2つ以上の引込式部材130Jそれぞれの近位面132Jは、リニアアクチュエーターのカム係合面117J-Cに係合するカム面である。リニアアクチュエーター117Jが先端111Jに向かって上方に並進されると、カム係合面117J-Cがカム面132J(すなわち、近位面)を押し、カム係合面117J-Cにより、2つ以上の引込式部材130Jを、縦軸Lから外側へ遠ざけて、図9Dに示すそれらの引込位置から、図9Eに示すそれらの完全に広げられた位置、及びその間の任意の構成へ向けて押すことが可能となる。
【0059】
プロテーゼ100Jのいくつかの実施形態では、2つ以上の引込式部材130Jそれぞれの遠位面131Jは、髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムコンポーネント110Jの固定を強化するように構成された複数の表面特徴を有する。図9D図9Fに示す図示の実施例では、遠位面131J上の複数の表面特徴は、偏った配向を有する歯である。各遠位面131Jは、図示のように2つの歯を有する。
【0060】
2つ以上の引込式部材130Jは、ゴムバンドなどの弾性リング30Jでまとめられている。(図9E図9F参照)。2つ以上の引込式部材130Jのそれぞれには、弾性リング30Jを受け入れるための溝130J-G(図9F参照)が構成されている。弾性リング30Jは、2つ以上の引込式部材130Jを脛骨ステムコンポーネント110Jの軸中心へ向けて引き寄せ、引込式部材130J、特に引込式部材130Jのカム面132Jをカム係合面117J-Cに接触させて維持する。
【0061】
プロテーゼのいくつかの実施形態では、プロテーゼは、1つ以上の引込式部材に係合するリニアアクチュエーター117C、117D、117E、117G、及び117Hを有する代わりに、ロッドまたはスティックなどのアクチュエーター(図示せず)を、1つ以上の引込式部材に係合させ、これらを移動させるために、脛骨ステムの終端112C、・・・112Hにある開口部123C、・・・123Hを介して内部空洞115C、・・・115Hに挿入できることを除いては、実施形態100C、100D、100E、100F、100G、100Hと同様の構造にすることが可能である。そのような実施形態では、アクチュエーターの先端部は、1つ以上の引込式部材のカム面135C、135D、135E、135G、及び135Hに適切に係合するように、リニアアクチュエーター117C、117D、117E、117G、及び117Hと同様に構成されることになる。
【0062】
図10A図10Fを参照すると、本開示の他の実施形態による人工足関節200A、300Aが開示されている。プロテーゼ200A、300Aは、脛骨ステムコンポーネント210A、310Aと、脛骨トレーコンポーネント220A、320Aとを備える。脛骨ステムコンポーネント210A、310Aは、先端211A、311Aと、終端212A、312Aと、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸Lとを有する。脛骨トレーコンポーネント220A、320Aは、概して人工関節の関節面に取り付けられるように構成されている。脛骨トレーコンポーネント220A、320Aは、脛骨ステムコンポーネント210A、310Aの終端212A、312Aから延在している。脛骨ステムコンポーネント210A、310Aは、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されている。脛骨ステムコンポーネント210A、310Aは、脛骨ステムに形成された縦スリット231A、331Aにより、2つ以上の引込式部材230A、330Aに分けられている。縦スリット231A、331Aは、脛骨ステムコンポーネントの先端211A、311Aから、部分的に終端212A、312Aに向かって延びており、それにより、2つ以上の引込式部材230A、330Aのそれぞれが、縦スリット231A、331Aの対の間に画定される。2つ以上の引込式部材230A、330Aは、脛骨ステムコンポーネントの終端212A、312A付近で接合される近位端と、先端211A、311Aで自由に移動可能な遠位端233A、333Aとを有する。2つ以上の引込式部材230A、330Aは、引込位置(図10A図10B、及び図10Dに示す)から制御可能に移動可能であり、先端211A、311Aにあるそれらの自由遠位端233A、333Aが外側へ曲げられて縦軸Lから遠ざかるように構成される。それらの引込位置では、2つ以上の引込式部材230A、330Aは、縦軸Lと平行であり、外側へ広がらない。脛骨ステムコンポーネント210A、310Aが髄内腔に配置され、2つ以上の引込式部材230A、330Aが縦軸Lから外側へ遠ざかるように動かされると、2つ以上の引込式部材は髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムコンポーネント210A、310Aの固定を強化する。
【0063】
図10B図10Fを参照すると、2つ以上の引込式部材230A、330Aは、脛骨ステムの先端211A、311A、及び脛骨ステムの終端212A、312Aの両方において開かれている内部空洞215A、315Aを画定する。終端212A、312Aの開口部213A、313Aは、図10B及び図10Fに示すように、脛骨トレー220A、320Aの底部側からアクセス可能である。脛骨ステム210A、310Aは、内部空洞215A、315A内に設けられたリニアアクチュエーター217A、317Aをさらに備える。リニアアクチュエーター217A、317Aは、内部空洞215A、315Aの中で縦軸Lに沿って移動できるように構成されている。それにより、2つ以上の引込式部材230A、330Aは、内部空洞215A、315Aの中でリニアアクチュエーター217A、317Aが移動することによって引込位置から動かされ、外側へ広がる。
【0064】
いくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター217A、317Aと内部空洞の側壁とは、互いに螺合して、内部空洞215A、315Aの中でリニアアクチュエーター217A、317Aを移動させる。脛骨ステムコンポーネントの終端212A、312Aに向けたリニアアクチュエーター217A、317Aの並進により、2つ以上の引込式部材230A、330Aの特に遠位端233A、333Aを、外側へ広げて縦軸Lから遠ざけることが可能になる。
【0065】
いくつかの実施形態では、リニアアクチュエーター217A、317Aは、脛骨ステムの先端211A、311A及び終端212A、312Aの方向に対応する先端及び終端を有しており、その先端近くにカム面217A-2、317A-2をさらに有する。内部空洞215A、315Aに面する1つ以上の引込式部材230A、330Aそれぞれの側面は、リニアアクチュエーター217A、317Aのカム面に係合し、本明細書では「カム係合面」235A、335Aと呼ばれることになる。(図10B図10G参照)。カム面217A-2、317A-2及びカム係合面235A、335Aは、リニアアクチュエーター217A、317Aが脛骨ステムコンポーネントの終端212A、312Aに向かって並進するとき、2つ以上の引込式部材230A、330Aを外側へ押して縦軸Lから遠ざけるように構成される。図10B及び図10Cに示すように、リニアアクチュエーター217A、317Aのカム面217A-2、317A-2部分は逆円錐台形状を有しており、したがってカム面部分の遠位先端部の直径が、2つ以上の引込式部材230A、330Aのカム係合面235A、335Aによって形成される内部空洞215A、315Aの直径よりも大きい。したがって、リニアアクチュエーター217A、317Aを、脛骨ステムコンポーネント210A、320Aの終端212A、312Aに向かう図10B図10Gに示す向きで下方に並進させると、カム面部分217A-2、317A-2が2つ以上の引込式部材230A、330Aを外側へ押して縦軸Lから遠ざけ、脛骨ステムコンポーネントの先端211A、311Aの外径を効果的に大きくする。2つ以上の引込式部材230A、330Aの遠位先端部233A、333Aは、リニアアクチュエーター217A、317Aが終端212A、312Aに向かってさらに並進されると、さらに外側へ移動するようになる。したがって、髄内腔内部にプロテーゼを固定するために、この2つ以上の引込式部材230A、330Aの制御された外側への移動を利用して、2つ以上の引込式部材230A、330Aが髄内腔内部の周囲の骨に対して加える力の量を制御することができる。
【0066】
脛骨ステム実施形態200Aでは、リニアアクチュエーター217Aは、その外面にネジ部分217A-1を有しており(図10C参照)、内部空洞215Aの側壁は、ネジ部分213A-1を有する(図10B参照)。これらのネジ面の係合により、リニアアクチュエーター217Aの並進が可能になる。リニアアクチュエーター217Aを時計方向または反時計方向に回転させることにより、リニアアクチュエーター217Aを内部空洞215Aの中でそれらの螺合の作用により上または下に移動させることができる。リニアアクチュエーター217Aには、例えばレンチ、ネジ回しなどの工具を用いてリニアアクチュエーター217Aを回転させることができるように、下端(終端212Aに近い端部)に、脛骨トレー部分220Aの下部にある開口部213A(図10B参照)を介してアクセス可能な工具受けソケット217A-Sが設けられてもよい。
【0067】
図10F図10Hを参照すると、脛骨ステム実施形態300Aでは、リニアアクチュエーター317Aには、ネジ付きボルト318Aを受け入れるためにその下端に開かれているネジ孔317A-1が構成されている。ネジ付きボルト318Aは、脛骨トレー部分320Aの下部の孔313Aを介してネジ孔317A-1に挿入される。これらのネジ面の係合により、リニアアクチュエーター317Aの並進が可能になる。ネジ付きボルト318Aを時計方向または反時計方向に回転させることにより、リニアアクチュエーター317Aをそれらの螺合の作用により上または下に移動させることができる。リニアアクチュエーター317Aには、例えばレンチ、ネジ回しなどの工具を用いてネジ付きボルト318Aを回転させることができるように、下端に、脛骨トレー部分320Aの下部にある開口部313A(図10G参照)を介してアクセス可能な工具受けソケット317A-Sが設けられてもよい。
【0068】
好ましくは、ネジ付きボルト318Aがリニアアクチュエーター317Aに螺入されているときにリニアアクチュエーター317Aが回転するのを防止するために、リニアアクチュエーター317Aには、リニアアクチュエーター317Aの外部から突出する1つ以上のボス317A-3が設けられてもよい。1つ以上のボス317A-3のそれぞれは、2つの引込式部材330Aの間に延在しており、ネジ付きボルト318Aが回されているときに、リニアアクチュエーター317Aがその縦軸を中心に回転するのを防止する。つまり、1つ以上のボス317A-3は、リニアアクチュエーター317Aに逆トルクを与える。ボス317A-3は、2つ以上の引込式部材330Aと噛み合う、1つ以上のリッジ、スプライン、エッジ、溝などの様々な形状をとることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、2つ以上の引込式部材230A、330Aは、脛骨ステムコンポーネントが髄内腔に配置され、2つ以上の引込式部材230A、330Aが外側へ移動して周囲の骨に係合するときに、髄内腔の周囲の骨との係合を強化し、かつ髄内腔内での脛骨ステムコンポーネント210A、310Aの固定を強化するように構成された複数の表面特徴237Aを有することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、表面特徴237Aは、偏った配向を有する表面テクスチャリングまたは歯であり得る。例えば、図10A図10Cに示す図示された実施形態では、2つ以上の引込式部材230Aの外面には、2つ以上の引込式部材230Aが外側へ展開され、複数の表面特徴237Aが髄内腔内の周囲の骨に係合すると、脛骨ステムコンポーネントが髄内腔から引き出されることに抵抗するようになる、偏った配向を有する複数の歯が設けられている。
【0071】
図11A図11Fを参照すると、本開示の他の実施形態によれば、脛骨ステムコンポーネント210Bと脛骨トレーコンポーネント220Bとを備える人工足関節200Bが開示されている。脛骨ステムコンポーネント210Bは、先端211Bと、終端212Bと、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸Lとを有する。脛骨トレーコンポーネント220Bは、概して人工関節の関節面に取り付けられるように構成されている。脛骨トレーコンポーネント220Bは、脛骨ステムコンポーネント210Bの終端212Bから延在している。脛骨ステムコンポーネント210Bは、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されている。脛骨ステムコンポーネント210Bは、脛骨ステムコンポーネント210Bに形成された縦スリット231B(図11A図11F参照)により、2つ以上の引込式部材230Bに分けられている。縦スリット231Bは、脛骨ステムコンポーネントの先端211Bから、部分的に終端212Bに向かって延びており、それにより、2つ以上の引込式部材230Bのそれぞれが、縦スリット231Bの対の間に画定される。2つ以上の引込式部材230Bは、脛骨ステムコンポーネントの終端212B付近で接合される近位端と、先端211Bで自由に移動可能な遠位端233B(図11D図11F参照)とを有する。2つ以上の引込式部材230Bは、引込位置(図11A及び図11Bに示す)から、先端211Bにあるそれらの自由遠位端233Bが外側へ曲げられて縦軸Lから遠ざけられる広げられた位置まで、制御可能に移動できるように構成される。それらの引込位置では、2つ以上の引込式部材230Bは、縦軸Lと平行であり、外側へ広がらない。脛骨ステムコンポーネント210Bが髄内腔に配置され、2つ以上の引込式部材230Bが外側へ動かされて縦軸Lから遠ざかると、2つ以上の引込式部材は髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムコンポーネント210Bの固定を強化する。
【0072】
2つ以上の引込式部材230Bは、脛骨ステムコンポーネントの先端211B、及び脛骨ステムの終端212Bの両方において開かれている内部空洞215Bを画定する。内部空洞215Bは、図11Fに最もよく見ることができる。脛骨ステムコンポーネント210Bは、内部空洞215B内に設けられたリニアアクチュエーター217Bをさらに備える。リニアアクチュエーター217Bは、内部空洞215Bの中で縦軸Lに沿って移動できるように構成されている。それにより、2つ以上の引込式部材230Bは、内部空洞215Bの中でリニアアクチュエーター217Bが移動することによって引込位置から動かされ、外側へ広がる。
【0073】
図11D図11Eを参照すると、プロテーゼ200Aにおけるリニアアクチュエーター217Aと同様に、リニアアクチュエーター217Bは、残りの第2の部分217B-2よりも大きな直径を有する第1の部分217B-1と、カム面217B-Cを形成する中間の移行部分とを含む。リニアアクチュエーター217Bは、第1の部分217B-1が脛骨ステムコンポーネントの先端211B(表記は図11B参照)に位置するように、内部空洞215Bの内部に位置している。内部空洞215B内を臨んでいる2つ以上の引込式部材230Bの内側は、リニアアクチュエーター217Bが脛骨ステムコンポーネント210Bの終端216Bに向かって下方に並進されると、直径の大きな第1の部分217B-1が、2つ以上の引込式部材230Bと相互作用して、それらを外側へ押して縦軸Lから遠ざけるように構成される。
【0074】
いくつかの実施形態では、2つ以上の引込式部材230Bの内側の輪郭は、内部空洞215Bの直径が、先端211Bから終端212Bに向かうリニアアクチュエーター217Bの細径化に一致するように構成されている。したがって、2つ以上の引込式部材230Bそれぞれの内面は、カム面217B-Cに対応するカム係合面230B-Cを含む。この構成を図11D図11Eに示す。次に、図11D図11Eに示す2つ以上の引込式部材230Bの引込構成から始めて、リニアアクチュエーター217Bが終端212Bに向かって下方に並進されると、カム面217B-Cとカム係合面230B-Cとが互いに作用して、2つ以上の引込式部材230Bを外側へ押して縦軸Lから遠ざける。
【0075】
2つ以上の引込式部材230Bの遠位先端部233Bは、リニアアクチュエーター217Bが終端212Bに向かってさらに並進されると、さらに外側へ移動するようになる。したがって、髄内腔内部にプロテーゼを固定するために、この2つ以上の引込式部材230Bの制御された外側への移動を利用して、2つ以上の引込式部材230Bが髄内腔内部の周囲の骨に対して加える力の量を制御することができる。
【0076】
図11A図11Eを参照すると、2つ以上の引込式部材230Bの下位部分(すなわち、終端212Bに近い部分)は、内部空洞215Bの直径が小さくなるにつれて厚くなるので、この厚さの増加により、引込式部材230Bが外側へ撓むまたは曲がる機能を妨げる可能性がある。このことは、2つ以上の引込式部材230Bが硬い材料で作られている場合に、特に当てはまり得る。したがって、いくつかの実施形態では、2つ以上の引込式部材230Bのそれぞれには、材料、サイズ、及び解剖学的用途に適していることになる塑性変形または弾性変形のいずれかを達成するために、引込式部材230Bの可撓性を調整する1つ以上の細くしたくびれ領域230B-Nが設けられ得る。このようなくびれ領域230B-Nは、引込式部材230Bの外側及び/または内側に設けられた切り欠きによって作ることができる。
【0077】
リニアアクチュエーター217Bの並進は、ベースナット225Bの使用によって獲得される。(図11D図11E、及び図11F参照)。本実施形態における脛骨トレーコンポーネント220Bは、内部空洞215Bと一致する孔223Bを有しており、リニアアクチュエーター217Bのネジ部分217B-Sが下方へ延び、孔223Bを通ることができるようにする。ベースナット225Bは、脛骨トレーコンポーネント220Bの底部側からネジ部分217B-Sに螺着されている。フランジ224Bが孔223Bを取り巻いており(図11F参照)、ベースナット225Bを締め付けることにより、フランジ224Bはベースナット225Bと脛骨ステムコンポーネント210Bとの間に捕らえられる。したがって、ベースナット225Bがフランジ224Bに対して支えられた状態で、ベースナット225Bを回転させてネジ部分217B-Sに係合させると、リニアアクチュエーター217Bを終端211Bへ向けて下方に引っ張ることになる。この下降運動により、ステムコンポーネント210bが周方向に広がり、周囲の骨にフープ状の応力を加え、インプラントが埋め込まれる。一実施形態では、引込式部材230Bは、選択されたインプラント材料に対してその弾性変形範囲内で曲がるように構成されかつ配置される。弾性変形範囲内に設計を保つことで、引込式部材230Bが元の位置に跳ね返ることが可能になり、髄内腔を形成する骨から容易にインプラントを取り出せるという効果がある。
【0078】
多軸機構
いくつかの実施形態によれば、人工足関節の脛骨ステムコンポーネント及び脛骨トレーコンポーネントは、2つのコンポーネントの間の角度が1つの構成に固定されるのではなく、ある角度範囲内になるよう調節できるように、モジュールピースとなるように構成されることが可能である。そのような人工足関節のいくつかの実施例が、図11A図12Iの添付図と共に開示されている。
【0079】
いくつかの実施形態では、人工足関節200B、300Bは、脛骨ステムコンポーネント210B、310Bと、脛骨トレーコンポーネント220B、320Bとを備える。脛骨ステムコンポーネントは、先端211B、311Bと、終端212B、312Bと、脛骨ステムコンポーネントを通り抜けるように定められた縦軸Lとを有する。脛骨トレーコンポーネント220B、320Bは、基準面REF(図11E図12F図12G参照)を画定する表面220B-S、320B-Sを有する。脛骨ステムコンポーネント及び脛骨トレーコンポーネントはモジュール式であり、脛骨トレーコンポーネント220B、320Bと脛骨ステムコンポーネント210B、310Bの終端とは、脛骨ステムコンポーネント210B、310Bの縦軸Lが、基準面REFの直交軸OLと角度θ(図11E参照)を形成するように、基準面REFに対する脛骨ステムコンポーネントの相対角度を調節可能な関節を形成するように構成されている。角度θは、0度から、45度を含むそれ以下までの範囲であり得る。
【0080】
一実施形態では、角度θは、0度から、40度を含むそれ以下までの範囲とすることができる。一実施形態では、角度θは、0度から、30度を含むそれ以下までの範囲とすることができる。一実施形態では、好ましい角度θは、0度から、20度を含むそれ以下までの範囲とすることができる。身体の他の関節では、この角度調節機能は、0度から90度の間で、解剖学的に適したように調節されてもよい。角度範囲は、インプラントのサイズ、及び解剖学的考慮に適合するように構成されかつ配置される。図示しない一実施形態では、角度範囲は、ある平面における角運動を別の平面と異なるように制限する、装置のボールジョイントの平坦面によって制限される場合がある。これには、内側-外側方向(冠状面)の角運動を制限しながら、前方-後方方向(矢状面)でより多くの角度調節を可能にし得るユニプレーナ調節可能設計が含まれる。
【0081】
脛骨ステムコンポーネント210B、310Bは、脛骨に形成された髄内腔内に配置されるように寸法決めされかつ構成されている。脛骨ステムコンポーネントは、引込位置から制御可能に移動可能であり、かつ外側へ広げられて縦軸Lから遠ざかるように構成された2つ以上の引込式部材230B、330Bを備える。引込位置では、2つ以上の引込式部材230B、330Bは、脛骨ステムコンポーネントのシルエット内に実質的に含まれ、外側へ広がらない。脛骨ステムコンポーネントが髄内腔に配置され、1つ以上の引込式部材230B、330Bが外側へ広げられると、1つ以上の引込式部材は髄内腔の周囲の骨に係合し、髄内腔内での脛骨ステムの固定を強化する。
【0082】
脛骨ステムコンポーネント210B、310Bと脛骨トレーコンポーネント220B、320Bとの間に形成される調節可能な関節が確保されて、角度θを、0度から、45度を含むそれ以下までの間の上記の範囲内の所望の角度に固定することが可能である。脛骨トレーコンポーネント220B、320Bには、脛骨ステムコンポーネント210B、310Bの終端212B、312Bを受け入れるための凹部224B、324Bが脛骨トレーコンポーネント220B、320Bの上面220B-S、320B-Sに構成される。凹部224B、324Bの下部には、脛骨ステムコンポーネント210B、310Bの終端212B、312Bを受けるとともに、脛骨ステムコンポーネント210B、310Bが凸面に対して旋回して、角度θを所望の角度に調節することを可能にする凸面が構成されている。
【0083】
所望の角度θが得られると、ロックナット225B、325Bをリニアアクチュエーター217B、317Bのネジ部分217B-S、317B-Sにねじ込むことにより、脛骨ステムコンポーネント210B、310Bの位置を動かないよう留めることができる。ロックナット225B、325Bは、フランジ224B、324Bをロックナット225B、325Bと脛骨ステムコンポーネント210B、310Bとの間に捕らえ、ロックナット225B、325Bを締め付けることで、アセンブリの構成を動かないよう留める。いくつかの実施形態では、ロック機能を強化するために、補助的なロック機構をロックナット225B、325Bと併せて用いることができる。このような補助的なロック機構は、ナイロンワッシャー、ロックワッシャー、歪みネジナット、鋸歯状フェイスナット、または他のロックナット/ワッシャーの組み合わせの形をとることができる。いくつかの実施形態では、Stanley(登録商標) Engineering FasteningによるSpiralock(登録商標)ネジ様式を使用することができる。
【0084】
本多軸調節機構は、人工足関節の埋込手術の際に、患者の生理的な変化に合わせてプロテーゼを調節できるようにする。
【0085】
材料に関する考察
いくつかの実施形態では、プロテーゼ200A、310A、及び200Bの脛骨ステムコンポーネント210A、310A、及び210Bを、それぞれ、ニチノールなどの記憶金属合金で作ることができ、そのような合金の超弾性特性または記憶特性を用いて、2つ以上の引込式部材230A、330A、及び230Bの機能を高めることができるようにする。
【0086】
多軸調節機構はまた、積み重ね可能なモジュール式の脛骨ステムコンポーネント(例えば、Wright MedicalのInbone(商標)トータルアンクルシステムの脛骨ステムコンポーネント)を含む脛骨ステムプロテーゼに適用することもできる。このような脛骨ステムプロテーゼ400の実施例が、図13A図13Bに示されている。いくつかの実施形態では、人工足関節400は、脛骨ステムコンポーネント430と、脛骨トレーコンポーネント420とを備える。脛骨ステムコンポーネントは、積み重ねられ、互いに確実に係合するように構成された2つ以上のモジュール式ステムピースを含むことができる。2つ以上のモジュール式ステムピースは、ベースステムコンポーネント430Bと、トップステムコンポーネント430Tと、1つ以上のミドルステムコンポーネント430Mとを含むことができる。モジュール式のステムピースは、互いに螺入されることが可能である。脛骨ステム430のモジュール構成により、外科医は、患者の脛骨の状態及び寸法に基づいて、脛骨ステムの長さを異ならせて構成することが可能になる。モジュールステムピースの直径を変えることも可能である。
【0087】
図示の実施例では、脛骨ステムコンポーネント430は、3つのモジュールピース、すなわち、ベースステムコンポーネント430B、ミドルステムコンポーネント430M、及びトップステムコンポーネント430Tを含む。ベースステムコンポーネント430Bは、ベースステムコンポーネント430Bの縦軸Lが、基準面REFの直交軸OLと角度θ(図13B参照)を形成するように、基準面REFに対するベースステムコンポーネントの相対角度を調節可能な関節を形成するように構成されている。角度θは、0度から、45度を含むそれ以下までの範囲であり得る。図13Bに示す構成では、角度θは0である。基準面REFは、脛骨トレーコンポーネント420の近位側(患者の脛骨の遠位端に取り付けられる態勢にある脛骨トレー420の向きにおける近位側)にある表面420-Sによって画定される。
【0088】
一実施形態では、角度θは、0度から、40度を含むそれ以下までの範囲とすることができる。一実施形態では、角度θは、0度から、30度を含むそれ以下までの範囲とすることができる。一実施形態では、好ましい角度θは、0度から、20度を含むそれ以下までの範囲とすることができる。身体の他の関節では、この角度調節機能は、0度から90度の間で、解剖学的に適したように調節されてもよい。角度範囲は、インプラントのサイズ、及び解剖学的考慮に適合するように構成されかつ配置される。図示しない一実施形態では、角度範囲は、ある平面における角運動を別の平面と異なるように制限する、装置のボールジョイントの平坦面によって制限される場合がある。これには、内側-外側方向(冠状面)の角運動を制限しながら、前方-後方方向(矢状面)でより多くの角度調節を可能にし得るユニプレーナ調節可能設計が含まれる。
【0089】
ベースステムコンポーネント430Bと脛骨トレーコンポーネント420との間に形成される調節可能な関節が確保されて、角度θを、0度から、45度を含むそれ以下までの間の上記の範囲内の所望の角度に固定することが可能である。脛骨トレーコンポーネント420には、ベースステムコンポーネント430Bの終端432Bを受け入れるための凹部424が脛骨トレーコンポーネント420の上面420-Sに構成される。凹部424の下部には、ベースステムコンポーネント430Bの終端432Bを受けるとともに、組み立てられた脛骨ステムコンポーネント430が凸面に対して旋回して、角度θを所望の角度に調節することを可能にする凸面が構成されている。凹部424の下部にある凸面は、近位方向に凸である。
【0090】
所望の角度θが得られると、ロックボルト425を脛骨トレー420の遠位側から凹部424の凸面に設けられた孔423を通してベースステムコンポーネント430Bに螺入することにより、脛骨ステムコンポーネント430の位置を動かないよう留めることができる。凸面は、孔423の周りに環状のフランジ424Fを形成する。ロックボルト425は、ヘッド部分及びネジ軸部分418を含む。ネジ軸部分418は雄型のネジ山を有し、ベースステムコンポーネント430Bには、ネジ軸部分418を受け入れるための対応する雌型のネジ孔438Bが構成されている。
【0091】
図13Bの縦方向断面図に示すように、ロックボルト425のヘッド部分は、孔423の直径よりも大きく、ロックボルト425のヘッド部分とベースステムコンポーネント430Bとの間にフランジ424Fを捕らえ、ロックボルト425を締め付けることで、アセンブリの構成を動かないよう留める。ロックボルト425は、脛骨トレーの遠位面から脛骨ステムコンポーネント430の終端に螺合して、関節を角度θで動かないよう留める。
【0092】
いくつかの実施形態では、ロック機能を強化するために、補助的なロック機構をロックボルト425と併せて用いることができる。このような補助的なロック機構は、ナイロンワッシャー、ロックワッシャー、歪みネジナット、鋸歯状フェイスナット、または他のロックナット/ワッシャーの組み合わせの形をとることができる。いくつかの実施形態では、Stanley(登録商標) Engineering FasteningによるSpiralock(登録商標)ネジ様式を使用することができる。
【0093】
本明細書に開示されるプロテーゼの様々な実施形態における脛骨ステムコンポーネント及び/または脛骨トレーコンポーネントは、金属、セラミック、チタン、チタン合金、タンタル、クロムコバルト、外科用鋼、ポリエチレン、吸収性ポリマー、または他の任意の関節全置換用の金属及び/またはセラミックを含むがこれらに限らない、プロテーゼ技術において一般的に用いられる材料のうちの任意の全関節材料で作られることが可能である。いくつかの実施形態では、脛骨ステムコンポーネント及び/または脛骨トレーコンポーネントは、骨内成長(bony in-growth)を促進するであろう、3DプリントされたBiofoam(商標)、Adaptis(商標)、多孔質金属、焼結ガラス、人工骨、任意の非セメント金属もしくはセラミック表面、またはそれらの組み合わせのコーティングを含むことが可能である。脛骨ステムコンポーネント及び/または脛骨トレーコンポーネントは、抗菌剤、抗血栓剤、及び骨誘導剤、またはそれらの組み合わせなどの1つ以上のコーティングでさらに覆われてもよい。上記の多孔質コーティングが提供される実施形態では、これらの薬剤はさらに、多孔質コーティング中の孔を含浸させることができる生分解性担体材料中に担持されてもよい。
【0094】
本明細書で例示される本発明の構造の実施例は、足関節置換用プロテーゼの脛骨ステムコンポーネント及び脛骨トレーコンポーネントとして例示されているが、本発明の構造は、ヒトまたは動物の骨格における他の身体関節にも同様に適用可能である。
【0095】
前述の説明は、本発明の例示的な実施形態となり、本発明は、示された特定の形態に限定されないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく、要素の設計及び配置に修正を加えてもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図13A
図13B
【外国語明細書】