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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135968
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】円すいころ軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/46 20060101AFI20220908BHJP
   F16C 33/58 20060101ALI20220908BHJP
   F16C 33/56 20060101ALI20220908BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F16C33/46
F16C33/58
F16C33/56
F16C19/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022024116
(22)【出願日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2021034077
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】林 康由
【テーマコード(参考)】
3J701
【Fターム(参考)】
3J701AA16
3J701AA32
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA34
3J701BA44
3J701BA49
3J701BA50
3J701BA57
3J701BA69
3J701EA36
3J701EA47
3J701FA44
3J701FA46
3J701FA48
3J701GA11
3J701GA32
3J701GA51
3J701XB12
3J701XB23
3J701XB24
3J701XB26
3J701XB39
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組立状態から、保持器を破壊することなく、ころ-保持器アッシーを外輪から容易に取り外せるようにする。
【解決手段】大径側に大径リング部15aと、小径側に小径リング部15bと、大径リング部15aと小径リング部15bとの間に架け渡される柱部15cとを備える保持器15を弾性変形可能な樹脂製とし、大径リング部15aの外周面に、柱部15cの肉厚よりも薄肉の肉厚の切欠き部15fを有し、外輪12ところ-保持器アッシーとを組立てた状態において、切欠き部15fの外径面が、外輪12の小端側幅面12cから突出し、外輪の小端側幅面12cから突出していない部分の長さをT、外輪軌道面12aから鍔部12bの先端までの高さをx、鍔部12bと円すいころ14の端面との接触面に対して軸受軸がなす角度をα、切欠き部15fの外径面に対して軸受軸がなす角度をβとしたとき、T>(x*sinα)/sinβの関係を満足する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面に外輪軌道面を有する外輪と、前記外輪軌道面の内周に転動自在に配置される複数の円すいころと、この複数の円すいころを所定の間隔で収容保持する複数のポケットを有する保持器とを備える円すいころ軸受において、
前記保持器は、弾性変形可能な樹脂製であり、大径側に大径リング部と、小径側に小径リング部と、大径リング部と小径リング部との間に架け渡される柱部とを備え、大径リング部の外周面に、柱部の肉厚よりも薄肉の肉厚に形成された切欠き部を有し、保持器に保持された円すいころを外輪に組込んだ状態において、保持器の切欠き部の外径面が外輪の小端側幅面から突出し、外輪の小端側幅面から突出していない部分の長さをT、外輪軌道面から鍔部の先端までの高さをx、鍔部と円すいころの端面との接触面に対して軸受軸がなす角度をα、保持器の切欠き部の外径面に対して軸受軸がなす角度をβとしたとき、T>(x*sinα)/sinβの関係を満足することを特徴とする円すいころ軸受。
【請求項2】
保持器の樹脂材料として、ポリアミド系(PA)樹脂で、グラスファイバーが含有されているものを使用する請求項1記載の円すいころ軸受。
【請求項3】
前記鍔部の先端が曲率形状をしている請求項1または2記載の円すいころ軸受。
【請求項4】
前記保持器は、弾性変形可能な樹脂材料を射出成型してなる射出成型体であり、大径側に大径リング部と小径側に小径リング部と、大径リング部と小径リング部との間に架け渡される柱部とを備え、大径リング部の外周面に、柱部の肉厚よりも薄肉の肉厚に形成された切欠き部を有し、切欠き部の外径寸法Qと大径リング部の内径寸法RとしたときQ≦Rの関係を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の円すいころ軸受。
【請求項5】
前記外輪の外輪軌道面の小径側端部と大径側端部、および内輪の内輪軌道面の小径側端部と大径側端部の4つの端部のうち、少なくとも外輪の外輪軌道面の大径側端部に半径方向内方に突出する鍔部を形成した請求項1~4のいずれかに記載の円すいころ軸受。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットや建設機械の減速機などで使用される円すいころ軸受、少なくとも外輪の外輪軌道面の大径側端部に半径方向内方に突出する鍔部を形成した円すいころ軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の円すいころ軸受として、従来、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この従来の円すいころ軸受1は、図10に示すように、接触角αが40°~50°という急勾配で、ころ角度が3.5°以下という低勾配のものであり、内周面に外輪軌道面2aを有する外輪2と、外輪軌道面2aに転動自在に配置される複数の円すいころ4と、この複数の円すいころ4を所定の間隔で収容保持する複数のポケットを有する保持器5とを備え、少なくとも外輪2の外輪軌道面2aの大径側端部に半径方向内方に突出する鍔部2bを形成することにより、純アキシアル荷重の負荷能力を極端に低下させることなく、高モーメント剛性、長寿命化を図っている。
【0004】
特許文献1には、図11に示すように、円すいころ4を保持器5の外径側にあるころ案内面5cに押し当てたときのころ外接円径をPとし、図12に示すように、保持器5の内径側の爪5dに円すいころ4を押し当てたときのころ外接円径をP’とした場合、外輪軌道面2aからの外輪鍔高さCに対して|P-P’|≧Cの関係とし、且つ、鍔外径角度γが35°~50°であると、図13(a)(b)(c)に示す手順で、ころ-保持器アッシーを外輪2に容易に挿入することができるということが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6778310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1には、前記のように、ころ-保持器アッシーを外輪2に容易に挿入するための条件は開示されているものの、外輪2と、ころ-保持器アッシーとを組立てた後に、逆に、ころ-保持器アッシーを外輪2から取外すことについての考えはない。
【0007】
ところが、装置のメンテナンス時に、外輪2の外輪軌道面2aなど、軸受内部の状態を確認しようとすると、従来は、外輪2と、ころ-保持器アッシーとが一体であるため、保持器5を破壊して、円すいころ4と保持器5とを外輪2から分解する必要がある。
【0008】
ころ-保持器アッシーを外輪2から容易に取り外すことができれば、メンテナンス時に、保持器5を破壊しなくても軸受内部の状態を確認することができる。
【0009】
また、取り外した、ころ-保持器アッシーに異常がない場合には、ころ-保持器アッシーを繰り返し使用することが可能になるので、リユース性にも優れる。
【0010】
そこで、この発明は、ころ-保持器アッシーと外輪とが組立てられた状態から、保持器を破壊することなく、ころ-保持器アッシーを外輪から容易に取り外せるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するために、この発明は、内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面の内周に転動自在に配置される複数の円すいころと、この複数の円すいころを所定の間隔で収容保持する複数のポケットを有する保持器とを備える円すいころ軸受において、前記保持器は、弾性変形可能な樹脂製であり、大径側に大径リング部と、小径側に小径リング部と、大径リング部と小径リング部との間に架け渡される柱部とを備え、大径リング部の外周面に、柱部の肉厚よりも薄肉の肉厚に形成された切欠き部を有し、保持器に保持された円すいころを外輪に組込んだ状態において、保持器の切欠き部の外径面が、外輪の小端側幅面から突出し、外輪の小端側幅面から突出していない部分の長さをT、外輪軌道面から鍔部の先端までの高さをx、鍔部と円すいころの端面との接触面に対して軸受軸がなす角度をα、保持器の切欠き部の外径面に対して軸受軸がなす角度をβとしたとき、T>(x*sinα)/sinβの関係を満足するようにしたものである。
【0012】
この発明における保持器の樹脂材料としては、ポリアミド系(PA)樹脂で、グラスファイバーが含有されているものを使用することが好ましい。
【0013】
前記外輪の鍔部の先端は、曲率形状をしていることが好ましい。
【0014】
前記保持器は、切欠き部の外径寸法をQ、大径リング部の内径寸法をRとしたとき、Q≦Rを満足するように構成することが好ましい。
【0015】
前記外輪の外輪軌道面の小径側端部と大径側端部、および内輪の内輪軌道面の小径側端部と大径側端部の4つの端部のうち、外輪の外輪軌道面の大径側端部には半径方向内方に突出する鍔部を形成している。
【発明の効果】
【0016】
この発明の円すいころ軸受は、外輪の小端側幅面から突出している切欠き部の外径面を、治具などを使用して、保持器の半径方向の外径側から内径側の方向に押すことにより、円すいころを保持器に組込んだ、ころ-保持器アッシーの状態のまま、保持器を破壊することなく、ころ-保持器アッシーを外輪から取外すことができるので、メンテナンスが容易であり、ころ-保持器アッシーの再使用が可能になる。
【0017】
この発明の円すいころ軸受で使用する保持器は、大径リング部の外周面に、柱部の肉厚よりも薄肉の肉厚に形成された切欠き部を有しているが、切欠き部の外径寸法Qが、大径リング部の内径寸法Rよりも大きい場合、アキシャルドロー型により射出成型することができず、多数の金型を放射状に変位させる金型構造により射出成型する必要があることから、金型が複雑で高価になり、保持器のコストが増大することになる。
したがって、前記保持器の切欠き部の外径寸法をQ、大径リング部の内径寸法をRとしたとき、Q≦Rを満足するように構成することにより、アキシャルドローによる2枚の射出成型金型での成型が可能となり、金型構造の簡略化、保持器の低コスト化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態に係る円すいころ軸受を保持器の柱部で切断した拡大部分断面図である。
図2図1における円すいころ軸受の保持器のころ案内面に円すいころを押し当てた状態を示す拡大図である。
図3】(a)(b)(c)は、図1における円すいころ軸受のころ-保持器アッシーを外輪に挿入する手順を示す拡大部分断面図である。
図4図1における円すいころ軸受のころ-保持器アッシーを外輪に組込んだ状態を示す拡大部分断面図である。
図5】外輪からころ-保持器アッシーを取外す際に治具を保持器の切欠き部に押し当てた状態を示す拡大部分断面図である。
図6図5の状態から治具をさらに押し込んだ状態を示す拡大部分断面図である。
図7】外輪からころ-保持器アッシーを取外した際の保持器の状態を示す拡大部分断面図である。
図8】この発明の円すいころ軸受における外輪の鍔部の一例を示す部分拡大図である。
図9】この発明の円すいころ軸受に使用する保持器を射出成型するアキシャルドロー金型の概略構成図である。
図10】従来例に係る円すいころ軸受を保持器の柱部で切断した拡大部分断面図である。
図11】従来例における保持器のころ案内面に円すいころを押し当て状態を示す拡大図である。
図12】従来例における保持器の爪に円すいころを押し当て状態を示す拡大図である。
図13】(a)(b)(c)は、従来例におけるころ-保持器アッシーを外輪に挿入する手順を示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0020】
この発明に係る円すいころ軸受11は、接触角αを40°~50°という急勾配に設定することにより、高モーメント剛性化を図ったものであり、ころ角度は3.5°以下という低勾配である。図1には、接触角αが45°、ころ角度が3.5°のものを示している。
【0021】
この発明に係る円すいころ軸受11は、図1に示すように、内周面に外輪軌道面12aを有する外輪12と、前記外輪軌道面12aの内周に転動自在に配置される複数の円すいころ14と、円すいころ14を所定の間隔で収容保持する複数のポケットを有する保持器15とを備える。
【0022】
図1に示すこの発明の実施形態の円すいころ軸受11は、外輪12の外輪軌道面12aの小径側端部と大径側端部、および内輪の内輪軌道面の小径側端部と大径側端部の4つの端部のうち、少なくとも外輪12の外輪軌道面12aの大径側端部に半径方向内方に突出する鍔部12bを形成している。
【0023】
この発明の円すいころ軸受11は、接触角を40~50°の急こう配とし、外輪12の外輪軌道面12aの大径側端部に半径方向内方に突出する鍔部12bを形成している。
【0024】
この発明において、保持器15は、弾性変形し易い樹脂製のものを使用する。この保持器15の樹脂材料としては、特に、弾性変形と強度に優れる、ポリアミド系(PA)樹脂で、グラスファイバーが含有されているものが好ましい。
【0025】
保持器15は、図2に示すように、大径側に大径リング部15aと、小径側に小径リング部15bと、大径リング部15aと小径リング部15bとの間に架け渡される柱部15cとを備え、柱部15cの外径部に円すいころ14を案内するころ案内面15d、内径部に円すいころ14を保持する爪15eを有し、大径リング部15aの外周面に、柱部15cの肉厚aよりも薄肉の肉厚bの切欠き部15fを設けている。
【0026】
前記保持器15を射出成型によって形成する場合、切欠き部15fの外径寸法Qと大径リング部15aの内径寸法Rの大小関係は、Q≦Rを満足するように構成する。
【0027】
上記の関係を満足することで、保持器15は、図9の概略図に示すように、アキシャルドローによる2枚の金型17A、17Bでの射出成型が可能となり、金型構造の簡略化、保持器15の低コスト化ができる。このとき、案内部15dと脱落防止用の爪部15eとを同一の金型17A、17Bにより一度に成形することができる。
【0028】
上記の通り、射出成型用金型は、アキシャルドローによる2枚の金型17A、17Bからなり、一方が切欠き部15fの外径より大径側の金型17Aであり、他方が切欠部15fの外径より小径側の金型17Bである。両金型17A、17Bは、一方が固定金型、他方が可動金型となり、相対的にみると、切欠き部15fの外径より大径側の金型17Aが図中左方向に、切欠き部15fの外径より小径側の金型が図中右方向に稼働する。切欠部15fは大径リング部15aと小径リング部15bとの間で、これらのリングにかからない範囲で変動可能である。
【0029】
保持器15と円すいころ14は、外輪12に対して組立てる前に、図2に示すように、円すいころ14を保持器15のポケットに保持させて、ころ-保持器アッシーを形成し、図3(a)(b)(c)に示す手順で、外輪12に組込まれる。
【0030】
ころ-保持器アッシーと外輪12とを組立てた状態において、保持器15の切欠き部15fの外径面は、図4に示すように、外輪12の小端側幅面12cから突出し、軸受軸に対してテーパ角βを有し、外輪12の小端側幅面12cから突出していない部分の長さをT、外輪12の鍔部12bと円すいころ14の端面との接触面に対して軸受軸がなす角度をα、外輪軌道面12aから鍔部12bの先端までの高さをxとすると、この発明の円すいころ軸受11は、次の式を満足する。
【0031】
T>(x*sinα)/sinβ・・・(1)
【0032】
式(1)を満足する円すいころ軸受11は、ころ-保持器アッシーと外輪12とを組立てた状態から保持器15を破壊することなく、外輪12からころ-保持器アッシーを取外すことができる。
【0033】
式(1)は、次のように幾何学的に求めることができる。
【0034】
まず、外輪12の小端側幅面12cから突出している切欠き部15fの外径面を、図5に示すような、治具16(人の指でも可)を使用し、保持器15の半径方向の外径側から内径側の方向(白抜き矢印)にスライドさせながら押す。ここで、治具16と保持器15の切欠き部15fの外径面の初期の当たり位置を位置Aとする。
【0035】
治具16は、保持器15の径方向の外径側から内径側に延びて、外輪12の小端側幅面12cに被せる円筒部と、この円筒部の外径端から軸方向に延びるリング部とを備える、断面L字状の部材である。
【0036】
治具16を保持器15の半径方向の外径側から内径側の方向にさらにスライドさせると、図4に示すように、切欠き部15fの外径面は、軸受軸に対してテーパ角βを有しているため、保持器15は、図6の黒色矢印に示すように、保持器15の半径方向の外径側から内径側への方向、かつ、地から天の方向へ、保持器15の軸を中心とした円弧状に弾性変形をする。このとき、図6に示す破線の白抜き矢印のように、円すいころ14のころ端面と鍔部12bの鍔面とが接触しながら移動し、保持器15が弾性変形することによって内部に圧縮応力が付与されながら、
T>(x*sinα)/sinβ・・・(1)
となるところで、円すいころ14が鍔部12bの先端部から離れる位置まで移動することになる。
【0037】
すなわち、治具16は、位置Aから保持器15の切欠き部15fの外径面に沿って位置Bまで移動するので、位置Aから位置Bまでの距離(A-Bの長さ)は、(x*sinα)/sinβで求められるので、円すいころ14は、A-Bの長さ=(x*sinα)/sinβとなったところで鍔部12bの先端部から離れる位置まで移動することになる。
【0038】
円すいころ14が鍔部12bの先端部から離れたところで、治具16を保持器15の切欠き部15fの外径面から離すと、保持器15は、付与されていた圧縮応力が解放され、元に戻ろうとする。このとき、ころ-保持器アッシーは、保持器15の弾性変形方向と逆の方向に戻ろうとするが、円すいころ14は、鍔部12bの背面部にあたり、図7に示すように、鍔部12bを乗り越えた状態になる。図7の白抜き矢印は、保持器15の圧縮応力が解放され、元に戻ろうとする方向を示しており、円すいころ14は保持器15によって案内されているため、円すいころ14も図7の白抜き矢印と同じ方向に動き、円すいころ14は、鍔部12bの背面部と接触して鍔部12bを乗り越える。
【0039】
円すいころ14は、円周上に複数本配置されている。したがって、治具16によって、円すいころ14を鍔部12bから乗り越えさせる作業は、円周上に配置されている隣り合う円すいころ14を複数同時に乗り越えさせたり、円すいころ14を一つ一つ単一で乗り越えさせたりすることで、ころ-保持器アッシーを最終的に外輪12から保持器15を破壊することなく取外すことが可能になる。
【0040】
円すいころ14を鍔部12bから乗り越えさせる際に、鍔部12bの先端を、図8に示すように、曲率形状にしておくと、円すいころ14へのキズが付き難くなるため好ましい。
【0041】
この発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲において、さらに種々の形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0042】
11 :円すいころ軸受
12 :外輪
12a :外輪軌道面
12b :鍔部
12c :小端側幅面
15 :保持器
15a :大径リング部
15b :小径リング部
15c :柱部
15f :切欠き部
16 :治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13