(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022135990
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0537 20210101AFI20220908BHJP
【FI】
A61B5/0537 100
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022028850
(22)【出願日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】110107861
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522077421
【氏名又は名称】興友科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】謝 坤昌
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA06
4C127GG13
4C127LL15
(57)【要約】
【課題】生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法を提供する。
【解決手段】生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法はステップ(a)およびステップ(b)を含む。ステップ(a)は生体インピーダンス測定装置によって測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定し、測定対象の身長を記録し、続いて抵抗を測定対象の身長で割って第一数値を求め、リアクタンスを測定対象の身長で割って第二数値を求める。ステップ(b)は第一数値および第二数値を生体インピーダンスベクトル解析図表と対照することによって測定対象の局部または全身の骨密度を評価する。上述した技術特徴により、使用上の利便性の向上を実現させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体インピーダンス測定装置によって測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定し、前記測定対象の身長を記録し、続いて前記抵抗を前記測定対象の身長で割って第一数値を求め、前記リアクタンスを前記測定対象の身長で割って第二数値を求めるステップ(a)と、
前記第一数値および前記第二数値を生体インピーダンスベクトル解析図表と対照することによって前記測定対象の局部または全身の骨密度を評価するステップ(b)と、
を含むことを特徴とする生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)において、前記生体インピーダンス測定装置によって前記測定対象の前記抵抗および前記リアクタンスを測定する際、前記生体インピーダンス測定装置は複数の電極グループによって前記測定対象の手と足、両手または両足に接触して測定回路を生成し、
複数の前記電極グループはそれぞれ検出電極および電流電極を有し、前記検出電極および前記電流電極は相互に1cmから10cmの距離を置くことを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)において、前記測定対象は仰向けになるか、立ったまま、座ったままの状態で前記生体インピーダンス測定装置によって測定されることを特徴とする請求項1に記載の生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨密度評価技術に関し、詳しくは生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの骨密度測定方法は骨格および軟部組織における電離放射線の吸収率の差から骨密度を測定する方式を採用する。特に二重エネルギーX線吸収測定法(dual energy X-ray absorptiometry,DXA)に基づいてミネラル量(g/cm2)を測定し、骨密度(bone mineral density,BMD)を評価する方式が最も応用される。
【0003】
BMD測定によく応用されるDXAは一回ごとの測定に数十分もかかり、測定費用が高いだけでなく、設置場所が病院またはそれに関連する専門機構に制限されるため、家庭健康管理には適用できない。言い換えれば、DXA法に基づいて骨密度を測定する方式はコストが高いだけでなく、使用条件が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法を提供することによって先行技術よりコストの削減、測定時間の短縮および使用上の利便性の向上を実現させることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法はステップ(a)およびステップ(b)を含む。
【0006】
ステップ(a)は生体インピーダンス測定装置によって測定対象の抵抗(resistance,R)およびリアクタンス(reactance,Xc)を測定し、測定対象の身長を記録し、続いて抵抗を測定対象の身長で割って第一数値を求め、リアクタンスを測定対象の身長で割って第二数値を求める。
【0007】
ステップ(b)は第一数値および第二数値を生体インピーダンスベクトル解析図表と対照し、測定対象の局部または全身の骨密度を評価する。
【0008】
上述をまとめてみると、本発明による生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法は検知した測定対象の身長、抵抗およびリアクタンスに基づいて算出した第一数値および第二数値を、生体インピーダンスベクトル解析図表と対照することによって測定対象の局部または全身の骨密度を評価することであるため、先行技術と比べてコストの削減、測定時間の短縮および使用上の利便性の向上を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3a】本発明の一実施形態において測定対象の全身骨密度の数値を大きさによって六つのグループに分ける生体インピーダンスベクトル解析図表である。
【
図3b】本発明の一実施形態において測定対象の腰椎骨密度の数値を大きさによって六つのグループに分ける生体インピーダンスベクトル解析図表である。
【
図3c】本発明の一実施形態において測定対象の右上肢骨密度の数値を大きさによって六つのグループに分ける生体インピーダンスベクトル解析図表である。
【
図4】本発明の一実施形態のGLM regression analysis表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の技術特徴を図面に基づいて説明する。
【0011】
(一実施形態)
図1から
図4に示すように、本発明の一実施形態による生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法はステップ(a)およびステップ(b)を含む。
【0012】
図1に示すように、ステップ(a)は生体インピーダンス測定装置20によって測定対象の抵抗(R)およびリアクタンス(Xc)を測定し、測定対象の身長を記録し、続いて抵抗を測定対象の身長で割って第一数値を求め、リアクタンスを測定対象の身長で割って第二数値を求める。
【0013】
ステップ(b)は第一数値および第二数値を生体インピーダンスベクトル解析図表と対照することによって測定対象の局部または全身の骨密度を評価する。
【0014】
本実施形態において、測定対象の身長は身長計で測った後、生体インピーダンス測定装置20に書き込んだものである。身長計の精度は0.5cmであるが、これに限定されない。精度が0.5cmの身長計で測った測定対象の身長は比較的正確であるため、評価結果の正確性を向上させることができる。別の実施形態は生体インピーダンス測定装置20のほかに別の測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定できる装置を使用することができる。測定対象の身長を直接本人に確認し、そののち有線または無線方式によって生体インピーダンス測定装置20に伝送すればよい。つまり、生体インピーダンス測定装置20の選択肢および生体インピーダンス測定装置20で測定対象の身長を記録する方式は本実施形態に限定されない。
【0015】
本実施形態は生体インピーダンス測定装置20によって測定対象の全身(BMDtotal)、腰椎(BMDLS)および右上肢(BMDright arm)の三つの部位に対応する抵抗およびリアクタンスを検知する。別の実施形態は実際のニーズに応じて測定対象の測定部位を増減させることができる。つまり、測定対象は測定部位が本実施形態に限定されない。
【0016】
図2に示すように、本実施形態において、生体インピーダンス測定装置20によって測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定する際、評価の誤差を減少させるために測定対象を仰向けにさせたうえで測定対象の抵抗およびリアクタンスを測定する。生体インピーダンス測定装置20は複数の電極グループ21を有する。本実施形態において、生体インピーダンス測定装置20は二つの電極グループ21を有する。二つの電極グループ21は測定対象の右手および左手に別々に接触して測定回路を生成し、それぞれ検出電極23および電流電極25を有する。検出電極23および電流電極25は相互に5センチの距離を置く。上述した構造特徴により、生体インピーダンス測定装置20は評価の正確性を向上させることができる。別の実施形態は測定対象を立たせるか、座らせたうえで測定対象の抵抗およびリアクタンスを生体インピーダンス測定装置20で測定することができる。このとき測定対象の両手、両足、右手―左脚、左手―右脚または左手―左脚などは複数の電極グループ21に接触する。電極グループ21の数は測定モジュールに応じて二つ以上であってもよい。検出電極23および電流電極25の間隔は1から5センチまたは5から10センチであってもよい。つまり、電極グループ21の数および測定対象の抵抗およびリアクタンスを生体インピーダンス測定装置20で測定する方式は本実施形態に限定されない。
【0017】
図3aから
図3cの生体インピーダンスベクトル解析図表に示すように、数百人の測定対象の全身(
図3a参照)、腰椎(
図3b参照)および右上肢(
図3c参照)の三つの部位において抵抗およびリアクタンスを測定し、インピーダンス(R
2+Xc
2)
0.5を算出することによって骨密度を確認する。続いて全身、腰椎および右上肢の三つの部位での骨密度の数値を大きさによって六つのグループ(I、II、III、IV、V、VI)に分ける。測定対象が生体インピーダンス測定装置20によって自らの身長、抵抗およびリアクタンスを測定し、第一数値および第二数値を算出した後、測定対象の全身、腰椎および右上肢を
図3a、
図3bおよび
図3cと対照し、測定対象の測定部位の骨密度に対応するグループを明確にすれば、測定対象の骨密度を評価することができる。別の実施形態は実際のニーズに応じて測定対象の測定部位を増減させたり、骨密度の数値を大きさによって分けるグループを増減させたりすることができる。つまり、生体インピーダンスベクトル解析図表は使用条件が本実施形態に限定されない。
【0018】
続いて、本発明の方法によって評価する骨密度の正確性を証明する。すべての測定を受けた測定対象の全身、腰椎および右上肢における骨密度の数値および骨密度の平均値をDXA法によって取得する。
図4に示すように、一般化線形モデル回帰分析(GLM regression analysis)に対応する重み係数(weighting coefficients)および相関関係に基づいてDXA法で取得した骨密度の平均値および本発明の方法で取得した骨密度の平均値は、測定対象のR/HおよびXc/Hの数値と、DXA法で検知した測定対象の全身、腰椎および右上肢における数値とが正の相関関係であることを表示する。
【0019】
本発明の正確性を証明するために、別の実施形態は定量的コンピュータ断層撮影(quantitative computed tomography)、定量的超音波検査装置または周知のX線検査装置などの装置によって生体インピーダンスベクトル解析図表を作成することができる。つまり、生体インピーダンスベクトル解析図表は作成方式が本実施形態に限定されない。
【0020】
上述をまとめてみると、測定対象の身長、抵抗およびリアクタンスを明確にすることさえできれば、第一数値および第二数値を算出し、算出した第一数値および第二数値を生体インピーダンスベクトル解析図表と対照することによって測定対象の骨密度を評価することができる。従って、本発明による生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法は先行技術と比べてコストの削減、測定時間の短縮および使用上の利便性の向上を実現させることができる。
【0021】
また本発明による生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法は測定対象の身長、抵抗およびリアクタンスを異なる時点で測定し、各時点での第一数値および第二数値を算出し、それらの第一数値および第二数値を生体インピーダンスベクトル解析図表と対照することによって測定対象の骨密度の変化を評価することができるため、使用上の利便性を確実に向上させることができる。
【符号の説明】
【0022】
10:生体インピーダンスベクトル解析技術によって局部または全身の骨密度を評価する方法
20:生体インピーダンス測定装置
21:電極グループ、
23:検出電極
25:電流電極
H:測定対象の身長
R:測定対象の抵抗
Xc:測定対象のリアクタンス