(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136028
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】極低温タンクのための複合型圧力調整器
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20220908BHJP
F16K 17/04 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
F17C13/04 301D
F16K17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022032623
(22)【出願日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/155,848
(32)【優先日】2021-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/386,012
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド ダブリュー.ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ランディー シー.エデンフィールド
【テーマコード(参考)】
3E172
3H059
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB11
3E172AB12
3E172AB13
3E172BA01
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD05
3E172JA05
3H059AA06
3H059BB22
3H059CA13
3H059CD05
3H059EE01
3H059FF08
(57)【要約】
【課題】 極低温タンクのための複合型圧力調整器を提供する。
【解決手段】 複合型圧力調整器は、入口ポート、出口ポート、及び複合的出入口ポートを有する調整器本体を含む。第一の圧力調整器は、第一のダイアフラム、第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を第一のダイアフラムに付与して第一の調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む。第二の圧力調整器は、第二のダイアフラム、第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を第二のダイアフラムに付与して第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む。第一の圧力調整器の入力部分は入口ポートと流体連通する。第二の圧力調整器の出力部分は出口ポートと流体連通する。第一の圧力調整器の出力部分と第二の圧力調整器の入力部分は複合的出入口ポートと流体連通する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整器本体の外面上の入口ポート、前記調整器本体の前記外面上の出口ポート、及び前記調整器本体の前記外面上の複合的出入口ポートを有する前記調整器本体と、
第一のダイアフラム、前記第一のダイアフラムにより移動可能な第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を前記第一のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む第一の圧力調整器と、
第二のダイアフラム、前記第二のダイアフラムにより移動可能な第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を前記第二のダイアフラムに付与して、前記第一の圧力調整器設定とは異なる第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む第二の圧力調整器と、
を含み、
前記第一の圧力調整器の入力部分は前記入口ポートと流体連通し、前記第二の圧力調整器の出力部分は前記出口ポートと流体連通し、前記第一の圧力調整器の出力部分と前記第二の圧力調整器の入力部分はどちらも、前記複合的出入口ポートと流体連通する、
複合型圧力調整器。
【請求項2】
前記第一の圧力調整器の前記出力部分が前記調整器本体内の前記第二の圧力調整器の前記入力部分と流体連通する、請求項1に記載の複合型圧力調整器。
【請求項3】
前記調整器本体が前記調整器本体の前記外面上のゲージポートをさらに含み、前記第二の圧力調整器の前記出力部分が前記ゲージポートと流体連通する、請求項1に記載の複合型圧力調整器。
【請求項4】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記複合的出入口ポート、及び前記ゲージポートが前記調整器本体の周囲に対称に配置される、請求項3に記載の複合型圧力調整器。
【請求項5】
前記調整器本体が、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記出口ポートに接続する内部流体経路と、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記ゲージポートに接続する別の内部流体経路とを含み、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記ゲージポートに接続する前記別の内部流体経路の直径が、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記出口ポートに接続する前記内部流体経路の直径より小さい、請求項3に記載の複合型圧力調整器。
【請求項6】
前記調整器本体の第一の端から延びる第一のボンネットと、前記調整器本体の前記第一の端とは反対の第二の端から延びる第二のボンネットとをさらに含み、前記第一の付勢部材が前記第一のボンネット内に配置され、前記第二の付勢部材が前記第二のボンネット内に配置される、請求項1に記載の複合型圧力調整器。
【請求項7】
前記第一の圧力調整器が、前記調整器本体の軸に沿って前記第二の圧力調整器と軸方向に整列される、請求項6に記載の複合型圧力調整器。
【請求項8】
調整器本体の外面に沿って離間された入口ポート、出口ポート、及び複合的出入口ポートを有する前記調整器本体と、
第一のダイアフラム、前記第一のダイアフラムに取り付けられた第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を前記第一のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む、第一の圧力調整器と、
第二のダイアフラム、前記第二のダイアフラムに取り付けられた第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を前記第二のダイアフラムに付与して、前記第一の圧力調整器設定とは異なる第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む、第二の圧力調整器と、
を含み、
前記第一の圧力調整器の入力部分が前記入口ポートと流体連通し、前記第二の圧力調整器の出力部分が前記出口ポートと流体連通し、
前記第一の圧力調整器の出力部分が、前記調整器本体内で前記第二の圧力調整器の入力部分と流体連通する、複合型圧力調整器。
【請求項9】
前記第一の圧力調整器の前記出力部分と前記第二の圧力調整器の前記入力部分がどちらも、前記複合的出入口ポートと流体連通する、請求項8に記載の複合型圧力調整器。
【請求項10】
前記調整器本体がゲージポートをさらに含み、前記第二の圧力調整器の前記出力部分が前記ゲージポートと流体連通する、請求項8に記載の複合型圧力調整器。
【請求項11】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記複合的出入口ポート、及び前記ゲージポートが前記調整器本体の周囲に対称に配置される、請求項10に記載の複合型圧力調整器。
【請求項12】
前記調整器本体が、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記出口ポートに接続する内部流体経路と、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記ゲージポートに接続する別の内部流体経路とを含み、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記ゲージポートに接続する前記別の内部流体経路の直径が、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記出口ポートに接続する前記内部流体経路の直径より小さい、請求項10に記載の複合型圧力調整器。
【請求項13】
前記調整器本体の第一の端から延びる第一のボンネットと、前記調整器本体の前記第一の端とは反対の第二の端から延びる第二のボンネットとをさらに含み、前記第一の付勢部材が前記第一のボンネット内に配置され、前記第二の付勢部材が前記第二のボンネット内に配置される、請求項8に記載の複合型圧力調整器。
【請求項14】
前記第一の圧力調整器が、前記調整器本体の軸に沿って前記第二の圧力調整器と軸方向に整列される、請求項13に記載の複合型圧力調整器。
【請求項15】
調整器本体の外面に沿って離間された入口ポート、出口ポート、及び複合的出入口ポートを有する前記調整器本体と、
第一のダイアフラム、前記第一のダイアフラムにより移動可能な第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を前記第一のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む、第一の圧力調整器と、
第二のダイアフラム、前記第二のダイアフラムにより移動可能な第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を前記第二のダイアフラムに付与して、前記第一の圧力調整器設定とは異なる第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む、第二の圧力調整器と、
を含む、複合型圧力調整器であって、
前記調整器本体が、
前記第一の圧力調整器の入力部分を前記入口ポートに接続する第一の内部流体経路と、
前記第二の圧力調整器の出力部分を前記出口ポートに接続する第二の内部流体経路と、
前記第一の圧力調整器の出力部分を前記複合的出入口ポートに接続する第三の内部流体経路と、
前記第二の圧力調整器の入力部分を前記複合的出入口ポートに接続する第四の内部流体経路と、
を含む、複合型圧力調整器。
【請求項16】
前記調整器本体が、
ゲージポートと、
前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記ゲージポートに接続する第五の内部流体経路と、
をさらに含む、請求項15に記載の複合型圧力調整器。
【請求項17】
前記入口ポート、前記出口ポート、前記複合的出入口ポート、及び前記ゲージポートが前記調整器本体の周囲に対称に配置される、請求項16に記載の複合型圧力調整器。
【請求項18】
前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記ゲージポートに接続する前記第五の内部流体経路の直径が、前記第二の圧力調整器の前記出力部分を前記出口ポートに接続する前記第二の内部流体経路の直径より小さい、請求項16に記載の複合型圧力調整器。
【請求項19】
前記調整器本体の第一の端から延びる第一のボンネットと、前記調整器本体の前記第一の端とは反対の第二の端から延びる第二のボンネットとをさらに含み、前記第一の付勢部材が前記第一のボンネット内に配置され、前記第二の付勢部材が前記第二のボンネット内に配置される、請求項15に記載の複合型圧力調整器。
【請求項20】
前記第一の圧力調整器が前記調整器本体の軸に沿って前記第二の圧力調整器と軸方向に整列される、請求項19に記載の複合型圧力調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、2021年3月3日に出願された米国仮特許出願第63/155,848号の優先権を主張するものであり、同仮出願の開示を参照によって本願に援用する。
【0002】
本発明は、圧力調整器又は圧力調整制御弁に関し、特に極低温タンクのための圧力調整器に関する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、極低温シリンダ又は液体デュワーのための調整器に関する。液体デュワーは、液化ガスを収容し、液体を気化させ、下流プロセスへの出力圧力及び流れを安全に制御するように設計されたシリンダである。これらの容器は、窒素、酸素、及び二酸化炭素等の極低温ガスを液体状態にできるだけ長く保持するように独自に設計される。極低温ガスには、例えば低温であること及び、極低温ガスが気温にさらされる可能性があり、それが発火の原因となり、その結果、閉鎖系において極度に高い圧力が生じること等の危険が伴う。低温工学に関わる固有の危険から、これらのシリンダではガスを安全に扱うために多くのハードウェア、弁、及び調整器が利用される。このようなハードウェアの存在により、シリンダの一部、例えばシリンダの上部が乱雑となる可能性がある。
【0004】
現在、液体デュワーでは3種類の調整器、すなわち圧力上昇調整器、一般的にエコノマイザ調整器と呼ばれる背圧調整器、及び下流プロセスへの出力圧力を制御する最終ライン調整器が利用されている。調整器の幾つかを複合させて単体とすることが望ましく、それによってハードウェアのフットプリントが縮小され、使用されるハードウェアが減少し、またシリンダの全体的コストも低下する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の概要は、本明細書で論じる機器、システム、及び/又は方法の幾つかの態様の基本的な理解を提供するための簡略化された概要を提示する。この概要は、本明細書で論じる機器、システム、及び/又は方法の広範な概要ではない。このような機器、システム、及び/又は方法の重要な要素を特定したり、その範囲を画定したりすることは意図されていない。その唯一の目的は、後述の、より詳細な説明の序章として、幾つかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、複合型圧力調整器が提供される。複合型圧力調整器は調整器本体を含み、これは調整器本体の外面上の入口ポート、調整器本体の外面上の出口ポート、及び調整器本体の外面上の複合的出入口ポートを有する。複合型圧力調整器は第一の圧力調整器を有し、これは、第一のダイアフラム、第一のダイアフラムにより移動可能な第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を第一のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む。複合型圧力調整器は第二の圧力調整器を有し、これは第二のダイアフラム、第二のダイアフラムにより移動可能な第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を第二のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定とは異なる第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む。第一の圧力調整器の入力部分は入口ポートと流体連通する。第二の圧力調整器の出力部分は出口ポートと流体連通する。第一の圧力調整器の出力部分と第二の圧力調整器の入力部分はどちらも、複合的出入口ポートと流体連通する。
【0007】
本発明の他の態様によれば、複合型圧力調整器が提供される。複合型圧力調整器は調整器本体を含み、これは調整器本体の外面に沿って離間された入口ポート、出口ポート、及び複合的出入口ポートを有する。複合型圧力調整器は第一の圧力調整器を有し、これは第一のダイアフラム、第一のダイアフラムに取り付けられた第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を第一のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む。複合型圧力調整器は第二の圧力調整器を有し、これは第二のダイアフラム、第二のダイアフラムに取り付けられた第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を第二のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定とは異なる第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む。第一の圧力調整器の入力部分は入口ポートと流体連通し、第二の圧力調整器の出力部分は出口ポートと流体連通する。第一の圧力調整器の出力部分は、調整器本体内で第二の圧力調整器の入力部分と流体連通する。
【0008】
本発明の他の態様によれば、複合型圧力調整器が提供される。複合型圧力調整器は調整器本体を含み、これは調整器本体の外面に沿って離間された入口ポート、出口ポート、及び複合的出入口ポートを有する。複合型圧力調整器は第一の圧力調整器を有し、これは、第一のダイアフラム、第一のダイアフラムにより移動可能な第一の弁アセンブリ、及び第一の付勢力を第一のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定を確立する第一の付勢部材を含む。複合型圧力調整器は第二の圧力調整器を有し、これは第二のダイアフラム、第二のダイアフラムにより移動可能な第二の弁アセンブリ、及び第二の付勢力を第二のダイアフラムに付与して、第一の圧力調整器設定とは異なる第二の圧力調整器設定を確立する第二の付勢部材を含む。調整器本体は、第一の圧力調整器の入力部分を入口ポートに接続する第一の内部流体経路、第二の圧力調整器の出力部分を出口ポートに接続する第二の内部流体経路、第一の圧力調整器の出力部分を複合的出入口ポートに接続する第三の内部流体経路、及び第二の圧力調整器の入力部分を複合的出入口ポートに接続する第四の内部流体経路をさらに含む。
【0009】
本発明の上記及びその他の態様は、本発明が関係する当業者にとって、下記のような添付の図面を参照しながら以下の説明を読めば明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示的なバルクCO
2貯留システムの概略図を示す。
【
図2】複合型の圧力調整器及び最終ライン調整器の斜視図である。
【
図3】複合型の圧力調整器及び最終ライン調整器の側面図である。
【
図4】複合型の圧力調整器及び最終ライン調整器の端面図である。
【
図5】複合型の圧力調整器及び最終ライン調整器の断面図である。
【
図6】複合型の圧力調整器及び最終ライン調整器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、極低温タンクのための圧力調整器に関する。以下に本発明を図面に関して説明するが、図面全体を通じて、同様の参照番号は同様の要素を指すために使用されている。様々な図面は、異なる図面間でも同一の図面内でも、必ずしも正しい縮尺により描かれているとは限らず、特にコンポーネントの大きさは図面を理解しやすくするために任意で描かれていると理解されたい。以下の説明文の中では、解説を目的として、多くの具体的な詳細を示して本発明を十分に理解できるようにしている。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細がなくても実施できることは明らかであろう。さらに、本発明の他の実施形態も可能であり、本発明は説明されているものとは異なる方法でも実施し、実現できる。本発明の説明文の中で使用される用語や語句は、本発明の理解を進める目的で採用されており、限定的と理解すべきではない。
【0012】
本明細書中で使用される限り、「少なくとも1つ」、「1つ又は複数」、及び「及び/又は」は接続的及び離接的の両方で機能する開放型表現である。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ又は複数」、「A、B、又はCのうちの1つ又は複数」、及び「A、B、及び/又はC」という表現はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、B及びC、又はA、B、及びCを意味する。2つ以上の代替的項目を提示する何れの離接的単語又は語句も、実施形態の説明、特許請求の範囲、又は図面の何れにおいてかを問わず、項目の1つ、項目の何れか、又は項目の両方を含む可能性を想定していると理解すべきである。例えば、「A又はB」という語句は、「A」、又は「B」、又は「A及びB」の可能性を含むと理解すべきである。
【0013】
図1は、例示的な従来のバルクCO
2貯留システム10の概略図である。システム10は、断熱タンク12又はシリンダと各種の調整器及び弁を含む。特に、システム10は、エコノマイザ調整器14、最終ライン調整器16、及び圧力上昇調整器18の各々を利用する。圧力上昇調整器18は、シリンダ内部の液体の上の蒸気空間内の圧力、すなわち上部圧力を設定し、制御する。上部圧力により、ガスをシリンダから最終ライン調整器16を通じて引き出すことができる。圧力上昇調整器18は、圧力上昇コイル20を介して液体及び/又はガスを受け取る。シリンダ底部からの液体は圧力上昇コイル20を通じて流れ、その中で気化させられる。圧力上昇調整器18は、シリンダの蒸気空間へとガスを排出し、蒸気空間の圧力を調整する。最終ライン調整器16はガスの圧力を調整し、これはそのガスを使用する下流プロセスへと排出される。図の従来のバルクCO
2貯留システム10において、圧力上昇調整器18と最終ライン調整器16はシリンダに取り付けられた別々の機器であり、それぞれ独自の弁体と圧力制御ハードウェアを有している。
【0014】
本発明は、圧力上昇調整器と最終ライン調整器を複合させて1つの機器にするものであり、これは共通の調整器本体と、本体の両端にある2つの別々の調整器を有する。
図2~4は、例示的な複合型の圧力上昇調整器及び最終ライン調整器30の外観図である。圧力上昇及び最終ライン調整器は単体へと複合されており、それによって極低温シリンダに接続される機器の数が減る。圧力上昇調整器32は、複合型調整器30の軸方向の片側に配置され、最終ライン調整器34は複合型調整器の軸方向の反対側に配置される。図の実施形態において、圧力上昇調整器32は、調整器本体36の軸35に沿って最終ライン調整器34と軸方向に整列している。しかしながら、他の構成も可能であり、調整器32、34は図のように軸方向に整列していなくてもよい。複合型調整器30の本体36は多くのポート38を含み、これらは本体36の円周に沿って対称に配置される(例えば、90度離間される)。図の実施形態において、複合型調整器30は4つのポート38を含み、これらは調整器本体36の円周に沿って対称に配置され、調整器本体の外面上に配置され、本体の外面に沿って離間される。ポートは、圧力上昇調整器への入力との接続のため(入口ポート)、最終ライン調整器の出力との接続のため(出口ポート)、ゲージポート、及び複合的な圧力上昇調整器出口及び最終ライン調整器入口ポート(複合的出入口ポート)である。
【0015】
圧力上昇調整器のための入口ポートは、シリンダ内部の圧力上昇コイルに接続され、それと流体連通することになる。複合的な圧力上昇調整器出口及び最終ライン調整器入口ポート(複合的出入口ポート)は、シリンダ内の蒸気空間、すなわちヘッドスペースに接続され、それと流体連通することになる。圧力ゲージをゲージポートに接続することができ、それによって最終ライン調整器の圧力がモニタされる。ゲージポートは、最終ライン調整器の出力部分と流体連通する。最終ライン調整器出口ポートは、シリンダからのガスを利用する下流プロセスに接続されることになる。複合型調整器30を含むバルク貯留システムは、
図1に概略的に示されているようなポートのような追加の閉止弁をさらに含むことができ、それによって例えば調整器32、34の一方又は両方が隔離される。
【0016】
複合型の圧力上昇調整器及び最終ライン調整器30の断面図が
図5及び6に示されている。圧力上昇調整器32及び最終ライン調整器34は同様に構成されることが見てとれる。各々は、ばね40a、40b、ダイアフラム42a、42b、及びそれぞれのダイアフラムに取り付けられた弁アセンブリ44a、44bを含む。弁アセンブリ44a、44bの動作は、ばね40a、40b及びダイアフラム42a、42bにより確立される、対応する調整器の圧力設定点により制御される。弁アセンブリ44a、44bは、それぞれのダイアフラム42a、42bに取り付けられ、それらによって移動可能である。ばね40a、40bは付勢部材であり、これは付勢力をダイアフラム42a、42bに付与し、これは調整された出力圧力がそれぞれの圧力設定点より低ければ、弁44a、44bを開く傾向にある。圧力上昇調整器32と最終ライン調整器34のそれぞれの圧力設定点はねじ46a、46bにより調整でき、これらはダイアフラム42a、42bへのばね負荷を調整する。各調整器32、34は、本体36に取り付けられたボンネット48a、48bを含む。ボンネット48a、48bは、調整器本体36の軸方向の両端から延びる。付勢ばね40a、40bはボンネット48a、48b内に配置され、ボンネットはばねとダイアフラムを覆う。調整ねじ46a、46bは、ボンネット48a、48bを貫通する。ダイアフラム圧力調整器の動作は知られており、ここで詳しく論じる必要はない。
【0017】
複合型調整器30の入口ポート50は
図5において見ることができる。入口ポート50は、調整器本体36内の内部流体経路52を介して圧力上昇調整器32の入力部分と流体連通する。内部流体経路52は、弁アセンブリ44aにおける圧力上昇調整器32の入力部分を入口ポート50に接続し、これは極低温シリンダ上の圧力上昇コイルに接続される。
【0018】
複合型調整器30の出口ポート54も
図5において見ることができる。出口ポート54は、調整器本体36内の内部流体経路56を介して最終ライン調整器34の出口ポートと流体連通する。内部流体経路56は、弁アセンブリ44bの下流側における最終ライン調整器34の出力部分を出口ポート54に接続し、これは貯留されたガスを利用する下流プロセスに接続される。
【0019】
複合型調整器30のゲージポート58は
図6において見ることができる。ゲージポート58は、調整器本体36内の内部流体経路60を介して最終ライン調整器34の出力部分と流体連通する。内部流体経路60は、弁アセンブリ44bの下流側の最終ライン調整器34の出力部分をゲージポート58に接続する。下流プロセスに供給されるガスの圧力をモニタするために、圧力ゲージをゲージポート58に接続することができる。最終ライン調整器34の出力部分をゲージポート58に接続する内部流体経路60の直径は、最終ライン調整器の出力部分を出口ポート54に接続する内部流体経路56と同じとすることができるか、又は内部流体経路56、60は異なる直径を有することもできる。図に示される実施形態において、最終ライン調整器34の出力部分をゲージポート58に接続する内部流体経路60の直径は、最終ライン調整器の出力部分を出口ポート54に接続する内部流体経路56の直径より小さい。
【0020】
複合型調整器30の複合的出入口ポート62は
図6において見ることができる。複合的出入口ポート62は、圧力上昇調整器32の出力部分と最終ライン調整器34の入力部分の両方と流体連通する。圧力上昇調整器32の出力部分は調整器本体36内の最終ライン調整器34の入力部分と流体連通することがわかる。図に示される実施形態において、調整器本体36は、複合的出入口ポート62を圧力上昇調整器32の出力部分(弁アセンブリ44aの下流側)及び最終ライン調整器34の入力部分(弁アセンブリ44bの上流側)に接続するそれぞれの内部流体経路64、66を含む。圧力上昇調整器32は、シリンダのヘッドスペース内のガスの圧力を調整し、最終ライン調整器34はヘッドスペース/圧力上昇調整器32からのガスを受け取り、下流プロセスへの供給ガスの圧力を調整する。
図6は調整器32、34から複合的出入口ポート62まで延びる別々の内部流体経路64、66を示しているが、調整器本体36は圧力上昇調整器32の出力部分を最終ライン調整器34の入力部分に直接接続する内部流体経路を含むことができ、これら2つの調整器は相互に流体連通する。
【0021】
複合型圧力上昇調整器及び最終ライン調整器30は、様々な極低温ガスを送達するためのシステムで使用できる。しかしながら、ある特定の実施形態では、複合型調整器30は、例えば飲食品産業において使用されるCO2シリンダで使用するように設計される。複合型調整器30は、標準化組織、例えば政府機関やその他の組織(例えば、NSF International)により公表される飲食料品への使用に関する要求事項に適合することができる。そのために、複合型調整器30は、下流プロセスに排出されるプロセスガスを、鉛を含み得るいかなるコンポーネントにも触れさせない。
【0022】
圧力上昇調整器32は、CO2シリンダの上部圧力を制御し、限定する。弁44aが開いていると、液体CO2はシリンダから、及びシリンダの圧力上昇コイルを通じて流れる。液体及び/又は気体CO2は圧力上昇調整器32の入力側又は入力部分にその入口ポート50を通じて押し込まれる。圧力調整弁44aとばね付勢ダイアフラム212aは、シリンダの上部圧力を制御する。液体及び/又は気体CO2は圧力上昇調整器32に入り、調整器を通じて特定の圧力に調整され、圧力上昇調整器の出口によって気体状CO2はシリンダのヘッドスペース、すなわち蒸気空間に入り、一定の上部圧力を保持することができる。圧力上昇調整器の圧力設定が(ばね40aの圧縮によって)上昇すると、シリンダの上部圧力も上昇する。同様に、圧力上昇調整器の圧力設定が(ばね40aの圧縮が減少することによって)低下すると、シリンダの上部圧力も低下する。圧力上昇調整器32の例示的な圧力範囲は120~130PSIであるが、その他の圧力範囲も可能である。
【0023】
最終ライン調整器34は、圧力上昇調整器32からの出力圧力を受け取り、これを下流プロセスで使用可能なレベルまで調整して下げる。最終ライン調整器34の出力の例示的な圧力範囲は110~115PSIであるが、その他の圧力範囲も可能である。圧力上昇調整器32の出力圧力は、最終ライン調整器34への入力圧力(及び、シリンダの上部圧力)である。圧力上昇調整器32のための調整器本体36の出口ポート62は、最終ライン調整器34の入口ポートとして共有される。それゆえ、調整器本体36は、複合的出入口ポート62を含む。内部流体経路64、66を通じて、圧力上昇調整器32の出力側又は出力部分は最終ライン調整器34の入力側又は入力部分と流体連通し、また複合的出入口ポート62と流体連通する。
【0024】
調整器本体36は、アルミニウム棒材から製作し、CGA G-4.1に基づき、酸化性ガスサービスのために陽極酸化及び洗浄することができる。複合型調整器30は、圧力上昇側及び最終ライン調整器側の両方のために300系ステンレス鋼ダイアフラムを含むことができる。弁座及びシールは極低温で利用可能な未使用PTFEから製作できる。全ての内部接液部コンポーネントは、ガスが鉛材料と一切接触しないようにするために、鉛フリー又は無電解ニッケルで100%めっきしたものとすることができる。各種のポートと内部経路は、シリンダからの必要なガス流出又は上部圧力を内部で上昇させるための時間を制約しないような大きさとすることができる。ボンネット48a、48bは、亜鉛ダイキャストで構成してクロムめっきすることができる。ばね40a、40b及び圧力調整ねじ46a、46bはガスと接触せず、必要な機能を実行する材料で構成できる。ダイアフラムシールは、VITON材料で製作できる。調整器本体のポートは、1/4インチNPT(national pipe taper)とすることができる。
【0025】
本開示は例示であり、本開示に含まれる教示の公正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加、改良、又は排除することによって様々な変更がなされてもよいことは明らかである。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲が必然的にそのように限定される範囲を除き、本開示の特定の詳細に限定されない。
【符号の説明】
【0026】
30 複合型調整器
32 圧力上昇調整器
34 最終ライン調整器
35 調整器本体の軸
36 調整器本体
38 ポート
40a、40b ばね
42a、42b ダイアフラム
44a、44b 弁アセンブリ
46a、46b 圧力調整ねじ
48a、48b ボンネット
50 入口ポート
52 内部流体経路
54 出口ポート
56 内部流体経路
58 ゲージポート
60 内部流体経路
62 複合的出入口ポート
64、66 内部流体経路
【手続補正書】
【提出日】2022-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【外国語明細書】