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  • 特開-EUVマスクからの汚染物質の除去 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136041
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】EUVマスクからの汚染物質の除去
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/82 20120101AFI20220908BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20220908BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20220908BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
G03F1/82
G03F1/24
G03F1/84
H01L21/304 647B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022033319
(22)【出願日】2022-03-04
(31)【優先権主張番号】63/156,492
(32)【優先日】2021-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペン-ナン リアオ
【テーマコード(参考)】
2H195
5F157
【Fターム(参考)】
2H195BB22
2H195BD05
2H195CA20
2H195CA22
5F157AA02
5F157AA36
5F157BC04
5F157BC12
5F157BC13
5F157BD02
5F157BD05
5F157BE44
5F157BE54
5F157BE63
5F157BE65
5F157BF48
5F157BF59
5F157BF60
5F157BF63
5F157CB31
5F157DB03
5F157DB57
(57)【要約】
【課題】EUVマスクからの汚染物質の除去を提供する。
【解決手段】スルホン酸及び塩化物イオン源を含有する水性洗浄組成物は、半導体の製造に使用されるEUVマスクから汚染物質を洗浄するために使用される。任意選択で、水性洗浄組成物は、酸化剤及び界面活性剤を含むことができる。水性洗浄組成物は、スズ及び他の汚染物質をマスクから除去する。このような他の汚染物質は、酸化アルミニウム、エッチング及びフォトレジスト残留物を含むが、これらに限定されない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線マスクから汚染物質を除去する方法であって、
a)汚染物質について前記極紫外線マスクを検査する工程と、
b)水、スルホン酸又はその塩、塩化物イオン源、任意選択で酸化剤及び任意選択で界面活性剤からなる水性洗浄組成物を提供する工程と、
c)前記極紫外線マスクを、スルホン酸及び塩化物イオン源を含む前記水性洗浄組成物と接触させて、前記極紫外線マスクから少なくともスズを除去する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記スルホン酸は、式:
R-S(=O)2-OH (I)
(式中、Rは、アルキル又はアリール基である)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rは、Cn2n+1であり、及び変数nは、1以上の整数である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
Rは、Cn2n+1であり、及び変数nは、1~4の整数である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スルホン酸は、少なくとも10重量%の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スルホン酸は、15~65重量%の量である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記塩化物イオンは、少なくとも0.05重量%の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記塩化物イオンは、少なくとも0.1~5重量%の量である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スルホン酸の前記塩は、式:
R-S(=O)2-O-+ (II)
(式中、Rは、アルキル又はアリール基であり、及びY+は、対カチオンである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記水性洗浄組成物は、少なくとも30℃の温度である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記水性洗浄組成物は、50~85℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
極紫外線マスクから汚染物質を除去する方法であって、
a)汚染物質について前記極紫外線マスクを検査する工程と、
b)水、塩化物イオン源、式:
R-S(=O)2-OH (I)
(式中、Rは、アルキル又はアリール基である)
を有するスルホン酸又はその塩、任意選択で酸化剤及び任意選択で界面活性剤からなる水性洗浄組成物を提供する工程と、
c)前記極紫外線マスクを前記水性洗浄組成物と接触させて、前記極紫外線マスクから少なくともスズを除去する工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホン酸及び塩化物イオンを含有する水溶液を使用してEUVマスクから汚染物質を除去する方法に関する。より具体的には、本発明は、スルホン酸及び塩化物イオンを含有する水溶液を使用してEUVマスクから汚染物質を除去する方法であって、EUVマスクから除去される汚染物質の少なくとも1つは、スズである、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極紫外線(EUV)フォトリソグラフィーは、半導体製造のための高度なリソグラフィー技術である。EUV光は、レーザーで生成されるスズプラズマから生成され得る。大量半導体製造(HVM)のための、13.5nmの高出力、即ち200ワットを超える光源を確保するために、より高いスズイオン化率及びより高い変換効率のためにダブルレーザーパルスシューティング方式が開発された。半導体の製造において、スズが重要な部品及び光学部品を汚染することを防ぐためのいくつかの対策が開発されたが、安定した電力処理量のため及びパターン障害を防ぐために、定期的な保守(PM)のための通常の手段が依然として必要である。
【0003】
EUVマスクのためのペリクル、即ち保護フィルムは、HVMについて比較的遅れて出てきた。ペリクルがないと、汚染物質、例えば環境粒子、アルミナ(Al23)粒子及びスズは、EUVマスクを汚染し、こうしてマスクの欠陥を引き起こす可能性がある。EUVマスクは、汚染の問題に対処するために、リソグラフィープロセス中に定期的に洗浄する必要がある。EUVマスクから汚染物質を除去するための標準的な洗浄組成物は、硫酸と過酸化水素との水性混合物(SPM)である。しかしながら、SPMは、約30回の洗浄実行後、EUVマスクのタンタル(Ta)系の吸収体及び反射防止コーティング(ARC)の明らかな限界寸法(CD)損失を引き起こす。Ta系の吸収体及びARCのCD損失に加えて、SPMは、EUVマスクからスズを除去するには不十分な洗浄性能を示してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、半導体製造業界では、EUVマスクを洗浄するための、特にEUVマスクからスズを洗浄するための新しい組成物及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、極紫外線マスクから汚染物質を除去する方法であって、
a)汚染物質について極紫外線マスクを検査する工程と、
b)水、スルホン酸又はその塩、塩化物イオン源、任意選択で酸化剤及び任意選択で界面活性剤からなる水性洗浄組成物を提供する工程と、
c)極紫外線マスクを水性洗浄組成物と接触させて、極紫外線マスクから少なくともスズを除去する工程と
を含む方法に関する。
【0006】
本発明は、極紫外線マスクから汚染物質を除去する方法であって、
a)汚染物質について極紫外線マスクを検査する工程と、
b)水、塩化物イオン源、式:
R-S(=O)2-OH (I)
(式中、Rは、アルキル又はアリール基である)
を有するスルホン酸又はその塩、任意選択で酸化剤及び任意選択で界面活性剤からなる水性洗浄組成物を提供する工程と、
c)極紫外線マスクを水性洗浄組成物と接触させて、極紫外線マスクから少なくともスズを除去する工程と
を含む方法に更に関する。
【0007】
本発明の方法及び洗浄組成物は、EUVマスクから少なくともスズ並びに例えば、これらに限定されないが、半導体の製造においてEUVマスクに一般的に見られるアルミナ、エッチング残留物及びフォトレジスト残留物などの他の汚染物質を除去することを可能にする。本発明の方法及び洗浄組成物は、EUVマスクのための多くの従来の洗浄組成物及びプロセスと比較して、例えば、これらに限定されないが、キャッピング層及びARCなどのEUVマスクの構造部品への実質的な損傷も低減又は防止する。本発明の更なる利点及び改善は、本出願の本明細書及び実施例を読むことにより、当業者によって理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】様々な構造部品を示す本発明のEUVマスク及びEUVマスクの表面に対して6°の主光線角度でのEUV光の適用を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書にわたって使用される場合、略語は、文脈が明確に他に指示しない限り、以下の意味を有する:℃=摂氏℃、nm=ナノメートル、μg=マイクログラム、Å=オングストローム、min=分、DI=脱イオン化、UV=紫外線、EUV=極紫外線、EUVL=極紫外線リソグラフィー、ML=多層、ARC=反射防止コーティング又は層、LTEM=低熱膨張材料、CVD=化学蒸着、PVD=物理蒸着、PEB=露光後ベーク、SPM=硫酸+過酸化水素混合物、IC=集積回路、e-ビーム(電子ビーム)、AFM=原子間力顕微鏡、Temp=温度、Al=アルミニウム、Cu=銅、C=カーボン、S=硫黄、O=酸素、H=水素、Ru=ルテニウム、Ta=タンタル、Ti=チタン、B=ホウ素、Cr=クロム、N=窒素、Mo=モリブデン、Si=シリコン、K+=カリウムカチオン、Na+=ナトリウムカチオン、Al23=酸化アルミニウム、HCl=塩化水素、Nd=ネオジム、YAG=イットリウム-アルミニウムガーネット、e-チャック=静電チャック、POB=投影光学部品ボックス、NA=開口数、ER=エッチング速度、Ex=例、MSA=メタンスルホン酸、XPS=X線光電子分光計、ICP-MS=誘導結合プラズマ質量分析、ND=損傷なし、重量%=重量パーセント。
【0010】
「隣接する」という用語は、2つの金属層が共通の界面を有するように直接接触することを意味する。「水性」という用語は、水又は水系を意味する。「組成物」及び「溶液」という用語は、本明細書全体で交換可能に使用される。「EUVマスク」及び「マスク」という用語は、本明細書全体で交換可能に使用される。「レジスト」及び「フォトレジスト」という用語は、本明細書全体で交換可能に使用される。「開口数」という用語は、光学部品の物理的な指標である。特に明記しない限り、%単位の量は、重量%である。「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、本明細書全体を通して単数及び複数の両方を指すことができる。全ての数値範囲は、包含的であり、且ついかなる順序でも組み合わされ得るが、このような数値範囲を合計したものが100%となるように制約されることが論理的である場合を例外とする。
【0011】
EUVLは、14nm以下などのナノメートル範囲の半導体技術ノード向けの有望なパターン化技術である。EUVLは、光リソグラフィーと同様に、ウェーハを印刷するためにフォトマスクを必要とするが、約1nm~約100nmの範囲のEUV領域での光を使用する点で異なる。好ましくは、EUVLプロセスで使用される光は、約13.5nmである。13.5nmの波長では、多くの材料は、非常に吸収性がある。従って、EUVLでは、屈折光学部品ではなく、反射光学部品が一般的に使用される。EUVLプロセス中、リソグラフィープロセスで使用される半導体基板及び光学部品に形成された回路の汚染及び欠陥を回避するために、EUVマスクを可能な限り清浄に保つ必要がある。
【0012】
本発明の方法は、EUVマスクを提供することを含む。EUVマスクは、リソグラフィー露光プロセス中に半導体ウェーハを製造するために使用される。EUVマスクは、基板及びその上に形成されたパターン又は基板上に形成されるパターンを含む。パターンは、回路設計に従って規定される。基板の裏側には、静電チャックを目的とした導電層がある。本発明において、マスクは、極紫外線リソグラフィーにおいて使用される反射マスクである。例示的な反射マスク100は、断面図の図に示されている。反射マスク100は、基板102、基板102上に堆積された反射型ML 104、反射型ML 104上に堆積されたキャッピング層106及びキャッピング層106上に堆積されたパターン化された吸収層108を含む。マスクは、典型的には、CrN又は他の導電性材料でできている基板の裏側に導電層110を更に含む。ARC 112は、吸収層108に隣接している。ARC材料には、タンタルホウ素酸化物(TaBO)が含まれるが、これに限定されない。ARCにより、検査用化学光の強度を下げることで、任意の欠陥のある画像をより良好に視覚化できる。
【0013】
基板102は、LTEMを含む。基板102は、強化された照明放射によるマスク加熱による画像の歪みを最小限に抑えるのに役立つ。LTEMは、溶融シリカ、溶融石英、フッ化カルシウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素-酸化チタン合金又は当技術分野で知られている他の適切なLTEMを含むことができる。基板102は、欠陥レベルが低く、表面が滑らかな材料を含む。反射型ML 104は、CVD又はPVDによってなど、当技術分野で知られている従来のプロセスによって基板102上に堆積される。フレネルの式に従い、光の反射は、光が屈折率の異なる2つの材料間の界面にわたって伝播するときに発生する。屈折率の差が大きいほど、反射光が大きくなる。反射光を増やすために、交互の材料の反射型ML 104を堆積することによって界面の数を増やすこともでき、反射型ML 104の各層に適切な厚さを選択することにより、異なる界面から反射される光を建設的に干渉させることができる。しかしながら、反射型ML 104の吸収は、達成可能な最も高い反射率を制限する。反射型ML 104は、モリブデン-シリコン(Mo/Si)フィルムの対(例えば、各フィルムの対におけるシリコンの層の上又は下のモリブデンの層)などの複数のフィルムの対を含む。代わりに、反射型ML 104は、モリブデン-ベリリウム(Mo/Be)フィルムの対を含むことができるか、又はEUV波長で高度に反射性である任意の材料を反射型ML 104に対して利用することができる。反射型ML 104の各層の厚さは、EUV波長及び入射角に依存する。反射型ML 104の厚さは、各界面で反射されるEUV光の最大の建設的干渉及び反射型ML 104によるEUV光の最小の吸収を達成するように調整される。反射型ML 104は、選択された放射タイプ/波長に対して高い反射率を提供するように選択することができる。典型的なフィルムの対の数は、20~80であるが、任意の数のフィルムの対を使用できる。いくつかの実施形態では、反射型ML 104は、40のMo/Siの層の対を含む。一例では、各Mo/Siフィルムの対は、約7nmの厚さを有し、総厚は、280nmであり、これにより約70%の反射率が達成される。
【0014】
キャッピング層106は、当技術分野で周知の従来のCVD又はPVDプロセスによって反射型ML 104上に堆積される。キャッピング層106は、吸収層と異なるエッチング特性を有するため、キャッピング層106は、吸収層のその後のパターン化又は修復プロセスにおいてエッチング停止層として機能する。キャッピング層106は、Ru又は代わりにルテニウム-ボロン(RuB)若しくはルテニウム-シリコン(RuSi)などのRu化合物を含む。
【0015】
吸収層108は、従来のCVD又はPVDプロセスによってもキャッピング層106上に堆積され、次いで従来の画像化プロセスを使用してIC設計レイアウトに従って主要なパターンを形成するようにパターン化される。いくつかの実施形態では、吸収層108は、図に示されるように、その上に投射された放射ビームを吸収する。吸収層108は、窒化ホウ素タンタル(TaBN)、クロム(Cr)、酸化クロム(CrO)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)若しくはアルミニウム-銅(Al-Cu)、パラジウム、酸化アルミニウム(AlO)、モリブデン(Mo)又は他の適切な材料の群からの単一の層又は複数の層を含むことができる。好ましくは、吸収層は、TaBNである。吸収層108のパターン化は、リソグラフィーパターン化プロセス及び当技術分野で知られている従来のプロセスを使用するエッチングを含む。リソグラフィーパターン化プロセスは、スピンオンコーティングにより、EUV光に敏感なレジスト層を形成する工程、直接電子ビーム書き込みなどの適切なモードで電子ビームを使用してレジスト層を露光する工程及び露光したレジスト層を現像して、回路パターンを規定する複数の開口部を含むパターン化されたレジスト層を形成する工程を更に含む。リソグラフィーのパターン化プロセスには、PEBなどの他の操作を含めることができる。エッチングプロセスは、パターン化されたレジスト層の開口部を通して吸収層108に適用され、パターン化されたレジスト層をエッチングマスクとして使用して吸収層108をパターン化する。その後、パターン化されたレジスト層は、プラズマ灰化又は湿式剥離によって除去される。レジスト材料は、ポジ型又はネガ型のフォトレジストであり得る。フォトレジストは、当技術分野でよく知られている。従来のフォトレジストを使用して本発明を実施することができる。
【0016】
マスク100は、半導体ウェーハをパターン化する際のリソグラフィー露光プロセスで使用される。図に示されるように、スズプラズマから生成されたEUV光の照明ビーム114がマスク100に投射されると、吸収層108に投射された照明ビーム114の一部が吸収層108によって吸収され、反射型ML 104に投射された照明ビーム114の別の部分が反射型ML 104によって反射される。実線は、EUVマスクに焦点を合わせたEUV光ビームを示す。点線は、光ビームの方向を示す。これにより、パターン化された照明ビームが生成される。光ビームは、Nd:YAGレーザー及び炭酸ガスレーザーを備えた従来のEUV光発生器によって生成される。光入射角の最高の性能は、現在のNA=0.33EUVリソグラフィースキャナーで高い反射率及び低い光回折を有する6°の入射光角である。パターン化された照明ビームは、半導体ウェーハにコーティングされたレジストフィルムを露光するために使用される。好ましくは、照明ビームは、レーザーで生成されるスズプラズマから生成される。PEB及び現像などのその後の追加のリソグラフィー操作時、レジストパターンがウェーハに形成され、エッチングプロセス中のエッチングマスクとして又はイオン注入中の注入マスクとして使用され得る。
【0017】
反射型EUVリソグラフィー技術を使用する際の1つの課題は、反射型EUVマスク内又はその上に欠陥が現れる場合に発生する。透過型マスクを使用する場合、比較的小さい欠陥は、著しく有害ではないことがあり得るが、マスク100における回路パターンのフィーチャのサイズの減少などの様々な要因について、反射型EUVマスクを使用する場合に同様の欠陥が重大である可能性がある。従って、対応する露光された画像の品質又は完全性は、マスク100の欠陥によって影響を受ける。
【0018】
本発明の方法は、好ましくは、光学検査手段、AFM又は他の適切な検査手段などのマスク検査手段を使用して、1つ以上の欠陥を識別するためにマスク100を検査することを含む。市販のマスク検査手段は、Lasertec CorporationのMATRICS(商標)X800である。Brukerは、先駆的なAFMの供給業者である。マスク100の検査は、マスクの表面をスキャンする工程と、マスクの欠陥の箇所を見つける工程と、欠陥の形状及びサイズを決定する工程とを含む。マスクの欠陥には、2種類の欠陥が含まれる:ハード欠陥及びソフト欠陥。ハード欠陥とは、洗浄プロセスで除去できない欠陥を指す。従って、本発明は、ソフト欠陥を除去することを対象とする。
【0019】
ソフト欠陥とは、これらに限定されないが、粒子、スズ、酸化アルミニウム及びレジスト残留物など、本発明の洗浄プロセスによって除去できる欠陥を指す。本発明の方法は、これらに限定されないが、ARC及び吸収層並びにキャッピング層の構成要素など、好ましくはルテニウム及びルテニウム系の化合物を含む、マスクのタンタル系の構成要素に実質的に損傷を与えることなく、EUVマスクからスズを除去するのに特に効果的である。マスクのスズ汚染物質は、典型的には、上記のように、レーザーで生成されるスズプラズマの適用中に生成される。図は、キャッピング層106に形成された例示的なソフト欠陥116を示し、この場合、キャッピング層は、Ruを含む。
【0020】
この方法は、EUVマスクに対して洗浄プロセスを実行することによって進行し、これによりソフト欠陥を除去する。洗浄プロセスは、スルホン酸又はその塩及び塩化物イオン源を含む水性洗浄組成物を、図に示されるEUVマスク100などのEUVマスクに適用することを含む。水性洗浄組成物のpHは、1未満である。
【0021】
好ましくは、本発明の洗浄組成物のスルホン酸は、式:
R-S(=O)2-OH (I)
(式中、Rは、アルキル及びアリール基からなる群から選択される有機基である)
を有する。アルキル基は、一般式:Cn2n+1(式中、変数nは、1以上の整数であり、好ましくは、nは、1~4の整数であり、より好ましくは、nは、1~3の整数であり、最も好ましくは、nは、1又は2である)を有する。好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びイソブチルからなる群から選択され、より好ましくは、Rは、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルからなる群から選択され、最も好ましくは、Rは、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましいアルキルスルホン酸の例は、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びプロパンスルホン酸並びにこれらの塩である。最も好ましいものの例は、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸並びにこれらの塩であり、メタンスルホン酸及びその塩は、エタンスルホン酸及びその塩に優先して選択される。
【0022】
Rのアリール基には、置換又は非置換のベンゼン又はベンジル基が含まれるが、これらに限定されない。置換基には、ヒドロキシル、C1~C3ヒドロキシアルキル、C1~C3アルコキシ及びC1~C3アルキルが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、Rは、ベンゼン、ヒドロキシベンゼン及びトリルからなる群から選択され、より好ましくは、Rは、ベンゼン及びヒドロキシベンゼンからなる群から選択される。好ましいアリールスルホン酸の例は、ベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸、最も好ましくはパラ-トルエンスルホン酸である。
【0023】
スルホン酸の塩も本発明の洗浄組成物に含まれ得る。塩は、単独で又は好ましくは上記のスルホン酸の1つ以上と組み合わせて使用することができる。スルホン酸の塩は、一般式:
R-S(=O)2-O-+ (II)
(式中、Rは、上で定義されており、及びY+は、スルホン酸アニオンを中和するための対カチオンである)
を有する。好ましくは、Y+は、K+又はNa+であり、より好ましくは、Y+は、K+である。好ましいスルホン酸塩の例は、メタンスルホン酸カリウム、メタンスルホン酸ナトリウム及びエタンスルホン酸ナトリウムである。より好ましくは、スルホン酸塩は、メタンスルホン酸カリウム及びメタンスルホン酸ナトリウムである。
【0024】
好ましくは、本発明の水性洗浄組成物において、上記のアルキルスルホン酸、これらの塩又はこれらの混合物は、水性洗浄組成物に含まれる。好ましいアルキルスルホン酸は、メタンスルホン酸及びエタンスルホン酸並びにこれらのK+又はNa+塩からなる群から選択される。最も好ましいのは、メタンスルホン酸及びそのK+及びNa+塩である。
【0025】
ARC、キャッピング層、吸収層、ML及びLTEM層、特にTa及びRu化合物を含む構成要素などのマスク構成要素に実質的な損傷を与えることなく、EUVマスクから汚染物質を除去するために、十分な量のスルホン酸及びその塩の1つ以上が本発明の水性洗浄組成物に含まれる。好ましくは、EUVマスクから少なくともSnイオンを除去するために、十分な量のスルホン酸及びその塩が本発明の水性洗浄組成物に含まれる。本発明の洗浄組成物を用いてEUVマスク構成要素から除去することができる他の汚染物質には、これらに限定されないが、Al23、フォトレジストなどのレジスト並びにエッチング残留物及び環境粒子などの粒子が含まれる。好ましくは、スルホン酸及びその塩は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも15重量%、より好ましくは15~65重量%、最も好ましくは40~65重量%の量で水性洗浄組成物に含まれる。
【0026】
本発明の水性洗浄組成物は、塩化物イオンも含む。塩化物イオンを提供し、EUVマスクを実質的に汚染しない水溶性化合物を塩化物イオン源として使用することができる。好ましくは、HClは、塩化物イオン源である。
【0027】
好ましくは、1つ以上の塩化物イオン源が水性洗浄組成物に含まれて、少なくとも0.05重量%の塩化物イオンを提供する。より好ましくは、1つ以上の塩化物イオン源が水性洗浄組成物に含まれて、0.1~5重量%の塩化物イオンを提供し、最も好ましくは、1つ以上の塩化物イオン源が本発明の洗浄組成物に含まれて、0.1~2重量%の塩化物イオンを提供する。
【0028】
任意選択で、水性洗浄組成物は、酸化剤を含むことができる。従来の酸化剤を使用することができる。このような酸化剤には、過酸化水素、ペルオキシ二硫酸、ペルオキシ一硫酸及び過塩素酸が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、酸化剤は、過酸化水素である。酸化剤は、本発明の水性洗浄組成物において、水性洗浄組成物の0.5~5g/100g、好ましくは水性洗浄組成物の0.5~2g/100gの量で含まれ得る。
【0029】
任意選択で、水性洗浄組成物は、界面活性剤を含むことができる。このような界面活性剤には、非イオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が含まれる。好ましくは、界面活性剤は、非発泡性である。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン界面活性剤である。最も好ましくは、界面活性剤は、Pilot Chemical Corp.からCALFAX(登録商標)DBA-70として市販されているドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸などの非発泡性のアニオン界面活性剤である。界面活性剤は、従来の量で含まれ得る。
【0030】
好ましくは、本発明の水性洗浄組成物は、1つ以上のスルホン酸及びその塩、洗浄組成物に塩化物イオンを提供するための1つ以上の塩化物イオン源、任意選択で酸化剤、任意選択で界面活性剤及び水からなる。好ましくは、スルホン酸は、上記の式(I)を有するスルホン酸であり、その塩は、上記の式(II)を有する。好ましくは、塩化物イオン源は、HClである。
【0031】
より好ましくは、本発明の水性洗浄組成物は、15~65重量%の量のメタンスルホン酸又はその塩、0.1~5重量%の量の塩化物イオン及び水からなる。
【0032】
最も好ましくは、本発明の水性洗浄組成物は、40~65重量%の量のメタンスルホン酸又はその塩、0.1~2重量%の量の塩化物イオン(ここで、塩化物イオン源は、HClである)及び水からなる。
【0033】
任意選択で、本発明の方法は、半導体製造のためのマスク仕様を満たすためにEUVマスクが洗浄されているかどうかを更に確認するための別の検査操作を含むことができる。更に洗浄が必要である場合、上記のマスク洗浄方法を繰り返すことができる。洗浄方法は、EUVマスクの所望の清浄度を達成するために必要な回数だけ繰り返すことができる。
【0034】
本発明の水性洗浄組成物は、当技術分野で知られている従来の方法による洗浄のためのEUVマスクに適用することができる。EUVマスクは、マスクから汚染物質を除去するのに十分な時間、洗浄組成物に浸漬することができる。任意選択で、次いでマスクを水で濯ぐことができる。洗浄組成物をマスクに噴霧し、続いてマスクを水で濯ぐことができる。市販の洗浄手段の一例は、SUSS MicroTec Inc.のMask Track Proである。
【0035】
本発明の洗浄組成物は、好ましくは、少なくとも30℃、より好ましくは50~85℃、最も好ましくは55~80℃の温度で使用される。
【0036】
本発明の水性洗浄組成物によるEUVマスクの十分な時間の曝露は、マスクの汚染物質又は欠陥並びにARC、吸収層又はキャッピング層及び汚染された層の材料組成物など、汚染物質が位置する場所に応じて変動し得る。例えば、スズは、EUVマスクから除去することが最も困難である。フォトレジストの組成構成が変動するため、マスクからフォトレジスト汚染物質を除去することも困難であり得る。一般に、EUVマスクは、少なくとも1分間又は5~30分など若しくは5~10分など、洗浄組成物に曝露される。スズなど、特に除去が難しい汚染物質は、複数回の洗浄の実施又はサイクルを必要とする可能性があり、この場合、各洗浄サイクルは、時間とともに変動する可能性がある。除去された汚染物質の量は、当技術分野で知られている任意の適切なプロセス及び装置によって測定することができる。汚染物質、特にスズを測定するプロセスの例は、ICP-MSである。
【0037】
半導体ウェーハをパターン化するためにマスクを使用するリソグラフィー露光プロセス中、マスクは、容易に汚染される可能性があり、リソグラフィープロセス中に複数回の洗浄が必要になる。好ましくは、EUVマスクは、EUVマスクの層の1つ以上にかなりの汚染物質が蓄積した後、リソグラフィープロセスの最後に洗浄される。
【0038】
特定の工程、材料及び装置は、リソグラフィー半導体ウェーハの製造において異なる場合がある。一般に、この方法は、マスクをリソグラフィーシステムに入れ込むことから始まる。好ましくは、リソグラフィーシステムは、EUV光によってレジスト層を露光するように設計されたEUVリソグラフィーシステムである。レジスト層は、ネガ型又はポジ型のフォトレジストなど、EUV光に敏感な材料である。EUVリソグラフィーシステムは、約1nm~約100nmの範囲の波長を有するEUV光などのEUV光を生成するための放射源を含む。例えば、放射源は、約13.5nmを中心とする波長のEUV光を生成する。一般的に使用される放射源の例は、レーザーで生成されるSnプラズマである。このようなSnプラズマは、前述のように、EUVマスクがSnで汚染される場合が多いSnイオンを生成する。リソグラフィーシステムには、照明器も含まれる。様々な実施形態において、照明器は、放射源からの光をマスクステージに向けるために、単一のミラー又は複数のミラーを有するミラーシステムなどの様々な反射光学部品を含む。リソグラフィーシステムは、マスクを固定するように構成されたマスクステージを含む。いくつかの実施形態では、マスクステージは、マスクを固定するための静電チャックを含む。リソグラフィーシステムは、リソグラフィーシステムの基板ステージに固定された半導体基板に対してマスクのパターンを画像化するための投影光学部品モジュール又はPOBも含む。POBは、EUV光を投影するための反射光学部品を有する。マスクにおける規定されたパターンの画像を運ぶEUV光は、マスクから向けられ、POBによって収集される。照明器及びPOBは、まとめてリソグラフィーシステムの光学モジュールと呼ばれる。リソグラフィーシステムは、半導体基板を固定するための基板ステージも含む。
【0039】
半導体ウェーハは、EUVビームに敏感なレジスト層でコーティングされる。ウェーハは、シリコンウェーハであり得るか、又は代わりに追加の半導体材料を含み得る。このような追加の半導体材料は、ゲルマニウム、炭化ケイ素、ガリウムヒ素、リン化ガリウム、リン化インジウム、ヒ化インジウム及びアンチモン化インジウムを含む化合物半導体又はSiGe、GaAsP、AlInAs、AlGaAs、GaInAs、GaInP及びGaInAsPを含む合金半導体を含むことができる。
【0040】
更に別の代替例では、半導体ウェーハは、絶縁体上の半導体(SOI)構造を含む。他の実施形態では、半導体ウェーハは、1つ以上の導電性又は誘電性フィルムも含む。いくつかの実施形態では、誘電性フィルムは、酸化シリコン、高k誘電性材料フィルム又は酸化シリコンと高k誘電性材料との組み合わせを含むことができ、ゲート電極フィルムのための導電性の薄いフィルムは、ドープされたポリシリコン又はアルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、プラチナ(Pt)若しくはこれらの金属の合金などの金属を含むことができる。
【0041】
EUVリソグラフィー法の例は、EUVリソグラフィーシステムにおいてEUVマスクを使用してレジスト層にリソグラフィー露光プロセスを実行することを含む。この方法中、生成されたEUV放射は、照明器によってマスクに照射され、POBによってウェーハにおいてコーティングされたレジスト層に更に投影され、これによりレジスト層に潜像を形成する。いくつかの実施形態では、リソグラフィー露光プロセスは、スキャンモードで実施される。レジスト層は、湿式剥離又はプラズマ灰化によって除去することができる。
【実施例0042】
以下の実施例は、本発明を更に例示するために含まれるが、その範囲を限定することを意図しない。
【0043】
実施例1~6
半導体ウェーハからのスズ粒子の除去
以下の表1に示されるように、水性系のスルホン酸洗浄組成物を調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。PVDスズの粒子を含有する半導体ウェーハは、Triomax Technology Co.,Ltd.から提供された。ウェーハを2.8cm×2.8cmのサイズのクーポンに切断した。半導体ウェーハには、スズプラズマ堆積後のEUVフォトマスクにおけるスズを再現するためのスズの均一なフィルムとは対照的に、スズの粒子が含まれていた。
【0044】
次いで、スズ粒子を含有する半導体ウェーハのクーポンを、表1に列挙されている時間及び温度において、以下の表1に開示されている100gの溶液(水の重量+成分の重量)に浸漬した。他の化合物と組み合わせた場合、H22は、不安定であるため、クーポンを洗浄溶液に浸す直前に0.5gの31%H22を99.5gの溶液と混合した。次いで、各溶液を、溶解されたスズイオンについてICP-MSで分析した。
【0045】
【表1】
【0046】
実施例7~9(比較)
半導体ウェーハからのスズ粒子の除去
以下の表2に示されるように、水性系のスルホン酸洗浄組成物を調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。
【0047】
スズ粒子を含有する半導体ウェーハのクーポンから除去されるスズの量を決定するための手順は、表2に開示される水性系のスルホン酸洗浄組成物を使用することを除いて、上記の実施例1~6に開示されるように繰り返した。
【0048】
【表2】
【0049】
表2の溶液中のスズイオンのICP-MS分析は、実施例1~6の溶液中のスズイオンとは対照的に、水性洗浄溶液中のスズイオンの量の著しい減少を示した。MSAとHClとの組み合わせを含む水性スルホン酸洗浄組成物は、MSAとHClとの組み合わせを含まない水性洗浄組成物よりもスズ除去において全体的に著しい改善を示した。
【0050】
実施例10~13(比較)
半導体ウェーハからのスズ粒子の除去
以下の表3に示されるように、水性系のスルホン酸洗浄組成物を調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。
【0051】
スズ粒子を含有する半導体ウェーハのクーポンから除去されるスズの量を決定するための手順は、表3に開示される水性系のスルホン酸洗浄組成物を使用することを除いて、上記の実施例1~6に開示されるように繰り返した。
【0052】
【表3】
【0053】
HClを有機酸クエン酸で置き換えると、実施例1~6のMSA及びHCLを含有する水性洗浄組成物とは対照的に、半導体ウェーハのクーポンからのスズの除去が著しく減少した。
【0054】
実施例14~15
半導体ウェーハからのスズ粒子の除去
水性系のスルホン酸及びSPM洗浄組成物を脱イオン水中で調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。SPM(硫酸/過酸化物混合物)は、96重量%の硫酸:31重量%の過酸化水素(10:1の体積比)から構成された。
【0055】
スズ粒子を含有する半導体ウェーハのクーポンから除去されるスズの量を決定するための手順を、上記の実施例1~6に開示されるように繰り返した。
【0056】
【表4】
【0057】
スズ粒子を含有する半導体ウェーハのクーポンを0.5分又は1分間にわたって水性洗浄溶液に浸漬した。浸漬中、溶液は、80℃であった。クーポンから除去されたスズの量を以下の表5に示す。
【0058】
【表5】
【0059】
表5の結果は、本発明の水性洗浄溶液が従来のSPM洗浄組成物と比較してスズの除去を改善したことを示している。
【0060】
実施例16~17
TaBo及びRuに対する損傷
水性系のスルホン酸及びSPM洗浄組成物を脱イオン水中で調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。SPM(硫酸/過酸化物混合物)は、96重量%の硫酸:31重量%の過酸化水素(10:1の体積比)から構成された。
【0061】
厚さ3.5nmのRu及び厚さ2nmのTaBOの均一フィルムを含む3つのEUVフォトマスク基板をToppan photomask Inc.から入手した。各EUVフォトマスク基板を3cm×3cmのサイズのクーポンに切断した。クーポンを、表6に開示されている2つの水性洗浄組成物及びSPMに80℃で1分間浸漬した。1分後、クーポンを取り出し、ICP-MSを使用して洗浄水溶液中のRu及びTaBOの濃度を測定した。
【0062】
【表6】
【0063】
Ru及びTaBOのエッチング速度は、以下の式を使用して決定した。
ER(Å/分)=c(ppb)×w(g)/D(g/cm3)×A(cm2)×t(分)×10、式(I)
式中、cは、溶液中のRu又はTaBOの濃度であり、wは、洗浄溶液の重量であり、Aは、クーポンの面積であり、tは、クーポンが洗浄溶液に浸漬された時間であり、Dは、Ru又はTaBOの密度である。Ruの密度は、12.45g/cm3であり、TaBOの密度は、14.3g/cm3である。
【0064】
【表7】
【0065】
SPMは、溶液中に検出可能なRuを示さなかったが、実施例16及び実施例17は、依然として非常に小さいRuのエッチング速度を示し、MSA含有溶液がRuのフィルムにわずかな損傷を引き起こしたことを示している。
【0066】
SPMは、TaBOのフィルムへの損傷が最小であることを示したが、MSA含有溶液は、依然としてTaBOのフィルムにわずかな損傷を引き起こした。
【0067】
実施例18~22
シリコンウェーハからのAl23の除去
表8に示されるように、水性系のスルホン酸洗浄組成物を調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。
【0068】
2,000Åのアルミナの厚いフィルムでコーティングされたシリコンウェーハを、表8に開示される洗浄溶液に10分間浸漬した。ウェーハを取り出し、XPSでアルミナのフィルムの厚さを測定した。エッチング速度は、式(II)を用いて決定し、式中、h0は、浸漬前のフィルムの厚さであり、hは、浸漬後のフィルムの厚さである。tは、分単位の浸漬時間である。
ER(Å/分)=h0-h/t 式(II)
【0069】
【表8】
【0070】
本発明の洗浄溶液である実施例21及び実施例22は、アルミナのER率が最も高かった。
【0071】
実施例23~24(比較)
従来のスズのエッチング除去の配合
表9に示されるように、水性系のスルホン酸洗浄組成物を調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。水性洗浄組成物は、プリント回路基板からスズを剥離するために使用される従来の洗浄組成物であった。しかしながら、溶液を調製したところ、それらは、不均一であり、半導体ウェーハの洗浄には不適切であることがわかった。不溶性残留物が溶液から沈殿することが観察された。
【0072】
【表9】
【0073】
実施例25~30
半導体ウェーハからのスズ粒子の除去
以下の表10に示されるように、水性系のスルホン酸洗浄組成物を調製した。この洗浄組成物のpHは、1未満であった。PVDスズの粒子を含有する半導体ウェーハは、Triomax Technology Co.,Ltd.から提供された。ウェーハを2.8cm×2.8cmのサイズのクーポンに切断した。半導体ウェーハには、スズプラズマ堆積後のEUVフォトマスクにおけるスズを再現するためのスズの均一なフィルムとは対照的に、スズの粒子が含まれていた。
【0074】
次いで、スズ粒子を含有する半導体ウェーハのクーポンを、表10に列挙されている時間及び温度において、以下の表10に開示されている100gの溶液(水の重量+成分の重量)に浸漬した。他の化合物と組み合わせた場合、H22は、不安定であるため、クーポンを洗浄溶液に浸す直前に1gの31%H22を99gの溶液と混合した。次いで、各溶液を、溶解されたスズイオンについてICP-MSで分析した。
【0075】
【表10】
【0076】
実施例25~30の水性スルホン酸洗浄組成物は、均一で安定であり、上記の不均一な比較例23~24とは対照的に良好なスズの除去を示した。
【符号の説明】
【0077】
100 反射マスク
102 基板
104 反射型ML
106 キャッピング層
108 吸収層
110 導電層
112 ARC
114 照明ビーム
116 ソフト欠陥
図1
【外国語明細書】