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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013605
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】消火ユニット搭載型車両
(51)【国際特許分類】
   A62C 27/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A62C27/00 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020218472
(22)【出願日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2020115394
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520243802
【氏名又は名称】株式会社オートアベニュー
(71)【出願人】
【識別番号】511220016
【氏名又は名称】有限会社サポートマーケティングサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100195028
【弁理士】
【氏名又は名称】高久 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 理香
(72)【発明者】
【氏名】荒川 真一
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189AA08
2E189AD00
2E189AE01
2E189AE03
(57)【要約】
【課題】貯水源又は消火栓のいずれからでも吸水可能であり、機動力に富み、初期消火活動を継続的に行うことができる消火ユニット搭載型車両を提供する。
【解決手段】消火ユニット搭載型原動機付き自転車10は、一人用の運転室12の後部に架台20を有する。消火ユニット搭載型原動機付き自転車10は、架台20に積載されており、吸水口及び放水口を有する可搬型ポンプと、可搬型ポンプを駆動するポンプ駆動手段と、一端が可搬型ポンプの放水口に着脱可能に接続され、他端から消火用水を放水する消防用ホースを収納するリュック40と、一端が可搬型ポンプの吸水口に着脱可能に接続され、他端に着脱可能にストレーナ110が設けられた吸水ホース100と、一端がストレーナ110を取り外した吸水ホース100に着脱可能であって、他端が消火栓のホース接続口に接続可能な口径を有するアタッチメントを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一人用の運転室の後部に架台を有する消火ユニット搭載型車両であって、
前記架台に積載されており、吸水口及び放水口を有する可搬型ポンプと、
該可搬型ポンプを駆動するポンプ駆動手段と、
一端が前記可搬型ポンプの放水口に着脱可能に接続され、他端から消防用水を放水する消防用ホースと、
一端が前記可搬型ポンプの吸水口に着脱可能に接続され、他端に着脱可能にストレーナが設けられた吸水ホースと、
一端が前記ストレーナを取り外した吸水ホースの他端に着脱可能であって、他端が消火栓のホース接続口に着脱可能な口径を有するアタッチメントと、
を備えることを特徴とする消火ユニット搭載型車両。
【請求項2】
前記ストレーナは、
前記吸水ホースの他端側に形成されたネジ部と着脱可能に螺合する略円筒状の内側フィルタと、
該内側フィルタの外側を着脱可能に覆う外側フィルタと、
からなる二重構造であることを特徴とする請求項1に記載の消火ユニット搭載型車両。
【請求項3】
前記可搬型ポンプは、固定金具によって前記架台に固定されており、
前記固定金具をステンレス製としたことを特徴とする請求項1又は2記載の消火ユニット搭載型車両。
【請求項4】
前記消防用ホースは、車両の運転者が背負うリュックに収納可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の消火ユニット搭載型車両。
【請求項5】
前記運転室の屋根上に設けられた青色回転灯と、
前記運転室の屋根の後方に設けられた作業灯と、
前記青色回転灯及び作業灯の点灯のON/OFFを切り替えるスイッチと、
を備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の消火ユニット搭載型車両。
【請求項6】
前記車両が、原動機付き自転車または電動バイクであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の消火ユニット搭載型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火ユニット搭載型車両(原動機付き自転車、電動バイク等。以下同じ)に関し、更に具体的には、機動力に富み、初期消火に有効な消火ユニット搭載型車両の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消防自動車では、交通渋滞により火災現場に遅れたり、道幅が狭い地域での消火活動が困難であるという課題があった。このような課題に対し、例えば、下記特許文献1の自動2輪消防車が提案されている。特許文献1には、機動力のある自動2輪車に消火器を複数搭載することにより、交通渋滞及び道幅の影響をあまり受けずに、迅速に火災発生現場へ到着すること、消火器により初期消火を行うこと、複数の消火器を搭載することにより、火災発生現場の近隣住民による初期消火への協力が期待できることが開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2の消防用二輪車には、消火用水を収納する消火用水タンクと、前記消火用水タンクから吸水した水をポンプにより加圧する高圧噴霧装置と、前記高圧噴霧装置で加圧された水を導く消火用ホースと、前記消火用ホースの先端にとり付けられウォーターミストを噴射する消火ノズルとを備える構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3061018号公報
【特許文献2】特開2005-21262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術では、搭載した消火器を使い切れば、その後に消火活動を継続することはできず、前記特許文献2に記載の技術においても、搭載した消火用水タンク内の水を使いきれば、その後に消火活動を継続することができない。このため、火災の初期の間に鎮火できないおそれがあるという課題がある。
【0006】
本発明は、以上のような点に着目したもので、貯水源又は消火栓のいずれからでも吸水が可能であり、かつ、機動力に富み、初期消火に有効な消防活動を継続的に行うことができる消火ユニット搭載型車両を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一人用の運転室の後部に架台を有する消火ユニット搭載型車両であって、前記架台に積載されており、吸水口及び放水口を有する可搬型ポンプと、該可搬型ポンプを駆動するポンプ駆動手段と、一端が前記可搬型ポンプの放水口に着脱可能に接続され、他端から消火用水を放水する消防用ホースと、一端が前記可搬型ポンプの吸水口に着脱可能に接続され、他端に着脱可能にストレーナが設けられた吸水ホースと、一端が前記ストレーナを取り外した吸水ホースの他端に着脱可能であって、他端が消火栓のホース接続口に着脱可能な口径を有するアタッチメントと、を備えることを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記ストレーナは、前記吸水ホースの他端側に形成されたネジ部と着脱可能に螺合する略円筒状の内側フィルタと、該内側フィルタの外側を着脱可能に覆う外側フィルタと、からなる二重構造であることを特徴とする。
【0009】
他の形態の一つは、前記可搬型ポンプは、固定金具によって前記架台に固定されており、前記固定金具をステンレス製としたことを特徴とする。
【0010】
更に他の形態の一つは、前記消防用ホースは、車両の運転者が背負うリュックに収納可能であることを特徴とする。
【0011】
更に他の形態の一つは、前記運転室の屋根上に設けられた青色回転灯と、前記運転室の屋根の後方に設けられた作業灯と、前記青色回転灯及び作業灯の点灯のON/OFFを切り替えるスイッチと、を備えることを特徴とする。更に他の形態は、前記車両が、原動機付き自転車または電動バイクのいずれかであることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的、特徴、利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一人用の運転室の後部に架台を有する消火ユニット搭載型車両に、前記架台に積載されており、吸水口及び放水口を有する可搬型ポンプと、該可搬型ポンプを駆動するポンプ駆動手段と、一端が前記可搬型ポンプの放水口に着脱可能に接続され、他端から消火用水を放水する消防用ホースと、一端が前記可搬型ポンプの吸水口に着脱可能に接続され、他端に着脱可能にストレーナが設けられた吸水ホースと、一端が前記ストレーナを取り外した吸水ホースの他端に着脱可能であって、他端が消火栓のホース接続口に着脱可能な口径を有するアタッチメントと、を設けることとした。このため、ストレーナを装着した状態では、貯水源から吸水し、ストレーナを外してアタッチメントを取り付けることで消火栓から直接吸水することも可能であって、機動力に富み、初期消火に有効な消防活動を継続的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の消火ユニット搭載型原動機付き自転車の全体構成を示す外観斜視図である。
図2】前記実施形態の消火ユニット搭載型原動機付き自転車を、図1と反対側から見た側面図である。
図3】前記実施形態を示す図であり、(A)は背面図、(B)は可搬型ポンプの固定部を一部拡大して示す図である。
図4】前記実施形態のリュックを示す図であり、(A)は消防用ホースを収納した状態を示す外観斜視図、(B)は消防用ホースを取り出すときの一例を示す平面図である。
図5】前記実施形態を示す図であり、(A)は吸水ホースの一端側のストレーナを示す図、(B)は吸水ホースの一端に着脱可能なアタッチメントを示す外観斜視図である。
図6】前記実施形態を示す図であり、(A)は屋根上の青色回転灯を示し、(B)は前記青色回転灯の取り付け機構を示し、(C)は屋根後部に設けた作業灯を示し、(D)は青色回転灯及び作業灯のスイッチを示す図である。
図7】前記実施形態による消火作業時の吸水の様子を示す図であり、(A)は貯水源から吸水する場合を示し、(B)は消火栓から吸水する場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図1図7を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1図7に示すように、本実施形態は、本発明の消火ユニット搭載型車両として、原動機付き自転車を用いた例である。なお、本実施例では、原動機付き自転車を用いることとしているが、本発明は、電動バイク等の車両にも当然に適用可能である。本実施形態の消火ユニット搭載型原動機付き自転車10は、一人用の運転室12の後部に架台20を有する。そして、可搬型ポンプ60と、該可搬型ポンプ60を駆動するポンプ駆動手段(図示せず)と、リュック40に収納された消防用ホース50と、吸水ホース100と、該吸水ホース100に着脱可能なストレーナ110と、前記吸水ホース100に着脱可能なアタッチメント120により構成されている。
【0016】
消火ユニット搭載型原動機付き自転車10は、本実施例では、一つの前輪22と、二つの後輪24を有する原動機付き三輪車であって、排気量が50cm以下であり、後輪駆動となっている。前記運転室12には運転者が座る座席14が設けられている。また、運転室12の正面にはフロントガラス16が設けられており、当該フロントガラス16に屋根18が連接している。また、座席14の背もたれと前記屋根18の間には、一対の支持パイプ26、28が設けられている。
【0017】
前記一対の支持パイプ26、28には、運転室12側に、リュック40を掛けるためのフック30が設けられている。また、一対の支持パイプ26、28には、架台20側に、吸水ホース100を掛けるためのフック90が設けられている。
【0018】
図4(A)及び(B)に示すように、前記リュック40には、消火用水を放水するための消防用ホース50が収納されている。消防用ホース50の一端には、後述する可搬型ポンプ60の放水口62に着脱可能に接続するためのポンプ接続口52が設けられている。また、図示しない他方の端部は、消火用水を放水する放水口となっており、噴霧ノズル等を装着して使用される。前記消防用ホース50は、例えば、直径が40mmで、長さが20mである。
【0019】
図4(A)に示すように、前記リュック40の蓋42を開け、図4(B)に示すようにファスナー46を下げることで、リュック40から消防用ホース50を取り出すことができる。なお、図1の例では、リュック40をフック30に掛けているが、実際に消火活動に出動する際には、運転者が背負いベルト44で背負った状態で運転し、現場へ向かうことで、速やかに消火活動を始めることができる。なお、リュック40に収納する消防用ホース50は、2本であってもよい。
【0020】
図3(A)及び(B)に示すように、可搬型ポンプ60は、前記架台20に積載されている。可搬型ポンプ60は、放水口62及び吸水口64を有しており、図3(B)に示すように、消防用ホース50と接続しないときには、吸水口64はキャップ66で閉じられている。このような可搬型ポンプ60は、ポンプ駆動手段により駆動される。
【0021】
前記可搬型ポンプ60に求められる性能は、例えば、日本消防検定協会が実施するD-1級受託評価品であること、規格圧力は、0.3MPa程度とすること、規格放水量が、0.22m/min程度であることである。また、形式は、例えば、片吸込1段タービンポンプであり、前記放水口62及び吸水口64の口径は、いずれも40mmである。
【0022】
前記可搬型ポンプ60のエンジンは、例えば、日本消防検定協会が実施する可搬消防ポンプD-1級規格品であり、形式としては、空冷2サイクル立型1気筒ガソリンエンジンである。また、燃料タンク容量は、例えば、約1.5Lとし、点火方式は、例えば、T.C.イグニッション式であり、使用燃料は、自動車用普通ガソリンが用いられる。なお、予備燃料ボトル94(図2参照)を設けておき、燃料切れにより消火活動の中断が起こらないようにしてもよい。予備燃料ボトル94は、例えば、容量750mlのものを2本設けるようにするとよい。
【0023】
図3(A)及び(B)に示すように、以上のような可搬型ポンプ60は、架台20に積載される。可搬型ポンプ60は、一対の底部フレーム70と一対の側部フレーム72、74によって構成された支持フレーム上に固定されている。また、一対の側部フレーム72、74の両端にはそれぞれ、可搬型ポンプ60を積載したり取り外したりして運ぶときのハンドルになる湾曲したハンドルフレーム76、78が設けられている。
【0024】
図3(B)に示すように、架台20には、固定ステー80、82によって、可搬型ポンプ60が固定されている。まず、固定ステー80は、ハンドルフレーム78の正面、側面、背面の周囲をカバーする側部ステー80Aと、該側部ステー80Aを架台20の表面に載置する一対の横方向ステー80B、80Cと、略コ字状に形成されており、前記側部フレーム74を跨ぐように、側部ステー80Aに固定される上部ステー80Dによって構成されている。
【0025】
他方の固定ステー82については、上部ステー80Dがないほかは、前記固定ステー80と同様の構造となっている。ハンドルフレーム76、78を持って可搬型ポンプ60を固定ステー80、82の内側に載置したら、固定ステー80の上部ステー80Dを、可搬型ポンプ60の側部フレーム74を跨ぐように被せ、ピンの差し込み等により、側部フレーム74を固定する。なお、上述した固定ステー80、82を形成する材料としては、耐久性や防錆性の観点から、ステンレス製とすることが好ましい。
【0026】
次に、吸水ホース100について説明する。吸水ホース100は、水源(後述する貯水源や消火栓)から吸水した消火用水を、可搬型ポンプ60の吸水口62へ送るものである。吸水ホース100の一端は、可搬型ポンプ60の吸水口62に着脱可能に接続され、他端には着脱可能なストレーナ110が設けられている。
【0027】
吸水ホース100は、使用しないときには、環状にまとめて支持パイプ26、28のフック90に掛けられており(図1参照)、更に、環状にまとめた吸水ホース100が、図3(A)に示すように、バンド92で固定されている。吸水ホース100は、例えば、内径が40mmであり、長さが3mに設定されている。
【0028】
前記ストレーナ110は、図5(A)に示すように、吸水ホース100の一方の端部102に形成されたネジ部104(雄ネジ)に着脱可能に螺合する略筒状の内側フィルタ106を備えており、該内側フィルタ106には、複数の穴108が設けられている。また、内側フィルタ106の外側は、着脱可能な外側フィルタ112により覆われている。外側フィルタ112は、籠を編んだような略円筒状となっており、その上端側には布カバー114が設けられ、当該布カバー114の上端に沿って紐116が設けられている。従って、外側フィルタ112を内側フィルタ106に被せて紐116を縛ることにより、二重構造のストレーナ110を得ることができる。
【0029】
次に、図5(B)を参照してアタッチメント120について説明する。アタッチメント120は、フランジ126の一方の面側に、吸水ホース100のネジ部104と着脱可能に螺合する略円筒状のネジ部122(雌ネジ)が設けられており、フランジ126の他方の面側に、消火栓170のホース接続口172(図7参照)に着脱可能なネジ部124が設けられている。図示の例では、前記ネジ部122は、例えば、φ40mmの消防雌ネジであり、前記ネジ部124は、例えば、φ60mmのいわゆる町野式ネジである。
【0030】
次に、図6を参照して、本実施形態の青色回転灯及び作業灯について説明する。まず図6(A)に示すように、消火ユニット搭載型原動機付き自転車10の屋根18上には、青色回転灯130が設けられている。該青色回転灯130は、図6(B)に示すように、裏面にマグネット132を有しており、屋根18上に設けた鉄板134の範囲内で位置調整可能、かつ、屋根18から取り外し可能となっている。このような青色回転灯130は、例えば、消火現場への移動中に点灯される。
【0031】
前記青色回転灯130には、通電用のコード136の一端が接続され、当該コード136の他端は、図6(C)に示すように、運転席12のハンドル近くのインナーレッグカバー150の側面に設けられたスイッチ152に接続されている。このスイッチ152により、青色回転灯130の点灯のON/OFFを切り替えることができる。
【0032】
また、図6(D)に示すように、屋根後方であって、一対の支持パイプ26、28の間には、作業灯140(例えば、青色作業灯など)が設けられている。当該作業灯140の点灯のON/OFFの切り替えは、例えば、前記スイッチ152により行うようにしてもよいし、作業灯140用の別のスイッチによって行うようにしてもよい。
【0033】
以上のような消火ユニット搭載型原動機付き自転車10は、火災発生の報告を受け消火要員が、消防用ホース50を収納したリュック40を背負ったまま、運転して現場へ駆けつける。そして、現場の吸水源に応じて、吸水ホース100の先端のストレーナ110とアタッチメント120を交換して使用する。
【0034】
図7(A)に示すように、水源が貯水源160(例えば、バケツに汲んだ水、川、用水路、防火水槽など)の場合には、ストレーナ110を貯水源160に浸漬して、吸水ホース100の他端を可搬型ポンプ60の吸水口64に接続する。なお、図示しないが、可搬型ポンプ60の放水口62には、リュック40から取り出した消防用ホース50が接続される。そして、可搬型ポンプ60を駆動して、貯水源160から消火用水を吸い上げて、消防用ホース150へ送る。その際、二重フィルタ構造のストレーナ110を介して水が送られるため、落ち葉やゴミなどが混入することがない。このような作業中、屋根18の後部の作業灯140を点灯させておくと、暗い場所や夜間であっても適切な作業を行うことができる。
【0035】
次に、図7(B)に示すように、水源が消火栓170の場合には、ストレーナ110を取り外し、吸水ホース100の端部102のネジ部104に、アタッチメント120の一方のネジ部122を螺合して取り付け、アタッチメント120の他方のネジ部124を、消火栓170のホース接続口172に接続する。また、吸水ホース100の他端を可搬型ポンプ60の吸水口64に接続する。可搬型ポンプ60の放水口62には、リュック40から取り出した消防用ホース50が接続される。そして、可搬型ポンプ60を駆動して、消火栓170から直接消火用水を吸い上げて、消防用ホース150へ送る。このような作業中、屋根18の後部の作業灯140を点灯させておくと、暗い場所や夜間であっても適切な作業を行うことができる。
【0036】
このように、本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)一人用の運転室12の後部に架台20を有する消火ユニット搭載型原動機付き自転車10に、架台20に積載されており、吸水口64及び放水口62を有する可搬型ポンプ60と、該可搬型ポンプ60を駆動するポンプ駆動手段と、一端が可搬型ポンプ60の放水口62に着脱可能に接続され、他端から消火用水を放水する消防用ホース50と、一端が可搬型ポンプ60の吸水口64に着脱可能に接続され、他端に着脱可能にストレーナ110が設けられた吸水ホース100と、一端が前記ストレーナ110を取り外した吸水ホース100の端部102に着脱可能であって、他端が消火栓170のホース接続口172に着脱可能な口径を有するアタッチメント120を設けることとした。
【0037】
このため、ストレーナ110を装着した状態では、貯水源160から吸水し、ストレーナ110を外してアタッチメント120を取り付けることで消火栓170から直接水を供給するというように、消火作業現場の水源の状況に応じて、貯水源と消火栓の使い分けが可能となる。このため、初期消火に有効な十分な放水を継続して行うことができ、また、機動性にも富んでいる。
【0038】
(2)吸水ホース100の端部102に設けられたストレーナ110が、吸水ホース100の端部102に形成されたネジ部104(雄ネジ)と着脱可能に螺合する略円筒状の内側フィルタ106と、該内側フィルタ106の外側を着脱可能に覆う外側フィルタ112とからなる二重構造とした。このため、前記ストレーナ110を貯水源160に浸漬して水を吸い上げるときに、ゴミや落ち葉などの混入を防止することができる。
【0039】
(3)消防用ホース50を、運転者(消火活動を行う者)が背負うリュック40に収納することとしたので、運転者は、リュック40を背負ったまま消火ユニット搭載型原動機付き自動車10を運転して火災現場に移動し、速やかに消火活動を開始することができる。
【0040】
(4)可搬型ポンプ60を、固定金具によって架台20に固定するにあたり、固定金具(固定ステー80、82)をステンレス製としたので、耐久性が高く、錆びにくい。
【0041】
(5)運転室12の屋根18上に設けられた青色回転灯130と、運転室12の屋根18の後方に設けられた作業灯140と、これら青色回転灯130及び作業灯140のON/OFFを切り替えるスイッチ152を設けることとした。このため、青色回転灯130を点灯させることにより、火災現場へ移動中であることを周囲に知らせることができる。また、作業灯140を点灯することにより、暗い場所や夜間でも適切な作業を行うことができる。
【0042】
(6)本発明は、以上の効果に加え、更に、次の利点も有する。まず、免許の点について、普通の消防車の場合は、中型免許又は大型免許が必要である(かつ、中型免許等を取得するには、普通免許→準中型免許→中型免許と順を追う必要があり、誰でもが有する免許ではない)のに対し、本発明の場合は、原動機付き自転車免許もしくは普通免許で運用が可能である。
【0043】
また、機動性の面では、消防車などが入っていけない又は入りづらい場所(商店街やイベント会場など)にも入っていくことができる。このため、火事が悪化する前に消火できる可能性が高い。また、運転方法の面では、誰でも運転が可能なため、地方自治体や町内会などでも運用がしやすいという利点がある。更に、駐車場所の面では、原動機付き自転車扱いのため、駐輪場にも駐車することができる。また、ポンプの操作性の面では、本発明では、女性消防士でも操作可能な可搬型ポンプ60を積載しているため、使用するための訓練は必要ではあるが、消防車などの専門的な技術は不要であり、初期消火に動員する人数を増やすことができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施形態で示した消火ユニット搭載型原動機付き自転車10の形態は一例であり、同様の作用・効果を奏する範囲内で適宜変更してよい。
(2)前記実施形態で示した予備燃料ボトル94も一例であり、搭載数は必要に応じて適宜増減してよい。
(3)前記実施形態で示した青色回転灯130や作業灯140も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で、適宜設計変更してよい。
(4)前記実施形態では、消火ユニット搭載型原動機付き自転車10として三輪構造のものを利用したが、二輪車であってもよい。
(5)前記実施形態で示した各種ユニットに加え、他の消火グッズ(例えば、ボール状の消火剤など)を搭載してもよい。
(6)前記実施形態では、本発明の消火ユニット搭載型車両として、原動機付き自転車を例に挙げて説明したが、本発明は、電動バイク等の車両にも当然に適用可能である。この場合も、二輪車としてもよいし、三輪車としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、一人用の運転室の後部に架台を有する消火ユニット搭載型車両に、前記架台に積載されており、吸水口及び放水口を有する可搬型ポンプと、該可搬型ポンプを駆動するポンプ駆動手段と、一端が前記可搬型ポンプの放水口に着脱可能に接続され、他端から消火用水を放水する消防用ホースと、一端が前記可搬型ポンプの吸水口に着脱可能に接続され、他端に着脱可能にストレーナが設けられた吸水ホースと、一端が前記ストレーナを取り外した吸水ホースの他端に着脱可能であって、他端が消火栓のホース接続口に着脱可能な口径を有するアタッチメントと、を設けることとした。このため、ストレーナを装着した状態では、貯水源から吸水し、ストレーナを外してアタッチメントを取り付けることで消火栓から直接吸水することも可能であって、機動力にも富むことから、消火ユニット搭載型車両の用途に適用できる。特に、初期消火における消火活動に好適である。
【符号の説明】
【0046】
10:消火ユニット搭載型原動機付き自転車
12:運転室
14:座席
16:フロントガラス
18:屋根
20:架台
22:前輪
24:後輪
26、28:支持パイプ
30:フック
40:リュック
42:蓋
44:背負いベルト
46:ファスナー
50:消防用ホース
52:ポンプ接続口
60:可搬型ポンプ
62:放水口
64:吸水口
66:キャップ
70:底部フレーム
72、74:側部フレーム
76、78:ハンドルフレーム
80、82:固定ステー
80A:側部ステー
80B、80C:横方向ステー
80D:上部ステー
90:フック
92:バンド
94:予備燃料ボトル
100:吸水ホース
102:端部
104:ネジ部
106:内側フィルタ
108:穴
110:ストレーナ
112:外側フィルタ
114:布カバー
116:紐
120:アタッチメント
122:ネジ部(吸水ホース接続口)
124:ネジ部(消火栓接続口)
126:フランジ
130:青色回転灯
132:マグネット
134:鉄板
136:コード
140:作業灯
150:インナーレッグカバー
152:スイッチ
160:貯水源
170:消火栓
172:ホース接続口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7