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特開2022-136066睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136066
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20220908BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220908BHJP
【FI】
A61B5/16 130
A61B5/11 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034655
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】63/156,934
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼玉 圭樹
(72)【発明者】
【氏名】千住 太希
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 怡恒
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038VA15
4C038VB31
4C038VC20
(57)【要約】
【課題】2クラス分類の学習器を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を向上させる。
【解決手段】被験者の睡眠段階をマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する睡眠段階推定システムは、2クラス分類モデルと統合部とを備え、2クラス分類モデルには、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類モデルと、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類モデルと、被験者の振動を示すデータがNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類モデルとが含まれ、統合部は、予め定められた統合ルールに基づいて、WAKE分類モデルによる分類とREM分類モデルによる分類とNREM分類モデルによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータがどの睡眠段階に該当するかを推定する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する睡眠段階推定システムであって、
2クラス分類モデルと統合部とを備え、
前記2クラス分類モデルには、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類モデルと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類モデルと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類モデルとが含まれ、
前記WAKE分類モデルは、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、
前記REM分類モデルは、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、
前記NREM分類モデルは、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、
前記統合部は、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類モデルによる分類と前記REM分類モデルによる分類と前記NREM分類モデルによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する、
睡眠段階推定システム。
【請求項2】
前記複数の睡眠段階には、WAKE睡眠段階と、REM睡眠段階と、NREM1睡眠段階と、NREM2睡眠段階と、NREM3&4睡眠段階とが含まれ、
前記NREM分類モデルには、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM1分類モデルと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM2分類モデルと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM3&4分類モデルとが含まれ、
前記NREM1分類モデルは、NREM1睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、
前記NREM2分類モデルは、NREM2睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、
前記NREM3&4分類モデルは、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、
前記統合部は、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類モデルによる分類と前記REM分類モデルによる分類と前記NREM1分類モデルによる分類と前記NREM2分類モデルによる分類と前記NREM3&4分類モデルによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する、
請求項1に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項3】
前記WAKE分類モデル、前記REM分類モデル、前記NREM1分類モデル、前記NREM2分類モデルおよび前記NREM3&4分類モデルのそれぞれには、
マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータとして、
マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形を対数パワースペクトルに変換し、次いで、スペクトログラムに変換した画像データが入力される、
請求項2に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項4】
前記WAKE分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記WAKE分類モデルの全結合層は前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記WAKE分類モデルの出力層は、前記WAKE分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記REM分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記REM分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記REM分類モデルの全結合層は前記REM分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記REM分類モデルの出力層は、前記REM分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM1分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM1分類モデルの全結合層は前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記NREM1分類モデルの出力層は、前記NREM1分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM2分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM2分類モデルの全結合層は前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記NREM2分類モデルの出力層は、前記NREM2分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM3&4分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM3&4分類モデルの全結合層は前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記NREM3&4分類モデルの出力層は、前記NREM3&4分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する、
請求項3に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項5】
前記WAKE分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記WAKE分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記WAKE分類モデルの全結合層は前記WAKE分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、 前記WAKE分類モデルの出力層は、前記WAKE分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記REM分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記REM分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記REM分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記REM分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記REM分類モデルの全結合層は前記REM分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、
前記REM分類モデルの出力層は、前記REM分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM1分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM1分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記NREM1分類モデルの全結合層は前記NREM1分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、
前記NREM1分類モデルの出力層は、前記NREM1分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM2分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM2分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記NREM2分類モデルの全結合層は前記NREM2分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、
前記NREM2分類モデルの出力層は、前記NREM2分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM3&4分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM3&4分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記NREM3&4分類モデルの全結合層は前記NREM3&4分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、
前記NREM3&4分類モデルの出力層は、前記NREM3&4分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する、
請求項3に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項6】
前記WAKE分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記WAKE分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記WAKE分類モデルの全結合層は前記WAKE分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、
前記WAKE分類モデルの出力層は、前記WAKE分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記REM分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記REM分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記REM分類モデルの全結合層は前記REM分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記REM分類モデルの出力層は、前記REM分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM1分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、
前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM1分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、
前記NREM1分類モデルの全結合層は前記NREM1分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、
前記NREM1分類モデルの出力層は、前記NREM1分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM2分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM2分類モデルの全結合層は前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記NREM2分類モデルの出力層は、前記NREM2分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、
前記NREM3&4分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、
前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、
前記NREM3&4分類モデルの全結合層は前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、
前記NREM3&4分類モデルの出力層は、前記NREM3&4分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する、
請求項3に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項7】
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つの分類結果のみがPositive(肯定的)である場合に、
前記統合部は、被験者の振動を示すデータが、Positiveな分類結果に対応する睡眠段階に該当すると推定する、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項8】
前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果と、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果とが共にPositiveである場合であって、
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に、
前記統合部は、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定する、
請求項7に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項9】
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のみがPositiveである場合に、
前記統合部は、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定する、
請求項8に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項10】
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つの分類結果のみがPositiveである場合に該当せず、かつ、
前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果と、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果とが共にPositiveであって、
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に該当せず、かつ、
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のみがPositiveである場合に該当せず、かつ、
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちのPositiveである分類結果が複数存在するときに、
前記統合部は、
Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階に「NREM2睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、WAKE睡眠段階、NREM3&4睡眠段階」の順序で優先順位をつけ、
被験者の振動を示すデータが、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階のうちの最も高い優先順位を有する睡眠段階に該当すると推定する、
請求項9に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項11】
前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegative(否定的)であって、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeである場合に、
前記統合部は、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に該当すると推定する、
請求項10に記載の睡眠段階推定システム。
【請求項12】
被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する睡眠段階推定方法であって、
2クラス分類ステップと統合ステップとを備え、
前記2クラス分類ステップには、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類ステップと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類ステップと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類ステップとが含まれ、
前記WAKE分類ステップの実行前には、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、
前記REM分類ステップの実行前には、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、
前記NREM分類ステップの実行前には、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、
前記統合ステップでは、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類ステップにおける分類と前記REM分類ステップにおける分類と前記NREM分類ステップによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかが推定される、
睡眠段階推定方法。
【請求項13】
コンピュータに、
2クラス分類ステップと統合ステップとを実行させることによって、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定させるためのプログラムであって、
前記2クラス分類ステップには、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類ステップと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類ステップと、
被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類ステップとが含まれ、
前記WAKE分類ステップの実行前には、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、
前記REM分類ステップの実行前には、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、
前記NREM分類ステップの実行前には、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、
前記統合ステップでは、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類ステップにおける分類と前記REM分類ステップにおける分類と前記NREM分類ステップによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかが推定される、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
経済協力開発機構「GENDER EQUALITY」Gender Data Portal 2019.(https://www.oecd.org/gender/data/)によると、日本の睡眠時間は最短である。また、厚生労働省の国民調査(厚生労働省、平成26年「国民健康・栄養調査」(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html)によると、一般成人の5人に1人が何らかの睡眠の悩みを持ち、十分な睡眠を取れていないと推計される。睡眠不足が積み重なると、睡眠負債という状態になり、うつ病、認知症、生活習慣病などの病気の発症リスクを高める可能性がある。個人が健康でいるためや、国の医療費を削減するためにも睡眠に関する問題は早期に改善されるべきである。
睡眠に関する問題を発見するためには、終夜睡眠ポリグラフ(Polysomnography:PSG)検査によって取得された脳波計、筋電図、眼球運動などの生体データを用いて、WAKE(覚醒)、REM(レム)、Non-REM(NREM)(ノンレム)1~NREM4の6段階に分類される睡眠段階を導出して分析する必要がある。しかし、このPSG検査には、頭部や身体に複数の電極を取り付ける必要があり、被験者に対する身体・精神的負担が非常に大きく、普段の睡眠のデータを取得できない問題がある。このような問題から、PSG検査に代わるマットセンサの上に寝るだけで睡眠段階を推定できるような簡易的な検査方法に対する需要が高まっている。例えば、無拘束型の睡眠段階推定法として、マットセンサをマットレスの下に設置し、取得したセンサ値(生体振動データ)を分析することで睡眠の質を解析することや、アクチグラフ(腕時計型の加速度センサ)を被験者に取り付けて生体振動データを分析することがあげられる。
【0003】
それらの先行研究として、非特許文献1には、マットセンサから得られた生体振動データから抽出された心拍の中周波成分と睡眠段階に相関性があることが記載されている。
非特許文献2に記載された技術では、アクチグラフから取得した心拍変動から時間領域と周波数領域の特徴量が設計され、Random Forestによって、WAKE、REM、NREMの3段階の分類が行われている。
しかし、これらの方法は推定精度に限界があり、実応用に展開できるレベルに至っていないため、より精度の高い推定精度の実現が求められる。特に、心拍や体動のみでは生体振動データに含まれる他の情報を活用できないため、マットセンサなどから取得できる全ての生体振動データ(呼吸、心拍、体動の振動などの複数の振動を混合した生体振動データ)を分析することが重要となる。
【0004】
特許文献1には、眠りの深さを表す指標である睡眠段階を推定する技術について記載されている。詳細には、特許文献1には、推定フェーズにおいて、心電計から入力された心電図データをもとに心拍変動特徴量算出部により算出された心拍変動特徴ベクトルと、加速度計から入力された加速度データをもとに加速度特徴量算出部により算出された加速度特徴ベクトルと、モデルデータベースの各テーブルに記憶されている情報、姿勢判定部による加速度データから判定した覚醒状態とを用いて、n秒ごとの睡眠段階(WAKE、REM、NREM)を推定する旨が記載されている。
また、特許文献1には、学習フェーズでは、被験者の脳波、筋電、心電波形、加速度を計測しながら、医療従事者等の測定者がn秒ごとに被験者の睡眠段階を目視観察してその観察結果を「睡眠段階の正解ラベル」として入力部により入力する旨が記載されている。
【0005】
しかしながら、各睡眠段階の特徴は全く異なり、1つの分類器・学習器(例えばCNN(畳み込みニューラルネットワーク)等)で多クラス分類を学習させることは難しい。つまり、例えば、あるCNNは、WAKEの分類は得意だが、REMの分類は不得意であるなどの得意・不得意を有する。
そのため、従来技術によっては、2クラス分類の学習器を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を十分に向上させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-048150号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】T. Watanabe and K. Watanabe. “Estimation of the Sleep Stages by the Non-Restrictive Air Mattress Sensor” Transactions of the Society of Instrument and Control Engineers, Vol. 37, No. 9, pp. 821-828, 2001.
【非特許文献2】Xiao, Meng, et al. “Sleep stages classification based on heart rate variability and random forest” Biomedical Signal Processing and Control 8.6 (2013): 624-633.
【非特許文献3】A. Rechtschaffen and A. Kales, “A manual of Stand-ardized terminology, Techniques and Scoring System for Sleep Stages of Human Subjects,” Public Health Service US Gov. Printing Office, Washington, DC, 1968.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した点に鑑み、本発明は、2クラス分類の学習器を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を向上させることができる睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する睡眠段階推定システムであって、2クラス分類モデルと統合部とを備え、前記2クラス分類モデルには、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類モデルと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類モデルと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類モデルとが含まれ、前記WAKE分類モデルは、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、前記REM分類モデルは、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、前記NREM分類モデルは、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、前記統合部は、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類モデルによる分類と前記REM分類モデルによる分類と前記NREM分類モデルによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する、睡眠段階推定システムである。
【0010】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記複数の睡眠段階には、WAKE睡眠段階と、REM睡眠段階と、NREM1睡眠段階と、NREM2睡眠段階と、NREM3&4睡眠段階とが含まれ、前記NREM分類モデルには、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM1分類モデルと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM2分類モデルと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM3&4分類モデルとが含まれ、前記NREM1分類モデルは、NREM1睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、前記NREM2分類モデルは、NREM2睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、前記NREM3&4分類モデルは、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行い、前記統合部は、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類モデルによる分類と前記REM分類モデルによる分類と前記NREM1分類モデルによる分類と前記NREM2分類モデルによる分類と前記NREM3&4分類モデルによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定してもよい。
【0011】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデル、前記REM分類モデル、前記NREM1分類モデル、前記NREM2分類モデルおよび前記NREM3&4分類モデルのそれぞれには、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータとして、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形を対数パワースペクトルに変換し、次いで、スペクトログラムに変換した画像データが入力されてもよい。
【0012】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記WAKE分類モデルの全結合層は前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記WAKE分類モデルの出力層は、前記WAKE分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記REM分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記REM分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記REM分類モデルの全結合層は前記REM分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記REM分類モデルの出力層は、前記REM分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM1分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM1分類モデルの全結合層は前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記NREM1分類モデルの出力層は、前記NREM1分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM2分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM2分類モデルの全結合層は前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記NREM2分類モデルの出力層は、前記NREM2分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM3&4分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM3&4分類モデルの全結合層は前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記NREM3&4分類モデルの出力層は、前記NREM3&4分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力してもよい。
【0013】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記WAKE分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記WAKE分類モデルの全結合層は前記WAKE分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記WAKE分類モデルの出力層は、前記WAKE分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記REM分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記REM分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記REM分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記REM分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記REM分類モデルの全結合層は前記REM分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記REM分類モデルの出力層は、前記REM分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM1分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM1分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記NREM1分類モデルの全結合層は前記NREM1分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記NREM1分類モデルの出力層は、前記NREM1分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM2分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM2分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記NREM2分類モデルの全結合層は前記NREM2分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記NREM2分類モデルの出力層は、前記NREM2分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM3&4分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM3&4分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記NREM3&4分類モデルの全結合層は前記NREM3&4分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記NREM3&4分類モデルの出力層は、前記NREM3&4分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力してもよい。
【0014】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記WAKE分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記WAKE分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記WAKE分類モデルの全結合層は前記WAKE分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記WAKE分類モデルの出力層は、前記WAKE分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記REM分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記REM分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記REM分類モデルの全結合層は前記REM分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記REM分類モデルの出力層は、前記REM分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM1分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層と、アテンション機構とを備え、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM1分類モデルのアテンション機構は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、前記NREM1分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習し、前記NREM1分類モデルの全結合層は前記NREM1分類モデルのアテンション機構で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、前記NREM1分類モデルの出力層は、前記NREM1分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM2分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM2分類モデルの全結合層は前記NREM2分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記NREM2分類モデルの出力層は、前記NREM2分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力し、前記NREM3&4分類モデルは、インセプションモジュールと、全結合層と、出力層とを備え、前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールは、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴を特徴量として学習し、前記NREM3&4分類モデルの全結合層は前記NREM3&4分類モデルのインセプションモジュールで学習した特徴量をすべて結合し、前記NREM3&4分類モデルの出力層は、前記NREM3&4分類モデルの全結合層で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力してもよい。
【0015】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つの分類結果のみがPositive(肯定的)である場合に、前記統合部は、被験者の振動を示すデータが、Positiveな分類結果に対応する睡眠段階に該当すると推定してもよい。
【0016】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果と、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果とが共にPositiveである場合であって、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に、前記統合部は、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定してもよい。
【0017】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のみがPositiveである場合に、前記統合部は、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定してもよい。
【0018】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つの分類結果のみがPositiveである場合に該当せず、かつ、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果と、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果とが共にPositiveであって、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に該当せず、かつ、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のみがPositiveである場合に該当せず、かつ、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちのPositiveである分類結果が複数存在するときに、前記統合部は、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階に「NREM2睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、WAKE睡眠段階、NREM3&4睡眠段階」の順序で優先順位をつけ、被験者の振動を示すデータが、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階のうちの最も高い優先順位を有する睡眠段階に該当すると推定してもよい。
【0019】
本発明の一態様の睡眠段階推定システムでは、前記WAKE分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegative(否定的)であって、前記REM分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、前記NREM1分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、前記NREM2分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、前記NREM3&4分類モデルの出力層から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeである場合に、前記統合部は、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に該当すると推定してもよい。
【0020】
本発明の一態様は、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する睡眠段階推定方法であって、2クラス分類ステップと統合ステップとを備え、前記2クラス分類ステップには、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類ステップと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類ステップと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類ステップとが含まれ、前記WAKE分類ステップの実行前には、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、前記REM分類ステップの実行前には、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、前記NREM分類ステップの実行前には、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、前記統合ステップでは、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類ステップにおける分類と前記REM分類ステップにおける分類と前記NREM分類ステップによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかが推定される、睡眠段階推定方法である。
【0021】
本発明の一態様は、コンピュータに、2クラス分類ステップと統合ステップとを実行させることによって、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定させるためのプログラムであって、前記2クラス分類ステップには、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うWAKE分類ステップと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うREM分類ステップと、被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行うNREM分類ステップとが含まれ、前記WAKE分類ステップの実行前には、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、前記REM分類ステップの実行前には、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、前記NREM分類ステップの実行前には、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習が行われ、前記統合ステップでは、予め定められた統合ルールに基づいて、前記WAKE分類ステップにおける分類と前記REM分類ステップにおける分類と前記NREM分類ステップによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、前記複数の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかが推定される、プログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2クラス分類の学習器を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を向上させることができる睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一夜分の睡眠段階の例を示す図である。
図2】インセプションモジュールを説明するための図である。
図3】アテンション機構を有するニューラルネットワークの一例を示す図である。
図4】第1実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図5】睡眠段階推定システム1に入力される被験者の振動を示すデータを生成する処理の一例を示す図である。
図6】第1実施形態の睡眠段階推定システム1において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図8】第3実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図9】実施例において検証した第1実施形態の睡眠段階推定システム1におけるスペクトログラムの画像データの流れを示す図である。
図10】実施例において第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1の各分類モデルの教師あり学習に用いられた生体振動データを提供した被験者の年齢、各睡眠段階の数を示す図である。
図11】実施例において行われた2クラス分類の正解率(accuracy)、適合率(precision)、再現率(recall)、F値(f-measure)の3回の平均を示す図である。
図12】5クラス分類のCNNの正確性と第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1の正確性とを比較して示した図である。
図13】実施例において検証した第2実施形態の睡眠段階推定システム1におけるスペクトログラムの画像データの流れを示す図である。
図14】WAKE分類モデル11Aのアテンション機構11A4によって生成されたアテンションマスク(13×13)とWAKE分類モデル11Aに入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図15】NREM1分類モデル11C-1のアテンション機構11C-14によって生成されたアテンションマスク(13×13)とNREM1分類モデル11C-1に入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図16】REM分類モデル11Bのアテンション機構11B4によって生成されたアテンションマスク(13×13)とREM分類モデル11Bに入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図17】NREM2分類モデル11C-2のアテンション機構11C-24によって生成されたアテンションマスク(13×13)とNREM2分類モデル11C-2に入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図18】第1実施形態の睡眠段階推定システム1にアンサンブル学習の概念を当てはめた図である。
図19】第4実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムの実施形態について説明する前に、本発明の睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムによって推定される睡眠段階などについて説明する。
【0025】
睡眠段階は、脳波、眼球運動図、 筋電図などの生体データをもとに、Rechtscaffen and Kales法(非特許文献3参照)よって推定され、浅い睡眠から深い睡眠にかけて、WAKE(浅い睡眠)、REM、NREM1~NREM4の6段階で表現される(NREM3とNREM4をNREM3&4と合わせることも多い)。
【0026】
図1は一夜分の睡眠段階の例を示す図である。図1において、縦軸は睡眠段階、横軸は時間を表す。
各睡眠段階に現れる一般的な生理学的特徴は次の通りである。WAKEは最も浅い睡眠段階であり、寝返りなどの体動が出現しやすい。REMは急速眼球運動を伴う睡眠段階であり、筋肉の緊張がなくなり、体動が生じにくい特徴と、心拍や呼吸などの自律神経機能が乱れやすい特徴がある。NREMは筋肉の緊張が保たれ、NREMの内で最も睡眠が浅いNREM1に体動が出現しやすく、NREM2~NREM3&4では、体動が出現しにくくなる。また、睡眠が深くなるほど、心拍や呼吸などの自律神経機能が安定する特徴がある。
【0027】
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は画像認識タスクに対して高い性能を示すニューラルネットワークである。このニューラルネットワークは全結合のニューラルネットワークと比較してスパースな結合を持っている。画像の位置(i,j)の値をzij、サイズH×Hの畳み込みフィルタの画像の位置(p,q)の値をhpqとすると畳み込み後の新しい入力は(1)式のように表せる。
【0028】
【数1】
【0029】
モデルの活性化関数をfとすると次の層の入力z’は(2)式のように表せる。
【0030】
【数2】
【0031】
またプーリング層では畳み込み層で得られた局所的なパターンを平行移動などの位置ずれにロバストにするために用いられる。入力画像の(i,j)の位置を中心としたH×Hの大きさのPijに対して、最大プーリングは入力z’pqに対して出力u’ijは(3)式のように表せる。
【0032】
【数3】
【0033】
以上のような畳み込み層→活性化関数→プーリング層の処理を繰り返すことで畳み込みニューラルネットワークは構築される。
インセプションモジュール(Inception module)はGoogLeNetで最初に導入されたネットワークの幅を活用したモデルである。
【0034】
図2はインセプションモジュールを説明するための図である。
図2では、Previous layerからの入力に対して4箇所で処理をする。このモジュール1つで様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行うことができ、深層化せずとも高いパターン認識能力を実現できる。後述する本発明者等の鋭意研究においては、インセプションモジュールを複数重ねたInception-v3と呼ばれるモデルの一部を使用した。Inception-v3とは深さが48層の畳み込みニューラルネットワークである。100万枚を超えるイメージで学習させた事前学習済みのネットワークを、ImageNetデータベースから読み込むことができる。この事前学習済みのネットワークは、イメージを1000個のオブジェクトカテゴリに分類できる。本発明者等の鋭意研究においてはInception-v3の中間層を取り出し全結合層(FC)で結合し、睡眠段階を分類するモデルを作成する。
【0035】
図3はアテンション機構を有するニューラルネットワークの一例を示す図である。アテンション機構は、入力の重要なポイントを可視化するネットワーク構造である。
図3に示す例では、アテンション機構が、画像データを基に多クラス分類を行うニューラルネットワーク内に備えられ、画像データのある領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。
詳細には、図3に示す例では、インセプションモジュールが、入力された画像に対して処理を行い、特徴量マップを作成する。アテンション機構は、特徴量マップに対して畳み込み演算を行い、アテンションマスクを出力する。アテンション機構から出力されたアテンションマスクおよびインセプションモジュールから出力された特徴量マップの要素同士の積を取ることによって、注目すべき領域を考慮した特徴量マップが作成される。
【0036】
以下、本発明の睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムの実施形態について説明する。
【0037】
[第1実施形態]
図4は第1実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図4に示す例では、第1実施形態の睡眠段階推定システム1が、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する。睡眠段階推定システム1による被検者の睡眠段階の推定に使用されるマットセンサは、例えば一般名称「体動センサ」と称されているセンサ等である。睡眠段階推定システム1による被検者の睡眠段階の推定には、例えば下記のURLが示すマットセンサ等を用いることができる。
https://www.tanita.co.jp/product/g/_TSL504WH/
https://www.sumitomoriko.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/03/n51910487.pdf
http://www.artdata.co.jp/it_product/it_pr_seitai.html
https://www.hosoda-sensor.com/system/micro/
http://hero-x.jp/article/10636/
【0038】
睡眠段階推定システム1による被検者の睡眠段階の推定に使用されるマットセンサのサンプリング周波数は例えば16Hzである。そのため、例えば周波数解析を行うことによって0~8Hzに含まれる生体データ(呼吸・心拍・体動)を取得することができる。
【0039】
図5は睡眠段階推定システム1に入力される被験者の振動を示すデータを生成する処理の一例を示す図である。
図5に示す例では、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形(図5の左上側部分)に対して周波数解析および正規化が行われる。まず、離散フーリエ変換(DST)をするために短時間窓(ハニング窓)(図5の中央上側部分)が取られ、次に高速フーリエ変換(FFT)(図5の右上側部分)が行われる。
PSG検査では、30秒間の様々な生体データを総合して睡眠段階が決定される点に鑑み、図5に示す例では、ハニング窓の幅が例えば64秒に設定されている(詳細には、FFTの計算のために2の累乗に設定されている)。
【0040】
また、図5に示す例では、ストライド間隔が、データの重複を避けるために64秒間隔に設定されている。つまり、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の連続的な時間波形(図5の左上側部分)から、64秒間分のサンプルが、64秒間隔で抽出される。
図5に示す例では、次に、細かい成分を拡大するために、高速フーリエ変換(FFT)の結果であるパワースペクトル(図5の右上側部分)が対数スケールに変換され、最大値・最小値を[1,最小値/最大値]にスケールするように正規化が行われ、対数パワースペクトル(図5の右下側部分)が生成される。図5の右下側部分に示す対数パワースペクトルは、図5の左上側部分に示す64秒間の被験者の振動の時間波形を変換することによって得られたものである。
次に、図5の右下側部分に示す対数パワースペクトルを上部から並べたものが、図5の左下側部分に示すスペクトログラムの矩形枠で囲まれた部分に相当する。図5の左下側部分に示すスペクトログラムでは、高い値ほど図5の左下側部分の上側に位置する。図5の右下側部分に示すような対数パワースペクトルを上部から並べる操作を0.25秒ずつ128回ずらしながら行うことによって、図5の左下側部分に示すスペクトログラム(詳細には、縦軸512個×横軸128個の正規化対数スペクトログラム)が生成される。
【0041】
図4および図5に示す例では、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータとして、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形(図5の左上側部分)を対数パワースペクトル(図5の右下側部分)に変換し、次いで、スペクトログラム(図5の左下側部分)に変換した画像データが、睡眠段階推定システム1に入力される(詳細には、後述するWAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3のそれぞれに入力される)。
図4および図5に示す例では、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータとして、スペクトログラム(図5の左下側部分)に変換した画像データが睡眠段階推定システム1に入力されるが、他の例では、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータとして、スペクトログラム以外のデータ(例えば対数パワースペクトル(図5の右下側部分)など)が睡眠段階推定システム1に入力されてもよい。
【0042】
図4に示す例では、睡眠段階推定システム1が、2クラス分類モデル11と、統合部12とを備えている。2クラス分類モデル11は、被験者の振動を示すデータが所定のクラスに分類されるか否かの2クラス分類を行う(詳細には、後述するように、WAKE睡眠段階に分類されるか否か、REM睡眠段階に分類されるか否か、NREM1睡眠段階に分類されるか否か、NREM2睡眠段階に分類されるか否か、および、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの2クラス分類を行う)。2クラス分類モデル11は、WAKE分類モデル11Aと、REM分類モデル11Bと、NREM分類モデル11Cとを備えている。
WAKE分類モデル11Aは、被験者の振動を示すデータ(詳細には、睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、WAKE分類モデル11Aは、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、WAKE分類モデル11Aは、2クラス分類の学習器によって構成される。
WAKE分類モデル11Aは、インセプションモジュール11A1と、全結合層11A2と、出力層11A3とを備えている。インセプションモジュール11A1は、WAKE分類モデル11Aに入力された被験者の振動を示すデータ(詳細には、図5の左下側部分に示すようなスペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11A1から出力された特徴量マップは、全結合層11A2に入力される。全結合層11A2は、ニューラルネットワークの構成要素の1つであり、出力層11A3に接続されている。出力層11A3は、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、WAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習し、WAKE分類モデル11Aの全結合層11A2はWAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1で学習した特徴量をすべて結合し、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3は、WAKE分類モデルの全結合層11A2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0043】
REM分類モデル11Bは、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、REM分類モデル11Bは、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、REM分類モデル11Bは、2クラス分類の学習器によって構成される。
REM分類モデル11Bは、インセプションモジュール11B1と、全結合層11B2と、出力層11B3とを備えている。インセプションモジュール11B1は、REM分類モデル11Bに入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11B1から出力された特徴量マップは、全結合層11B2に入力される。全結合層11B2は、出力層11B3に接続されている。出力層11B3は、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、REM分類モデル11Bのインセプションモジュール11B1は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習し、REM分類モデル11Bの全結合層11B2はREM分類モデル11Bのインセプションモジュール11B1で学習した特徴量をすべて結合し、REM分類モデル11Bの出力層11B3は、NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0044】
NREM分類モデル11Cは、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのNREM睡眠段階(NREM睡眠段階には、NREM1睡眠段階とNREM2睡眠段階とNREM3&4睡眠段階とが含まれる。)に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、NREM分類モデル11Cは、被験者の振動を示すデータがNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。
NREM分類モデル11Cは、NREM1分類モデル11C-1と、NREM2分類モデル11C-2と、NREM3&4分類モデル11C-3とを備えている。
【0045】
NREM1分類モデル11C-1は、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、NREM1分類モデル11C-1は、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、NREM1睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、NREM1分類モデル11C-1は、2クラス分類の学習器によって構成される。
NREM1分類モデル11C-1は、インセプションモジュール11C-11と、全結合層11C-12と、出力層11C-13とを備えている。インセプションモジュール11C-11は、NREM1分類モデル11C-1に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-11から出力された特徴量マップは、全結合層11C-12に入力される。全結合層11C-12は、出力層11C-13に接続されている。出力層11C-13は、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM1分類モデル11C-1のインセプションモジュール11C-11は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習し、NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12はNREM1分類モデル11C-1のインセプションモジュール11C-11で学習した特徴量をすべて結合し、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13は、NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0046】
NREM2分類モデル11C-2は、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、NREM2分類モデル11C-2は、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、NREM2睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、NREM2分類モデル11C-2は、2クラス分類の学習器によって構成される。
NREM2分類モデル11C-2は、インセプションモジュール11C-21と、全結合層11C-22と、出力層11C-23とを備えている。インセプションモジュール11C-21は、NREM2分類モデル11C-2に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-21から出力された特徴量マップは、全結合層11C-22に入力される。全結合層11C-22は、出力層11C-23に接続されている。出力層11C-23は、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM2分類モデル11C-2のインセプションモジュール11C-21は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習し、NREM2分類モデル11C-2の全結合層11C-22はNREM2分類モデル11C-2のインセプションモジュール11C-21で学習した特徴量をすべて結合し、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23は、NREM2分類モデル11C-2の全結合層11C-22で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0047】
NREM3&4分類モデル11C-3は、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、NREM3&4分類モデル11C-3は、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、NREM3&4分類モデル11C-3は、2クラス分類の学習器によって構成される。
NREM3&4分類モデル11C-3は、インセプションモジュール11C-31と、全結合層11C-32と、出力層11C-33とを備えている。インセプションモジュール11C-31は、NREM3&4分類モデル11C-3に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-31から出力された特徴量マップは、全結合層11C-32に入力される。全結合層11C-32は、出力層11C-33に接続されている。出力層11C-33は、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習し、NREM3&4分類モデル11C-3の全結合層11C-32はNREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31で学習した特徴量をすべて結合し、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33は、NREM3&4分類モデル11C-3の全結合層11C-32で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0048】
統合部12は、予め定められた統合ルールに基づいて、WAKE分類モデル11Aによる分類とREM分類モデル11Bによる分類とNREM分類モデル11Cによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータ(詳細には、WAKE分類モデル11Aによる分類とREM分類モデル11Bによる分類とNREM1分類モデル11C-1による分類とNREM2分類モデル11C-2による分類とNREM3&4分類モデル11C-3による分類とが行われた被験者の振動を示すデータ)が、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0049】
本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、WAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3のうちの1つの分類モデルのみが、被験者の振動を示すデータが自らの分類モデルに対応する睡眠段階に分類されると判断する場合(つまり、Positive(肯定的)な分類結果を出力する場合)に、被験者の実際の睡眠段階(PSG検査結果などに基づいて分類される睡眠段階)と、Positiveな分類結果を出力した分類モデルに対応する睡眠段階とが一致する確率が最も高いことを見い出した。
すなわち、本発明者等は、WAKE分類モデル11AのみがPositiveな分類結果を出力する時には被験者の実際の睡眠段階がWAKE睡眠段階であり、REM分類モデル11BのみがPositiveな分類結果を出力する時には被験者の実際の睡眠段階がREM睡眠段階であり、NREM1分類モデル11C-1のみがPositiveな分類結果を出力する時には被験者の実際の睡眠段階がNREM1睡眠段階であり、NREM2分類モデル11C-2のみがPositiveな分類結果を出力する時には被験者の実際の睡眠段階がNREM2睡眠段階であり、NREM3&4分類モデル11C-3のみがPositiveな分類結果を出力する時には被験者の実際の睡眠段階がNREM3&4睡眠段階である確率が最も高いことを見い出した。
【0050】
その点に鑑み、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定し、REM分類モデル11Bの出力層11B3のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定し、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に該当すると推定し、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に該当すると推定し、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に該当すると推定する(「第1統合ルール」)。
換言すれば、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つの分類結果のみがPositiveである場合に、被験者の振動を示すデータが、Positiveな分類結果に対応する睡眠段階に該当すると推定する(「第1統合ルール」)。
【0051】
また、本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、REM分類モデル11Bの出力層11B3がPositiveな分類結果(被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類される旨の分類結果)を出力すると共に、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23がPositiveな分類結果(被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類される旨の分類結果)を出力する場合であって、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3が出力する分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13が出力する分類結果およびNREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33が出力する分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に、被験者の実際の睡眠段階がREM睡眠段階である確率が最も高いことを見い出した。
【0052】
その点に鑑み、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、REM分類モデル11Bの出力層11B3がPositiveな分類結果を出力すると共に、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23がPositiveな分類結果を出力する場合であって、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3が出力する分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13が出力する分類結果およびNREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33が出力する分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定する(「第2統合ルール」)。
換言すれば、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果と、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果とが共にPositiveである場合であって、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定する(「第2統合ルール」)。
【0053】
また、本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3がPositiveな分類結果(被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類される旨の分類結果)を出力し、REM分類モデル11Bの出力層11B3がNegative(否定的)な分類結果(被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されない旨の分類結果)を出力し、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13がPositiveな分類結果(被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類される旨の分類結果)を出力し、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23がNegativeな分類結果(被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されない旨の分類結果)を出力し、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33がNegativeな分類結果(被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されない旨の分類結果)を出力する場合に、被験者の実際の睡眠段階がWAKE睡眠段階である確率が最も高いことを見い出した。
すなわち、本発明者等は、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される分類結果およびNREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される分類結果のみがPositiveな分類結果である場合に、被験者の実際の睡眠段階がWAKE睡眠段階であることを見い出した。
【0054】
その点に鑑み、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3がPositiveな分類結果を出力し、REM分類モデル11Bの出力層11B3がNegativeな分類結果を出力し、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13がPositiveな分類結果を出力し、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23がNegativeな分類結果を出力し、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33がNegativeな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定する(「第3統合ルール」)。
換言すれば、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のみがPositiveである場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定する(「第3統合ルール」)。
【0055】
また、本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、「第1統合ルール」に当てはまらず、かつ、「第2統合ルール」に当てはまらず、かつ、「第3統合ルール」に当てはまらない場合、被験者の実際の睡眠段階(PSG検査結果などに基づいて分類される睡眠段階)とNREM2睡眠段階とが一致する確率が最も高く、被験者の実際の睡眠段階とREM睡眠段階とが一致する確率が2番目に高く、被験者の実際の睡眠段階とNREM1睡眠段階とが一致する確率が3番目に高く、被験者の実際の睡眠段階とWAKE睡眠段階とが一致する確率が4番目に高く、被験者の実際の睡眠段階とNREM3&4睡眠段階とが一致する確率が最も低いことを見い出した。
【0056】
その点に鑑み、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つの分類結果のみがPositiveである場合に該当せず(つまり、「第1統合ルール」に当てはまらず)、かつ、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果と、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果とが共にPositiveであって、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に該当せず(つまり、「第2統合ルール」に当てはまらず)、かつ、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のみがPositiveである場合に該当せず(つまり、「第3統合ルール」に当てはまらず)、かつ、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちのPositiveである分類結果が複数存在するときに、統合部12は、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階に「NREM2睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、WAKE睡眠段階、NREM3&4睡眠段階」の順序で優先順位をつけ、被験者の振動を示すデータが、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階のうちの最も高い優先順位を有する睡眠段階に該当すると推定する(「第4統合ルール」)。
【0057】
また、本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、WAKE分類モデル11AがNegativeな分類結果を出力し、かつ、REM分類モデル11BがNegativeな分類結果を出力し、かつ、NREM1分類モデル11C-1がNegativeな分類結果を出力し、かつ、NREM2分類モデル11C-2がNegativeな分類結果を出力し、かつ、NREM3&4分類モデル11C-3がNegativeな分類結果を出力する場合に、被験者の実際の睡眠段階(PSG検査結果などに基づいて分類される睡眠段階)とNREM2睡眠段階とが一致する確率が最も高いことを見い出した。
【0058】
その点に鑑み、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeである場合に、統合部12は、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に該当すると推定する(「第5統合ルール」)。
【0059】
図6は第1実施形態の睡眠段階推定システム1において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図6(A)に示す例では、ステップS1において、学習ステップが実行される。詳細には、ステップS1Aにおいて、WAKE分類モデル11Aが、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。
ステップS1Bでは、REM分類モデル11Bが、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。
ステップS1C-1では、NREM1分類モデル11C-1が、NREM1睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。
ステップS1C-2では、NREM2分類モデル11C-2が、NREM2睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。
ステップS1C-3では、NREM3&4分類モデル11C-3が、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。
【0060】
図6(B)に示す例では、ステップS1とは独立して、ステップS2において、学習ステップが適用された被験者とは異なる被験者に対して、分類ステップが実行される。詳細には、ステップS2Aにおいて、WAKE分類モデル11Aが、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
ステップS2Bでは、REM分類モデル11Bが、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
ステップS2C-1では、NREM1分類モデル11C-1が、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
ステップS2C-2では、NREM2分類モデル11C-2が、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
ステップS2C-3では、NREM3&4分類モデル11C-3が、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
【0061】
次いで、ステップS3では、ステップS2Aにおける分類結果とステップS2Bにおける分類結果とステップS2C-1における分類結果とステップS2C-2における分類結果とステップS2C-3における分類結果とを統合する統合ステップが実行される。詳細には、ステップS3において、統合部12は、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」と、ステップS2Aにおける分類結果と、ステップS2Bにおける分類結果と、ステップS2C-1における分類結果と、ステップS2C-2における分類結果と、ステップS2C-3における分類結果とに基づいて、被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0062】
上述したように、第1実施形態の睡眠段階推定システム1では、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」を適用することにより、2クラス分類の学習器(WAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2、NREM3&4分類モデル11C-3)を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を向上させることができる。
【0063】
[第2実施形態]
以下、本発明の睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の睡眠段階推定システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の睡眠段階推定システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様の効果を奏することができる。
【0064】
図7は第2実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図7に示す例では、第2実施形態の睡眠段階推定システム1が、図4に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する。
【0065】
図7に示す例では、睡眠段階推定システム1が、図4に示す例と同様に、2クラス分類モデル11と、統合部12とを備えている。2クラス分類モデル11は、図4に示す2クラス分類モデル11と同様に、被験者の振動を示すデータが所定のクラスに分類されるか否かの2クラス分類を行う(詳細には、WAKE睡眠段階に分類されるか否か、REM睡眠段階に分類されるか否か、NREM1睡眠段階に分類されるか否か、NREM2睡眠段階に分類されるか否か、および、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの2クラス分類を行う)。2クラス分類モデル11は、WAKE分類モデル11Aと、REM分類モデル11Bと、NREM分類モデル11Cとを備えている。
【0066】
WAKE分類モデル11Aは、図4に示すWAKE分類モデル11Aと同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
WAKE分類モデル11Aは、インセプションモジュール11A1と、全結合層11A2と、出力層11A3と、アテンション機構11A4とを備えている。インセプションモジュール11A1は、図4に示すインセプションモジュール11A1と同様に、WAKE分類モデル11Aに入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11A1から出力された特徴量マップは、アテンション機構11A4に入力される。アテンション機構11A4は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11A1から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11A2に出力する。全結合層11A2は、図4に示す全結合層11A2と同様に、出力層11A3に接続されている。出力層11A3は、全結合層11A2で結合した特徴量から被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、WAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。WAKE分類モデル11Aのアテンション機構11A4は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、WAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。WAKE分類モデル11Aの全結合層11A2はアテンション機構11A4で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合し、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3は、WAKE分類モデル11Aの全結合層11A2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0067】
REM分類モデル11Bは、図4に示すREM分類モデル11Bと同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
REM分類モデル11Bは、インセプションモジュール11B1と、全結合層11B2と、出力層11B3と、アテンション機構11B4とを備えている。インセプションモジュール11B1は、図4に示すインセプションモジュール11B1と同様に、REM分類モデル11Bに入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11B1から出力された特徴量マップは、アテンション機構11B4に入力される。アテンション機構11B4は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11B1から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11B2に出力する。全結合層11B2は、図4に示す全結合層11B2と同様に、出力層11B3に接続されている。出力層11B3は、全結合層11B2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、REM分類モデル11Bのインセプションモジュール11B1は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。REM分類モデル11Bのアテンション機構11B4は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、REM分類モデル11Bのインセプションモジュール11B1で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。REM分類モデル11Bの全結合層11B2はREM分類モデル11Bのアテンション機構11B4で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合する。REM分類モデル11Bの出力層11B3は、REM分類モデル11Bの全結合層11B2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0068】
NREM1分類モデル11C-1は、図4に示すNREM1分類モデル11C-1と同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
NREM1分類モデル11C-1は、インセプションモジュール11C-11と、全結合層11C-12と、出力層11C-13と、アテンション機構11C-14とを備えている。インセプションモジュール11C-11は、図4に示すインセプションモジュール11C-11と同様に、NREM1分類モデル11C-1に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-11から出力された特徴量マップは、アテンション機構11C-14に入力される。アテンション機構11C-14は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11C-11から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11C-12に出力する。全結合層11C-12は、図4に示す全結合層11C-12と同様に、出力層11C-13に接続されている。出力層11C-13は、全結合層11C-12で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM1分類モデル11C-1のインセプションモジュール11C-11は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。NREM1分類モデル11C-1のアテンション機構11C-14は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、NREM1分類モデル11C-1のインセプションモジュール11C-11で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12はNREM1分類モデル11C-1のアテンション機構11C-14で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合する。NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13は、NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0069】
NREM2分類モデル11C-2は、図4に示すNREM2分類モデル11C-2と同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
NREM2分類モデル11C-2は、インセプションモジュール11C-21と、全結合層11C-22と、出力層11C-23と、アテンション機構11C-24とを備えている。インセプションモジュール11C-21は、図4に示すインセプションモジュール11C-21と同様に、NREM2分類モデル11C-2に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-21から出力された特徴量マップは、アテンション機構11C-24に入力される。アテンション機構11C-24は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11C-21から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11C-22に出力する。全結合層11C-22は、図4に示す全結合層11C-22と同様に、出力層11C-23に接続されている。出力層11C-23は、全結合層11C-22で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM2分類モデル11C-2のインセプションモジュール11C-21は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。NREM2分類モデル11C-2のアテンション機構11C-24は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、NREM2分類モデル11C-2のインセプションモジュール11C-21で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。NREM2分類モデル11C-2の全結合層11C-22はNREM2分類モデル11C-2のアテンション機構11C-24で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合する。NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23は、NREM2分類モデル11C-2の全結合層11C-22で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0070】
NREM3&4分類モデル11C-3は、図4に示すNREM3&4分類モデル11C-3と同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
NREM3&4分類モデル11C-3は、インセプションモジュール11C-31と、全結合層11C-32と、出力層11C-33と、アテンション機構11C-34とを備えている。インセプションモジュール11C-31は、図4に示すインセプションモジュール11C-31と同様に、NREM3&4分類モデル11C-3に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-31から出力された特徴量マップは、アテンション機構11C-34に入力される。アテンション機構11C-34は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11C-31から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11C-32に出力する。全結合層11C-32は、図4に示す全結合層11C-32と同様に、出力層11C-33に接続されている。出力層11C-33は、全結合層11C-32で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。NREM3&4分類モデル11C-3のアテンション機構11C-34は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、NREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。NREM3&4分類モデル11C-3の全結合層11C-32はNREM3&4分類モデル11C-3のアテンション機構11C-34で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合する。NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33は、NREM3&4分類モデル11C-3の全結合層11C-32で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0071】
統合部12は、予め定められた統合ルールに基づいて、WAKE分類モデル11Aによる分類とREM分類モデル11Bによる分類とNREM1分類モデル11C-1による分類とNREM2分類モデル11C-2による分類とNREM3&4分類モデル11C-3による分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0072】
本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、第2実施形態の睡眠段階推定システム1に対し、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」を適用可能であることを見い出した。
その点に鑑み、第2実施形態の睡眠段階推定システム1では、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、統合部12が、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」と、WAKE分類モデル11Aによる分類結果と、REM分類モデル11Bによる分類結果と、NREM1分類モデル11C-1による分類結果と、NREM2分類モデル11C-2による分類結果と、NREM3&4分類モデル11C-3による分類結果とに基づいて、被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0073】
すなわち、第2実施形態の睡眠段階推定システム1では、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」を適用することにより、2クラス分類の学習器(WAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2、NREM3&4分類モデル11C-3)を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を向上させることができる。
【0074】
[第3実施形態]
以下、本発明の睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の睡眠段階推定システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の睡眠段階推定システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様の効果を奏することができる。
【0075】
本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、後で詳細に説明するように、WAKE分類モデル11AおよびNREM1分類モデル11C-1については、アテンション機構を適用した場合にWAKE分類モデル11AおよびNREM1分類モデル11C-1による分類精度が向上するものの、REM分類モデル11B、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3については、アテンション機構を適用すると、REM分類モデル11B、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3による分類精度が低下するおそれがあることを見い出した。
その点に鑑み、第3実施形態の睡眠段階推定システム1は、例えば図8に示す例のように構成されている。
【0076】
図8は第3実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図8に示す例では、第3実施形態の睡眠段階推定システム1が、図4に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する。
【0077】
図8に示す例では、睡眠段階推定システム1が、図4に示す例と同様に、2クラス分類モデル11と、統合部12とを備えている。2クラス分類モデル11は、図4に示す2クラス分類モデル11と同様に、被験者の振動を示すデータが所定のクラスに分類されるか否かの2クラス分類を行う(詳細には、WAKE睡眠段階に分類されるか否か、REM睡眠段階に分類されるか否か、NREM1睡眠段階に分類されるか否か、NREM2睡眠段階に分類されるか否か、および、NREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの2クラス分類を行う)。2クラス分類モデル11は、WAKE分類モデル11Aと、REM分類モデル11Bと、NREM分類モデル11Cとを備えている。
【0078】
WAKE分類モデル11Aは、図4に示すWAKE分類モデル11Aと同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
WAKE分類モデル11Aは、インセプションモジュール11A1と、全結合層11A2と、出力層11A3と、アテンション機構11A4とを備えている。インセプションモジュール11A1は、図4に示すインセプションモジュール11A1と同様に、WAKE分類モデル11Aに入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11A1から出力された特徴量マップは、アテンション機構11A4に入力される。アテンション機構11A4は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11A1から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11A2に出力する。全結合層11A2は、図4に示す全結合層11A2と同様に、出力層11A3に接続されている。出力層11A3は、全結合層11A2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、WAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。WAKE分類モデル11Aのアテンション機構11A4は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、WAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。WAKE分類モデル11Aの全結合層11A2はWAKE分類モデル11Aのアテンション機構11A4で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合する。WAKE分類モデル11Aの出力層11A3は、WAKE分類モデル11Aの全結合層11A2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0079】
REM分類モデル11Bは、図4に示すREM分類モデル11Bと同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
REM分類モデル11Bは、インセプションモジュール11B1と全結合層11B2と出力層11B3とを備えており、アテンション機構を備えていない。
すなわち、REM分類モデル11Bは、図4に示すREM分類モデル11Bと同様に構成されている。
つまり、REM分類モデル11Bのインセプションモジュール11B1は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。REM分類モデル11Bの全結合層11B2はREM分類モデル11Bのインセプションモジュール11B1で学習した特徴量をすべて結合する。REM分類モデル11Bの出力層11B3は、REM分類モデル11Bの全結合層11B2で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0080】
NREM1分類モデル11C-1は、図4に示すNREM1分類モデル11C-1と同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
NREM1分類モデル11C-1は、インセプションモジュール11C-11と、全結合層11C-12と、出力層11C-13と、アテンション機構11C-14とを備えている。インセプションモジュール11C-11は、図4に示すインセプションモジュール11C-11と同様に、NREM1分類モデル11C-1に入力された被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)に対して様々なスケールでの畳み込み演算を同時に行い、特徴量マップを生成して出力する。インセプションモジュール11C-11から出力された特徴量マップは、アテンション機構11C-14に入力される。アテンション機構11C-14は、スペクトログラムの画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、アテンションマスクを生成し、インセプションモジュール11C-11から出力された特徴量マップと掛け合わせた(要素同士の積を取った)結果を全結合層11C-12に出力する。全結合層11C-12は、図4に示す全結合層11C-12と同様に、出力層11C-13に接続されている。出力層11C-13は、全結合層11C-12で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)がNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
つまり、NREM1分類モデル11C-1のインセプションモジュール11C-11は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。NREM1分類モデル11C-1のアテンション機構11C-14は、入力された画像データに対して注目すべき領域を考慮した特徴量を得るために、NREM1分類モデル11C-1のインセプションモジュール11C-11で学習した特徴量を用いて、所定の領域に注目を当てて分類の根拠を学習する。NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12はNREM1分類モデル11C-1のアテンション機構11C-14で学習した注目すべき領域を考慮した特徴量をすべて結合する。NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13は、NREM1分類モデル11C-1の全結合層11C-12で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0081】
NREM2分類モデル11C-2は、図4に示すNREM2分類モデル11C-2と同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
NREM2分類モデル11C-2は、インセプションモジュール11C-21と全結合層11C-22と出力層11C-23とを備えており、アテンション機構を備えていない。
すなわち、NREM2分類モデル11C-2は、図4に示すNREM2分類モデル11C-2と同様に構成されている。
つまり、NREM2分類モデル11C-2のインセプションモジュール11C-21は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。NREM2分類モデル11C-2の全結合層11C-22はNREM2分類モデル11C-2のインセプションモジュール11C-21で学習した特徴量をすべて結合する。NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23は、NREM2分類モデル11C-2の全結合層11C-22で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0082】
NREM3&4分類モデル11C-3は、図4に示すNREM3&4分類モデル11C-3と同様に、被験者の振動を示すデータ(睡眠段階推定システム1に入力されたスペクトログラムの画像データ)が、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。
NREM3&4分類モデル11C-3は、インセプションモジュール11C-31と全結合層11C-32と出力層11C-33とを備えており、アテンション機構を備えていない。
すなわち、NREM3&4分類モデル11C-3は、図4に示すNREM3&4分類モデル11C-3と同様に構成されている。
つまり、NREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31は、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動の時間波形からスペクトログラムに変換された画像データの重要な複数の特徴(呼吸、心拍、体動などの異なる特徴)を特徴量として学習する。NREM3&4分類モデル11C-3の全結合層11C-32はNREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31で学習した特徴量をすべて結合する。NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33は、NREM3&4分類モデル11C-3の全結合層11C-32で結合した特徴量から、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果を出力する。
【0083】
統合部12は、予め定められた統合ルールに基づいて、WAKE分類モデル11Aによる分類とREM分類モデル11Bによる分類とNREM1分類モデル11C-1による分類とNREM2分類モデル11C-2による分類とNREM3&4分類モデル11C-3による分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0084】
本発明者等は、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のいずれに分類されるかの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた鋭意研究において、第3実施形態の睡眠段階推定システム1に対し、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」を適用可能であることを見い出した。
その点に鑑み、第3実施形態の睡眠段階推定システム1では、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、統合部12が、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」と、WAKE分類モデル11Aによる分類結果(詳細には、アテンション機構11A4の学習結果が反映されたWAKE分類モデル11Aによる分類結果)と、REM分類モデル11Bによる分類結果と、NREM1分類モデル11C-1による分類結果(詳細には、アテンション機構11C-14の学習結果が反映されたNREM1分類モデル11C-1による分類結果)と、NREM2分類モデル11C-2による分類結果と、NREM3&4分類モデル11C-3による分類結果とに基づいて、被験者の振動を示すデータが、WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0085】
すなわち、第3実施形態の睡眠段階推定システム1では、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に、「第1統合ルール」~「第5統合ルール」を適用することにより、2クラス分類の学習器(WAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2、NREM3&4分類モデル11C-3)を用いた被験者の睡眠段階の推定の精度を向上させることができる。
【0086】
<実施例>
本発明者等は、第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1の有効性を検証するために、下記の第1実験および第2実験を実施した。
【0087】
第1実験:各睡眠段階におけるアテンションの効果
WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階のそれぞれの2クラス分類についてアテンション機能無し分類とアテンション機能有り分類との比較を行った。
【0088】
第2実験:CNN(比較例)と第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1との比較
アテンション機能無しCNNによる5クラス分類(第1比較例)と、アテンション機能有りCNNによる5クラス分類(第2比較例)と、第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1のそれぞれによる5クラス分類との比較を行った。
【0089】
https://www.tanita.co.jp/product/g/_TSL504WH/
実施例では、上記のURLが示すマットセンサ(サンプリング周波数は16Hz)を用い、それをベッドの下に敷くことで体動、心拍、呼吸などの生体振動データを時系列データとして得た。同時にPSG検査を実施し、各時刻の正解となる睡眠段階を取得することで、それらと各時刻のマットセンサの出力信号から得られた生体振動データを紐づけることで教師あり学習のためのデータセットを作成した。具体的には、生体振動データに対して64秒間の短時間窓を取り、フーリエ変換を行うことで8Hzの512次元のデータを得て、細かいスケール変化を捉えられるように対数に変換をした。このデータに対して正規化したものを1秒の対数スペクトログラムとし、この処理を0.25秒ずつずらし、32秒間繰り返すことで、縦軸512個×横軸128(=32×4)個の正規化対数スペクトログラムの画像を得た(つまり、図5に示す処理を行った)。この正規化対数スペクトログラムの画像を入力、正解となる睡眠段階を出力として、CNNに学習させた。
【0090】
CNNの学習モデルとして、第1実施形態の睡眠段階推定システム1のWAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3(アテンション付きでない2クラス分類モデル)を作成した。
また、CNNの学習モデルとして、第2実施形態の睡眠段階推定システム1のWAKE分類モデル11A、REM分類モデル11B、NREM1分類モデル11C-1、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3(アテンション付きの2クラス分類モデル)を作成した。
更に、CNNの学習モデルとして、第3実施形態の睡眠段階推定システム1のWAKE分類モデル11AおよびNREM1分類モデル11C-1(アテンション付きの2クラス分類モデル)を作成し、第3実施形態の睡眠段階推定システム1のREM分類モデル11B、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3(アテンション付きでない2クラス分類モデル)を作成した。
【0091】
また、睡眠段階のラベルを2クラス分類に変更した。つまり、WAKE分類モデル11AではWAKE睡眠段階とそれ以外の睡眠段階とでクラスを分類するようなラベル付けにし、REM分類モデル11BではREM睡眠段階とそれ以外の睡眠段階とでクラスを分類するようなラベル付けにし、NREM1分類モデル11C-1ではNREM1睡眠段階とそれ以外の睡眠段階とでクラスを分類するようなラベル付けにし、NREM2分類モデル11C-2ではNREM2睡眠段階とそれ以外の睡眠段階とでクラスを分類するようなラベル付けにし、NREM3&4分類モデル11C-3ではNREM3&4睡眠段階とそれ以外の睡眠段階とでクラスを分類するようなラベル付けにした。
【0092】
そして、2クラス分類の学習器の分類結果が競合した場合、その中から1つを選ぶ必要があるため、実施例の第1実験により求めた各学習器の推定精度(F値)に基づいて優先順位をつけた。
【0093】
図9は実施例において検証した第1実施形態の睡眠段階推定システム1におけるスペクトログラムの画像データの流れを示す図である。
図9において、WAKE分類モデル11Aのインセプションモジュール11A1に入力される矩形で示すデータおよびNREM3&4分類モデル11C-3のインセプションモジュール11C-31に入力される矩形で示すデータは、生体振動データの正規化対数スペクトログラムの画像データである。
実施例においては、2クラス分類のネットワーク構造が、48層のインセプションモジュール、全結合層、出力層からなる。第1実施形態では、アテンション無しのCNNを用いて各睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階、NREM3&4睡眠段階)の2クラス分類を行った後に、それらの分類結果を基に統合部12(Multi class classification)で5クラスに分類する。
【0094】
図10は実施例において第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1の各分類モデルの教師あり学習に用いられた生体振動データを提供した被験者の年齢、各睡眠段階の数を示す図である。図11は実施例において行われた2クラス分類の正解率(accuracy)、適合率(precision)、再現率(recall)、F値(f-measure)の3回の平均を示す図である。図12はアテンション機能有りCNNによる5クラス分類の正解率とアテンション機能無しCNNによる5クラス分類の正解率と第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1のそれぞれによる5クラス分類の正解率とを比較して示した図である。
図11に示すように、第1実験では2クラス分類の正解率、適合率、再現率、F値を評価し、図12に示すように、第2実験では5クラス分類の正解率を評価した。図11に示す値は、図10に示す被験者8名(SubjectA~SubjectI)の生体振動データを用いた教師あり学習が行われた各分類モデルが、図10に示す被験者以外の被験者の生体振動データの2クラス分類を行った結果を示しており、図12に示す値は、図10に示す被験者以外の被験者の生体振動データの5クラス分類を行った結果を示している。
【0095】
図11に示すように、WAKE睡眠段階およびNREM1睡眠段階については、アテンションがある方が高いF値(41.2%)(43.7%)を示した。REM睡眠段階およびNREM2睡眠段階については、アテンションがない方が高いF値(63.5%)(80.4%)を示した。これらのF値はNREM2睡眠段階(80.4%)、REM睡眠段階(63.5%)、NREM1睡眠段階(43.7%)、WAKE睡眠段階(41.2%)の順に低くなった。NREM3&4睡眠段階については、テストデータが1つしかないためF値を算出できない。
【0096】
図11に示す第1実験の結果に鑑み、図9に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1の実施例では、統合部12による睡眠段階の推定に用いられる統合ルールにおける睡眠段階の基本的な優先順位を「NREM2睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、WAKE睡眠段階、NREM3&4睡眠段階」の順序に設定した。
【0097】
具体的には、図9に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1の実施例では、統合部12が、「第1統合ルール」として、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定し、REM分類モデル11Bの出力層11B3のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定し、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に該当すると推定し、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に該当すると推定し、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33のみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に該当すると推定した。
つまり、5つの分類モデルの予測が1つのみPositiveであるとき、その予測を睡眠段階と推定した。
【0098】
また、図9に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1の実施例では、統合部12が、「第2統合ルール」として、REM分類モデル11Bの出力層11B3がPositiveな分類結果を出力すると共に、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23がPositiveな分類結果を出力する場合であって、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3が出力する分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13が出力する分類結果およびNREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33が出力する分類結果のうちの1つ以上の分類結果がPositiveである場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定した。
つまり、REM分類モデル11Bによる予測とNREM2分類モデル11C-2による予測とが共にPositiveであって、予測がPositiveである他の分類モデルが1つ以上存在する場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定した。
【0099】
また、図9に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1の実施例では、統合部12が、「第3統合ルール」として、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3がPositiveな分類結果を出力し、REM分類モデル11Bの出力層11B3がNegativeな分類結果を出力し、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13がPositiveな分類結果を出力し、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23がNegativeな分類結果を出力し、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33がNegativeな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定した。
つまり、WAKE分類モデル11Aによる予測およびNREM1分類モデル11C-1による予測のみがPositiveである場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定した。
【0100】
また、図9に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1の実施例では、統合部12が、「第4統合ルール」として、「第1統合ルール」に当てはまらず、かつ、「第2統合ルール」に当てはまらず、かつ、「第3統合ルール」に当てはまらず、かつ、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちのPositiveである分類結果が複数存在するときに、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階に「NREM2睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、WAKE睡眠段階、NREM3&4睡眠段階」の順序で優先順位をつけ、被験者の振動を示すデータが、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階のうちの最も高い優先順位を有する睡眠段階に該当すると推定した。
【0101】
また、図9に示す第1実施形態の睡眠段階推定システム1の実施例では、統合部12が、「第5統合ルール」として、WAKE分類モデル11Aの出力層11A3から出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、REM分類モデル11Bの出力層11B3から出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM1分類モデル11C-1の出力層11C-13から出力される被験者の振動を示すデータがNREM1睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM2分類モデル11C-2の出力層11C-23から出力される被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33から出力される被験者の振動を示すデータがNREM3&4睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeである場合に、被験者の振動を示すデータがNREM2睡眠段階に該当すると推定した。
その結果、図12に「Proposed method 1」で示すように、第1実施形態の睡眠段階推定システム1による5クラス分類の正解率が72.89%になった。
【0102】
図13は実施例において検証した第2実施形態の睡眠段階推定システム1におけるスペクトログラムの画像データの流れを示す図である。
図13に示すように、第2実施形態の睡眠段階推定システム1では、WAKE分類モデル11Aがアテンション機構11A4を備えており、NREM3&4分類モデル11C-3がアテンション機構11C-34を備えている。
図13には図示しないが、REM分類モデル11Bはアテンション機構11B4を備えており、NREM1分類モデル11C-1はアテンション機構11C-14を備えており、NREM2分類モデル11C-2はアテンション機構11C-24を備えている。
アテンション機構のネットワーク構造は、1層の畳み込み層と1層の活性化関数からなる。
図12に「Proposed method 2」で示すように、第2実施形態の睡眠段階推定システム1による5クラス分類の正解率は66.12%になった。
【0103】
実施例において検証した第3実施形態の睡眠段階推定システム1は、第1実施形態の睡眠段階推定システム1と第2実施形態の睡眠段階推定システム1とを組み合わせたものである。
具体的には、各分類モデルによる2クラス分類ではアテンション機構が有効に働く場合と働かない場合があるため、上述した第1実験により求めた結果より、アテンション機構が有効に働くWAKE分類モデル11Aにアテンション機構11A4が備えられると共に、アテンション機構が有効に働くNREM1分類モデル11C-1にアテンション機構11C-14が備えられている。アテンション機構が有効に働かないREM分類モデル11B、NREM2分類モデル11C-2およびNREM3&4分類モデル11C-3には、アテンション機構が備えられていない。
第3実施形態の睡眠段階推定システム1におけるWAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM1睡眠段階、NREM2睡眠段階およびNREM3&4睡眠段階の基本的な優先順位は、第1および第2実施形態の睡眠段階推定システム1と同様になる。
図12に「Proposed method 3」で示すように、第3実施形態の睡眠段階推定システム1による5クラス分類の正解率は73.40%になった。
【0104】
図11に示すように各睡眠段階によってアテンションの有無の効果は異なったが、この原因としては体動の影響が考えられる。
【0105】
図14はWAKE分類モデル11Aのアテンション機構11A4によって生成されたアテンションマスク(13×13)とWAKE分類モデル11Aに入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図14の左側に示すアテンションマスクの左右方向の中央部分(丸で囲われた部分)は分類にとって重要な部分であり、図14の左側に示すアテンションマスクの左端部分は分類にとって重要ではない部分である。
図14の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データの縦軸は周波数(0~8Hz)を示しており、横軸は時間(0~32秒)を示している。図14の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データは、0秒~16秒の時間に、0Hz~0.2Hzの周波数成分(被験者の呼吸などの緩やかな波の成分)が多いことを示している。
詳細には、図14の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データでは、24秒付近において緩やかな波の成分が途切れ、縦方向に線が入っている。これは被験者の体動の影響によりマットセンサが呼吸などの成分の特徴を取れなかったことを表している。図14の左側に示すアテンションマスクは、図14の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データに表れている被験者の体動に、アテンション機構11A4が注目していることを示している。つまり、アテンション機構11A4がWAKE睡眠段階の特徴を適切に捉えていることを示している。
【0106】
図15はNREM1分類モデル11C-1のアテンション機構11C-14によって生成されたアテンションマスク(13×13)とNREM1分類モデル11C-1に入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図15の左側に示すアテンションマスクの2か所の丸で囲われた部分は分類にとって重要な部分である。
図15の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データの縦軸は周波数(0~8Hz)を示しており、横軸は時間(0~32秒)を示している。図15の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データは、8秒付近の時間に被験者の体動が生じたことを示しており、16秒~24秒の時間に被験者の体動が生じたことを示している。
図14および図15に示すように、WAKE睡眠段階およびNREM1睡眠段階は他の睡眠段階と比べて被験者の体動が起こりやすい。このように被験者の体動が比較的多いWAKE睡眠段階およびNREM1睡眠段階では、アテンション機構が分類に貢献する。
【0107】
図16はREM分類モデル11Bのアテンション機構11B4によって生成されたアテンションマスク(13×13)とREM分類モデル11Bに入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図16の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データでは、0.2Hz付近に横方向に伸びる線が確認でき、被験者が比較的安定した呼吸をしているように見える。一方、図16の左側に示すアテンションマスクでは、アテンション機構11B4が、その領域だけでなく、他の領域も重視している。
つまり、図16の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データには、被験者の心拍の揺らぎの特徴が表れないため、図16の左側に示すアテンションマスクのように、REM分類モデル11Bのアテンション機構11B4がREM睡眠段階の特徴を適切に捉えられていないと言える。
生理学的にもREM睡眠段階では被験者の心拍と呼吸が乱れることが分かっており、それらの影響によるものであることが分かる。REM分類モデル11Bには、アテンション機構を導入しない方がよいと言え、そのことが図11の結果として表れている。
【0108】
図17はNREM2分類モデル11C-2のアテンション機構11C-24によって生成されたアテンションマスク(13×13)とNREM2分類モデル11C-2に入力された正規化対数スペクトログラムの画像データ(128×512)とを示す図である。
図17の右側に示す正規化対数スペクトログラムの画像データでは、被験者の呼吸および心拍が確認できる。一方、図17の左側に示すアテンションマスクでは、アテンション機構11C-24が、被験者の呼吸および心拍に対応する領域だけでなく、他の周波数領域も分散的に重視している。つまり、重視位置が分散していることから、アテンションの効果はさほどないと言える。
図12に示すように、第2実験において、5クラス分類を行うCNNよりも第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1の方が正解率が改善された。これは第1~第3実施形態の睡眠段階推定システム1がアンサンブル学習の役割を果たしたためと考えられる。
【0109】
アンサンブル学習とは統計的機械学習の手法の一種であり、個々に学習した複数の学習器を組み合わせることで汎化性能を上げる学習アルゴリズムである。アンサンブル学習の枠組みでは個々の学習器を弱学習器h、学習器をHと表す。
【0110】
図18は第1実施形態の睡眠段階推定システム1にアンサンブル学習の概念を当てはめた図である。
図18に示すように、図9に示すWAKE分類モデル11Aの出力層11A3(wake class classification)およびNREM3&4分類モデル11C-3の出力層11C-33(NREM3&4 class classification)が図18では弱学習器hに変わり、図9に示す統合部12(Multi class classification)が、図18では学習器Hに変わる。本発明者等の鋭意研究においては、弱学習器hから学習器Hを事前実験により統合ルール(分類ルール)を作成することで、5クラス分類を行うCNNと比べて汎化性能を向上することができた。更なる拡張としては、アンサンブル学習の枠組みでバギングやブースティングを利用することで事前実験を必要としない分類ルールを生成できると考えられる。
【0111】
[第4実施形態]
以下、本発明の睡眠段階推定システム、睡眠段階推定方法およびプログラムの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の睡眠段階推定システム1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の睡眠段階推定システム1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の睡眠段階推定システム1と同様の効果を奏することができる。
【0112】
図19は第4実施形態の睡眠段階推定システム1の一例を示す図である。
図19に示す例では、第4実施形態の睡眠段階推定システム1が、被験者の睡眠段階が複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを、マットセンサによって検出されたマットセンサ上の被験者の振動を示すデータから推定する。
図19に示す例では、睡眠段階推定システム1が、被験者の睡眠段階が3段階の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定するが、他の例では、睡眠段階推定システム1が、被験者の睡眠段階が例えば4段階の睡眠段階のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定してもよい。
【0113】
図19に示す例では、睡眠段階推定システム1が、2クラス分類モデル11と、統合部12とを備えている。2クラス分類モデル11は、被験者の振動を示すデータが所定のクラスに分類されるか否かの2クラス分類を行う(詳細には、WAKE睡眠段階に分類されるか否か、REM睡眠段階に分類されるか否か、および、NREM睡眠段階に分類されるか否かの2クラス分類を行う)。2クラス分類モデル11は、WAKE分類モデル11Aと、REM分類モデル11Bと、NREM分類モデル11Cとを備えている。
WAKE分類モデル11Aは、被験者の振動を示すデータ(スペクトログラムの画像データ)が、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM睡眠段階)のうちのWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、WAKE分類モデル11Aは、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、WAKE睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、WAKE分類モデル11Aは、2クラス分類の学習器によって構成される。
【0114】
REM分類モデル11Bは、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM睡眠段階)のうちのREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、REM分類モデル11Bは、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、REM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、REM分類モデル11Bは、2クラス分類の学習器によって構成される。
【0115】
NREM分類モデル11Cは、被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM睡眠段階)のうちのNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う。詳細には、NREM分類モデル11Cは、被験者の振動を示すデータがNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類を行う前に、NREM睡眠段階に分類されるか否かの正解が既知の被験者の振動を示すデータを用いた教師あり学習を行う。つまり、NREM分類モデル11Cは、2クラス分類の学習器によって構成される。
【0116】
統合部12は、予め定められた統合ルールに基づいて、WAKE分類モデル11Aによる分類とREM分類モデル11Bによる分類とNREM分類モデル11Cによる分類とが行われた被験者の振動を示すデータが、複数の睡眠段階(WAKE睡眠段階、REM睡眠段階、NREM睡眠段階)のうちのいずれの睡眠段階に該当するかを推定する。
【0117】
第4実施形態の睡眠段階推定システム1では、統合部12は、WAKE分類モデル11AのみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に該当すると推定し、REM分類モデル11BのみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に該当すると推定し、NREM分類モデル11CのみがPositiveな分類結果を出力する場合に、被験者の振動を示すデータがNREM睡眠段階に該当すると推定する。
【0118】
また、第4実施形態の睡眠段階推定システム1では、WAKE分類モデル11Aから出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、REM分類モデル11Bから出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果、および、NREM分類モデル11Cから出力される被験者の振動を示すデータがNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果のうちのPositiveである分類結果が複数存在するときに、統合部12は、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階に例えば「NREM睡眠段階、REM睡眠段階、WAKE睡眠段階」の順序で優先順位をつけ、被験者の振動を示すデータが、Positiveである分類結果に対応する複数の睡眠段階のうちの最も高い優先順位を有する睡眠段階に該当すると推定する。
【0119】
また、第4実施形態の睡眠段階推定システム1では、WAKE分類モデル11A出力される被験者の振動を示すデータがWAKE睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、REM分類モデル11Bから出力される被験者の振動を示すデータがREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeであって、NREM分類モデル11Cから出力される被験者の振動を示すデータがNREM睡眠段階に分類されるか否かの分類結果がNegativeである場合に、統合部12は、被験者の振動を示すデータが例えばNREM睡眠段階に該当すると推定する。
【0120】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0121】
なお、上記の実施形態における睡眠段階推定システム1の全部または一部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。
なお、睡眠段階推定システム1の全部または一部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、各システムが備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
なお、睡眠段階推定システム1の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0122】
1…睡眠段階推定システム、11…2クラス分類モデル、11A…WAKE分類モデル、11A1…インセプションモジュール、11A2…全結合層、11A3…出力層、11A4…アテンション機構、11B…REM分類モデル、11B1…インセプションモジュール、11B2…全結合層、11B3…出力層、11B4…アテンション機構、11C…NREM分類モデル、11C-1…NREM1分類モデル、11C-11…インセプションモジュール、11C-12…全結合層、11C-13…出力層、11C-14…アテンション機構、11C-2…NREM2分類モデル、11C-21…インセプションモジュール、11C-22…全結合層、11C-23…出力層、11C-24…アテンション機構、11C-3…NREM3&4分類モデル、11C-31…インセプションモジュール、11C-32…全結合層、11C-33…出力層、11C-34…アテンション機構、12…統合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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