(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136155
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
A61M 60/824 20210101AFI20220908BHJP
A61M 60/139 20210101ALI20220908BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20220908BHJP
A61M 60/419 20210101ALI20220908BHJP
A61M 60/804 20210101ALI20220908BHJP
A61M 60/806 20210101ALI20220908BHJP
【FI】
A61M60/824
A61M60/139
A61M60/237
A61M60/419
A61M60/804
A61M60/806
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117088
(22)【出願日】2022-07-22
(62)【分割の表示】P 2020208175の分割
【原出願日】2016-08-03
(31)【優先権主張番号】15179624.0
(32)【優先日】2015-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジース トルステン
(72)【発明者】
【氏名】アボウロースン ワリード
(72)【発明者】
【氏名】ケルクホフス ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】キーセリッツ エレン
(72)【発明者】
【氏名】スクロドスキー ペーター
(57)【要約】
【課題】本発明は、回転可能に血液ポンプのインペラを支持する軸受の効果的な冷却及びフラッシングを可能にする血液ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】血液ポンプ1は、ポンプケーシング2と、前記ポンプケーシング2に配置され、回転軸を中心に回転できるように、ベアリング60によってポンプケーシング2に回転可能に支持されるインペラ3を備える。インペラ3は、ブレード31、32を有している。軸受60は、ポンプケーシング2に結合され、径方向外側に向いている固定軸受面61を有する少なくとも1つの固定軸受部4を備える。軸受60は、さらに、固定軸受面61と相互作用して軸受60を形成する回転軸受面62を備え、回転軸受面61は、径方向内側に向いており、ブレード32の露出された径方向内側縁部50に形成されている。ブレード32は、径方向外側方向に固定軸受面61上の沈着血液を引き入れるように設計されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプ(1)であって、血流入口(21、421、521)と血流出口(22、422、522)とを有するポンプケーシング(2、402、502)と、
前記ポンプケーシング内に配置され、少なくとも1つの軸受(60、260、360、460、560)によって前記ポンプケーシングに回転軸を中心として回転可能に支持されたインペラ(3、203、303、403、503、603、703、803)を備え、前記インペラ(3、203、303、403、503)は、少なくとも1枚のブレード(31、32、231、232、331、431、531、631、731、831)を有して血液を前記血流入口から前記血流出口へ搬送し、
前記軸受(60、260、360、460、560)は、前記ポンプケーシングに結合され、径方向外側を向いた固定軸受面(61、261、361、461、561)を有する少なくとも1つの固定軸受部(4、204、304、404、504)を備え、前記軸受(60、260、360、460、560)は、さらに、固定軸受面(61、261、361、461、561)と相互作用する回転軸受面(62、262、362、462、562)を備えて前記軸受(60、260、360、460、560)を形成し、前記回転軸受面(62、262、362、462、562)は径方向内側に向いており、沈着血液を前記固定軸受面(61、261、361、461、561)から径方向外側に引き出すように設計された前記少なくとも1枚のブレードのうちの少なくとも1つの露出された径方向内側の縁部(50、250、350、450、550)に形成される血液ポンプ(1)。
【請求項2】
血流入口(21)及び血流出口(22)を有するポンプケーシング(2)と、
前記ポンプケーシング内に配置され、少なくとも1つの軸受(160)によって前記ポンプケーシングに回転軸を中心として回転可能に支持されたインペラ(103)を備え、前記インペラ(103)は、少なくとも1枚のブレード(131、132)を有して血液を前記血流入口から前記血流出口へ搬送し、
前記軸受(160)は、前記ポンプケーシングに結合され、径方向外側に向いた固定軸受面(161)を有する少なくとも1つの固定軸受部(104)を備え、前記軸受(160)は、前記固定軸受面(161)と相互作用して前記軸受(160)を形成する回転軸受面(162)をさらに有し、前記回転軸受面(162)は、径方向内側に面し、前記ブレードの露出された径方向内側の縁部に結合された軸受構造体上に形成される血液ポンプ(1)。
【請求項3】
前記固定軸受部は、回転軸に沿って延在する少なくとも1つのピン(104、204、304、404、504)又は円錐(206)を含み、前記固定軸受部の形状は、略円筒形又はテーパ状であり、前記固定軸受部(204)は、好ましくはそこを貫通して延在する中央軸方向通路(234)を有する請求項1又は2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
2つの軸受(260、263)を含み、それぞれが固定軸受部(204、206)を有し、前記固定軸受部は、前記インペラ(203)の軸方向両端においてインペラ内へ軸方向に延びる請求項1~3のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記固定軸受部は、少なくとも1つの開口(212、412)を備えて血液を軸方向に通過可能にする支持構造(210、410)により前記ポンプケーシングに結合されており、前記支持構造が血流を径方向に導くことができるような寸法及び形状を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記少なくとも1枚のブレードは、前記インペラのハブの外面と前記インペラの前記ハブの内面の少なくとも一方に配置されており、前記少なくとも1枚のブレードが前記インペラのハブの前記外面上に配置され、前記ブレードは、前記ハブを越えて軸方向に延在する請求項1~5のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記インペラ(3、103、203、603)は、前記インペラ(3、103、203、603)のハブ(36、136)を通って延在する血液流路(33、133、233)を有し、前記インペラ(3、103、203、603)は、ハブ(36、136)の外側表面上に配置され、血液を血流入口(21)から血流出口(22)へ搬送できる寸法と形状を有する少なくとも1枚の外側ブレード(31、131、231、631)と、前記通路(33、133、233)内に配設され、血液を前記通路(33、133、233)と通って搬送できる寸法と形状を有する少なくとも1枚の内側ブレード(32、132、232、632)を備え、前記回転軸受面は前記内側ブレードと前記外側ブレードの少なくとも一方の露出された径方向内側の縁部に形成されている請求項1~6のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項8】
それぞれが固定軸受部(204、206)を有する2個の軸受(260、263)を備え、前記固定軸受部は、前記インペラ(203)の軸方向の両端において前記インペラ(203)内に軸方向に延在し、前記軸受の一方の前記回転軸受面(265)が、前記少なくとも1枚の内側ブレード(232)の露出された径方向内側の縁部(251)上に形成され、前記軸受の前記他方の前記回転軸受面(262)は、前記少なくとも1枚の外側ブレード(231)の露出した径方向内側の縁部(250)上に形成されている請求項7に記載の血液ポンプ。
【請求項9】
前記インペラ(3、103)の前記通路(33、133)は、前記回転軸の少なくとも部分的に又は全体に沿って延在し、前記少なくとも1つの固定軸受部は、前記インペラ(3)の前記通路(33)の長さの少なくとも半分又は少なくとも3/4に沿って延在する、あるいは前記通路(33)全体を通って延在し、好ましくは、前記インペラ(603)は、少なくとも1つの径方向開口を有し、前記血液流路を前記インペラ(603)の環境と接続する請求項7又は8に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記少なくとも1枚のブレードは、前記インペラ上に配置されており、前記ブレードが前記インペラの前記ハブによって前記内側ブレードを形成する内側部分と前記外側ブレードを形成する外側部分に分割される請求項7~9のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
前記ポンプケーシング(502)は、流れの主方向の前記血流入口(521)と前記血流出口(522)から軸方向に離間した二次血流入口(523)を有し、前記インペラ(503)は、少なくとも2枚のブレード(531、532)を備え、その少なくとも一方は、前記血流入口(521)に関連付けられて血液を前記血流入口(521)から前記血流出口(522)へ流れの主方向に搬送し、少なくとも他方は、前記二次血流入口(523)に関連付けられて血液を前記二次血流入口(523)から前記血流出口(521)へ前記流れの主方向とは反対の方向に搬送し、前記少なくとも2枚のブレード(531、532)は中間部分(530)に隣接する前記インペラの軸方向に対向する部分に配置され、前記二次血流入口(523)に関連付けられた前記少なくとも1枚のブレード(532)は、好ましくは、血液を前記インペラ(503)の前記中間部分(530)に沿って搬送できる寸法及び形状である請求項1~10のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項12】
前記軸受構造は、前記固定軸受部(104)の少なくとも一部を取り囲む少なくとも1つのリング(155)と、前記固定軸受部(104)の少なくとも一部と係合する少なくとも1つのウィング(153)のうち少なくとも1つを含み、及び/又は、前記回転軸受面(151、152)は、前記固定軸受部(104)の軸方向端部(142)に係合できる寸法と形状である請求項1~11のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項13】
前記インペラを駆動する電動モータを備え、前記電動モータのステータは、前記ポンプケーシングに結合され、前記インペラを中心として円周方向に配置され、前記電動モータの前記ステータは、回転磁界を生成するための少なくとも1つの電気構成を含み、前記インペラは、少なくとも1つの永久磁石を含む請求項1~12のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項14】
前記固定軸受部(404)と前記インペラ(403)はそれぞれ、少なくとも1つの磁石を備え、前記固定軸受部(404)における前記磁石(472)と前記インペラ(403)内の前記磁石(472)は径方向に整列し、前記固定軸受け部(404)と前記インペラ(403)にそれぞれ配置され、軸方向の反発磁力が前記固定軸受部(404)と前記インペラ(403)の間に生成される請求項1~13のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項15】
前記固定軸受面と前記回転軸受面の少なくとも一方は、それぞれ、前記固定軸受部と前記インペラの残りの部分の材料よりも高い硬度を有する材料を含む請求項1~14のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液ポンプに関し、特に、患者の血管内の血流をサポートするための特に血管内血液ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
軸流血液ポンプ、遠心血液ポンプ、又は混合型血液ポンプのような異なるタイプの血液ポンプが知られており、血流は軸方向及び径方向力の両方によって引き起こされる。血管内血液ポンプは、カテーテルによって、大動脈のような患者の血管に挿入される。血液ポンプは、典型的には、血流入口及び血流出口を有するポンプケーシングを含む。血流入口から血流出口への血流を生じさせるために、インペラ又はロータが回転軸を中心として回転可能にポンプケーシング内に支持されており、インペラは、血液を搬送するための1枚以上のブレードを備えている。
【0003】
インペラは、通常、少なくとも1つの軸受によってポンプケーシング内に支持されている。様々な軸受、例えば接触型軸受や非接触型軸受などが知られている。一般に、接触型軸受は、例えば、滑り軸受、ピボット軸受、流体軸受、静圧軸受、玉軸受等、又はそれらの任意の組合せなど、軸受面が常に(すなわち常時又は断続的に)ポンプの操作中に少なくとも部分的に接触するすべてのタイプの軸受を含んでいてもよい。特に、接触型軸受は、軸受面が血液と接触する「血液浸漬軸受」であってもよい。接触型軸受は、操作中に加熱され、及びポンプの動作中に回転及び静的軸受面の接触による機械的摩耗を受けやすい場合がある。軸受に血液自体のような冷却流体を供給することが望ましい。
【0004】
血液ポンプ内の間隙又は軸受面をフラッシングするための装置が、例えば、特許文献1に開示されている。洗浄チャネルがインペラを通って延在するとともに主血液流路及び軸受面と流体連通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0238172A1号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転可能に血液ポンプのインペラを支持する軸受の効果的な冷却及びフラッシングを可能にする血液ポンプを提供することを目的とする。
【0007】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する血液ポンプによって本発明に従って達成される。本発明の好ましい実施形態及び更なる展開は、独立請求項1に従属する請求項で指定されている。
【0008】
本発明によれば、インペラが、少なくとも1つの軸受によってポンプケーシング内に回転可能支持されている。軸受は、ポンプケーシングに結合され、径方向外側に向いた固定軸受面を有する少なくとも1つの固定軸受部を備え、軸受はさらに、固定軸受面と相互作用して軸受を形成する回転軸面をさらに有し、回転軸受面は、径方向内側に面し、少なくとも1枚のブレードの露出された径方向内側の縁部、又はブレードの露出された径方向内側の縁部に結合された軸受構造体上に形成される。軸受用ブレードの露出された径方向内側の縁部を使用することにより、軸受面のフラッシングを改善することができるオープンな軸受設計が可能となる。従って、軸受の発熱を低減することができる。同様に、軸受エリア内の血液の詰まりや凝固を低減することができる。特に、軸受嵌合部として作用する回転刃の内側縁部を有することは、軸受面から血液境界層を径方向に遠心分離することに固有の利点を有する。すなわち、径方向外方に固定軸受面から離れる方向に、流れる血液よりも高い密度を有する沈着血液を取り出す補助をする遠心力が生成される。したがって、軸受の設計は、軸受の嵌合面を洗い流すのに役立つ。
【0009】
好ましくは、固定軸受部は、回転軸に沿って延在する少なくとも1つのピン又は円錐を含む。固定軸受部は、形状が略円筒形又はテーパ付きであってもよく、回転軸に沿った長さが変化してもよい。例えば、固定軸受部は、インペラの長さの半分未満に沿って軸方向に延在してもよく、又はそれは、インペラの全長に沿って略延在してもよい。固定軸受部が比較的短い場合は特に、軸受は、インペラに向かって又はインペラの内部まで軸方向両端部から軸方向に延在する2つの固定軸受部を含んでいてもよい。
【0010】
特定の設計及び固定軸受部の形状にかかわらず、固定軸受部は、「ピン」と表記することができ、軸受は、「ピン軸受」と表記することができる。これらの用語は、特定のピン設計に限定されるものではなく、本発明の範囲内のすべてのタイプの固定軸受部とブレードの配置、すなわち、特に、インペラブレードの露出された径方向内側の縁部と相互作用する径方向外側に向けた軸受面を有する固定軸受部をいう。
【0011】
回転軸受面は、少なくとも1枚のブレードの、露出された径方向内側の縁部の略全長に沿って延在していてもよい。これにより、軸受面が大きくなり、例えば放熱に有利である。軸受が、それ自体、放熱が盛んに行われるであろうブレード上に形成されているという事実により、放熱が改善される。あるいは、ブレードの露出された径方向内側の縁部の長さの一部のみに沿って延在していてもよい。特に、固定及び回転軸受面の接触面積の大きさを減少させるために、ブレードの露出された径方向内側の縁部に沿って1つ以上の別個のセグメントとして回転軸受面が形成されてもよい。これは、例えば、軸受面の、プロファイルの凸部によって形成することができる内側ブレード縁部の特定の凹凸形状により、又はコーティング、インサート等により達成することができる。以下でより詳細に説明するように、コーティング及びインサートには特定の材料を使用することができる。
【0012】
一実施形態では、固定軸受部に、中央軸方向通路が通って延在していてもよい。例えば、固定軸受部又はピンは、軸方向チャネルを有していてもよい。これにより、血液が、ピンとインペラの間の間隙を洗浄するためにピンの軸方向端面を流れることができる。さらに、インペラも中央軸方向通路を有している場合、血液は、ピン通路からインペラ通路に流入することができる。
【0013】
固定軸受部は、少なくとも1つの開口を備える支持構造によってポンプケーシングに結合されて血液が軸方向に通過できるように構成されていてもよい。例えば、固定軸受部は、ポンプケーシングに接続された支柱によって支持されてもよい。このことは、ピンを血流入口に配置できる一方、血液は、支柱によって画定される開口を通ってポンプケーシングに進入できるので、固定軸受部が血流入口の領域に配置されている場合に、特に有用となりうる。このことはまた、血液をポンプケーシングから軸方向に流出させたい場合、血流出口にも適用することができる。代替的に又は付加的に、支持構造は、血流を径方向に誘導するような寸法(size)及び形状に形成されてもよい。支持構造は、例えばピンのソケットを形成する直線状又は湾曲した円錐のようなテーパ状を有していてもよく、支持構造は、下流方向に広がり、血流出口の近傍に配置されていてもよい。
【0014】
一般的に、上記のピン軸受の概念は、回転軸受面がブレードの露出された径方向内側の縁部に、又は場合によっては、ブレードの露出された径方向内側の縁部に結合された軸受構造上に形成されていさえすれば、インペラの、特に、少なくとも1枚のブレードの様々な設計に適用される。特に、少なくとも1枚のブレードは、インペラのハブの内面、インペラのハブの外面又はその両方に取り付けられてもよい。ブレードがハブの外面に配置されている場合は、露出された径方向内側の縁部は、軸方向にハブを越えて延在するブレードの領域に配置してもよい。ブレードは、ハブの内面上に配置されている場合、それらは内側ブレードとみなすことができ、以下に詳細に記載されるようにインペラの通路内に配置してもよい。「内側」及び「外側」ブレードの組み合わせは、単一のインペラに含まれ得ることが理解されるであろう。
【0015】
一実施形態によれば、インペラは、インペラのハブの外面上に配置された少なくとも1つの外側ブレードを備え、血流入口から血流出口へ血液を搬送できる寸法及び形状を有する。また、血液ポンプのインペラは、インペラのハブを通って延在する血液流路を有しており、少なくとも1枚の内側ブレードは通路を通って血液を搬送できる寸法及び形状で通路内に配置されている。回転軸受面は、内側ブレードの少なくとも一方、又は外側ブレードの少なくとも一方、又は内側と外側のブレードの両方は、露出された径方向内側の縁部に設けられている。
【0016】
外側ブレードに加えて、インペラの通路に内側ブレードを設けることにより、特に、インペラの通路を通る血流が、血流入口から血流出口へ(「順流方向」)の主たる血流と同じ方向に導かれている場合、血流入口から血流出口に向かう血流を、インペラの血液流路を通して血液を圧送する内側ブレードによってサポートすることができる。インペラの血液流路内の流れの方向に関わらず、ポンプケーシング内の血液の全体的な循環は、内側ブレードによって改善することができるので、ポンプケーシング内の隙間、軸受面、及び他の表面のフラッシング及び冷却が改善できる。内側ブレードは、インペラの血液流路に配置され、インペラと共に回転しているので、追加の空間又は追加の駆動機構を必要としない。
【0017】
好ましくは、内側ブレードは、軸受への通路を通って血液を搬送できる寸法及び形状を有する。特に、これは、血液が、内側ブレードによって、軸受に、軸受内に、又は軸受に沿って搬送されてもよいことを意味する。内側ブレードは、軸受へのアクティブな洗浄流を好ましくは順流方向に生成し、軸受を洗浄し冷却するので、軸受が接触型軸受である場合に特に有利である。放熱は最大化される。このように、軸受内の血液凝固及び詰まりを効果的に低減又は回避することができる。特定のポンプ設計では、「逆流方向」(すなわち、「順流方向」の反対)の洗浄流が有利となりうる。例えば、大径の血液ポンプは、全体的なポンプの流れに影響を与えることなく非常に高い血液の逆流を起こす内側ブレードインペラに加えて、圧力勾配を有することから利益を得ることができる。
【0018】
インペラの血液流路は、軸方向にインペラの少なくとも一部、特に、インペラのハブに沿って、好ましくは完全に、少なくとも部分的に延在していてもよい。通路の少なくとも一部、特に、内側ブレードが配置された通路の部分が回転軸と整列されることにより、内側ブレードが回転軸を中心として回転するため、内側ブレードによる血液の圧送を向上させることができる。さらに、内側ブレードは、軸受領域内の並びにピン軸受面の近傍の大きい乱流の血流作用を介して任意の沈着血液を物理的に除去することができる。換言すれば、内側ブレードの露出された径方向内側の縁部は、固定軸受部の固定軸受面上にワイパーブレードのように作用することができる。
【0019】
インペラの通路は、回転軸に沿って延在せず、回転軸に対して傾斜する部分又は複数の部分を有していてもよい。特に、インペラ内の通路の1つ以上の端部が回転軸に対して傾斜してもよい。しかしながら、血液流路が、第2の軸方向端部又は開口部に第1の軸方向端部又は開口部から回転軸に沿ってインペラを完全に貫通して延在していることが好ましい。内側ブレードは、次いで、インペラの血液流路を通って軸方向に沿って血液を圧送することができる。軸方向通路が、回転軸に沿ってインペラを完全に貫通して延在している場合、インペラは、中空であるか、中空のハブ、例えば、中空円筒又は中空円錐を有し、外側ブレードは、中空ハブの外面上に配置されており、内側ブレードは、中空ハブの内面に配置されているとみなすことができる。必ずしも厳密に円筒形でなく、略円筒形、又はテーパ状又は他の管状の形状のような任意の他の適切な中空の形状も、インペラのために選択することができることが理解されるであろう。
【0020】
一実施形態では、軸受は、血液流路に配置されてもよい。インペラの通路内に軸受を配置して、軸受の洗浄及び冷却を改善することができる。なぜなら、軸受が直接インペラの通路を通って圧送される血流に配置されているからである。固定軸受部は、回転軸に沿って延在する少なくとも1本のピンを備え、ピンの少なくとも一部が、ブレードの、特に内側ブレードの露出された径方向内側の縁部に係合する、又はブレードの露出された径方向内側の縁部に取り付けられた軸受構造に係合し、少なくとも1つの軸受を形成するように構成されていてもよい。ピンは略円筒形であってもよく、又は円錐形状を形成するようにテーパ状でもよいことは理解されるであろう。後者はまた、軸方向の力の補償を可能としているので、軸受は、軸方向及びラジアル軸受として作用することができる。ピンは、通路に向かってのみ、またはその端部の内部に延在していてもよく、あるいは、通路内部により長い距離だけ延在してもよい。例えば、インペラの通路の長さの少なくとも半分、好ましくは少なくとも3/4に沿って延在していてもよい。好ましい実施形態では、ピンは、インペラの通路全体を通って、すなわち、少なくともインペラ内の通路の全長に沿って延在していてもよい。ピンの長さは、インペラの血液流路の長さよりも長くてもよい。ピンの長さにかかわらず、ピンの最大径は、インペラの通路の最小径よりも小さくてもよい。これにより、血液がピンを越えた通路を通って流れることができるようになる。
【0021】
特に、内側ブレードは、回転軸受面を画定する少なくとも1つの露出された径方向内側の縁部を有していてもよい。すなわち、少なくとも内側ブレードの径方向内側の縁部は、固定軸受面の少なくとも一部、例えば、ピンの外周面と係合し、少なくとも1つの軸受を形成することができる。追加の軸受構造が必要ないため、軸受構造としての内側ブレードを使用して血液ポンプの構造を簡素化する。ピンがインペラの通路全体を通って延在していると、特に有利である。内側ブレードの縁部は、その全長に沿って、又は少なくともその略全長に沿って、ピンの外周面に接触してもよい。加えて、内側ブレードは、軸受の動的な部分を形成するので、特に内側ブレードが高い熱伝達率を有する材料で作られている場合、放熱は最大となる。この軸受は、インペラの血液流路を通って延在しているので、軸受は効果的に冷却され、フラッシュされる。内側ブレードは、複数の機能を有している。それらはインペラの通路を通って血液を圧送するための圧送手段としての役割を果たして軸受を積極的に洗浄すると同時に、軸受自体として機能する。また、それらは、放熱を最大にするために、乱流領域に設定されている放熱面として作用する。ブレードの径方向内側の縁部は、円周方向にテーパ状とし、ピンの表面に平行な縁部に比較して流体力学的軸受の機能を改善してもよい。
【0022】
少なくとも1枚の外側ブレードと少なくとも1枚の内側ブレードが設けられている一実施形態において、インペラの少なくとも1枚のブレードは、インペラのハブ上に配置されて、ブレードがハブによって内側ブレードを形成する内側部分と外側ブレードを形成する外側部分に分割されるようにしてもよい。換言すれば、内側ブレードを外側ブレードと整列させることができる、又は、特にインペラが中空ハブを有する場合には、内側ブレードは、インペラのハブを介して外側ブレードと「継続」して形成することができる。特に、内側ブレードと外側ブレードは、対応する寸法及び形状を有していてもよい。ブレードの特定の寸法及び形状にかかわらず、中空ハブは、連続的であってもよく、又は開口部によって中断されて、血液が内側ブレードから外側ブレード又はその逆に流れるようにして、液圧バランスのために有利となるように構成してもよい。一般的には、内側ブレードによって生じる血流と外側ブレードによって生じる血流の液圧バランスが取れていることが重要である。結果として、両方のブレードセットは、特に、最大200mmHgでの圧力の動作範囲内において順方向の血流を引き起こす。
【0023】
例えば、内側及び外側ブレードは、径方向内側及び径方向外側にそれぞれインペラのハブから同じ距離だけ延在してもよい。それは基本的に中空のインペラのハブによって内側及び外側ブレードに分離されるブレードの一組を定義するので、この設計は単純である。しかし、別の実施形態では、内側及び外側ブレードは、整列されていなくても、又は寸法及び形状に対応していなくてもよい。内側ブレードは、外側ブレードよりも例えば小さくてもよい。内側及び外側ブレードは、油圧要件に応じて、入射角、出射角及び/又はピッチ角が異なっていてもよい。それとは別に、外側ブレードの数と内側ブレードの数は、外側ブレードと内側ブレードが整列している、又は寸法及び形状において対応しているかどうかに関係なく、同じでも異なっていてもよい。例えば、外側ブレードよりも内側ブレードのほうが多く、例えば内側ブレードが3枚で外側ブレードが2枚、存在していてもよい。単一の内側ブレード又は単一の外側ブレードのみが存在してもよいし、2枚以上の内側又は外側のブレードが存在してもよいことが理解されるであろう。一般的に複数のブレードが設けられている場合は、すべてではなく、例えばその一方のみが、軸受の一部を形成し、別のブレードが固定軸受面から離間していてもよい。内側ブレード又は外側ブレード又は両方は、回転軸を中心に螺旋できる、すなわち、それらは螺旋形状であってもよいし、ピッチが変化してもよい。あるいは、ブレードは、軸方向に直線状に延在していてもよい。
【0024】
内側ブレードは、完全に外側ブレードに対応していてもよい。実際には、内側及び外側ブレードの両方が単一のブレードを形成して外側ハブによって所定位置に保持するので、ブレードは、ハブに向かって中央に延び、中心ピンとともにラジアル軸受を形成することができる。外側ハブは、ポンプケーシングの外面上に位置するステータコイルによって駆動される電動モータの回転子を構成する磁石のセットを収容してもよい。
【0025】
一実施形態では、ポンプケーシングは、流れの主方向の血流入口と血流出口から軸方向に離間した二次血流入口を有していてもよい。例えば、血流入口は、ポンプケーシングの上流端部に配置されてもよく、二次血流入口は、ポンプケーシングの反対側の下流端部に配置されてもよい。しかし、二次血流入口は、ポンプケーシング内に円周方向に配置されてもよい。二次血流入口は、インペラに沿った洗浄流を作成するために使用してもよい。この目的のために、インペラは、少なくとも二つのブレードを含んでいてもよく、その少なくとも一方は血流入口に関連付けられて、血液を流れの主方向における血流入口から血流出口に搬送し、その少なくとも別の1つは、二次血流入口に関連付けられて、血液を流れの主方向とは反対の方向における二次血流入口から血流出口へ搬送する。
【0026】
少なくとも2枚のブレードは、インペラの、中間部に隣接する軸方向に対向する部分に配置されてもよく、二次血流入口に関連付けられた少なくとも1枚のブレードは、インペラの中間部分に沿って血液を搬送できる寸法と形状でもよい。すなわち、インペラは、血液がインペラの端部に対向に配置されているブレードに対向することにより、インペラの中心に向かって対向する二つの方向に圧送される「ダブルインペラ」とみなすことができる。血流入口に関連付けられているブレードが主たる血流を生成している間、二次血流入口に関連付けられたブレードが、インペラのハブに沿ってアクティブな洗浄流を引き起こす。この実施形態では、インペラは、各ブレードの露出された径方向内側の縁部はそれぞれのピンによって支持された状態で、その対向する軸方向両端部に前述のピン軸受のうちの2つを含んでいてもよい。「二次」ブレードを使用して、ポンプ外部から血液を取り出し、それを磁気ドライブとポンプケーシングとの間の半径方向隙間を介して押し出して、磁気ドライブ及びポンプケーシングの外表面上に配置された固定ステータコイルによって形成された電気モータを洗浄し、冷却する。二次ポンプは、軸流、混合流、又は実質的にラジアルポンプとして設計されてもよいことが理解されるであろう。
【0027】
一実施形態では、回転する軸受面自体としてブレードの露出された径方向内側の縁部を使用する代わりに、又はそれに加えて、ブレードの露出された径方向内側の縁部に結合された軸受構造を、軸受のために使用することができる。回転軸受面は、ピンの少なくとも一部に係合する少なくとも1個のリングによって画定されてもよい。少なくとも1つのリングは、内側ブレードとは別に設けてもよいし、内側ブレードの露出された径方向内側の縁部によって形成された回転軸受面に加えて、又はその代わりに内側ブレードの少なくとも1つ又は全てに結合してもよい。換言すれば、軸受構造の軸受面は、少なくとも1個のリングによってのみ形成されてもよく、又はそれはブレードの径方向内側の縁部に沿って、少なくとも1個のリングによって形成されてもよい。
【0028】
リングの代わりに、又はそれに加えて、軸受構造は、ピンの少なくとも一部に係合し、かつ、内側ブレード少なくとも1つ又は全てに結合することができる少なくとも1つのウィングを備えていてもよい。少なくとも1つのウィングは、ピンの外周面に寸法や形状が対応した円弧形状を有し、インペラの特定の径方向のセンタリングを行う軸受を形成してもよい。前述のリングは、このようなウィングで形成されてもよいことが理解されるであろう。例えば、少なくとも2個、例えば2つ、3つ、又は4つの、周方向に隣り合うウィングは連結してリングを形成してもよい。ウィング又はリングは、インペラの通路の長さに沿った1つ以上の位置に配置されてもよい。これらのウィングは、軸受領域に入る血液又は血漿のみの量を最大にする特定の幾何学的形状を有することができる。また、ピン軸受の近傍の遠心力を利用して、軸受領域から径方向に離れる軸受領域から赤血球と他の細胞性血液成分を移動させることができる。
【0029】
別の実施形態では、回転軸受面は、固定軸受部の軸方向端部に係合できる寸法と形状を有し、前記少なくとも1つの軸受を形成し、少なくとも1つまたはすべてのブレードに結合されていてもよい。回転軸受面は、連続面であってもよいし、規則的に、例えば、回転軸に対して対称に配置され得る別個のセグメントを含んでいてもよい。回転軸受面は、例えば、カップ、ドーム、半球、円錐、又はピンの軸方向端面に寸法や形状が対応する他の適切な回転対称面を形成してもよい。このタイプの軸受は、インペラの径方向のセンタリング並びに軸方向の支持を提供する。
【0030】
血液ポンプは、好ましくは径方向駆動装置によって駆動され、電気的構成がポンプケーシングに結合され、インペラと、恐らくポンプケーシングを中心として周方向に配置されて回転磁界を生成する。インペラ内の永久磁石が、固定子コイルの回転磁界に磁気的に結合されて、回転軸を中心としたインペラの回転を引き起こす。磁石は、インペラに、特に、ブレードに、好ましくは外側ブレードに、組み込むことができる。径方向駆動装置は、血液ポンプのコンパクトな設計を可能にし、特に、インペラの通路内に延在する前述のピンを軸受から独立して設計することができる。しかしながら、任意の他の適切な駆動機構は、血液ポンプに使用することができることが理解されるであろう。具体的には、血管内カテーテルポンプに適した駆動機構は、小型化、高エネルギー密度のために設計されるのが好ましい。
【0031】
上述の軸受は、追加の軸受によって支持されていてもよい。追加の軸受は、特にピン軸受を緩和するために回転軸に沿って一方又は両方の軸方向の軸方向荷重に耐えるように設計することができる。一実施形態では、固定軸受部とインペラは、それぞれ、少なくとも1つの磁石を含んでもよい。固定軸受部内の磁石とインペラ内の磁石は、径方向に整列し、固定軸受部とインペラにそれぞれ配置され、軸反発磁力が固定軸受部とインペラの間に生じるように構成してもよい。したがって、インペラと固定軸受部のそれぞれの軸方向端面が、反発磁力によって互いに接触しないので、軸端面の摩耗や発熱が回避され、反発磁力がポンプケーシング内で軸方向にインペラを整列させるのに役立つ。これは、反発磁力が逆方向の両方の対向する軸方向端部からインペラに作用する場合に特に有用となりうる。
【0032】
一実施形態では、少なくとも固定軸受面と回転軸受面の一方は、軸受面の摩耗を低減するために、それぞれ、固定軸受部とインペラの残りの部分の材料よりも高い硬度を有する材料を含んでいてもよい。例えば、摩耗を低減するために特定の材料のコーティング又はインサートを使用することができる。適切な材料は、セラミックであってもよい。放熱性を高めるために、ブレードは、例えば金属で形成してもよく、一方で、ブレード、特に、ブレードの露出された径方向内側の縁部の回転軸受面は、完全に又は部分的にセラミックでコーティングされてもよく、又はセラミックのインサートを有していてもよい。セラミックのインサートなどのようなインサートは、ピンの表面に接触する内側ブレードの表面にインサート成形又は貼付して、軸受の寿命を増加してもよい。本質的に高い放熱性がブレードにはあるので、高い発熱が軸受領域における血液堆積又は軸受の摩耗に悪影響を与えることなく、十分に収容することができる。放熱に関しては、炭化ケイ素が、インサート又はコーティングのために好まれることがある。また、相手材は、例えば、ダイヤモンドコーティングで被覆可能な鋼であってもよい。加えて、相手部材の互いに対する摺動が最小限となる、相対速度を最小限、好ましくは1.5メートル/秒未満に維持することが好ましく、これは、外径6mm、設計速度30,000rpmのポンプ用の直径約1mmのシャフトに対応する。
【0033】
別の実施形態では、インペラは、インペラの軸方向端面に配置された、少なくとも1枚の二次ブレードを含んでいてもよい。二次ブレードは、インペラとポンプケーシングの間の軸受面又は隙間の洗浄を改善することができるか、あるいは、ポンプケーシングの好ましくは滑らかな内面それぞれと相互作用する時に流体力学的軸方向軸受を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
添付の図面と併せて読むことにより、上述の要約、並びに好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、より良く理解されるであろう。しかし、本開示を例示する目的のために、図面を参照する。本開示の範囲は、図面に開示された特定の実施形態には、しかし、限定されるものではない。
【
図1】血液ポンプの一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の血液ポンプの一部を示す斜視図である。
【
図5】
図1の血液ポンプのインペラを示す斜視図である。
【
図7】
図1の血液ポンプのピンを示す斜視図である。
【
図8】別の実施形態のインペラ配置を示す斜視図である。
【
図9】別の実施形態のインペラ配置を示す斜視図である。
【
図12】
図9のインペラを示す斜視図及び半透明図である。
【
図13】
図9のインペラ配置のピンを示す斜視図である。
【
図14】別の実施形態に係るインペラを示す斜視図である。
【
図15】別の実施形態に係るインペラを示す斜視図である。
【
図16】別の実施形態に係るインペラを示す斜視図である。
【
図19】別の実施形態によるインペラアセンブリを示す側面図である。
【
図22】別の実施形態係るインペラアセンブリを示す側面図である。
【
図25】別の実施形態によるインペラアセンブリを示す側面図である。
【
図28】別の実施形態に係るインペラアセンブリを示す断面図である。
【
図30】
図28の固定軸受部と共にインペラを示す斜視図である。
【
図31】別の実施形態に係るインペラを示す断面図である。
【
図32】別の実施形態に係るインペラを示す断面図である。
【
図33】別の実施形態に係る血液ポンプを示す断面図である。
【
図35】
図33の血液ポンプの固定軸受部とともにインペラを示す図である。
【
図36】
図33の血液ポンプの固定軸受部と駆動ユニットとともにインペラを示す図である。
【
図38】別の実施形態に係る血液ポンプを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び
図2を参照すると、血液ポンプ1の斜視図及び断面図がそれぞれ示されている。血液ポンプ1は、血流入口21と血流出口22を有するポンプケーシング2を備えている。血液ポンプ1は、カテーテルポンプとも呼ばれる血管内ポンプとして設計され、カテーテル25によって患者の血管内に展開される。血流入口21は、使用中、例えば大動脈弁などの心臓弁を介して配置することができる可撓性カニューレ23に接続されている。血流出口22は、ポンプケーシング2の側面に配置され、例えば大動脈のような心臓血管内に配置することができる。血液ポンプ1は、以下でより詳細に説明するように、駆動部5によってポンプ1を駆動するための電力を血液ポンプ1に供給するために、カテーテル25に接続されている。一般に、血液ポンプ内の流れは、本開示に記載したものと逆方向であってもよいことが理解されるであろう。例えば、
図1の実施形態では、22は、血流入口、及び21は、血流出口を示すことができる。
【0036】
図3~6を参照すると、インペラ3は、血流入口21から血流出口22へ血液を搬送するために設けられ、ポンプケーシング2内に回転軸を中心として回転可能に装着されている。回転軸は、好ましくは、インペラ3の長手方向の軸である。インペラ3がインペラ3の内部にピン4と軸受構造、よって所謂ピン軸受で、形成された軸受60により回転可能に支持されている。以下でより詳細に記載されるように、軸受構造は内側ブレード32により形成されている。外側ブレード31は、インペラ3が回転すると血液を搬送するインペラ3のハブ36に設けられている。インペラ3の回転は、ポンプケーシング2を中心として円周方向に配置された駆動部5によって生成される。駆動部5は、回転磁界を生成する電気モータのステータを含む。インペラ3の外側ブレード31の磁石が回転磁界と相互作用し、回転軸を中心としたインペラ3の回転を引き起こす。磁性材料の外側ブレード31を形成することも可能である。
図2から分かるように、外側ブレード31は、磁石又は磁性材料のための十分な空間を提供するように内側ブレード32よりも厚い。図示の血液ポンプ1は、流れの主な方向が軸方向である、混合型の血液ポンプである。インペラ3の、特にブレード31の配置に応じて、血液ポンプ1は、純粋に軸血液ポンプであってもよいことが理解されるであろう。
【0037】
インペラ3は、インペラ3全体に亘って回転軸に沿って延在する血液流路33を含む。本実施形態では、インペラ3は中空、即ち、インペラのハブ36は円筒管を形成する。内側ブレード32は通路33内に配置されている。ピン4は通路33を通って延在しており、ピン4が通路33よりも小さい直径を有し、血液がピン4を越えて流れることができるように構成している。
図3~6に示すように、内側ブレード32の露出した径方向内側の縁部50は、ピン4の外周面61に係合又は接触する径方向内向きの面62を有し、インペラ3を回転可能に支持する軸受60を形成するよう構成されている。軸受60、特に、その流体力学的特性を改善するために、内側ブレード32の縁部50が周方向にテーパ状でもよい。
【0038】
ピン4、すなわち固定軸受部は、
図7に別個に示されている。ピン4は、第1の軸方向端部41及び第2の軸方向端部42を備えた長手方向の本体を有する。第1の軸方向端部41は、ポンプケーシング2にピン4を固定するための拡大部を含み、これによりピン4が固定される。例えば
図4から分かるように、拡大部41は、血流出口22の開口部に向かって血流を案内するように形成されている。インペラ3を通って全体に延在する単一のピン4の代わりに、2本の短いピンを、それぞれ、インペラ3の第1及び第2の軸方向端部34、35内まで延在するように設けてもよい。ピン4の外周面61は、軸受60のための固定軸受面を提供する。
【0039】
インペラ3の回転が駆動部5によって引き起こされると、血液が外側ブレード31によって血流入口21から血流出口22へ圧送される。同時に、血液は、内側ブレード32によって第1の軸方向端部34からインペラ3の通路33を通って第2の軸方向端部35に搬送される。本実施形態では、インペラ3の通路33を通る血液の流れは、血流入口21から血流出口22への主な血流と同じ方向に導かれる。すなわち、通路33を通る血流は、順方向に向けられている。ピン4と内側ブレード32により形成された軸受60を冷却し、内側ブレード32によって生じる血流によって積極的に洗浄して、血液詰まり及び凝固を避ける。
【0040】
一般的に、両方のブレードセットにより順方向の血流を引き起こすように、内側ブレードによって引き起こされる血流と外側ブレードによって引き起こされる血流が液圧的にバランスがとれていることが重要である。これは、インペラの環境で血液流路を接続するようにインペラのハブに開口部を設けることによって達成することができる。
図8は、インペラ603の実施形態を示す図であり、ハブ636は、ブレードを運ぶ軸方向に離間した複数のリングを含む。ブレードは、ハブ636により外側ブレード631と内側ブレード632に分割され、内側ブレードの露出された径方向内側の縁部650が、前の実施形態に関連して説明したように軸受の回転面を形成する。開口部、すなわちリング636の間の空間は、それぞれ、内側ブレード632と外側ブレード631によって引き起こされた血流の油圧バランスを達成することを可能にする。開口部を異なる方法で設計できることが理解されるであろう。例えば、より多くの又はより少ないリングを設けることができ、リングの軸方向の寸法と、リング間の間隔は、所望に応じて大きく又は小さくすることができる。開口部はまた、油圧の要件に応じて任意の寸法及び形状をとることができるインペラのハブに単純な穴として形成することもできる。
【0041】
図9~13は、
図1~7に示す実施形態に対応する別の実施形態を、外側ブレード131、内側ブレード132、及びピン104の設計を除いて例示している。
図9~12に見ることができるように、
図8の実施形態では、内側ブレード132は、外側ブレード131と整列しており、内側ブレード132は、インペラ103のハブ136を介して外側ブレード131と連続するか、又はハブ136でミラーリングされる。内側ブレード132と外側ブレード131は、中空のインペラ3のハブ136によって分離され、寸法や形状は互いに対応している。本実施形態では、2枚の内側ブレード132と2枚の外側ブレード131が設けられ、外側ブレード131はハブ136の外面上を螺旋状に延在し、内側ブレード132はハブ136の内面上を螺旋状に延在する。ハブ136は、第1の軸方向端部134から第2の軸方向端部135に延在する通路133を有する中空の円筒状である。円錐部137は、第2の軸方向端部135に取り付けられて、血液ポンプ1の血流出口22に向かって血流を案内する。
【0042】
本実施形態では、リング155が内側ブレード132に取り付けられ、ピン104、特にピン104の特定の外面161を係合して軸受160を形成する回転軸受面162を提供する。リング155は、インペラ103を径方向にセンタリングし、回転軸を中心としたインペラ103の回転を案内する。ピン104は、
図13に示してあり、先に説明した実施形態におけるよりも短くなっている。これは、ポンプケーシング内にピン104を固定するプレートを含む第1の軸方向端部141と、第2の軸方向端部142を有している。
図9~12に示すインペラ103は、
図7に示されている長いピン4と共に使用することもできる。リング155は、軸受面のみを提供してもよい。しかし、特に、インペラ103をより長いピンとともに使用する場合、インペラ103の長さに沿って2個以上のリング、例えば、第1及び第2の軸方向端部134、135のそれぞれで1個ずつのリングを配置してもよい。後者の場合、短いピン104を2本提供し、ピンの一方をインペラ103の第1の軸方向端部134に設け、別のピンをその第2の軸方向端部135に配置してもよい。いずれの場合も、軸受の嵌合面積を最小限に制限することができる。
【0043】
図14は、別の実施形態を示しており、ウィング153は軸受面162を画定する内側ブレード132に取り付けられている。この実施形態は、リング155が回転軸受面162を画定する実施形態に類似している。別個のウィング153は、閉じたリングに比べて軸受160のフラッシングを改善することができる。
図15は、別の実施形態を示しており、インペラ103は、任意の追加の軸受面を有していないが、
図1~7の実施形態のように、回転軸受162は、内側ブレード132の径方向内側の縁部150によって画定される。別の実施形態でも、内側ブレード132の露出された径方向内側の縁部150が、リング155又はウィング153により形成された軸受面162に加えて、回転軸受面として機能することができる。一本以上のピンの寸法及び形状は、次に、内側ブレード132の径方向内側の縁部150が、ピン(単数又は複数)と係合するように選択される。さらに、内側ブレード132の数は、両ブレードの油圧性能を一致させるために、外側ブレード131の数とは異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0044】
図16~18は別の実施形態を示しており、軸受構造が、リング状部151並びにピン104の軸方向端部142の寸法及び形状に適合するような寸法及び形状である追加の軸受面163を形成する湾曲した突起152を備える。特に、突起152は、ピン104の半球状の端部142に対応する半球状の形状を形成してもよい。突起152が、ピン104に係合する閉鎖面を形成するように接続されてもよいことが理解されるであろう。同様に、突起152及びピン104の端部142の形状は、必ずしも半球状である必要はないが、例えば円錐形であってもよい。この実施形態では、軸受はまた、インペラ103の軸方向の支持だけでなく、径方向のセンタリングも行う。それとは別に、本実施形態では、内側ブレード132の数は、外側ブレード131の数と異なっている。3枚の内側ブレード132がインペラ103の通路133内に配置されている一方、ハブ136の外面には、2枚の外側ブレード131しか設けられていない。
【0045】
図19~21を参照すると、別の実施形態に係るインペラアセンブリを示しており、
図1に示した血液ポンプと類似の血液ポンプにおいて使用することができるものである。特に、インペラアセンブリは、血管内カテーテルポンプに使用し、
図1に関連して示され、記載されているように、カテーテルに接続されたポンプケーシング内に配置することができる。
図19~21のインペラアセンブリは、外側ブレード231のセットを有するインペラ203を備え、血液を血液ポンプの血流入口から血流出口へ搬送する。インペラ203は、さらに、インペラ203を通って軸方向に延在する血液流路233を有している。内側ブレード232のセットは、血液流路233内の、通路233の下流端部に配置されている。本実施形態では、血流(矢印で示す)が径方向外側に案内されるように、インペラ203がテーパ状を有している。血液流路233もまた、テーパ状であり、下流端に向かって直径が増加する。しかしながら、円筒形のような任意の他の形状も、血液流路233に適している。
【0046】
インペラ203は、インペラ203の上流側端部に1つ、下流端部に1つの2つの軸受260、263によって支持されている。ポンプケーシングに連結されるように構成された固定軸受部211が下流軸受263に設けられている。固定軸受部211は、インペラ203の血液流路233内に延在して、軸受263を形成する内側ブレード232と相互作用する円錐形突起206を含む。より具体的には、内側ブレード232の露出された径方向内側の縁部251は、円錐206と相互作用する。露出された径方向内側の縁部251は、円錐206の固定軸受表面264に係合する回転軸受面265を画定する。固定軸受部の円錐形状により、軸受263は、インペラ203のための軸方向及び径方向の支持を提供する。同時に、内側ブレード232は、血液を積極的に軸受263(矢印で示す)に、特に、軸受面264、265に沿って圧送して、軸受263を洗浄及び冷却する。インペラ203の血液流路233を通る血流が、下流端の通路233を出て、インペラ203と固定軸受部211の間の隙間214を通って主な血流に合流する。
【0047】
その上流端部において、インペラ203は、別の軸受260によって支持される。ポンプケーシングに結合することができる固定軸受部210が設けられる。
図21に最もよく示すように、固定軸受部210は、リング状であり、血液がインペラ領域に入ることを可能にする複数の開口部212を備える。開口212は、血液が通過できるような任意の適切な数及びデザインを有していてもよい。本実施形態では、開口212は、複数の支柱213によって画定される。支柱213の数は、少なくとも2つ、3つ、4つ又は5つなど、と任意に選択することができる。支柱213は、インペラ203に向かって回転軸に沿って延在するピン204を支持する。ピン204は、外側ブレード231の露出された径方向内側の縁部250上に画定された回転軸受面262と相互作用する固定軸受面261を画定する。外側ブレード231の露出された径方向内側の縁部250を形成するために、外側のブレード231は、インペラ203のハブ236を越えて延在する。すなわち、外側ブレード231はインペラのハブ236を越えて突出する軸方向端部を有している。本発明の場合、3枚の外側ブレード231の全ては、ピン204に係合する露出された径方向内側の縁部250を形成するために略同じ距離だけハブ236を越えて延在する。しかし、全ての外側ブレード231が露出された径方向内側の縁部を形成していない場合には十分でありうる。このタイプの軸受は、軸受面261、262が血液と接触するオープンな設計である。軸受面261、261は、効果的に洗浄され、冷却される。ブレード231の回転時に軸受面261、262の洗浄を、
図19に矢印で示す。回転するブレード231は、沈着血液を軸受260から径方向外側に遠心分離させるのみである。この洗浄流は、ブレード231によって生じる一次血流とは無関係である。
【0048】
図20及び21からわかるように、ピン204は、血液を流すことができる軸方向通路234を有している。具体的には、ピン204の通路234は、インペラ203の血液流路233と整列しているので、血液がインペラ203の流路233に流入しやすく、インペラ203を介した血流量を増加して上記のように有効で積極的な軸受263の洗浄を行う。血液はまた、ピン204の外面とインペラ203の遠位端の間から血液流路233に入る(
図20中の矢印で示す。)。
【0049】
インペラ203は、さらに調整することができる、あるいはまた、概略的に
図20に示すように、磁石又は電磁石270、271を含む構成によって駆動することができる。固定軸受部211における磁石271は、インペラ203の磁石270と相互作用して磁気結合を形成する。磁石270、271は、誘引又は反発磁力を生じさせるように配置されて、インペラ203の軸合わせをサポートすることができる。任意の適切な駆動を使って、インペラ203の回転軸を中心とした回転を引き起こすことができることが理解されるであろう。例えば、インペラ203の磁石270は、固定軸受部211内の電気ユニットによって、すなわち、軸方向に、あるいはインペラを囲む電気ユニットによって、すなわち径方向に、引き起こされる回転磁界と相互作用することができる。あるいは、磁石271は、永久磁石であってもよく、血液に対して回転可能に密封された回転ディスクの一部であってもよい。
【0050】
図19~21に示す実施形態と略同一であるインペラアセンブリの別の実施形態を
図22~24に示す。唯一の違いは、二次ブレード235が、隙間214内のインペラ203の下流側端面に設けられていることである。これは、隙間214を洗浄するために、隙間214を介して血流を高める。さらに、二次ブレード235は、固定軸受部211の表面と相互作用するように、軸方向の流体力学的軸受を提供する。
【0051】
図25~27を参照すると、インペラアセンブリの別の実施形態が示されている。本実施形態では、インペラ303は、外側ブレード331のみを有しており、内側ブレードは有していない。それにもかかわらず、内側ブレードはまた、
図1~7に示された実施形態に関連して説明した内側ブレードのように作用する本実施の形態でも提供することができる。インペラ303は、ピン304を有する固定軸受部311を備えた軸受360によって支持されている。ピン304は、インペラ303の全血液流路333を通って延在している。血液流路333は、ピン304よりも大きな直径を有しているので、血液がピン304を越えて血液流路333を、また、インペラ303の軸方向端面の隙間314を通って流れることができる。二次ブレード335は、隙間314を通る血流を高め、流体力学的軸受を提供するために設けられている。しかし、二次ブレード335が省略可能であることは理解されるであろう。
【0052】
前の実施形態と同様に、外側のブレード331は、インペラ303のハブ336の外面上に配置され、ハブ236を超えて軸方向に延在し、露出された径方向内側の縁部350を形成し、回転軸受面362を画定する。回転軸受面362は、インペラ303の通路333から突出するピン304の軸方向端部によって画定される固定軸受面361と係合する。このように、軸受360は、軸方向及び径方向にインペラ303を支持するために提供される。インペラ通路333の大径により、二次ブレード335により形成された流体力学的軸受でバランスを取ることができるインペラ303の一定量の回動が可能となる。図示されるように、ブレード331は、血液が軸方向(矢印で示す)に軸受360に入って軸受面361、362をフラッシュすることができる開放された軸受360を形成するために回転軸と一致していない。それらはまた、血液が軸方向に軸受360に入ることができるようにしつつ回転軸と一致させてもよい。
【0053】
図28~30にインペラアセンブリの別の実施形態が示されている。これは、
図19~21のものと類似しているが、インペラを通る血液流路を含んでいない。
図28は、血流入口421と血流出口422を有するポンプケーシング402内に配置されたインペラ403を通る断面を示す。血流入口421は、ポンプケーシング402の軸方向端部に配置されており、血流出口422は径方向にポンプケーシング402を中心として配置されている。これは、
図1~7に示す実施形態と類似している。したがって、本実施形態では、上記で詳細に説明したように、入口端には可撓性カニューレを備え、反対側の端部にカテーテルを備えることもできる。同様に、インペラ403の下流端部に軸方向駆動ユニットを設けてもよい(図示せず)。
【0054】
インペラ403は、露出された径方向内側の縁部450を画定するように軸方向にインペラ403のハブ436から突出する外側ブレード431のセットを含む。インペラ403は、ブレード431の露出された径方向内側の縁部450上の回転軸受面462と、固定軸受け部410のピン404上の固定軸受面461とによって形成される軸受460で支持されている。固定軸受部410は、血液がインペラ領域に入れるよう、支柱413によって画定される開口部412を含む。前の実施形態と同様に、ピン404を通る軸方向通路を設け、血液がインペラ403とピン404の間の隙間465に入ることができ、隙間465の洗浄を改善できるようにしてもよい。インペラ403とピン404との隙間465の領域内での接触を避けるために、インペラ403及びピン404それぞれに永久磁石472、473を設け、反発磁力を引き起こす。なお、この磁石の配置は、開示された実施形態のいずれでも使用することができ、又は省略することができることが理解されるであろう。他の構成の場合、磁石は、血液が回転軸に沿って中心を通って流れることができるよう、リング磁石であってもよい。
【0055】
図31を参照すると、インペラ703の別の実施形態が示されている。先の実施形態と同様に、インペラ703は、主たる血流を発生させるため、ハブ736の外面に外側ブレード731のセットを有するテーパ状のハブ736を備えている。しかし、ブレード731はインペラのハブ736を超えて軸方向に延在していない。その代わりに、二次ブレード732は、インペラ703の先端部743に設けられている。二次ブレード732は、主ブレード731よりも小さく、前の実施形態に関連して説明したように、開放された軸受を形成するためピンと係合するように構成されている露出された径方向内側の縁部750を形成する。二次ブレード732を取り囲んで接続するシュラウド740が設けられ、血液が入口741から出口742へ流れることができるように構成される。血液は、インペラのハブ736を通っては流れないが、二次ブレード732に沿ってのみ流れる。
【0056】
図32に示された実施形態は、シュラウド740が省略されている以外は、
図32のものと略同一である。これにより、軸受のフラッシングを向上させることができる、より開放された軸受設計となる。二次ブレード732は、
図31及び32に示すような螺旋状ではなく、軸方向に完全に真っ直ぐに形成されていてもよい。これにより、軸受のフラッシングをさらに向上させる二次遠心ポンプとなる。特に、沈着血液が、二次ブレード732の内側縁部750から径方向外側に遠ざかる方向に遠心分離される。インペラ703、特に、二次ブレード732は、容易に製造することができる。例えば、インペラ703の先端743は、二次ブレード732と共に、射出成形されたセラミック素子として製造することができる。
【0057】
図33~37を参照すると、血液ポンプの別の実施形態が示されている。これは、
図28~30に示す実施形態に実質的に類似している上流部分を有している。血液ポンプは、血流入口521と血流出口522とを有するポンプケーシング502を備えている。インペラ503は、上述のように、露出された径方向内側の縁部550を形成するインペラのハブ536の外周面に外側ブレード531を有している。軸受560は、露出された径方向内側の縁部550上の軸受面562と、固定軸受け部510のピン504上の固定軸受面561によって形成される。インペラのハブ536がテーパ状であることにより、血流は、血流入口521から血流出口522へ、径方向外側に向けられている。以上説明したように、インペラ503の軸方向位置を調整するために、軸方向の反発力を引き起こす磁石(図示せず)を、それぞれ、インペラ503及びピン504に配置することができる。
【0058】
本実施形態では、インペラ503は、インペラ503の下流部分に第2のセットのブレード532を有するとともに、軸受560と略同一である第2の軸受563を有する。ブレード532は、ピン506上の固定軸受面564に係合する回転軸受面565を画定する、露出された径方向内側の縁部552を形成する。ピン506は、固定軸受部510と略同一である別の固定軸受部511に含まれている。これは、例えば、血液ポンプへ電力を供給するカテーテル525に接続されている。二次血流入口523は、ポンプケーシング502の下流側端部に形成されている。固定軸受部511の開口部により、血液が流れの主方向とは反対方向の手前側からインペラ領域に入ることができる。ブレード532は、矢印で示すように血流出口522に向かって間隙514を通ってインペラ503の中間部分530に沿った流れの主方向に対して血液を圧送するように配置されている。これにより、ポンプケーシング502と、インペラ503を中心として円周方向に配置された電気駆動ユニット505によって回転させられる磁石570を含むインペラ503の中間部分530との間の隙間のフラッシングが可能となる。ブレード532は、隙間514を洗浄するために十分な逆流を起こすように設計されているが、同時に主たる血流に影響を与えない。特に、ブレード532は、ブレード531よりも小さくてもよい。他の実施形態でも同様に、ブレードのいずれかが、それぞれの露出された径方向内側の縁部で、改良された放熱及びセラミックなどの耐摩耗性特性を有する材料を含むコーティング又はインサートを有していてもよい。2つの軸方向インペラ部の軸方向の力は、対向する圧送方向によって最小化することができる。
【0059】
図38は、
図33~37に示す実施形態と略同様の血液ポンプの別の実施形態を示す。インペラ803は、2組のブレード831、832を有し、それぞれの軸受860、863を形成している。ブレード831により、血流入口821から血流出口822への主たる血流が生成される。前の実施形態と同様に、二次ブレード832は、二次血流入口823からステータコイル805と磁石870との間の隙間を通って血流出口に流れる後方洗浄流を生成する。二次血流入口823は、カテーテル825に向けられている。インペラのハブ836は、血流出口822の領域でハブ836を中心として周方向に延在する肩部837を有し、主たる血流、そして特に洗浄流を血流出口822から外部に導く。すなわち、ほぼ垂直な隙間と径方向肩部837を横切って通過する主流により、ローカル遠心及びウォータージェットポンプが生成される。二次ブレード832は、螺旋形状ではなく、直線形状の2枚以上のブレードを有する遠心ポンプとして設計して、遠心ポンプを形成できることが理解されるであろう。
【0060】
前述のブレードのいずれも油圧要件に合わせて設計することができる。特に、ブレードは、実施例に示されるように螺旋状であってもよい。しかし、前述のブレードのいずれか、特に上述のような二次ブレードは、遠心ポンプを形成するように設計することができる。換言すれば、ブレードは、直線であってもよいし、軸方向に純粋に延在してもよい。
図39は、ピン1004に係合する直線ブレード1031を通る断面図を示す。螺旋ブレードではなく、直線ブレードを有する遠心ポンプを設けることにより、血液に比べ沈着血液の密度がより高いことから軸受面1061、1062からの沈着血液の除去を容易にする、より大きな遠心力を生じさせることができる。沈着物は、軸受面1061、1062から径方向外側に離れるように搬送されるので、血液詰まりや凝固を防止するのに役立ち、したがって、血栓症のリスクを低減する。
図39に示すブレード1031は拡大ベース1050を有している。
図40は、ピン1104を係合するブレード1131に拡大ベースを設けていない別の実施形態を示す。これにより、軸受面1161、1162から径方向外側に離れる方向への沈着血液の遠心分離を改善することができる。
【0061】
記載された実施形態は単なる例示であり、限定するものではないことが理解されるであろう。特に、実施形態の様々な態様及び特徴は、組み合わせることができ、又は独立して異なる実施形態で採用することもできる。例えば、外側ブレード、内側ブレード、ピン、ピン又はインペラを通る血液流路、駆動部、軸合わせのための磁石等に関して説明した特徴と異なる設計は、本発明の範囲から逸脱することなく、可変に組み合わせることができる。
【0062】
好ましい実施形態は、以下の項目のように記載されている。
1.血液ポンプであって、血流入口と血流出口とを有するポンプケーシングと、前記ポンプケーシング内に配置され、回転軸を中心として回転可能となるように少なくとも1つの軸受によってポンプケーシングに回転可能に支持されたインペラとを備え、前記インペラは、血液を前記血流入口から前記血流出口へ搬送するための少なくとも1枚のブレードを有し、前記軸受は、前記ポンプケーシングに結合され、径方向外側に面する固定軸受面を有する少なくとも1つの固定軸受部を含み、前記軸受は、さらに、前記固定軸受面と相互作用して前記軸受を形成する回転軸受面を備え、前記回転軸受面は、径方向内側に面しており、前記少なくとも1枚のブレードの少なくとも1つの露出された径方向内側の縁部上、又はブレードの露出された径方向内側の縁部に結合された軸受構造上に形成されている血液ポンプ。
【0063】
2.前記固定軸受部は、前記回転軸に沿って延在する少なくとも1つのピン又は円錐を含む項目1に記載の血液ポンプ。
【0064】
3.前記固定軸受部は、形状が略円筒形又はテーパ状である項目1又は2に記載の血液ポンプ。
【0065】
4.前記少なくとも1つの固定軸受部は、軸方向にインペラの長さの半分未満に沿って延在しているか、インペラの略全長に沿って延在している項目1~3のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0066】
5.2つの軸受を含み、それぞれが固定軸受部を有し、前記固定軸受部は、前記インペラの対向する軸方向両端において前記インペラ内へ軸方向に延在する項目1~4のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0067】
6.前記回転軸受面は、前記少なくとも1枚のブレードの露出された径方向内側の縁部の略全長に沿って延在する、又は前記少なくとも1枚のブレードの前記露出された径方向内側の縁部の長さの一部に沿ってのみ延在する項目1~5のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0068】
7.前記固定軸受部は、そこを貫通して延在する中央軸方向通路を有する項目1~6のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0069】
8.前記固定軸受部は、少なくとも1つの開口を備えて血液を軸方向に通過可能にする支持構造により前記ポンプケーシングに結合されている項目1~7のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0070】
9.前記固定軸受部は、径方向の血流を導くような寸法と形状である支持構造により前記ポンプケーシングに結合されている項目1~8のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0071】
10.前記少なくとも1枚のブレードは、前記インペラのハブの外面と前記インペラの前記ハブの内面の少なくとも一方に配置されている項目1~9のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0072】
11.前記少なくとも1つのブレードは、前記インペラのハブの外面上に配置され、前記ハブを越えて軸方向に延在する項目1~10のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0073】
12.前記インペラは、前記インペラのハブを通って延在する血液流路を有し、前記インペラは、前記インペラのハブの外面上に配置され、血液を前記血流入口から前記血流出口へ搬送できる寸法及び形状の少なくとも1枚の外側ブレードと、前記通路に配設され、前記通路を通って血液を搬送できる寸法及び形状である少なくとも1枚の内側ブレードとを有する項目1~11までのいずれかに記載の血液ポンプ。
【0074】
13.前記回転軸受面は、前記内側ブレードと前記外側ブレードの少なくとも一方の露出された径方向内側の縁部に形成されている項目12に記載の血液ポンプ。
【0075】
14.それぞれが固定軸受部を有する2個の軸受を備え、前記固定軸受部は、前記インペラの軸方向両端において前記インペラ内に軸方向に延在し、前記軸受の一方の前記回転軸受面が、前記少なくとも1枚の内側ブレードの露出された径方向内側の縁部上に形成され、前記軸受の前記他方の前記回転軸受面は、前記少なくとも1枚の外側ブレードの露出された径方向内側の縁部上に形成されている項目12又は13に記載の血液ポンプ。
【0076】
15.前記インペラの前記通路は、前記回転軸に沿って少なくとも部分的に又は完全に延在している項目12から14のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0077】
16.前記少なくとも1つの固定軸受部は、前記インペラの前記通路の長さの少なくとも半分又は少なくとも3/4に沿って延在する、又は前記インペラの前記通路を通って完全に延在する項目15に記載の血液ポンプ。
【0078】
17.前記少なくとも1枚のブレードは、前記ブレードが前記インペラの前記ハブによって前記内側ブレードを形成する内側部分と前記外側ブレードを形成する外側部分に分割されるように、前記インペラ上に配置されている項目12~16のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0079】
18.前記固定軸受部の最大径は、前記インペラの前記通路の最小径よりも小さい項目12~17のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0080】
19.前記ポンプケーシングは、流れの主方向の前記血流入口と前記血流出口から軸方向に離れた二次血流入口を有する項目1~18のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0081】
20.前記インペラは、少なくとも2枚のブレードを含み、少なくともその一方は、前記血流入口に関連付けられて血液を前記血流入口から血流出口への流れの主方向に搬送し、少なくとも他方は、前記二次血流入口に関連付けられて血液を前記二次血流入口から前記血流出口へ前記流れの主方向とは反対の方向に搬送する項目19に記載の血液ポンプ。
【0082】
21.前記少なくとも2枚のブレードは、前記インペラの、中間部に隣接する軸方向に対向する部分に配置され、前記二次血流入口に関連付けられた前記少なくとも1枚のブレードは、血液を前記インペラの前記中間部分に沿って搬送できる寸法と形状である項目20に記載の血液ポンプ。
【0083】
22.前記軸受構造は、前記固定軸受部の少なくとも一部を取り囲む少なくとも1つのリングと、前記固定軸受部の少なくとも一部と係合する少なくとも1つのウィングのうち少なくとも1つを含む項目1~21のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0084】
23.前記回転軸受面は、前記固定軸受部の軸方向端部に係合できる寸法と形状である項目1~22のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0085】
24.前記インペラを駆動する電動モータを備え、前記電動モータのステータは、ポンプケーシングに結合され、前記インペラを中心として円周方向に配置された項目1~23のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0086】
25.前記電動モータの前記ステータは、回転磁界を生成するための少なくとも1つの電気構成を含み、前記インペラは、少なくとも1つの永久磁石を含む項目24に記載の血液ポンプ。
【0087】
26.前記固定軸受部と前記インペラはそれぞれ、少なくとも1つの磁石を備え、前記固定軸受部内の前記磁石と前記インペラ内の前記磁石は径方向に整列し、前記固定軸受け部と前記インペラにそれぞれ配置され、軸方向の反発磁力が前記固定軸受部と前記インペラの間に生成される項目1~25のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0088】
27.前記固定軸受面と前記回転軸受面の少なくとも一方はそれぞれ、前記固定軸受部と前記インペラの残りの部分の材料よりも高い硬度を有する材料を含む項目1~26のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0089】
28.前記インペラは、前記インペラの軸方向端面に配置された、少なくとも1枚の二次ブレードを含む項目1~27のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0090】
29.前記二次ブレードが流体軸受の一部を形成する項目28に記載の血液ポンプ。
【0091】
30.血液ポンプであって、血流入口及び血流出口を有するポンプケーシングと、回転軸を中心として回転可能に前記ポンプケーシングに配置されたインペラとを備え、前記インペラは、前記インペラのハブを通って延在する血液流路を有し、前記インペラは、前記インペラの前記ハブの外面上に配置され、血液を前記血流入口から前記血流出口へ搬送できる寸法及び形状の外側ブレードと、前記通路に配設され、前記通路を通って血液を搬送できる寸法及び形状である内側ブレードとを有する血液ポンプ。
【0092】
31.前記インペラは、前記通路内に配設された内側ブレードが前記軸受への前記通路を通って血液を搬送できる寸法及び形状である少なくとも1つの軸受によって前記ポンプケーシング内に回転可能に支持されている項目30に記載の血液ポンプ。
【0093】
32.前記インペラの通路は、前記回転軸に沿って少なくとも部分的に又は完全に延在する項目30又は31に記載の血液ポンプ。
【0094】
33.前記インペラは、前記通路内に配設された軸受構造を含む項目30~32のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0095】
34.さらに、前記回転軸に沿って延在する少なくとも1本のピンを有し、前記ピンの少なくとも一部が、前記インペラの前記軸受構造を係合して前記少なくとも1つの軸受を形成する項目33に記載の血液ポンプ。
【0096】
35.前記ピンは、前記インペラの前記通路の前記長さの前記少なくとも半分又は少なくとも3/4に沿って延在する、又は前記インペラの前記通路を通って完全に延在する項目34に記載の血液ポンプ。
【0097】
36.前記ピンの最大径は、前記インペラの前記通路の最小径よりも小さい項目34又は35に記載の血液ポンプ。
【0098】
37.前記インペラの前記内側ブレードは、前記インペラの前記軸受構造の一部を形成し、軸受面を確定する少なくとも1つの径方向内側の縁部を有する項目33から36のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0099】
38.前記内側ブレードの前記少なくとも1つの径方向内側の縁部の少なくとも一部が、前記ピンの外周面の少なくとも一部に係合して少なくとも1つの軸受を形成する項目37と項目34に記載の血液ポンプ。
【0100】
39.前記インペラの前記軸受構造は、前記ピンの少なくとも一部に係合する少なくとも1個のリングを含む項目34~36のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0101】
40.前記インペラの前記軸受構造は、前記ピンの少なくとも一部に係合する少なくとも1つのウィングを含む項目34~36のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0102】
41.前記インペラの前記軸受構造は、前記ピンの軸方向端部に係合できる寸法及び形状であり、前記少なくとも1つの軸受を形成する少なくとも1つの軸受面を備える項目34~36のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0103】
42.前記内側ブレードが前記外側ブレードと整列される項目30~41のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0104】
43.前記血液ポンプは血管内血液ポンプである項目1~42のいずれかに記載の血液ポンプ。
【0105】
44.前記血液ポンプは、軸方向血液ポンプ、遠心式血液ポンプ、又は混合型の血液ポンプである項目1~43のいずれかに記載の血液ポンプ。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流入口(21)及び血流出口(22)を有するポンプケーシング(2)と、
前記ポンプケーシング内に配置され、少なくとも1つの軸受(160)によって前記ポンプケーシングに回転軸を中心として回転可能に支持されたインペラ(103)を備え、前記インペラ(103)は、少なくとも1枚のブレード(131、132)を有して血液を前記血流入口から前記血流出口へ搬送し、
前記軸受(160)は、前記ポンプケーシングに結合され、径方向外側に向いた固定軸受面(161)を有する少なくとも1つの固定軸受部(104)を備え、前記軸受(160)は、前記固定軸受面(161)と相互作用して前記軸受(160)を形成する回転軸受面(162)をさらに有し、前記回転軸受面(162)は、径方向内側に面し、前記少なくとも1枚のブレードの露出された径方向内側の縁部(150)に結合された軸受構造体上に形成される血液ポンプ(1)。
【請求項2】
前記固定軸受部は、回転軸に沿って延在する少なくとも1つのピン(104)又は円錐を含み、前記固定軸受部の形状は、略円筒形又はテーパ状である請求項1に記載の血液ポンプ。
【請求項3】
前記固定軸受部は、そこを貫通して延在する中央軸方向通路を有する請求項2に記載の血液ポンプ。
【請求項4】
2つの軸受を含み、それぞれが固定軸受部を有し、前記固定軸受部は、前記インペラの軸方向両端において前記インペラ内へ軸方向に延びる請求項1~3のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項5】
前記固定軸受部は、少なくとも1つの開口を備えて血液を軸方向に通過可能にする支持構造により前記ポンプケーシングに結合されており、前記支持構造が血流を径方向に導くことができるような寸法及び形状を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項6】
前記少なくとも1枚のブレードは、前記インペラのハブの外面と前記インペラの前記ハブの内面の少なくとも一方に配置されており、前記少なくとも1枚のブレードが前記インペラのハブの前記外面上に配置される場合は、前記ブレードは、前記ハブを越えて軸方向に延在する請求項1~5のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項7】
前記インペラ(103)は、前記インペラ(103)のハブ(136)を通って延在する血液流路(133)を有し、前記インペラ(103)は、前記ハブ(136)の外側表面上に配置され、血液を前記血流入口(21)から前記血流出口(22)へ搬送できる寸法と形状を有する少なくとも1枚の外側ブレード(131)と、前記血液流路(133)内に配設され、血液を前記血液流路(133)を通って搬送できる寸法と形状を有する少なくとも1枚の内側ブレード(132)を備える請求項1~6のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項8】
前記インペラ(103)の前記血液流路(133)は、前記回転軸の少なくとも部分的に又は全体に沿って延在し、前記少なくとも1つの固定軸受部は、前記インペラ(103)の前記血液流路(133)の長さの少なくとも半分又は少なくとも3/4に沿って延在する、あるいは前記血液流路(133)全体を通って延在する請求項7に記載の血液ポンプ。
【請求項9】
前記インペラは、少なくとも1つの径方向開口を有し、前記血液流路を前記インペラの環境と接続する請求項8に記載の血液ポンプ。
【請求項10】
前記少なくとも1枚のブレードは、前記インペラ上に配置されており、前記ブレードが前記インペラの前記ハブによって前記内側ブレードを形成する内側部分と前記外側ブレードを形成する外側部分に分割される請求項7~9のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項11】
前記ポンプケーシングは、流れの主方向の前記血流入口と前記血流出口から軸方向に離間した二次血流入口を有し、前記インペラは、少なくとも2枚のブレードを備え、その少なくとも一方は、前記血流入口に関連付けられて血液を前記血流入口から前記血流出口へ流れの主方向に搬送し、少なくとも他方は、前記二次血流入口に関連付けられて血液を前記二次血流入口から前記血流出口へ前記流れの主方向とは反対の方向に搬送し、前記少なくとも2枚のブレードは中間部分に隣接する前記インペラの軸方向に対向する部分に配置される請求項1~10のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項12】
前記二次血流入口に関連付けられた前記少なくとも1枚のブレードは、血液を前記インペラの前記中間部分に沿って搬送できる寸法及び形状である請求項11に記載の血液ポンプ。
【請求項13】
前記軸受構造は、前記固定軸受部(104)の少なくとも一部を取り囲む少なくとも1つのリング(155)と、前記固定軸受部(104)の少なくとも一部と係合する少なくとも1つのウィング(153)のうち少なくとも1つを含み、及び/又は、前記回転軸受面(151、152)は、前記固定軸受部(104)の軸方向端部(142)に係合できる寸法と形状である請求項1~12のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項14】
前記インペラを駆動する電動モータを備え、前記電動モータのステータは、前記ポンプケーシングに結合され、前記インペラを中心として円周方向に配置され、前記電動モータの前記ステータは、回転磁界を生成するための少なくとも1つの電気構成を含み、前記インペラは、少なくとも1つの永久磁石を含む請求項1~13のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項15】
前記固定軸受部と前記インペラはそれぞれ、少なくとも1つの磁石を備え、前記固定軸受部における前記磁石と前記インペラ内の前記磁石は径方向に整列し、前記固定軸受け部と前記インペラにそれぞれ配置され、軸方向の反発磁力が前記固定軸受部と前記インペラの間に生成される請求項1~14のいずれか1項に記載の血液ポンプ。
【請求項16】
前記固定軸受面と前記回転軸受面の少なくとも一方は、それぞれ、前記固定軸受部と前記インペラの残りの部分の材料よりも高い硬度を有する材料を含む請求項1~15のいずれか1項に記載の血液ポンプ。