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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022013629
(43)【公開日】2022-01-18
(54)【発明の名称】モータハウジング構造
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20220111BHJP
   B21C 23/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H02K5/24 A
B21C23/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021017586
(22)【出願日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】202010621101.6
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011498731.5
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】イー,ピィン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ヂゥー
(72)【発明者】
【氏名】イァン,クゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ゥアン,ハァィピィン
(72)【発明者】
【氏名】スゥン,クゥンシィン
【テーマコード(参考)】
4E029
5H605
【Fターム(参考)】
4E029AA06
5H605AA04
5H605CC01
5H605DD01
5H605FF03
5H605FF08
5H605GG12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、ダンピング係数を大きくすることができ、加工プロセスが簡単で、加工サイクルが短く、製造コストが低く、量産できるモータハウジングを提供する。
【解決手段】モータハウジング構造は、外殻1と、内殻2と、外殻と内殻との間に組み立てられたいくつかの中間部材3とを含み、中間部材が全体として中空の円弧状の構造又はリング状の構造であり、中間部材の上面及び下面には、いくつかの凸起及び/又は凹溝が設けられており、上面の凸起及び/又は凹溝が外殻の内周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定され、下面の凸起及び/又は凹溝が内殻の外周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻と、内殻と、前記外殻と前記内殻との間に組み立てられたいくつかの中間部材とを含み、
前記中間部材が全体として中空の円弧状の構造又はリング状の構造であり、前記中間部材の上面及び下面には、いくつかの凸起及び/又は凹溝が設けられており、前記上面の凸起及び/又は凹溝が前記外殻の内周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定され、前記下面の凸起及び/又は凹溝が前記内殻の外周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定されている、
ことを特徴とするモータハウジング構造。
【請求項2】
前記外殻の内周面には、軸方向に延びたいくつかの第一の凸起又は凹溝が設けられ、前記内殻の外周面には、軸方向に延びたいくつかの第二の凸起又は凹溝が設けられており、前記中間部材の上面には、前記第一の凸起又は凹溝と係合固定される第一の凹溝又は凸起が設けられ、前記中間部材の下面には、前記第二の凸起又は凹溝と係合固定される第二の凹溝又は凸起が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング構造。
【請求項3】
前記第一の凸起の高さが前記第一の凹溝の深度よりも大きく、前記外殻の内周面と前記中間部材との隣接する2つの係合固定位置の間によって第一の溝が構成され、前記第一の溝の中が空であるか又はダンピング媒体で充填されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のモータハウジング構造。
【請求項4】
前記中間部材の内部には、中空の形で第二の溝が形成され、前記第二の溝の中が空であるか又はダンピング媒体で充填されており、前記中間部材の一端には、軸方向に延びた第一のスナップ溝が設けられ、前記中間部材の他端には、軸方向に延びた第一のフランジが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング構造。
【請求項5】
前記外殻の内周面には、いくつかの凸起部が設けられており、前記凸起部の一端には、軸方向に延びた第二のスナップ溝が設けられ、前記凸起部の他端には、軸方向に延びた第二のフランジが設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載のモータハウジング構造。
【請求項6】
前記内殻の外周面と前記中間部材との隣接する2つの係合固定位置の間によって冷却溝が構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング構造。
【請求項7】
前記中間部材の長さが前記モータハウジング構造の長さよりも小さく、隣接する2つの前記中間部材のうち、一方が、前記モータハウジング構造の一端のエッジ位置に設けられ、他方が、前記モータハウジング構造の他端のエッジ位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載のモータハウジング構造。
【請求項8】
前記中間部材の外側にアルミリングが溶接されており、前記アルミリングと、前記中間部材と、前記内殻の外周面との間でS字状又は迷路状の冷却チャネルが形成されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のモータハウジング構造。
【請求項9】
前記内殻、前記中間部材及び前記外殻は、材質がアルミニウム合金であり、加工方法が押出成形である、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のモータハウジング構造。
【請求項10】
前記中間部材と前記外殻及び内殻との間の組み立てが締まり嵌めであり、及び/又は、前記中間部材の中空の横断面が、台形、平行四辺形、楕円形、又は、曲線又は直線で構成された不規則な形状である、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のモータハウジング構造。
【請求項11】
各々の前記中間部材が前記外殻又は前記内殻と一体的に製造されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの技術分野に関し、特に、モータハウジング構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業の発展に伴い、自動車のNVH性能は、現代の自動車製造品質の一つの総合的な技術指標となっている。NVHは、騒音、振動及びハーシュネス(Noise、Vibration、Harshness)の英字略称である。NVHは、自動車利用者に最も直接的で表面的な体験を与える。車両のNVH問題は、国際自動車業界で各大手車両製造企業及び部品企業が注目する問題の一つである。統計資料によると、車両全体の故障問題において、その約3分の1は、車両のNVH問題に関連している。車内の騒音の大きさに影響を与える主な励振源は、エンジン、モータ、減速機、タイヤ等の部品である。電気自動車については、主な励振源はモータである。自動車に用いられるモータの数量が多いため、モータの騒音及び振動に関する研究は、ますます重要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のダンパ内蔵式モータは、ダンピング構造とモータハウジングが一体設計されているため、このようなモータハウジングには、加工が難しく、加工サイクルが長く、製造コストが高く、量産できないという問題がある。
【0004】
上記問題について、本発明には、上記問題を解消し、又は、上記問題を少なくとも部分的に解決するためのモータハウジング構造が開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明には、以下の技術案が用いられている。
【0006】
本発明には、モータハウジング構造が開示されており、前記モータハウジング構造は、外殻と、内殻と、前記外殻と前記内殻との間に組み立てられたいくつかの中間部材とを含み、前記中間部材は全体として中空の円弧状の構造又はリング状の構造であり、前記中間部材の上面及び下面には、いくつかの凸起及び/又は凹溝が設けられており、前記上面の凸起及び/又は凹溝が前記外殻の内周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定され、前記下面の凸起及び/又は凹溝が前記内殻の外周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定されている。
【0007】
また、前記外殻の内周面には、軸方向に延びたいくつかの第一の凸起又は凹溝が設けられ、前記内殻の外周面には、軸方向に延びたいくつかの第二の凸起又は凹溝が設けられており、前記中間部材の上面には、前記第一の凸起又は凹溝と係合固定される第一の凹溝又は凸起が設けられ、前記中間部材の下面には、前記第二の凸起又は凹溝と係合固定される第二の凹溝又は凸起が設けられていてもよい。
【0008】
また、前記第一の凸起の高さが前記第一の凹溝の深度よりも大きく、前記外殻の内周面と前記中間部材との隣接する2つの係合固定位置の間によって第一の溝が構成され、前記第一の溝の中が空であるか又はダンピング媒体で充填されていてもよい。
【0009】
また、前記中間部材の内部には、中空の形で第二の溝が形成され、前記第二の溝の中が空であるか又はダンピング媒体で充填されており、前記中間部材の一端には、軸方向に延びた第一のスナップ溝が設けられ、前記中間部材の他端には、軸方向に延びた第一のフランジが設けられていてもよい。
【0010】
また、前記外殻の内周面には、いくつかの凸起部が設けられており、前記凸起部の一端には、軸方向に延びた第二のスナップ溝が設けられ、前記凸起部の他端には、軸方向に延びた第二のフランジが設けられていてもよい。
【0011】
また、前記内殻の外周面と前記中間部材との隣接する2つの係合固定位置の間によって冷却溝が構成されていてもよい。
【0012】
また、前記中間部材の長さが前記モータハウジング構造の長さよりも小さく、隣接する2つの前記中間部材のうち、一方が、前記モータハウジング構造の一端のエッジ位置に設けられ、他方が、前記モータハウジング構造の他端のエッジ位置に設けられていてもよい。
【0013】
また、前記中間部材の外側にアルミリングが溶接されており、前記アルミリングと、前記中間部材と、前記内殻の外周面との間でS字状又は迷路状の冷却チャネルが形成されていてもよい。
【0014】
また、前記内殻、前記中間部材及び前記外殻は、材質がアルミニウム合金であり、加工方法が押出成形であってもよい。
【0015】
また、前記中間部材と前記外殻及び内殻との間の組み立てが締まり嵌めであり、及び/又は、前記中間部材の中空の横断面が、台形、平行四辺形、楕円形、又は、曲線又は直線で構成された不規則な形状であってもよい。
【0016】
また、各々の前記中間部材が前記外殻又は前記内殻と一体的に製造されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の利点及び有益な効果は、次の通りになる。
【0018】
本発明のモータハウジング構造において、外殻と、内殻と、外殻と内殻との間に組み立てられたいくつかの中間部材との設計により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくすることができ、加工プロセスが簡単で、加工サイクルが短く、製造コストが低く、量産できるという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1a】本発明の一実施例におけるモータハウジングの立体構造図である。
図1b】本発明の一実施例におけるモータハウジングの立体構造図である。
図2a】本発明の一実施例におけるモータハウジングの径方向断面図である。
図2b】本発明の一実施例におけるモータハウジングの径方向断面図である。
図3a】本発明の一実施例における外殻の立体構造図である。
図3b】本発明の一実施例における外殻の立体構造図である。
図4a】本発明の一実施例における外殻の径方向断面図である。
図4b】本発明の一実施例における外殻の径方向断面図である。
図5】本発明の一実施例における内殻の立体構造図である。
図6】本発明の一実施例における内殻の径方向断面図である。
図7】本発明の一実施例における中間部材の立体構造図である。
図8】本発明の一実施例における中間部材の横断面図である。
図9】本発明の一実施例におけるモータハウジング内の冷却チャネルの模式図である。
図10】本発明の一実施例におけるモータハウジングの軸方向断面図である。
図11】本発明の一実施例におけるモータハウジングの径方向断面図である。
図12】本発明の一実施例におけるモータハウジングの立体構造図である。
図13】本発明の一実施例における中間部材と外殻とが一体的に製造されている立体構造図である。
図14】本発明の一実施例におけるモータハウジングの径方向断面図である。
図15】本発明の一実施例におけるモータハウジングの立体構造図である。
図16】本発明の一実施例における中間部材と内殻とが一体的に製造されている立体構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を読むことにより、様々な他の利点及びメリットが当業者にとって明らかになる。図面は、好ましい実施形態を例示するためのものだけであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。また、図面全体において、同じ部品には同じ参照符号が付されている。
【0021】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、本発明の具体的な実施例及び対応する図面と合わせて、本発明の技術案を明確かつ完全に説明する。明らかなことに、ここで記載された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に含まれる。
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の各実施例による技術案を詳しく説明する。
【0023】
本発明の一実施例には、モータハウジング構造が開示されており、図1a、図1b、図2a及び図2bに示すように、当該モータハウジング構造が、外殻1と、内殻2と、外殻1と内殻2との間に組み立てられたいくつかの中間部材3とを含む。
【0024】
図1a、図1b、図2a及び図2bから分かるように、中間部材3は全体として中空の円弧状の構造又はリング状の構造であり、中間部材3の上面及び下面には、いくつかの凸起及び/又は凹溝が設けられており、上面の凸起及び/又は凹溝が外殻1の内周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定され、下面の凸起及び/又は凹溝が内殻2の外周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定されている。凹溝と凸起とは位置が入れ替え可能であり、凹溝と凸起との係合固定により、中間部材3の外殻1及び内殻2への固定が実現され、中間部材3の両殻の間でのがたつきが防止される。
【0025】
本実施例におけるモータハウジング構造は、外殻1と、内殻2と、外殻1と内殻2との間に組み立てられたいくつかの中間部材3との設計により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくして、モータハウジングの応答周波数を低減し、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、電磁波の振幅を減らすことにより、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。そして、本発明における外殻1、内殻2及び中間部材3は、それぞれ個別に加工成形されるか、若しくは、中間部材3は、外殻1又は内殻2にそれぞれ一体的に成形されることが可能であり、加工プロセスが簡単で、加工サイクルが短く、製造コストが低く、量産できるという利点を有する。
【0026】
一実施例において、図3a、図3b、図4a及び図4bに示すように、外殻1の内周面には、軸方向に延びたいくつかの第一の凸起4が設けられており、図5及び図6に示すように、内殻2の外周面には、軸方向に延びたいくつかの第二の凸起5が設けられており、図7及び図8に示すように、中間部材3の上面には、第一の凸起4と係合固定される第一の凹溝6が設けられ、中間部材3の下面には、第二の凸起5と係合固定される第二の凹溝7が設けられており、中間部材3の第一の凹溝6及び第二の凹溝7がそれぞれ1つであっても複数であってもよく、外殻1の第一の凸起4及び内殻2の第二の凸起5の数がそれらに応じて設定される。上記固定構造の設計によって、中間部材3が外殻1と内殻2の間で周方向に回転することを効果的に防止することができる。本実施例において、凸起と凹溝とは、位置が入れ替え可能である。
【0027】
一実施例において、図2a及び図2bに示すように、第一の凸起4の高さが第一の凹溝6の深度よりも大きいので、外殻1の内周面が中間部材3の上面と貼り合わなく、更に、外殻1の内周面と中間部材3との隣接する2つの係合固定位置の間によって第一の溝8が構成され、第一の溝8の中が空であるか又はダンピング媒体で充填されており、第一の溝8を設けることで、ロータの回転時に発生する騒音及び振動を効果的に吸収することができる。最も好ましくは、ダンピング媒体が固体ダンピング媒体であり、例えば、第一の溝8内にゴムを注入し、ゴムが固まると、外殻1と中間部材3との相対的な固定を実現することもできる。
【0028】
一実施例において、図7及び図8に示すように、中間部材3の内部には、中空の形で第二の溝9が形成され、第二の溝9の中が、空であるか、又はダンピング媒体で充填されており、その役割が第一の溝8と同じであり、最も好ましくは、ダンピング媒体が固体ダンピング媒体であり、中間部材3の一端には、軸方向に延びた第一のスナップ溝10が設けられ、中間部材3の他端には、軸方向に延びた第一のフランジ11が設けられており、第一のスナップ溝10に、ちょうど第一のフランジ11がスナップフィット固定されることが可能で、隣接する2つの中間部材3間の接続及び固定が実現される。
【0029】
1つの好ましい実施例において、図2a、図2b、図4a及び図4bに示すように、外殻1の内周面には、いくつかの凸起部12が設けられており、凸起部12の一端には、軸方向に延びた第二のスナップ溝13が設けられ、凸起部12の他端には、軸方向に延びた第二のフランジ14が設けられている。第二のスナップ溝13が第一のフランジ11とスナップフィット可能で、第二のフランジ14が第一のスナップ溝10とスナップフィット可能であり、凸起部12がモータハウジングを補強及び固定する役割も果たしており、第二のスナップ溝13及び第二のフランジ14を設けることにより、中間部材3の更なる固定を補強することができる。凸起部12は2つあり、これら2つの凸起部12が位置する外殻1には、冷却液が両殻の間に入るのを容易にするために、液体入口及び液体出口がそれぞれ設けられている。
【0030】
一実施例において、内殻2の外周面と中間部材3との隣接する2つの係合固定位置の間によって冷却溝15が構成され、冷却液を冷却溝15内に流通させてモータハウジングを冷却することが可能である。
【0031】
一実施例において、中間部材3の長さがモータハウジング構造の長さよりも小さくて、図9に示すように、隣接する2つの中間部材3の一方は、モータハウジング構造の一端のエッジ位置に設けられ、隣接する2つの中間部材3の他方は、モータハウジング構造の他端のエッジ位置に設けられているので、中間部材3は、モータハウジング構造の一端のエッジ位置にしか位置合わせできず、他端のエッジ位置との間に間隔を置かれ、この間隔を介して、隣接する2つの冷却溝15は互いに連通される。
【0032】
一実施例において、図10に示すように、中間部材3の外側にアルミリング16が溶接されており、アルミリング16が外殻1及び内殻2にそれぞれ溶接されることにより、モータ外殻1と内殻2との間のシーリングが実現され、アルミリング16によるシーリング後、中間部材3の一端がアルミリング16に当接し、他端がアルミリング16と周方向の溝を形成し、アルミリング16と、中間部材3と、内殻2の外面との間でS字状又は迷路状の冷却チャネルが形成され、冷却チャネルの構造が図9に示されており、当該冷却チャネルがいくつかの周方向の溝と冷却溝で構成され、冷却液が液体入口から冷却溝に入り、冷却チャネル15内で循環した後、液体出口から排出され、こうして、モータハウジングに対する冷却が実現される。また、前記外殻1又はアルミリング16には、液体入口及び液体出口が設けられている。
【0033】
1つの好ましい実施例において、内殻2、中間部材3及び外殻1は、材質がアルミニウム合金であり、加工方法が押出成形である。押出加工により、外殻1、内殻2及び中間部材3の量産が実現できる。
【0034】
一実施例において、中間部材3と外殻1及び内殻2との間の組み立てが締まり嵌めであり、締まり嵌めにより、中間部材3と外殻1及び内殻2との間の接続がより緊密になり、中間部材3がそれらに対して緩むことが防止され、及び/又は、中間部材3の中空の横断面が、台形、平行四辺形、楕円形、又は、曲線又は直線で構成された不規則な形状であってもよく、中間部材3の中空の横断面の形状が、実際のニーズに応じて調整可能である。
【0035】
一実施例において、隣接する中間部材3の間を固定的に接続してもよく、具体的な方式としては、いくつかの中間部材3を個別に製造してから、溶接又は他の方法によって固定接続を実現してもよく、いくつかの中間部材3を一体的に製造してもよい。外殻1が中間部材3と一体的に製造されている場合、図11~13に示すように、内殻2との嵌合によりモータハウジングの組立が実現され、内殻2が中間部材3と一体的に製造されている場合、図14~16に示すように、外殻1との嵌合によりモータハウジングの組立が実現される。
【0036】
本発明におけるモータハウジング構造の組立工程は、次の通りである。
【0037】
中間部材3が個別に製造される場合、まず、いくつかの中間部材3を外殻1と内殻2との間に順番に装着して、位置を整える。
【0038】
そして、形成された第一の溝及び第二の溝内にゴムを注入し、ゴムが冷却して固定されるまで待つ。
【0039】
最後に、アルミリング16を内殻及び外殻に溶接して、ハウジングの両端をシーリングする。
【0040】
中間部材3が外殻1又は内殻2と一体的に製造される場合、まず、中間部材3と一体的に製造された外殻1又は内殻2と、内殻2又は外殻1とを嵌合して、位置を整える。
【0041】
そして、形成された第一の溝及び第二の溝内にゴムを注入し、ゴムが冷却して固定されるまで待つ。
【0042】
最後に、アルミリング16を内殻及び外殻に溶接して、ハウジングの両端をシーリングする。
【0043】
以上をまとめて、本発明には、モータハウジング構造が開示されており、当該モータハウジング構造は、外殻と、内殻と、外殻と内殻との間に組み立てられたいくつかの中間部材とを含み、中間部材が全体として中空の円弧状の構造又はリング状の構造であり、中間部材の上面及び下面には、いくつかの凸起及び/又は凹溝が設けられており、上面の凸起及び/又は凹溝が外殻の内周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定され、下面の凸起及び/又は凹溝が内殻の外周面の凹溝及び/又は凸起と係合固定されている。本発明におけるモータハウジング構造は、外殻と、内殻と、外殻と内殻との間に組み立てられたいくつかの中間部材との設計により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくすることができるとともに、本発明における外殻、内殻及び中間部材は、それぞれ個別に加工成形されるか、又は、一体的に製造成形されることが可能であり、加工プロセスが簡単で、加工サイクルが短く、製造コストが低く、量産できるという利点を有する。
【0044】
上記は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記開示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の具体的な記載は本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0045】
1…外殻、2…内殻、3…中間部材、4…第一の凸起、5…第二の凸起、6…第一の凹溝、7…第二の凹溝、8…第一の溝、9…第二の溝、10…第一のスナップ溝、11…第一のフランジ、12…凸起部、13…第二のスナップ溝、14…第二のフランジ、15…冷却溝、16…アルミリング。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【外国語明細書】