(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136324
(43)【公開日】2022-09-15
(54)【発明の名称】流体送達システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20220908BHJP
【FI】
A61M5/168 500
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022122687
(22)【出願日】2022-08-01
(62)【分割の表示】P 2019533517の分割
【原出願日】2017-12-21
(31)【優先権主張番号】62/437,168
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514028019
【氏名又は名称】アルキオーネ セラピューティクス、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALCYONE THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】アナンド・ピージェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブロフィー・モーガン
(72)【発明者】
【氏名】シング・ディープ アルジュン
(72)【発明者】
【氏名】エベール・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】アルズマンド・アーイシャ
(72)【発明者】
【氏名】モーラ・ステラ
(57)【要約】
【課題】流体送達システムを提供する。
【解決手段】流体送達システムは、管腔を画定する管状体を有する針であって、患者の組織に経皮的穿刺を作り出すように構成されている針と、針の前記管腔を通して螺合されるように構成されているカテーテルと、カテーテルに流体的に結合され、その中の流体の流れを制御するポンプと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体送達システムであって、
管腔を画定する管状体を有する針であって、前記針は患者の組織に経皮的穿刺を作り出すように構成されている、針と、
前記針の前記管腔を通して螺合するように構成されているカテーテルと、
前記カテーテルに流体的に結合され、その中の流体の流れを制御するポンプと、を備える、流体送達システム。
【請求項2】
前記針の前記管腔を通して螺合するようにされたあと、遠位端が前記針から外側に突出するように、前記カテーテルは構成されている、請求項1に記載の流体送達システム。
【請求項3】
前記カテーテルは、遠位端が前記針の遠位先端に対して前記針内に陥没するように構成されるように、サイズ決めされている、請求項1に記載の流体送達システム。
【請求項4】
前記針は、前記患者に腰椎穿刺を作り出すように構成され、前記カテーテルは前記患者の髄腔に流体的に接続するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【請求項5】
前記ポンプが前記針の前記管腔に流体的に結合し、そこを通る流体の流れを制御するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【請求項6】
前記ポンプが、前記カテーテル又は前記針のうちの一方を通して第1の流体を注入し、前記カテーテル又は前記針のうちの他方を通して第2の流体を吸引するように構成されている、請求項5に記載の流体送達システム。
【請求項7】
前記ポンプが、前記カテーテルを通して第1の流体を注入し、続いて前記針を通して第2の流体を注入するように構成されている、請求項5に記載の流体送達システム。
【請求項8】
前記第1の流体が薬物を含み、前記第2の流体が緩衝剤又はチェイサーを含む、請求項7に記載の流体送達システム。
【請求項9】
複数のポートを有する流体ハブをさらに備え、前記カテーテルが前記複数のポートのうちの第1のポートを通して螺合するように構成され、前記ポンプが前記複数のポートのうちの第2のポートを介して前記針を通して流体を注入又は吸引のうちの少なくとも1つを行うように構成されている、請求項5に記載の流体送達システム。
【請求項10】
前記ポンプの動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記ポンプの動作を制御して、前記患者の生理学的パラメータと協調して脈動的に前記カテーテルを通して流体を注入するように構成されている、請求項10に記載の流体送達システム。
【請求項12】
センサをさらに備え、前記コントローラは、前記センサによって決定されたデータを用いて前記患者の前記生理学的パラメータを測定または推定するように構成されている、請求項11に記載の流体送達システム。
【請求項13】
前記センサが1つ以上のセンサを含み、前記患者の前記生理学的パラメータが、心拍数、髄腔内圧力、髄腔内拍動数、呼吸数、肺活量、胸部拡張、胸部収縮、胸腔内圧力、又は腹腔内圧力のうちの少なくとも1つを含む、請求項12記載の流体送達システム。
【請求項14】
前記センサの出力を表示するように構成されたディスプレイをさらに備える、請求項12又は13に記載の流体送達システム。
【請求項15】
前記カテーテルが複数の管腔を備え、前記ポンプが、前記複数の管腔のそれぞれを通る流体の流れを個別に制御するように構成されている、請求項10~14のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【請求項16】
前記ポンプが複数のポンプを備え、前記複数のポンプのそれぞれが前記複数の管腔のうちの1つに流体的に結合され、前記コントローラが、前記複数のポンプを選択的に動作させて前記複数の管腔のそれぞれを通る流体の流れを個別に制御するように構成されている、請求項15に記載の流体送達システム。
【請求項17】
前記複数の管腔に流体的に結合された複数の逆止弁をさらに備え、前記複数の逆止弁のうちの個々の逆止弁は、前記複数の管腔のうちの1つを通る流体の流れを制限するように構成されている、請求項15又は16に記載の流体送達システム。
【請求項18】
前記カテーテルが1つ以上のポートを備え、前記1つ以上のポートが遠位出口または半径方向ポートのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【請求項19】
薬物をさらに含み、前記薬物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、立体的に純粋な核酸、ウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、非ウイルス遺伝子治療、ベキソソーム、リポソーム、または小分子のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【請求項20】
薬物を送達することによる遺伝子治療、薬物を送達することによる遺伝子編集、薬物を送達することによる遺伝子スイッチング、または薬物を送達することによる非ウイルス遺伝子治療のうちの少なくとも1つを行うために、前記患者に前記薬物を注入するように構成されている、請求項1~19のいずれか一項に記載の流体送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2016年12月21日に出願された米国特許仮出願第62/437,168号に対する優先権を主張する。
【0002】
(例えば、対象の脳または脊椎の脳脊髄液(CSF)またはくも膜下空間への髄腔内送達を介して)対象に薬物を送達するためのシステムおよび方法が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
患者に薬物を送達することが望ましい可能性がある実例が多く存在する。本明細書で使用される場合、「薬物」という用語は、ホルモン、幹細胞、遺伝子治療、化学物質、化合物、小分子および大分子、染料、抗体、ウイルス、治療薬剤などを含む、ヒトまたは動物の対象に送達され得る任意の機能薬剤を指す。
【0004】
薬物の送達は、体系的な方法で行うことができるか、または特定の位置もしくは特定の分布パターンを標的とすることができる。しかしながら、意図された送達標的がアクセス可能ではないか、または最小侵襲的な方法ではアクセス可能ではないという実例が多く存在するので、標的薬物送達は困難であり得る。
【0005】
患者の自然の生理機能もまた、薬物送達の課題を提示し得る。例えば、髄腔内送達を介して所望のまたは最適な薬物分布を達成することは、少なくとも部分的には、正味の流れがほとんどなく振動性および拍動性である傾向がある、患者内のCSFの自然な流れのために困難であり得る。髄腔内空間に大量の薬物を送達すること、および薬物を分布させるために自然拡散に頼ることを伴う従来の技術は、非効率的であり、患者にとって有害であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改善された薬物送達システムおよび方法に対する継続的な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
薬物送達システムおよび方法が本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、薬物送達システムは、患者の生理学的パラメータ(例えば、患者の自然脳脊髄液(CSF)拍動または患者の心拍数もしくは呼吸数)と調和させて薬物を患者に送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達システムは、注入と吸引の組み合わせを使用して、患者への薬物の送達を制御するように構成され得る。上記のシステムで使用するためのカテーテル、コントローラ、および他の構成要素も開示されており、かかるシステムを使用するさまざまな方法も同様である。
【0008】
いくつかの実施形態では、薬物送達装置は、内部に形成された流体管腔を有する細長い本体と、送達装置内に形成された流体ポートとを含み得、送達ポートは、送達装置の壁に形成された螺旋状スリットによって画定されている。
【0009】
螺旋状スリットは、本体の内面から本体の外面まで延在し得る。螺旋状スリットは、流体管腔の内部と送達装置の外部との間の流体連通経路として作用し得る。螺旋状スリットは、送達装置の外壁を貫通して形成され得る。螺旋状スリットは、送達装置の縮径部分の側壁に形成され得る。螺旋状スリットは、本体の遠位端から張り出す内管の側壁に形成され得る。送達装置は、実質的に球形の球状部によって画定された非外傷性遠位先端を含み得る。送達装置は、第2の遠位向き流体ポートを含み得る。送達装置は、送達装置の大径近位部分と送達装置の縮径遠位部分との間にテーパ状移行部を含み得る。テーパ状移行部は、円錐状、凸状、および凹状のうちの少なくとも1つであり得る。送達装置は、カテーテルであり得るか、またはカテーテルを含み得る。送達装置は、針であり得るか、または針を含み得る。送達装置は、送達装置の遠位端に配設された膨張可能な部材を含み得る。膨張可能な部材は、装置の鋭利な遠位先端内から展開可能であり得る。膨張可能な部材は、内部に流体ポートを含み得る。膨張可能な部材の流体ポートは、螺旋状スリットを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、薬物送達装置は、内部に流体管腔を有する細長い本体と、流体ポートとを含み得、流体ポートを通って、流体が流体管腔の内部と送達装置の外部の位置との間で移動することができ、流体管腔の少なくとも一部は、螺旋形状である。
【0011】
流体管腔の螺旋形状の部分は、流体ポートに隣接し得る。流体管腔の螺旋形状の部分は、複数のループ状コイルを画定する管状通路を含み得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、薬物送達装置は、鋭利な遠位先端を有する針と、鋭利な先端の遠位端から選択的に展開可能な膨張可能な部材とを含み得、膨張可能な部材は、内部に形成された流体ポートを有し、流体ポートは、螺旋状スリットを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、患者固有の注入方法は、患者の総CSF体積を判定することと、判定された患者の総CSF体積に基づいて、患者からある体積のCSFを吸引することと、患者の髄腔内空間に薬物を注入することとを含み得る。
【0014】
本方法は、薬物を注入した後に、患者の吸引されたCSFを注入して、髄腔内空間内の所望の方向に薬物を押し込むことを含み得る。総CSF体積は、患者の中枢神経系の術前画像から判定され得る。吸引されたCSFの体積は、患者の総CSF体積の約1%~約20%の範囲にあり得る。CSFの体積が吸引されている間に薬物が注入され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、薬物送達方法は、患者の髄腔内空間に針を挿入することと、流体送達カテーテルを、針を通して髄腔内空間に挿入することと、薬物を、カテーテルを通して髄腔内空間に注入することと、チェーサーを薬物の後ろの針を通して注入して薬物を髄腔内空間に押し込むこととを含み得る。
【0016】
チェーサーは、薬物、緩衝剤、人工CSF、以前に患者から吸引された自然CSF、および食塩水のうちの少なくとも1つを含み得る。チェーサーは、以前に吸引されたCSFを含み得る。CSFは、閉鎖システムで同じシリンジを使用して吸引および注入され得る。針は、0cm~1cmの範囲の距離で髄腔内空間に突出し得る。カテーテルは、0cm~1cmの範囲の距離で針から突出し得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、薬物送達システムは、少なくとも1つの流体管腔を有するカテーテルと、カテーテルを通して流体を注入するように構成されたポンプと、患者の生理学的パラメータを測定するように構成されたセンサと、カテーテルを通る薬物の注入をセンサによって測定された生理学的パラメータと調和させるようにポンプを制御するコントローラとを含む。
【0018】
コントローラは、センサによって測定されるように、注入周波数を患者の自然な髄腔内拍動の周波数と同期させ得る。コントローラは、センサによって測定されるように、注入位相を患者の自然な髄腔内拍動の位相と同期させ得るコントローラは、センサによって測定されるように、患者の自然な髄腔内拍動の正弦波近似を確立し得る。コントローラは、注入を正弦波近似の上昇波と同期させ得る。コントローラは、注入を正弦波近似の下降波と同期させ得る。センサは、髄腔内圧力を測定するように構成され得る。センサは、髄腔内圧力を測定するように構成された第1のセンサと、心拍数を測定するように構成された第2のセンサとを含み得る。コントローラは、注入が遂行されず、第1および第2のセンサの出力に基づいて、コントローラが心拍数と髄腔内圧力との間の相関関係を確立する学習モードと、第2のセンサの出力に基づいて、コントローラがカテーテルを通る薬物の注入を患者の髄腔内拍動と調和させる注入モードとで動作可能であり得る。このシステムは、カテーテルと流体連通する移植型注入ポートと、注入ポートと嵌合するように構成された体外式注射器とを含み得る。カテーテルは、第1および第2の流体管腔を含み得る。コントローラは、センサによって測定された生理学的パラメータと調和させて、第1の流体管腔を通して流体を吸引することと、第2の流体管腔を通して流体を注入することとを交互に行うようにポンプを制御するように構成され得る。センサは、心拍数、髄腔内圧力、髄腔内拍動数、呼吸数、肺活量、胸部拡張、胸部収縮、胸腔内圧力、および腹腔内圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、患者に薬物を送達する方法は、患者の髄腔内空間にカテーテルを挿入することと、センサを使用して患者の生理学的パラメータを測定することと、コントローラを用いて、カテーテルを通る薬物の注入をセンサによって測定された生理学的パラメータと調和させるようにポンプを制御することとを含む。
【0020】
この方法は、センサによって測定されるように、注入周波数を患者の自然な髄腔内拍動の周波数と同期させることを含み得る。この方法は、センサによって測定されるように、注入位相を患者の自然な髄腔内拍動の位相と同期させることを含み得るこの方法は、センサによって測定されるように、患者の自然な髄腔内拍動の正弦波近似を確立することと、注入を正弦波近似の上昇波と同期させることとを含み得る。この方法は、センサによって測定されるように、患者の自然な髄腔内拍動の正弦波近似を確立することと、注入を正弦波近似の下降波と同期させることとを含み得る。センサは、髄腔内圧力を測定するように構成され得る。センサは、髄腔内圧力を測定するように構成された第1のセンサと、心拍数を測定するように構成された第2のセンサとを含み得る。この方法は、注入が遂行されていないときに第1および第2のセンサの出力に基づいて、心拍数と髄腔内圧力との間の相関関係を確立することと、第2のセンサの出力に基づいて、カテーテルを通る薬物の注入を患者の髄腔内拍動と調和させることとを含み得る。カテーテルは、第1および第2の流体管腔を含み得、この方法は、センサによって測定された生理学的パラメータと調和させて、第1の流体管腔を通して流体を吸引することと、第2の流体管腔を通して流体を注入することとを交互に行うようにポンプを制御することを含み得る。センサは、心拍数、髄腔内圧力、髄腔内拍動数、呼吸数、肺活量、胸部拡張、胸部収縮、胸腔内圧力、および腹腔内圧力のうちの少なくとも1つを測定するように構成され得る。カテーテルが患者の脊髄に沿って延在し、カテーテルの少なくとも一部が患者の脊椎の頸部領域に配設され、カテーテルの少なくとも一部が患者の脊椎の腰部領域に配設されるように、カテーテルを挿入することができる。この方法は、カテーテルを通して複数の異なる薬物を送達することを含み得、薬物の各々はカテーテルのそれぞれの流体管腔を通して送達される。この方法は、コントローラを用いて、カテーテルを通して流体を吸引するようにポンプを制御することを含み得る。カテーテルは、カテーテルの長さに沿って頭尾方向に隔置された複数の出口ポートを含み得、この方法は、カテーテルの第1のポートを通して薬物を注入することと、カテーテルの第2のポートを通して流体を吸引することとを含み得、第2のポートは、第1のポートに対して頭側である。患者の脊椎の頸部領域に配設されたカテーテルのポートを通して薬物を注入して、注入された薬物を頭側の空間に進ませることができる。この方法は、患者からある体積のCSFを吸引することと、カテーテルの第1の近位ポートを通して薬物を注入しながら、カテーテルの第2の遠位ポートを通してCSFを吸引して、第1のポートと第2のポートとの間に薬物のボーラスを形成することと、ボーラスの近位の位置に以前に抽出されたCSFを注入してボーラスを遠位方向に促すこととを含み得る。患者から吸引されるCSFの体積は、患者の総CSFの約10体積%であり得る。カテーテルは、患者の経皮的腰部穿刺を通して挿入され得る。注入は、薬物の第1の体積を注入することと、薬物の第2の体積を吸引することとを交互に行うことを含み得、第2の体積は第1の体積より少ない。薬物を標的領域に送達することができ、標的領域は、患者の髄腔内空間、患者の軟膜下領域、患者の小脳、患者の歯状核、患者の後根神経節、および患者の運動神経細胞のうちの少なくとも1つである。薬物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、立体的に純粋な(stereopure)核酸、ウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、非ウイルス遺伝子治療、ベキソソーム(vexosome)、およびリポソームのうちの少なくとも1つを含み得る。この方法は、薬物を送達することによって遺伝子治療を遂行すること、薬物を送達することによって遺伝子編集を遂行すること、薬物を送達することによって遺伝子スイッチを遂行すること、および薬物を送達することによって非ウイルス遺伝子治療を遂行することのうちの少なくとも1つを含み得る。この方法は、患者の総CSF体積を判定することと、総CSF体積に基づいて注入を個別化することとを含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、患者に薬物を送達する方法は、患者の髄腔内空間にカテーテルを挿入することと、コントローラを用いて、カテーテルを通して薬物を注入するようにポンプを制御することと、コントローラを用いて、カテーテルを通して流体を吸引するようにポンプを制御することと、患者内の標的部位への薬物の送達を標的とするように当該注入および当該吸引を制御することとを含む。
【0022】
注入は、薬物を標的部位に向かって促すために、患者の自然CSF拍動を無効にし得る。注入は、患者の自然CSF拍動と調和して、薬物を標的部位に向かって促すことができる。注入は、薬物のボーラスを送達することと、次いで、ボーラスの後ろの流体の拍動性送達を遂行してボーラスを標的部位に向かって促すこととを含み得る。流体は、薬物、緩衝剤溶液、およびカテーテルを通して患者から吸引されたCSFのうちの少なくとも1つを含み得る。カテーテルの少なくとも一部を標的領域に配設することができる。注入および吸引のうちの少なくとも一方を患者の生理学的パラメータと調和させることができる。生理学的パラメータは、心拍数、髄腔内圧力、髄腔内拍動数、呼吸数、肺活量、胸部拡張、胸部収縮、胸腔内圧力、および腹腔内圧力のうちの少なくとも1つであり得る。カテーテルは、第1および第2の流体管腔を含み得、この方法は、第1の流体管腔を通して流体を吸引することと、第2の流体管腔を通して流体を注入することとを交互に行うようにポンプを制御することを含み得る。カテーテルが患者の脊髄に沿って延在し、カテーテルの少なくとも一部が患者の脊椎の頸部領域に配設され、カテーテルの少なくとも一部が患者の脊椎の腰部領域に配設されるように、カテーテルを挿入することができる。この方法は、患者からある体積のCSFを吸引することと、カテーテルの第1の近位ポートを通して薬物を注入しながら、カテーテルの第2の遠位ポートを通してCSFを吸引して、第1のポートと第2のポートとの間に薬物のボーラスを形成することと、ボーラスの近位の位置に以前に抽出されたCSFを注入してボーラスを遠位方向に促すこととを含み得る。この方法は、薬物の第1の体積を注入することと、薬物の第2の体積を吸引することとを交互に行うことを含み得、第2の体積は第1の体積より少ない。標的部位は、患者の髄腔内空間、患者の軟膜下領域、患者の小脳、患者の歯状核、患者の後根神経節、および患者の運動神経細胞のうちの少なくとも1つであり得る。薬物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、立体的に純粋な核酸、ウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、非ウイルス遺伝子治療、ベキソソーム、およびリポソームのうちの少なくとも1つを含み得る。この方法は、薬物を送達することによって遺伝子治療を遂行すること、薬物を送達することによって遺伝子編集を遂行すること、薬物を送達することによって遺伝子スイッチを遂行すること、および薬物を送達することによって非ウイルス遺伝子治療を遂行することのうちの少なくとも1つを含み得る。この方法は、患者の総CSF体積を判定することと、総CSF体積に基づいて注入および/または吸引を個別化することとを含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、薬物送達カテーテルは、第1の流体ポートまで延在する第1の流体管腔、第2の流体ポートまで延在する第2の流体管腔、およびガイドワイヤ管腔を有する先端と、ハブと、先端の第1の流体管腔と流体連通する第1の流体管腔を画定する第1の流体管、先端の第2の流体管腔と流体連通する第2の流体管腔を画定する第2の流体管、先端のガイドワイヤ管腔内に配設された遠位端を有するガイドワイヤ、および少なくとも1つの内部チャネルを画定するシースを有する本体とを含み、少なくとも1つの内部チャネルの中にはガイドワイヤと、第1および第2の流体管とが配設されており、シースは、ハブの遠位端から先端の近位端まで延在する。
【0024】
先端は、テーパ状遠位端を有し得る。第1および第2の流体ポートは、先端の中心長手方向軸からずれていてもよい。第1および第2の流体ポートのうちの少なくとも一方を、先端の中心長手方向軸に対して直角に、またはそれに対して斜角に向けることができる。第1および第2の流体管は、ハブを通って途切れることなく延在し得る。第1および第2の流体管は、近位延長管が選択的に連結され得るそれぞれのコネクタにおいてハブ内で終端し得る。ガイドワイヤは、ハブを通って途切れることなく延在し得る。第1および第2の流体管は、それらの近位端にそれぞれの流体コネクタを有し得る。第1および第2の流体管のうちの少なくとも一方は、溶融シリカから形成され得る。第1および第2の流体管のうちの少なくとも一方は、収縮配管で被覆され得る。シースは、ポリウレタンから形成され得る。シースは、内部に形成された、第1および第2の流体管のうちの少なくとも一方の流体ポートと流体連通する開口部を含み得る。第1および第2のポートのうちの少なくとも一方は、螺旋状内部を有し得る。第1および第2のポートのうちの少なくとも一方は、ポートの遠位端に向かってテーバー状をなす内部を有し得る。第1の流体ポートは、第2の流体ポートの近位であり得る。カテーテルは、カテーテル内に回転可能に装着されたオーガを含み得る。カテーテルは、カテーテル内に配設された圧電変換器を含み得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、経皮的針装置は、内部に少なくとも1つの管腔を画定する細長いシャフトと、細長いシャフトの遠位端に配設されたセンサと、細長いシャフトに装着された、センサの出力を表示するように構成されたディスプレイと、細長いシャフトの近位端に配設された、少なくとも1つの管腔と流体接続をするためのコネクタとを含む。
【0026】
装置は、針の管腔と流体連通する流体リザーバおよび平らなドームを含み得、平らなドームの作動は、リザーバから針の管腔を通して流体をポンピングするのに有効である。
【0027】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、内部に形成された1つ以上の流体管腔を有する細長い本体と、カテーテルの壁に形成された螺旋状スリットによって画定される流体ポートとを含む。
【0028】
カテーテルは、実質的に球形の球状部によって画定された非外傷性遠位先端を含み得る。カテーテルは、第2の遠位向き流体ポートを含み得る。螺旋状スリットは、カテーテルの縮径部分の側壁に形成され得る。カテーテルは、カテーテルの主本体とカテーテルの縮径部分との間にテーパ状移行部を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、患者固有の注入方法は、患者の総CSF体積を判定することと、判定された患者の総CSF体積に基づいて、患者からある体積のCSFを吸引することと、患者の髄腔内空間に薬物を注入することとを含む。
【0030】
本方法は、薬物を注入した後に、患者の吸引されたCSFを注入して、髄腔内空間内の所望の方向に薬物を押し込むことを含み得る。総CSF体積は、患者の中枢神経系の術前画像から判定され得る。吸引されたCSFの体積は、患者の総CSF体積の約1%~約20%の範囲にあり得る。CSFの体積が吸引されている間に薬物が注入され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図1のシステムと共に使用され得るカテーテルの斜視図である。
【
図3C】
図2のカテーテルの先端の一連の設計図である。
【
図5】
図2のカテーテルのハブの斜視図であり、ハブの一部が透明なものとして示されている。
【
図6A】
図5のハブの断面図であり、一体型コネクタと共に示されている。
【
図6B】
図5のハブの端面図であり、一体型コネクタと共に示されている。
【
図7A】
図2のカテーテルのガイドワイヤの第1の屈曲プロファイルの平面図である。
【
図7B】
図2のカテーテルのガイドワイヤの第2の屈曲プロファイルの平面図である。
【
図7C】
図2のカテーテルのガイドワイヤの第3の屈曲プロファイルの平面図である。
【
図8A】
図2のカテーテルと共に使用され得る先端の斜視部分透視図である。
【
図9】
図2のカテーテルの本体の斜視部分透視図であり、側面出口ポートと共に示されている。
【
図10】
図2のカテーテルと共に使用され得る先端の斜視図および端面図である。
【
図11】
図2のカテーテルと共に使用され得る先端の斜視図および端面図である。
【
図12】
図1のシステムと共に使用され得るカテーテルの詳細な部分的に透明な挿入図を伴う斜視図である。
【
図13】
図1のシステムと共に使用され得るカテーテルの詳細な部分的に透明な挿入図を伴う斜視図である。
【
図14】
図1のシステムと共に使用され得るカテーテルの詳細な部分的に透明な挿入図を伴う斜視図である。
【
図15】
図1のシステムと共に使用され得るカテーテルの詳細な部分的に透明な挿入図を伴う斜視図である。
【
図16】
図1のシステムと共に使用され得る集束超音波システムの概略図である。
【
図17】
図1のシステムのコントローラの概略ハードウェア構成である。
【
図19】
図17のコントローラによって実装され得るグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンキャプチャである。
【
図20A】患者に移植された
図1のシステムのカテーテルの斜視図であり、注入ポートと共に示されている。
【
図20C】
図20Aのカテーテルおよび患者の斜視図であり、注入ポート、注射器、およびコントローラと共に示されている。
【
図21A】ポンプの制御を感知された生理学的パラメータと調和させる、
図1のシステムのコントローラを図示する構成である。
【
図21B】薬物の送達を患者の自然CSF拍動の上昇波と同期させるための、
図1のシステムの使用を図示する構成である。
【
図21C】薬物の送達を患者の自然CSF拍動の下降波と同期させるための、
図1のシステムの使用を図示する構成である。
【
図22】スマート腰部穿刺針を有する薬物送達システムの概略構成である。
【
図23】手動ポンプによる薬物送達システムの概略構成である。
【
図24C】
図24Aのシステムの針、ハブ、およびカテーテルの斜視図であり、カテーテルが針の外側にある状態で示されている。
【
図24D】
図24Aのシステムの針、ハブ、およびカテーテルの斜視図であり、カテーテルが針を通して挿入された状態で示されている。
【
図25A】螺旋状流体ポートを有するカテーテル先端の側面図である。
【
図25E】
図25Aのカテーテル先端を使用して達成された例示的な分布パターンの写真である。
【
図26】患者で
図24Aのシステムを使用する例示的な方法の概略構成である。
【
図27】患者固有の注入の例示的な方法の概略構成である。
【
図29】
図28Aのシステムと共に使用され得る別の針の先端の側断面図である。
【
図30B】
図30Aの針先端の概略図であり、そこから膨張可能な部材が展開されている。
【
図30C】
図30Aの針先端の概略図であり、流体が膨張可能な部材を通して注入されている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
薬物送達システムおよび方法が本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、薬物送達システムは、患者の生理学的パラメータ(例えば、患者の自然脳脊髄液(CSF)拍動または患者の心拍数もしくは呼吸数)と調和させて薬物を患者に送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達システムは、注入と吸引の組み合わせを使用して、患者への薬物の送達を制御するように構成され得る。上記のシステムで使用するためのカテーテル、コントローラ、および他の構成要素も開示されており、かかるシステムを使用するさまざまな方法も同様である。
【0033】
本明細書に開示される方法、システム、および装置の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、ある特定の例示的な実施形態をこれから説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の例が添付の図面に図示されている。当業者であれば、本明細書で具体的に記載され、添付の図面に図示される方法、システム、および装置は非限定的な例示的実施形態であることを理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示または記載されている特徴部を他の実施形態の特徴部と組み合わせることができる。かかる修正例および変形例は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、自然CSF流と調和させて薬物を患者の中枢神経系に注射するか、または別様に送達するシステムおよび方法が提供される。例えば、薬物を、自然CSFパルスと位相および/または周波数が同期した複数の段階で注射することができる。本明細書のシステムおよび方法は、従来の技術の場合よりも効率的に患者に薬物を送達することを可能にし得る。例えば、より少量の薬物を送達してもなお標的の目的地に到達することができ、それによって、コストおよび/または大量の薬物を送達することによって起こり得る副作用を低減することができる。
【0035】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、意図された送達標的にアクセスできないか、または最小侵襲的な方法ではアクセス可能ではないが、代わりに意図された送達部位と直接流体連通する、より容易にアクセス可能で安全な注射部位が存在する用途で使用され得る。例えば、薬物を患者の脊椎内の注射部位(例えば、腰部領域、胸部領域、頸部領域など)を介して患者の髄腔内空間に送達することができ、注射部位に対して頭側の標的位置(例えば、脳または脊椎のより頭側の領域)に髄腔内空間を介して輸送することができる。他の実施形態では、薬物を注射部位に対して尾側の位置に輸送することができる。
【0036】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、例えば、心拍数、CSF圧力、CSF拍動数、呼吸数、肺活量、胸部拡張および収縮、胸腔内圧力、腹腔内圧力など、患者の生理学的パラメータのリアルタイム監視によって同期され得る完全にプログラム可能なカスタマイズされた注射および/または吸引プロファイルを含み得る。これは、エンドユーザが、1サイクルあたりの注射/吸引の用量、各微量注射の時間の長さおよびプロファイル、微量注射の相対的なタイミング(または位相)、ならびにその他のパラメータを微調整することを可能にし得る。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、薬物送達効率を推定し、そして患者の安全性を確実にするためのリアルタイムインライン圧力感知を含み得る。
【0037】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、さまざまな管腔量、管腔サイズ、ポート配置位置、および他の特性を有する特注カテーテルを含み得る。カテーテルは、効率的な混合のために、および/またはそれらが特定の解剖学的構造のために適合されるように指向性最適化され得る。
【0038】
図1は、例示的な薬物送達システム100の概略構成である。示されるように、システム100は、カテーテル102、コントローラ104、ポンプまたはアクチュエータ106、および1つ以上のセンサ108を含み得る。ポンプ106は、カテーテル102を通って患者110内に(例えば、患者の髄腔内空間に)薬物または薬物含有流体をポンピングするように構成され得る。ポンプ106はまた、患者から流体を吸引するように構成され得る。ポンプ106は、薬物の送達および/または流体の吸引を、センサ108によって測定され得る患者の生理学的パラメータと同期させるか、または別様に調和させるようにコントローラ104によって制御され得る。例示的な生理学的パラメータとしては、心拍数、CSF圧力、CSF拍動数、呼吸数、肺活量、胸部拡張および収縮、胸腔内圧力、腹腔内圧力などが挙げられ得る。
【0039】
システム100と共に使用され得る例示的なカテーテル102を
図2に示す。カテーテル102は、先端部分112、本体114、およびハブ116を含み得る。本体114の第1の部分114dは、先端112とハブ116の遠位端との間に延在し得る。本体114の第2の部分114pは、ハブ116から、カテーテル102をシステム100に連結するため、例えば、カテーテルをポンプ106に取り付けるための1つ以上のコネクタ118または他の特徴部まで近位に延在し得る。カテーテル102は、約1メートルの全長を有し得る。
【0040】
カテーテル102の先端112を
図3A~3Cにより詳細に示す。先端112は、円錐状、弾丸状、またはテーパ状の先端を有する略円筒形の本体を含み得る。先端112は、組織を通して、または髄腔内空間などの患者の管腔を通してカテーテル102をトンネリングするのを容易にするための非外傷性導入面を提供し得る。先端112は、内部に形成された1つ以上の流体管腔と、対応する1つ以上の流体ポートとを含み得、1つ以上の流体ポートを通って流体が流体管腔からカテーテルの外部へ、およびその逆に連通され得る。図示の実施形態では、先端112は、第1の流体ポート122Aを有する第1の流体管腔120Aと、第2の流体ポート122Bを有する第2の流体管腔120Bとを含むが、先端は任意の数の流体管腔(例えば、0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個以上など)と、任意の数の流体ポート(例えば、0個、1個、2個、3個、4個、5個、6個以上など)とを含み得ることが理解されるであろう。示されるように、流体ポート122A、122Bは、実質的に遠位方向に向けられていてもよく、先端112の中心長手方向軸からずれていてもよい。他の実施形態では、流体ポート122A、122Bを、横方向、例えば、先端112の中心長手方向軸に対して実質的に直角な方向に向けることができる。流体ポートを中心からわずかにずらすか、または横方向に向けることにより、カテーテル102の挿入または使用中にポートが閉塞される危険性を有利に低減することができる。
【0041】
カテーテル102は、患者内でのカテーテルの遠隔位置決めを容易にするための操縦機構を含み得る。例えば、カテーテル102は、それを通してガイドワイヤ124を受容して、カテーテルをガイドワイヤ上に挿入すること、またはガイドワイヤによって操縦することを可能にするように構成され得る。図示の実施形態では、先端112は、ガイドワイヤ管腔126を含む。ガイドワイヤ管腔126は、示されるように閉鎖された止まり穴であり得るか、または先端112の外部に対して開口し得る。代替的にまたはさらに、カテーテル102は、先端112で終端する1つ以上の操縦ワイヤ(図示せず)を含み得る。ワイヤは、カテーテル102の先端112から近位端まで近位方向に延在することができ、ワイヤを選択的に引っ張って患者内でカテーテルの先端を操縦することができる。例えば、カテーテル102は、それを通って長手方向に延在し、先端の外周の周りで直径方向に対向する位置で先端112に固着される第1および第2の操縦ワイヤを含み得る。操縦ワイヤは、カテーテル102の本体114内のそれぞれのスリーブまたは管を通って、張力を選択的に加えてカテーテルの先端112を操縦することができるカテーテルの近位端まで延在し得る。
【0042】
先端112は、生体適合性材料、ステンレス鋼、チタン、セラミック、ポリマーなどを含むさまざまな材料から形成され得る。先端112は、放射線不透過性であり得るか、または蛍光透視法もしくは他の撮像技術の下での可視化を容易にするための1つ以上の放射線不透過性マーカを含み得る。
【0043】
先端112は、約3フレンチ~約5フレンチの外径を有し得る。先端112は、約1mm~約3mmの外径を有し得る。
【0044】
図4は、カテーテル本体114の遠位部分114dの断面図である。示されるように、本体114は、内部チャネル130を画定する外側シース128を含み得る。1つ以上の流体管132A、132Bを内部チャネル内に配設することができ、各流体管はそれぞれの流体管腔134A、134Bを画定する。内部チャネル130はまた、ガイドワイヤ124または1つ以上の操縦ワイヤ(図示せず)を含有し得る。図示の実施形態では、遠位本体部分114dは、先端112の第1の流体管腔120Aと流体連通する管腔134Aを有する第1の流体管132Aと、先端の第2の流体管腔120Bと流体連通する管腔134Bを有する第2の流体管132Bと、ガイドワイヤ124とを含む。
【0045】
シース128は、さまざまな断面プロファイルを有し得る。例えば、シース128は、示されるような単一の内部チャネル130を画定する円形の横断面を有し得る。さらなる例として、シース128は、複数の内部チャネルを有し得る。流体管132A、132Bの各々をそれ自体のシース128の独立したチャネル内に配設することができるか、またはシース自体が流体管を画定し得る。ガイドワイヤ124をそれ自体のシース128の独立したチャネル内に配設することができ、流体管132A、132Bをシースの別個のチャネル内に配設することができる。ガイドワイヤチャネルは円形の断面を有し得、流体管チャネルは三日月形またはD字形の断面を有し得る。
【0046】
流体管132A、132Bは、溶融シリカ、ポリウレタンなどを含むさまざまな材料のうちのいずれかから形成され得る。溶融シリカの使用は、溶融シリカの流体管にウイルスが付着しにくい可能性があるため、システム100を使用してウイルスを送達するときに有利な場合がある。いくつかの実施形態では、薬物送達に使用される流体管は溶融シリカから形成され得、薬物送達に使用されない流体管(例えば、緩衝剤送達管または吸引管)はポリウレタンなどの溶融シリカ以外の材料から形成され得る。流体管132A、132Bを収縮配管または外側シースで被覆して、流体管に応力およびひずみの軽減を提供することができる。シース128は、ポリウレタンを含むさまざまな材料のうちのいずれかから形成され得る。流体を連通するための流体管132A、132Bの使用が本明細書に概して記載されているが、流体管を生検プローブもしくは他の器具の挿入、またはセンサ108の挿入などの他の目的のために使用することもできる。
【0047】
流体管132A、132Bは、約0.005インチ~約0.050インチの内径を有し得る。流体管132A、132Bは、約0.010インチ~約0.020インチの内径を有し得る。本体114は、約3フレンチ~約5フレンチの外径を有し得る。本体114は、約1mm~約3mmの外径を有し得る。
【0048】
例示的なハブ116が
図5に示されている。ハブ116は、第1の流体管132A、第2の流体管132B、およびガイドワイヤ124を受容するためのそれぞれのチャネルを含み得る。各チャネルは、近位および遠位開口部を含み得る。チャネルは、各々が共通の遠位開口部を共有するようにハブ116の本体内で合流し得る。遠位本体部分114dのシース128は、ハブ116の遠位開口部を通ってハブのガイドワイヤチャネル内に受容され得る。流体管132A、132Bは、ハブ116の本体内でシース128の側壁を貫通し得る。したがって、ハブ116は、シース128と流体管132A、132Bとの間にシールを形成し、流体管およびガイドワイヤ124を支持し、これらの構成要素を遠位本体部分114dのシースの内部チャネル(複数可)130内に誘導し得る。
【0049】
ハブ116は、
図5に示されるように、第1および第2の流体管132A、132Bが途切れることなく完全にハブを通って延在する「通過」型ハブであり得る。代替的に、
図6Aおよび6Bに示されるように、第1および第2の流体管132A、132Bは、それぞれのコネクタポート136A、136Bにおいてハブ内で終端し得る。コネクタポート136A、136Bは、近位本体部分114p(例えば、近位延長管)の第1および第2の流体管132A、132Bへの選択的な連結および分離を可能にし得る。ガイドワイヤ124は、途切れることなくハブ116を完全に通って延在し続けることもできるし、または近位のガイドワイヤ延長部を選択的に連結することができるコネクタにおいてハブ内で終端することもできる。テキサス州ヒューストンのValco Instruments Co.Inc.から入手可能なゼロデッドボリュームマイクロコネクタまたはフィッティングを含む、さまざまなタイプのコネクタのうちのいずれかを使用して、流体管を近位延長管に連結することができる。
【0050】
近位本体部分114pは、遠位本体部分114dと同様のシースを含み得るか、またはハブ116から近位方向に延在する流体管132A、132Bによって、もしくはハブ116で流体管132A、132Bに連結された1つ以上の延長管により形成され得る。カテーテル102の近位端は、カテーテルの流体管132A、132Bと流体接続するための1つ以上のコネクタ118を含み得る。例えば、
図2に示されるように、流体管132A、132B(または場合によっては近位延長管)は、それらの近位端にコネクタ118を含み得る。テキサス州ヒューストンのValco Instruments Co.Inc.から入手可能なゼロデッドボリュームマイクロコネクタまたはフィッティングを含む、さまざまなタイプのコネクタのうちのいずれかを使用することができる。
【0051】
ガイドワイヤ124は、カテーテル102内に配設することができ、患者へのカテーテルの挿入を誘導、操縦、または別様に制御するために使用することができる。
【0052】
ガイドワイヤ124は、円筒形であり得、実質的に真っ直ぐなプロファイルを有し得る。ガイドワイヤ124は、カテーテル102を完全に通って延在しても、またはカテーテルの先端112に形成された止まり穴126で終端してもよい。使用時には、ガイドワイヤ124を最初に患者に挿入して標的部位に誘導し、次にカテーテル102をガイドワイヤ上に挿入してカテーテルの一部を標的部位に位置決めすることができる。他の実施形態では、カテーテル102をガイドワイヤ124の前またはそれと同時に挿入することができ、ガイドワイヤを使用してカテーテルを操縦または誘導することができる。
【0053】
例えば、
図7A~7Cに示されるように、ガイドワイヤ124は、ガイドワイヤの遠位端またはその近くで直線から外れる静止構成を有し得る。
図7Aでは、ガイドワイヤ124は、遠位部分の中心長手方向軸が近位部分の中心長手方向軸に対して斜角に延在するように、湾曲した肘部によって接合された真っ直ぐな遠位部分124dと真っ直ぐな近位部分124pとを有する。
図7Bでは、ガイドワイヤ124は、遠位部分の中心長手方向軸が近位部分の中心長手方向軸に対して斜角に延在するように、真っ直ぐな近位部分124pに接合された湾曲した遠位部分124dを有する。
図7Cでは、ガイドワイヤ124は、遠位部分の中心長手方向軸が近位部分の中心長手方向中心軸に対して斜角に延在するように、角度を付けた屈曲部で交わる真っ直ぐな遠位部分124dと真っ直ぐな近位部分124pとを有する。
【0054】
使用時には、ガイドワイヤ124を使用して、ガイドワイヤの近位端を捻って屈曲遠位部分を回転させ、それによって、カテーテルを操縦または向けることによって、患者を通してカテーテル102をナビゲートすることができる。単一のガイドワイヤ124が示されているが、カテーテル102は任意の数のガイドワイヤおよび/またはガイドワイヤ管腔を含み得ることが理解されよう。ガイドワイヤ124は、ニチノールなどの形状記憶金属を含むさまざまな材料のうちのいずれかから形成され得る。
【0055】
本明細書に開示されるカテーテルのうちのいずれも操縦可能であり得る。例えば、操縦機構を設けて、挿入中または別の所望の時点でカテーテル102の遠位端を誘導することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、カテーテル102は、カテーテルの遠位先端112に連結された第1の端部とカテーテルの近位端の第2の端部とを有する1つ以上の操縦ワイヤを含むことができ、第2の端部を通して張力を操縦ワイヤに選択的に付加して、所望の方向にカテーテルの先端を方向付けるかまたは操縦することができる。操縦ワイヤは、カテーテル102の側壁に埋め込まれても、またはカテーテルの管腔を通して延在してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、カテーテル102は、それを通って延在する同軸操縦カテーテル(図示せず)を含み得る。操縦カテーテルの遠位端は、操縦カテーテルが一次カテーテル102の先端から遠位方向に展開されるときに一次カテーテルを操縦カテーテルの曲線に沿って操縦または誘導することができるように、湾曲した形状に向かって湾曲または付勢され得る。次いで、操縦カテーテルを一次カテーテル102内に戻して後退させ、湾曲した誘導を中断することができる。操縦カテーテルは、操縦カテーテルが一次カテーテル102内に後退したときの実質的に直線の構成と、一次カテーテルから展開されたときの褶曲または湾曲した構成との間で変形可能であるように形状記憶材料もしくは弾性材料から形成され得るか、またはそれらを含み得る。操縦カテーテルは、展開および後退を可能にするために、一次カテーテル102に対して長手方向に並進可能であり得る。
【0057】
本明細書に開示されるカテーテルのうちのいずれかは、カテーテルと一体型であり得るか、またはカテーテルの作業チャネルを通して挿入され得るカメラまたは撮像装置を含み得る。本明細書に開示されるカテーテルのうちのいずれかは、蛍光透視法、CT、MRI、またはかかる技術を使用して捕捉された画像内でカテーテルを視覚化することを可能にする他の撮像技術の下で可視のマーキングを含み得る。
【0058】
カテーテル102は、高い内部圧力に耐えるように構成され得る。カテーテル102は、少なくとも約100psi、少なくとも約200psi、および/または少なくとも約500psiの圧力に耐えるように構成され得る。
【0059】
上述のカテーテル102に対するいくつかの変形例が可能であることが理解されよう。例えば、流体ポートのうちの1つ以上を、それらがカテーテルの横方向の側壁から出るように側面に向けることができる。
図8Aおよび8Bは、側面向きポートを有する例示的なカテーテルの先端を図示している。示されるように、先端112は、遠位向きポート122Aまで延在する第1の流体管腔120Aを含む。遠位向きポート122Aは、先端112の角度を付けた、またはスラッシュカットされた遠位面に形成され得る。先端112はまた、側面向きポート122Bまで延在する第2の流体管腔120Bを含む。先端112はまた、ガイドワイヤ124の遠位端を受容するためのガイドワイヤ管腔を含み得る。いくつかの実施形態では、シース128の中心チャネル130は、例えば、緩衝剤を送達するため、または薬物を送達するための流体管腔として作用し得る。先端112は、シース128の中心チャネル130と流体連通する側面向きポート122Cを含み得る。
【0060】
カテーテル102は、カテーテルの先端部分112の近位に形成された、例えば、カテーテルの本体114内に形成された1つ以上の流体ポートを含み得る。
図9は、側面向きポート122Bを有する例示的なカテーテル本体114を図示している。示されるように、本体114のシース128を通って延在する流体管132A、132Bのうちの1つ以上は、本体内で終端し得るか、または別様に本体内に配設された流体ポートを有し得る。シース128は、流体管から出る流体がシース内の開口部を通って流れ得るように、または流体がシースを通って流体管のポート内に流れ得るように、流体管132Bのポートと位置合わせされたスリットまたは開口部122Bを有し得る。カテーテル102は、流体を内部に形成された開口部またはスリット122Bを通してシースから誘導するか、または到来する流体を管の流体ポート内に誘導する代わりに、流体管132Bを出入りする流体がシース内を近位方向および/または遠位方向に流れるのを防止するための、シース128のチャネル130内に配設された1つ以上のプラグ138を含み得る。プラグ138は、剛性材料、接着剤、シリコーン、または他のさまざまな材料から形成され得る。
【0061】
カテーテルの流体管腔は、それを通して送達される流体の送達パターンを制御または方向付けるためのさまざまな内部幾何形状を有し得る。
図10は、流体管腔120Aのうちの1つが螺旋状または「コルク抜き」の形状を画定するように内部の内部表面上に形成されたねじ山を有する例示的なカテーテルの先端112を図示している。流体管腔120Aの螺旋状の形状は、そこからの流体の乱流を促進して、流体の分散または均一な分布を助長し得る。流体管腔のうちの2つ以上は螺旋状の先端を有し得ることが理解されよう。
図11は、流体管腔120Aのうちの1つがノズルを作り出すように遠位端に向かってテーパ状をなすかまたは狭くなる例示的なカテーテルの先端112を図示している。このノズルは、ジェット流効果を作り出し、注入剤が送達されるにつれて注入剤の速度を増加させることができる。流体管腔のうちの2つ以上がノズル先端を有し得ることが理解されよう。
図10および11にも示されるように、流体管腔のうちの1つ以上は、単純な円筒形の先端を有し得る。
【0062】
上記のように、カテーテル102は、それを通って延在する任意の数の管腔を含み得る。いくつかの実施形態では、二重管腔カテーテルを使用することができる。二重管腔カテーテルは、注入管腔および圧力センサ管腔、注入管腔および吸引管腔、2つの注入管腔などを含み得る。他の実施形態では、三重管腔カテーテルを使用することができる。三重管腔カテーテルは、注入管腔、吸引管腔、および圧力センサ管腔、2つの注入管腔および吸引管腔、3つの注入管腔などを含み得る。
図10は、注入管腔120A、吸引管腔120B、および圧力センサ管腔120Cを有する例示的な三重管腔カテーテルを図示している。
図11は、例示的な二重管腔カテーテル、注入管腔120Aおよび吸引管腔120Bを図示している。
【0063】
カテーテルは、それを通って流れる流体の方向を制御するための弁システムを含み得る。例えば、弁システムは、吸引内腔への注入およびその逆への注入を防止するために、各管腔に一方向弁を含むことができる。弁システムは、流体を注入および回収するための単一のシリンジまたは他のポンプの使用を容易にし得るか、または単一の管腔を通る注入および吸引を容易にし得る。
【0064】
以下でさらに論じられるように、センサ108をカテーテル102に装着することも、カテーテルと一体的に形成することも、カテーテルの管腔に通して螺合することなどもできる。例えば、カテーテル102は、カテーテルの先端部分112に埋め込まれたセンサ108を含み得るか、またはカテーテルの専用のセンサ管腔に通して螺合されたセンサを含み得る。
【0065】
カテーテルを通る流体管腔のうちの1つ以上は、カテーテルの他の管腔の流体ポートから長手方向にずれている流体ポートを有し得る。例えば、
図12に示されるように、カテーテル102は、カテーテルの終端遠位端に形成された流体ポート122Aまで延在する第1の流体管腔120Aを含み得る。カテーテル102はまた、カテーテルの遠位端から近位方向に距離Dだけ離間された流体ポート122Bまで延在する第2の流体管腔120Bを含み得る。示されるように、第2の流体管腔120Bは、1つ以上の側面向きポート122Bを含み得る。他の実施形態では、第2の流体管腔120Bは、遠位向きポートを含み得る。使用中、流体管腔120A、120Bのうちの一方を使用して薬物または他の流体を送達することができ、他方の流体管腔を使用して患者から流体を吸引することができる。したがって、カテーテル102を使用して標的部位に「プッシュプル」効果を作り出すことができ、薬物は、カテーテルの遠位端に第1の流体管腔120Aを介して注入され、次いで第2の流体管腔120Bを通って吸引される流体の流れによってカテーテルの近位端に向かって引き戻される。反対の配置を使用することもができ、薬物は、近位ポート(複数可)を通して注入され、遠位ポート(複数可)を通して吸引される。カテーテル102の近位端は、第1および第2の流体管腔120A、120Bにそれぞれ対応する第1および第2のコネクタ118A、118Bを有し得る。ずれた流体ポート122A、122Bを使用して、送達を自然CSF流などの患者の生理学的パラメータと調和させることができる。外部蠕動ポンプまたは他の装置を使用して注入および/または吸引を駆動することができる。示されるように、本体114の外側シース128は、第2の管腔120Bの終端後に第1の管腔120Aに向かって内向きにテーパ状をなし得る。
【0066】
カテーテル102は、カテーテルを通る流体の送達を制御するための特徴部を含み得る。例えば、
図13に示されるように、カテーテル102は内部オーガ140を含み得る。オーガ140は、カテーテル102を通ってカテーテルの近位端まで延在する細長い可撓性シャフト142を有することができ、そこでオーガの回転を駆動するためのモータに連結することができる。モータは、コントローラ104の一部であり得るか、または別個の構成要素であり得る。コントローラ104は、オーガ140の回転を開始および停止することができ、ならびに/またはオーガが配設された流体管腔120を通る流体の送達を制御するようにオーガの回転スピードもしくは方向を制御することができる。オーガ140は、カテーテル102のシース部分128を通って延在する流体管132内に配設され得る。オーガ140は、オーガシャフト142が流体管を通って延在する状態で、流体管132の終端遠位端の遠位に配設することもできる。したがって、オーガ140は、カテーテル102のシース128内であるが、カテーテルの流体管132の遠位に配設され得る。オーガ140は、カテーテル102を通る流体の送達を有利に制御し、カテーテルからより乱流の流体を生成することができる。カテーテルの近位端は、第1および第2の流体管腔にそれぞれ対応する第1および第2のコネクタ118A、118Bと、第3のポートまたはコネクタ118Cとを有し得、第3のポートまたはコネクタ118Cを通ってオーガシャフト142が延在し得る。オーガ140を使用して、送達を自然CSF流などの患者の生理学的パラメータと調和させることができる。
【0067】
さらなる例として、
図14に示されるように、カテーテル102は、内部の往復運動するピストンまたは内部管144を含み得る。カテーテル102は、固定された外管128と、外管内に同軸に配設された摺動可能な内管144とを含み得る。内管144は、外管128に対して長手方向に並進するように構成され得る。内管144は、例えば、その終端遠位端に弁146を含み得る。例示的な弁としては、一方向弁、ダックビル弁、ばね付勢逆止弁などが挙げられる。シールは、内管144と外管128との間、例えば、カテーテル102の近位端に形成され得る。使用時には、内管144に薬物含有流体を充填することができる。次いで、内管144を外管128に対して近位方向に引っ張って、薬物含有流体を一方向弁146を通して外管の遠位端に流すことができる。次いで、内管144を遠位方向に押し、一方向弁146を閉鎖して、薬物含有流体を外管128の遠位端から患者の中に放出することができる。並進運動する管128、144は、内管144の往復運動ごとに、薬物含有注入剤の固定された体積または所定の体積を送達することを可能にすることができる。外管128および内管144の近位端は、例えば、外管および内管に流体を供給するためのコネクタ118A、118Bを含み得る。往復運動する内管144を使用して、送達を自然CSF流などの患者の生理学的パラメータと調和させることができる。
【0068】
別の例として、
図15に示されるように、カテーテル102は、カテーテルを通る薬物の送達を制御するのを助けるために、圧電変換器などの変換器148を含み得る。変換器148は、カテーテル102の流体ポート122に隣接して配設されたフレックス回路または他の基板上に形成され得る。変換器148は、そこからカテーテル102を通ってコントローラ104まで近位方向に延在する導電性のリード線またはワイヤ150を含み得る。使用時には、変換器148に電位を印加して変換器の振動または他の移動を誘発することができる。この移動はカテーテル102からの薬物の分布を制御することができる。例えば、変換器148は、注入剤がカテーテル102から出るときに注入剤が流れる方向を制御することができ、カテーテルの流体ポート122の開閉を制御することができ、および/またはカテーテルから出る注入剤の体積を制御することができる。カテーテル102の近位端は、第1および第2の流体管腔にそれぞれ対応する第1および第2のコネクタ118A、118Bと、第3のポートまたはコネクタ118Cとを有し得、第3のポートまたはコネクタ118Cを通って変換器148の導電体150が延在し得る。変換器148を使用して、送達を自然CSF流などの患者の生理学的パラメータと調和させることができる。
【0069】
システム100は、集束超音波を患者に送達するための1つ以上の変換器を含み得る。
図16に示されるように、集束超音波システム152は、薬物含有注入剤154がカテーテル102から出る位置に向けて超音波を向けることができる。集束超音波は、薬物の分散を向上させ、かつ/または薬物が分散する方向および程度を制御することができる。集束超音波を使用して、送達を自然CSF流などの患者の生理学的パラメータと調和させることができる。集束超音波を使用して、拍動性送達なしに薬物分布を向上させるかまたは方向付けることもできる。
【0070】
図17は、コントローラ104の例示的な実施形態の物理的構成要素のブロック構成を図示している。例示的なコントローラ104が本明細書に示され説明されているが、これは一般性および便宜のためであることが理解されよう。他の実施形態では、コントローラ104は、本明細書に示され説明されたものとはアーキテクチャおよび動作が異なり得る。コントローラ104は、タブレットコンピュータ、モバイル装置、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、クラウドベースのコンピュータ、サーバコンピュータなどとすることができる。コントローラ104の1つ以上の部分を患者に移植することができる。送達制御ソフトウェアをコントローラ104上で実行することができる。ソフトウェアは、ローカルハードウェア構成要素(例えば、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ラップトップコンピュータなど)上で実行することも、遠隔で(例えば、コントローラと通信連結しているサーバまたはクラウド接続型コンピューティング装置上で)実行することもできる。
【0071】
図示のコントローラ104は、例えば、埋め込まれたソフトウェア、オペレーティングシステム、装置ドライバ、アプリケーションプログラムなどを実行することによってコントローラ104の動作を制御するプロセッサ156を含む。プロセッサ156は、プログラム可能な汎用もしくは特殊用途のプロセッサおよび/またはさまざまな専用もしくは市販の単一または複数のプロセッサシステムのうちのいずれかを含む、任意のタイプのマイクロプロセッサまたは中央処理ユニット(CPU)を含み得る。本明細書で使用される場合、プロセッサという用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、FPGA、PIC、内部もしくは外部のメモリまたはレジスタからプログラム命令を読み取り、解釈するプロセッサなどを指すことができる。コントローラ104はまた、メモリ158を含み、メモリ158は、プロセッサ156によって実行されるコードまたはプロセッサによって処理されるデータのための一時的なもしくは恒久的なストレージを提供する。メモリ158は、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、1つ以上のさまざまなランダムアクセスメモリ(RAM)、および/またはメモリ技術の組み合わせを含み得る。コントローラ104のさまざまな構成要素は、任意の1つ以上の別個のトレース、物理的バス、通信線などを介して相互接続することができる。
【0072】
コントローラ104はまた、通信インターフェースまたはI/Oインターフェースなどのインターフェース160を含み得る。通信インターフェースは、コントローラ104がネットワークまたは通信バス(例えば、ユニバーサルシリアルバス)を介して遠隔装置(例えば、他のコントローラまたはコンピュータシステム)と通信することを可能にすることができる。I/Oインターフェースは、1つ以上の入力装置と、1つ以上の出力装置と、コントローラ104のさまざまな他の構成要素との間の通信を容易にし得る。例示的な入力装置としては、タッチスクリーン、機械式ボタン、キーボード、および指示装置が挙げられる。コントローラ104はまた、不揮発性および/または非一時的な方法でデータを格納するための任意の従来の媒体を含み得るストレージ装置162を含み得る。したがって、ストレージ装置162は、データおよび/または命令を持続状態で保持し得る(すなわち、コントローラ104への電力の中断にもかかわらず、値は維持される)。ストレージ装置162は、1つ以上のハードディスクドライブ、フラッシュドライブ、USBドライブ、光学ドライブ、さまざまな媒体のディスクもしくはカード、および/またはそれらの任意の組み合わせを含むことができ、コントローラ104の他の構成要素に直接接続され得るか、またはそれらに通信インターフェースなどを介して遠隔接続され得る。コントローラ104は、ディスプレイ164も含むことができ、その上に表示される画像を生成することができる。いくつかの実施形態では、ディスプレイ164は、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、または液晶ディスプレイ(LCD)であり得る。コントローラ104はまた、電源166と、適切な規制および調整回路とを含み得る。例示的な電源としては、ポリマーリチウムイオン電池などの電池、またはコントローラ104をDCもしくはAC電力源に連結するためのアダプタ(例えば、USBアダプタもしくは壁アダプタ)が挙げられる。
【0073】
コントローラ104によって遂行されるさまざまな機能は、1つ以上のモジュールによって遂行されるものとして論理的に記載され得る。かかるモジュールをハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装することができることが理解されよう。ソフトウェアで実装される場合、モジュールは単一のプログラムまたは1つ以上の別個のプログラムの一部とすることができ、(例えば、埋め込まれたソフトウェアパッケージ、オペレーティングシステム、装置ドライバ、スタンドアロンアプリケーション、および/またはそれらの組み合わせの一部として)さまざまなコンテキストで実装することができることがさらに理解されよう。加えて、1つ以上のモジュールを具現化するソフトウェアは、1つ以上の非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体上に実行可能なプログラムとして格納され得る。特定のモジュールによって遂行されるものとして本明細書に開示されている機能を他の任意のモジュールまたはモジュールの組み合わせによって遂行することもでき、コントローラは、本明細書に示され説明されたものよりも少ないかまたは多いモジュールを含むことができる。
図18は、コントローラ104の1つの例示的な実施形態のモジュールの概略構成である。
【0074】
図18に示されるように、コントローラ104は、センサ(複数可)108から情報を受信するように構成されたセンサ入力モジュール168を含み得る。センサ入力モジュール168は、例えば、プロセッサの汎用入出力ピンを介して、センサ108からプロセッサ156に供給される出力信号を読み取り、解釈することができる。センサ入力モジュール168は、周波数検出、位相検出、デバウンシング、アナログ-デジタル変換、フィルタリングなど、センサ信号に対するさまざまな処理を任意選択で遂行することができる。
【0075】
コントローラ104はまた、患者から流体を注入もしくは吸引するようにポンプまたはアクチュエータ106を制御し、かつ/またはカテーテル102を制御するように構成された送達制御モジュール170(例えば、オーガ、ピストン、変換器、超音波システムなど)を含み得る。例えば、「注入」命令が発行されると、送達制御モジュール170は、カテーテル102を通して注入剤をポンピングし始めるように電力をポンプ106に供給させるか、または圧力下で格納された注入剤がカテーテルと流体連通して設置され、それを通って流れるように電子作動弁を開放させることができる。いくつかの実施形態では、送達制御モジュール170は、システム内の圧力が所定の閾値量に到達したことを圧力センサが示したときにポンプ106への電力を遮断するかまたは弁を閉鎖するように構成され得る。「吸引」命令が発行されると、送達制御モジュール170は、カテーテル102から流体をポンピングし始めるように電力をポンプ106に供給させることができる。
【0076】
コントローラ104は、例えば、インターフェース160を介してユーザによって供給される1つ以上のユーザ入力を受信するように構成されたユーザ入力モジュール172を含み得る。例示的なユーザ入力としては、以下でさらに論じられるように、注入パラメータ、患者情報、処置プロトコルなどが挙げられ得る。
【0077】
コントローラ104はまた、グラフィカルまたはテキストのユーザインターフェース、メニュー、ボタン、命令、および他のインターフェース要素などのさまざまな情報をディスプレイ164上でユーザに表示するように構成された表示モジュール174を含み得る。表示モジュール174は、命令、警告、エラー、測定、および計算を表示するように構成することもできる。
【0078】
図19は、表示モジュール174によってユーザに表示され得る例示的なグラフィカルユーザインターフェース176を図示しており、それを介してユーザは、ユーザ入力モジュール172に情報を供給することができる。図示のインターフェース176は、カテーテル102に注入剤を送達するため、およびカテーテルから流体を回収または吸引するためにそれぞれのシリンジポンプに力を付加するように動作することができる第1および第2のモータまたはリニアアクチュエータを含むポンプシステム106と共に使用するために構成されている。
【0079】
ユーザインターフェース176は、モータに関連するさまざまな情報を表示するためのモータ通信パネル178を含み得る。この情報は、モータの接続状態、モータのIPまたは他のソフトウェアアドレス、およびモータの通信周波数または更新時間を含み得る。ユーザは、モータ通信パネル178と対話して、モータアドレスおよび更新時間を選択または変更することができる。
【0080】
ユーザインターフェース176は、さまざまなモータ設定を調節し、現在の設定をユーザに表示するためのモータ設定パネル180を含み得る。モータ設定パネル180は、モータ速度、モータ加速度、モータ段の関数としてのシリンジ移動距離、現在のモータ位置、注入周波数、注入振幅、注入割合、注入位相などの制御を含み得る。
【0081】
コントローラ104は、さまざまな注入および/または吸引パラメータを制御して、カスタマイズされた送達を達成するように構成され得る。これにより、治療用途に基づいて送達を個別化することが可能になり得る。コントローラ104によって制御され得る例示的なパラメータとしては、注入タイプ、注入割合、注入体積、注入間の時間、振動数、注入と回収の割合、注入位相タイミング、吸引タイプ、吸引割合、吸引間の時間、吸引体積などが挙げられる。
【0082】
ポンプまたはアクチュエータシステム106は、薬物または薬物含有流体をカテーテル102に供給し、かつ/またはカテーテルから流体を吸引するように構成され得る。システム106は、1つ以上のポンプを含み得る。例えば、システム106は、各々がカテーテル102の対応する管腔と関連付けられて流体連通する複数のポンプを含み得る。ポンプはまた、ある体積の流体を保持するために、それぞれのリザーバと関連付けられて流体連通することができる。いくつかの実施形態では、システム106は、コントローラ104から受信した制御信号に応答してシリンジポンプのプランジャを前進または後退させるように構成された電子リニアアクチュエータに連結された第1および第2のシリンジポンプを含み得る。いくつかの実施形態では、システム106は、蠕動ポンプ、オーガポンプ、ギアポンプ、ピストンポンプ、ブラダーポンプなどを含み得る。システム106の1つ以上の部分を患者に移植することができる。システム106は、さまざまな移植型または体外式ポンプのうちのいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、システム106は、完全移植型のプログラム可能なポンプと、システムを使用して送達される流体を含有する完全移植型の流体リザーバとを含み得る。いくつかの実施形態では、システム106全体を、例えば、慢性処置の方法を容易にするために移植型にすることができる。
【0083】
センサ108は、単一のセンサであっても、複数のセンサであってもよい。例示的なセンサとしては、圧力センサ、心電図センサ、心拍数センサ、温度センサ、PHセンサ、呼吸数センサ、呼吸体積センサ、肺活量センサ、胸部拡張および収縮センサ、胸腔内圧力センサ、腹腔内圧力センサなどが挙げられる。センサ108のうちの1つ以上を患者に移植することができる。センサ108のうちの1つ以上をカテーテル102上に装着することも、カテーテル102内またはその上に形成することもできる。センサ108はまた、カテーテル102から離れていてもよい。いくつかの実施形態では、センサ108は、カテーテル102内またはその上に配設された、カテーテルに隣接してCSF圧力を測定するための圧力センサと、患者の心拍数を測定するためのECGセンサとを含み得る。センサ108は、(ワイヤを介してまたは無線接続を介して)コントローラ104のセンサ入力モジュール168に接続され得る。
【0084】
上記のように、送達システム100の1つ以上の構成要素、およびいくつかの実施形態では、送達システムのすべての構成要素を患者に移植することができる。送達システム100の一部または全部を移植することは、非侵襲的または外来手技を介して(例えば、数日、数週、数ヶ月、または数年にわたる)慢性または長期薬物送達を容易にすることができる。
【0085】
図20Aおよび20Bは、患者に完全に移植されたカテーテル102を図示している。示されるように、カテーテル102は、患者の髄腔内空間内に位置決めするように構成され得、脊柱の実質的に全長にわたってまたはその任意の部分に沿って延在し得る。カテーテル102は、1つ以上の流体管腔を含み得る。カテーテル102はまた、1つ以上の流体ポートを含み得る。いくつかの実施形態では、カテーテル102は、複数の流体管腔を含み得、複数の流体管腔の各々は、それ自体のそれぞれの流体ポートを有する。図示の実施形態では、カテーテル102は、3つの流体管腔と3つのそれぞれの流体ポート122P、122M、および122Dとを含む。カテーテル102はまた、1つ以上のセンサ108(例えば、圧力センサ)を含み得る。図示の実施形態では、流体ポート122P、122M、122Dの各々は、それに隣接してまたは近接して装着されたセンサ108P、108M、108Dを含む。カテーテル102の近位端を完全に移植された経皮式または体外式注入ポート182に連結することができ、注入ポート182を通して流体をカテーテルのさまざまな管腔に送達する(またはそこから除去する)ことができ、注入ポート182を通してカテーテルの1つ以上のセンサ108をコントローラ104または他の装置に連結することができる。クイックコネクタシステム184を使用してカテーテル102を注入ポート182に連結することができる。マイクロコネクタ184は、空気および/または細菌フィルタを含むことができ、ゼロデッドボリュームコネクタとすることができる。ポンプ106およびコントローラ104は、注入ポート182と嵌合するように構成された注射器190に連結され得る、
図20Cに示されるようなシャーシまたはハウジング188内に一緒に装着され得る。注射器190は、注射器が皮下注入ポート182に対して正確に位置合わせされることを確実にするための磁気位置合わせ特徴部186を含み得る。
【0086】
図20Dに示されるように、カテーテル102の遠位または頭側/頸部先端は、それを通る乱流を助長する修正された形状を有し得る(例えば、上記のような螺旋状またはコルク抜きの形状の管腔または流体ポート122D)。他のさまざまな形状のうちのいずれかを使用することができる。他のポート122M、122Pも同様に構成することができ、
図20Eに示されるように単純な円形断面を有することも、本明細書に記載される他の任意の構成を有することもできる。
【0087】
図20A~20Eに図示されるシステム100は、さまざまな方法のうちのいずれかで急性および/または慢性用途に使用することができる。
【0088】
例えば、カテーテル102を使用して、3つの異なる薬物(例えば、カテーテルの各異なる管腔を通して1つの薬物)を送達することができる。
【0089】
さらなる例として、カテーテル102は、脊椎の異なる領域への異なる薬物の局所送達のために使用され得る。
【0090】
さらに別の例として、カテーテル102を使用して、脊柱全体に沿って実質的に瞬的分布で同じ薬物を送達することができる。
【0091】
別の例では、注入された流体を脊柱管を通して汲み出すために、カテーテル102の1つのポートを、別のポートが注入するために使用されている間に、吸引するために使用することができる。いくつかの実施形態では、流体を下部腰部ポート122Pを通して注入することができ、流体を頸部ポート122Dを通して吸引して注入された流体を脊柱まで「引っ張る」ことができる。
【0092】
別の例では、流体を患者の脊椎の頸部領域に配設されたポート122Dを通して注入して、注入された薬物を頭側の空間に進ませることができる。
【0093】
さらなる例として、カテーテル102を使用して、注入された薬物を脊椎の所与の領域に実質的に収容することができる。いくつかの実施形態では、流体を下部腰部ポート122Pを通して注入することができ、流体を中間腰部ポート122Mから回収して、注入された薬物を患者の脊椎の腰部領域の2つのポート122Pと122Mとの間に保つことができる。
【0094】
例示的な方法では、多重管腔およびポートを介した注入および吸引を段階的に行うかまたは順番に組み合わせて、改善されて制御された都合のよい割合でかなりのボーラスを作り出して前進させることができる。この方法は、意図的に隔置されたポート間の同時の吸引/注入を含み得る。ボーラスを前進させるときの後の手技段階で置き換えられる安全な量のCSFを除去する調製段階によって送達を向上させることができる。この方法は、同期された拍動性注入の最終段階を含み得る。この方法は、大きなボーラスがより迅速に形成されることを可能にすることも、制御された投与を可能にすることも、および/またはボーラスが脳または他の標的部位により近く送達されることを可能にすることもできる。この方法は、近位端から遠位端に向かってテーパ状をなすカテーテルを使用して遂行され得る。カテーテルの直径が各ポートの遠位方向で低減するテーパ状のカテーテルのプロファイルは、カテーテルをより長くすることを可能にし、導入/ナビゲートすることをより容易にし、装置を標的部位のかなり近くに到達させることを可能にすることができる。ポートの設計と位置は、投与量および他の要因に基づいて最適化され得る。カテーテルから出るときに注入剤の乱流を促進するために、ポートから出る流体が患者の解剖学的構造(例えば、管腔盲端(blind lumen end)、管腔側壁、または管腔狭窄)に対して流れるようにカテーテルを設置することができる。初期段階では、ある体積の患者CSFをカテーテルの1つ以上のポートを通して吸引することができる。例示的な実施形態では、約10体積%の患者のCSFをカテーテルを通して吸引し、リザーバに格納することができる。吸引されるCSFの量は、臨床的に判定された安全なレベルに基づき得る。後続の送達工程では、CSFはカテーテル102の遠位流体ポート122Dを通して患者から吸引され、同時に薬物はカテーテルの中間ポート122Mを通して患者に注入される。これにより、薬物のボーラスを中間ポート122Mと遠位ポート122Dとの間に形成することができる。ポートは、ボーラスサイズまたは投与量を画定するようにカテーテルの長さに沿って位置し得る。前進工程では、薬物のボーラスを患者内で前進させることができる。これは、以前に吸引されたCSFをリザーバから患者にカテーテル102の近位ポート122Pを通して注入することによって達成され得る。この注入は、ボーラスを標的部位に向かって遠位方向に促すことができ、正常または安全なCSF圧力が患者内で到達されるまで続けることができる。上記の例ではボーラスを前進させるために以前に吸引されたCSFが使用されているが、その代わりにまたはそれに加えて、薬物含有流体などの他の流体を使用することができる。ボーラスの前進の前、最中、または後に、患者の1つ以上の生理学的パラメータと調和させて、CSFおよび/または薬物含有流体の注入を拍動性の方法で遂行することができる。上記の方法を近位ポート122Pおよび遠位ポート122Dのみを使用して遂行することもできる。近位ポート122P、中間ポート122M、および遠位ポート122Dは、
図20Aに示されるように脊柱の長さに沿って隔置することも、脊椎の別々の領域(例えば、頸部脊椎、胸部脊椎、腰部脊椎など)にすべて収容することもできる。
【0095】
本明細書に開示されているシステムは、さまざまな薬物送達方法のいずれにも使用することができる。
【0096】
例示的な方法では、注入ポンプ106は、カテーテル102を通って患者内に(例えば、患者の髄腔内空間に)薬物または薬物含有流体をポンピングするように構成され得る。さまざまな位置のうちのいずれかでカテーテル102を患者に挿入することができる。例えば、経皮的穿刺は、針を使用して患者内に形成され得る。穿刺は、脊椎の腰部領域、または脊椎の任意の他の領域、例えば、C1とC2との間の頸部領域に形成され得る。針は、カテーテル102を脊髄と平行になるように操縦するのを助ける屈曲遠位先端を有し得る。カテーテル102は、針を通して挿入され、脊髄に沿って髄腔内空間を通って誘導され得る。注入は、経皮的穿刺に近接して遂行され得るか、またはカテーテル102が患者内でいくらか前進され得る。いくつかの実施形態では、カテーテル102を腰部脊椎に挿入し、頸部脊椎または大槽に前進させることができる。注入は、カテーテル102の長さに沿った任意の点で遂行され得る。流体をカテーテル102の遠位端から(例えば、脊椎の頸部領域に)注入することができ、カテーテルを近位方向に回収することができ、さらに注入をより尾側の位置で(例えば、頸椎の腰部領域において)遂行することができる。
【0097】
ポンプ106をコントローラ104によって制御して、薬物の送達を患者の自然CSF流れもしくは拍動と、または患者の他の生理学的パラメータ(例えば、心拍数、呼吸数、肺活量、胸部拡張および収縮、胸腔内圧力、腹腔内圧力など)と同期させるか、または別様に調和させることができる。注入プロファイルは、注入剤を標的部位まで駆動させるために、自然CSF拍動を無効にするように個別化され得る。代替的にまたは追加的に、注入プロファイルは、注入剤を標的部位に向かって移動させるために、自然CSF拍動と調和させて、それを活用するように個別化され得る。
【0098】
圧力センサ108からの読み取り値は、患者のCSF流のさまざまな特性(例えば、位相、割合、大きさなど)を判定するためにセンサ出力に対して信号処理を遂行し得るコントローラ104によって受信され得る。次いで、コントローラ104は、これらの測定された特性に基づいてポンプ106を制御して、自然CSF流と調和させて薬物を送達し、任意選択でリアルタイムで送達を同期させることができる。例えば、
図21Aの上部に示されるように、コントローラ104は、測定されたCSFの拍動性の流れを正弦波近似に変換することができる。次いで、コントローラ104は、
図21Aの下部に示されるように、CSF拍動と調和させて注入ポンプ106を駆動するためのポンプ制御信号を出力することができる。
【0099】
場合によっては、圧力センサ108によって感知された圧力は、カテーテル102を通る注入によって影響を受ける可能性がある。したがって、CSF流を検出または推定する別の方法があることが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、システム100は、(例えば、コントローラと通信連結しているECGセンサ108によって検出されるときに)注入が行われず、コントローラ104がCSF拍動と心拍数との間の相関関係を確立する「学習」モードで最初に動作させることができる。概して、CSF拍動は、わずかな遅延を伴って心拍数を追跡する。いったん相関関係が確立されると、システム100は、注入剤がカテーテル102を通って送達され、CSF拍動が(圧力センサ108の出力に基づいてCSF拍動を検出または推定することの代わりにもしくはそれに加えて)測定された心拍数に基づいて検出または推定される「注入」モードで動作させることができる。言い換えれば、システム100は、必ずしも圧力センサの出力に頼ることなく、ECG出力に基づいてCSF流を補間または推定することができる。これにより、圧力センサを注入圧力の監視などの他の目的のために使用して、コントローラ104が送達を標的とする圧力または圧力範囲まで自動的に規制することを可能にすることができる。
【0100】
本明細書に記載されるシステムの使用の一例では、薬物は、次に脊柱に沿って緩徐に正確に拡散する単純なボーラス注射(ある体積の流体の急速注入)を介して髄腔内空間に送達され得る。
【0101】
別の例では、ボーラス注射を遂行して薬物を送達した後に、自然CSFパルスを無効にし、標的位置(例えば、脳)に向かってボーラスをより迅速に移動させるために、システムを使用して、振動数/拍動数を変化させることによってボーラスの後ろに拍動を作り出すことができる。ある体積のCSFを繰り返し回収または吸引し、次いでその同じ体積を患者内に再度ポンピングしてパルスを作り出すことによって拍動を作り出すことができる。
【0102】
別の例では、薬物自体の注入を使用して拍動効果を作り出して、薬物を髄腔内空間に沿って促すことができる。この例では、第1の体積の薬物(例えば、0.1ml)を注入することができ、次いで、第2の、より少ない体積(例えば、0.05ml)を回収することができる。これを繰り返して、各サイクルで正味注入を伴うパルスを作り出すことができる。所望の投与量が送達されるまでプロセスを繰り返すことができる。2:1の注入と回収の割合が上で論じられているが、任意の割合が使用され得ることが理解されよう。加えて、注入と回収の割合は、標的位置(例えば、脊柱の頂部)に向かって流体のバーストを作り出すように(例えば、迅速に注入し、緩徐に回収することによって)制御され得る。
【0103】
本明細書に開示される装置および方法では、注入および/または吸引を患者の1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、自然CSF流、心拍数、呼吸数など)と調和させることができる。
【0104】
CSF流のタイミングに対して薬物が送達されるタイミングに基づいて、髄腔内標的部位における薬物分布の方向を少なくともある程度制御することができる。例えば、
図21Bに示されるように、CSF流の上昇波と同期している注入は、頭側の方向により大きな程度に分布され得るが、
図21Cに示されるように、CSF流の下降波と同期している注入は、脊柱管の尾側の方向により大きな程度に分布され得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、二重管腔または多重管腔カテーテルを交互の反復注入および吸引のために使用することができ、それによって薬物分布をさらに向上させることができる。
【0106】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、脊柱管または脳の遠隔部分に効率的に到達しない(仮にあったとしても)伝統的な腰部ボーラス注射と比較して、薬物を髄腔内空間に送達するための改善された手段を提供し得る。
【0107】
上記の実施例には髄腔内送達が概して記載されているが、本明細書のシステムおよび方法は、当業者によって理解されるように、サイズまたは他のパラメータの適切な修正を伴って他の用途で使用され得ることが理解されよう。例えば、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、動脈内または静脈内送達に使用され得る。かかるシステムおよび方法は、患者の1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、自然CSF流、心拍数、呼吸数など)と調和した注入および/または吸引を含み得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、薬物は、非拍動性の方法で、および/または必ずしも送達を患者の生理学的パラメータと調和させることなく送達され得る。例えば、交互の、または別様に調和された吸引および注入を使用して、薬物を標的部位に送達することができる。さらなる例として、薬物を注入し、次いで緩衝剤を薬物の後ろに注入して分布を向上させるか、または薬物を標的部位に向かって移動させることができる。
【0109】
例示的な方法は、カテーテルの少なくとも一部を患者に挿入することと、薬物を患者の標的領域に送達することとを含み得る。カテーテルの少なくとも一部を標的領域に配設することができる。薬物を拍動性の方法で送達することができる。薬物は、患者の生理学的パラメータ(例えば、患者の自然CSF流および/または患者の心拍数)と調和させて送達することができる。
【0110】
標的領域は、患者の髄腔内空間であり得る。標的領域は、患者の軟膜下領域(例えば、脊髄の軟膜下領域および/または脳の軟膜下領域)であり得る。標的領域は、患者の小脳であり得る。標的領域は、患者の歯状核であり得る。標的領域は、患者の後根神経節であり得る。標的領域は、患者の運動神経細胞であり得る。薬物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得る。薬物は、立体的に純粋な核酸を含み得る。薬物は、ウイルスを含み得る。薬物は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含み得る。薬物は、非ウイルス遺伝子治療を含み得る。薬物は、ベキソソームを含み得る。薬物は、リポソームを含み得る。この方法は、薬物を送達することによって(例えば、AAVなどのウイルスを送達することによって)遺伝子治療を遂行することを含み得る。この方法は、薬物を送達することによって(例えば、AAVなどのウイルスを送達することによって)遺伝子編集を遂行することを含み得る。この方法は、薬物を送達することによって(例えば、AAVなどのウイルスを送達することによって)遺伝子スイッチを遂行することを含み得る。この方法は、薬物を送達することによって(例えば、ベキソソームおよび/またはリポソームを送達することによって)非ウイルス遺伝子治療を遂行することを含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、この方法は、患者の総CSF体積を判定することと、総CSF体積に基づいて送達を個別化することとを含み得る。例えば、コントラストの有無にかかわらず、MRIまたは他の撮像技術を使用して、患者の全CSF体積を評価することができる。次いで、測定された体積に基づいて薬物の送達を個別化することができる。例えば、より大きな総CSF体積を有する患者にはより大きな体積の緩衝剤を使用することができ、より小さな総CSF体積を有する患者にはより小さな体積の緩衝剤を使用することができる。さらなる例として、注入振幅、注入速度、吸引体積、吸引振幅、および他のパラメータは、測定された総CSF体積に従って変化し得る。
【0112】
注入体積は、約0.05mL~約50mLの範囲であり得る。注入割合は、約0.5mL/分~約50mL/分の範囲であり得る。
【0113】
以下は、本明細書に開示されるシステムを使用して遂行され得る例示的な薬物送達方法である。
【0114】
実施例A:
薬物(ポンプ1)と緩衝剤/食塩水(ポンプ2)の交互の拍動性注入
薬剤の総体積:2.2mL
緩衝剤の総体積:4.4mL
両ポンプの注入割合:15mL/分
サイクル数:腰部で10サイクル、その後、大槽で10サイクル
サイクル間の時間:100ミリ秒
注入の説明:腰部セクションで、ポンプ1は15mL/分で0.11mLを注入し、100ms休止、ポンプ2は15mL/分で0.22mLを注入し、100ms休止(サイクル1)。これを腰部で合計10サイクル繰り返す。カテーテルは大槽まで螺合する。ポンプ1は15mL/分で0.11mLを注入し、100ms休止、ポンプ2は15mL/分で0.22mLを注入し、100ms休止(サイクル1)。これを大槽で合計10サイクル繰り返す。
【0115】
実施例B:
薬物(ポンプ1)と緩衝剤/食塩水(ポンプ2)の交互の拍動性注入
薬剤の総体積:3mL
緩衝剤の総体積:20mL
両ポンプの注入割合:4mL/分
サイクル:胸部領域で13サイクル
ポンプ1とポンプ2とを交互する間の時間:1000ミリ秒
サイクル間の時間(ポンプ2からポンプ1まで):5000ミリ秒
注入の説明:腰部セクションで、ポンプ1は4mL/分で0.231mLを注入し、1000ms休止、ポンプ2は4mL/分で2.0mLを注入し、5000ms休止(サイクル1)。これを胸部領域で合計13サイクル繰り返す。
【0116】
実施例C:
薬物(ポンプ1)と緩衝剤/食塩水(ポンプ2)の交互の拍動性注入
薬剤の総体積:5mL
緩衝剤の総体積:8mL
ポンプ1の注入割合:37mL/分
ポンプ2の注入割合:20mL/分
サイクル:胸部領域で5サイクル
サイクル間の時間:10ミリ秒
注入の説明:腰部セクションで、ポンプ1は37mL/分で1mLを注入し、10ms休止、ポンプ2は30mL/分で1.6mLを注入し、100ms休止(サイクル1)。これを胸部領域で合計5サイクル繰り返す。
【0117】
図22は、腰部穿刺針292を含む薬物送達システム200を図示している。針292は、針の遠位先端に隣接して装着されたセンサ294(例えば、圧力センサ)を含み得る。したがって、針292を患者210に挿入すると、センサ294は患者のCSFの圧力または他の特性を測定することができる。針292はまた、センサ294の出力をユーザに表示するための一体型または遠隔ディスプレイ296を含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ296は、針292の長さに沿って、針の近位ルアーまたは他のコネクタ298の遠位に装着され得る。針本体292は、鋭利なまたは角度を付けた先端を有する管状金属シャフトであり得る。流体配管は、例えば、近位コネクタ298を介して針292に、そしてプログラム可能なポンプ106に連結され得る。上記のタイプのコントローラ104は、例えば、患者の生理学的パラメータと調和させて拍動性の様式で、針292を通して流体を送達するようにポンプ106を制御するようにプログラムされ得る。針292を使用して、薬物を送達すること、緩衝剤を送達すること、および/または流体を吸引することができる。いくつかの実施形態では、上記のタイプのカテーテル102を針292を通して挿入することができ、流体送達または吸引をカテーテルを通して遂行することができる。
【0118】
図23に示されるように、
図22に示されるプログラム可能なポンプ106およびコントローラ104の代わりにまたはそれに加えて、手動ポンプ206を設けることができる。示されるように、針292(または針を通して挿入されたカテーテル102)の第1の流体管腔は、第1のリザーバおよび第1の平らなドームを含む第1のポンプ206Aに連結され得る。同様に、針292(または針を通して挿入されたカテーテル102)の第2の流体管腔は、第2のリザーバおよび第2の平らなドームを含む第2のポンプ206Bに連結され得る。ユーザは、第1および第2の平らなドームに手動で指で圧力を及ぼして、第1および第2のリザーバに収容された流体を患者に選択的に押し込むことができる。したがって、ユーザの手動の作動率および作動圧力は、注入周波数および体積を指示することができる。したがって、ユーザは手動で送達をパルス化することができる。平らなドームは、ドームの各連続作動が固定された所定の体積の流体を送達するように構成され得る。例えば、平らなドームの各押し込みは、0.1mlの流体を送達するように構成され得る。いくつかの実施形態では、リザーバのうちの一方を緩衝剤溶液で充填し、他方のリザーバを薬物含有溶液で充填することができる。
【0119】
図24A~24Gは、針302と、針を通して挿入可能なカテーテル304とを含み得る薬物送達システム300を図示している。針302は、腰部穿刺針であり得る。カテーテル304は、単一管腔カテーテルまたは多重管腔カテーテルであり得る。例えば、示されるように、カテーテルの近位部分で分岐する二重管腔カテーテルを使用することができる。流体配管306は、例えば、1つ以上の近位コネクタ308を介してカテーテル304に、そしてプログラム可能なポンプシステム310に連結され得る。針302またはカテーテル304をポンプシステム310に直接接続することもできる。
【0120】
いくつかの実施形態では、ポンプシステム310は、カテーテル304のそれぞれの管腔を通して流体を注入および/または吸引するように構成された第1および第2のポンプを含み得る。
図24Aに示されるタイプのリニアアクチュエータシリンジポンプを含む、さまざまなポンプのうちのいずれかを使用することができる。上記のタイプのコントローラ104は、例えば、患者の生理学的パラメータと調和させて拍動性の様式で、カテーテル304を通して流体を送達するようにポンプシステム310を制御するようにプログラムされ得る。カテーテル304を使用して、薬物を送達すること、緩衝剤もしくは他の流体を送達すること、および/または流体を吸引することができる。いくつかの実施形態では、カテーテル304を省くことができ、流体を針302を通して直接注入すること、および/または針を通して直接吸引することができる。カテーテル304の代わりにまたはそれに加えて、流体接続のうちの1つ以上を針302と行うことができる。例えば、流体配管であって、それを通して薬物が送達される、流体配管をカテーテル304に直接連結してカテーテルを通して薬物を送達することができ、流体配管であって、それを通して緩衝剤、チェーサー、または他の流体が送達される、流体配管を針302に直接連結して針を通して流体を送達することができる。
【0121】
針302は、カテーテルおよび/またはそれを通して流体を受容するように構成された中空管状本体によって画定され得る。針302は、腰部挿入点を通って髄腔内空間に挿入するようにサイズ決めされ、構成された腰部穿刺針であり得る。針302は、針が脊椎の腰部領域において患者に挿入されるときに針を髄腔内空間に自然に操縦するように構成された湾曲した遠位先端を有し得る。針302の遠位端に開口部を形成することができ、それを通って挿入カテーテル304が延在し得る。
【0122】
針の近位端を流体ハブ312に連結することができる。
図24Bに示されるように、ハブ312を「W」ハブとすることができる。ハブ312は、複数のポートを含み得る。ハブ312は、針302を取り付けてハブと流体連通するように設置することができる遠位ポートを含み得る。ハブ312は、1つ以上の近位ポートを含み得る。近位ポートは、ハブ312を通して挿入されたカテーテル304を針302の中心管腔内に誘導することができる。近位ポートは、ハブ312をそれぞれの流体ラインに取り付け、ハブを当該流体ラインと流体連通するように設置することができる。流体ラインを使用して、流体をハブ312内に、そしてそれに取り付けられた針302を通して方向付けることができる。ハブ312の近位ポートおよび遠位ポートは、ルアータイプのコネクタまたはゼロデッドボリュームコネクタであり得る。
図24Bに示されるように、ハブ312は、針302に取り付けられた遠位ポートと、近位ポートとを含むことができ、近位ポートを通して二重管腔カテーテル304を挿入して、針を通してカテーテルを誘導する。二重管腔カテーテル304は、例えば、薬物および緩衝剤を搬送するために、ハブ312の近位の位置で第1および第2の流体ラインにそれぞれ分割または分岐し得る。ハブ312は、1つ以上の追加のポートを含むことができ、それらを通して流体を針302内に導入するかまたはそこから回収することができる。カテーテル304を使用して行う代わりにまたは行うことに加えて、これらのポートを使用して、針302に薬物もしくは緩衝剤を送達するか、または針から流体を吸引することができる。
【0123】
図24Cおよび24Dに示されるように、ハブ312を「Y」ハブとすることができる。ハブ312は、針302に取り付けられた遠位ポートと、近位ポートとを含むことができ、近位ポートを通して二重管腔カテーテル304を挿入して、針を通してカテーテルを誘導する。二重管腔カテーテル304は、例えば、薬物および緩衝剤を搬送するために、ハブ312の近位の位置で第1および第2の流体ラインにそれぞれ分割または分岐し得る。ハブ312は、1つ以上の追加のポートを含むことができ、それらを通して流体を針302内に導入するかまたはそこから回収することができる。カテーテル304を使用して行う代わりにまたは行うことに加えて、これらのポートを使用して、針302に薬物もしくは緩衝剤を送達するか、または針から流体を吸引することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ハブを省くことができ、流体を針302に直接送達するかまたはそこから直接吸引することができる。例えば、針302が1つ以上の流体ラインを介してポンプシステム310に直接取り付けられ得るか、またはカテーテル304が1つ以上の流体ラインを介してポンプシステムに直接取り付けられ、近位ハブなしで針を通して挿入され得る。
【0125】
システム300は、システムを通る流体の流れを制御または制限するための1つ以上の弁を含み得る。例えば、システム300は、ポンプシステム310から患者へのそれぞれの流体経路と直列に配設されて、これらの経路を一方向または両方向に互いに隔離するための逆止弁314を含み得る。例示的な配置では、システム300は、第1および第2の独立した流体セクションまたはチャネルを含み得る。第1の流体セクションまたはチャネルは、第1の流体を第1の流体管およびカテーテル304の第1の流体管腔を通して送達するように構成された第1のポンプを含み得る。第2の流体セクションまたはチャネルは、第2の流体を第2の流体管およびカテーテル304の第2の流体管腔を通して送達するように構成された第2のポンプを含み得る。第1の弁、例えば、逆止弁をカテーテル、第1の流体管、または第1のポンプ内に配設して、第2のポンプによって注入または吸引された流体がシステムの第1の流体セクションに進入するのを防止することができる。同様に、第2の弁、例えば、逆止弁をカテーテル、第2の流体管、または第2のポンプ内に配設して、第1のポンプによって注入または吸引された流体がシステムの第2の流体セクションに進入するのを防止することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の流体チャネルのうちの一方だけが弁を含む。第1の流体セクションを使用して薬物を注入することができ、第2の流体セクションを使用して流体、例えば、薬物、緩衝剤、チェーサー、CSF、人工CSF、食塩水などを注入することができる。第1の流体セクションを使用して流体を注入することができ、第2の流体セクションを使用して流体を吸引することができる。
【0126】
針302またはカテーテル304は、それらの遠位先端に隣接して装着されたセンサ314(例えば、圧力センサ)を含み得る。したがって、針302またはカテーテル304を患者に挿入すると、センサ314は患者のCSFの圧力または他の特性を測定することができる。針302またはカテーテル304はまた、センサ314の出力をユーザに表示するための一体型または遠隔ディスプレイを含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、針またはカテーテルの長さに沿って、近位ハブまたは他のコネクタに対して遠位に装着され得る。針本体は、鋭利なまたは角度を付けた先端を有する管状シャフトであり得る。針の遠位端は、1つ以上の平面において湾曲していてもよい。
【0127】
図24E~24Gに示されるように、カテーテル304は、カテーテルの遠位端が針から突出するように、針302を通して挿入され得る。代替的に、カテーテルは、それが針の遠位端に対して陥没するように、または針およびカテーテルの遠位端が平らになるように挿入され得る。
【0128】
針302は、約2インチ~約5インチの範囲の長さ、例えば、約3.5インチの長さを有し得る。ハブ312は、約1インチ~約3インチの範囲、例えば、約2インチの長さを有し得る。針302は、約26ゲージ~約10ゲージの範囲、例えば、約17ゲージの外径を有し得る。カテーテル304は、約0.020インチ~約0.125インチの範囲の外径を有し得る。針302は、約0.020インチ~約0.2インチの範囲の内径を有し得る。カテーテル304は、カテーテルが針の遠位端から突出距離だけ突出するように針302を通して挿入することができる。突出距離は、約1mm~約5cmの範囲、例えば、約1cmであり得る。カテーテル304が針302から突出しないように、突出距離をゼロとすることができる。カテーテル304が針302から突出する程度を制限することは、有利には、髄腔内空間を通してカテーテルを螺合する必要性を排除することができる。これは、送達手技をより安全にし、および/またはより侵襲性を少なくし、そしてシステム300を使用するために必要とされるスキルのレベルを低減させ得る。
【0129】
カテーテル304は、上記のカテーテルの特徴部のうちのいずれかを有し得る。
図25A~25Dは、システム300で使用され得る例示的なカテーテル304を図示している。カテーテル304は、1つ以上の流体管腔318を画定する管状本体316を含み得る。カテーテル304は、カテーテルの内部流体管腔318をカテーテルの外部と流体連絡するように設置する1つ以上のポート320を含み得る。流体は、ポート320を通して注入または吸引され得る。図示のカテーテルは、螺旋形状のスリットの形態のポート320Aを含む。
図25Bは、例示的な螺旋形状のスリットの幾何形状を三次元で概略的に図示している。スリット320Aは、カテーテルの側壁、カテーテルの縮径の遠位部分の側壁、またはカテーテルの遠位端から張り出す内管の側壁に形成され得る。内管を含む実施形態では、内管は、カテーテルの全長にわたって、またはカテーテルの長さの一部だけに沿って延在し得る。内管は、接着剤、音波溶接、または他の技術を使用してカテーテルに付着され得る。代替的に、内管は、例えば、成形または粉砕プロセスによって、カテーテルの主本体と一体的に形成され得る。カテーテルは、前面向きポート320Bを含み得る。前面向きポートは、カテーテル304の遠位向き端部壁に形成された円形開口部によって画定され得る。
【0130】
螺旋形状のスリットが示されているが、カテーテル304は、代替的または追加的に他の形状のポートを有することができる。例示的なポート形状としては、円形の穴、カテーテルの周りに螺旋状のパターンで配置された複数の別々の穴、ケージ、またはメッシュタイプの開口部などが挙げられる。
図25Eに示されるように、螺旋形状のスリットポート320Aは、カテーテル304を通して周囲の媒体に注入される流体の分散を有利に増加させることができる。
【0131】
カテーテル304の遠位端は、非外傷性幾何形状を有し得る。例えば、示されるように、カテーテルは、その遠位端に実質的に球形または球状形状部分322を含み得る。カテーテル304が漸減または縮径部分を含む実施形態では、カテーテルは、異なる直径間を移行するためのフィレットまたはフランジ324を含み得る。例えば、
図25Cおよび25Dに示されるように、カテーテルの縮小した遠位部分とカテーテルの拡大した近位部分との間にテーパ状移行部を形成することができる。テーパ状移行部は、円錐形であり得る。テーパ状移行部は、凸状または凹状に湾曲していてもよい。
【0132】
カテーテル304の遠位部分は、放射線不透過性材料、磁性材料、または他の撮像可能な材料から形成され得るか、それらでコーティングされ得るか、またはそれらに含浸され得る。例えば、内部に流体ポートが形成された別個の内管をかかる材料から形成し、外側カテーテル本体に取り付けることができる。撮像可能な材料は、蛍光透視法、またはMRI、CT、PETなどの他の撮像技術の下でのカテーテルの先端の視覚化および誘導を容易にすることができる。
【0133】
カテーテル304は、さまざまな材料のうちのいずれかから形成され得る。例示的な材料としては、ポリイミド、PEEK、ポリウレタン、シリコーン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0134】
薬物送達システム300は、上記の薬物送達システムと類似のまたは同一の方法で使用され得る。
図26は、システム300の例示的な使用方法を図示している。示されるように、針302は、例えば、標準的な腰部穿刺技術を使用して、患者の脊椎の腰部領域において患者に経皮的に挿入され得る。針302の湾曲した遠位端は、脊髄SCを損傷することなく、針の遠位開口部を髄腔内空間IS内に誘導するのを助けることができる。針302をほんの少しだけ、例えば、髄腔内空間内に約1cm、髄腔内空間に挿入することができる。カテーテル304を針302を通して挿入して、カテーテルの遠位先端を髄腔内空間内に位置決めすることができる。上記のように、いくつかの実施形態では、カテーテル304は、針302からわずかな量、例えば、約1cmだけ突出している。カテーテル304または針302の近位端は、カテーテルまたは針を通して流体を注入または吸引するためのポンプシステム310に連結され得る。いくつかの配置では、ポンプシステムは、別個の薬物チャネルおよび緩衝剤チャネルを含み、各々は、それぞれのポンプを有する。ポンプシステムは、例えば、カテーテルの分岐した近位部分で、カテーテルの二重管腔に連結され得る。他の配置では、ポンプシステムの第1のチャネルを針に連結し、ポンプシステムの第2のチャネルをカテーテルに連結することができる。他の配置では、カテーテルを省くことができ、ポンプシステムは、針に連結された単一のチャネルを含み得るか、または針に連結された複数のチャネルを含み得る。
【0135】
コントローラ104、例えば、プログラム可能なコンピュータプロセッサ、またはユーザは、カテーテルおよび/または針を介して患者に対する流体の注入および/または吸引を行うようにポンプシステム310を制御することができる。
【0136】
例示的な実施形態では、システム300の第1の流体チャネルを通して薬物を注入することができ、かつその後に、システムの同じまたは異なる流体チャネルを通してチェーサーを注入して、患者の髄腔内空間を通して薬物を押し込むことができる。例示的なチェーサーとしては、薬物含有流体、緩衝剤流体、人工CSF、患者から以前に吸引された自然CSF、食塩水などが挙げられる。いくつかの実施形態では、チェーサーは、患者から以前に吸引されたCSFであり得、CSFは、CSFをシリンジから除去することなく、同じシリンジを使用し、それによって閉鎖された無菌システムを維持しながら吸引および注入され得る。
【0137】
カテーテル304または針302は、以下に記載される針402の特徴部のうちのいずれかを含み得る。
【0138】
図28Aは、流体の髄腔内注入および/または吸引のために使用され得る例示的な薬物送達システム400を図示している。システム400は、上記のシステム300と実質的に同様であるが、システム400では、針を通してカテーテルを挿入することなく、流体が針402を通して直接送達または吸引される。針402は、その近位端でポンプシステム410に連結され得る。上記のシステムと同様に、ポンプシステム410は、複数の流体チャネル(例えば、薬物用の1つのチャネルとチェーサー用の別のチャネル)を有し得る。ポンプシステム410は、1つ以上の流体管によって針402に接続され得る。ハブを針402上に形成するかまたはそこに連結して、針を流体管に接続することができる。例えば、Yコネクタポートを使用してポンプシステム410を針402に接続することができる。針402は、さまざまな直径を有することができ、例示的実施形態では、22ゲージ針とすることができる。1つ以上の弁414を流体管内、針402内、またはポンプシステム410内に直列に配設することができる。弁414は、一方向弁、逆止弁などであり得る。
【0139】
針は、内部に形成されたさまざまな流体ポートのうちのいずれかを有し得る。例えば、
図28Aおよび28Bに示されるように、針402は、針の遠位先端に隣接して形成された螺旋状スリット流体ポート420Aを含み得る。流体ポート420Aは、レーザ切断することができる。別の例として、
図29に示されるように、針402Aは、遠位流体ポート420Bに隣接して配設された螺旋状の内部管腔418を有し得る。螺旋形状の内部管腔418は、遠位流体ポートを通る注入剤の乱流を容易にして流体をよりよく分散させることができる。螺旋形状の内部管腔418は、複数のループ状コイルを画定する管状通路であり得る。針402は、鋭利な鉛筆状の先端を含み得る。別の例として、
図30A~30Cに示されるように、針402Bは、針の遠位端に配設された膨張可能な部材426、例えば、バルーンまたは膜を含み得る。針402は、鋭利な先端を含み得る。膨張可能な部材426を最初に針402の先端内に後退させることができ、鋭利な先端を使用して患者の硬膜Dまたは他の組織を穿刺して針の挿入を容易にすることができる。いったん針402の遠位先端が所望の位置、例えば、髄腔内空間内に位置決めされると、
図30Bに示されるように、膨張可能な部材426を針の外側に展開することができる。膨張可能な部材426の展開は、針402を通して流体を注入することによって達成され得る。膨張可能な部材426は、内部に形成された1つ以上の流体ポートを含み得、それを通して流体を注入または吸引することができる。例えば、
図30Cに示されるように、膨張可能な部材426は、内部に形成された螺旋状の流体ポート420Aを含み得、それを通して流体を注入することができる。膨張可能な部材426は、膨張可能な部材が展開されたときに非外傷性先端を画定するように、柔らかい材料、例えば、針402を形成するのに使用される材料よりも柔らかい材料から形成され得る。膨張可能な部材426は、シリコーンなどの可撓性の生体適合性材料から形成され得る。
【0140】
針402は、上記のカテーテル304または針302の特徴部のうちのいずれかを含み得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、CSFの体積変位を使用して、注入された薬物を患者の髄腔内空間を通して移動させることができる。例えば、薬物注入の前、最中、または後に流体を髄腔内空間から吸引して、薬物を髄腔内空間内の所望の方向に促すことができる。かかる体積変位のために使用される流体は、患者の総CSF体積の約1%~約20%の範囲であり得る。流体は、患者から吸引され、次いで、その後に再注入され得る。
【0142】
本明細書に開示されるシステムは、患者固有の注入のために使用され得る。例示的な患者固有の注入方法では、特定の患者のCSF体積を、例えば、計算または推定することによって判定することができる。例えば、患者の術前または術中画像を捕捉することができる。画像は、患者の頭および脊椎ならびに/または中枢神経系全体の1つ以上のMRI画像であり得る。例えば、3D解剖学的モデルとの相関関係を有する画像処理ルーチンまたは手動の推定技術を使用して、患者の総CSF体積を計算または推定することができる。計算または推定されたCSF体積を使用して、その特定の患者に対して注入および/または吸引プロファイルを個別化することができる。例えば、計算または推定された総CSF体積の約1%~約20%を患者から吸引し、注入された薬物の後ろに再注入して、薬物を所望の方向、例えば、患者の髄腔内空間内の頭側または尾側に促すことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、方法は、磁気共鳴撮像または他の手段を使用してヒトの体の体積に対するCSFのヘッドを測定することを含み得る。この方法は、患者の総CSF体積の0.5~20%の除去および/または注入によって遂行される治療または薬物注入を含み得る。この方法は、薬物または治療の送達に関連して、人工CSF、緩衝剤溶液、もしくは食塩水の除去および/または注入によって遂行される治療または薬物注入を含み得る。この方法は、約0.1ml/分~約30ml/分の範囲の体積流量で薬物または治療を送達することを含み得る。本明細書に開示される拍動性送達、および/または本明細書に開示される生理学的パラメータに基づく拍動性送達を使用して、薬物および追加の体積(例えば、吸引されたCSF、人工CSF、緩衝剤など)を注入することができる。薬物および追加の体積を連続的にまたは並行して注入することができる。体積変位および/または患者固有の薬物もしくは治療注入は、注入された薬物のよりよい体内分布を有利に提供することができる。
【0144】
図27は、患者固有の注入の例示的な方法を図示している。示されるように、この方法は、患者の総CSF体積を判定することと、患者の総CSF体積に基づいてCSFの体積を吸引することと、薬物を注入することとを含み得る。
【0145】
本明細書に開示されるシステムの注入流量は、約0.001ml/分~約50ml/分の範囲であり得る。
【0146】
2015年5月11日に出願された米国仮出願第62/159,552号、2015年10月10日に出願された米国仮出願第62/239,875号、2016年3月4日に出願された米国仮出願第62/303,403号、および2016年5月11日に出願された米国出願第15/151,585号は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0147】
特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、説明した本発明の概念の趣旨および範囲内で多くの変更を行うことができることを理解されたい。したがって、本発明は記載された実施形態に限定されないことが意図されている。
【0148】
〔実施の態様〕
(1) 薬物送達装置であって、
内部に形成された流体管腔を有する細長い本体と、
前記送達装置内に形成された流体ポートと、を備え、前記流体ポートが、前記送達装置の壁に形成された螺旋状スリットによって画定されている、薬物送達装置。
(2) 前記螺旋状スリットが、前記本体の内面から前記本体の外面まで延在する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記螺旋状スリットが、前記流体管腔の内部と前記送達装置の外部との間の流体連通経路として作用する、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記螺旋状スリットが、前記送達装置の外壁を貫通して形成されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記螺旋状スリットが、前記送達装置の縮径部分の側壁に形成されている、実施態様1に記載の装置。
【0149】
(6) 前記螺旋状スリットが、前記本体の遠位端から張り出す内管の側壁に形成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記送達装置が、実質的に球形の球状部によって画定された非外傷性遠位先端を含む、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記送達装置が、第2の遠位向き流体ポートを含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記送達装置が、前記送達装置の大径近位部分と前記送達装置の縮径遠位部分との間にテーパ状移行部を含む、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記テーパ状移行部が、円錐状、凸状、および凹状のうちの少なくとも1つである、実施態様9に記載の装置。
【0150】
(11) 前記送達装置が、カテーテルを備える、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記送達装置が、針を備える、実施態様1に記載の装置。
(13) 前記送達装置の遠位端に配設された膨張可能な部材をさらに備える、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記膨張可能な部材が、前記装置の鋭利な遠位先端内から展開可能である、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記膨張可能な部材が、内部に流体ポートを含む、実施態様13に記載の装置。
【0151】
(16) 前記膨張可能な部材の前記流体ポートが、螺旋状スリットを備える、実施態様15に記載の装置。
(17) 薬物送達装置であって、
内部に流体管腔を有する細長い本体と、流体が前記流体管腔の内部と前記送達装置の外部の位置との間で移動することができる流体ポートと、を備え
前記流体管腔の少なくとも一部が、螺旋形状である、薬物送達装置。
(18) 前記流体管腔の前記螺旋形状の部分が、前記流体ポートに隣接している、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記流体管腔の前記螺旋形状の部分が、複数のループ状コイルを画定する管状通路を備える、実施態様17に記載の装置。
(20) 薬物送達装置であって、
鋭利な遠位先端を有する針と、
前記鋭利な先端の遠位端から選択的に展開可能な膨張可能な部材と、を備え、前記膨張可能な部材が、内部に形成された流体ポートを有し、
前記流体ポートが、螺旋状スリットを備える、薬物送達装置。
【0152】
(21) 患者固有の注入方法であって、
患者の総CSF体積を判定することと、
前記判定された前記患者の総CSF体積に基づいて、前記患者からある体積のCSFを吸引することと、
前記患者の髄腔内空間に薬物を注入することと、を含む、患者固有の注入方法。
(22) 前記薬物を注入した後に、前記髄腔内空間内の所望の方向に前記薬物を押し込むために、前記患者の前記吸引されたCSFを注入することをさらに含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記総CSF体積が、前記患者の中枢神経系の術前画像から判定される、実施態様21に記載の方法。
(24) 前記吸引されたCSFの体積が、前記患者の前記総CSF体積の約1%~約20%の範囲にある、実施態様21に記載の方法。
(25) 前記CSFの体積が、吸引されている間に前記薬物が注入される、実施態様21に記載の方法。
【0153】
(26) 薬物送達方法であって、
患者の髄腔内空間に針を挿入することと、
流体送達カテーテルを、前記針を通して前記髄腔内空間に挿入することと、
薬物を、前記カテーテルを通して前記髄腔内空間に注入することと、
前記薬物を前記髄腔内空間に押し込むために、チェーサーを前記薬物の後ろの前記針を通して注入することと、を含む、薬物送達方法。
(27) 前記チェーサーが、薬物、緩衝剤、人工CSF、以前に前記患者から吸引された自然CSF、および食塩水のうちの少なくとも1つを含む、実施態様26に記載の方法。
(28) 前記チェーサーが、以前に吸引されたCSFを含み、前記CSFが、閉鎖システム内の同じシリンジを使用して吸引および注入される、実施態様26に記載の方法。
(29) 前記針が、0cm~1cmの範囲内の距離で前記髄腔内空間に突出する、実施態様26に記載の方法。
(30) 前記カテーテルが、0cm~1cmの範囲内の距離で前記針から突出する、実施態様29に記載の方法。
【外国語明細書】