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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022136337
(43)【公開日】2022-09-16
(54)【発明の名称】乾燥粉砕機、及び乾燥粉砕方法
(51)【国際特許分類】
   B02C 13/10 20060101AFI20220909BHJP
   B02C 13/282 20060101ALI20220909BHJP
   F26B 17/20 20060101ALI20220909BHJP
【FI】
B02C13/10
B02C13/282
F26B17/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021035893
(22)【出願日】2021-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】514081760
【氏名又は名称】合同会社トレスバイオ技研
(71)【出願人】
【識別番号】599176344
【氏名又は名称】株式会社アドバンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】金島 敬之介
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘一
(72)【発明者】
【氏名】苅田 傑
【テーマコード(参考)】
3L113
4D065
【Fターム(参考)】
3L113AA06
3L113AB02
3L113AB03
3L113AC40
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC52
3L113AC58
3L113AC63
3L113AC67
3L113AC86
3L113BA03
3L113BA18
3L113BA20
3L113CB24
3L113CB29
3L113CB34
3L113DA24
4D065AA04
4D065BB04
4D065EA07
4D065EB07
4D065EB20
4D065EC07
4D065ED04
4D065ED14
4D065ED32
4D065EE02
4D065EE08
4D065EE12
4D065EE18
(57)【要約】
【課題】未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕機を実現することを課題とする。
【解決手段】被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕機であって、略円筒状の粉砕室11の一方の端部に収納された粗粉砕部14と他方の端部に収納された微粉砕部15とを備え、前記粗粉砕部14は、粗粉砕羽根軸113が回転することで回転する粗粉砕羽根111を有し、前記微粉砕部15は、微粉砕羽根軸114が回転することで回転する微粉砕羽根112を有し、前記粗粉砕羽根軸113の軸心と前記微粉砕羽根軸114の軸心とは、前記粉砕室11の略中心軸上で対向することを特徴とする乾燥粉砕機10とした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕機であって、
略円筒状の粉砕室の一方の端部に収納された粗粉砕部と他方の端部に収納された微粉砕部とを備え、
前記粗粉砕部は、粗粉砕羽根軸が回転することで回転する粗粉砕羽根を有し、
前記微粉砕部は、微粉砕羽根軸が回転することで回転する微粉砕羽根を有し、
前記粗粉砕羽根軸の軸心と前記微粉砕羽根軸の軸心とは、前記粉砕室の略中心軸上で対向することを特徴とする乾燥粉砕機。
【請求項2】
前記微粉砕部は、前記粗粉砕羽根よりも小径であり、
前記粉砕室は、前記微粉砕部が収納された部分における微粉砕部筒部の内径は前記粗粉砕部が収納された部分における粗粉砕部筒部の内径より小さく、前記粗粉砕部筒部から前記微粉砕部筒部の間における中間筒部は、前記微粉砕部筒部に向かって内径が小さくなるように傾斜を有した略円錐台状であることを特徴とする請求項1に記載の乾燥粉砕機。
【請求項3】
前記粉砕室の前記粗粉砕部側の前記一方の端部において、前記粉砕室の接線方向から温風乃至熱風を吹込ませる温風乃至熱風吹込み口を設けるとともに、前記被粉砕物を投入する被粉砕物投入口を前記一方の端部に設け、
前記粉砕室の前記微粉砕部側の前記他方の端部において、微粉砕された被粉砕物と温風乃至熱風を排出する排出口を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥粉砕機。
【請求項4】
前記中間筒部の前記傾斜の角度は、約10度であることを特徴とする請求項2―3のいずれかに記載の乾燥粉砕機。
【請求項5】
外気より低湿度の空気を前記温風乃至熱風吹込み口から吹込ませることを特徴とする請求項3―4に記載の乾燥粉砕機。
【請求項6】
前記排出口からの温風乃至熱風の排出量の方が前記温風乃至熱風吹込み口から吹込まれる温風乃至熱風の吹込み量よりも大きくなるようにして、前記粉砕室内を陰圧に保つように制御されることを特徴とする請求項3-5のいずれかに記載の乾燥粉砕機。
【請求項7】
被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕方法であって、
略円筒状の粉砕室の一方の端部に収納された粗粉砕部と他方の端部に収納された微粉砕部とを備えた乾燥粉砕機において、
前記粗粉砕部における回転する粗粉砕羽根の周縁部、又は周縁端部と前記粉砕室の内壁との隙間で被粉砕物を粗粉砕する粗粉砕工程と、
前記微粉砕部における回転する微粉砕羽根の周縁部、又は周縁端部と前記粉砕室の内壁との隙間で、前記粗粉砕工程で粗粉砕された被粉砕物を微粉砕する微粉砕工程と、を備え、
前記粉砕室の略円筒状の前記粗粉砕羽根側の前記一方の端部における温風乃至熱風吹込み口から接線方向に吹込まれた温風乃至熱風により、前記粉砕室の前記一方の端部に設けた被粉砕物投入口から投入された被粉砕物が前記粉砕室の内壁に沿って回転しながら前記微粉砕羽根側の終端まで移動することを特徴とする乾燥粉砕方法。
【請求項8】
前記温風乃至熱風吹込み口から熱風を吹込んで空気中の飽和水蒸気量を増やすことで、前記被粉砕物を乾燥させることを特徴とする請求項7に記載の乾燥粉砕方法。
【請求項9】
外気よりも低湿度の空気を前記温風乃至熱風吹込み口から吹込むことで、前記被粉砕物を乾燥させることを特徴とする請求項7に記載の乾燥粉砕方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被粉砕物を乾燥させて粉砕する乾燥粉砕機、及び乾燥粉砕方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
健康志向の高まりにより、植物由来の成分を食品等に利用することが近年増加している。しかしながら、植物由来の成分の原料となる穀物、野菜、果物、茶等は多くの水分を含んでいるので、それらを利用するには、乾燥と粉砕を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、複数のブレードで構成されるロータを収納した粉砕室に、ロータの正面から被粉砕物を投入して乾燥粉砕する装置の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2013-174405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、ロータの正面から被粉砕物を投入するためブレードにあたって跳ね返ってしまうものがあり、十分な粉砕ができない恐れがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕機を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕機であって、
略円筒状の粉砕室の一方の端部に収納された粗粉砕部と他方の端部に収納された微粉砕部とを備え、
前記粗粉砕部は、粗粉砕羽根軸が回転することで回転する粗粉砕羽根を有し、
前記微粉砕部は、微粉砕羽根軸が回転することで回転する微粉砕羽根を有し、
前記粗粉砕羽根軸の軸心と前記微粉砕羽根軸の軸心とは、前記粉砕室の略中心軸上で対向することを特徴とする乾燥粉砕機を提供するものである。
【0008】
この構成により、未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕機を実現することができる。
【0009】
乾燥粉砕機であって、前記微粉砕部は、前記粗粉砕羽根よりも小径であり、前記粉砕室は、前記微粉砕部が収納された部分における微粉砕部筒部の内径は前記粗粉砕部が収納された部分における粗粉砕部筒部の内径より小さく、前記粗粉砕部筒部から前記微粉砕部筒部の間における中間筒部は、前記微粉砕部筒部に向かって内径が小さくなるように傾斜を有した略円錐台状である構成としてもよい。
【0010】
この構成により、粗粉砕された被粉砕物が確実に微粉砕部に導かれて微粉砕される。
【0011】
乾燥粉砕機であって、前記粉砕室の前記粗粉砕部側の前記一方の端部において、前記粉砕室の接線方向から温風乃至熱風を吹込ませる温風乃至熱風吹込み口を設けるとともに、前記被粉砕物を投入する被粉砕物投入口を前記一方の端部に設け、
前記粉砕室の前記微粉砕部側の前記他方の端部において、微粉砕された被粉砕物と温風乃至熱風を排出する排出口を設けた構成としてもよい。
【0012】
この構成により、粉砕室の接線方向から温風乃至熱風を吹込ませることで、投入した被粉砕物が粉砕室の内壁に沿って回転しながら前記微粉砕羽根側の終端まで移動することで、サイクロン効果により被粉砕物を乾燥させるとともに、粗粉砕羽根の中央付近及び微粉砕羽根の中央付近に衝突して未粉砕となることを防止できる。また、周速の安定した粗粉砕羽根及び微粉砕羽根の先端部、又は粗粉砕羽根及び微粉砕羽根と粉砕室内壁との隙間で粉砕されることで粉砕後の粒度ばらつきを少なくすることができる。
【0013】
乾燥粉砕機であって、前記中間筒部の前記傾斜の角度は、約10度である構成としてもよい。
【0014】
この構成により、粉砕室の内壁に沿って移動した被粉砕物が確実に微粉砕部に到達することができる。
【0015】
乾燥粉砕機であって、外気より低湿度の空気を前記温風乃至熱風吹込み口から吹込ませる構成としてもよい。
【0016】
この構成により、被粉砕物の耐熱温度が比較的低い場合にも低湿度の温風により乾燥させることができる。
【0017】
乾燥粉砕機であって、前記排出口からの温風乃至熱風の排出量の方が前記温風乃至熱風吹込み口から吹込まれる温風乃至熱風の吹込み量よりも大きくなるようにして、前記粉砕室内を陰圧に保つように制御される構成としてもよい。
【0018】
この構成により、粉砕室内を陰圧に保つことで、温風乃至熱風吹込み口から外部へ被粉砕物が逆流することを防ぐことができる。
【0019】
また、上記課題を解決するために本発明は、被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕方法であって、
略円筒状の粉砕室の一方の端部に収納された粗粉砕部と他方の端部に収納された微粉砕部とを備えた乾燥粉砕機において、
前記粗粉砕部における回転する粗粉砕羽根の周縁部、又は周縁端部と前記粉砕室の内壁との隙間で被粉砕物を粗粉砕する粗粉砕工程と、
前記微粉砕部における回転する微粉砕羽根の周縁部、又は周縁端部と前記粉砕室の内壁との隙間で、前記粗粉砕工程で粗粉砕された被粉砕物を微粉砕する微粉砕工程と、を備え、
前記粉砕室の略円筒状の前記粗粉砕羽根側の前記一方の端部における温風乃至熱風吹込み口から接線方向に吹込まれた温風乃至熱風により、前記粉砕室の前記一方の端部に設けた被粉砕物投入口から投入された被粉砕物が前記粉砕室の内壁に沿って回転しながら前記微粉砕羽根側の終端まで移動することを特徴とする乾燥粉砕方法を提供するものである。
【0020】
この構成により、未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕機を実現することができる。
【0021】
乾燥粉砕方法であって、前記温風乃至熱風吹込み口から熱風を吹込んで空気中の飽和水蒸気量を増やすことで、前記被粉砕物を乾燥させる構成としてもよい。
【0022】
この構成により、被粉砕物の耐熱温度が高い場合に効果的に乾燥させることができる。
【0023】
乾燥粉砕方法であって、外気よりも低湿度の空気を前記温風乃至熱風吹込み口から吹込むことで、前記被粉砕物を乾燥させる構成としてもよい。
【0024】
この構成により、被粉砕物の耐熱温度が比較的低い場合に低湿度の空気により乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の乾燥粉砕機、及び乾燥粉砕方法により、未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1における乾燥粉砕システムの概略を説明する図である。
図2】本発明の実施例1における乾燥粉砕システムの詳細を説明する図である。
図3】本発明の実施例1における乾燥粉砕機を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0027】
本発明の実施例1について、図1図3を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1における乾燥粉砕システムの概略を説明する図である。図2は、本発明の実施例1における乾燥粉砕システムの詳細を説明する図である。図3は、本発明の実施例1における乾燥粉砕機を説明する図である。
【0028】
(乾燥粉砕システム)
実施例1における乾燥粉砕システム100は、穀物、茶、果物、野菜、海藻等の水分を含む被粉砕物を乾燥し粉砕するものである。乾燥粉砕システム100は、乾燥粉砕機10を中心として、熱風発生器60、除湿器70、除菌装置80、粉体捕集用サイクロン20、粉体捕集ボックス、バグフィルター30、ブロア40、制御部90を備えている。
【0029】
熱風発生器60は、実施例1においては、ヒータによりおよそ75℃の熱風を発生して乾燥粉砕機10に対して吹込ませる。この温度は、温度計119により計測して制御部90が熱風発生器60にフィードバック制御している。乾燥粉砕機10内の空気を75℃くらいにすると空気中の飽和水蒸気量が約250g/mとなり、25℃のときの約23g/mに対して10倍以上となる。このため、被粉砕物に含まれる水分が蒸発しやすくなり効果的に乾燥させることができる。
なお、実施例1においては、75℃の熱風としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、75℃よりも高温であってもよいし、75℃よりも低温であってもよい。
【0030】
被粉砕物の耐熱温度が低いときには、熱風発生器60は50℃かもしくはさらに低い温度の温風を発生させて乾燥粉砕機10に吹込む。この場合は、除湿器60を熱風発生器60に接続して外気よりも除湿した空気を乾燥粉砕機10に吹込ませる。この除湿した空気により耐熱温度が低い被粉砕物の場合でも効果的に乾燥させることができる。この場合も、温度計119により計測して熱風発生器60にフィードバック制御している。
【0031】
また、除菌装置80が熱風発生器60に接続されており、被粉砕物が医療用の場合等に除菌した温風乃至熱風を乾燥粉砕機10に吹込ませることができる。
【0032】
なお、実施例1においては、除湿器60を熱風発生器60に接続して外気よりも除湿した空気を乾燥粉砕機10に吹込ませるように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、熱風発生器60を介さず、独立して除湿器70から除湿した空気を乾燥粉砕機10に吹込ませるように構成してもよい。
【0033】
また、実施例1においては、除菌装置80を熱風発生器60に接続して除菌した温風乃至熱風を乾燥粉砕機10に吹込むように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、熱風発生器60を介さず、独立して除菌装置80から除菌した温風乃至熱風を乾燥粉砕機10に吹込ませるように構成してもよい。
【0034】
乾燥粉砕機10には被粉砕物投入口116から被粉砕物が投入され、温風乃至熱風吹込み口115から吹込まれた温風乃至熱風とともに被粉砕物が粉砕室11の内壁に沿ってサイクロンのように回転しながら排出口117まで導かれて乾燥される。また、その過程で、粗粉砕羽根及び微粉砕羽根の回転により被粉砕物が粉砕される。
【0035】
ブロア40はダクトを介してバグフィルター30に接続され、バグフィルター30はダクトを介して粉体捕集用サイクロン20に接続され、粉体捕集用サイクロン20は排出ダクト22を経由して粉砕室11の排出口117に接続されている。そして、ブロア40が引き込む空気により温風乃至熱風と粉砕された粉体Cは、粉砕室11の排出口117から排出され、排出ダクト22を経由して、粉体捕集用サイクロン20に導かれる。このとき、排出ダクト22及び粉体捕集用サイクロン20は、周囲全面を温度保持のために毛織物からなる保温体で覆われ、飽和水蒸気量が減少することがないようにされている。
【0036】
実施例1における保温体は、毛織物で構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、温水又は熱水を流す配管を排出ダクト22及び粉体捕集用サイクロン20の周囲に配置してもよい。少なくとも排出ダクト22及び粉体捕集用サイクロン20内の温度を粉砕室11内の温度程度に保持できるものであれば任意の保温体を採用できる。
【0037】
また、実施例1においては、排出ダクト22及び粉体捕集用サイクロン20の周囲全面を保温体で覆う構成としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、排出ダクト22及び粉体捕集用サイクロン20の周囲において、保温効果の高い部分のみを保温体で覆うようにしてもよい。つまり、排出ダクト22及び粉体捕集用サイクロン20の少なくとも一部を保温体で覆うようにすればよい。
【0038】
ここで、ブロア40による温風乃至熱風の排出量の方が熱風発生器60により温風乃至熱風吹込み口115から吹込まれる温風乃至熱風の吹込み量よりも大きくなるように圧力計118の計測値をフィードバックして、粉砕室11内を陰圧に保つように制御部90により制御される。これにより、温風乃至熱風及び被粉砕物が温風乃至熱風吹込み口115から外部に逆流しないようにされている。
【0039】
粉体捕集用サイクロン20では、温風乃至熱風と被粉砕物が乾燥粉砕された粉体Cは下方にいくほど先細りとなった内壁に沿って回転しながら下降しサイクロン効果により微粉砕された粉体Dが最下部に設けた粉体捕集ボックス21に蓄えられ、粗粉体は遠心力により外部に排出される。実施例1においては、15μm程度以下の微粉体が粉体捕集ボックス21に蓄えられる。
【0040】
排出ダクト22を通過する粉体Cのうち、粉体捕集用サイクロン20で捕集できず空気中に排出すれば粉塵となり環境汚染のもとになる微粉体を含んだ温風乃至熱風Eは、バグフィルター30に導かれる。バグフィルター30に供給された温風乃至熱風と粉体はフィルターにより粉体のみが濾過されてバグフィルター30の底に蓄えられ、温風乃至熱風Fは外部に排出される。
【0041】
制御部90は、粉砕室11内の陰圧を制御する外、乾燥粉砕機10における粗粉砕羽根111及び微粉砕羽根112の回転方向や回転速度を制御する。
【0042】
(乾燥粉砕機)
乾燥粉砕機10は、図1図2に示すように、粉砕室11が粗粉砕羽根駆動室12と微粉砕羽根駆動室13とに挟まれるように構成されている。
【0043】
粗粉砕羽根駆動室12は、粗粉砕用モータ121と粗粉砕用プーリ122を備えて、図示しない減速機を経由して粗粉砕羽根軸113を回転させることができる。粗粉砕用モータ121の回転は、制御部90の制御により正逆いずれにも回転させることができる。また、回転速度も制御部90の制御により変更することが可能である。これにより、様々な被粉砕物及び粉砕粗さに対応させることができる。
【0044】
微粉砕羽根駆動室13は、微粉砕用モータ131と微粉砕用プーリ132を備えて、図示しない減速機を経由して微粉砕羽根軸114を回転させることができる。微粉砕用モータ131の回転は、制御部90の制御により、微粉砕羽根112を正逆いずれにも回転させることができ、粗粉砕羽根111の回転方向とは異なる方向へも回転させることができる。また、回転速度も制御部90の制御により変更することが可能であり、粗粉砕羽根111の回転速度と同じ速度又は異なる速度で微粉砕羽根を回転させることができる。これにより、様々な被粉砕物及び粉砕粗さに対応させることができる。
【0045】
乾燥粉砕機10の粉砕室11について、図3を参照して説明する。粉砕室11の一方の端部(図3における右側端部)には粗粉砕部14が収納され、他方の端部(図3における左側端部)には微粉砕部15が収納されている。そして、粉砕室11内は粗粉砕部14から微粉砕部15にいくにしたがって徐々に内径が小さくなる略円筒状であり断面略円環状を有している。粗粉砕部14は、粉砕室11の略中心軸上に設けられた粗粉砕羽根軸113が粗粉砕用モータ121、粗粉砕用プーリ122、及び図示しない減速機に接続され、粗粉砕用モータ121が回転することで回転する。粗粉砕羽根軸113には4枚の粗粉砕羽根111(111a~111d)が設けられている。そして粗粉砕羽根軸113が回転すると粗粉砕羽根111(111a~111d)が回転する。
【0046】
微粉砕部15は、粉砕室11の略中心軸上に設けられた微粉砕羽根軸114が微粉砕用モータ131、微粉砕用プーリ132、及び図示しない減速機に接続され、微粉砕用モータ131が回転することで回転する。微粉砕羽根軸114には4枚の微粉砕羽根112(112a~112d)が設けられている。そして微粉砕羽根軸114が回転すると微粉砕羽根112(112a~112d)が回転する。
【0047】
粗粉砕羽根軸113の軸心と微粉砕羽根軸114の軸心とは、粉砕室11の略中心軸上で空間Kを介して対向している。このため、粗粉砕羽根111(111a~111d)の回転する周縁部により粉砕された被粉砕物は微粉砕羽根112(112a~112d)の中心付近に衝突して跳ね返ることなく微粉砕羽根112(112a~112d)の回転する周縁部により微粉砕される。
【0048】
実施例1においては、微粉砕部15が収納された部分における微粉砕部筒部17は外径Yであり内径は粗粉砕部14が収納された部分における粗粉砕部筒部16の内径より小さい。粗粉砕部筒部16は外径Xを有している。粗粉砕部筒部16から微粉砕部筒部17の間における中間筒部18は、微粉砕部筒部17に向かって距離Zからなる空間Kを有し、微粉砕部筒部17に向かって徐々に内径が小さくなるように傾斜角θを有した略円錐台状を有している。実施例1における外径Xは500mmφ、外径Yは430mmφ、距離Zは200mm、傾斜角θは約10度である。
ただし、上記のサイズは生産能力により適宜必要な大きさに変更が可能である。
【0049】
粗粉砕羽根111(111a~111d)の端部と粗粉砕部筒部の内壁との隙間は3mm前後であり、微粉砕羽根112(112a~112d)の端部と粗粉砕部筒部の内壁との隙間は2mm前後である。
【0050】
粉砕室11の粗粉砕部14側の一方の端部において、粉砕室11の接線方向から温風乃至熱風を吹込ませる温風乃至熱風吹込み口115が設けられ、被粉砕物を投入する被粉砕物投入口116が粗粉砕部14側の一方の端部に設けられている。温風乃至熱風吹込み口115から粉砕室11の接線方向に温風乃至熱風を吹込ませることで、吹込まれた温風乃至熱風は図3において破線で示すように、被粉砕物投入口116から投入された被粉砕物といっしょに粉砕室11の内壁に沿って回転しながら微粉砕羽根15側の他方の端部に設けられた排出口117まで移動することでサイクロン効果が得られて効果的に被粉砕物を乾燥させることができる。また、粗粉砕羽根111の中心付近に衝突して跳ね返ることがなく未粉砕を防止することができる。
【0051】
なお、実施例1においては、粉砕室11は略水平(図3のよう)に設置され、被粉砕物投入口116は粗粉砕部14側の一方の端部における上部に設けている。粉砕物投入口116を上部に設けたことで、被粉砕物を容易に投入することができる。
【0052】
被粉砕物投入口116から投入された被粉砕物は、上記のように温風乃至熱風により粉砕室11の内壁に沿って回転しながら微粉砕羽根15側の排出口117まで移動するため、粗粉砕羽根111の先端部分に接触して、又は粗粉砕羽根111の先端と粗粉砕部筒部16の内壁との隙間を通過しながら粗粉砕される。
なお、実施例1においては、被粉砕物投入口116を温風乃至熱風吹込み口115とは別に設けたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、温風乃至熱風吹込み口115から温風乃至熱風とともに被粉砕物を投入するようにしてもよい。
【0053】
粗粉砕された被粉砕物は中間筒部18の傾斜角により効果的に微粉砕部15の周縁に導かれる。微粉砕部15の周縁に導かれることで、微粉砕羽根112の中心付近に衝突して跳ね返ることがなく未粉砕を防止することができる。微粉砕部15では、微粉砕羽根112の先端部分に接触して、又は粗粉砕羽根112の先端と微粉砕部筒部17の内壁との隙間を通過しながら微粉砕される。そして、微粉砕された被粉砕物は温風乃至熱風とともに、排出口117から排出される。
【0054】
粗粉砕羽根111は、制御部90の制御により、回転方向及び回転速度を可変とすることができる。また、微粉砕羽根112は、制御部90の制御により、回転方向及び回転速度を可変とすることができる。これにより、様々な被粉砕物に対応することができる。
【0055】
粗粉砕羽根111及び微粉砕羽根112の形状は、十字形状でもよいし円形であってもよい。被粉砕物の種類により任意に選択することができる。
【0056】
温風乃至熱風吹込み口115からは、例えば、約75℃の熱風又はそれより低温の温風の熱風を吹込ませる。この温度は、温度計119により計測して制御部90がフィードバック制御している。吹込ませる空気を75℃くらいにすると空気中の飽和水蒸気量が約250g/mとなり、25℃のときの約23g/mに対して10倍以上となる。このため、被粉砕物に含まれる水分が蒸発しやすくなり効果的に乾燥させることができる。
【0057】
被粉砕物の耐熱温度が低いときには、熱風発生器60は50℃かもしくはさらに低い温度の空気を発生させて乾燥粉砕機10に吹込む。具体的には、除湿器60により、外気よりも除湿した空気として乾燥粉砕機10に吹込ませる。この除湿した空気により耐熱温度が低い被粉砕物の場合でも効果的に乾燥させることができる。この場合も、温度計119により計測して制御部90がフィードバック制御している。
【0058】
また、排出口117からの温風乃至熱風の排出量の方が温風乃至熱風吹込み口115から吹込まれる温風乃至熱風の吹込み量よりも大きくなるように圧力計118の計測値をフィードバックして、粉砕室内を陰圧に保つように制御部90により制御される。これに温風乃至熱風吹込み口115から温風乃至熱風及び被粉砕物が温風乃至熱風吹込み口115から外部に逆流しないようにされている。
【0059】
なお、実施例1においては、粉砕室11を略水平に設置したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、粉砕室11を略垂直に設置してもよいし、斜めに設置してもよく、任意の方向に設置することができる。
【0060】
また、実施例1においては、粗粉砕羽根111及び微粉砕羽根112の枚数をともに4枚としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、粗粉砕羽根111及び微粉砕羽根112ともに3枚以下又は1枚でもよいし、5枚以上であってもよい。また、粗粉砕羽根111の枚数と微粉砕羽根112の枚数を異ならせてもよい。
【0061】
また、中間筒部18の傾斜角θを約10度としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、9度以下であってもよいし、11度以上であってもよい。粗粉砕部筒部16の周縁部から微粉砕部筒部17の周縁部へ温風乃至熱風と被粉砕物を導ければ任意の傾斜角であってよい。
【0062】
さらに、実施例1においては、粉砕室11を略円筒状としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、粉砕室11内を略円筒状としつつ、外形は略円筒状ではなく立方体や直方体としてもよい。少なくとも粉砕室11の内部が略円筒状であればよい。
【0063】
このように、実施例1においては、被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕機であって、
略円筒状の粉砕室の一方の端部に収納された粗粉砕部と他方の端部に収納された微粉砕部とを備え、
前記粗粉砕部は、粗粉砕羽根軸が回転することで回転する粗粉砕羽根を有し、
前記微粉砕部は、微粉砕羽根軸が回転することで回転する微粉砕羽根を有し、
前記粗粉砕羽根軸の軸心と前記微粉砕羽根軸の軸心とは、前記粉砕室の略中心軸上で対向することを特徴とする乾燥粉砕機により、未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕機を実現することができる。
【0064】
また、実施例1においては、被粉砕物を乾燥粉砕する乾燥粉砕方法であって、
略円筒状の粉砕室の一方の端部に収納された粗粉砕部と他方の端部に収納された微粉砕部とを備えた乾燥粉砕機において、
前記粗粉砕部における回転する粗粉砕羽根の周縁部、又は周縁端部と前記粉砕室の内壁との隙間で被粉砕物を粗粉砕する粗粉砕工程と、
前記微粉砕部における回転する微粉砕羽根の周縁部、又は周縁端部と前記粉砕室の内壁との隙間で、前記粗粉砕工程で粗粉砕された被粉砕物を微粉砕する微粉砕工程と、を備え、
前記粉砕室の略円筒状の前記粗粉砕羽根側の前記一方の端部における吹込み口から接線方向に吹込まれた温風乃至熱風により、前記粉砕室の前記一方の端部に設けた粉砕物投入口から投入された被粉砕物が前記粉砕室の内壁に沿って回転しながら前記微粉砕羽根側の終端まで移動することを特徴とする乾燥粉砕方法により、未粉砕をなくし粉砕後の粒度ばらつきの少ない乾燥粉砕機を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明における乾燥粉砕機、及び乾燥粉砕方法は、被粉砕物を乾燥、粉砕する分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
10:乾燥粉砕機
11:粉砕室 12:粗粉砕羽根駆動室 13:微粉砕羽根駆動室
14:粗粉砕部 15:微粉砕部
16:粗粉砕部筒部 17:微粉砕部筒部 18:中間筒部
20:粉体捕集用サイクロン 21:粉体捕集ボックス
22:排出ダクト
30:バグフィルター 40:ブロア 60:熱風発生器
70:除湿器 80:除菌装置 90:制御部
100:乾燥粉砕システム
111:粗粉砕羽根 112:微粉砕羽根
113:粗粉砕羽根軸 114:微粉砕羽根軸
115:温風乃至熱風吹込み口 116:被粉砕物投入口
117:排出口 118:圧力計 119:温度計
121:粗粉砕用モータ 122:粗粉砕用プーリ
131:微粉砕用モータ 132:微粉砕用プーリ
A:温風乃至熱風 B:被粉砕物 C:温風乃至熱風及び粉体
D:粉体 E:温風乃至熱風及び微粉砕物 F:温風乃至熱風
図1
図2
図3